説明

給湯風呂装置

【課題】風呂循環ポンプ内や水位検出手段近傍に残存するエアーを十分に押し出すことができる給湯風呂装置を提供する。
【解決手段】湯張り管23と風呂循環回路17との接続部17cよりも浴槽3側の風呂循環回路17に、浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ21と浴槽3の水位を検出する水位検出手段22とを備えた給湯風呂装置に於いて、前記接続部17cと風呂熱交換器18との間の風呂循環回路17に開閉手段26を設け、浴槽3へ注湯する場合には当初開閉手段26を開状態とし、風呂往き管17aと風呂戻り管17bの両方から両搬送すると共に、注湯終了前の所定量に達した時には開閉手段26を閉状態とし、風呂循環ポンプ21が備えられた側の風呂循環回路17のみから片搬送することで風呂循環ポンプ21内や水位検出手段22近傍に残存するエアーを十分に押し出すことができ、水位検出手段22による浴槽3内の水位検出不良を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽への注湯を風呂循環回路を介して行う給湯風呂装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の給湯風呂装置では、貯湯タンクに接続された出湯管からの温水と給水管からの水を混合した温水を風呂循環回路に供給する湯張り管が備えられており、この湯張り管を風呂循環回路に接続し、風呂循環回路の風呂往き管および風呂戻り管の両方から温水を浴槽に湯張りすることで、湯張り時間の短縮を図るものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2006−177625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、風呂循環ポンプや水位センサ等が備えられている側の風呂循環回路は、それらを備えていない側の風呂循環回路よりは明らかに浴槽へ注湯される温水の流量が少なくなるため、浴槽の残湯確認時に風呂循環ポンプや水位センサ等が備えられている側の風呂循環回路内にエアーを吸い込むと、風呂循環ポンプや水位センサ等が備えられている側の風呂循環回路内のエアーが抜けにくく、水位センサによる浴槽内の水位検出が正確に行われず、設定水位の維持ができないという不具合を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、浴槽と浴槽水を加熱する風呂熱交換器とを循環可能に接続する風呂往き管および風呂戻り管から成る風呂循環回路と、該風呂循環回路に接続され前記浴槽へ注湯する湯張り管と、該湯張り管と前記風呂循環回路との接続部よりも前記浴槽側の前記風呂循環回路に、浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと前記浴槽の水位を検出する水位検出手段とを備えた給湯風呂装置に於いて、前記接続部と前記風呂熱交換器との間の前記風呂循環回路に開閉手段を設け、前記浴槽へ注湯する場合には当初前記開閉手段を開状態とし、前記風呂往き管と前記風呂戻り管の両方から両搬送すると共に、注湯終了前の所定量に達した時には前記開閉手段を閉状態とし、前記風呂循環ポンプが備えられた側の前記風呂循環回路のみから片搬送するようにしたものである。
【0005】
又請求項2では、前記風呂循環回路には前記風呂熱交換器をバイパスするバイパス管を前記開閉手段を介して設け、前記開閉手段は前記バイパス管側と前記風呂熱交換器側と前記浴槽側とのそれぞれを接続する接続口を有し、少なくとも前記浴槽側と前記風呂熱交換器側を連通し前記バイパス管側を閉塞する状態と、前記浴槽側と前記バイパス管側を連通し前記風呂熱交換器管側を閉塞する状態と、前記浴槽側を閉塞する状態とに切替可能な三方弁で構成し、前記開状態は前記浴槽側と前記風呂熱交換器側を連通し前記バイパス管側を閉塞する状態、あるいは前記浴槽側と前記バイパス管側を連通し前記風呂熱交換器管側を閉塞する状態とし、前記閉状態は前記浴槽側を閉塞する状態としたものである。
【0006】
又請求項3では、前記注湯終了前の所定量は、風呂循環回路の圧力損失が大きい程、その所定量を多くするようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、湯張りやたし湯等の浴槽への注湯動作時に、両搬送と片搬送を組み合わせて行うことにより、両搬送で注湯時間の短縮ができ、片搬送で風呂循環ポンプや水位検出手段が備えられた側の風呂循環回路の流量を増やし、風呂循環ポンプや水位検出手段近傍に残存するエアーを十分に押し出すことができ、水位検出手段による浴槽内の水位検出不良防止が図れるものである。
【0008】
又請求項2によれば、湯張りやたし湯等の浴槽への注湯動作時に、両搬送と片搬送を組み合わせて行うことにより、両搬送で注湯時間の短縮ができ、片搬送で風呂循環ポンプや水位検出手段が備えられた側の風呂循環回路の流量を増やし、風呂循環ポンプや水位検出手段近傍に残存するエアーを十分に押し出すことができ、水位検出手段による浴槽内の水位検出不良防止が図れるだけでなく、バイパス管を設け開閉手段を上記状態に切替可能な三方弁としたことで、両搬送の際には浴槽側とバイパス管側を連通し風呂熱交換器側を閉塞することができ、適温に調節された温度の温水が風呂熱交換器を通過することなくそのままの温度で浴槽に注湯できるので、浴槽の湯温が熱くなり過ぎることがないものである。
【0009】
又請求項3によれば、風呂循環回路の圧力損失が大きい場合、つまり風呂の配管が長い場合や浴槽と器具に高低差がある場合は、風呂循環回路にエアーが残存しやすく、風呂循環ポンプや水位検出手段が備えられた側の風呂循環回路ではエアーが抜けづらいが、この場合には注湯終了前の所定量を多くすることで、片搬送による風呂循環ポンプや水位検出手段が備えられた側の風呂循環回路のエアー抜きを、風呂の配管の長さに応じた分だけ行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の第1の実施形態の給湯風呂装置を図1に基づき説明する。
1は温水を貯湯する貯湯タンク、2は温水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、3は浴槽である。
【0011】
4は貯湯タンク1とヒートポンプユニット2を循環可能に接続するヒーポン循環回路で、5はヒーポン循環回路4に設けられて貯湯タンク1内の温水を循環するヒーポン循環ポンプである。ヒーポン循環回路4は貯湯タンク1下部に接続されたヒーポン往き管4aおよび貯湯タンク1上部に接続されたヒーポン戻り管4bより構成され、貯湯タンク1下部の低温水をヒーポン往き管4aを介してヒートポンプユニット2で加熱し、加熱された高温の温水をヒーポン戻り管4bから貯湯タンク1上部に戻して貯湯タンク1内に温水を加熱貯湯するものである。なお、貯湯タンク1の外周面の上下方向に複数個の貯湯温度センサ6a、6b、6c、6dを有しており、この貯湯温度センサ6a〜6dが検出する温度情報によって、貯湯タンク1内にどれだけの熱量が残っているのか検知し、貯湯タンク1内の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0012】
7は貯湯タンク1下端に接続され貯湯タンク1内に水を供給する給水管、8は貯湯タンク1上端に接続され貯湯されている高温の温水を出湯する出湯管、9は給水管7から分岐した給水バイパス管、10は給水バイパス管9からの水と出湯管8からの高温の温水を設定温度に混合する混合弁、11は混合された設定温度の温水を給湯する給湯管、12は給湯管11の端部に設けられる蛇口である。13は混合弁10の下流に設けた給湯温度センサ、14は給湯量をカウントする給湯流量センサ、15は水道圧を所定の圧力に減圧する減圧弁、16は加熱されることによる過圧を逃がす圧力逃がし弁である。
【0013】
17は風呂循環回路で、貯湯タンク1内に設けられた蛇管よりなり浴槽水を加熱する風呂熱交換器18と浴槽3とを風呂往き管17aおよび風呂戻り管17bとで循環可能に接続するものである。19は流水の有無を検知する流水センサ、20は風呂循環回路17を流れる浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、21は風呂循環回路17に設けられた風呂循環ポンプ、22は浴槽水の水圧から浴槽3内の水位を検出する水位検出手段としての水位センサである。
【0014】
23は給湯管11途中から分岐されて風呂戻り管17bに接続され浴槽3への注湯を行う湯張り管、24はこの湯張り管23に設けられ浴槽3への注湯の開始、停止を行う湯張り弁、25は浴槽3への注湯量をカウントする風呂流量センサである。
【0015】
26は湯張り管23と風呂戻り管17bとの接続部17cと風呂熱交換器18との間の風呂戻り管17bに設けた開閉手段としての開閉弁で、浴槽3へ注湯を行う際には当初開閉弁25を開状態とし、風呂戻り管17bの浴槽3側と風呂熱交換器18側を連通させ、風呂往き管17aと風呂戻り管17bの両方から両搬送し、注湯終了前の所定量に達した時には開閉弁25を閉状態とし、風呂戻り管17bの浴槽3側から風呂熱交換器18側へ向かう温水の流通を遮断し、風呂戻り管17b側からのみの片搬送とするものである。
【0016】
27はヒートポンプユニット2の加熱制御を行う加熱制御部、28は給湯および風呂の制御を行う給湯風呂制御部で、加熱制御部27及び給湯風呂制御部28は各種センサの入力を受けて各アクチュエータの駆動を制御するマイコンをそれぞれ有し制御部を構成するものである。
【0017】
次に図1に示す給湯風呂装置の特徴的作動を図2に示すフローチャートを用いて説明する。
前記給湯風呂制御部28に接続されたリモコン(図示しない)にて浴槽3への注湯動作が指示されると、ステップ1(以下S1と略す)で開閉弁25は開弁され、風呂戻り管17bの浴槽3側と風呂熱交換器18の入り口側を連通し、湯張り管23途中の湯張り弁24は開弁される。そして、給水バイパス管9からの水と出湯管8からの高温の温水とを設定温度の温水となるよう混合弁10で混合された温水が、給湯管11から分岐した湯張り管23を介して風呂戻り管17bに供給され、風呂戻り管17bおよび風呂往き管17aの両方から両搬送されるものである。
【0018】
続いてS2で湯張り管23途中に設けられ浴槽3への注湯量をカウントする風呂流量センサ25によって注湯終了前の所定量、ここでは設定量まで残り10Lに達したかどうかで判断を行い、注湯終了前の所定量に達しことを検出した時には、YESでS3に進み、S3で開閉弁25が閉弁され、風呂戻り管17bの浴槽3側から風呂熱交換器18の入り口側へ向かう温水の流通を遮断し、風呂戻り管17b側からのみの片搬送を行う。そして、S4で設定量まで注湯が終了したと判断した時にはYESでS5に進み、S5で湯張り弁24を閉弁し注湯動作を終了するものである。浴槽3への注湯の最初は両搬送としたことで、注湯時間の短縮を図り、最後は風呂戻り管17b側からの片搬送としたことで、風呂戻り管17bから浴槽3に流通する温水の流量が増え、風呂戻り管17bに備えられた風呂循環ポンプ21や水位センサ22近傍に残存するエアーを十分に押し出すことができ、水位センサ22による浴槽3内の水位検出不良防止が図れるものである。
【0019】
ここで、前記注湯終了前の所定量を決定する方法を以下に説明する。
例えば施工直後に、給湯風呂制御部28に接続されたリモコン(図示しない)により湯張りの試運転が指示されると、風呂循環ポンプ21への呼び水動作、風呂循環ポンプ21の作動、流水センサ19による流水の有無の検知が順に行われ、浴槽3内の残湯確認がなされる。この残湯確認時の残湯なし判定時間、すなわち風呂循環ポンプ21の作動により呼び水動作で風呂戻り管17b内に溜まった水を循環させ、流水センサ19が流水なしと判断するまでの時間(以下、流水OFF時間とする)を給湯風呂制御部28に記憶させ、その情報を基に注湯終了前の所定量を決定するものである。
【0020】
この方法によれば、風呂の配管が長い場合は流水OFF時間が長くなり、風呂の配管が短い場合には流水OFF時間が短くなるので、例えば流水OFF時間から風呂の配管の長さが5m未満だと判断した時は注湯終了前の所定量を5Lとし、また流水OFF時間から風呂の配管の長さが5m以上10m未満だと判断した時は注湯終了前の所定量を7Lとする等のように、給湯風呂制御部28のマイコンに予め流水OFF時間の長さ別に対応する注湯終了前の所定量をプログラムする、すなわち流水OFF時間が長い程注湯終了前の所定量を多くするプログラムにしておけば、施工直後の湯張りの試運転で記憶した流水OFF時間から対応する注湯終了前の所定量が決定され、風呂の配管の長さに応じた片搬送ができるので、風呂の配管は短いのに注湯終了前の所定量が必要以上に多いことにより注湯時間が無駄に長くなる、または風呂の配管は長いのに注湯終了前の所定量が必要以上に少ないことにより風呂の配管のエアー抜きが不十分であるとして浴槽3内の水位検出不良を起こす等の問題が生じることがないものである。
【0021】
また、試運転湯張り完了後に水位センサ22により浴槽3内の水位を検出し、その検出値を給湯風呂制御部28に記憶させ、その検出値を基に注湯終了前の所定量を決定するものとしてもよい。この方法によれば、水位センサ22により検出した検出値を基に、浴槽3が二階設置または階下設置等の特殊設置であると判断した場合には、注湯終了前の所定量を多くするように予め給湯風呂制御部28のマイコンにプログラムしておくことで、先に説明した方法と同様の効果が得られるものである。
【0022】
さらに、風呂の配管の長さや浴槽3の設置場所等の設置条件を、施工後に給湯風呂制御部28に接続されたリモコン(図示しない)に初期設定として入力し、給湯風呂制御部28に記憶させることで、注湯終了前の所定量を決定しても良く、先に説明した方法と同様の効果が得られるものである。また前記注湯終了前の所定量を決定する方法は先に列挙した例に限定されるものではない。
【0023】
次に、図3に示す第2の実施形態について説明するが、この実施形態は先に説明した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し説明を省略し、相違点のみ説明する。
29は風呂熱交換器18をバイパスして風呂往き管17aと風呂戻り管17bとを接続するバイパス管で、このバイパス管29と風呂戻り管17bとの接続部分には開閉手段としての三方弁30が備えられている。
【0024】
前記三方弁30は、流入側の接続口30aに風呂戻り管17bの浴槽3側を接続し、2つの流出側の接続口30b、30cの内、一方の接続口30bには風呂熱交換器18の入り口側を接続し、他方の接続口30cにはバイパス管29側を接続しており、ステッピングモーター31の駆動で内方の弁体を動かして、少なくとも風呂戻り管17bの浴槽3側と風呂熱交換器18の入り口側を連通しバイパス管29側を閉塞する状態と、風呂戻り管17bの浴槽3側とバイパス管29側を連通し風呂熱交換器18の入り口側を閉塞する状態と、風呂戻り管17bの浴槽3側を閉塞する状態とに切り替えることができると共に、全接続口30a、30b、30cを開放状態とすることも可能としたもので、図4(a)に示すように下方を接続口30aとし、この上に左右180度離れて接続口30b、30cを、またその裏側にステッピングモーター31を備えたT字型と、図4(b)に示すように接続口30aは下方で、その上に左右90度離れて接続口30b、30cを、またこの上方にステッピングモーター31を備えたL字型とがあり、この第2の実施形態では図4(a)のT字型の三方弁30を開閉手段として用いるものである。
【0025】
次にこの第2の実施形態の作動について図5に示すフローチャートおよび図6に示すT字型の三方弁30の動作説明図を用いて説明する。
給湯風呂制御部28に接続されたリモコン(図示しない)にて浴槽3への注湯動作が指示されると、S6で三方弁29は風呂戻り管17bの浴槽3側とバイパス管29側を連通し風呂熱交換器18の入り口側を閉塞する図6(ア)の状態となり、湯張り管23途中の湯張り弁24は開弁される。そして、給水バイパス管9からの水と出湯管8からの高温の温水とを設定温度の温水となるよう混合弁10で混合された温水が、給湯管11から分岐した湯張り管23を介して風呂戻り管17bに供給され、風呂戻り管17bおよび風呂往き管17aの両方から両搬送されるものである。
【0026】
続いて、S7で湯張り管23途中に設けられ浴槽3への注湯量をカウントする風呂流量センサ25により注湯終了前の所定量、ここでは設定量まで残り10Lに達したかどうかで判断を行い、注湯終了前の所定量に達したことを検出した時は、YESでS8に進み、S8で三方弁30は図6(イ)の状態で風呂戻り管17bの浴槽3側を閉塞して、風呂戻り管17b側からのみの片搬送を行う。そして、S9で設定量まで注湯が終了したと判断した時にはYESでS10に進み、S10で湯張り弁24を閉弁し注湯動作を終了するものである。浴槽3への注湯の最初は両搬送としたことで、注湯時間の短縮を図り、最後は風呂戻り管17b側からの片搬送としたことで、風呂戻り管17bから浴槽3に流通する温水の流量が増え、風呂戻り管17bに備えられた風呂循環ポンプ21や水位センサ22近傍に残存するエアーを十分に押し出すことができ、水位センサ22による浴槽3内の水位検出不良防止が図れるものである。なお、この実施形態では片搬送を行う際に三方弁30を図6(イ)の状態としたが、片搬送を行う際に三方弁30は風呂戻り管17bの浴槽3側から風呂熱交換器18の入り口側およびバイパス管29側へ温水が流通しない状態、例えば全接続口30a、30b、30cが閉塞した状態等であれば良く、特に図6(イ)の状態に限定するものではない。
【0027】
なお、ここで先に説明した第1の実施形態では開閉手段を開閉弁25としており、注湯動作で両搬送を行う際に風呂往き管17aから浴槽3への注湯は風呂熱交換器18を介して行われ、風呂往き管17aから浴槽3内に流入する温水は風呂熱交換器18で貯湯タンク1内の温水と熱交換して加熱され浴槽3内の湯温が熱くなり過ぎてしまう可能性があった。しかし、この第2の実施形態では風呂熱交換器18をバイパスするバイパス管29を設け開閉手段を三方弁30としたので、両搬送の際には三方弁30を図6(ア)の状態とし、風呂往き管17aから浴槽3への注湯も適温に調節された温度の温水が風呂熱交換器18を通過することなくそのままの温度で浴槽3に注湯できるので、浴槽3内の湯温が熱くなり過ぎることがなく、安心して使用できるものである。
【0028】
注湯動作が完了した後は、三方弁30の風呂戻り管17bの浴槽3側と風呂熱交換器18の入り口側を連通しバイパス管29側を閉塞した図6(ウ)の状態で、追焚き動作あるいは保温動作が行われ、この追焚き動作では風呂循環ポンプ21を駆動し、浴槽3内の浴槽水を貯湯タンク1内の高温の温水中に設けられた風呂熱交換器18を流通させ、貯湯タンク1の貯湯温水の熱を利用して浴槽水を加熱するものである。
【0029】
そして、追焚きまたは保温を停止すると風呂熱交換器18内に浴槽水が残留して貯湯タンク1内の高温の温水と熱交換され、高温に加熱されてしまう。しかし、風呂の追焚きまたは保温を開始する際には、三方弁30を図6(エ)の状態として風呂熱交換器18の入り口側とバイパス管29側の両方に温水を流し、風呂熱交換器18内の高温の温水にバイパス管29を介して低温水を供給することで、温度低下を図り高温な温水がそのまま浴槽3内に流入するのを未然に防止するものである。
【0030】
次にこの三方弁30の図6(ウ)の状態に戻す切替時期は、所定時間の経過例えば1分あるいは、風呂温度センサ20が所定温度例えば60℃以下を検知した時とし、その後は従来の追焚きまたは保温と同様の流れで行われるものである。なお、三方弁30のステッピングモーター31に加えられる電圧あるいは電流を徐々に下げて、図6(エ)の状態から図6(ウ)の状態にゆっくりと4〜5分かけて回動するようにしても良いものである。
【0031】
なお、本発明は上記の第1、第2の実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では二酸化炭素などの自然冷媒を使用したヒートポンプユニット2により貯湯タンク1内の給湯水を加熱する貯湯式のヒートポンプ給湯機に本発明を適用したが、貯湯タンク1内の設けられたヒータにより給湯水を加熱する電気温水器に本発明を適用しても良く、さらに、図7、図8に示すようにガスや石油を燃料とし、風呂熱交換器18と同一フィンに連結されバーナ部32で加熱される給湯用熱交換器33で給湯水を加熱するガス給湯機や石油給湯機にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の第1の実施形態の概略構成図。
【図2】同第1の実施形態の要部のフローチャート。
【図3】この発明の第2の実施形態の概略構成図。
【図4】(a)同第2の実施形態で用いるT字型の三方弁を示す説明図。 (b)同第2の実施形態で用いるL字型の三方弁を示す説明図。
【図5】同第2の実施形態の要部のフローチャート。
【図6】同第2の実施形態で用いるT字型三方弁の動作説明図。
【図7】この発明の第3の実施形態の概略構成図。
【図8】この発明の第4の実施形態の概略構成図。
【符号の説明】
【0033】
3 浴槽
17 風呂循環回路
17a 風呂往き管
17b 風呂戻り管
17c 接続部
18 風呂熱交換器
21 風呂循環ポンプ
22 水位検出手段(水位センサ)
23 湯張り管
25 開閉手段(開閉弁)
29 バイパス管
30 開閉手段(三方弁)
30a、30b、30c 接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と浴槽水を加熱する風呂熱交換器とを循環可能に接続する風呂往き管および風呂戻り管から成る風呂循環回路と、該風呂循環回路に接続され前記浴槽へ注湯する湯張り管と、該湯張り管と前記風呂循環回路との接続部よりも前記浴槽側の前記風呂循環回路に、浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと前記浴槽の水位を検出する水位検出手段とを備えた給湯風呂装置に於いて、前記接続部と前記風呂熱交換器との間の前記風呂循環回路に開閉手段を設け、前記浴槽へ注湯する場合には当初前記開閉手段を開状態とし、前記風呂往き管と前記風呂戻り管の両方から両搬送すると共に、注湯終了前の所定量に達した時には前記開閉手段を閉状態とし、前記風呂循環ポンプが備えられた側の前記風呂循環回路のみから片搬送することを特徴とする給湯風呂装置。
【請求項2】
前記風呂循環回路には前記風呂熱交換器をバイパスするバイパス管を前記開閉手段を介して設け、前記開閉手段は前記バイパス管側と前記風呂熱交換器側と前記浴槽側とのそれぞれを接続する接続口を有し、少なくとも前記浴槽側と前記風呂熱交換器側を連通し前記バイパス管側を閉塞する状態と、前記浴槽側と前記バイパス管側を連通し前記風呂熱交換器管側を閉塞する状態と、前記浴槽側を閉塞する状態とに切替可能な三方弁で構成し、前記開状態は前記浴槽側と前記風呂熱交換器側を連通し前記バイパス管側を閉塞する状態、あるいは前記浴槽側と前記バイパス管側を連通し前記風呂熱交換器管側を閉塞する状態とし、前記閉状態は前記浴槽側を閉塞する状態としたことを特徴とする請求項1記載の給湯風呂装置。
【請求項3】
前記注湯終了前の所定量は、風呂循環回路の圧力損失が大きい程、その所定量を多くすることを特徴とする請求項1または2記載の給湯風呂装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−128528(P2008−128528A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311935(P2006−311935)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】