説明

給水装置

【課題】複数のインバータ制御部とこれらのインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部との通信異常が生じた場合であってもポンプを停止させることなく給水を継続することができる給水装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のポンプのうち対応するポンプの回転数をそれぞれ可変制御する複数のインバータと、複数のインバータのうち対応するインバータに対してそれぞれ速度指令を行う複数のインバータ制御部と、複数のインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部と、を備え、複数のインバータ制御部はそれぞれ、制御部からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う通常運転モードにより運転し、制御部との通信異常が発生した場合に前記制御部からの起動指令の有無に関わらず対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う異常運転モードにより運転する給水装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2008−202556号公報(特許文献1)がある。この公報には、「複数の可変速駆動手段によって駆動する複数のポンプを用いた給水装置においてn重系自律分散制御システムを構築し、システム信頼性を向上させるために、マイクロプロセッサMCUを搭載したインバータ本体1−2と制御基板1−1及びポンプ8−1、モータ9−1でn重系とし、マイクロプロセッサMCUを搭載したインターフェース基板I/Oを備え、給水装置の運転を制御するn重系システムにおいて、マイクロプロセッサMCU間を通信信号線Sで結線し、制御基板1−1はマスター号機かスレーブ号機かを選択設定手段を有し、制御基板の1台のみをマスター号機に他はスレーブ号機に設定され、マスター号機は自己を運転制御し、他のスレーブ号機全ての運転制御指令を行う。マスター号機は、自己の運転制御時及び運転制御停止時に、他のスレーブ号機全ての運転制御指令を行う。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−202556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、複数のポンプを備えた給水装置において、ポンプの回転速度を可変速制御するインバータの制御方法が記載されている。しかし、特許文献1の給水装置においては、マスター号機の制御基板とスレーブ号機の制御基板との間で通信異常が発生した場合に、インバータによるポンプの速度制御を行うことができず、ポンプが停止して給水を行うことができない虞がある。
【0005】
本発明の目的は、複数のインバータ制御部とこれらのインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部との通信異常が生じた場合であってもポンプを停止させることなく給水を継続することができる給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、該複数のポンプのうち対応するポンプの回転数をそれぞれ可変制御する複数のインバータと、複数のインバータのうち対応するインバータに対してそれぞれ速度指令を行う複数のインバータ制御部と、複数のインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部と、を備え、複数のインバータ制御部はそれぞれ、制御部からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う通常運転モードにより運転し、制御部との通信異常が発生した場合に前記制御部からの起動指令の有無に関わらず対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う異常運転モードにより運転する給水装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のインバータ制御部とこれらのインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部との通信異常が生じた場合であってもポンプを停止させることなく給水を継続することができる給水装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例の複数の駆動系システム構成図を示している。
【図2】本実施例の1台の駆動系システム構成図を示している。
【図3】本実施例の複数駆動系システムのポンプ運転特性図である。
【図4】本実施例の1台の駆動系システムポンプ運転特性図である。
【図5】制御部CUのメイン基板の運転制御手順を示したフローチャートである。
【図6】制御部CUのメイン基板の運転制御手順を示したフローチャートである。
【図7】可変速駆動装置(インバータ)の各運転モード、各機能の説明図である。
【図8】メイン基板から各制御基板に通信信号を送信する際のフォーマットである。
【図9】通信信号の送信フォーマットのコマンド番号とそのデータの内容を示したものである。
【図10】各インバータ制御部の各制御基板から制御部CUのメイン基板が信号を受信する場合の通信信号の受信フォーマットである。
【図11】コマンド番号とそのデータの内容を説明するための図である。
【図12】各インバータ制御部の運転制御手順を示したフローチャートである。
【図13】各インバータ制御部の運転制御手順を示したフローチャートである。
【図14】異常状態処理について説明するための図である。
【図15】メモリマップを説明するための図である。
【図16】通信異常時の処理を説明するための図である。
【図17】遠隔運転モードを検出するための回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例は1台以上の可変速駆動装置によって回転駆動されるポンプを用いた給水装置と1台の可変速駆動装置によって回転駆動される給水装置(ポンプ装置)にそれぞれ共通に適用できる給水装置用可変速駆動装置に関するものである。
【0011】
給水装置は、複数の可変速駆動手段(誘導電動機を駆動する場合はインバータが使用され、永久磁石電動機を駆動する場合はこれ用のコントローラが使用されるが、このコントローラもインバータをベースにしたものである。)によって駆動される複数のポンプを用いたものと、1台の可変速駆動手段によって駆動される1台のポンプを用いたものとがある。
【0012】
本実施例の給水装置は、それぞれにマイクロプロセッサーを搭載したインバータ本体と制御基板及びポンプ、モータでn重系を構成し、そしてこれらに共通なマイクロプロセッサーを搭載したメイン基板とで構成した自律分散給水制御システムにおいて、n重の制御基板はメイン基板から指令し、圧力制御はそれぞれの制御基板が行う。本実施例においては、以下に説明するように可変速駆動装置を複数台用と1台用を共通に使用することが可能であり、又、複数台用に合っては通信異常が発生したときの同時運転防止が十分になされており、1台用に合っては遠方からの指令で運転されることが可能である給水装置用可変速駆動装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
図1は、本実施例の複数の駆動系システム構成図を示している。8−1、8−2、8−3、8−4はそれぞれ複数のモータ9−1、9−2、9−3、9−4で駆動される複数のポンプであり、ここでは便宜上番号の小さい方より1号ポンプ、1号モータ、2号ポンプ、2号モータ、3号ポンプ、3号モータ、4号ポンプ、4号モータ、と称する。これらのポンプの吸込み側は吸込み管11を介して水源側と接続される。水源側は、直結方式では図示していないが水道本管からの水の供給を受ける。前記受水槽方式では、図示していないが受水槽から水の供給を受ける。
【0014】
12−1、12−2、12−3、12−4はそれぞれ逆止め弁、13−1、13−2、13−3、13−4及び14−1、14−2、14−3、14−4はそれぞれ仕切り弁、15は給水管、16はこの給水管15に備わり、ここの圧力に応じて電気信号を発する圧力センサである。このセンサによりポンプの吐出し圧力を制御(例えば吐出し圧一定、推定末端圧力一定)する。17は圧力タンクであり給水管15のポンプに近い部位に設ける。更に、需要側はこの給水管15端末の先が直送式の場合には、需要側給水管と接続して例えば集合住宅等の水栓に給水する。高置水槽式の場合には、この需要側給水管と接続して高置水槽へ給水する。
【0015】
1−2、2−2、3−2、4−2はそれぞれ前述のモータ9−1、9−2、9−3、9−4を駆動する可変速駆動装置(インバータ)の本体であり、それぞれ漏電遮断器ELB1、ELB2、ELB3、ELB4を介して電源側より電源の供給を受け、それぞれマイクロプロセッサMCU1−2、MCU2−2、MCU3−2、MCU4−2を備えた制御基板(インバータ制御部)1−1、2−1、3−1、4−1により、それぞれ自己のインバータ本体の駆動及び制御を行う。これらのインバータ制御部は表示部、操作部を備え、通常運転モード、通信異常運転モード、遠隔運転モード、遠隔通信異常運転モードなどの運転モードにより運転する。これらの運転モードについては後で詳述する。
【0016】
またそれぞれのインバータ制御部(制御基板とインバータ本体、圧力センサ接続用口はどちらにあってもよい。)は圧力センサ16からの圧力信号を受信する受信部を備えており、通常運転モードにおいては、この圧力信号を用いて対応するポンプの速度制御を行うための速度指令をインバータに対して行う。なお、インバータ制御部(制御基板とインバータ本体)はこの圧力制御を行うために必要となる始動圧力や目標圧力などのパラメータをメモリM01〜M04(例えばEEPROM)に記憶している。この圧力制御については後ほど詳述する。
【0017】
更に、制御基板の操作部には運転、停止、機能(このキーが押されると押されるごとに、例えば表示機能とパラメータ設定機能とが切り替わる)、保存(このキーが押されると表示部とタクトスイッチ等によって設定された前記パラメータがメモリに記憶される)、アップ、ダウン等の例えばタクトスイッチを備えている。尚、各インバータ制御部は各可変速駆動装置(インバータ)と分離してもこれに装着しても良い。
【0018】
メイン基板CUは制御電源遮断器CPを介して電源供給を受け、マイクロプロセッサMCU4、IDNO.を備えている。また、それぞれのインバータ制御部の運転モードを判定する運転モード判定機能を有しており、何台のインバータを起動するかを決める台数制御、あるいは、起動停止、圧力制御のためのパラメータを記憶している。また圧力センサ16の検出した圧力信号等を記憶するメモリM05(例えばEEPROM)を備え、表示部SC、操作部T、前述した吐出し側圧力センサ入力端子I1を備えている。
【0019】
またそれぞれのインバータ本体(可変速駆動装置)と制御基板とは通信信号線S1〜S4で結線し、この通信信号線S1〜S4を介して制御基板から対応するインバータ本体に対してポンプの起動指令や、速度制御指令、あるいは状態監視をする。またメイン基板CUとそれぞれの制御基板は通信信号線線S5〜S8とS9とで結線する。例えば、通信制御にはRS485を用いている。以上のように本実施例は4組で構成しているが、これを拡張してn重系制御システムを構成する。
【0020】
図2は、本実施例の1台の駆動系システム構成図を示している。これは、図1の複数の駆動系を1台にしたもので同じ記号で示す機器及び部品は同じものであるから、説明を省く。図2に示す駆動系システム構成図においては、メイン基板CUはなく、制御基板とインバータ本体(可変速駆動装置)のみで駆動できるものである。このように本実施例では、図1のように複数の駆動系システムであっても1台の駆動系システムであっても同様の制御基板及びインバータ本体で構成することができるため、別の構成のインバータ制御部(制御基板とインバータ本体)を用意する必要がないことから、共有化が図れコストの低減が図れる。
【0021】
図2においては、制御基板1−1からインバータ本体1−2に対して起動指令や速度制御指令が行われるが、このような外部からの起動指令に関わらず自己による運転をするか否かは通信ポートS5が開放されているか否かにより判断することができる。通信ポートが開放されていれば上記した自身による運転を行い、通信ポートS5が外部の機器(例えば遠隔の中央監視盤の監視端末)と通信接続されていれば、該監視端末からの指令に基づいてインバータ本体1−2を起動する。なお、インバータ本体1−2に対する圧力制御は、いずれにおいてもインバータ制御部(制御基板1−1とインバータ本体1−2)が圧力センサ16からの圧力信号を受信し、この圧力信号に基づいてインバータ本体1−2に対して速度制御指令を行う。
【0022】
図3は、本実施例の複数駆動系システムのポンプ運転特性図である。横軸に水量、縦軸に全揚程を取って示している。ここで、曲線Aはポンプ1台を100%の回転数(インバータのmax周波数に対応、表示はfmax)で運転した際のQ−H性能曲線を示す。曲線Eはポンプ1台をmin回転数(周波数表示はfmin)運転時のQ−H性能曲線を示す。更に、曲線Gは停止時のQ−H性能曲線(周波数はfoff)を示す。ここでは、100%及びmin回転数以外でのポンプQ−H性能の表示は省略している。同様に曲線Bはポンプ2台を、曲線Cはポンプ3台を、曲線Dはポンプ4台を100%の回転数で並列運転した際のQ−H性能曲線である。更に、曲線A’は1台を100%、もう1台をmin回転数(表示周波数はfmin1)で並列運転した場合のQ−H性能曲線、曲線B’は同様にポンプ3台を100%、もう1台をmin回転数(表示周波数はfmin2)で並列運転した場合のQ−H性能曲線である。曲線C’は前述の説明から自明であるから説明を省く。
【0023】
又、曲線Fはポンプで揚水した場合に生ずる弁類、配管等の配管抵抗曲線であり、ポンプの吐出し側圧力を制御する際の目標値となる。H00は水量0の点での目標圧力あり、前述した配管抵抗曲線Fとポンプ1台min(表示周波数はfmin)回転数運転時Q−H性能曲線Eとの交点で示される。同様にH01はポンプ1台100%運転時及びポンプ1台100%ともう1台min回転数(表示周波数はfmin1)で並列運転時の目標圧力であり、曲線A、曲線A’、曲線Fの交点で示される。この時の水量はQ1である。H04はポンプ4台100%で並列運転時の目標圧力であり、この時の水量はQ4である。H02、H03は以上の説明から自明でるから説明を省く。これらの目標圧力は曲線F上にある。
【0024】
図1で示した制御基板1−1〜1−4のうちまず1台目に起動する制御基板1−1は、圧力センサ16が検出する圧力が曲線F上の目標圧力となるようにインバータ本体1−2に対して速度制御指令を行う。インバータ本体1−2はこの速度制御指令を受けて対応する電動機IM1に電流を流すことで所望の回転数とし、これによりポンプの速度制御が行われる。起動するインバータが増える毎に1台のインバータのみが可変速に対応するポンプを速度制御し、その他のインバータは最高速度で運転するように、それぞれの制御基板は対応するインバータ本体に対して速度制御指令を行う。以下には図1のメイン基板CUが複数のインバータ制御部(制御基板とインバータ本体)に対して起動指令を行うタイミングについて説明する。
【0025】
Honは全停止状態から1台目のポンプ8−1が始動する際の始動圧力である。つまり、圧力センサ16の検出圧力がHon以下となるとメイン基板Cuは制御基板1−1に対して起動指令を行う。起動指令を受けた制御基板1−1は対応するインバータ本体1−2に対して起動指令を行い、さらに圧力センサ16の検出圧力を受信してこの検出圧力が目標圧力となるように(運転点が曲線F上になるように)、インバータ1−2に速度制御指令を行う。インバータ1−2は該速度制御指令を受けて対応する電動機9−1に電流を流すことによりポンプ8−1の速度制御を行う。
【0026】
H01onは2台目のポンプ8−2を追加始動させる際の始動圧力である。つまり、メイン基板CUは1台目のポンプ8−1(あるいは電動機9−1)の回転速度が周波数fmaxに達し、かつ、圧力センサ16の検出圧力がHo1on以下となったときに、2台目のインバータ本体2−2に対応する制御基板2−1に対して起動指令を行う。この起動指令を受けた制御基板2−1はインバータ本体2−2を起動し、さらに速度制御指令を行う。これにより、1台目のポンプ8−1は最高速度で運転し、2台目のポンプ8−2が可変速に制御されるため、圧力センサ16が曲線F上の目標圧力となるように速度制御を行うことが可能となる。なお、2台目のポンプ8−2を最高速度として、1台目のポンプを可変速に制御するようにしてもよい。H02onは3台目のポンプを追従始動させる場合の始動圧力であり、同様にH03onは4台目のポンプを追従始動させる際の始動圧力である。
【0027】
一方でH03offは4台運転中の1台を停止させるための停止圧力である。つまり4台全てのポンプが運転している場合に、可変速に運転しているポンプ(仮にポンプ8−4)の回転速度が周波数fmin3以下となって、かつ、圧力センサ16の検出圧力がH03off以上となった場合には、1台のポンプを停止させ、3台のポンプで運転を行う。
【0028】
同様にH02offは3台運転中の1台を停止させるための停止圧力であり、H01offは2台運転中の1台を停止させるための停止圧力、Hoffは最後の1台を停止させる際の停止圧力である。なお上記したポンプの停止条件が成立したら、前述した圧力タンクに保圧するため回転数をfoffまで上昇させ、停止圧Hoffに到達したら停止させるものである。
【0029】
これらの始動圧力や停止圧力などのデータはポンプ運転制御パラメータとして、それぞれの制御基板、またはメイン基板CUのメモリーに格納されている(図15参照)。設定はこれらの制御基板あるいはメイン基板CUに備わる表示部、操作部等の設定手段によって設定することができる。
【0030】
図4は、本実施例の1台の駆動系システムポンプ運転特性図である。これは、複数の駆動系(複数ポンプ)を1台の駆動系(1台のポンプ)にしたものであり、同じ記号で示すものは同じものであるから説明を省く。
【0031】
図5、図6はメイン基板CUのメイン基板の運転制御手順を示したフローチャートであり、これがプログラムとしてマイクロプロセッサMCUに搭載されている。
【0032】
図7はインバータ制御部(制御基板とインバータ本体)の各運転モード、各機能の説明図である。即ち、対応するインバータ制御部においてインバータの運転モードが選択されて、遠隔運転モード(遠方からの指令で運転)又は端末運転モード(自己判定で運転)にて使用される。遠隔運転モードにおいては2つの機能を備えており、機能1は、メイン基板CUと制御基板間の通信ようとして通常運転モードに用いる。機能2は、遠隔に設置された制御端末との通信に用いる。即ち、制御端末からの指令で各制御基板がインバータ本体に起動指令を行う。この場合もインバータ本体に対する速度制御指令は、制御基板が受信した圧力信号に基づいて行うものである。
【0033】
端末運転モードでは、制御基板とインバータ本体部による単独運転であり、外部からの起動指令に関わらず自身の制御基板からの指令によりインバータ本体に対して起動指令、又は、圧力センサからの圧力検出による圧力制御を行う。なお、この端末運転モードにおいては、手動運転と自動運転との何れかにより運転を行うことが可能であり、各制御基板は、自動運転、切、手動運転モードを選択可能な運転モード選択スイッチMODSWを有している。手動運転とは、運転、停止及び運転時の周波数指令を手動にて設定し、この設定した周波数(あるいは停止など)により制御基板は対応するインバータ本体に対して速度制御指令を行う。速度制御指令を受けたインバータは対応する電動機に対して電流を流し、これによりポンプが所望の回転速度により運転するものである。
【0034】
一方で自動運転とは、予め記憶したパラメータや検出圧力に基づいてポンプの速度制御を行う運転のことであり、たとえば前述した曲線F上の目標圧力となるように速度制御を行う運転することをいう。この自動運転の場合には、前述したように前記パラメータの設定および変更、圧力検出、始動及び停止判定、圧力制御機能等を有する。
【0035】
図8はメイン基板から各制御基板に通信信号を送信する際のフォーマットである。又、メイン基板、各制御基板はID番号によってそれぞれの基板が特定されるようになる。例えば次の通りである。
【0036】
基板名称 ID番号
メイン基板: 0
制御基板1台目 : 1
制御基板2台目 : 2
制御基板3台目 : 3
制御基板4台目 : 4
図9は前述した通信信号の送信フォーマットのコマンド番号とそのデータの内容を示したものである。コマンド番号が0の場合運転指令、1の場合パラメータ設定、2の場合データ送信要求を意味し、データとの組合わせでコマンド指令する。例えば、送信フォーマットのID番号が1、コマンド番号が0、データが3の場合、これを受信した制御基板の1台目(ここでは1号機とする。ポンプ8−1、モーター9−1、インバータ1−2、インバータ制御部1−1の系統をいう。)は、制御部CUのメイン基板I/Oからの変速運転指令と認識する。
【0037】
図10は各インバータ制御部の各制御基板から制御部CUのメイン基板が信号を受信する場合の通信信号の受信フォーマットであり、図11はこれのコマンド番号とそのデータの内容を示したものである。
【0038】
図12、図13は各インバータ制御部の運転制御手順を示したフローチャートであり、これがプログラムとして各マイクロプロセッサMCU1−2〜MCU4−2に同じものが搭載されている。
【0039】
さて、使用開始に当たって図1、図2に示す電源側漏電遮断器ELB1〜ELB4及び制御電源遮断器CPを投入すると、制御部CU及び各インバータ制御部のマイクロプロセッサMCU4、MCU1−2〜MCU4−2はイニシャル処理を実行し運転準備を行う(図5の300〜302ステップ、図12の900〜904ステップ)。ここでは、運転モード選択スイッチMODSWが切になっている状態を考える。又、図3、図4運転特性図において、圧力は停止圧力のHoffにあるものとする。
【0040】
メイン基板CUは図5の303ステップにおいて、インバータ制御部の制御基板1台目に対して送信処理(送信フォーマットのID番号が1、コマンド番号が0、データが0(運転モード選択スイッチMODSWが切))を実行する。インバータ制御部の制御基板1台目は図12の907ステップにおいて、この実行結果を受信する。そして、909、910、912ステップで待機処理を実行し、908ステップでこの状態をメイン基板CUへ返信処理(返信フォーマットのID番号が1、コマンド番号が0、データが0(受信正常))する。メイン基板CUは304ステップでこれを受信する。
【0041】
一方、メイン基板CUは図5の306ステップを実行した後、適宜図6の割り込み処理を実行し故障チエック、監視処理、運転モード設定処理、圧力検出処理を実行する。この結果、運転モード選択スイッチMODSWの状態“0、1”をメモリMODEに、圧力検出データをメモリAN0に格納しておく。同様に、インバータ制御部の各制御基板は図12の904ステップを実行した後、適宜図13の割り込み処理を実行し故障チエック、監視処理、遠隔運転モード及び端末運転モード選択処理、圧力検出処理を実行する。この結果、遠隔運転モード及び端末運転モード選択処理結果がメモリ9020番地、圧力検出データがメモリAN0(メモリ9021番地)に格納されている。
【0042】
ここで、先に、インバータ制御部の制御基板の遠隔運転モードの通信準備について説明する。図12の906ステップにおいて、MODOE1のデータが遠隔運転モードか端末運転モードかを判定する。遠隔運転モードと判定された場合、907ステップ以降の処理によって、メイン基板CUとの信号の授受が可能となる。
【0043】
端末運転モードと判定された場合、929ステップ以降の処理となりメイン基板CUとの信号の授受が不可となり、メイン基板CUからの信号に関わらないインバータ制御部(制御基板とインバータ本体)単独の自己判定による運転となる。すると、929ステップで手動運転モードか自動運転モードかを判定し、手動運転モードと判定した場合、931ステップで手動運転処理を行う。一方で自動運転モードと判定された場合、930ステップで始動及び停止処理、圧力検出処理、パラメータ設定及び変更処理、圧力制御処理を実行する。これらの処理の詳細は後で詳細に説明する。
【0044】
処理が終わったら905ステップに戻って、これ以降の処理を続ける。遠隔運転モード及び端末運転モードの処理及び端末運転モードでの手動運転処理及び自動運転処理は、遠隔運転モード及び端末運転モード判定(ステップ906)以降のステップにおいて行っている。更に、遠隔運転モードからの指令で運転している際に特定の駆動系(可変速駆動装置、ポンプ、モータ)を点検や緊急停止で停止させることがある。この場合、905ステップで操作部の停止タクトスイッチが押されたか判定しNOであれば、906ステップ以降に進み、YESであれば927、928で停止処理を行う。
【0045】
さて、水が使用されると図3、図4において給水圧力が始動圧力のHon以下に低下する。メイン基板CUは308ステップでメモリM05に記憶している始動圧力Honと前述した圧力センサの検出した圧力データAN0と比較する。この結果、ポンプ始動条件が成立しているので309ステップで各インバータ制御部の各制御基板に送信処理を行う(送信フォーマットのID番号が1、コマンド番号が0、データが3)。これは、1号機(ポンプ8−1、モーター9−1、インバータ1−2、インバータ制御部1−1の系統)が各制御基板の中からID番号で指定され変速運転指令をしたことを意味する。説明の便宜上1号機を先発機としたものである。
【0046】
1号機制御基板(インバータ制御部1−1のもの)は907、909、913、915、919、921、924ステップと実行し圧力制御の処理を行うと共に図1のインバータ本体1−2に対し運転及び圧力制御信号を発信する。インバータ本体1−2はこの信号に基づいて周波数制御してモーター9−1、ポンプ8−1の回転速度を可変速駆動する。この後、925ステップ(便宜上フローSWがOFFとして説明)を実行した後、906ステップでメイン基板CUに対して返信処理を実行する。メイン基板CUは310ステップでこの制御基板からの返信信号を受信処理する。尚、この受信、返信処理は前述から自明であるから説明は省く。
【0047】
更に、使用水量が増大して図1に示すQ1になると、920ステップの圧力制御によって、インバータの周波数はfmaxとなり、給水圧力は目標圧力のH01に到達する。更に、使用水量が増加すると給水圧力が低下して、2台目定速ポンプ始動圧力H01onに達する。メイン基板は311、312、313ステップの処理を実行し現在運転している1号機の周波数が最高周波数fmaxとなりこれがt1秒経過して給水圧力(圧力センサが検出した圧力データAN0)が2台目定速ポンプ始動圧力H01on以下になっているか判定し、316ステップで2台目ポンプを定速運転する送信指令実行する(送信フォーマットのID番号が2、コマンド番号が0、データが4)。これは、2号機(ポンプ8−2、モーター9−2、インバータ2−2、インバータ制御部2−1の系統)が各インバータ制御部の各制御基板の中からID番号で指定され定速運転指令をしたことを意味する。
【0048】
IDNO2で指定されたインバータ制御部2−1の制御基板は前述の送信フォーマットのコマンドにより905、906、907、909、913、915、919、920ステップ順に処理し定速運転する。使用水量がQ1〜Q2の間での使用量変動は、追従した2号機が定速であっても、先発した1号機が変速運転して、給水圧力を目標圧力H01〜H02に制御する。この後、908、905ステップを実行して前述の処理を実行していく。
【0049】
説明は省くが、図1、図3において、使用水量Q2を超えてQ3まで増大すると、3号機(ポンプ8−3、モーター9−3、インバータ3−2、制御基板3−2の系統)が定速運転で追従し、使用水量Q3を超えてQ4まで増大すると、4号機(ポンプ8−4、モーター9−4、インバータ4−2、インバータ制御部4−1の系統)が定速運転で追従して4台並列運転となる。
【0050】
次に、1号機が変速運転(図12の921、924、925、908,905と一連のステップの繰り返し処理)、2号機が定速運転(919、920、908,905と一連のステップの繰り返し処理)している状態で使用水量Q2からQ1未満に減少した場合について説明する。使用水量Q1では給水圧力はH01で1号機は周波数fmin1、2号機は周波数fmaxで定速運転、よって運転点は図3のポンプQ−H曲線のA’上にある。これより、更に使用水量が減少すると給水圧力が2台目停止圧力H01offを超える。制御部CUのメイン基板は320、321、322、323ステップを実行し現在運転している1号機の周波数が最低周波数fmin1となりこれがt2秒経過して給水圧力(圧力センサが検出した圧力データAN0)が1台目変速ポンプ停止圧力(2台→1台に減台の意味)H01off以上になっているか判定し、323ステップで1号機変速ポンプを停止、2号機定速ポンプを変速運転する送信指令実行する(1号機:送信フォーマットのID番号が1、コマンド番号が0、データが2、2号機:送信フォーマットのID番号が2、コマンド番号が0、データが3)。
【0051】
1号機は907、909、913、915、916、917、918ステップの順で停止して待機状態となる。2号機は907、909、913、915、919、921、924、925ステップの順で変速運転する(図3のQ1〜Q2)。
【0052】
説明は省くが、図3において、4台並列運転の状態より使用水量がQ4からQ1未満にまで減少すると、順番としては先発した1号機変速ポンプがまず停止し、次に2号機が定速運転から変速運転に変わり、その他の3号機及び4号機は定速運転のままとなる。次に、2号機変速ポンプが停止して、3号機が定速運転から変速運転に変わり、4号機は定速運転のままとなり、最後に3号機変速ポンプが停止し、4号機が定速運転から変速運転に変わる。
【0053】
このように本実施例では複数のインバータ制御部の運転モードをそれぞれ切替える運転モード切替手段を備え、これらの複数のインバータ制御部はそれぞれ、遠隔の制御端末との通信を行う通信部を備え、運転モード切替手段により、制御部からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う通常運転モードと、制御端末からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し、インバータに対して速度指令を行う遠隔運転モードと、の何れかの運転モードにより対応するインバータに対して速度指令を行う。
【0054】
また、この場合において、運転モード切替手段により複数のインバータ制御部はそれぞれ、通常運転モードと、遠隔運転モードと、遠隔運転モードで運転している場合で制御端末との通信異常が発生した場合に、制御端末からの起動指令の有無に関わらず前記インバータに対して速度指令を行う遠隔通信異常運転モードとの何れかの運転モードにより対応するインバータに対して速度指令を行う。さらに複数ポンプの吐出し側の圧力を検出し、該検出した圧力の信号を前記複数の制御部に送信する圧力センサを備え、複数のインバータ制御部はそれぞれ、異なる始動圧力を記憶し、遠隔通信異常運転モードにより運転する場合に、圧力センサが検出した圧力が記憶した始動圧力以下になった場合に対応するインバータに対して起動指令を行う。
【0055】
次に、メイン基板CUの通信異常、又はメイン基板CUと各各制御基板との間で通信異常が発生した場合の異常時処理について説明する。
【0056】
図14は、異常状態処理について説明するための図である。図14は図12に対して110〜114ステップを追加したものである。110ステップにおいて、メイン基板CUからの受信処理を行い、111ステップで通信異常か確認し、異常であれば112ステップで、運転モード即ちコマンドは停止か確認し停止であれば、113ステップで遠隔運転か端末運転かを選択してその結果を保存しているパラメータMODE1(メモリ9020番地)に端末モードのデータ(例えば00)を書き込み、114ステップで図11に示す通信異常の情報を乗せて返信する。これは、通信が正常に復帰した場合に遠方モードに戻れるようにするため処置である。
【0057】
又、複数台の駆動系の場合に前述した通信異常が発生すると通信異常と認識したそれぞれの制御基板(可変速駆動装置 インバータ)が全て運転してしまう恐れがある。そこで、本実施例においては、可変速駆動装置(インバータ)がn台ある場合は予めn台までの運転順番を決めておき、始動圧力パラメータを運転順番に合わせ、最初に運転するものを一番高く設定し、順次運転する順番で少しずつ低く設定しておくものである。設定圧力は例えば−2mである。即ち、通信異常と認識した制御基板が例えば1号機の場合、通常の常の始動圧力パラメータ−2mと設定し、3号機の場合、−6m、4号機の場合−8mと設定し同時運転しないようにしたものである。
【0058】
図16は図12に対して140〜149ステップを追加したものである。140ステップにおいて、メイン基板CUからの受信処理を行い、141ステップで通信異常か確認し、異常であれば142ステップで号機判定を行う。次の143ステップでパラメータ始動圧力Honを1号機であれば2m減じ、2号機であれば4m減じ、3号機であれば6m減じ、4号機であれば8m減じてこれに格納する処理を実行し、144ステップで、運転モード即ちコマンドは停止か判定し停止であれば、145以降の処理を実行し手動運転を行い、146ステップで図11に示す通信異常の情報を乗せて返信する。
【0059】
144ステップの処理がコマンド停止でなければ、147ステップで圧力センサの検出した給水圧力(図15のPDATA)がパラメータ始動圧力Hon(143ステップで減じる処理がされている。)以下か判定する。以下であれば905ステップ以降を実行して、915ステップ以降の自動運転処理を実行する。141ステップの判定で通信異常が正常に復帰したら、148、149ステップの処理によってパラメータ始動圧力Honを前の状態に戻す。このように通信異常時は実際のパラメータの始動圧力が号機に対応して減じられているので、通信異常の発生していない他の制御基板基板側の方が先に始動して、通信異常となった当該制御基板の方は更に水の使用により減じられた値まで給水圧が下がった時に始動することになる。これにより、水の使用がない時に通信異常が発生しても正常な制御基板より始動圧力が減じた値以下に低下しないと始動しないので、必要なくポンプを運転させることがない。
【0060】
しかし、号機の順に−2mずつ始動圧力パラメータを減じていくので台数が多いと号機が古くなる始動圧力が低くなりすぎる問題が生じる。これの改善を次に説明する。これは、可変速駆動装置(インバータ)がn台ある場合は予めn台までの運転順番を決めておき、始動圧力パラメータを確認する時間を運転順番に合わせ、最初に運転するものを一番短く設定し、順次運転する順番で少しずつ長く設定しておくものである。即ち、通信異常と認識した制御基板が例えば1号機の場合、通常の常の始動圧力パラメータ確認時間を30秒と設定し、3号機の場合、90秒、4号機の場合120秒と設定し同時運転しないようにしたものである。これは、例えば図16の142、143ステップで号機確認を行い、号機に対応して、確認時間(圧力センサが検出した給水圧力が始動パラメータより低くなっていることを確認する時間)を1号機の場合30秒、2号機の場合60秒、3号機は90秒、4号機は120秒と設定する。これは、図12の930ステップの処理に、圧力センサの検出した給水圧力が始動パラメータより低くなり、且つ、この状態が前記設定された時間以上となっていたら始動する処理を追加することにより達成することができる。
【0061】
以上のように本実施例の給水装置は、それぞれのインバータ制御部は制御部CUからの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う通常運転モードにより運転し、制御部CUとの通信異常が発生した場合に制御部CUからの起動指令の有無に関わらず対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う異常運転モードにより運転する。またこの場合において複数のインバータ制御部の運転モードをそれぞれ切替える運転モード切替手段を備え、運転モード切替手段により複数のインバータ制御部はそれぞれ、通常運転モードと、遠隔の制御端末からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う遠隔運転モードと、の何れかの運転モードにより対応するインバータに対して速度指令を行う。
【0062】
さらに複数ポンプの吐出し側の圧力を検出し、該検出した圧力の信号を前記複数の制御部に送信する圧力センサを備え、複数のインバータ制御部はそれぞれ、圧力センサからの信号を受信して対応するインバータに対して速度指令を行う。さらに複数のインバータ制御部はそれぞれ、異なる始動圧力を記憶し、異常運転モードにより運転する場合に、圧力センサが検出した圧力が記憶した始動圧力以下になった場合に対応するインバータに対して起動指令を行う。
【0063】
次に、各制御基板(可変速駆動装置)は前述したように予め、遠方モードか、端末モードかを選択しパラメータMODE1としてメモリ920番地に保存している。1台の駆動系で単体で用いる場合にパラメータMODE1に遠方モードが設定されていると、遠方からの指令がこないため運転できなくなる恐れがある。
そこで、通信ポートのS5が開放されている場合、この状態を検出して遠方か端末かを選択してそのデータを保存しているMODE1に端末モード(例えば00)を選択したこと意味するデータを書き込むようにする。遠方からの運転指令を利用する場合は、通信ポートのS5にモジュラージャック170が接続される。端末として使用されるときはこのポートが開放となる。
【0064】
図17はこの状態を説明するための図であり図に示す回路で検出することが出来る。即ち、フォトカプラー171の出力をマイクロプロセッサーの入力ピン例えばI0に取り込んでいるので、モジュラージャック170が接続されている場合はフォトカプラー171がオンし、マイクロプロセッサーの入力ピンI0が0vとなり、開放されている時には5vとなる。図13の102ステップと103ステップの間に入力ピンI0が0vの時は遠方、5vの時は端末とするモード選択を追加することで達成することができる。
【0065】
以上に説明したように本実施例の給水装置は、それぞれの可変速駆動装置にマイクロプロセッサーを搭載し、これらと及びポンプ、モータで複数の駆動系を構成し、そしてこれらに共通なマイクロプロセッサーを搭載したメイン基板とで構成した給水装置又はマイクロプロセッサーを搭載した1台の可変速駆動装置及びポンプ、モータで1台の駆動系とで構成した給水装置において、可変速駆動装置はインバータ機能を有しており、通信(無線,有線を問わず)機能を有しており、遠方(遠方からの指令で運転を始める)か、停止か、端末(自己にて運転を始める)かを選択するスイッチ機能を有しており、外部からのセンサ信号(例えば圧力センサ)を取り込んでポンプの圧力制御(末端圧力一定制御)する機能を有している機能群で構成したものである。
【0066】
これにより、給水装置用の可変速駆動装置を複数台用と1台用を共通に使用することが可能となり生産性及び使い勝手が向上する。又、複数台用に合っては通信異常が発生したときの同時運転防止が十分になされ、1台用に合っては遠方からの指令で運転されることが可能となる。
【0067】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0068】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0069】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1−2・2−2・3−2・4・2…インバータ、1−1・2−1・3−1・4−1…インバータ制御部、CU…制御部、8−1・8−2・8−3・8−4…ポンプ、9−1・9−2・9−3・9−4…モータ、16…圧力センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポンプと、
該複数のポンプのうち対応するポンプの回転数をそれぞれ可変制御する複数のインバータと、
該複数のインバータのうち対応するインバータに対してそれぞれ速度指令を行う複数のインバータ制御部と、
該複数のインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部と、
を備え、
前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、
前記制御部からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う通常運転モードにより運転し、
前記制御部との通信異常が発生した場合に前記制御部からの起動指令の有無に関わらず対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う異常運転モードにより運転することを特徴とする給水装置。
【請求項2】
請求項1の給水装置において、
前記複数のインバータ制御部の運転モードをそれぞれ切替える運転モード切替手段を備え、
該運転モード切替手段により前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、
前記通常運転モードと、
遠隔の制御端末からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う遠隔運転モードと、
の何れかの運転モードにより対応するインバータに対して速度指令を行うことを特徴とする給水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の給水装置において、
前記複数のポンプの吐出し側の圧力を検出し、該検出した圧力の信号を前記複数の制御部に送信する圧力センサを備え、
前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、前記圧力センサからの信号を受信して対応するインバータに対して速度指令を行うことを特徴とする給水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の給水装置において、
前記複数のポンプの吐出し側の圧力を検出し、該検出した圧力の信号を前記複数の制御部に送信する圧力センサを備え、
前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、
異なる始動圧力を記憶し、
前記異常運転モードにより運転する場合に、前記圧力センサが検出した圧力が記憶した始動圧力以下になった場合に対応するインバータに対して起動指令を行うことを特徴とする給水装置。
【請求項5】
請求項4に記載の給水装置において、
前記複数のインバータ制御部がそれぞれ記憶する始動圧力のうち、前記異常運転モードにより運転する場合に、最初に起動するインバータに対応するインバータ制御部の記憶する始動圧力が最も高いことを特徴とする給水装置。
【請求項6】
複数のポンプと、
該複数のポンプのうち対応するポンプの回転数をそれぞれ可変制御する複数のインバータと、
該複数のインバータのうち対応するインバータに対してそれぞれ速度指令を行う複数のインバータ制御部と、
該複数のインバータ制御部に対してインバータの起動指令を行う制御部と、
前記複数のインバータ制御部の運転モードをそれぞれ切替える運転モード切替手段と、を備え、
前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、
遠隔の制御端末との通信を行う通信部を備え、
前記運転モード切替手段により、
前記制御部からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し該インバータに対して速度指令を行う通常運転モードと、
前記制御端末からの起動指令に基づいて対応するインバータを起動し、該インバータに対して速度指令を行う遠隔運転モードと、
の何れかの運転モードにより対応するインバータに対して速度指令を行うことを特徴とする給水装置。
【請求項7】
請求項6に記載の給水装置において、
前記運転モード切替手段により前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、
前記通常運転モードと、
前記遠隔運転モードと、
該遠隔運転モードで運転している場合で前記制御端末との通信異常が発生した場合に、前記制御端末からの起動指令の有無に関わらず前記インバータに対して速度指令を行う遠隔通信異常運転モードと、
の何れかの運転モードにより対応するインバータに対して速度指令を行うことを特徴とする給水装置。
【請求項8】
請求項7に記載の給水装置において、
前記複数のポンプの吐出し側の圧力を検出し、該検出した圧力の信号を前記複数の制御部に送信する圧力センサを備え、
前記複数のインバータ制御部はそれぞれ、
異なる始動圧力を記憶し、
前記遠隔通信異常運転モードにより運転する場合に、前記圧力センサが検出した圧力が記憶した始動圧力以下になった場合に対応するインバータに対して起動指令を行うことを特徴とする給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−225255(P2012−225255A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93605(P2011−93605)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】