説明

給湯システム

【課題】ふろ湯はり中にシャワーや蛇口給湯を行う場合は、ふろ湯はり流量を制限することにより、湯はりと給湯を同時に行うことができる給湯システムを提供すること。
【解決手段】ふろ湯はり用電磁弁7の下流側に、湯はり流量を制限するふろ流量調整オリフィス8を配設するとともに、ふろ流量調整オリフィス8の上流側で分岐し下流側で合流するバイパス路9を形成し、バイパス路9にふろ流量バイパス用電磁弁10を配設し、ふろ湯はり中で給湯流量センサ6が給湯流量を検知しているときにふろ流量バイパス用電磁弁10を閉じる制御回路を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふろ湯はり機能と給湯機能を有する給湯システムに関し、特に、ふろ湯はり流量を制限することにより、湯はりと給湯を同時に行えるようにするとともに、ふろ湯はり運転の開始と停止によるウォータハンマーを防止することができる給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯システムでは、ふろ湯はり中にシャワーや蛇口給湯を行うと給湯流量が不足したり、給湯温度が不安定になることがあった。
また、ふろ湯はりの開始と終了を行う機能が、ふろ湯はり用開閉手段のみによるものであったため、ウォータハンマーが生じていた。
【0003】
一方、下記の特許文献1に記載の給湯システムでは、ふろ湯はり用開閉弁の上流側に流量制御弁を配設し、ふろ湯はりの終了時点で流量制御弁を閉側に駆動し、流量を減少させてから、ふろ湯はり用開閉弁を閉じることにより、ウォータハンマーを抑制するようにしているが、流量を減少させるのに流量制御弁を使用することから高価になる上、流量制御弁を徐々に閉じながら流量を減少させるため、動作が遅くなるなどの問題があった。
【特許文献1】特開平7−35408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の給湯システムが有する問題に鑑み、ふろ湯はり中にシャワーや蛇口給湯を行う場合は、ふろ湯はり流量を制限することにより、湯はりと給湯を同時に行うことができる給湯システムを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、ふろ湯はりの運転と停止を行う場合は、湯はり流量を制限しながら行うことにより、ウォータハンマーを防止することができる給湯システムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記第1目的を達成するため、本発明の給湯システムは、ふろ湯はり用の湯水混合手段と給湯用の湯水混合手段とを有し、給湯用の湯水混合手段の下流側に給湯流量センサを設けた給湯システムにおいて、ふろ湯はり用開閉弁の下流側で本管とバイパス路とを並設し、本管とバイパス路の一方に、湯はり流量を制限するふろ流量調整オリフィスを配設するとともに、本管とバイパス路のもう一方に、ふろ流量バイパス用開閉弁を配設し、ふろ湯はり中で給湯流量センサが給湯流量を検知しているときにふろ流量バイパス用開閉弁を閉じる制御回路を設けたことを特徴とする。
【0006】
さらに、上記第2目的を達成するため、本発明の給湯システムは、ふろ湯はり開始時に、ふろ湯はり用開閉弁を開いてから一定時間遅らせてふろ流量バイパス用開閉弁を開き、ふろ湯はり終了時に、ふろ流量バイパス用開閉弁を閉じてから一定時間遅らせてふろ湯はり用開閉弁を閉じる制御回路を設けることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の給湯システムによれば、ふろ湯はり用の湯水混合手段と給湯用の湯水混合手段とを有し、給湯用の湯水混合手段の下流側に給湯流量センサを設けた給湯システムにおいて、ふろ湯はり用開閉弁の下流側で本管とバイパス路とを並設し、本管とバイパス路の一方に、湯はり流量を制限するふろ流量調整オリフィスを配設するとともに、本管とバイパス路のもう一方に、ふろ流量バイパス用開閉弁を配設し、ふろ湯はり中で給湯流量センサが給湯流量を検知しているときにふろ流量バイパス用開閉弁を閉じる制御回路を設けることから、ふろ湯はり中にシャワーや蛇口給湯を行っても、ふろ流量バイパス用開閉弁が閉じることによってふろ流量調整オリフィスで湯はり流量が制限され、これにより、給湯側に十分な流量を確保するとともに、給湯温度の安定化を図ることができる。
【0008】
この場合、ふろ湯はり開始時に、ふろ湯はり用開閉弁を開いてから一定時間遅らせてふろ流量バイパス用開閉弁を開き、ふろ湯はり終了時に、ふろ流量バイパス用開閉弁を閉じてから一定時間遅らせてふろ湯はり用開閉弁を閉じる制御回路を設けることにより、湯はり流量を制限しながらふろ湯はり運転の開始と停止を行うことができ、これにより、急激な水圧の変動を抑制して、ウォータハンマーによる水位センサの破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の給湯システムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1に、本発明の給湯システムの一実施例を示す。
この給湯システムは、電気給湯機の貯湯タンク1の上部から出湯管2を延設するとともに、出湯管2を分岐し、この分岐した配管に、ふろ湯はり用の湯水電動混合弁3と給湯用の湯水電動混合弁4とを設けている。
ふろ湯はり用の湯水電動混合弁3及び給湯用の湯水電動混合弁4にはそれぞれ水道管5が接続されるとともに、給湯用の湯水電動混合弁4の下流側には給湯流量センサ6が設けられている。
そして、この給湯システムは、ふろ湯はり用電磁弁7の下流側に、湯はり流量を制限するふろ流量調整オリフィス8を配設するとともに、ふろ流量調整オリフィス8の上流側で分岐し下流側で合流するバイパス路9を形成し、バイパス路9にふろ流量バイパス用電磁弁10を配設し、ふろ湯はり中で給湯流量センサ6が給湯流量を検知しているときにふろ流量バイパス用電磁弁10を閉じる制御回路(図示省略)を設けている。
【0011】
本実施例の給湯システムでは、給湯流量センサ6が給湯流量を検知しているときに湯はりを行う場合は、湯はり流量を調整することで、給湯流量を低下させずに、給湯と湯はりを同時に使用することができる。
例えば、ふろ湯はり用電磁弁7の下流側に、毎分5L/minの湯が一定に流れるようにふろ流量調整オリフィス8を設ける。そして、このふろ流量調整オリフィス8をバイパスさせるように並列にふろ流量バイパス用電磁弁10を設ける。
【0012】
通常、ふろ湯はりを行うときは、このふろ流量バイパス用電磁弁10は開いている。
ここで、動圧150kPaのとき毎分20L/minの流量特性をもつ減圧弁11を有すると仮定すると、ふろ流量調整オリフィス8からは毎分5L/minの湯が流れるため、20L/minのうち残りの15L/minはふろ流量バイパス用電磁弁10から流れる。
このとき、給湯流量センサ6が給湯流量を検知した場合、給湯流量を増大させるため、ふろ流量バイパス用電磁弁10のみを閉じる。その分、それまでふろ流量バイパス用電磁弁10から流れていた15L/minの湯を、シャワーや蛇口給湯に使用することができる。
また、給湯流量センサ6が給湯流量を検知しなくなれば、ふろ流量バイパス用電磁弁10を開くようにする。
【0013】
かくして、本実施例の給湯システムは、ふろ湯はり用の湯水電動混合弁3と給湯用の湯水電動混合弁4とを有し、給湯用の湯水電動混合弁4の下流側に給湯流量センサ6を設けた給湯システムにおいて、ふろ湯はり用電磁弁7の下流側に、湯はり流量を制限するふろ流量調整オリフィス8を配設するとともに、ふろ流量調整オリフィス8の上流側で分岐し下流側で合流するバイパス路9を形成し、バイパス路9にふろ流量バイパス用電磁弁10を配設し、ふろ湯はり中で給湯流量センサ6が給湯流量を検知しているときにふろ流量バイパス用電磁弁10を閉じる制御回路を設けることから、ふろ湯はり中にシャワーや蛇口給湯を行っても、ふろ流量バイパス用電磁弁10が閉じることによってふろ流量調整オリフィス8で湯はり流量が制限され、これにより、給湯側に十分な流量を確保するとともに、給湯温度の安定化を図ることができる。
【実施例2】
【0014】
この給湯システムは、上記実施例1の給湯システムにおいて、ふろ湯はり開始時に、ふろ湯はり用電磁弁7を開いてから一定時間遅らせてふろ流量バイパス用電磁弁10を開き、ふろ湯はり終了時に、ふろ流量バイパス用電磁弁10を閉じてから一定時間遅らせてふろ湯はり用電磁弁7を閉じる制御回路(図示省略)を設けている。
【0015】
すなわち、図1に示すように、ふろ湯はり用電磁弁7の下流側に、一定流量以下のお湯が流れるようにふろ流量調整オリフィス8を設け、このふろ流量調整オリフィス8をバイパスさせるように並列にふろ流量バイパス用電磁弁10を設ける。
湯はりを開始するときは、先にふろ湯はり用電磁弁7から開き、ふろ流量バイパス用電磁弁10は閉じている。
湯はり流量は、ふろ流量調整オリフィス8によって一定流量以下におさえられ、その後、ふろ流量バイパス用電磁弁10を開く。
【0016】
また、湯はりを終了するときは、先にふろ流量バイパス用電磁弁10を閉じる。このときも、ふろ流量バイパス用電磁弁10により一定流量以下のお湯が流れ、最後にふろ湯はり用電磁弁7を閉じる。
このようにすることで、ふろ湯はり流量を段階的に調整することができ、ふろ湯はり用電磁弁7の開閉によるウォータハンマーを防止することができる。
【0017】
かくして、本実施例の給湯システムは、ふろ湯はり開始時に、ふろ湯はり用電磁弁7を開いてから一定時間遅らせてふろ流量バイパス用電磁弁10を開き、ふろ湯はり終了時に、ふろ流量バイパス用電磁弁10を閉じてから一定時間遅らせてふろ湯はり用電磁弁7を閉じる制御回路を設けることから、湯はり流量を制限しながらふろ湯はり運転の開始と停止を行うことができ、これにより、急激な水圧の変動を抑制して、ウォータハンマーによる水位センサ12の破損を防止することができる。
【0018】
以上、本発明の給湯システムについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、実施例に記載した構成を適宜組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の給湯システムは、ふろ湯はり流量を制限することにより、湯はりと給湯を同時に行えるようにするとともに、ふろ湯はり運転の開始と停止によるウォータハンマーを防止するという特性を有していることから、例えば、電気給湯機の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の給湯システムの実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0021】
1 貯湯タンク
2 出湯管
3 湯はり用湯水電動混合弁
4 給湯用湯水電動混合弁
5 水道管
6 給湯流量センサ
7 ふろ湯はり用電磁弁
8 ふろ流量調整オリフィス
9 バイパス路
10 ふろ流量バイパス用電磁弁
11 減圧弁
12 水位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ふろ湯はり用の湯水混合手段と給湯用の湯水混合手段とを有し、給湯用の湯水混合手段の下流側に給湯流量センサを設けた給湯システムにおいて、ふろ湯はり用開閉弁の下流側で本管とバイパス路とを並設し、本管とバイパス路の一方に、湯はり流量を制限するふろ流量調整オリフィスを配設するとともに、本管とバイパス路のもう一方に、ふろ流量バイパス用開閉弁を配設し、ふろ湯はり中で給湯流量センサが給湯流量を検知しているときにふろ流量バイパス用開閉弁を閉じる制御回路を設けたことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
ふろ湯はり開始時に、ふろ湯はり用開閉弁を開いてから一定時間遅らせてふろ流量バイパス用開閉弁を開き、ふろ湯はり終了時に、ふろ流量バイパス用開閉弁を閉じてから一定時間遅らせてふろ湯はり用開閉弁を閉じる制御回路を設けたことを特徴とする請求項1記載の給湯システム。

【図1】
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【公開番号】特開2007−155236(P2007−155236A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352241(P2005−352241)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】