説明

給湯兼用融雪装置

【課題】夏季に太陽熱を給湯に利用する給湯兼用融雪装置において、冬季の熱エネルギーのロスを防止し、夏季には路面融雪器の熱が効率よく給湯に利用できるようにする。
【解決手段】貯湯槽2に設けた熱交換器と路面融雪器10との間に熱媒体を循環して、冬季においては、貯湯槽2で加熱された熱媒体で融雪を行うと共に貯湯槽2の温水を給水し、夏季においては、太陽熱により加熱された熱媒体を熱交換器に循環して貯湯槽2の温水を加熱ないし保温する給湯兼用融雪装置において、貯湯槽2に熱交換量の小さな冬用交換器12と、熱交換量の大きな夏用交換器11との2個の熱交換器を設けて、両者の通路を切換える切換弁15、16を設け、路面融雪器10の熱媒体を、冬季は冬用交換器12に循環し、夏季には当該熱媒体を夏用交換器11に循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、路面を形成する敷きブロックやコンクリートないしアスファルト舗装層に流体配管を設けておき、降雪時や積雪時にこ流体配管に温水ないし不凍液等の熱媒体を流して路面の融雪を行う装置に関し、特に夏季において路面が受ける太陽熱を給湯に利用できるようにした上記装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積雪地において、路面に屈曲した伝熱通路や扁平な伝熱室を備えた舗装用ブロックないし舗装層からなる融雪器を配置し、この融雪器の前記伝熱通路や伝熱室とボイラなどの加熱器や熱交換器とを循環路で連結して、降雪時や積雪時に当該循環路を通して融雪器に加温された水や熱媒体を流すことにより融雪器を加温して路面の雪を溶かすようにした融雪装置が用いられている。
【0003】
一方、特許文献1には、夏季において路面融雪装置を太陽熱の集熱器として利用することにより、エネルギーを有効利用した給湯兼用の路面融雪装置が示されている。当該路面融雪装置は、図2に示すように、加熱器22と熱交換器27と温水循環ポンプ23とを直列接続した閉ループ状の温水循環路24と、熱交換器27と融雪器28と循環ポンプ25とを直列接続した閉ループ状の媒体循環路26とを備え、更に、温水循環路24に水を供給する給水ライン29と、温水循環路24から温水を配給する給湯ライン30とを備えている。
【0004】
この路面融雪装置は、冬季においては、加熱器22の温水を熱交換器27に循環して熱媒体を加温し、この熱媒体を融雪器28に循環して路面等の融雪作用を行う。一方夏季においては、融雪器28で太陽熱により加熱された熱媒体を熱交換器27に循環して温水循環路の水を加温し、給湯ライン30を通じて配給する。
【0005】
また、特許文献2には、給湯器と浴槽との間で温水を循環する温水循環路と、浴槽と屋根融雪器との間で温水を循環する屋根融雪水循環路と、浴槽と路面融雪器との間で温水を循環する路面融雪水循環路とを備えた融雪システムが示されており、冬季は浴槽の温水を屋根融雪器及び路面融雪器に循環して融雪を行い、夏季は屋根融雪器及び路面融雪器で太陽熱を吸収して、浴槽の水を昇温するようにしている。
【特許文献1】実開平4−12507号公報
【特許文献2】特開2004−137727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冬季の融雪のために、屋根や路面に設けた融雪器が、夏季には太陽熱で加熱されることを利用して融雪器内を循環する温水や熱媒体の熱を屋内の給湯に利用すれば、太陽熱の有効利用が図れると考えられる。ところが、従来のこの種装置では、融雪に必要な温水ないし熱媒体の温度と給湯温度との温度差に起因して、冬季の融雪時に熱エネルギーのロスが大きくなるという問題がある。
【0007】
すなわち、浴槽や厨房に配給する給湯温度は、例えば40〜60℃程度の温度であることが必要で、特に冬季は配管中での温度効果が大きいので、貯湯槽ではより高い温度で貯湯を行う必要がある。これに対して融雪器に循環する温水ないし熱媒体の温度は、高いと無駄な放熱が起こってエネルギーロスが大きくなるので、低めの温度とするのが好ましい。
【0008】
特に路面融雪器への配管は、屋外に設置される上に、屋根融雪器への配管よりも長くなることが多いため、高温の温水や熱媒体を循環させると、その熱のほとんどが融雪器に達するまでの配管途中で放熱されてしまい、熱エネルギーのロスが非常に大きくなる。
【0009】
この発明は、冬季に温水を通して融雪を行うための融雪器を夏季においては太陽熱の集熱器として利用して、風呂や厨房への給湯に利用する給湯兼用融雪装置において、特に路面融雪装置における冬季の熱エネルギーのロスを防止し、一方夏季においては、路面融雪器の熱が効率よく給湯に利用できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、浴室や厨房に配給する温水を貯留する貯湯槽2に設けた熱交換器と駐車場や道路の路面の融雪を行うために、当該路面に敷設したブロックや舗装層に設けた路面融雪器10との間に不凍液などの熱媒体を循環して、冬季においては、貯湯槽2の温水で加熱された熱媒体を路面融雪器10に循環して融雪を行うと共に、貯湯槽2の温水を給湯ライン7から配給し、夏季においては、路面融雪器10で太陽熱により加熱された熱媒体を熱交換器に循環して貯湯槽2の温水を加熱ないし保温する給湯兼用融雪装置において、貯湯槽2に熱交換量の小さな冬用交換器12と、熱交換量の大きな夏用交換器11との2個の熱交換器を設けて、両者の通路を切換える切換弁15、16を設け、路面融雪器10の熱媒体を、冬季は冬用交換器12に循環し、夏季には当該熱媒体を夏用交換器11に循環させることにより、上記課題を解決したものである。
【0011】
すなわち、本願の請求項1の発明に係る給湯兼用融雪装置は、ボイラ1と貯湯槽2との間で温水を循環する温水循環路3と、上記貯湯槽に設けた熱交換器と融雪器10との間で熱媒体を循環する媒体循環路13と、上記温水循環路へ清水を供給する給水ライン4と、貯湯槽から温水を配給する給湯ライン7とを備え、冬季においてはボイラ1で加熱した温水で熱媒体を加温して融雪を行い、夏季においては融雪器10で太陽熱により加熱された熱媒体で貯湯槽2の清水を加温する給湯兼用融雪装置において、貯湯槽2に伝熱面積が大きい夏用交換器11と伝熱面積の小さい冬用交換器12との大小の熱交換流器を設け、冬季においては媒体循環路13を冬用交換器12に切換えてボイラ1で加熱された温水を給湯ライン7に供給すると共に当該温水で熱媒体の加温を行い、夏季においては媒体循環路13を夏用交換器11に切換えて貯湯槽2の水を加熱ないし保温することを特徴とする給湯兼用融雪装置である。
【発明の効果】
【0012】
この発明の給湯兼用融雪装置では、冬季においては、切換弁15、16で路面融雪器10を循環する熱媒体の循環路を冬用交換器12側に切換える。冬用交換器12は、伝熱量が小さいので、貯湯槽2内の温水の温度がある程度高くても、冬用交換器12を循環する熱媒体が過度に熱せられることがなく、従って配管途中で無駄に失われる熱エネルギーを減少させることができ、ボイラ1の燃料消費量を低減できる。
【0013】
一方、夏季においては、切換弁15、16を切換えて、路面融雪装置10の熱媒体を夏用交換器11に循環させる。夏用交換器11は、伝熱量が大きく、従って夏用交換器11を通過する熱媒体と貯湯槽2内の温水の温度差が小さくても、路面融雪器10で加熱された熱媒体の熱が効率よく貯湯槽2の温水に伝熱されるので、太陽熱の利用効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、この発明の最も好ましい実施形態の一例を示した図である。図中、1は循環ポンプを内蔵した給湯ボイラ、2は貯湯槽、3は貯湯槽2内の温水をボイラ1に循環して加温する温水循環路、4は地下水や水道水を循環路3に供給する給水ライン、5は給水ラインに設けた給水弁である。
【0015】
図には明示されていないが、貯湯槽2には水位計と温度センサとが設けられており、貯湯槽2内の水位が下がると給水弁5が開いて給水が行われる。また、温度センサで貯湯槽内の温水の温度低下が検出されると、ボイラ1が運転され、内蔵された循環ポンプで貯湯槽2内の温水をボイラ1に循環して、貯湯槽2内の温水を加温する。貯湯槽2内の温水は、配給ポンプ6を設けた配給ライン7を通して、図示していない浴槽あるいは洗面台や厨房の蛇口に供給される。
【0016】
図の符号10は駐車場等の路面に埋設した路面融雪装置、11は貯湯槽2に設けた夏用の熱交換器、12は同じく貯湯槽2に設けた冬用の熱交換器、13は路面融雪器10と熱交換器11又は12との間に不凍液などの熱媒体を循環する媒体循環路、14は媒体循環路に設けた循環ポンプ、15及び16は媒体循環路13を夏用交換器11又は冬用交換器12に切換える切換弁である。
【0017】
図の路面融雪器10は、扁平な伝熱室20を内部に供えた舗装ブロックを連接して形成した構造のものを示しているが、道路基盤上に放熱パイプをジグザグ状に配置して、それをコンクリートやアスファルト層で埋設して路面とする構造であってももちろんかまわない。
【0018】
熱交換器11、12は、周面に伝熱フィンを設けた金属パイプで、貯湯槽2の温水に浸漬する位置に設けられている。熱交換器11、12のパイプの両端は、切換弁15、16に連結されており、この切換弁15、16の同時操作により、夏用交換器11又は冬用交換器12のいずれかが媒体循環路13に選択的に連通される。
【0019】
冬季においては、切換弁15、16により、媒体循環路13が冬用交換器12側に切換えられて、路面融雪器10と冬用交換器12との間で熱媒体が循環する。循環する熱媒体は、冬用交換器12で貯湯槽2内の温水から熱を受けて加温され、路面融雪器10を通過する間にその熱を放出することにより、路面上の雪を融雪する。夏季においては、切換弁15、16により、媒体循環路13が夏用交換器11側に切換えられて、路面融雪器10と夏用交換器11とが連結される。この状態で循環ポンプ14を運転することにより、熱媒体が路面融雪器10と夏用交換器11との間を循環して、太陽熱で加熱された路面融雪器10の熱を夏用交換器11で放出して、貯湯槽2内の温水を加熱ないし保温する。
【0020】
循環ポンプ14は、夏季においても冬季においても、一定流量の熱媒体を循環させる。冬季においては、冬用交換器12の伝熱量が小さいため、循環する熱媒体と貯湯槽2の温水との温度差が大きくても、熱媒体が過度に温度上昇することがなく、媒体循環路13からの無駄な放熱が抑制される。一方、夏用交換器11は伝熱量が大きいので、路面融雪器10で加熱された熱媒体の温度と貯湯槽2の温水の温度の差が小さくても、貯湯槽2内の温水の加熱ないし保温を有効に行うことができ、路面融雪器10が吸収した太陽熱を効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の給湯兼用融雪装置の一例を示す要部の模式図
【図2】従来の給湯兼用融雪装置の一例を示すブロック図
【符号の説明】
【0022】
1 ボイラ
2 貯湯槽
3 温水循環路
4 給水ライン
10 融雪器
11 夏用交換器
12 冬用交換器
13 媒体循環路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ(1)と貯湯槽(2)との間で温水を循環する温水循環路(3)と、上記貯湯槽に設けた熱交換器と融雪器(10)との間で熱媒体を循環する媒体循環路(13)と、上記温水循環路へ清水を供給する給水ライン(4)と、貯湯槽から温水を配給する給湯ライン(7)とを備え、冬季においてはボイラ(1)で加熱した温水で熱媒体を加温して融雪を行い、夏季においては融雪器(10)で太陽熱により加熱された熱媒体で貯湯槽(2)の清水を加温する給湯兼用融雪装置において、
貯湯槽(2)に伝熱面積が大きい夏用交換器(11)と伝熱面積の小さい冬用交換器(12)との大小の熱交換流器を設け、冬季においては媒体循環路(13)を冬用交換器(12)に切換えてボイラ(1)で加熱された温水を給湯ライン(7)に供給すると共に当該温水で熱媒体の加温を行い、夏季においては媒体循環路(13)を夏用交換器(11)に切換えて貯湯槽(2)の水を加熱ないし保温することを特徴とする、給湯兼用融雪装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−308262(P2006−308262A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134426(P2005−134426)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(395017195)株式会社サンケイ企画 (6)
【Fターム(参考)】