説明

結腸薬物送達製剤

【課題】結腸に薬物を送達する遅延放出性薬物製剤の提供。
【解決手段】デンプン;アミロース;アミロペクチン;キトサン;コンドロイチン硫酸;シクロデキストリン;デキストラン;プルラン;カラギーナン;スクレログルカン;キチン;カードラン及びレバンから選択される第1の材料と、pH閾値が約pH5以上である第2の材料との混合物を含む、遅延放出性コーティングを使用して、コアからの薬物の放出を、腸、特に結腸に標的化した製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物を含むコアと遅延放出性コーティングを有する遅延放出性製剤に関する
。特に、結腸に送達する薬物用の遅延放出性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
結腸への薬物の標的化は、局所療法又は全身治療を達成する手段として利用することが
できる。結腸は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、便秘、下痢、感染症、及び癌腫を含む
、多くの疾患状態になりやすい。かかる病態において、結腸を標的とする薬物は、その治
療の治療有効性を最大限に発揮するであろう。結腸は、薬物が体循環へ移行する入口とし
ても利用することができる。プロドラッグや製剤化剤形などの各種製剤が結腸薬物送達用
に開発されてきており、一度証明されたコンセプトが他の薬物に適用することができるこ
とから、後者がより普及している。
【0003】
結腸薬物送達剤形の開発において、常在結腸細菌の多数の酵素に対する基質を構成する
天然の複合多糖をキャリア材料として使用することを通じて、細菌集団が結腸内にはより
多いことも活用されてきた。これらの材料は、上流の消化管領域をそのまま通過すること
ができるが、結腸へ入ると消化される。今のところ検討されたものとしては、非晶質のア
ミロース、ペクチン、キトサン及びガラクトマンナンが挙げられる。
【0004】
非晶質アミロースは、上流の消化管の酵素による消化に耐性を示す。しかしながら、結
腸に常在する400細菌種の過半数によって産生されるα−アミラーゼ酵素によって、結
腸内で発酵する。
【0005】
結腸薬物送達に対するこの細菌酵素アプローチにおいて多糖を使用する1つの大きな魅
力は、使用する材料が食品用であり、そのため、ヒトでの使用が安全なことである。それ
らは通常、コーティングとして塗布されるか、又はマトリックスキャリアとしてコア材料
に組み込まれ、結腸に入って結腸細菌酵素によって消化されることにより、薬物負荷の放
出に至る。アミロースコーティングを採用するそのような製剤の例が、欧州特許EP−A
−0343993(BTG International Limited)に開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの天然材料に伴う大きな制約は、それらが水性媒体中で過度に膨
潤する結果、上流の消化管領域で薬物負荷が浸出することである。この問題を回避するた
め、それらは不透性材料との混合物(例えば、水に不溶なポリマーであるエチルセルロー
スと混合した非晶質アミロース)で利用されている。しかしながら、かかる修飾物/混合
物に伴う問題は、上流の消化管領域における不適切な薬物放出を防ぐだけでなく、同時に
酵素を多糖基質に接近可能にし、結腸における適正な速度での薬物放出も保証する、疎水
性と親水性との間の適切なバランスを見出すことにある。
【0007】
アミロースの過度な膨潤という問題を解決する試みが欧州特許EP−A−050203
2(British Technology Group Ltd)に開示されている。これは、フィルム形成セルロー
ス又はアクリレートポリマー材料、及び非晶質アミロースを含む外部コーティングを、活
性化合物を含む錠剤に用いている。一実施形態は、最初にアミロースの内部コーティング
、次にセルロース又はアクリレートポリマー材料の別個の外部コーティングでコーティン
グした活性化合物を有する。別の実施形態は、アミロースと、セルロース又はアクリレー
トポリマーとの混合材である外部コーティングを有する。この参考文献から、in vivoで
のセルロース材料の分解は概してpHに依存しないことが明らかであり、このことがアク
リレート材料にも当てはまることが好ましい。この参考文献に開示されている全ての例は
、pH非依存性のセルロース又はアクリレートポリマーである。
【0008】
Journal of Controlled Releaseの論文(Milojevic他;38;(1996);75-84)には、
アミロースの膨潤を制御するために、様々な不溶性ポリマーをアミロースコーティングに
組み込むことに関する調査結果が報告されている。或る範囲のセルロース及びアクリレー
ト系コポリマーが評価され、市販のエチルセルロース(Ethocel(登録商標))が
最も効果的に膨潤を制御することが見出されている。調査されている別の単層コーティン
グは、アミロースと、2つのpH非依存性アクリルポリマー、即ち、Eudragit(
登録商標)RS及びRLとの混合物であるが、このコーティングはかかる有効な結果を与
えることが見出されていない。唯一、Eudragit(登録商標)L100のpH依存
性の可溶性コーティングが、アミロースの内部コーティングで、次にEudragit(
登録商標)L100の外部コーティングでコーティングされた生体活性物を含む多層系に
のみ用いられている。
【0009】
さらなるアミロース系コーティング組成物が国際公開WO−A−99/21536(BT
G International Limited)に開示されている。コーティング組成物は、アミロースと、
水に不溶なセルロース又はアクリレートポリマー材料から形成される、水に不溶なフィル
ム形成ポリマーとの混合物を含む。欧州特許EP−A−0502032と同様に、in viv
oでのセルロース材料の分解が概してpHに依存しないことが明らかになり、このことが
アクリレート材料にも当てはまることが好ましい。このPCT明細書は誤植を含んでいる
と思われる。というのも、後に続けて、アクリレート材料の好ましい形態は「その分解が
pHに依存しないEudragit L」であると記載しているからである。これは、そ
の分解が本当にpHに依存しない「Eudragit(登録商標)RL」を指すものと考
えられる。このポリマーの分解はpH依存性であるため、Eudragit(登録商標)
Lを指すことは意図し得ない。
【0010】
国際公開WO−A−99/25325(BTG International Limited)にも、アミロー
スと(好ましくは)エチルセルロース又は代替的にはその分解がpHに依存しないアクリ
レートポリマーを含む遅延放出性コーティングが開示されている。コーティング組成物も
また、可塑剤も含み、この方法には、60℃を超える温度で不安定な活性材料を含む剤形
の調製における特別な用途が見出されるが、それは60℃よりも低温で組成物が形成され
るからである。この参考文献も、上記Eudragit(登録商標)Lに関する誤植を含
んでいることに留意されたい。
【0011】
本発明者らは、上記で説明したBTGの参考文献に開示されている製剤が、デンプンでは
なくアミロースをコーティングに使用し、そして、製剤からの放出が、一部の消化管に沿
って持続することに注目している。
【0012】
国際公開WO−A−03/068196(Alizyme Therapeutics Ltd)には、ガラス状
アミロース、エチルセルロース及びセバシン酸ジブチルを含む、生体活性メタスルホ安息
香酸プレドニゾロンナトリウムに対する特定の遅延放出性コーティングが開示されている

【0013】
遅延放出性コーティングにおける非晶質アミロース以外の多糖の使用が英国特許GB−
A−2367002(British Sugar PLC)に開示されている。例としては、グァーガム
、カラヤガム、トラガカントガム及びキサンタンガムが挙げられる。これらの多糖の微粒
子は、例えば、セルロース誘導体、アクリルポリマー又はリグニンから形成される、水に
不溶なフィルム形成ポリマーマトリクス中に分散する。
【0014】
国際公開WO−A−01/76562(Tampereen Patenttitoimisto Oy)には、薬物
、及びキトサン(キチンから得られる多糖)をその放出制御のために含有する経口医薬製
剤が開示されている。薬物及びキトサンは、均質な機械的粉末混合物に混合され、これは
造粒され、その後、所望により錠剤化される。造粒は、腸溶性ポリマー(メタクリル酸の
コポリマー等)を用いて実施してもよく、又は、顆粒には、多孔性の腸溶性コーティング
が設けられてもよい。
【0015】
国際公開WO−A−2004/052339(Salvona LLC)には、pH感受性マイク
ロスフェアにカプセル化された薬物を含む固形疎水性ナノスフェアの易流動性粉末である
、pH依存性薬物放出系が開示されている。ナノスフェアは、ワックス材料と組み合わせ
た薬物から形成され、pH感受性マイクロスフェアは、多糖等の水感受性材料と組み合わ
せたpH感受性ポリマー(Eudragit(登録商標)ポリマー等)から形成される。
しかしながら、本出願人は、この参考文献に包含される非常に小さな粒子径が、実際には
、生体活性コアの放出を胃又は十二指腸を越えて遅延させていないと考えている。
【0016】
European Journal of Pharmaceutical Sciencesの論文(Akhgari他;28;March 2006;
307-314)には、とりわけイヌリンの膨潤を制御するための、或る特定のポリメタクリレ
ートポリマーの使用に関する調査結果が報告されている。試験されたポリメタクリレート
ポリマーは、Eudragit(登録商標)RS;Eudragit(登録商標)RL;
Eudragit(登録商標)RSとEudragit(登録商標)RLとの1:1混合
物;Eudragit(登録商標)FS;及びEudragit(登録商標)RSとEu
dragit(登録商標)Sとの1:1混合物であった。結果から、イヌリンと共に、徐
放性ポリメタクリレート(Eudragit(登録商標)RS及びEudragit(登
録商標)RL;pH非感受性ポリマー)を含むポリマー組成物が、結腸放出用コーティン
グとしての使用に対する適性を示唆する膨潤プロファイルを示すことが示唆された。しか
しながら、他の結果から、Eudragit(登録商標)FS、又はEudragit(
登録商標)RSとEudragit(登録商標)S(pH依存性ポリマー)との1:1混
合物のいずれかと共に、イヌリンを含むポリマー組成物は、望ましくない膨潤プロファイ
ルのために、かかる使用に好適でないことが示唆された。
【0017】
米国特許US−A−5422121(Roehm GmbH)には、結腸で分解する多糖を含む外
殻材料内に入れた少なくとも1つの活性成分を含有する経口剤形が開示されている。外殻
材料は、多糖との混合材でフィルム形成ポリマーを含有する。多糖とフィルム形成ポリマ
ーとの重量比は1:2〜5:1、好ましくは1:1〜4:1である。好適な多糖の例とし
ては、グリコシド酵素で分解可能な多糖が挙げられる。相当量、好ましくは約20重量%
〜100重量%のガラクトース及びマンノース単位を含有する多糖が特に好適であり、ロ
ーカストビーンガム及びグァーガムが好ましい。好ましいフィルム形成ポリマーとしては
、pHに依存しない(消化管全体を通して不溶)アクリレートポリマー、及びpHに依存
する(胃液には不溶であるが、pH5.5以上の腸液には可溶)アクリレートポリマーが
挙げられる。この参考文献は、グァーガムと、Eudragit RL 30 D(4:
1の比率で)、Eudragit(登録商標)L 30 D(3:1の比率で)又はEu
dragit(登録商標)S 100(2.5:1の比率で)とのいずれかとの混合物の
、錠剤コーティングとしての使用を例示している。
【0018】
European Journal of Pharmaceutical Sciencesの論文(Krogars他;17;(2002);23
-30)には、薬物(テオフィリン)を含有する錠剤用のフィルムコーティングとして、H
ylon(商標)VII(アミロースが豊富な(約70重量%)トウモロコシデンプン;
National Starch、ドイツ)の使用が開示されている。酸性媒体における錠剤の溶解は迅
速であり、薬物の75%超は15分以内に溶解した。コーティングは、第2のフィルム形
成ポリマーを含有しなかった。
【発明の開示】
【0019】
本発明の第1の態様に従って、コア及び当該コアに対するコーティングを有する粒子を
含む、遅延放出性薬物製剤が提供される。なお、コアは薬物を含み、コーティングは、結
腸細菌による攻撃を受け易い第1の材料と、約pH5以上の溶解性閾値を有する第2の材
料との混合物を含み、ここで、第1の材料は、デンプン;アミロース;アミロペクチン;
キトサン;コンドロイチン硫酸;シクロデキストリン;デキストラン;プルラン;カラギ
ーナン;スクレログルカン;キチン;カードラン及びレバンから成る群より選択される多
糖を含む。
【0020】
第1の材料は多糖を含み、好ましくは複数のグルコース単位を含有する。好ましくは、
多糖は、デンプン、アミロース又はアミロペクチンであり、最も好ましくはデンプンであ
る。
【0021】
驚くべきことに、結腸細菌による攻撃を受け易い材料の、例えば、アミロースの不都合
な膨潤を、pH5以上で可溶なpH依存性材料によって制御することができることを発見
した。さらに、本発明者らは、思いがけなく、アミロペクチンを大きな比率で含有するコ
ーティングも、経口投与製剤からの薬物の結腸放出を提供するように機能することを発見
した。
【0022】
本発明のさらなる技術的利点は、(例えば、国際公開WO−A−01/76562に開
示されている製剤と比較して)薬物が長期間、実質的に全く放出されず(もちろん、コー
ティングは溶解するが)、その後、薬物は比較的速やかに放出されることである。これは
、そこからの薬物放出プロファイルが、遅延した後に拍動的であるのではなくむしろ開始
から段階的である均質錠剤とは対照的である。
【0023】
当業者は、普通の一般常識を一部含む技法を使用して、材料が結腸細菌による攻撃を受
け易いかどうかを判定することが可能である。例えば、既定量の所定の材料を、結腸に見
出される細菌由来の酵素を含有するアッセイにかけることができ、経時的な材料の重量変
化を測定すればよい。
【0024】
多糖は、好ましくはデンプンである。デンプンは通常、穀類;豆類;及び塊茎等の自然
源から抽出される。本発明での使用に好適なデンプンは、典型的には食品用デンプンであ
り、米デンプン;小麦デンプン;コーン(又はトウモロコシ)デンプン;エンドウデンプ
ン;ジャガイモデンプン;サツマイモデンプン;タピオカデンプン;ソルガムデンプン;
サゴデンプン;及びクズウコンデンプンが挙げられる。トウモロコシデンプンの使用を以
下に例示する。
【0025】
デンプンは、実際には、2つの異なる多糖、即ち、アミロースとアミロペクチンとの混
合物である。異なるデンプンは、これら2つの多糖を異なる比率で有し得る。殆どの天然
の(未変性)トウモロコシデンプンは、約20重量%〜約30重量%のアミロースを有し
、残りは少なくとも実質的にアミロペクチンから構成される。本発明での使用に好適なデ
ンプンは、典型的には少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも10重量%又は15
重量%、好ましくは少なくとも35重量%のアミロースを有する。「高アミロース」デン
プンは、少なくとも50重量%のアミロースを有するデンプンである。特に好適なデンプ
ンは、約65重量%〜約75重量%、例えば、約70重量%のアミロースを有する。
【0026】
本発明での使用に好適なデンプンは、最大100%のアミロペクチン、より典型的には
約0.1重量%〜約99.9重量%のアミロペクチンを有し得る。「低アミロース」デンプ
ン、即ち、50重量%以下のアミロース及び少なくとも50重量%のアミロペクチン、例
えば、最大75重量%のアミロペクチン及びさらに最大99重量%ものアミロペクチンを
有するデンプンが好適である。デンプンは、例えば、未変性ワキシーコーンデンプンであ
ってもよい。これは、典型的には約100%のアミロペクチンを含む。「低アミロース」
デンプンが好適でないと予想されたのは、低アミロースデンプンが、典型的には小腸で膵
酵素によって分解されるからである。好ましいデンプンは、50重量%以下のアミロペク
チンを有する。特に好適なデンプンは、約25重量%〜約35重量%のアミロペクチン、
例えば、約30重量%のアミロペクチンを有する。
【0027】
当業者は、どんなデンプンであっても、アミロースとアミロペクチンとの相対比率を求
めることが可能である。例えば、近赤外(「NIR」)分光法を使用して、デンプンのア
ミロース及びアミロペクチン含量を、既知量のこれら2つの構成成分の、実験室で製造し
た混合物を使用してNIRによって得られる検量線を用いて求めることができる。さらに
、アミログルコシダーゼを使用して、デンプンをグルコースに加水分解することができる
。酵素によって触媒される一連のリン酸化反応及び酸化反応の結果、還元ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドリン酸塩(「NADPH」)が形成される。形成されたNADP
Hの量は、元々のグルコース含量と量論関係にある。この手順に好適な試験キットは入手
可能である(例えば、R-Biopharm GmbH、ドイツ)。使用することができる別の方法は、
コーティングを、細菌酵素、例えば、α−アミラーゼによる消化に付して、キャピラリカ
ラムを使用する気液クロマトグラフィで定量することができる短鎖脂肪酸(「SCFA」
)をつくることを包含する。
【0028】
好ましいデンプンは、ガラス状のアミロースを有するが、非晶状のアミロースも、本発
明に関して使用し得る。
【0029】
好ましいデンプンは、「既製の」デンプン、即ち、本発明との関連で使用前に加工を全
く必要としないデンプンである。特に好適な「高アミロース」デンプンの例としては、H
ylon(商標)VII(National Starch、ドイツ)又はEurylon(商標)7(R
oquette、フランス、レトレム)又はAmylogel 03003(Cargill、アメリカ
、ミネアポリス)が挙げられ、これら全てが、約70重量%のアミロースを有するトウモ
ロコシデンプンの例である。
【0030】
本発明は、pHに依存して溶解する第2の材料の使用を包含する。第2の材料は、その
pH未満では不溶であり、且つそれ以上では可溶なpHである「pH閾値」を有する。周
囲媒体のpHが第2の材料の溶解を引き起こす。したがって、第2の材料のいずれも(又
は本質的にいずれも)pH閾値未満では溶解しない。一旦周囲媒体のpHがpH閾値に達
する(又はそれを超える)と、第2の材料は可溶になる。「不溶」とは、第2の材料1g
が、所与のpHで溶解するのに10000ml超の溶媒(周囲媒体)を必要とすることを
意味する。「可溶」とは、本発明者らは、第2の材料1gが、所与のpHで溶解するのに
、10000ml未満、好ましくは5000ml未満、より好ましくは1000ml未満
、さらにより好ましくは100ml又は10ml未満の溶媒を必要とすることを意味する
。周囲媒体は、好ましくは胃液又は腸液等の消化管の媒体を意味する。代替的には、周囲
媒体は、in vitroでの消化管の媒体の等価物であり得る。
【0031】
胃液の正常pHは通常、1〜3の範囲である。第2の材料は、pH5未満で不溶であり
、約pH5以上で可溶であるので、胃液には通常不溶である。かかる材料は「腸溶性」材
料と称され得る。
【0032】
第2の材料は、pH5以上で、例えば、腸液に可溶である。腸液のpHは、十二指腸で
の約6から結腸での約7〜8まで徐々に上昇する。第2の材料は、好ましくはpH6.5
未満で不溶(且つ約pH6.5以上で可溶)であり、より好ましくはpH7未満で不溶(
且つ約pH7以上で可溶)である。
【0033】
材料が可溶になるpH閾値は、当業者には普通の一般常識の一部である、簡単な滴定技
法によって決定することができる。
【0034】
第2の材料は、典型的にはアクリレートポリマー、セルロースポリマー又はポリビニル
系ポリマー等のフィルム形成ポリマー材料である。好適なセルロースポリマーの例として
は、セルロースアセテートフタレート(「CAP」);セルロースアセテートトリメリテ
ート(「CAT」);及びヒドロプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートが挙
げられる。好適なポリビニル系ポリマーの例としては、ポリビニルアセテートフタレート
(「PVAP」)が挙げられる。
【0035】
第2の材料は、好ましくは(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸C1−4アルキル
エステルとのコポリマー、例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルとのコポ
リマーである。かかるポリマーは、ポリ(メタクリル酸/メチルメタクリレート)コポリ
マーとして知られている。かかるコポリマーの好適な例は通常、アニオン性であり、且つ
徐放性でないポリメタクリレートである。これらのコポリマー中でメチルエステル基に対
するカルボン酸基の比(「酸:エステル比」)により、コポリマーが可溶なpHが求めら
れる。酸:エステル比は、約2:1〜約1:3、例えば、約1:1、又は好ましくは約1
:2であればよい。好ましいアニオン性コポリマーの分子量(「MW」)は通常、約12
0000〜150000、好ましくは約135000である。
【0036】
好ましいアニオン性ポリ(メタクリル酸/メチルメタクリレート)コポリマーはとして
、Eudragit(登録商標)L(酸:エステル比=約1:1;MW約135000;
pH閾値=約6.0);Eudragit(登録商標)S(酸:エステル比=約1:2;
MW約135000;pH閾値=約7);及びEudragit(登録商標)FS(ポリ
(メチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸);酸:エステル比=約1
:10;MW約220000;pH閾値=約7)が挙げられる。
【0037】
第2の材料は、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマーであり得る。Eud
ragit(登録商標)L100−55(ポリ(メタクリル酸/エチルアクリレート);
酸:エステル比=約1:1;MW約250000;pH閾値=約5.5)が好適である。
Eudragit(登録商標)コポリマーは、Degussa AG(ドイツ、ダルムシュタット)
によって製造及び/又は流通されている。
【0038】
フィルム形成ポリマー材料の混合物が適宜使用され得る。好適な混合物の例として、E
udragit(登録商標)LとEudragit(登録商標)Sとの混合物、例えば、
1:1混合物が挙げられる。しかしながら、特定のフィルム形成ポリマー材料、例えば、
ポリ(メタクリル酸/メチルメタクリレート)コポリマー単独の使用が好ましい。
【0039】
第2の材料としてのEudragit(登録商標)S単独の使用が特に好ましい。
【0040】
好ましい実施形態において、フィルムコーティングとしてコア上に塗布される、2つの
好適なポリマーの適切な比での混合物が、胃及び小腸における薬物放出を少なくとも最少
にし、実質的になくすことができることを見出した。引き続く結腸における薬物放出は、
組み合わせた活性な生理的トリガーによって、即ち、第2の材料、特に、Eudragi
t(登録商標)Sの溶出、及び第1の材料、例えば、デンプン又はアミロースの消化によ
って起こると考えられる。
【0041】
第2の材料に対する第1の材料の比率は、典型的には99:1未満であり、状況次第で
最大50:50であり得る。比率は通常、最大35:65であり、好ましくは15:85
〜35:65、例えば、15:85〜30:70である。本発明者らは、特に、第1の材
料がデンプンであり、且つ第2の材料がEudragit(登録商標)Sである場合、約
25:75〜約35:65、例えば、約30:70である第2の材料に対する第1の材料
の比が、薬物の放出を結腸に標的化するのに特に好適であることを発見した。第1の材料
と第2の材料との混合物は、好ましくは実質的に均質である。
【0042】
任意選択で、フィルム形成用の可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル)及び粘着防止剤
(モノステアリン酸グリセリン等)等の通常の賦形剤が、ポリマーコーティング調製品の
最終組成物の最大30重量%の量で含まれ得る。
【0043】
粒子のコーティングの厚さは、典型的には約10μm〜約150μmである。しかしな
がら、特定のコーティングの厚さは、コーティングの組成によって決まる。例えば、コー
ティングの厚さは、コーティング中の多糖の量に正比例する。したがって、コーティング
が、高アミロースデンプンとEudragit(商標)Sを約30:70の比で含む実施
形態において、コーティングの厚さは、約70μm〜約130μm、好ましくは約90μ
m〜約110μmであり得る。所与のコーティング組成物の厚さ(μm)は、コア径に依
存しない。
【0044】
コーティングの厚さも、コーティングした製剤の「理論重量増加」(「TWG」)によ
って測定することができる。本製剤のTWGは、コーティングの組成、及びコーティング
されるコアの大きさを含む、多くの因子によって決まる。例えば、コアが小さい錠剤(例
えば、約8mmの直径を有する)であり、且つコーティングが高アミロースデンプンとE
udragit(商標)Sを(例えば、約30:70の比で)含む実施形態において、T
WGは、典型的には約4%〜約12%、例えば、約5%〜約10%、好ましくは、約8%
〜約9%である。コアが、同じコーティングを有するペレット(例えば、約1mmの直径
を有する)である実施形態において、TWGは、約15%〜約35%、例えば約20%〜
約30%、好ましくは約25%であり得る。
【0045】
コーティングが第1の材料と第2の材料との混合物を含むというのは、活性コアが、最
初にアミロースの内部コーティング、次にEudragit(登録商標)L100の外部
コーティングでコーティングされる、既知の多層剤形(例えば、上記Milojevic他に開示
されている)を除外することを意図している。本発明の状況において、かかる多層剤形は
、デンプンとEudragit(登録商標)L100との混合物を含まない。コーティン
グは、好ましくは、第1の材料と第2の材料との混合物、好ましくは均質混合物の単層で
ある。
【0046】
しかしながら、本発明の製剤は、活性コアと、本発明の遅延放出性組成物を含む層及び
/又は本発明の遅延放出性組成物層をコーティングする外層との間のいずれかに、さらな
る層を有し得る。例えば、遅延放出性組成物層が、Eudragit(登録商標)Lとデ
ンプンとの混合物を含む場合には、pH閾値が約7のpH依存性放出コーティング材料、
例えば、Eudragit(登録商標)Sの外層の付加が好ましい。好ましい実施形態に
おいて、本発明の遅延放出性コーティングは、活性コアに直接塗布される。即ち、このコ
ーティングと活性コアとの間にさらなる層が存在しない。本発明の遅延放出性コーティン
グは、好ましくは製剤の外部コーティングである。有利なことには、さらなる外層を必要
とせずに、組成物が遅延放出性組成物であることが保証されることが見出された。
【0047】
好ましくは、組成物は、最も好ましいデンプンとEudragit(登録商標)Sとの
混合物であり生体活性の周囲にコーティングを形成する。「生体活性」は通常、薬物を含
むコアである。
【0048】
製剤は、コア及びコアのためのコーティングを有する少なくとも1つの粒子を含む。製
剤は、カプセル;錠剤;小錠剤;ペレット;顆粒;及び結晶などの、任意の好適なコーテ
ィングした経口剤形を含むことができる。
【0049】
各粒子の最小直径は、典型的には少なくとも約10−4m、通常少なくとも約5×10
−4m、好ましくは少なくとも約10−3mである。最大直径は、通常30mm以下、典
型的には20mm以下、好ましくは10mm以下である。好ましい実施形態において、粒
子の直径は約0.2mm〜約15mm、好ましくは約1mm〜約4mm(例えば、ペレッ
ト又は小錠剤に関して)又は約6mm〜約12mm(例えば、或る特定の錠剤又はカプセ
ルに関して)である。「直径」という用語は、粒子を通る最大直線寸法を指す。
【0050】
製剤は、特に、粒子が「小さい」、例えば、直径が5mm未満である、実施形態におい
て、単一用量の薬物(複数可)を提供するために複数個の粒子を含み得る。直径が3mm
未満の粒子を含む多単位剤形が好ましい。
【0051】
本発明には、同一剤形、例えば、カプセル中に少なくとも2つの複数個の粒子、例えば
、コーティングしたペレットを含む多相性薬物放出製剤における用途がある。ここで、1
つの複数個の粒子は、その他の又は相互の複数個の粒子とコーティングによって区別され
る。コーティングは、複数個ごとに、コーティングの厚さ又は組成、例えば、構成成分の
比及び/又はアイデンティティに関して異なり得る。多相性薬物放出製剤は、腸に沿った
異なる領域に影響が及ぶクローン病患者に特に好適である。
【0052】
「コア」は通常、単一の固体である。コアは、薬物(複数可)単独から構成されてもよ
く、又は薬物(複数可)を含む層でコーティングされる、可食材料、例えば、砂糖のビー
ズであってもよい。しかしながら、より普通には、コアは、フィラー又は希釈材料、例え
ば、ラクトース、若しくは微結晶セルロース等のセルロース材料を有する薬物(複数可)
;バインダー、例えば、ポリビニルピロリドン(「PVP」);崩壊剤、例えば、Ac−
Di−Sol(商標)(即ち、クロスカルメロースナトリウム);及び/又は滑剤、例え
ば、ステアリン酸マグネシウムとの混合物から構成される。コアは、これらの材料のうち
少なくとも幾つかを含む圧縮顆粒であってもよい。
【0053】
本発明による製剤からの放出は、腸、好ましくは結腸まで遅延する。或る特定の製剤か
らの放出も持続性であり得る。しかしながら、好ましい製剤において、放出は拍動的であ
る。
【0054】
製剤は通常、酸性媒体における2時間後の薬物放出が10重量%未満である場合、胃液
耐性と定義される。本発明による製剤は、典型的には酸性媒体において10重量%よりず
っと少ない薬物放出を示し、胃液耐性であると考えることができる。製剤は通常、酸性媒
体において1重量%未満の薬物放出を示し、典型的には酸性媒体において実質的に全く薬
物放出を示さない。デンプンをアクリレートフィルム形成材料と組み合わせて、コアに対
するコーティングを形成する場合、胃及び小腸を模擬する条件において典型的には5時間
超で5%未満の薬物放出が起こる。デンプンをコアに対するコーティング用のセルロース
フィルム形成材料と組み合わせると、胃及び小腸を模擬する条件において典型的には5時
間超で10%未満の薬物放出が起こる。
【0055】
薬物放出に好適な条件への最初の曝露から薬物放出開始までの間の時間は、「ラグタイ
ム」として知られている。「ラグタイム」は、コーティングの厚さ及び組成を含む、多く
の因子によって決まる。本発明による製剤は通常、結腸条件で少なくとも30分のラグタ
イムを示す。本発明の殆どの実施形態において、ラグタイムは約30分〜約3時間、好ま
しい製剤では、ラグタイムは、好ましくは約45分〜約2時間である。
【0056】
薬物放出に好適な条件への初回曝露と、完全な薬物放出との間の時間も、コーティング
組成及び薬物の性質を含む、多くの因子によって決まる。本発明の殆どの実施形態におい
て、この時間は通常、5時間以下である。好ましい実施形態において、この時間は通常、
4時間以下である。
【0057】
一例として、錠剤コアが、高アミロースデンプンとEudragit S(30:70
)を含むコーティングで、8%〜9%のTWGの厚さまでコーティングされる実施形態に
おいて、最初の放出と完全放出との間の時間は、約2時間未満、好ましくは約1.5時間
未満であり得る。
【0058】
好ましい実施形態において、コアは、直径約1mmのペレットである。別の実施形態に
おいて、コアは、直径約8mmの錠剤である。両方の場合において、コーティングは、好
ましくは、高アミロースデンプン、例えば、Eurylon(商標)7と、アクリルポリ
マー、例えば、Eudragit(商標)Sとの30:70混合物である。両方の好まし
い実施形態において、コアは、約100μmの厚さにコーティングされ、これは、錠剤に
対して約8%〜約9%のTWG、ペレットに対して約27重量%〜約32重量%のTWG
である。
【0059】
本発明の第2の態様によれば、療法によってヒト又は動物の身体を薬物治療する方法で
使用するために第1の態様による製剤を提供する。
【0060】
コアは、少なくとも1つの薬物を含む。製剤は通常、単一の薬物を、唯一の治療的に活
性な構成成分として投与するために使用される。しかしながら、2つ以上の薬物が単一製
剤で投与され得る。
【0061】
本発明の製剤は、広範囲の薬物を投与するように設計される。好適な薬物としては、既
知の遅延放出性経口製剤を使用する腸投与で知られている薬物が挙げられる。本発明は、
局所効果又は全身効果を有する薬物を投与するために使用することができる。
【0062】
本発明の製剤には、カルボン酸基等の少なくとも1つの酸性基を含む薬物の腸投与にお
ける特定の用途がある。かかる薬物は、酸性薬物又は両性イオン薬物であり得る。かかる
薬物の例は5−アミノサリチル酸(「5−ASA」)である。
【0063】
製剤における薬物(複数可)のアイデンティティは、治療される病態に明らかに依存す
る。これに関連して、製剤には、IBD(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む);IBS
;便秘;下痢;感染症;及び癌腫(特に結腸癌又は結腸直腸癌)の治療における特定の用
途がある。
【0064】
IBDの治療又は予防のために、製剤は、抗炎症薬(例えば、5−ASA);ステロイ
ド(例えば、プレドニゾロン;ブデソニド又はフルチカゾン);免疫抑制薬(例えば、ア
ザチオプリン;シクロスポリン;及びメトトレキサート);並びに抗生物質から成る群よ
り選択される少なくとも1つの薬物を含み得る。
【0065】
癌の治療又は予防のために、製剤は、少なくとも1つの抗悪性腫瘍薬を含み得る。好適
な抗悪性腫瘍薬としては、フルオロウラシル;メトトレキサート;ダクチノマイシン;ブ
レオマイシン;エトポシド;タキソール;ビンクリスチン;ドキソルビシン;シスプラチ
ン;ダウノルビシン;VP−16;ラルチトレキセド;オキサリプラチン;並びにそれら
の薬理学的に許容可能な誘導体及び塩が挙げられる。主に結腸炎を患う患者における、結
腸癌又は結腸直腸癌の予防のために、製剤は、抗炎症薬である5−ASAを含み得る。
【0066】
IBS、便秘、下痢又は感染症の治療又は予防のために、製剤は、これらの病態の治療
又は予防に好適な少なくとも1つの活性物質を含み得る。
【0067】
薬物の薬理学的に許容可能な誘導体及び/又は塩も、製剤で使用され得る。プレドニゾ
ロンの好適な塩の例は、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムである。さらなる例は
プロピオン酸フルチカゾンである。
【0068】
本発明には、どちらも5−ASAを使用する、IBD(特に、潰瘍性大腸炎)の治療、
又は(主に結腸炎患者における)結腸癌又は結腸直腸癌の予防のいずれかにおける特定の
用途がある。 結腸を介して薬物が体循環へ移行する入口としての用途もある。これは、
上流の消化管で不安定なペプチド薬物及びタンパク質薬物に特に有利である。本発明は、
時間療法の目的にも利用することができる。
【0069】
本発明の第3の態様において、上記で規定した製剤を患者に投与することを含む、薬物
を結腸に標的化する方法を提供する。
【0070】
本発明の第4の態様において、IBD(特に潰瘍性大腸炎);IBS;便秘;下痢;感
染症;及び癌の治療又は予防用の薬剤の製造における、上記で規定した製剤の使用を提供
する。
【0071】
IBDの治療で使用するための上記で規定した製剤を含む薬剤の製造における、抗炎症
薬及びステロイドから選択される少なくとも1つの薬物の使用も提供する。さらに、癌腫
の治療で使用するための上記で規定した製剤を含む薬剤の製造における、少なくとも1つ
の抗悪性腫瘍薬の使用も提供する。さらに、結腸癌又は結腸直腸癌の予防で使用するため
の上記で規定した製剤を含む薬剤の製造における、5−ASAの使用も提供する。
【0072】
本発明の第5の態様によれば、治療量の上記で規定した製剤を患者に投与することを含
む、IBD又は癌腫を薬物治療又は予防する方法を提供する。
【0073】
製剤は、典型的には、製剤の総重量に基づき、約0.01重量%〜約99重量%であり
得る、治療有効量のその又は各薬物を含む。実際の投与量は、当業者によって、普通の一
般常識を使用して決定される。しかしながら、一例として、「低」用量製剤は、典型的に
は約20重量%以下の薬物を含み、好ましくは約1重量%〜約10重量%、例えば、約5
重量%の薬物を含む。「高」用量製剤は、典型的には少なくとも40重量%の薬物、好ま
しくは約45重量%〜約85重量%、例えば、約50重量%又は約80重量%の薬物を含
む。
【0074】
本発明の第6の態様によれば、第1の態様による遅延放出性薬物製剤を製造する方法を
提供するものであって、当該方法は、以下を含む:
少なくとも1つの薬物を含むコアを形成すること、及び
コアを、結腸細菌による攻撃を受け易い第1の材料と、pH閾値が約pH5以上を有す
る第2の材料との混合物を含むポリマーコーティング調製品でコーティングすること、
ただし、第1の材料が、デンプン;アミロース;アミロペクチン;キトサン;コンドロ
イチン硫酸;シクロデキストリン;デキストラン;プルラン;カラギーナン;スクレログ
ルカン;キチン;カードラン及びレバンから成る群より選択される多糖を含む。好ましい
多糖は、上記に詳述した通りである。コアは、好ましくは上記ポリマーコーティング調製
品でスプレーコーティングされる。
【0075】
コアが圧縮顆粒から形成される実施形態において、その方法は、好ましくは以下を含む

薬物(複数可)を、少なくとも1つの賦形剤と乾式混合して、乾燥混合物を形成するこ
と、
該乾燥混合物の少なくとも一部を湿式造粒して、湿潤顆粒を形成すること、
該湿潤顆粒の少なくとも一部を圧縮して、上記コアを形成すること、及び上記コアを上
記ポリマーコーティング調製品でスプレーコーティングして、上記の遅延放出性薬物製剤
を形成すること。流動床スプレーコーティング機は、コア(複数可)をポリマーコーティ
ング調製品でコーティングするために好ましく使用され、製剤の粒子(複数可)を形成す
る。
【0076】
好ましい実施形態において、その方法は、以下を含む:
上記第1の材料を含む水性分散液を形成すること、
上記第2の材料を含むアルコール溶液又は水溶液を形成すること、及び上記第1の材料
の上記水性分散液の少なくとも一部を、上記第2の材料の上記アルコール溶液又は水溶液
の少なくとも一部に添加、好ましくは滴下して、上記ポリマーコーティング調製品を形成
すること。
【0077】
第1の材料を通常、少なくとも1つのアルコール、好ましくはC〜Cのアルコール
、例えば、メタノール;エタノール;1−プロパノール;2−プロパノール;1−ブタノ
ール;2−ブタノール;及びそれらの混合物、特に1−ブタノール単独中に分散し、その
後、通常よく撹拌しながら水を引き続いて添加する。得られた水性分散液は通常、沸騰す
るまで加熱した後、一晩撹拌しながら冷却する。アルコール(複数可)の目的は、第1の
材料と溶媒和することであり、水性分散液を形成し易くする。代替的には、材料は、水中
に直接分散することができる。
【0078】
第2の材料は、典型的には少なくとも1つの溶媒、例えば、水又は有機溶媒に溶解する
。有機溶媒は、アルコール、例えば、メタノール;エタノール;2−プロパノール;メチ
ルグリコール;ブチルグリコール;アセトン;酢酸メチルグリコール;及びアセトンとイ
ソプロピルアルコール(例えば、約4:6の比で)等、それらの混合物であり得る。第2
の材料は、好ましくは、高速撹拌下、エタノール(好ましくは、85%〜98%)に溶解
する。
【0079】
ポリマーコーティング調製品は、好ましくは、適切な量の水性分散液を、高速撹拌下、
アルコール溶液に滴下して添加することによって形成される。通常、可塑剤(例えば、ク
エン酸トリエチル)及び/又は滑剤(例えば、モノステアリン酸グリセリン)等のさらな
る賦形剤(複数可)を、撹拌しながらその調製品に添加する。
【0080】
ここで、本発明の多くの好ましい実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。
【0081】
[実施例1]
プレドニゾロン錠剤の調製
プレドニゾロン錠剤(重量200mg、直径8mm及び標準的な両凹形)を、以下の処
方に従って調製した:
ラクトース 85%
プレドニゾロン 5%
PVP 5%
Ac-Di-Sol(商標) 4%(顆粒内層2/3及び顆粒外層1/3)
ステアリン酸マグネシウム 1%(顆粒外層)
【0082】
プレドニゾロンを賦形剤と乾式混合した後、湿式造粒した。500〜710μm粒群の
顆粒を、シングルパンチ打錠機(Manesty、イギリス)を使用して圧縮した。
【0083】
デンプン水性分散液の処方
Eurylon(商標)7 16g
1−ブタノール 32g
水 352g
【0084】
Eurylon(商標)7デンプンを、1−ブタノール中に十分に分散し、引き続いて
よく撹拌しながら水を添加した。次に、得られた分散液を沸騰するまで加熱し、一晩撹拌
しながら冷却した。冷却した分散液の固形分%を、分散液の最終重量に基づき(加熱中の
蒸発を考慮して)算出した。
【0085】
Eudragit(登録商標)S溶液の処方
Eudragit(登録商標)S溶液を、高速撹拌下、Eudragit(登録商標)
S 100ポリマーを96%エタノールに溶解することによって、調製した。最終溶液は
およそ6%のポリマー固形分を含有した。
【0086】
混合デンプン−Eudragit(登録商標)コーティング分散液
適切な量のデンプン分散液とEudragit(登録商標)溶液とを混合して、乾燥ポ
リマー物質として示される所要比を得た。デンプンを、常時、高速撹拌下、Eudrag
it(登録商標)溶液に滴下して添加した。得られた分散液を、賦形剤添加前2時間、そ
して賦形剤添加後さらにもう2時間撹拌し続けた。添加した賦形剤は次のとおりであった

クエン酸トリエチル 乾燥ポリマー物質の10%
モノステアリン酸グリセリン 乾燥ポリマー物質の 5%
【0087】
最終的な混合ポリマーコーティング調製品を、流動床スプレーコーティング機を使用し
て錠剤上にフィルムコーティングした。コーティングの厚さは、コーティング後の錠剤の
重量増加%(% TWG)として推定した。
【0088】
スプレーコーティングパラメータは以下の通りであった:
流速 0.7ml/分
噴霧圧力 0.2bar
コーティング温度 40℃
【0089】
In Vitro試験
デンプン分散液を、「高アミロース」デンプンであるEurylon7から調製し、E
udragit(登録商標)Sのエタノール溶液と混合した。コーティング分散液の組成
及び調製方法は、上記の通りである。デンプンを15%、20%、25%、30%及び3
5%含有する、各種のデンプン/Eudragit(登録商標)Sの組合せを調製した。
次に、混合Eudragit(登録商標)/デンプンコーティング分散液を、上記方法に
従って調製したプレドニゾロン錠剤上にフィルムコーティングした。錠剤を、ポリマーの
総重量増加として算出される様々な厚さにコーティングして、最適なコーティングの厚さ
も求めた。コーティング混合物は、最大30%のデンプン比まで良好な品質のフィルムを
もたらした。
【0090】
次に、コーティングした錠剤を、様々なpH緩衝溶液における薬物放出に関してin vit
roで試験した。最適なデンプン/Eudragit(登録商標)Sの比及びコーティング
重量増加は主に、従来のEudragit(登録商標)Sをコーティングした錠剤との溶
出プロファイルの比較に基づいた。
【0091】
結果を図1〜図7に示す。
【0092】
非常に驚くべきことに、これらの混合フィルムをコーティングした錠剤は、胃の媒体を
模擬するpH1.2のHCl中で薬物放出を抑えることができた(図1〜図6のグラフの
左手側を参照)。
【0093】
小腸の媒体(small intestinal media)を模擬するpH6.8中で最大12時間、コー
ティングした錠剤のいずれからも薬物放出は全くなかった(図6参照)。水に不溶なEu
dragit(登録商標)RL及びRS製品に基づく、混合アミロース/アクリレートポ
リマーを使用する先のin vitroでの検討からは、酸及び緩衝液における制御不可能な膨潤
及び迅速な薬物放出が示された(Milojevic他、1996)。
【0094】
図1〜5に、pH7.0緩衝媒体における、コーティングした錠剤からの薬物放出プロ
ファイルを示す。溶出プロファイルの分析に基づき、8.3%のTWGに相当するフィル
ム厚さまで30%デンプン/Eudragit(登録商標)混合物でコーティングした錠
剤が最適であると判断され、さらに試験して、フィルムのデンプン構成成分の消化率を評
価した。
【0095】
B.licheniformisに由来する50U(単位)/mlのα−アミラーゼを
含有するpH6.8緩衝液中で、錠剤を溶出試験した(図7参照)。溶出試験はまた、パ
ンクレアチンを含むpH6.8媒体中で実行して、デンプンが膵α−アミラーゼにより消
化されるかどうかを試験した(図6参照)。
【0096】
酵素存在下での溶出試験の結果から、フィルムのデンプン構成成分は、パンクレアチン
の存在下では消化されない(小腸での耐性を示唆)が、B.licheniformis
由来のα−アミラーゼの存在下では、薬物放出が3時間以内に起こることが示された。こ
れらの結果から、混合フィルムが、上流の消化管の模擬条件では薬物放出に耐えるが、細
菌酵素の存在下では(溶出に関するEudragit(登録商標)Sポリマーの閾値pH
より低いpHであっても)消化されやすいことが立証された。
【0097】
健常者におけるin vivoでの検討
混合デンプン/Eudragit(登録商標)Sフィルムをコーティングした錠剤を用
いたin vitroでの検討の驚くべき成功の後、剤形の性能を、健常なヒト被験者で試験した
。錠剤をインジウム−111で放射標識し、3つの別個なケースで8名の健常な男性ボラ
ンティアに投与した。消化管における錠剤の通過及び崩壊部位をガンマカメラを使用して
追跡した。
【0098】
これらの混合フィルム錠剤の崩壊の時間及び部位を、表1で理解することができる。結
果は、錠剤崩壊が主に結腸で起こる、驚くほどに優れた結腸標的化を示している。
【0099】
健常なボランティアの検討による結果から、デンプンとEudragit(登録商標)
は、デンプン30%対Eudragit(登録商標)S70%という比率で混合し、錠剤
上におよそ8.3%のTWGでコーティングすると、胃及び小腸では錠剤崩壊を抑えるこ
とができるが、結腸では崩壊を引き起こすことが立証される。
【0100】
表1は、3つの別個なケースにおける、8名の健常な男性ボランティアにおける、30
%のデンプン及び70%のEudragit(登録商標)Sをコーティングした錠剤の崩
壊の部位及び時間を示す。
【0101】
表1のキーワード:
「絶食」− 錠剤が空の胃に与えられる
「摂食前」−錠剤が空の胃に与えられるが、投薬30分後に食事投与
「摂食」− 錠剤が朝食後に与えられる
「ICJ」−回腸結腸吻合部
「AC」− 上行結腸
「HF」− 肝弯曲部
「SF」− 脾弯曲部
【0102】
【表1】

【0103】
[実施例2]
実施例1に示した手順に従って、5重量%のプレドニゾロンの代わりに、5重量%の5
−アミノサリチル酸を含有する錠剤(重量200mg;直径8mm;標準的な両凹形)を
調製し、70%のEudragit(登録商標)S:30%のデンプン(Eurylon
(商標)7)を含むポリマー混合物で、TWG5%、6%、7%及び8.3%までコーテ
ィングした。
【0104】
次に、5%、6%、7%及び8.3%と異なる重量増加を有する5−ASA錠剤を、α
−アミラーゼ非存在下のpH6.8緩衝液における薬物放出に関してin vitroで試験した
。図8は、8.3%のTWGまでコーティングした5−ASA錠剤では、約9時間、5−
ASAの放出が全くなく、約11時間後にほぼ完全に放出したことを示す。
【0105】
次に、それぞれ異なるTWGを有する5−ASA錠剤を、50U/mlのα−アミラー
ゼの存在下、薬物放出に関してin vitroで試験した。図9は、α−アミラーゼの存在下、
全てのTWGに関して薬物放出がはるかに速かったことを示す。
【0106】
7%のTWGまでコーティングした5−ASA錠剤は、pH6.8緩衝液において、8.
3%のTWGまでコーティングした5重量%プレドニゾロン錠剤と同様のラグタイム(約
2時間)を示した。特定の理論に全く縛られることを望まずに、この結果は、5−ASA
が、ほぼ中性の緩衝液中で溶解すると酸性を示すため、大量の媒体に比して錠剤コア/ポ
リマー境界層のpHが低下し、結果的にポリマーコーティングの溶出が遅れることによっ
て説明され得る。
【0107】
[実施例3]
実施例1に示した手順に従って、5重量%のプレドニゾロンを含有する錠剤(重量20
0mg;直径8mm;標準的な両凹形)を調製し、70%のEudragit(登録商標
)S:30%のデンプンを含むポリマー混合物で、8.3%のTWGまでコーティングし
た。使用したデンプンは、「高」アミローストウモロコシデンプン(Eurylon(商
標)7;約70重量%のアミロース)又は「低」アミロースデンプン(天然のトウモロコ
シデンプン;約27重量%のアミロース;Sigma、イギリス、プール)のいずれかであっ
た。
【0108】
そして、アミラーゼを含まないpH7緩衝液における、そして次に50U/mlのα−
アミラーゼを含む及び含まないpH6.8緩衝液における薬物放出に関して、錠剤をin vi
troで試験した。
【0109】
図10及び図11は、これは「低」アミロースデンプンの使用によって、薬物放出が速
くなることを示す。図11は、小腸条件における「低」アミロースデンプン錠剤のラグタ
イムが約2.5時間であり、これは「高」アミロースデンプン錠剤のラグタイムよりも短
かかったことを示す。この結果は、アミロペクチンがアミロースよりも水溶性が高いこと
に気付くことで説明され得る。したがって、アミロペクチンの比率が大きいほど、コーテ
ィングは水溶液中へ速く溶出する。図12は、α−アミラーゼの存在下で、薬物放出が実
質的により速くなることを示す。
【0110】
「低」アミロースデンプンを含有するコーティングを有する錠剤も(図6と同一の手順
を使用して)数時間パンクレアチンに消化されないことが明示されており、さらに小腸に
おける「低」アミロース系の耐性を実証している。かかる耐性が驚くべきことであるのは
、アミロペクチンが膵アミラーゼ(パンクレアチン中に存在する)の基質であるため、コ
ーティングの消化及び薬物放出が予想されたからである。
【0111】
[実施例4]
実施例1に示した手順に従って、5重量%のプレドニゾロンを含有する錠剤(重量20
0mg;直径8mm;標準的な両凹形)を調製し、70%のEudragit(登録商標
)L:30%のデンプン(Eurylon(商標)7)を含むポリマー混合物で、TWG
8.3%までコーティングした。
【0112】
次いで、錠剤を、最初にアミラーゼを含まないpH5.5緩衝液における、次に50U
/mlのα−アミラーゼを含むpH5.5緩衝液における薬物放出に関して、in vitroで
試験した。
【0113】
図13は、小腸条件においてちょうど4時間弱のラグタイムを示す。しかしながら、α
−アミラーゼの存在下では、ラグタイムは約3時間であった(図14)。本結果から、こ
のコーティング系は、近位小腸における薬物放出に使用することができることが示唆され
る。
【0114】
[実施例5]
大筋で実施例1に示した手順に従って、5重量%のプレドニゾロンを含有する錠剤 (
重量200mg;直径8mm;標準的な両凹形)を調製し、70%のヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートサクシネート(「HPMCAS」):30%のデンプン(E
urylon(商標)7)を含むポリマー混合物で、TWG8.3%までコーティングし
た。使用したHPMCAS(信越化学工業株式会社、日本)は、pH閾値が6.8の顆粒
品HGであった。HPMCAS−HGを、90%エタノールに溶解し、デンプンの水性分
散液をそれに添加した。
【0115】
次いで、錠剤を、最初にアミラーゼを含まないpH6.5緩衝液における、次に50U
/mlのα−アミラーゼを含むpH6.5緩衝液における薬物放出に関してin vitroで試
験した。そしてさらに、錠剤を、α−アミラーゼ非存在下、pH6.8緩衝液における薬
物放出に関してin vitroで試験した。
【0116】
図15は、コーティングが、HMPCAS−HGのpH閾値未満で膨潤する傾向があり
、コーティングの溶出及び急激な薬物放出の前に、製剤からの薬物の遅い拡散が可能にな
ったことを示す。α−アミラーゼ非存在下のpH6.5緩衝液における拡散開始前のラグ
タイムは、約2時間であり、これは遠位小腸まで放出を遅らせるのに十分であった。拡散
がさらにおよそ4.5時間継続した結果、薬物のほぼ40%がバースト放出前に拡散した

【0117】
α−アミラーゼの存在下、pH6.5緩衝液中でラグタイムは全くなく、拡散はすぐに
開始し、バースト放出開始前に薬物の20%が放出された(図16)。しかしながら、p
H6.8では、おそらくその系のより速い溶出のために、この拡散現象は存在しない(図
17)。
【0118】
本発明は、好ましい実施形態を参照する上記詳細に限定されず、特許請求の範囲によっ
て規定される、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、多数の変形及び変更をなすこ
とができることは理解されることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】pH7.0緩衝液における、5%のTWGで混合フィルムをコーティングしたプレドニゾロン錠剤、及び5%のTWGでEudragit(登録商標)Sをコーティングした錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図2】TWGが6%である以外は図1と同様の混合フィルムをコーティングした錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図3】TWGが7.4%である以外は図1と同様の混合フィルムをコーティングした錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図4】TWGが8.3%である以外は図1と同様の混合フィルムをコーティングした錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図5】各種ポリマー重量増加での、30%のデンプン:70%のEudragitSでコーティングしたプレドニゾロン錠剤、及び5%のTWGでEudragit(登録商標)Sをコーティングした錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図6】パンクレアチンを含む場合及び含まない場合の、pH6.8緩衝液における、30%のデンプン:70%のEudragit(登録商標)Sでコーティングしたプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図7】50U/mlのアミラーゼを含有するpH6.8緩衝液における、8.3%のTWGにコーティングしたプレドニゾロン錠剤からの薬物放出を表すグラフである。
【図8】pH6.8緩衝液における、30%のデンプン:70%のEudragit(登録商標)Sで8.3%のTWGにコーティングした5−ASA錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図9】50U/mlのアミラーゼを含有するpH6.8緩衝液における、30% のデンプン:70%のEudragit(登録商標)Sで各種のポリマー重量増加にコーティングした5−ASA錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図10】pH7緩衝液における、70重量%のEudragit(登録商標)S:30重量%の、70重量%又は27重量%のいずれかのアミロースを有するデンプンでコーティングしたプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図11】pH6.8緩衝液における、図10と同様のプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図12】50U/mlのアミラーゼを含有するpH6.8緩衝液における、図10と同様のプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図13】pH5.5緩衝液における、70%のEudragit(登録商標)L:30%のデンプンで8.3%のTWGにコーティングしたプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図14】50U/mlのアミラーゼを含有するpH5.5緩衝液における、図13と同様のプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図15】pH6.5緩衝液における、70%のHPMCAS−HG:30%のデンプンでコーティングしたプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図16】50U/mlのアミラーゼを含有するpH6.5緩衝液における、図15と同様のプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。
【図17】pH6.8緩衝液における、図15と同様のプレドニゾロン錠剤の溶出プロファイルを表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア及び該コアに対するコーティングを有する粒子を含む、結腸に薬物を送達する遅延放出性薬物製剤であって、前記コアが薬物を含み、前記コーティングが、結腸細菌による攻撃を受け易い第1の材料と、pH5以上のpH閾値を有する第2の材料との混合物を含み、ただし、前記第1の材料が、デンプン;アミロース;アミロペクチン;キトサン;コンドロイチン硫酸;シクロデキストリン;デキストラン;プルラン;カラギーナン;スクレログルカン;キチン;カードラン及びレバンから成る群より選択される多糖を含み、前記薬物の放出が結腸まで遅延し、かつ、前記第2の材料の前記pH閾値が、それ未満では不溶であり、それ以上では可溶なpHである、結腸に薬物を送達する遅延放出性薬物製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−47250(P2013−47250A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231560(P2012−231560)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2009−504820(P2009−504820)の分割
【原出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(506410497)ユニバーシティ カレッジ ロンドン (3)
【Fターム(参考)】