説明

給湯装置

【課題】停電時における温水供給の際、安全性の向上を図ることのできる給湯装置を提供する。
【解決手段】電圧センサ62の検出電圧Vが設定電圧V1以下となると、温度センサ63の検出温度Tの検出温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁41を操作するようにしたので、電源61の電圧が降下するときの電力によって混合弁41を駆動し、利用者に供給される温水の温度が所定温度以下となるような混合弁41の弁開度とすることにより、停電時に所定温度以下の温水を利用者に供給することができ、停電時における温水供給の際、安全性の向上を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクに貯えられた温水と給水用の水を混合して所定の温度の温水を供給する給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置としては、給水用の水を加熱する加熱部と、加熱部において加熱された湯を貯える貯湯タンクと、貯湯タンク内に貯えられた温水と給水用の水を混合して所定温度の給湯用の温水とする混合弁とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−040553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の給湯装置において、停電時に貯湯タンク内に貯えられた温水を使用する場合には、供給する温水の温度制御が不能となり貯湯タンク内の高温の温水が直接供給されるおそれがあるため、温水使用時の安全性を確保することができない。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、停電時における温水供給の際、安全性の向上を図ることのできる給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、給水用の水を加熱する加熱部と、加熱部において加熱された湯を貯える貯湯タンクと、貯湯タンク内に貯えられた温水と給水用の水を混合して所定温度の給湯用の温水とする混合弁とを備えた給湯装置において、動力源としての電源の電圧を検出する電圧センサと、貯湯タンク内に貯えられた温水の温度を検出する温度センサと、電圧センサの検出電圧が所定の電圧以下となると、温度センサの検出温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁の動作を制御する制御手段とを備えている。
【0006】
これにより、停電となるときの電源の電圧の降下を検知し、貯湯タンク内に貯えられた温水の温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁が操作されることから、停電時に所定温度以下の温水が供給される。
【0007】
また、前記目的を達成するために、給水用の水を加熱する加熱部と、加熱部において加熱された湯を貯える貯湯タンクと、貯湯タンク内に貯えられた温水と給水用の水を混合して所定温度の給湯用の温水とする混合弁とを備えた給湯装置において、前記貯湯タンクから流出する温水が流通する給湯管に設けられ、給湯管内の温水の流通の有無を検知するフロースイッチと、貯湯タンク内に貯えられた温水の温度を検出する温度センサと、フロースイッチによって給湯管内の温水の流通が停止したことを検知すると、温度センサの検出温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁の動作を制御する制御手段とを備えている。
【0008】
これにより、通常の温水供給時以外には、貯湯タンク内に貯えられた温水の温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁が操作されることから、停電時に所定温度以下の温水が供給される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、停電時に所定温度以下の温水を利用者に供給することができるので、停電時における温水供給の際、安全性の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は給湯装置の概略構成図、図2は制御系を示すブロック図、図3は電源の電圧が降下する際の混合弁の動作制御に関する制御部の動作を示すフローチャートである。
【0011】
この給湯装置は、給湯用の水を貯えるための貯湯タンク10と、貯湯タンク10に貯えられた水を加熱するためのヒートポンプユニット20と、貯湯タンク10内に給水用の水を供給するための給水管30と、貯湯タンク10内の温水を浴室や台所等に供給するための給湯管40と、貯湯タンク10内の水をヒートポンプユニット20において加熱して貯湯タンク10に戻すための循環回路50と、運転状態を制御するための制御部60とを備えている。
【0012】
貯湯タンク10は、ステンレス等の部材からなり、上端及び下端が閉鎖された上下に延びる円筒状に形成されている。また、貯湯タンク10は、グラスウールまたは発泡ウレタン等の断熱材によって外部が覆われており、貯湯タンク10の内部と外部との熱の移動が遮断されるようになっている。
【0013】
ヒートポンプユニット20は、電動の圧縮機21、加熱部としてのガスクーラ22、膨張弁23及び蒸発器24を備え、これらを銅またはステンレス等の管によって順次接続することにより冷媒回路が構成されている。また、冷媒回路には、高圧側が超臨界状態となる二酸化炭素が冷媒として充填されている。更に、蒸発器24には、冷媒と熱交換する空気を流通させるための送風機24aが設けられている。
【0014】
給水管30は、貯湯タンク10の下部に接続された第1給水管31と、後述する混合弁に接続された第2給水管32とを有する。また、第1給水管31及び第2給水管32の上流側に位置する給水管30には、上水道から供給される水を所定の圧力に減圧して流通させるための減圧弁33が設けられている。
【0015】
給湯管40は、貯湯タンク10の上部に接続されており、第1給水管31から貯湯タンク10の下部に流入する水の圧力により、貯湯タンク10の上部の温水が流通するようになっている。また、給湯管40には、電動の混合弁41を介して第2給水管32が接続されており、貯湯タンク10から流出する温水と第2給水管32を流通する水が混合されて流通するようになっている。混合弁41は、弁を操作することにより貯湯タンク10の上部の温水と第2給水管32の水との混合の割合を変更することができ、所望の温度の温水を利用者に供給することができるようになっている。
【0016】
循環回路50は、貯湯タンク10の下部、循環ポンプ51、ガスクーラ22、貯湯タンク10の上部が順次銅管またはステンレス管によって接続され、循環ポンプ51によって貯湯タンク10の下部の水がガスクーラ22を流通して貯湯タンク10の上部に流入するようになっている。
【0017】
制御部60は、マイクロコンピュータによって構成され、そのメモリには、ヒートポンプユニット20の運転及び混合弁41の操作に関するプログラムが記憶されている。制御部60には、動力源としての電源61から供給される電力の電圧を検出するための電圧センサ62、貯湯タンク10の上部に貯えられた温水の温度を検出するための温度センサ63及び混合弁41が接続されている。制御部60は、電圧センサ62の検出信号を受信し、温度センサ63の検出信号に応じた弁開度の出力信号を混合弁41に送信するようになっている。
【0018】
以上のように構成された給湯装置において、深夜電力等の電力を利用して湯沸かし運転を行う場合には、圧縮機21、送風機24a及び循環ポンプ51を運転する。これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、ガスクーラ22を流通した後に膨張弁23を介して蒸発器24に流入し、蒸発器24から流出した冷媒は、圧縮機21に吸入される。また、貯湯タンク10の下部の水は、循環ポンプ51によって循環回路50を流通し、ガスクーラ22において冷媒と熱交換することにより加熱され、貯湯タンク10の上部に貯えられる。予め設定された温度の温水が貯湯タンク10内に所定量貯えられると、圧縮機21、送風機24a及び循環ポンプ51を停止する。
【0019】
また、利用者によって浴室や台所の水栓のハンドルが操作されると、貯湯タンク10の上部の温水は、給湯管40を流通し、混合弁41において第2給水管32を流通する水と混合され、水栓から利用者に供給される。貯湯タンク10の温水が消費されると、貯湯タンク10内には、第1給水管31の水が流入するため、貯湯タンク10内は常に満水状態が保持される。
【0020】
ここで、停電によって給湯装置への電力の供給が停止する場合において、供給される電力の電圧が降下する際の混合弁41の動作制御に関する制御部60の動作を、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0021】
電圧センサ62の検出電圧Vが設定電圧V1以下になると(ステップS11)、温度センサ63の検出温度Tを検出し(ステップS12)、検出温度Tに応じた弁開度となるように完全に停電となる前の電力によって混合弁41を操作する(ステップS13)。
【0022】
このとき、利用者に供給される温水の温度は、第2給水管32を流通する水の温度によって異なり、第2給水管32を流通する水の温度が高くなるほど供給される温水の温度が高くなる。そこで、夏季等の水道水の温度が高い場合に(例えば、25℃)、供給される温水の温度が所定温度以下(例えば、43℃以下)となるように混合弁41の弁開度を設定することにより、高温の温水の供給を防止する。
【0023】
このように、本実施形態の給湯装置によれば、電圧センサ62の検出電圧Vが設定電圧V1以下となると、温度センサ63の検出温度Tに応じた所定の弁開度となるように混合弁41を操作するようにしたので、電源61の電圧が降下するときの電力によって混合弁41を駆動し、利用者に供給される温水の温度が所定温度以下となるような混合弁41の弁開度とすることにより、停電時に所定温度以下の温水を利用者に供給することができ、停電時における温水供給の際、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0024】
図4及び図5は、本発明の第2実施形態を示すもので、図4は制御系を示すブロック図、図5は混合弁の動作制御に関する制御部の動作を示すフローチャートである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0025】
この給湯装置は、混合弁41の下流側に位置する給湯管40にフロースイッチ64が設けられ、給湯管40内の温水の流通の有無を検知するようになっている。フロースイッチ64は、制御部60に接続されており、検知信号を制御部60に送信するようになっている。
【0026】
以上のように構成された給湯装置において、混合弁41の動作制御に関する制御部60の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
電圧センサ62の検出電圧Vが設定電圧V1以下になるか(ステップS21)、フロースイッチ64によって温水の流通が検出されない場合には(ステップS22)、温度センサ63の検出温度Tを検出し(ステップS23)、検出温度Tに応じた弁開度となるように混合弁41を操作する(ステップS24)。
【0028】
これにより、通常の温水供給時以外は、利用者に供給される温水の温度が所定温度以下となるような混合弁41の弁開度に予め設定されているため、停電時に温水を利用者に供給する際に、高温の温水が供給されることはない。また、通常の温水供給時に停電する場合には、前記第1実施形態と同様に、完全に停電する前の電力によって混合弁41の弁開度を操作し、利用者に供給される温水の温度が所定の温度以下となるようにする。
【0029】
このように、本実施形態の給湯装置によれば、フロースイッチ64によって温水の流通が停止したことを検知すると、温度センサ63の検出温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁41を操作するようにしたので、停電時に混合弁41への電力の供給が停止する場合においても、利用者に供給される温水の温度が所定温度以下となるような混合弁41の弁開度に予め設定しておくことにより、停電時に所定温度以下の温水を供給することができ、停電時における温水供給の際、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0030】
尚、前記第2実施形態では、給湯管40内の温水の流通の有無をフロースイッチ64によって検知するようにしたものを示したが、フロースイッチ64の代わりに流量センサによって給湯管40内の温水の流通の有無を検知するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態を示す給湯装置の概略構成図
【図2】制御系を示すブロック図
【図3】電源の電圧が降下する際の混合弁の動作制御に関する制御部の動作を示すフローチャート
【図4】制御系を示すブロック図
【図5】混合弁の動作制御に関する制御部の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0032】
10…貯湯タンク、20…ヒートポンプユニット、22…ガスクーラ、30…給水管、40…給湯管、41…混合弁、60…制御部、62…電圧センサ、63…温度センサ、64…フロースイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の水を加熱する加熱部と、加熱部において加熱された湯を貯える貯湯タンクと、貯湯タンク内に貯えられた温水と給水用の水を混合して所定温度の給湯用の温水とする混合弁とを備えた給湯装置において、
動力源としての電源の電圧を検出する電圧センサと、
貯湯タンク内に貯えられた温水の温度を検出する温度センサと、
電圧センサの検出電圧が所定の電圧以下となると、温度センサの検出温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁の動作を制御する制御手段とを備えた
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
給水用の水を加熱する加熱部と、加熱部において加熱された湯を貯える貯湯タンクと、貯湯タンク内に貯えられた温水と給水用の水を混合して所定温度の給湯用の温水とする混合弁とを備えた給湯装置において、
前記貯湯タンクから流出する温水が流通する給湯管に設けられ、給湯管内の温水の流通の有無を検知するフロースイッチと、
貯湯タンク内に貯えられた温水の温度を検出する温度センサと、
フロースイッチによって給湯管内の温水の流通が停止したことを検知すると、温度センサの検出温度に応じた所定の弁開度となるように混合弁の動作を制御する制御手段とを備えた
ことを特徴とする給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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