説明

絞り弁

本発明は、絞り弁(1)であって、ケーシング(2)を備え、該ケーシングは、流入圧力下の流体のための流入開口(3)、流体を流出圧力に絞るようになっている絞り部(4)、及び流体のための流出開口(5)を有しており、さらにケーシング(2)の外側の調節部材(11)、回転可能な軸(13)及びピストン(6)を備えており、ピストンはケーシング(2)内の管状の絞りケージ(15)内を軸線方向に移動するようになっており、調節部材(11)を用いて軸(13)の回転運動を生ぜしめ、軸(13)の回転運動によってピストン(16)の軸線方向の移動運動を生ぜしめ、ピストン(16)の軸線方向の移動運動によって絞り部(4,27)の絞り断面を調節するようになっている形式のものに関する。海底使用のために、調節部材(11)に一次マグネットを取り付け、軸(13)に二次マグネットを取り付け、かつ軸(13)に転動体ねじ式伝動装置(20)を取り付けてあり、調節部材(11)の回転運動は、一次マグネット及び二次マグネットから成る磁気式の連結部を介して軸(13)に伝達され、かつ転動体ねじ式伝動装置(20)によってピストン(16)の軸線方向の移動運動に変換されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り弁であって、該絞り弁はケーシングを備えており、該ケーシングは、流入圧力下の流体のための流入開口、いる絞り部、及び前記流体のための流出開口を有し、前記絞り部によって前記流体を流出圧力に絞り若しくは流体の流れを遮断するようになっており、さらに前記絞り弁は調節部材を前記ケーシングの外側に備え、回転可能な軸及びピストンを備えており、該ピストンは前記ケーシング内に配置されていて管状の絞りケージ内を軸線方向に移動若しくは摺動するようになっており、前記調節部材を用いて前記軸の回転運動を生ぜしめ、該軸の回転運動によって前記ピストンの軸線方向の移動運動若しくは摺動運動を生ぜしめるようになっており、前記ピストンの前記軸線方向の移動運動によって前記絞り部の絞り断面を調節するようになっている形式のものに関する。
【0002】
前記形式の絞り弁は、種々の構造で、例えば当出願人の商品カタログによって知られている。調節可能な絞り断面を有するこの種の絞り弁は、組み立てられた状態で摩耗部品の交換のために摩耗部品にアクセスできるように、かつ比較的簡単な機械的な調節機構のために慣用手段では一般的にアングル構造若しくは曲がり管構造で形成され(アングルタイプバルブ[angle type valve])、つまり流体がピストンの軸線に対して、かつ流出方向に対して垂直に流入する構造で、すなわち流路が角度、例えばほぼ直角を成して延びている構造で構成されている。
【0003】
近年、流れを転向すること、つまり流れ方向を変えることが不都合である箇所では、流路がほぼ直線状に延びている構造、すなわち流体を流入開口から流出開口へ直線的に流れるようにしたアキシャル構造の絞り弁(アキシャルタイプバルブ[axial type valve])、つまり流入方向及び流出方向に向かって移動可能なピストン(若しくはスプール)、すなわち流入開口と流出開口とを結ぶ仮想の1つの直線(軸線)に沿って移動可能なピストンを有する同軸構造の絞り弁を用いるようになっている。このような絞り弁は、同一の流動条件では外形寸法が小さくなっており、同軸構造に基づき弁内を流れる流体による材料負荷が小さく、ひいては摩耗が減少している。
【0004】
公知の絞り弁においては、回転可能な軸は、例えばフランジを介して機械的に調節部材に固着されている。軸の回転運動はケーシングの外側において、ボルトとナットとの間のねじ対偶の原理で互いに相対回動移動するねじ継手を介してピストンに伝達され、つまりピストンの直線運動に変換され、若しくはアングル構造の場合に切換スピンドルの直線運動に変換される。アキシャル構造の場合には、切換スピンドル及びピストンはそれぞれ1つのはす歯列を備えており、両方のはす歯列(はす歯の列)は互いにかみ合っていて、直線運動の方向転換を行うようになっている。
【0005】
海底若しくは湖底からの油及びガスの輸送の分野では、第1の処理段階、例えば輸送されるガスの圧縮工程は、次第に直接に海底若しくは湖底における輸送箇所で行われるようになっている。このような傾向に伴って、海底使用に適した構成要素、例えば絞り弁に対する高い要求が課せられるようになってきている。つまり、構成要素は、環境保護の観点から排出物又は放出物若しくはエミッションを生ぜしめないようになっていなければならないだけではなく、輸送する流体(油及びガス)の、周囲の海水に対する遮断(遮蔽若しくは保護)を保証し、かつ周囲(外部)への流体の流出を阻止しなければならない。さらに、微生物の含まれる腐食性の高い海水の、弁自体内若しくは調節部材内への浸入も阻止しなければならない。さらに、輸送すべき流体と調節部材のための電子部品との接触は不都合であり、それというのは、輸送すべき流体は、特に硫化水素で汚染されていて極めて高い腐食作用を有しているからである。
【0006】
絞り弁の構成要素及び輸送する流体並びに海水の保護、及び完全なエミッション防止若しくは汚染物質排出防止は、公知の絞り弁の構成では、シールに対する高いコスト、並びに材料品質及び表面品質に対する厳しい要求を伴ってしか達成され得ないものである。さらに、ユーザーは海底における非金属製のシール部材若しくはシール手段の使用に対する厳しい条件を守らなければならない。
【0007】
欧州特許出願公開第0308878A1号明細書及び欧州特許出願公開第0681130A1号明細書に記載の遮断弁はボールヘッドを備えており、フランス国特許出願公開第2536825A1号明細書に記載の遮断弁は、調節ねじを介して駆動される直線運動式のピストンを備えており、ボールヘッド若しくはピストンには、弁ケーシング内の回転可能な軸及び弁ケーシングの外側の調節部材を磁気式の連結部によって結合してある。これによって、弁内を流れる流体は周囲から分離され、ケーシングを貫通する可動の部品の密閉は不要にしようとするものである。
【0008】
本発明の課題は、海底使用のため、殊に油及びガスの輸送のための流路断面(流路若しくは管路の横断面)の大きな絞り弁を提供することである。
【0009】
前記課題を解決するために、冒頭に述べた形式の絞り弁から出発して、本発明の構成に基づき、絞り弁は、調節部材に取り付けられた一次マグネット、軸に取り付けられた二次マグネット、及び前記軸に取り付けられた転動体ねじ式伝動装置を有しており、この場合に前記調節部材の回転運動は、前記一次マグネットと前記二次マグネットとから成る磁気式の連結部を介して、つまり前記一次マグネットと前記二次マグネットとの間の磁気連結(磁気作用、磁気の吸引力若しくは反発力)に基づき、前記軸に伝達され、かつ前記転動体ねじ式伝動装置によって前記ピストンの軸線方向の移動運動に変換されるようになっている。
【0010】
磁気式の連結部によって、ドイツ連邦共和国実用新案出願公開第8712878U1号明細書に記載の公知技術に示されているように、調節部材とケーシングの内部とは、可動の構成部分若しくは部品の密閉を必要とすることなしに互いに完全に分離されている。回転可能な軸は、アキシャル構造の場合には切換スピンドルは、弁内を流れる流体によって完全に取り囲まれていて、したがって軸線方向で圧力若しくは負荷を軽減されている。
【0011】
磁気式の連結部を介して調節部材から回転可能な軸に伝達される調節力は小さく、海底で使用される標準的な周知の大体積の構成要素に必要な値を達していない。転動体ねじ式伝動装置の使用によって、軸の回転運動を並進運動に変換する際の出力損失、ひいては軸に必要な調節力若しくは調節モーメント又はトルクは著しく減少されている。
【0012】
転動体ねじ式伝動装置は、殊に金属加工機械に用いられる伝動装置(例えばボールねじ[ball screw])として知られている。回転運動と並進運動との間に運動変換のために、転動体としてボール若しくはねじロッド(ロール)を用いてあり、転動体(転動する構成要素)としてのボール若しくはねじロッドは少なくとも、並進運動可能な構成要素、例えばねじ軸に沿って転動するようになっている。転動する構成要素の、滑り摩擦に比べて著しく小さい転がり摩擦は、損失の極めて小さい変換を可能にしている。転動体としてのねじロールとねじ軸から成るロールねじ式伝動装置(ロールスクリュー[roller screw])とボールねじから成るボールねじ式伝動装置との効率はほぼ同じである。ロールねじ式伝動装置は、一面においてボールねじ式伝動装置に比べて著しくコンパクト並びに頑丈であり、他面において並進運動から回転運動への変換並びに回転運動から並進運動への変換を容易に行うものである。
【0013】
本発明の実施態様に基づく絞り弁は、切換スピンドル及びはす歯列付きのラック式伝動装置を備えており、調節部材の回転運動は、転動体ねじ式伝動装置によってまず前記切換スピンドルの直線運動に変換されるとともに、該切換スピンドルの直線運動は、前記はす歯列付きのラック式伝動装置によってピストンの軸線方向の移動運動に変換されるようになっている。流体の流入方向及び流出方向は、絞り弁の軸線方向に向けられていて、ピストンに対して同軸の方向である。本発明の有利な実施態様では、はす歯列付きのラック式伝動装置は切換スピンドルに設けられたはす歯列とピストンに設けられたはす歯列とによって形成されている。
【0014】
本発明の別の実施態様に基づく絞り弁においては、調節部材の回転運動は、転動体ねじ式伝動装置によって直接にピストンの軸線方向の移動運動に変換されるようになっている。この場合に転動体ねじ式伝動装置は、絞り弁に流体の流れ方向に対して垂直方向に組み込まれている。
【0015】
本発明の有利な実施態様では、絞り弁は、絞り断面の調節のための電動モータ式の駆動要素(駆動装置又は駆動部)を含んでいる。これにより、本発明に基づく絞り弁は、殊に自動制御式の装置内での使用に適している。別の実施態様では、本発明に基づく絞り弁の調節部材は、空気力式若しくは油圧式に作動され、或いはハンドル車若しくは調節レバーを介して手動式に作動されるようになっている。
【0016】
本発明に基づく電動モータ作動式の絞り弁において、1つの実施態様では、調節部材は駆動要素のステータとして形成され、軸は駆動要素のロータとして形成されており、一次マグネットは電磁石として形成され、二次マグネットは永久磁石として形成されている。調節部材及び軸を電動モータ式の駆動部内に統合する、つまり組み込むことによって、本発明に基づく絞り弁の構造は極めて簡単になっている。したがって本発明に基づく絞り弁の構成寸法、及び製作手間並びに製作費用は減少されている。
【0017】
本発明に基づく絞り弁は特に有利な実施態様では、ばね部材を含んでおり、該ばね部材(ばね要素)は、ピストンの基準位置から出発して調節部材の回転運動、ひいてはピストンの移動運動に伴って圧縮されるようになっており、かつ前記ばね部材によって前記ピストンは基準位置(出発位置)に戻されるようになっている。これによって、本発明に基づく絞り弁は、駆動部の故障の際の安全機能を有している。
【0018】
安全機能付きの公知の一般的な絞り弁は、直線移動式の作動装置を有している。このような弁においては、故障の際の安全機能はコイルばねの装着によって実施されるようになっている。磁気連結は両方向で回転可能な調節装置(作動装置)を必要とし、つまり作動方向若しくは駆動方向の逆転を必要としており、このことは、ねじ軸とナットとから成る調節ねじ装置によってではなく、転動体ねじ式伝動装置によって可能である。切換スピンドルに作用する軸線方向力は転動体を介して回転モーメント若しくはトルクとして、ねじ式伝動装置ケーシングに伝達されて、該ねじ式伝動装置ケーシングを回転させるようになっている。
【0019】
本発明に基づくアキシャル構造の絞り弁において、例えばコイルばねとして形成されたばね部材を切換スピンドルに取り付けてあり、ばね部材は切換スピンドルの直線運動によって圧縮されるようになっている。駆動部の故障に際して、ばね部材はまず直接に切換スピンドルに作用して、はす歯列を介してピストンに作用し、かつ転動体ねじ式伝動装置を介して調節部材に作用するようになっている。このような構成では、殊にばね部材は直接にケーシング内に配置されている。
【0020】
ばね部材若しくはコイルばねの圧縮のための力は、調節装置から磁気式の連結部及び転動体ねじ式伝動装置を介して切換スピンドルに伝達される。磁気式の連結部及び転動体ねじ式伝動装置は、所定の力及びトルクを伝達できるように構成されている。切換スピンドルに作用するコイルばねは、該コイルばねをケーシングの内部に配置してある場合には、絞り弁内を流れる流体と接触することになる。したがってコイルばねのための材料選択は、ケーシングの内部のすべての構成部分と同様に、流体と反応しないもの、殊に流体によって腐食されないものに限定される。
【0021】
本発明に基づくアキシャル構造の絞り弁においても、本発明に基づくアングル構造の絞り弁においても、別の実施態様では、調節部材にばね部材を取り付けてあり、該ばね部材は前記調節部材の回転運動によって圧縮されるようになっている。駆動部の故障の際には、ばね部材は直接に調節部材に作用して、転動体ねじ式伝動装置を介して、かつ必要に応じてはす歯列式伝動装置を介してピストンに作用するようになっている。このような構造形式ではばね部材は調節部材と一緒にケーシングの外側に配置されている。この場合にもコイルばね若しくはスパイラルばね又は螺旋ばねを用いることができる。さらに別の実施態様では、ばね部材はケーシング内で直接にピストンロッドに連結されている。
【0022】
本発明に基づくばね部材による安全機能を有する絞り弁においては、絞り弁の絞り断面はピストンの基準位置(ばね部材が伸びている出発位置)で最大に開かれている。本発明に基づくこのようは絞り弁は、例えば圧縮機の入口と出口との間のバイパス通路内にポンプ保護弁として装着される。別の実施態様では絞り断面は、ピストンの基準位置で、必要に応じて、若しくは使用される個別の使用条件に応じて完全に閉じられており、若しくは部分的に閉じられ、つまりピストンを任意に規定された所定の位置(中間位置)までしか移動させないようにしてある。
【0023】
本発明に基づく絞り弁の転動体ねじ式伝動装置は、オイル産業(オイル処理工業又は油処理工業)及びガス産業(ガス処理工業)における耐食性に関するNACE基準及びISO基準を満たしている。この場合に転動体ねじ式伝動装置は、手間を掛けないで絞り弁内の流体に対して密閉され若しくは遮断されるようになっており、これによって構造は簡単になり、材料及び製作誤差に対する要求は低いものになっている。この場合に、例えばロールねじ式伝動装置の可動の構成部分はセラミック材料で形成されていてよい。
【0024】
本発明に基づく絞り弁は、可動の1つの構成部分に設けられた電磁式の発信器と永久磁石とによって、位置表示器を無接触式に制御するようになっていてよい。これによって、磁気式の連結部の作動不確実性を有効に避けることができるようになっている。
【0025】
次に本発明を2つの実施例に基づき詳細に説明してある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に基づく第1の絞り弁の断面図である。
【図2】本発明に基づく第2の絞り弁の断面図である。
【図3】本発明に基づく絞り弁の一部分の拡大断面図である。
【0027】
図1に示してある本発明に基づく第1の絞り弁1は、ケーシング2を有しており、該ケーシングは、流入圧力下の流体のための流入開口3、流体の流れを所定の流出圧力に絞るようになっている絞り部4、及び流体のための流出開口5を有している。ケーシング2は、鋳造製の弁本体6から成っていて、調節装置8のための、弁本体6の外側にねじ結合されたケーシング7、及び安全装置10のための、同じく弁本体6に、調節装置8と相対する側に溶接結合されたケーシング9を備えている。換言すれば、絞り弁のケーシング(弁ケーシング)2は弁本体6及び別の2つのケーシング7,9から成っている。
【0028】
絞り弁1は、調節装置8上に回転可能に被せ嵌められたカップ状の調節部材11を有しており、該調節部材は、調節装置8とねじ結合されたカップ状の保持器12によって保持されている。絞り弁1のケーシング2は流体によって貫流されるのに対して、保持器(容器又はケージ)12は、環境に優しい、つまり環境負荷の少ない圧力油、殊に海水汚染の少ない圧力油で満たされている。
【0029】
絞り弁1は、調節装置8内に回転可能な管状の軸13を有している。絞り部4は、弁本体6内にウエブ14を用いて不動に組み込まれていて、管状で半径方向に貫通穿孔された絞りケージ15及び、該絞りケージ内に配置されて軸線方向に移動可能(若しくは摺動可能)なピストン16を含んでいる。ピストン16の移動により、絞りケージ15の詳細には描かれていない半径方向の複数の貫通穿孔(貫通孔)は順次に閉じられ若しくは開かれるようになっている。その結果、絞り弁1の有効な絞り断面を調節するようになっている。
【0030】
調節部材11に一次マグネット17として複数の永久磁石を設け、かつ軸13に二次マグネット18として複数の永久磁石を設けてある。軸13は、転動体ねじ式伝動装置20の支持ケーシング19にねじ結合されており、転動体ねじ式伝動装置は軸13の回転運動を切換スピンドル21の直線運動に変換するようになっている。転動体ねじ式伝動装置20は実質的に耐油性及び耐ガス性の材料から成っている。
【0031】
切換スピンドル21は、絞り弁1のケーシング2内で調節装置8のケーシング7から弁本体6及び絞り部4を経て安全装置10のケーシング9内まで延びている。絞り部4内で切換スピンドル21に、はす歯列を成形してあり、この場合に切換ピストン21は該切換スピンドルのはす歯列でもって、同じくピストン16に成形されたはす歯列と一緒にラック式伝動装置22を形成しており、該ラック式伝動装置は、切換スピンドル21の直線運動を、該直線運動に対して垂直な軸線方向のピストン16の移動運動に変換するようになっている。
【0032】
安全装置10は実質的に、図示の実施例ではコイルばねとして形成されたばね部材23によって構成されており、該ばね部材は絞り弁1の図示の基準位置では絞り弁の絞り断面を最大に開放している。基準位置からのピストン16の軸線方向の移動運動によって、絞り断面は減少されると共に、切換スピンドル21に結合された圧力プレート24は、安全装置10内でばね部材23のばね力に抗して移動させられるようになっている。調節部材11に作用するトルクが、ばね力によって規定された値を下回ると、安全装置10は自動的に絞り断面を基準位置まで開放するようになっている。
【0033】
図2に示す本発明に基づく第2の絞り弁25の構成は、基本的に、図1に示す第1の絞り弁1の構成に相当するものである。したがって同一の構成部分若しくは構成ユニットは、図1に対応して図2にも示してある。次に、第1の絞り弁1と異なる点について述べる。
【0034】
第2の絞り弁25において、切換スピンドル26は絞り部27内まで延びて、絞り部27内で終わっている。安全装置28は、調節装置29と相対して弁本体30に取り付けられているのではなく、保持器31に固着されており、該保持器は調節部材32を保持している。調節部材32には回転可能な軸33をねじ結合してあり、該軸は安全装置28を貫通して、駆動要素(図示省略)の固定のためのフランジ34内で終わっている。
【0035】
安全装置28は図示の実施例では同じくコイルばねとして形成されたばね部材23によって構成されており、該ばね部材は絞り弁の絞り断面を最大に開放して保つようになっている。安全装置28内の圧力プレート35は、ロールねじ式伝動装置37の支持ケーシング36にねじ結合されている。つまり、ころ若しくは転動体としての複数のロール38はロールねじ式伝動装置37内に回転可能に支承されている。ばね部材23は軸線方向力を圧力プレート35に生ぜしめるようになっている。ロールねじ式伝動装置37のロール38は、ばね部材の軸線方向力を軸33に伝達し、つまり軸33に作用するトルクに変換するようになっている。支持ケーシング36内では、嵌合キー39によってねじ式伝動装置ケーシング40に対する相対回動を阻止するようになっている。安全装置内に設けられた案内ロッド41は、軸33を中心とした圧力プレート35の回転(回動)を阻止するようになっている。第2の絞り弁25の安全装置28並びに保持器31は、環境負荷の少ない同一の油で満たされている。案内ロッド41は、圧力プレート35、支持ケーシング36及びねじ式伝動装置ケーシング40の意図しない回転を阻止している。
【0036】
図2には、エラー発生時に、つまり外部から調節部材32に作用する調節モーメント(作動モーメント)の消滅若しくは欠落の際に開く絞り弁25を、完全に開かれた位置で示してある。絞り弁25の閉鎖に際して、調節部材32の回転運動は、軸33、ロールねじ式伝動装置37及び圧力プレート35を介してばね部材23の軸線方向の圧縮力に変換される。エラー発生時には、ばね部材23は圧力プレート35を介して軸線方向力をロールねじ式伝動装置37に作用させて、該ロールねじ式伝動装置を介して軸33及び調節部材32の回転運動を生ぜしめ、その結果、絞り弁を再び開放するようになっている。安全装置28の、ここではケーシングの外側に配置されている構成要素は、絞り弁内を流れる流体とは接触しておらず、したがって、図1の絞り弁1に比べて簡単に形成され、かつ安価に製造されるようになっている。
【0037】
図3には、図1及び図2の絞り弁1又は25に用いられる転動体ねじ式伝動装置20を詳細に示してある。転動体ねじ式伝動装置20は、支持ケーシング42内に収容されており、該支持ケーシングは、転がり軸受43を介して軸線方向及び半径方向で、図3には示してないケーシング2に支持されると共に、直接に二次マグネット18に結合されている。支持ケーシング42の回転運動は、この場合にも嵌合キー44を用いて転動体ねじ式伝動装置20のねじ式伝動装置ケーシング45に伝達されるようになっている。転動体ねじ式伝動装置20の転動体46は、転動体ねじ式伝動装置ケーシング45の回転運動を切換スピンドル21の直線運動に変換するようになっている。転動体ねじ式伝動装置20は、支持ケーシング42内に、該支持ケーシング内へねじ込まれたねじ若しくはナット47を用いて確保(保持)され、つまり位置決めされている。転動体ねじ式伝動装置は、高い効率のためにロールねじ式伝動装置として形成されており、ロールねじ式伝動装置により高い閉鎖速度も達成しており、高い閉鎖速度は圧力衝撃の伝達を防止するために必要とされている。
【符号の説明】
【0038】
1 絞り弁、 2 ケーシング、 3 流入開口、 4 絞り部、 5 流出開口、 6 弁本体、 7 ケーシング、 8 調節装置、 9 ケーシング、 10 安全装置、 11 調節部材、 12 保持器、 13 軸、 14 ウエブ、 15 絞りケージ、 16 ピストン、 17 一次マグネット、 18 二次マグネット、 19 支持ケーシング、 20 転動体ねじ式伝動装置、 21 切換スピンドル、 22 ラック式伝動装置、 23 ばね部材、 24 圧力プレート、 25 絞り弁、 26 切換スピンドル、 27 絞り部、 28 安全装置、 29 調節装置、 30 弁本体、 31 保持器、 32 調節部材、 33 軸、 34 フランジ、 35 圧力プレート、 36 支持ケーシング、 37 ロールねじ式伝動装置、 38 ロール、 39 嵌合キー、 40 ねじ式伝動装置ケーシング、 41 案内ロッド、 42 支持ケーシング、 43 転がり軸受、 44 嵌合キー、 45 ねじ式伝動装置ケーシング、 46 転動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り弁(1,25)であって、該絞り弁はケーシング(2)を備えており、該ケーシングは、流入圧力下の流体のための流入開口(3)、前記流体を流出圧力に絞るようになっている絞り部(4,27)、及び前記流体のための流出開口(5)を有しており、さらに前記絞り弁は前記ケーシング(2)の外側の調節部材(11,32)、回転可能な軸(13)及びピストン(6)を備えており、該ピストンは前記ケーシング(2)内に配置されていて管状の絞りケージ(15)内を軸線方向に移動するようになっており、前記調節部材(11,32)を用いて前記軸(13)の回転運動を生ぜしめ、該軸(13)の回転運動によって前記ピストン(16)の軸線方向の移動運動を生ぜしめるようになっており、前記ピストン(16)の前記軸線方向の移動運動によって前記絞り部(4,27)の絞り断面を調節するようになっている形式のものにおいて、前記調節部材(11,32)に一次マグネットを取り付けてあり、前記軸(13)に二次マグネットを取り付けてあり、かつ前記軸(13)に転動体ねじ式伝動装置(20)を取り付けてあり、前記調節部材(11,32)の回転運動は、前記一次マグネット及び前記二次マグネットから成る磁気式の連結部を介して前記軸(13)に伝達され、かつ前記転動体ねじ式伝動装置(20)によって前記ピストン(16)の軸線方向の移動運動に変換されるようになっていることを特徴とする絞り弁。
【請求項2】
切換スピンドル(21,26)及びはす歯列付きのラック式伝動装置(22)を備えており、調節部材(11,32)の回転運動は、転動体ねじ式伝動装置(20)によってまず前記切換スピンドル(26)の直線運動に変換され、かつ該切換スピンドル(26)の直線運動は、前記はす歯列付きのラック式伝動装置(22)によってピストン(16)の軸線方向の移動運動に変換されるようになっている請求項1に記載の絞り弁。
【請求項3】
調節部材(11,32)の回転運動は、転動体ねじ式伝動装置(20)によって直接にピストン(16)の軸線方向の移動運動に変換されるようになっている請求項1に記載の絞り弁。
【請求項4】
絞り断面の調節のための電動モータ式の駆動要素を含んでいる請求項1から3のいずれか1項に記載の絞り弁。
【請求項5】
調節部材(11,32)は駆動要素のステータとして形成されており、軸(13)は駆動要素のロータとして形成されており、一次マグネットは電磁石として形成されており、二次マグネットは永久磁石として形成されている請求項4項に記載の絞り弁。
【請求項6】
ばね部材(23)を含んでおり、該ばね部材は、ピストン(6)の基準位置から出発して調節部材(11,32)の回転運動に伴って圧縮されるようになっており、前記ばね部材(23)によって前記ピストン(6)は基準位置に戻されるようになっている請求項1から5のいずれか1項に記載の絞り弁。
【請求項7】
切換スピンドル(21,26)にばね部材(23)を取り付けてあり、該ばね部材は前記切換スピンドルの直線運動によって圧縮されるようになっている請求項2及び6項に記載の絞り弁。
【請求項8】
ばね部材(23)はケーシング(2)内に配置されている請求項7に記載の絞り弁。
【請求項9】
調節部材(11,32)にばね部材(23)を取り付けてあり、該ばね部材は前記調節部材の回転運動によって圧縮されるようになっている請求項6項に記載の絞り弁。
【請求項10】
ピストン(6)の基準位置で絞り弁の絞り断面は最大に開かれている請求項6から9のいずれか1項に記載の絞り弁。
【請求項11】
転動体ねじ式伝動装置(20)は、オイル産業及びガス産業における耐食性に関するNACE基準及びISO基準を満たしていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の絞り弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−518342(P2010−518342A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549793(P2009−549793)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000939
【国際公開番号】WO2008/098702
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509228949)
【氏名又は名称原語表記】MOKVELD VALVES B.V.
【住所又は居所原語表記】Nijverheidsstraat 67, NL−2802 AJ Gouda, Netherlands
【Fターム(参考)】