説明

結晶質複相水素透過合金および結晶質複相水素透過合金膜

【課題】 水素透過性と耐水素脆化性とを有し、473K以上で使用可能な結晶質の複相水素透過合金を提供することを目的とする。
【解決手段】 複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したCoTi相とCoを固溶したTiNb相との共晶(CoTi+TiNb)構造、初相として生成する前記TiNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記CoTi相が前記共晶に囲まれている構造を有し、CoTiNb(100−x−y)(ただし、20<x<50原子%、10<y<60原子%である)なる組成を有する複相Co−Ti−Nb系結晶質複相水素透過合金である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶質複相水素透過合金および結晶質複相水素透過合金膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高純度水素は、半導体や光ファイバ、薬品などの製造に使用されており、その使用量は、年々増加している。また、最近では、燃料電池での燃料としても水素が注目され、将来本格的に燃料電池が使用されることになれば、高純度の水素が大量に必要とされる。したがって、高純度の水素を低コストで大量に生産可能な方法の開発が望まれている。
【0003】
水素の大量生産の方法としては、(1)非化石資源を利用する水の電気分解による方法と、(2)化石資源を利用する炭化水素の改質による方法がある。(1)の電気分解法では、電力源として太陽光発電で得た電気を用いて行う水の電気分解が研究されているが、現在の技術レベルでは実用化は困難である。したがって、当面は(2)の炭化水素の水蒸気改質で水素を製造することが現実的である。
【0004】
前述したように、水素の大量生産のためには炭化水素の改質が適している。例えば、CHにHOを加えた反応系において、次式(1)〜(3)の反応式に従って大量の水素が発生する。
【0005】
(化1)
【0006】
CH+HO⇔CO+3H [ガス化反応(吸熱反応)](1)
【0007】
(化2)
【0008】
CO+HO⇔CO+H [シフト反応(発熱反応)](2)
【0009】
(1)+(2)=(3)
【0010】
(化3)
【0011】
CH+2HO⇔CO+4H [吸熱反応](3)
【0012】
反応は、化1と化2に従って起こり、最終的には化3の反応が生じることになる。反応系内には、大量の水素の他にCO、CO、HO、CH等の不純物ガスが含まれる。水素を燃料電池への供給原料として利用するには、水素をこれら不純物から分離・精製しなければならない。また、精製水素中のCO含量を10ppm以下にしないと、燃料電池のPt電極の損傷が発生する。すなわち、水素の燃料電池への利用のためには、精製して、高純度化することが条件となる。
【0013】
水素の精製法には、吸収法、深冷分離法、吸着法、膜分離法がある。これらの中で、膜分離法が実用化されている。膜分離法は、膜を透過するガスの速度の違いを利用するものであり、膜としては高分子膜や金属膜が利用されている。
【0014】
高分子膜による膜分離法では、細孔を通過する気体分子の拡散速度の違いから水素の分離・精製がなされる。この膜分離法では、高純度の水素は得られないが、システムの大型化が可能であるという特徴がある。
【0015】
一方、金属膜では高分子膜にある細孔は存在せず、水素の透過機構は次の通りである。金属膜を挟んで水素の圧力差がある時、高圧力側では水素分子(H)が金属表面で原子(H)に解離して金属に固溶し、侵入・拡散する。この水素原子は、金属膜を透過して低圧力側表面でHに再結合して飛び出し、その結果水素の精製が行われる。金属膜による水素の精製は、分離係数と透過係数との影響が極めて大きいことが特徴である。金属膜を用いる水素の精製では、例えば、99%程度の水素を99.99999%程度に純化することが可能である。したがって、燃料電池用高純度水素の精製には、金属膜による膜分離法が適しているといえる。
【0016】
水素透過膜に用いる水素透過性金属膜として、Pdを主体とする合金、例えばPd−Ag合金、Pd−Ti合金等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
ところで、現在、水素の透過用金属膜としては、Pd−Ag合金膜が実用化されている。しかし、燃料電池の使用が本格化して大量の水素が必要となれば、それに応じて水素の透過用金属膜としてのPd−Ag合金の需要が増すことになる。そうなれば、高価で資源的にも少ないPdが制約となって、Pd−Ag合金膜では対応不可能と推測され、それに替わる金属膜の材料開発が急務となっている。
【0018】
水素透過合金は、水素吸蔵合金と同様に「水素を吸蔵する」という特性を有することが不可欠である。しかし、それぞれの材料に要求される材料特性は表1に示すように全く異なり、水素吸蔵合金の開発指針に基づいて実現することはできない。
【表1】

【0019】
水素吸蔵合金は、水素を繰り返し容易に吸蔵放出できる合金である。水素吸蔵量が増大しても水素圧力が一定となる、つまり圧力プラトーが生じる原理を利用している。圧力プラトーはギブスの相律によって説明されるように、金属に水素が固溶した状態(以下水素固溶体とする)と水素化物が共存すると生じる。水素化物が生成しなければ、圧力プラトーが生成しないため水素吸蔵合金として効率的に使用することはできない。
【0020】
水素化物は例外なく脆いが、それは水素吸蔵合金には障害とはならず、むしろ利点である。例えば、水素吸蔵前の合金が脆くても何ら問題ない。何故ならば、水素吸蔵により合金は容易に自己粉砕し、水素と反応する比表面積の増大により水素吸蔵・放出速度が大になり、水素吸蔵合金として好都合だからである。
【0021】
また、水素吸蔵合金は粉末状で用い、板状または膜状で使用されることはない。使用温度が上昇、または水素圧力が低下すると水素化物生成が困難になり、水素吸蔵合金としての特性が低下するので、室温〜150℃での温度かつ0.5MPa以上の水素下での使用が求められている。
【0022】
一方、水素透過合金は、水素分子(H)が金属表面で水素原子(H)に解離して金属中に進入して、吸蔵されるところまでは水素吸蔵合金と同じである。
【0023】
しかし、水素透過合金では不純物を含んだ水素を高圧側とし、金属膜を透過して精製された水素を低圧側として、合金の両側に圧力差、つまり水素の濃度勾配を生じさせ、それを水素透過の駆動力としている。合金の両面に圧力差をつけることが必須であるから、粉末状態での使用は不可能であり、板または膜として使用される。
【0024】
材料は水素を吸蔵すると一般に脆くなる性質がある。水素固溶体ではあまり脆くはならないが、水素化物が生成すると決定的に脆くなり、自己粉砕が生じる。そのため、水素透過合金では水素化物の生成を絶対に避けなければならない。また、温度が低下、または水素圧力が上昇すると水素化物の生成が容易になるため、水素透過合金は200℃(473K)以上での温度かつ0.5MPa以下の水素下で使用される。
【0025】
以上のように、両材料の合金設計の考え方は180度異なり、水素吸蔵合金を水素透過合金として使用することは不可能であり、またその逆も同様である。水素透過合金では水素吸蔵前に延性を示し、しかも水素吸蔵前に水素化物が生成しないようにしなければならない。
【0026】
一般に、水素透過材料は水素固溶体を形成する領域で使用され、そのような場合には、単位時間、単位面積当たりに合金膜を透過する水素量J(molH−2−1)と水素透過係数Φ(molH−1−1Pa−0.5)との間には次式で示す関係がある。
【0027】
(数1)
【0028】
J=Φ(P0.5−P0.5)/L
【0029】
上式中、P及びP(Pa)は、それぞれ上流側及び下流側の水素圧力であり、Lは水素透過合金膜の厚さ(m)である。
【0030】
水素透過量Jを増大させるには、水素透過係数Φの大きい合金を用いることの他に、薄い膜をより高い圧力差をつけて使用すればよい。そのため、合金膜の機械的性質が優れていることが不可欠である。何故ならば、如何に水素透過係数が大きい材料であろうと、水素脆化により破壊するなら水素透過合金膜として実現することはできないからである。純Pdより100倍以上水素透過係数が高い純Nbが水素透過合金膜として使用されない理由は、Nbの耐水素脆性が低いからである。現在、水素透過合金の最大の開発課題は、如何に水素脆化を抑制するかである。
【0031】
水素透過合金膜は、例えば、V,Nb,TaとTi、Zr、Ni、Coとの合金が適していることが知られている(例えば特許文献2参照)。この文献での合金設計指針は、水素透過性能の優れたV,Nb、Taに水素吸蔵能のあるTi,Zr,Hfと触媒作用のあるNi,Coから水素透過合金を作製しようとするものである。しかし、この文献には、水素透過性のみならず水素脆化については全く記述がない。また、このような指針に基いて合金を作製しても、水素脆化により合金は破壊するため、水素透過合金としては使用できない。
【0032】
また、同様の文献(特許文献3参照)にもNb系水素透過合金について記載されているが、その水素透過特性はPdのそれより低下している。これらの合金は、単一相を想定しているが、単一相に水素透過性と耐水素脆性という矛盾する特性を担わせることは困難である。これらの合金で水素脆化を抑制しようとすると、水素固溶量を低下せざるを得ず、水素透過性低下の原因となる。
【0033】
さらに、水素脆化を抑制するために、合金の構造をアモルファス化することが知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、アモルファス合金中における水素の拡散係数は一般的に結晶材料中のそれより低いため、高い水素透過性は得られない。また、アモルファス材料は温度を上昇させると結晶化するため、使用温度に制約が生じる。特に、水素透過用に作製されたアモルファス合金は、水素との結合力が高い元素を含むため、水素中では結晶化がより低温で起こる。
【0034】
このような問題を解決するために、合金の複相化が効果的であることが提案されている(例えば非特許文献1参照)。材料の諸特性は合金の組織に強く影響を受けるが、組織は合金組成に強く依存する。したがって、材料の特性について議論する場合は、合金組成、組織と特性の関係を明示しなければ意味がない。ところが、この文献では合金組成については特定されていない。また、合金組成、組織、特性の関係について何ら言及されておらず、実施不可能である。
【特許文献1】特開平8−215551号公報(段落0006)
【特許文献2】特開平11−276866号公報(段落0014)
【特許文献3】特開2000−42017号公報(段落0005、0009)
【特許文献4】特開2004−159503号公報(段落0006)
【非特許文献1】橋邦彦ら、「Co−Ti−Nb合金の水素透過特性」、日本金属学会概要、VOL133、P.427
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
このようなことから、合金組成、組織、水素透過性の関係について明らかにし、水素透過性と耐水素脆化性とを異なる相に担わせ、473K以上で使用可能な結晶質の複相水素透過合金の実現が要望されている。
【0036】
そこで、本発明は、水素透過性と耐水素脆化性とを有し、473K以上で使用可能な結晶質の複相水素透過合金および結晶質複相水素透過合金膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記課題は、本発明者らが、合金における水素透過性と耐水素脆化性との役割を、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複合、すなわち、複相合金により解決できることを見いだしたことにより解決できた。
【0038】
本発明の複相Co−Ti−Nb系結晶質複相水素透過合金、複相Ni−Zr−Nb系結晶質複相水素透過合金および複相Co−Zr−Nb系結晶質複相水素透過合金は、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複合相からなることを特徴とする。
【0039】
複相Co−Ti−Nb合金においては、Coを固溶したTiNb相(以下TiNb相と記す)とNbを固溶したCoTi相(以下CoTi相と記す)との共晶(CoTi+TiNb)構造、初相として生成する前記TiNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記CoTi相が前記共晶に囲まれている構造を有する。これにより、水素透過性と耐水素脆性を両立した水素透過合金の作製が可能になり、効率よく水素を透過することができる。
【0040】
前記Co−Ti−Nb系合金がCoTiNb(100−x−y)(ただし、20<x<50原子%、10<y<60原子%である)からなることを特徴とする。xが20原子%以下であると水素脆化が著しく、水素透過合金として適さない。また、xが50原子%以上であると水素透過係数が極めて小さくなるあるいは鋳造状態で脆性を示すため、水素透過合金として適さない。一方、yが上記範囲を外れると鋳造状態で脆性を示すため水素透過合金として使用することはできない。
【0041】
また、Ni−Zr−Nb合金においては、Niを固溶したZrNb相(以下ZrNb相と記す)とNbを固溶したNiZr相(以下NiZr相と記す)との共晶(NiZr+ZrNb)構造、初相として生成する前記ZrNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記NiZr相が前記共晶に囲まれている構造を有する。これにより、水素透過性と耐水素脆性を両立した水素透過合金の作製が可能になり、効率よく水素を透過することができる。
【0042】
前記Ni−Zr−Nb系合金がNiZrNb(100−x−y)(ただし、20<x<55原子%、20<y<55原子%である)からなることを特徴とする。xおよびyが上記範囲を外れると、鋳造状態で脆性を示す、あるいは水素脆化が顕著になるため水素透過合金として使用することはできない。好ましくは、Ni−Zr−Nb3元状態図上で、Ni45Zr55、Ni55Zr45、Ni30Zr20Nb50およびNi20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)に囲まれた領域内の合金である。
【0043】
さらに、Co−Zr−Nb合金においては、前記複合相が、Coを固溶したZrNb相(以下ZrNb相と記す)とNbを固溶したCoZr相(以下CoZr相と記す)との共晶(CoZr+ZrNb)構造、初相として生成する前記ZrNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記CoZr相が前記共晶に囲まれている構造を有する。これにより、水素透過性と耐水素脆性を両立した水素透過合金の作製が可能になり、効率よく水素を透過することができる。
【0044】
前記Co−Zr−Nb系合金がCoZrNb(100−x−y)(ただし、20<x<55原子%、15<y<50原子%である)からなることを特徴とする。xおよびyが上記範囲を外れると、鋳造状態で脆性を示す、あるいは水素脆化が顕著になるため水素透過合金として使用することはできない。好ましくは、Co−Zr−Nb3元状態図上で、Co40Zr50Nb10、Co55Zr35Nb10、Co35Zr15Nb50およびCo20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)に囲まれた領域内の合金である。
【0045】
本発明の前記合金から作製された金属膜(合金膜)は、その厚さが0.01〜3mmであることを特徴とする。厚さが3mmを超えると、水素透過束(量)が小さくなり、水素透過効率が悪くなる。また、厚さが0.01mm未満であると、機械的強度が弱くなり、実用的でなくなる。
【0046】
前記金属膜の表面の被処理原料を流す側と精製水素を取り出す側との両側にさらにPd膜又はPd合金膜が形成され、このPd膜又はPd合金膜の厚さが50〜400nmであることを特徴とする。このように合金材を挟んで、被処理原料ガス側(上流、高圧側)と精製水素側(下流、低圧水素側)との両側に所定の厚さのPd膜又はPd合金膜を形成すれば、当該合金膜の酸化、窒化等を防止でき、また水素の解離と再結合が容易に行われ得る。この範囲を外れると、薄い場合にはPd膜またはPd合金膜の剥離が生じ、厚い場合には不経済になる。
【発明の効果】
【0047】
本究明によれば、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複相合金、例えば特定の組成を有するCo−Ti−Nb系複相合金、Ni−Zr−Nb系複相合金およびCo−Zr−Nb系複相合金を用いることにより、473K以上で優れた水素透過性と耐水素脆化性とを両立して達成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0049】
本発明者らは、多数の金属の3元系状態図について種々検討した結果、Co−Ti−Nb系、Ni−Zr−Nb系およびCo−Zr−Nb系合金が複相合金となることから水素透過用金属膜として有用である可能性を見いだし、水素透過実験により確かめた。
【0050】
本発明の実施の形態によれば、水素透過金属膜としてCo−Ti−Nb系合金からなる膜を用いるものであり、この金属膜は、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複合相を有する複相合金からなる。
【0051】
すなわち、Co−Ti−Nb系合金材の組成をCoTiNb(100−x−y)(ただし、20<x<50原子%、10<y<60原子%である)とすることにより、CoTi相とTiNb相との共晶(CoTi+TiNb)からなる複相合金材、この共晶と初相TiNbとからなる複相合金材或いはこの共晶と初晶CoTiとからなる複相合金材を提供することができ、この複相合金材の例えば鋳造合金材から金属膜を提供できる。
【0052】
この複相合金材は、水素透過性と耐水素脆性との両特性に優れており、水素透過のための金属膜を構成するのに適している。この複相合金の水素透過係数は組成により異なるが、現在水素精製用金属膜として実用化しているPd合金膜と同等以上の水素透過性を示す。
【0053】
本発明はまた、水素透過金属膜としてNi−Zr−Nb系合金からなる膜を用いるものであり、この金属膜は、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複合相を有する複相合金からなる。
【0054】
すなわち、Ni−Zr−Nb系合金材の組成をNiZrNb(100−x−y)(ただし、20<x<55原子%、20<y<55原子%である)、好ましくは、Ni−Zr−Nb3元状態図上で、Ni45Zr55、Ni55Zr45、Ni30Zr20Nb50およびNi20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)に囲まれた領域内の合金組成とすることにより、NiZr相とZrNb相との共晶(NiZr+ZrNb)からなる複相合金材、この共晶と初相ZrNbとからなる複相合金材或いはこの共晶と初晶NiZrとからなる複相合金材を提供することができ、この複相合金材の例えば鋳造合金材から金属膜を提供できる。
【0055】
この複相合金材は、水素透過性と耐水素脆性との両特性に優れており、水素透過のための金属膜を構成するのに適している。この複相合金の水素透過係数は組成により異なるが、現在水素精製用金属膜として実用化しているPd合金膜以上の水素透過性を示す。
【0056】
さらに本発明は、水素透過金属膜としてCo−Zr−Nb系合金からなる膜を用いるものであり、この金属膜は、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複合相を有する複相合金からなる。
【0057】
すなわち、Co−Zr−Nb系合金材の組成をCoZrNb(100−x−y)(ただし、20<x<55原子%、15<y<50原子%である)、好ましくは、Co−Zr−Nb3元状態図上で、Co40Zr50Nb10、Co55Zr35Nb10、Co35Zr15Nb50およびCo20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)に囲まれた領域内の合金組成とすることにより、CoZr相とZrNb相との共晶(CoZr+ZrNb)からなる複相合金材、この共晶と初相ZrNbとからなる複相合金材或いはこの共晶と初晶CoZrとからなる複相合金材を提供することができ、この複相合金材の例えば鋳造合金材から金属膜を提供できる。
【0058】
この複相合金材は、水素透過性と耐水素脆性との両特性に優れており、水素透過のための金属膜を構成するのに適している。この複相合金の水素透過係数は組成により異なるが、現在水素精製用金属膜として実用化しているPd合金膜と同等の水素透過性を示す。
【0059】
本発明の複相合金からなる金属膜は、Pd合金膜に比ベ1/4〜1/8の費用で作製可能のため低コストであり、また、将来懸念されるPdの資源枯渇の際の代替品として適用できる材料といえる。
【0060】
本発明の合金材の作製方法は特に限定されないが、原料金属を所定の組成になるように配合後、Ar等の不活性ガス雰囲気中のアーク溶解、Ar等の不活性ガス雰囲気中若しくは真空中の高周波誘導加熱溶解、Ar等の不活性ガス雰囲気中若しくは真空中の電気炉中溶解、真空中の電子ビーム溶解、又はレーザ加熱溶解等の溶解法等により作製される。
【0061】
または、上記溶解法により作製した合金を粉砕後に、Ar等の不活性ガス雰囲気中でメカニカルグラインディングを施した合金粉末、あるいはそれぞれの原料金属粉末を所定の組成になるように配合後に、Ar等の不活性ガス雰囲気中でメカニカルアロイングを施した粉末等を固化成型する粉末冶金法等により作製される。
【0062】
多数の組成についての実験結果から、Co−Ti−Nb系合金については図1に示す点A,B、C,D及びEで囲まれた破線内のものが有用である。Ni−Zr−Nb系合金については図2に示す点A,B、C及びDで囲まれた破線内のものが有用である。Co−Zr−Nb系合金については図3に示す点A,B、C及びDで囲まれた破線内のものが有用である。図1〜3の■印は鋳造状態で脆化することを示し、◆印は水素透過測定時に脆化するものを示し、また、破線領域外の△印は延性は優れているが水素透過係数が小さいものを示し、これらは全て水素透過用合金膜には適していない。
【0063】
水素透過用金属膜の厚さが薄いほど水素透過束(量)が大きくなり、水素透過効率が良くなる。しかし、金属膜の厚さが薄くなれば横械的強度が弱くなる。そのためこれら合金系の場合、合金膜の厚さは0.01〜3mmであることが好ましい。
【0064】
これら合金材を水素透過用金属膜として利用するためには、その合金材を挟んで、原料ガス側(上流、高圧水素側)と精製水素側(下流、低圧水素側)との両側にそれぞれ、水素の解離と再結合のために、さらにPd膜又はPd合金膜を形成することが必要である。その厚さは、一般に50〜400nm、好ましくは100〜200nmである。
【0065】
水素の解離と再結合のために、これら合金膜の両側にPd又はPd合金膜を形成する方法は特に制限されず、例えば、真空蒸着、スパックリング、イオンプレーティング、電解めっき、無電解めっき等のいずれで行ってもよい。
【0066】
以下、本究明の実施例及び比較例を説明する。
【0067】
(実施例1)
【0068】
CoTiNb(100−x−y)合金材の組成がx=35原子%、y=35原子%になるように、Co(純度99・9%)、Ti(純度99.5%)、Nb(99.9%)の所定量を配合した。この配合物をアーク溶解炉に装填し、真空引きを行った。真空引きは、油回転ポンプと油拡散ポンプを用い、1.3×10−3Pa以下まで行った。真空引き完了後、36mmHgのアルゴンガスを導入しアーク溶解を行った。均一な合金を作製するため、溶解後の鋳塊を反転し再溶解を行った。鋳塊の反転−再溶解は6回行った。このようにして得られた鋳塊から、放電加工により直径12mm、厚さ0.6mmの円盤を切り出し、測定試料とした。
【0069】
試料の両側を紙ヤスリ、バフ、次いで、直径0.5μmのαアルミナで研磨した後、試料の微小構造観察には走査型電子顕微鏡(SEM)、結晶構造解析にはX線回折装置(XRD)を用いた。化学組成はエネルギー分散型X線分析装置(EDS)により決定した。相の体積占有率は、パブリック・ドメインNIHイメージプログラムを使って、マッキントッシュ・コンピュータにより算出した。
【0070】
上記αアルミナで研磨した試料をアセトンで洗浄後、高周波マグネトロンスパッタ装置内にセットした。油回転ポンプ、クライオポンプを用いて、4×10−3Paまで真空引きを行った。その後、試料表面に付着した酸化皮膜等を除去するため、RF電源を用いて10分間の逆スパッタを行った。次いで、試料をスパッタ装置内で350℃に加熱し、DC電源を用いて5分間Pdのスパッタを行った。この条件で被覆されるPd膜の厚さは190nmである。
【0071】
水素透過測定は次のような流量法により実施した。先ず、Pd被覆した円盤試料をCuガスケットでシールした。次いで、円盤の両側を油拡散ポンプにより排気して3×10−3Pa以下の圧力にし、その後円盤を加熱して673Kにし、そのまま30分保持した。それから水素ガス(純度99.99999%)を下流側及び上流側に、それぞれ0.1及び0.2MPa導入し、その後水素透過測定を行った。上流側の水素圧力を0.2MPaから0.97MPaまで増大させ、また、温度は段階的に673Kから523Kまで50K間隔で下げた。一定温度に30分保持してから水素透過試験を開始した。水素透過束J(molH−2−1)はマスフローメータを用いて測定した。
【0072】
数式1に示されるように、J×L対(Pu0.5−Pd0.5)プロットの傾きから水素透過係数Φが求められる。
【0073】
上記したようにして得られたCo35Ti35Nb30合金材について、J×L対(Pu0.5−Pd0.5)プロットの傾きから計算した水素透過係数Φの温度依存性をアレニウスプロットの形で図4に示す。図4には比較のために、純Pdの結果も示してある。両試料とも温度の下降に従って水素透過係数が減少した。減少の仕方は、Co35Ti35Nb30合金材の方が純Pdよりも大きかった。しかし、673KでのCo35Ti35Nb30合金材の水素透過係数は、2.64×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、純Pdのそれの1.6倍程度であった。
【0074】
鋳造状態のCo35Ti35Nb30合金材のX線回折パターン解析から、この合金材は、B2型−CoTiとbcc−TiNbからなっていた。
【0075】
鋳造状態のCo35Ti35Nb30合金材のSEM写真を図5に示す。この合金は、共晶(CoTi+TiNb)から構成されているのが分かる。
【0076】
以上のように、共晶から構成される複相合金は、優れた水素透過係数、すなわち水素透過特性を示すことが分かり、水素透過用金属膜として使用できた。
【0077】
(実施例2)
【0078】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=30原子%、y=30原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo30Ti30Nb40合金材のSEM写真を図6に示す。この合金材は、主に初晶TiNbと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていることが分かる。白色相である初晶TiNbは、共晶に囲まれており、その体積比は21体積%であった。EDS分析の結果より、初晶TiNb相の組成はCoTi14Nb82であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は1.89×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0079】
(実施例3)
【0080】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=40原子%、y=40原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo40Ti40Nb20合金材は、初晶CoTiと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は1.20×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0081】
上記実施例1〜3から、Co−Ti−Nb系合金材における水素透過機構及び耐水素脆化機構は次のように推測される。Co30Ti30Nb40合金材での水素透過経路は共晶によって実現されていると考えられる。言い換えれば、共晶(CoTi+TiNb)が本複相合金の水素透過に主に寄与していると言える。そのため、共晶のみから構成されたCo35Ti35Nb30合金で最も高い水素透過係数が得られたと考えられる。また、水素を透過しないCoTi相も共晶が存在すると水素透過が可能となる。初晶TiNbと同一組成であるCoTi14Nb82合金は水素化されると脆化し、そして崩壊してしまうが、Co30Ti30Nb40合金材においては水素化された後でも初期の形状が保たれる。これは、共晶組織がTiNbの体積膨脹を抑え、その結果TiNbの水素脆化を阻止したためと考えられる。すなわち、共晶組織はCo30Ti30Nb40合金材における水素脆化の抑制の主な役割も果たしている。
【0082】
以上のことから、共晶は3元Co−Ti−Nb合金材において水素透過の役割を示すと共に、TiNb相の水素脆化を減じ、機械的特性を保持すると結論づけられる。
【0083】
(実施例4)
【0084】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=30原子%、y=40原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo30Ti40Nb30合金材は、初晶TiNbと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は2.54×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0085】
(実施例5)
【0086】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=30原子%、y=35原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo30Ti35Nb35合金材は、初晶TiNbと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は2.22×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0087】
(実施例6)
【0088】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=30原子%、y=20原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo30Ti20Nb50合金材は、初晶TiNbと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は1.54×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0089】
(実施例7)
【0090】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=40原子%、y=30原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo40Ti30Nb30合金材は、初晶CoTiと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は1.29×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0091】
(実施例8)
【0092】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=30原子%、y=50原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo30Ti50Nb20合金材は、初晶CoTiと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は2.14×10−8(molH(m−1−1Pa−0.5))であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0093】
(実施例9)
【0094】
Co−Ti−Nb系合金作製は、実施例1と同様にした。ただし、その組成は、x=40原子%、y=50原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo40Ti50Nb10合金材は、初晶CoTiと共晶(CoTi+TiNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は0.45×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0095】
以上の実施例1〜9までの、鋳造状態のCo−Ti−Nb系合金材の組成及びその673Kでの水素透過係数の測定結果をまとめたのが、図1に示す点A、B、C、D及びEで囲まれた破線領域内(すなわち、水素透過Co−Ti−Nb系合金形成領域内)に示した○印及びその下に記した数値である。この破線領域内の組成でCoTi相とTiNb相との共晶状態が現れ、初晶がCoTi相、TiNb相のいずれであっても良好な水素透過特性、耐水素脆性が得られる。
【0096】
(実施例10)
【0097】
NiZrNb(100−x−y)合金材は、Ni(純度99・9%)、Zr(純度99.5%)、Nb(99.9%)の所定量を配合後、実施例1と同様に合金試料を作製した。ただし、x=45原子%、y=45原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi45Zr45Nb10合金材のSEM写真を図7に示す。この合金材は、主に初晶NiZrと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されていることが分かる。暗灰色相である初晶NiZrは共晶に囲まれており、その体積比は16体積%であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は2.35×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0098】
(実施例11)
【0099】
Ni−Zr−Nb系合金作製は、実施例10と同様にした。ただし、x=40原子%、y=40原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi40Zr40Nb20合金材は、初晶ZrNbと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されており、その体積比は18体積%であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は2.73×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0100】
(実施例12)
【0101】
Ni−Zr−Nb系合金作製は、実施例10と同様にした。ただし、x=35原子%、y=35原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi35Zr35Nb30合金材は、初晶ZrNbと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されており、その体積比は27体積%であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は3.59×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0102】
(実施例13)
【0103】
Ni−Zr−Nb系合金作製は、実施例10と同様にした。ただし、x=30原子%、y=30原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi30Zr30Nb40合金材のSEM写真を図8に示す。この合金材は、初晶ZrNbと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されていることが分かり、その体積比は40体積%であった。図9にこの合金の水素透過係数Φの温度依存性をアレニウスプロットの形で示す。図9には比較のために、純Pdの結果も示してある。両試料とも温度の下降に従って水素透過係数が減少した。減少の仕方は、Ni30Zr30Nb40合金材の方が純Pdよりも大きかった。この合金材の673Kでの水素透過係数は4.64×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、純Pdのそれの2.9倍であった。
【0104】
(実施例14)
【0105】
Ni−Zr−Nb系合金作製は、実施例10と同様にした。ただし、x=29原子%、y=29原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi29Zr29Nb42合金材は、初晶ZrNbと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されており、その体積比は42体積%であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は5.01×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0106】
(実施例15)
【0107】
Ni−Zr−Nb系合金作製は、実施例10と同様にした。ただし、x=28原子%、y=28原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi28Zr28Nb44合金材は、初晶ZrNbと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されており、その体積比は45体積%であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は5.21×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0108】
(実施例16)
【0109】
Ni−Zr−Nb系合金作製は、実施例10と同様にした。ただし、x=27原子%、y=27原子%になるようにした。得られた鋳造状態のNi27Zr27Nb46合金材は、初晶ZrNbと共晶(NiZr+ZrNb)から構成されており、その体積比は46体積%であった。この合金材の673Kでの水素透過係数は6.06×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0110】
上記実施例11〜16から、Ni−Zr−Nb系合金材における水素透過機構は次のように推測される。合金中のNb濃度が増加すると、それに応じて初晶ZrNb相の体積比および水素透過係数も増加する。初晶ZrNb相の体積分率と水素透過係数の関係を見ると、図10に示すように、水素透過係数は初晶ZrNb相の体積率に比例することが分かる。したがって、初晶ZrNb相は合金の水素透過に寄与していると考えられる。
【0111】
実施例10のNi45Zr45Nb10合金ではNiZr相が初晶として生成していた。一方、実施例11のNi40Zr40Nb20合金ではZrNb相が初晶として生成していた。つまり、両合金では生成する初晶の種類が異なっている。したがって、これら2種の合金組成の間に、初晶が生成せず、共晶(NiZr+ZrNb)のみから構成される合金組成が存在するはずである。実施例10〜16の結果より、共晶(NiZr+ZrNb)合金も水素透過が可能と考えられる。図10の直線を初晶ZrNb体積分率が0になるように外挿すると、初晶ZrNb相が存在しない状態、つまり共晶(NiZr+ZrNb)でも1.0×10−8(molH−1−1Pa−0.5)程度の水素透過能を有すると推定できる。したがって、本合金系では、共晶も水素透過に寄与していると言える。
【0112】
また、NiZr単相であるNi50Zr50合金は鋳造状態で脆性を示すが、実施例10で示したNi45Zr45Nb10合金には共晶(NiZr+ZrNb)が形成され、水素透過が可能となった。また、実施例13で示したNi30Zr30Nb40合金の初晶ZrNbと同一の組成であるNiZrNb89合金は水素脆化により破壊するが、ZrNb相に共晶が形成されると、水素脆性が抑制され水素透過が可能となる。したがって、共晶(NiZr+ZrNb)は合金の耐水素脆性の抑制にも寄与していると考えられる。共晶が存在していれば、初晶がNiZr相でもZrNb相のいずれでも水素透過が可能になる。
【0113】
以上の実施例10〜16までの、鋳造状態のNi−Zr−Nb系合金材の組成及びその673Kでの水素透過係数の測定結果をまとめたのが、図2に示す点A、B、C及びDで囲まれた破線領域内(すなわち、水素透過Ni−Zr−Nb系合金形成領域内)に示した○印及びその下に記した数値である。この破線領域内の組成でNiZr相とZrNb相との共晶状態が現れ、初晶がNiZr相、ZrNb相のいずれであっても良好な水素透過特性、耐水素脆性が得られる。
【0114】
(実施例17)
【0115】
CoZrNb(100−x−y)合金材は、Co(純度99・9%)、Zr(純度99.5%)、Nb(99.9%)の所定量を配合後、実施例1と同様に合金試料を作製した。ただし、x=30原子%、y=30原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo30Zr30Nb40合金材のSEM写真を図11に示す。この合金材は、灰色相である初晶ZrNbが共晶(CoZr+ZrNb)に囲まれていることが分かる。この合金材の673Kでの水素透過係数は1.39×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0116】
(実施例18)
【0117】
Co−Zr−Nb系合金作製は、実施例17と同様にした。ただし、x=35原子%、y=35原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo35Zr35Nb30合金材は、初晶ZrNbと共晶(CoZr+ZrNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は1.03×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0118】
(実施例19)
【0119】
Co−Zr−Nb系合金作製は、実施例17と同様にした。ただし、x=40原子%、y=30原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo40Zr30Nb30合金材は、初晶ZrNbと共晶(CoZr+ZrNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は0.62×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0120】
(実施例20)
【0121】
Co−Zr−Nb系合金作製は、実施例17と同様にした。ただし、x=40原子%、y=35原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo40Zr35Nb25合金材は、共晶(CoZr+ZrNb)のみから構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は0.66×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0122】
(実施例21)
【0123】
Co−Zr−Nb系合金作製は、実施例17と同様にした。ただし、x=40原子%、y=40原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo40Zr40Nb20合金材は、初晶CoZrと共晶(CoZr+ZrNb)から構成されており、その体積比は46体積%であった。673Kでの水素透過係数は1.24×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0124】
(実施例22)
【0125】
Co−Zr−Nb系合金作製は、実施例17と同様にした。ただし、x=45原子%、y=40原子%になるようにした。得られた鋳造状態のCo45Zr40Nb15合金材は、初晶CoZrと共晶(CoZr+ZrNb)から構成されていた。この合金材の673Kでの水素透過係数は0.20×10−8(molH−1−1Pa−0.5)であり、水素透過用金属膜として使用可能であった。
【0126】
Co−Zr−Nb系においても、実施例20で示したように、共晶のみから構成されるCo40Zr35Nb25合金が水素を透過することから、共晶は水素透過に寄与していると言える。共晶が含まれていれば、実施例17で示したように、ZrNb相が初晶として生成していても、実施例21で示したようにCoZr相が初晶として生成していても、いずれの場合も水素透過が可能となる。ただし、合金中のNb量を多くし、ZrNb相の体積率が増大すると、水素透過係数が高くなる傾向が見られることから、本合金系においては、ZrNb相が共晶以上に水素透過に寄与していると考えられる。
【0127】
以上の実施例17〜22までの、鋳造状態のCo−Zr−Nb系合金材の組成及びその673Kでの水素透過係数の測定結果をまとめたのが、図3に示す点A、B、C及びDで囲まれた破線領域内(すなわち、水素透過Co−Zr−Nb系合金形成領域内)に示した○印及びその下に記した数値である。この破線領域内の組成でCoZr相とZrNb相との共晶状態が現れ、初晶がNiZr相、ZrNb相のいずれであっても良好な水素透過特性、耐水素脆性が得られる。
【0128】
(比較例1)
【0129】
Co−Ti−Nb合金の作製方法は、実施例1と同様にした。ただし、その組成が、x=30、y=60;x=50、y=50;x=50、y=40;x=50、y=30;x=50、y=20になるようにして、5種の試料を作製した。
【0130】
得られた各Co−Ti−Nb系合金材は、その組成が図1における水素透過用複相Co−Ti−Nb合金形成領域外(点A、B、C、D及びEで囲まれた領域外)であったが、水素透過測定の可能な試料であった。この5種の試料は、図1の同領域外に△印で示してある。これら全ての試料の673Kでの水素透過係数は10−10(molH−1−1Pa−0.5)程度で小さく、水素透過用金属膜には適していなかった。
【0131】
(比較例2)
【0132】
Co−Ti−Nb合金の作製方法は、実施例1と同様にした。ただし、その組成が、x=20、y=60;x=20、y=50;x=20、y=40;x=20、y=30になるようにして、4種の試料を作製した。これら4種の試料は、図1において◆印で示してある。
【0133】
得られた鋳造状態の4種のCo−Ti−Nb合金材のうち、Co20Ti60Nb30合金は、TiNb相、CoTi相からなっているが、水素吸蔵により脆化が生じた例である。TiNb量は約40体積%であり、共晶(CoTi+TiNb)の量は制限されている。TiNb相は、多量の水素を吸蔵すると脆化するため、耐水素脆化性に乏しくなる。したがって、これらの合金材は、水素透過用金属膜としては使用できなかった。
【0134】
以上から、鋳造状態の脆性及び水素吸蔵後の脆性を抑止するためには、初晶TiNbの量を少なくする必要がある。
【0135】
(比較例3)
【0136】
Co−Ti−Nb合金の作製方法は、実施例1と同様にした。ただし、その組成が、x=30、y=70;x=40、y=60;x=60、y=40;x=70、y=30;x=60、y=30;x=60、y=20になるようにして、6種の試料を作製した。これら6種の試料は、図1において■印で示してある。
【0137】
得られた鋳造状態の7種のCo−Ti−Nb合金材のうち、Co60Ti20Nb20合金は初晶CoNbおよび共晶(CoNb+CoTi)からなっており、鋳造状態で脆性であった例である。実施例2と同じ初晶+共晶であっても脆いCoNbが多量に含まれているため、鋳造状態で脆く、水素透過用金属膜としては使用できなかった。他6種のCo−Ti−Nb系合金も、脆いCoNb、CoTi或いはCoNb金属間化合物を多く含み、鋳造状態で脆性であるため、水素透過測定が不可能のものであり、水素精製用金属膜としては使用できなかった。
【0138】
(比較例4)
【0139】
Ni−Zr−Nb合金の作製方法は、実施例10と同様にした。ただし、その組成が、x=20、y=30;x=25、y=25;x=30、y=20;x=40、y=30になるようにして、4種の試料を作製した。これら4種の試料は、図2において◆印で示してある。
【0140】
得られた鋳造状態の4種のNi−Zr−Nb合金材は、水素吸蔵により脆化が生じた例である。これらの合金材は、水素透過合金膜としては使用できなかった。特に、Ni25Zr25Nb50合金中の初晶ZrNbの体積率は50体積%であり、共晶(NiZr+ZrNb)の量は制限されている。ZrNb相は、多量の水素を吸蔵すると脆化するため、耐水素脆化性に乏しくなる。以上から、水素吸蔵後の脆性を抑止するためには、初晶ZrNbの量を少なくする必要がある。
【0141】
(比較例5)
【0142】
Ni−Zr−Nb合金の作製方法は、実施例10と同様にした。ただし、その組成が、x=20、y=40;x=30、y=50;x=30、y=40;x=40、y=60;x=40、y=50;x=40、y=20;x=50、y=50;x=50、y=40;x=50、y=30;x=50、y=20になるようにして、10種の試料を作製した。これら10種の試料は、図2において■印で示してある。
【0143】
得られた鋳造状態の10種のNi−Zr−Nb合金材は、鋳造状態で脆性を示す合金である。これらの合金はNiZr相、ZrNb相以外に、脆い金属間化合物が多量に生成していたため、水素透過試験が不可能であり、水素透過合金としては使用できなかった。
【0144】
(比較例6)
【0145】
Co−Zr−Nb合金の作製方法は、実施例17と同様にした。ただし、その組成が、x=50、y=50;x=50、y=40になるようにして、2種の試料を作製した。
【0146】
得られた各Co−Zr−Nb系合金材は、その組成が図3における水素精製用複相Co−Zr−Nb合金形成領域外(点A、B、C及びDで囲まれた領域外)であったが、水素透過測定の可能な試料であった。この2種の試料は、図3の同領域外に△印で示してある。これら全ての試料の673Kでの水素透過係数は10−10(molH−1−1Pa−0.5)程度で小さく、水素透過用金属膜には適していなかった。
【0147】
(比較例7)
【0148】
Co−Zr−Nb合金の作製方法は、実施例17と同様にした。ただし、その組成が、x=20、y=30;x=30、y=40;x=30、y=20;x=40、y=50になるようにして、4種の試料を作製した。これら4種の試料は、図3において◆印で示してある。
【0149】
得られた鋳造状態の4種のCo−Zr−Nb合金材は、水素吸蔵により脆化が生じたものである。これらの合金材は、水素透過用金属膜としては使用できなかった。
【0150】
(比較例8)
【0151】
Co−Zr−Nb合金の作製方法は、実施例1と同様にした。ただし、その組成が、x=20、y=50;x=20、y=40;x=30、y=60;x=30、y=50;x=40、y=60;x=40、y=20;x=50、y=30;x=50、y=20;x=60、y=40;x=60、y=30;x=60、y=20になるようにして、11種の試料を作製した。これら11種の試料は、図3において■印で示してある。
【0152】
得られた鋳造状態の11種のCo−Zr−Nb合金材は鋳造状態で脆性であったものである。これらの合金はCoZr相、ZrNb相以外に、脆い金属間化合物が多量に生成していたため、水素透過試験が不可能であり、水素透過合金としては使用できなかった。
【0153】
以上より、Co−Ti−Nb、Ni−Zr−NbおよびCo−Zr−Nbのいずれの系においても、共晶のみから構成される合金、あるいは初晶と共晶が共存する合金から、水素透過特性と耐水素脆性を兼ね備えた水素透過合金を作製することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明によれば、水素透過性を担う相と耐水素脆化性を担う相との複合合金である特定の組成を有するCo−Ti−Nb系、Ni−Zr−Nb系およびCo−Zr−Nb系結晶質複相合金を用いることにより、優れた水素透過性と耐水素脆化性とを両立して達成することができる。そのため、極めて高い効率で水素の透過を行うことができので、得られた高純度水素を、燃料電池用の供給燃料や、半導体、光ファイバ、薬品等の製造分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の水素透過用複相Co−Ti−Nb系合金作製のための組成領域を示す3元状態図であり、点A、B、C、D及びEで囲まれた破線領域内の○印の下に記した数値は実施例1〜9で得られた合金材の水素透過係数を表す。
【図2】本発明の水素透過用複相Ni−Zr−Nb系合金作製のための組成領域を示す3元状態図であり、点A、B、C及びDで囲まれた破線領域内の○印の下に記した数値は実施例10〜16で得られた合金材の水素透過係数を表す。
【図3】本発明の水素透過用複相Co−Zr−Nb系合金作製のための組成領域を示す3元状態図であり、点A、B、C及びDで囲まれた破線領域内の○印の下に記した数値は実施例17〜22で得られた合金材の水素透過係数を表す。
【図4】実施例1における鋳造状態のCo35Ti35Nb30合金材及び比較用純Pdの水素透過係数の温度依存性を示すグラフである。
【図5】実施例1における鋳造状態のCo35Ti35Nb30合金材のSEM写真である。
【図6】実施例2における鋳造状態のCo30Ti30Nb40合金材のSEM写真である。
【図7】実施例10における鋳造状態のNi45Zr45Nb10合金材のSEM写真である。
【図8】実施例13における鋳造状態のNi30Zr30Nb40合金材のSEM写真である。
【図9】実施例13における鋳造状態のNi30Zr30Nb40合金材及び比較用純Pdの水素透過係数の温度依存性を示すグラフである。
【図10】実施例11〜16で得られたNi−Zr−Nb合金の初晶ZrNb相の体積分率と水素透過性の関係を示すグラフである。
【図11】実施例17における鋳造状態のCo30Zr30Nb40合金材のSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したCoTi相とCoを固溶したTiNb相との共晶(CoTi+TiNb)構造、初相として生成する前記TiNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記CoTi相が前記共晶に囲まれている構造を有し、CoTiNb(100−x−y)(ただし、20<x<50原子%、10<y<60原子%である)なる組成を有することを特徴とする複相Co−Ti−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項2】
複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したNiZr相とNiを固溶したZrNb相との共晶(NiZr+ZrNb)構造、初相として生成する前記ZrNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記NiZr相が前記共晶に囲まれている構造を有し、NiZrNb(100−x−y)(ただし、20<x<55原子%、20<y<55原子%である)なる組成を有することを特徴とする複相Ni−Zr−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項3】
請求項2記載の結晶質複相水素透過合金において、Ni−Zr−Nb3元状態図上で、Ni45Zr55、Ni55Zr45、Ni30Zr20Nb50およびNi20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)に囲まれた領域内の合金組成を有することを特徴とする複相Ni−Zr−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項4】
複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したCoZr相とCoを固溶したZrNb相との共晶(CoZr+ZrNb)構造、初相として生成する前記ZrNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初相として生成する前記CoZr相が前記共晶に囲まれている構造を有し、CoZrNb(100−x−y)(ただし、20<x<55原子%、15<y<50原子%である)なる組成を有することを特徴とする複相Co−Zr−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項5】
請求項4記載の結晶質複相水素透過合金において、Co−Zr−Nb3元状態図上で、Co40Zr50Nb10、Co55Zr35Nb10、Co35Zr15Nb50およびCo20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)に囲まれた領域内の合金組成を有することを特徴とする複相Co−Zr−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の結晶質複相水素透過合金を用いた合金膜であって、当該合金膜は厚さが0.01〜3mmであることを特徴とする結晶質複相水素透過合金膜。
【請求項7】
請求項6記載の結晶質複相水素透過合金膜において、当該合金膜の表面の水素を流す側と水素を取り出す側との両面にPd膜またはPd合金膜が形成され、かつ当該Pd膜またはPd合金膜の厚さが50〜400nmの範囲内であることを特徴とする結晶質複相水素透過合金膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したCoTi相とCoを固溶したTiNb相との共晶(CoTi+TiNb)構造、初晶として生成する前記TiNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初晶として生成する前記CoTi相が前記共晶に囲まれている構造を有し、Co−Ti−Nb3元状態図上で、Co50Ti50,Co50Ti10Nb40、Co20Ti10Nb70,Co20Ti60Nb20およびCo40Ti60(ただし、合金組成はすべて原子%)で囲まれた領域内の合金組成を有することを特徴とする複相Co−Ti−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項2】
複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したNiZr相とNiを固溶したZrNb相との共晶(NiZr+ZrNb)構造、初晶として生成する前記ZrNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初晶として生成する前記NiZr相が前記共晶に囲まれている構造を有し、Ni−Zr−Nb3元状態図上で、Ni45Zr55,Ni55Zr45,Ni30Zr20Nb50およびNi20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)で囲まれた領域内の合金組成を有することを特徴とする複相Ni−Zr−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項3】
複合相からなり、前記複合相が、Nbを固溶したCoZr相とCoを固溶したZrNb相との共晶(CoZr+ZrNb)構造、初晶として生成する前記ZrNb相が前記共晶に囲まれている構造、或いは初晶として生成する前記CoZr相が前記共晶に囲まれている構造を有し、Co−Zr−Nb3元状態図上で、Co40Zr50Nb10、Co55Zr35Nb10、Co35Zr15Nb50およびCo20Zr30Nb50(ただし、合金組成はすべて原子%)で囲まれた領域内の合金組成を有することを特徴とする複相Co−Zr−Nb系の結晶質複相水素透過合金。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の結晶質複相水素透過合金を用いた合金膜であって、当該合金膜は厚さが0.01〜3mmであることを特徴とする結晶質複相水素透過合金膜。
【請求項5】
請求項記載の結晶質複相水素透過合金膜において、当該合金膜の表面の水素を流す側と取り出す側との両面にPd膜またはPd合金膜が形成され、かつ当該Pd膜またはPd合金膜の厚さが50〜400nmの範囲内であることを特徴とする結晶質複相水素透過合金膜。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−118035(P2006−118035A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85924(P2005−85924)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【特許番号】特許第3749952号(P3749952)
【特許公報発行日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年9月30日社団法人日本金属学会発行の「日本金属学会講演概要集(2004年秋期大会)」444頁に発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マッキントッシュ
【出願人】(504238806)国立大学法人北見工業大学 (80)
【Fターム(参考)】