説明

給湯機のリモコン制御装置

【課題】雷サージ等による誤動作でリモコン回路のマイコンや周辺部品がラッチアップし、リモコンが動作しなくなる不具合が発生している。
【解決手段】2線で接続されるリモコン1と、前記リモコンを2線で接続するためのリモコン接続端子3と、前記リモコン接続端子を介して前記リモコンへの電源供給を行う給電手段4と、前記リモコン接続端子と前記給電手段の間に介在し前記リモコンに対してシリアル信号を送出する送受信手段5と、前記送受信手段が送受信できない期間が所定時間1経過で前記給電手段を所定時間2の期間停止させる給電制御手段7を備え、所定時間2の給電停止期間でラッチアップを解除でき、給電復帰後自動的に正常に復帰できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2線で接続される給湯機のリモコン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯機等の機器では、リモコンと給湯機本体とを2線を用いて接続し、双方向のデータ通信と本体側からリモコン側への電力供給とを同時に行う双方向2線式遠隔制御方式を採用している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は高周波による変復調を行う双方向2線式遠隔制御方式を適用したシステムの構成例を示すブロック図であり、この図において、制御対象である本体10には端子T1,T2、リモコン20には端子T3,T4が設けられており、各端子は2線によって、対応する端子T1と端子T3、ならびに端子T2と端子T4が接続されている。
【0004】
本体10には、リモコン20とのデータ通信の制御等を行うマイコン11、マイコン11から出力されるパルス列を高周波によって変調し高周波信号を出力する高周波変調回路12、高周波変調回路12の出力端と端子T1との間に挿入されたキャパシタンス13、一端が電圧12Vの電源に接続され他端が端子T1とキャパシタンス13との間に接続された平滑化用のリアクタンス14、入力端が高周波変調回路12の出力端とキャパシタンス13との間に接続され入力端から入力される高周波信号を高周波によって復調し、復調したパルス列をマイコン11へ供給する高周波復調回路15が設けられている。なお、端子T2は本体10内で接地されている。
【0005】
一方、リモコン20には、本体10とのデータ通信を制御するとともにリモコンの表示パネルへの表示やスイッチ群の操作状態の検出等を行うマイコン21が設けられ、このマイコン21をマイコン11と見立てた場合に本体10と同様の配置で、高周波変調回路22、キャパシタンス23、高周波復調回路25が設けられている。ただし、キャパシタンス23と端子T3との間には、2対の入出力端子を有するダイオードブリッジ26が挿入されており、ダイオードブリッジ26の一方の入力端子に端子T3が、一方の出力端子にキャパシタンス23が接続されている。また、ダイオードブリッジ26の一方の出力端子には、平滑化用のリアクタンス24を介して、マイコン21へ電力を供給する電源回路27が接続されている。
【0006】
このような構成において、双方向のデータ通信における回路動作について図4の波形図も参照して説明する。なお、本体10およびリモコン20のいずれへの送信かによらず、本体10のリアクタンス14、端子T1、2線、リモコン20の端子T3、ダイオードブリッジ26、およびリアクタンス24を介して、電圧12Vの電源信号が電源回路27へ供給されている。
【0007】
本体10からリモコン20への送信本体10からリモコン20への送信時には、まず、本体10において、送信パルス列(図4中上側参照)がマイコン11から高周波変調回路12へ供給され、高周波信号に変調される。この高周波信号はキャパシタンス13を介して上記電源信号の交流成分となり(図4中下側参照)、リモコン20へ送信される。当該交流成分はリモコン20のキャパシタンス23により抽出されて高周波信号となり、さらに高周波復調回路25により復調され、受信パルス列としてマイコン21へ供給される。
【0008】
リモコン20から本体10への送信リモコン20から本体10への送信時には、まず、リモコン20において、送信パルス列がマイコン21から高周波変調回路22へ供給され
、高周波信号に変調される。この高周波信号はキャパシタンス23を介して上記電源信号の交流成分となり本体10へ送信される。当該交流成分は本体10のキャパシタンス13により抽出されて高周波信号となり、さらに高周波復調回路15により復調され、受信パルス列としてマイコン11へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−84590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、異常気象等で雷の被害が増えており、雷サージ等による誤動作でリモコン回路のマイコンや周辺部品がラッチアップし、リモコンが動作しなくなる不具合が発生している。
【0011】
本発明は上記課題を解消し、リモコン回路のマイコンや周辺部品がラッチアップしても、自動的に解除できる給湯機のリモコン制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため本発明は、2線で接続されるリモコンと、前記リモコンを2線で接続するためのリモコン接続端子と、前記リモコン接続端子を介して前記リモコンへの電源供給を行う給電手段と、前記リモコン接続端子と前記給電手段の間に介在し前記リモコンに対してシリアル信号を送出する送受信手段と、前記送受信手段が送受信できない期間が所定時間1経過で前記給電手段を所定時間2の期間停止させる給電制御手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、リモコン回路のマイコンや周辺部品がラッチアップしても、自動的に正常に復帰できる給湯機のリモコン制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における給湯機のリモコン制御装置の回路ブロック図
【図2】実施の形態1における給湯機のリモコン制御装置の動作フローチャート
【図3】従来のリモコン制御装置の回路ブロック図
【図4】従来のリモコン制御装置の変復調処理を説明するための波形図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明の給湯機のリモコン制御装置は、2線で接続されるリモコンと、リモコンを2線で接続するためのリモコン接続端子と、リモコン接続端子を介してリモコンへの電源供給を行う給電手段と、リモコン接続端子と給電手段の間に介在し前記リモコンに対してシリアル信号を送出する送受信手段と、送受信手段が送受信できない期間が所定時間1経過で給電手段を所定時間2の期間停止させる給電制御手段を備えており、リモコン内のマイコン等の回路がラッチアップしても、所定時間2の期間リモコンの電源を停止することでマイコン等の回路に残った電荷が放電され、ラッチアップが解除され、所定時間2の期間経過後の再通電時には正常に動作させることができる。
【0016】
第2の発明の給湯機のリモコン制御装置は、リモコンが、送受信できない時異常表示を行う表示手段を備え、送受信の異常時には使用者に報知することができる。
【0017】
第3の発明の給湯機のリモコン制御装置は、給電手段を復帰させた回数が所定回数とな
った場合以降の給電停止させない構成としているので、ラッチアップ以外の回路故障時には、無駄な給電停止を行わないため、リモコンの表示が点灯/消灯を繰り替えすことが無く、よりわかり易い異常表示を提供できる。
【0018】
第4の発明の給湯機のリモコン制御装置は、リモコンの表示手段が異常表示を行う時間より長く設定しているため、送受信異常が表示された後に給電停止となるため、異常により給電停止を行っていることが判別できる。
【0019】
第5の発明の給湯機のリモコン制御装置は、リモコンの表示手段が異常表示を行う時間より短く設定しているため、送受信異常により給電手段を復帰させた回数が所定回数以内の時はリモコンには異常表示されない。したがって、ラッチアップの場合には、再通電時には異常表示無しで正常に戻るため使用者に不安を与えることが無い。また、回路故障時等正常に戻らない場合には、所定回数後は給電停止を行わないためリモコンは送受信の異常時には使用者に報知することができる。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における給湯機のリモコン制御装置の回路ブロック図である。
1は2線で接続されるリモコン、2はリモコンの送受信異常を表示する表示手段で所定時間送受信できない時に報知を行う。3はリモコン1を2線で接続するためのリモコン接続端子、4はリモコン1への電源供給を行う給電手段、5はリモコン1と双方向でシリアル信号を送受信する送受信手段、6は給電手段4を介してリモコン1に電源を供給するための直流電源、7は送受信手段5からの信号を受け給電手段4に給電停止及び給電復帰信号を送る給電制御手段で、給電手段4は、給電制御手段7の信号によりリモコン1への給電、給電停止を行う。また、図1において鎖線で示す部分は給湯機本体を示す。
【0021】
次に、給電制御手段7の動作を説明する。図2は本発明の実施例の給湯機のリモコン制御装置の動作フローチャートである。
【0022】
(ステップ1)給電手段4がONかどうかの判定を行い、ONあればステップ2へ進み、OFFであればステップ9へ進む。
(ステップ2)送受信手段5が送受信異常かどうかの判定を行い、送受信異常であればステップ3へ進み、正常であればステップ8へ進む。
(ステップ3)異常時間をカウントアップし、ステップ4へ進む。
(ステップ4)異常時間が所定値を超えているかを判定し、所定値を越えていればステップ5へ進み、所定値以下であればステップ7へ進む。
(ステップ5)復帰回数が所定値を超えているかを判定し、所定値を越えていればステップ7へ進み、所定値以下であればステップ6へ進む。
(ステップ6)給電手段4を給電停止にし、ステップ7へ進む。
(ステップ7)停止時間を初期化し、ステップ1へ戻る。
(ステップ8)異常時間初期化、復帰時間初期化を行い、ステップ7へ進む。
(ステップ9)停止時間をカウントアップし、ステップ10へ進む。
(ステップ10)停止時間が所定値を超えているかを判定し、所定値を越えていればステップ11へ進み、所定値以下であればステップ1に戻る。
(ステップ11)給電手段4を給電側に、復帰回数のカウントアップ、異常時間の初期化を行いステップ1に戻る。
【0023】
正常時には、ステップ1→ステップ2→ステップ8→ステップ7のフローとなり、給電手段4はON状態となる。雷サージ等の誤動作でリモコンのマイコン等がラッチアップすると、送受信手段5で送受信異常となり、ステップ1→ステップ2→ステップ3→ステップ4→ステップ7のフローとなり、送受信異常時間をカウントアップする。送受信異常時
間が所定値を超えると、ステップ1→ステップ2→ステップ3→ステップ4→ステップ5のフローとなり、ステップ5で復帰回数を判定し所定値以下であればステップ6に進み給電手段4をOFFしステップ7へ進み、リモコンへの給電が停止される。
【0024】
給電手段4がOFFになると、ステップ1→ステップ9→ステップ10へ進み停止時間をカウントしステップ1へ戻る。ステップ10で停止時間が所定値を越えると、ステップ11へ進み給電手段4をONし、復帰回数のカウントアップと異常時間を初期化してステップ1に戻り、リモコンへ再度給電が開始される。ここで、リモコン側では所定時間給電が停止していたため電荷が放電され、マイコン等のラッチアップは解除されている。その後は、送受信手段5は正常に送受信できるため正常時のフローになる。
【0025】
回路の故障等で復帰後も送受信異常が継続すると、前記給電手段4のOFF/ONを繰り返す、そして復帰回数が所定値を超えると、ステップ1→ステップ2→ステップ3→ステップ4→ステップ5→ステップ7のフローとなり、以降給電手段4はONを継続する。
【0026】
以上のように、リモコン回路の一時的な誤動作によるラッチアップ等では自動的にリモコン電源を遮断し所定時間後再度通電が復帰し、自動的に異常を解除できる。また、リモコン回路の故障等で異常が継続する場合には異常であることをリモコン表示し報知できる。
【0027】
ステップ4での異常時間の所定値は、リモコンの送受信異常時の表示までの時間より短くすると、リモコンの異常表示前に給電を停止するので使用者に不安を与えることない。また、復帰回数を限定しない場合には、リモコンの送受信異常時の表示までの時間より長くすることで、異常により給電停止していることがわかるようにできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかる給湯機のリモコン制御装置は、リモコン回路のマイコンや周辺部品がラッチアップしても、自動的に正常に復帰できるので、本体から電力の供給を受けかつ通信を行うリモコン制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 リモコン
2 表示手段
3 リモコン接続端子
4 給電手段
5 送受信手段
7 給電制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2線で接続されるリモコンと、前記リモコンを2線で接続するためのリモコン接続端子と、前記リモコン接続端子を介して前記リモコンへの電源供給を行う給電手段と、前記リモコン接続端子と前記給電手段の間に介在し前記リモコンに対してシリアル信号を送出する送受信手段と、前記送受信手段が送受信できない期間が所定時間1経過すると前記給電手段を所定時間2の期間停止させる給電制御手段を備えた給湯機のリモコン制御装置。
【請求項2】
前記リモコンは、送受信できない時に異常表示を行う表示手段を備えた請求項1記載の給湯機のリモコン制御装置。
【請求項3】
前記給電制御手段は、前記給電手段を復帰させた回数が所定回数となった場合以降の給電停止をさせない請求項1または2記載の給湯機のリモコン制御装置。
【請求項4】
前記所定時間1を、前記リモコンの表示手段が異常表示を行う時間より長く設定した請求項2または3記載の給湯機のリモコン制御装置。
【請求項5】
前記所定時間1を、前記リモコンの表示手段が異常表示を行う時間より短く設定した請求項3記載の給湯機のリモコン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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