説明

給油装置

【課題】停電や表示部に故障が生じても、給油料金を適切に精算することが可能な給油装置を提供する。
【解決手段】単価、給油量及び給油金額を表示する主表示部20と、単価、給油量及び給油金額を表示する副表示部21とを備え、副表示部21が、バッテリ24に接続され、バッテリ24からの電力によって駆動される給油装置1。また、主表示部20は、給油者が給油を行う際に、目標給油量に対する給油進行度を示す状態表示バー61を表示するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油装置に関し、特に、給油量を表示する表示部を備えた給油装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、給油所では、道路を走行中の車両への喚起や操作性の向上を目的として、給油装置の大型化が進められている。その一環として、本出願人は、表示部及び操作部を大型化することで、給油量等を見易くしたり、使い勝手を向上させたセルフ給油装置を提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−350110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の給油装置においては、給油の途中で、停電が発生して給油装置の電源がオフしたり、表示部に何らかの故障が生じると、表示部の表示画面が消えてしまう。このため、それまでの給油量を把握できなくなり、給油料金を適切に精算できなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、停電や表示部に故障が生じても、給油料金を適切に精算することが可能な給油装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、給油装置であって、給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示する主表示部と、該主表示部を駆動させる電源と異なる電源によって駆動され、給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示する副表示部とを備えることを特徴とする。
【0007】
そして、本発明によれば、停電や主表示部に故障が発生して主表示部の表示画面が消えたとしても、副表示部で給油量等の表示を継続することができる。このため、停電や故障が発生する直前までの給油量等を把握し得るようになり、給油料金を適切に精算することが可能になる。
【0008】
上記給油装置において、前記副表示部がバッテリ電源によって駆動されるように構成することができる。
【0009】
上記給油装置において、前記主表示部が、給油者が給油を行う際に、目標給油量に対する給油進行度を表示することができる。これによれば、残りの給油量がどの程度であるかを給油者が把握することができ、給油が完了するまでの時間を予測し易くなる。
【0010】
上記給油装置において、前記目標給油量に対する給油進行度を、給油量に応じて伸縮する状態表示バーによって表示することができ、これによれば、給油進行度を視覚的に把握し易くすることが可能になる。
【0011】
上記給油装置において、前記主表示部が、燃料の単価を表示する単価表示と、給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示する給油表示と、キャンペーン情報、天気情報、交通情報及び広告宣伝の少なくとも1つを表示する付加表示との間で、表示画面を切替可能に構成され、給油が開示されるまでの間、前記単価表示を行うとともに、給油の開始から終了までの間、前記給油表示を行い、給油が終了してから所定の期間に亘り、前記付加表示を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、停電や表示部に故障が生じても、給油料金を適切に精算することが可能な給油装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる給油装置の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1の給油装置の側面図である。
【図3】図1の給油装置の機器構成を示すブロック図である。
【図4】図1の主表示部の表示画面を示す図である。
【図5】(a)は、主表示部の給油表示画面を示す図であり、(b)は、副表示部の給油表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下においては、本発明にかかる給油装置をセルフ給油用の給油装置に適用した場合を例にとって説明する。
【0015】
図1〜図3は、本発明にかかる給油装置の一実施の形態を示し、この給油装置1は、給油エリアに面する正面側及び背面側から顧客又は従業員が操作し、例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン及び軽油等のいずれかを給油する装置である。尚、給油装置1の背面は、図1に示す正面と同様の構成を有するため、図示を省略する。
【0016】
給油装置1のハウジング本体2は、例えば、横幅が100〜150cm程度、奥行きが50〜60cm程度、高さが200〜250cm程度(大人が正面側又は背面側の給油エリア側からやや見上げる高さ)で、略々矩形箱型に形成される。このハウジング本体2は、大別して、ベースプレート3上に設置された本体ケース4と、本体ケース4に被設されたカバー部5とから構成される。
【0017】
本体ケース4の内側下部には、油種毎の給油ポンプや流量計等からなる給油機構11(図3参照)を収容するための機器ケース(不図示)が形成される。また、本体ケース4の内側上部(機器ケースの上方)には、後述の主表示部20や副表示部21等を搭載するための表示部ケース(不図示)が形成される。さらに、本体ケース4の上端部には、油種毎の給油機構11に各々配管で接続された複数のホース接続部12が設けられ、各ホース接続部12には、先端に給油ノズル14を有する給油ホース13が連結される。
【0018】
本体ケース4の正面及び背面には、正面視長方形状の開口部15が穿設され、その開口部15から露出するように、本体ケース4の内側から平板状のパネル18が取り付けられる。パネル18には、燃料単価、給油量、給油金額及びサービス情報等を表示する主表示部20と、燃料単価、給油量、給油金額を表示する副表示部21と、各種の入力設定や給油料金の精算を行うための操作部23とが配置される。
【0019】
主表示部20は、例えば、対角線長が22〜24インチ程度の大型の液晶カラーディスプレイによって構成され、燃料単価や給油量等が見易い大きさに形成される。一方、副表示部21は、例えば、対角線長が3〜5インチ程度の液晶モノクロディスプレイであり、主表示部20の1/7〜1/5程度の大きさに形成される。尚、副表示部21を、主表示部20よりも小サイズのディスプレイで構成するのは、消費電力や部品コストを抑えるのに加え、パネル18上での副表示部21の占有面積を小さくし、主表示部20や操作部23の配置領域が狭く制限されるのを回避するためである。
【0020】
図3に示すように、主表示部20は、電力会社から送電される商用電源(給油所での通常電源)によって駆動され、一方、副表示部21は、給油装置1に内蔵、又は給油所に設置される予備電源としてのバッテリ24に接続され、バッテリ24からの電力によって駆動される。尚、バッテリ24は、商用電源によって充電されながら副表示部21に電力を供給する。
【0021】
図1に戻り、操作部23には、油種、給油量、給油料金等の給油データを入力設定するためのタッチパネル31と、会員カードやプリペイドカードへのデータの読み書きを行うカードリーダ/ライタ32と、投入された紙幣を読み取る紙幣読取機33と、給油料金伝票を印字するプリンタ34と、利用客(給油者)の接近を検知する人体検知センサ35と、利用客に釣り銭を返却するための釣銭返却機36と、従業員と連絡するためのインターフォン37等が配置される。これらの機器は、図3に示すように、給油装置1内に収容される制御装置38に接続される。
【0022】
図2に示すように、カバー部5は、本体ケース4の頂部、正面及び背面を被うように配置され、カバー部5の正面及び背面には、本体ケース4の開口部15と対応する位置に、開口部15と同一サイズの開口部16が穿設される(図1参照)。また、カバー部5の下部には、下方に向かうほど、正面側及び背面側に突出する傾斜部41が形成される。
【0023】
傾斜部41には、給油ノズル14を掛け置くためのノズル掛け42が形成され、ノズル掛け42の近傍には、給油ノズル14の掛け外しを検知するノズルスイッチ43が付設される。また、傾斜部41には、人体に帯電した静電気を除去するための静電除去部44と、車両の給油口から取り外した給油口キャップ(不図示)を載置するためのキャップ置き45とが設けられる。
【0024】
次に、上記構成を有する給油装置1の動作について、図1〜図5を参照しながら説明する。ここでは、先ず、通常時の動作について説明する。
【0025】
図4に示すように、給油を行っていない状態(待機状態)においては、主表示部20に、支払い方法別に分けて油種毎の燃料単価を表示する。そして、利用客又は従業員(給油者)が、給油装置1に近づいて、油種、給油方法(定額給油、定量給油、満タン給油)の選択及び給油料金の支払いを行った後、ノズル掛け42から給油ノズル14を引き出すと、給油装置1では、ノズルスイッチ43がオンし、給油を許可する。
【0026】
給油が始まると、給油装置1では、主表示部20の表示画面を給油表示に切り替え、給油量、給油金額等を表示する。その際、定額給油を選択していれば、画面51〜53のように、給油金額を大きく表示した画面を表示し、定量給油を選択していれば、画面54〜56のように、給油量を大きく表示した画面を表示する。
【0027】
また、給油の際には、図5(a)に示すように、主表示部20の表示画面の下部に、給油量に応じて伸縮する状態表示バー61を表示する。この状態表示バー61は、目標給油量に対する給油進行度を示すものであり、図5(a)の場合、目標給油量(1000円分の給油量)の1/5程度までの給油が完了したことを示している。このように、状態表示バー61を表示することで、残りの給油量がどの程度であるかを給油者が視覚的に把握することができ、給油が完了するまでの時間を予測し易くなる。
【0028】
尚、上記の表示形態においては、目標とする給油量を全体とし、現在までに終了した給油分の割合を示すようにしているが、満タン給油等のように目標給油量が定かでない場合には、状態表示バー61の1目盛り分61aを所定の給油量(例えば、5L)に割り当て、その分の給油が完了する都度、状態表示バー61の表示を1目盛りずつ伸ばすようにしてもよい。この際、給油が最後まで完了していないにも拘わらず、状態表示バー61の表示が右端まで伸びきってしまった場合には、改めて左端から表示を始め、給油量を提示する。
【0029】
上記の主表示部20の表示処理と併行し、図5(b)に示すように、副表示部21に給油金額、給油量等を表示する。副表示部21の表示は、主表示部20の表示と連動するように行い、主表示部20と同一の給油金額、給油量等が表示されるようにする。尚、図5(b)の符号62は、プリセット量(目標給油量)であり、符号64は、給油されている燃料の単価である。
【0030】
給油が終了し、給油者が給油ノズル14をノズル掛け42に掛け置くと、給油装置1では、ノズルスイッチ43がオフし、給油ポンプ(不図示)が停止する。そして、図4に示すように、主表示部20の表示画面を付加表示に切り替え、所定の期間(例えば、30〜150秒)に亘り、キャンペーン情報、天気情報、交通情報及び広告宣伝の少なくとも1つを表示する。付加表示の表示期間が満了すると、主表示部20の表示画面を単価表示に切り替える。
【0031】
次に、停電時や主表示部20が故障した場合の動作について説明する。
【0032】
給油の途中で停電が発生すると、給油装置1の電源がオフするため、給油が中断されるとともに、主表示部20の表示画面(図4の画面51〜56)が消える。一方、副表示部21は、バッテリ24によって駆動されているため、給油装置1の電源がオフするのに関係なく、給油表示を継続する。このため、給油者は、副表示部21の表示画面を見て、停電直前までの給油量を把握することができ、結果的に過払いとなった分の料金(先払い分から給油できた分を差し引いたもの)の返還を求めたり、給油の不足分を事後的に補給してもらうなどの対応を採ることが可能になる。
【0033】
また、主表示部20が故障した場合は、主表示部20の表示画面が消えたり、給油量等を正確に表示しなくなる一方で、副表示部21は、正確な給油量等を表示し続ける。このため、給油者は、副表示部21の表示画面を見て、正しい給油量等を把握することができる。
【0034】
尚、上記実施の形態においては、本発明にかかる給油装置をセルフ用の給油装置に適用した場合を例示したが、本発明は、フルサービス用の給油装置にも適用することができる。
【0035】
また、上記実施の形態においては、主表示部20及び副表示部21に、給油量、給油金額及び単価を表示するが、必ずしも、これらの全てを表示する必要はなく、給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示すれば足りる。
【0036】
さらに、上記実施の形態においては、状態表示バー61を主表示部20の表示画面内に表示するが、例えば、パネル18やカバー部5に、複数のLEDを直線状に並べて設置し、それらのLEDを給油量に応じて点灯させることで、目標給油量に対する給油進行度を示すようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態おいては、本体ケース4とカバー部5を別体で構成するが、これらは一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 給油装置
2 ハウジング本体
3 ベースプレート
4 本体ケース
5 カバー部
11 給油機構
12 ホース接続部
13 給油ホース
14 給油ノズル
15 開口部
16 開口部
20 主表示部
21 副表示部
23 操作部
24 バッテリ
31 タッチパネル
32 カードリーダ/ライタ
33 紙幣読取機
34 プリンタ
35 人体検知センサ
36 釣銭返却機
37 インターフォン
38 制御装置
41 傾斜部
42 ノズル掛け
43 ノズルスイッチ
44 静電除去部
45 キャップ置き
51〜56 画面(給油表示)
61 状態表示バー
61a 状態表示バーの1目盛り
62 プリセット量
64 単価

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示する主表示部と、
該主表示部を駆動させる電源と異なる電源によって駆動され、給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示する副表示部とを備えることを特徴とする給油装置。
【請求項2】
前記副表示部がバッテリ電源によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載の給油装置。
【請求項3】
前記主表示部は、給油者が給油を行う際に、目標給油量に対する給油進行度を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の給油装置。
【請求項4】
前記目標給油量に対する給油進行度が、給油量に応じて伸縮する状態表示バーによって表示されることを特徴とする請求項3に記載の給油装置。
【請求項5】
前記主表示部は、燃料の単価を表示する単価表示と、給油量及び給油金額の少なくとも1つを表示する給油表示と、キャンペーン情報、天気情報、交通情報及び広告宣伝の少なくとも1つを表示する付加表示との間で、表示画面を切替可能に構成され、給油が開示されるまでの間、前記単価表示を行うとともに、給油の開始から終了までの間、前記給油表示を行い、給油が終了してから所定の期間に亘り、前記付加表示を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の給油装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−255905(P2011−255905A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129867(P2010−129867)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ・メカトロニクス (167)
【Fターム(参考)】