説明

給紙カセット及び画像形成装置

【課題】設置に必要なスペースが拡大することなく、イオン発生ユニットの後付け装備及び交換を容易ならしめることができる給紙カセット及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙カセット160は、カセット本体161及びイオン発生ユニット650を備える。カセット本体161は、複写機1の装置本体3に着脱自在に構成される。イオン発生ユニット650は、ダクト651、イオン発生装置652及びファン653を有する。ダクト651は、カセット本体161に搭載される。ダクト651は、装置本体3への挿着状態においてカセット本体161の内部から吸入した空気を外部へ案内する流路を形成する。イオン発生装置652は、ダクト651内に配置される。ファン653は、ダクト651内に配置されてダクト651における吸気側端部655から排気側端部656へ気流を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に着脱自在に搭載された給紙カセット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置は、画像形成処理を行うための用紙を収容する給紙カセットを備え、給紙カセットの多くは、装置本体に対して着脱自在に構成されている。画像形成装置は、オフィス等において必要不可欠な機器といっても過言ではなく、実際にほとんどのオフィスに設置されている。さらには、近年、画像形成装置は、一般家庭や病院等にも普及しつつあり、我々にとって極めて身近な存在となっている。
【0003】
ところで、画像形成装置の中には、画像形成装置の周囲から吸入した空気を、画像形成装置のプロセス部や定着部に供給した後に、画像形成装置の外部に排出するものがある。このような画像形成装置の一つとして、装置外部に放出される気流に含有される有害物質を除去して清浄した上でマイナスイオンを供給し、装置内部で発生した有害物質が装置外部へ排出されることを防止するためのイオン発生ユニット(空気清浄部)を備えた画像形成装置が存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−4144公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載の技術では、像形成部の像形成動作によって生じるトナー粉、塵埃、オゾン等を除去する必要上、イオン発生ユニットのうち電極を有するイオン発生部を、像形成部の近傍であって像形成部の周囲に形成される気流の内部に配置することを余儀なくされる。このため、イオン発生部は、画像形成装置の内部に固定的に組み込まれている。したがって、イオン発生機能を有しない画像形成装置にイオン発生ユニットを後付け装備させることは、困難である。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術では、故障や能力低下によってイオン発生ユニットを交換する必要が生じた場合、画像形成装置の筐体等の解体が必要であるため、イオン発生ユニットの交換は容易でない。
【0007】
さらに、イオン発生ユニットを後付け装備させるために、イオン発生ユニットを画像形成装置の外部に配置する場合は、イオン発生ユニットを設置するスペースが余計に必要となり、結果的に画像形成装置の設置に必要なスペースが拡大するという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、設置に必要なスペースが拡大することなく、イオン発生ユニットの後付け装備及び交換を容易ならしめることができる給紙カセット及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の給紙カセットは、カセット本体、及びイオン発生ユニットを備える。カセット本体は、画像形成部を有する画像形成装置に着脱自在に搭載され、画像形成部に給紙される用紙を収容する。イオン発生ユニットは、ダクト、イオン発生装置、及び気流発生装置を有する。ダクトは、カセット本体に搭載される。ダクトは、画像形成装置への挿着状態においてカセット本体の内部を含むカセット本体の近傍から吸気側端部を介して吸入した空気を排気側端部を介して画像形成装置の外部へ案内する流路を形成する。イオン発生装置は、ダクト内に配置される。気流発生装置は、ダクト内に配置されて吸気側端部から排気側端部へ向かう方向に気流を発生させる。
【0010】
この構成では、給紙カセットは、画像形成装置に着脱自在に構成される。このため、イオン発生機能を有しない画像形成装置において、イオン発生機能を有しない従来の給紙カセットを抜き去って、代わりにイオン発生ユニットを有する給紙カセットを挿着することが可能である。これによって、イオン発生機能を有しない画像形成装置にイオン発生ユニットが容易に搭載させる。
【0011】
また、給紙カセットのイオン発生ユニットを交換する際には、現有の給紙カセットを離脱させて新たな給紙カセットを挿着することで、イオン発生ユニットが容易に新品と交換される。
【0012】
さらに、イオン発生ユニットは給紙カセット内の空いたスペースを有効に利用して配置されるので、画像形成装置への挿着時に画像形成装置の筐体の外部にイオン発生ユニットが突出することがない。
【0013】
上述の構成において、ダクトは、カセット本体における給紙方向の上流側端部に配置することが好ましい。カセット本体における給紙方向の下流側端部には、給紙ローラ等の部材が配置される一方、上流側端部には、イオン発生ユニットを配置可能なスペースが存在する。このため、カセット本体における給紙方向の下流側端部よりも上流側端部の方が、給紙カセットを大型化せずにダクトを配置することが容易である。
【0014】
また、カセット本体は、外部に開口する孔を含む把手部を有し、ダクトは、把手部から空気を吹き出すように構成することができる。イオン発生装置から発生されたイオンは、把手部の孔を通って外部へ吹き出される。このため、ユーザが給紙カセットの把手部を手にした際に、イオン発生装置から発生されたイオンがユーザの手に吹き付けられる。したがって、ユーザが給紙カセットの把手部を手にする度にユーザの手が殺菌される。
【0015】
この発明の画像形成装置は、イオン発生機能を有する画像形成装置であって、装置本体、及び給紙カセットを備える。装置本体は、筐体、及び画像データに基づいて画像形成処理を実行する画像形成部を有する。給紙カセットは、カセット本体、及びイオン発生ユニットを備える。カセット本体は、装置本体に着脱自在に搭載され、画像形成部に給紙される用紙を収容する。イオン発生ユニットは、ダクト、イオン発生装置、及び気流発生装置を有する。ダクトは、カセット本体に搭載される。ダクトは、画像形成装置への挿着状態においてカセット本体の内部を含むカセット本体の近傍から吸気側端部を介して吸入した空気を排気側端部を介して画像形成装置の外部へ案内する流路を形成する。イオン発生装置は、ダクト内に配置される。気流発生装置は、ダクト内に配置されて吸気側端部から排気側端部へ向かう方向に気流を発生させる。
【0016】
この構成では、給紙カセットは、画像形成装置の装置本体に着脱自在に構成される。このため、給紙カセットのイオン発生ユニットを交換する際には、現有の給紙カセットを離脱させて新たな給紙カセットを挿着することで、イオン発生ユニットが容易に新品と交換される。
【0017】
さらに、イオン発生ユニットは給紙カセット内の空いたスペースを有効に利用して配置されるので、筐体の外部にイオン発生ユニットが突出することがない。
【0018】
上述の構成において、吸気側端部は、筐体における画像形成部用の排気部とは異なる面に開口するように構成することが好ましい。筐体における画像形成部用の排気部からは、画像形成部で発生したシリコン等が吹き出される。このため、筐体における画像形成部用の排気部とは異なる面からダクト内へ空気を吸入することで、ダクト内にシリコン等が吸入されにくくなる。したがって、シリコン等の影響がイオン発生装置に及ぶことが抑制され、イオン発生ユニットの長寿命化が図られる。
【0019】
また、装置本体は、給紙カセットが着脱自在な給紙カセット搭載部を複数備えるように構成することができる。イオン発生ユニットを有する給紙カセットの搭載数を増加させることで、イオン発生機能が容易に高められる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、設置に必要なスペースが拡大することなく、イオン発生ユニットの後付け装備及び交換を容易ならしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施形態に係る複写機の概略の構成を示す図である。
【図2】複写機の斜視図である。
【図3】給紙カセットの斜視図である。
【図4】給紙カセットの平面断面図である。
【図5】他の実施形態に係る給紙カセットの斜視図である。
【図6】図5に示す給紙カセットの平面断面図である。
【図7】さらに他の実施形態に係る給紙カセットの平面断面図である。
【図8】図7に示す給紙カセットを搭載した複写機の平面視における概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、この発明の実施形態に係る複写機1は、原稿読取部20、画像形成部10、および給紙部16を備えている。
【0023】
原稿読取部20は、透明ガラスからなる原稿台21A、21Bと、原稿台21A、21Bに載置された原稿の画像を読み取るスキャナユニット30と、原稿台21Bへと自動的に原稿を供給搬送するための両面対応自動原稿送り装置(以下、RADFという。)22と、を備えている。
【0024】
原稿台21Aは、固定原稿方式の原稿読取時に使用される一方で、原稿台21Bは、RADF22を用いた原稿送り方式の原稿読取時に使用される。RADF22は、原稿カセットを備えており、この原稿カセット上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿台21B上に搬送する。また、RADF22は、ユーザの選択に応じて原稿の片面または両面をスキャナユニット30に読み取らせるために、片面原稿のための搬送経路、両面原稿のための搬送経路、搬送経路切り換え手段、各部を通過する原稿の状態を把握し管理するセンサ群等を備えている。
【0025】
スキャナユニット30は、第1の走査ユニット31、第2の走査ユニット32、光学レンズ37、および光電変換素子(以下、CCDという。)38を備える。第1の走査ユニット31は、原稿面上を露光するランプリフレクタアセンブリ33および原稿からの反射光像をCCD38に導く第1の反射ミラー34を搭載する。第2の走査ユニット32は、第1の走査ユニット31からの反射光像をCCD38に導くための第2の反射ミラー35および第3反射ミラー36を搭載する。光学レンズ37は、原稿からの反射光像をCCD38上に結像させる。CCD38は、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する。
【0026】
上述の原稿読取部20の構成により、原稿台21上に載置された原稿の画像を1ライン毎に順次CCD38へと結像させて原稿の画像が読み取られる。スキャナユニット30が読み取った画像データは、図示しない画像処理部に送られて各種の画像処理が施された後、複写機1に備えられた記憶部に一旦記憶され、出力指示に応じて画像形成部10に転送される。
【0027】
画像形成部10には、画像形成処理される用紙が収容される給紙部16から画像形成位置を経由して用紙を胴内排紙型の排紙部40に排出する排紙ローラ17までの間に用紙搬送路が形成されている。また、画像形成部10には、用紙搬送路に沿って、用紙の搬送系、レーザ書き込みユニット11、および画像を形成するための電子写真プロセス部13が設けられている。
【0028】
レーザ書き込みユニット11は、上述の原稿読取部20から供給される画像データ、またはパソコン等の外部機器から転送されてくる画像データに応じてレーザ光を出射する半導体レーザ光源、レーザ光を等角速度で偏向するポリゴンミラー、等角速度で偏向されたレーザ光が電子写真プロセス部13における感光体ドラム上で等速度にて走査するように補正するf−θレンズなどを備えている。
【0029】
電子写真プロセス部13は、像担持体としての感光体ドラムの周囲に、感光体ドラムを一様に帯電させる帯電器、レーザ書き込みユニット11によって感光体ドラム上に形成された静電潜像に現像剤を供給する現像器、感光体ドラム上の現像剤像を用紙に転写する転写器、感光体ドラムから用紙を剥離する剥離器、感光体ドラムに残留した現像剤を除去するクリーニング器、および感光体ドラムの表面を除電する除電器を備えている。
【0030】
また、用紙搬送路における電子写真プロセス部13の上流側には、給紙部16の給紙カセット160に収容されている用紙を電子写真プロセス部13における感光体ドラムと転写器との間の転写位置に用紙を搬送する搬送部15が配置されている。搬送部15は、給紙カセット160に収容された用紙を給紙する給紙ローラ151を含む。給紙ローラ151は、給紙カセット160における給紙方向の下流側端部に配置されている。
【0031】
また、用紙搬送路における電子写真プロセス部13の下流側には、用紙に付着した未定着の現像剤像を熱と圧力によって用紙に定着させる定着器12が配置されている。さらに、定着器12の下流側には、定着後の用紙の裏面に再度画像を形成するために用紙を転写位置へ再供給するための再供給経路14が配置されている。そして、定着器12の近傍には、電子写真プロセス部13および定着器12の周囲の気体を複写機1の外部へ排出するように構成された排気用ファン18が設けられている。
【0032】
複写機1は、給紙部16の上であって排紙部40の下に、電源ユニット50を備えている。電源ユニット50は、複写機1の各部に電力を供給するように構成されている。
【0033】
また、給紙カセット160に、イオン発生ユニット650が搭載されている。イオン発生ユニット650は、空気中の水蒸気をコロナ放電によりイオン化し、略同量のプラスイオンとマイナスイオンとを生成するように構成される。本実施形態において、プラスイオンは、水素イオン(H)の周囲に複数の水分子が付随しており、H (H2 O)m (mは自然数)として表される。一方、マイナスイオンは、酸素イオン(O2)の周囲に複数の水分子が付随しており、O2(H2 O)n (nは自然数)として表される。これらのプラスイオンおよびマイナスイオンは、複写機1の周囲に浮遊する細菌の表面に付着すると、化学反応して活性種である過酸化水素Hまたは水酸基ラジカル・OHを生成する。これらの過酸化水素H2 2 または水酸基ラジカル・OHは、極めて強力な活性を示すために、空気中の浮遊細菌を殺菌することができる。
【0034】
図2に示すように、複写機1のうち原稿読取部20および画像形成部10などの給紙カセット160を除く部分は装置本体3を構成し、給紙カセット160は、装置本体3に対して着脱自在に構成されている。なお、図2では、RADF22の記載が省略されている。
【0035】
図3および図4に示すように、給紙カセット160は、カセット本体161、後端規制板162、側端規制板163,164、回転板165、およびイオン発生ユニット650を備えている。
【0036】
装置本体3の給紙カセット搭載部およびカセット本体161のそれぞれには、スライドレール169が設けられ、スライドレール169がスライドすることで、給紙カセット160は装置本体3に対して挿着および離脱が自在となるように構成されている。
【0037】
カセット本体161は、画像形成部10に給紙される用紙を収容する。後端規制板162は、カセット本体161内において給紙方向に沿って所定範囲内でスライド自在に構成されており、カセット本体161に収容された用紙の後端を規制する。側端規制板163,164はそれぞれ、カセット本体161内において給紙方向に直交する方向に沿って所定範囲内でスライド自在に構成されており、カセット本体161に収容された用紙の側端を規制する。回転板165は、給紙方向において上流側端部をカセット本体161の中央部近傍に軸支され、カセット本体161に収容された用紙を給紙ローラ151へ向けて付勢する。
【0038】
イオン発生ユニット650は、ダクト651、イオン発生装置652、気流発生装置として機能するファン653、およびフィルタ654を含み、イオン発生機能を有する。
【0039】
ダクト651は、平面視で略長方形を呈するカセット本体161における給紙方向の上流側端部および前面側端部に沿って延びるように配置されている。ダクト651における空気を吸入する側となるべき吸気側端部655は、カセット本体161の内部に開口している。吸気側端部655は、カセット本体161の背面側側面であって給紙方向における後端規制板162のスライド可能領域の上流側限界位置よりも上流側に開口していることが好ましい。ダクト651への空気の吸入が用紙によって阻害されることがないようにするためである。
【0040】
ダクト651は、カセット本体161の内部から吸気側端部655を介して吸入した空気を、排気側端部656を介して装置本体3への挿着状態において複写機1の外部へ案内する流路を形成するように構成されている。
【0041】
カセット本体161の前面には、把手部166、第1吹き出し口167、および第2吹き出し口168が設けられている。第1吹き出し口167および第2吹き出し口168は、複写機1の前面側の外部へ開口している。ダクト651は、第1吹き出し口167および第2吹き出し口168に連通している。第1吹き出し口167および第2吹き出し口168のそれぞれには、ルーバーが取り付けられている。
【0042】
フィルタ654は、ダクト651内の吸気側端部655近傍に設けられている。フィルタ654は、ダクト651内に進入しようとする埃、トナー、紙粉等の塵埃を捕捉するように構成されている。フィルタ654は、原則として、塵埃を捕捉するための一般的な機能を有するもので足りるが、シリコン吸着機能を有するものを用いることが好ましい。
【0043】
イオン発生装置652は、ダクト651内に配置され、ダクト651内の空気中の水蒸気をコロナ放電によってイオン化し、略同量のプラスイオンとマイナスイオンとを生成するように構成されている。ただし、イオン発生装置652の構成は、この実施形態のものに限定されるものではない。
【0044】
ファン653は、ダクト651内に配置され、吸気側端部655からダクト651における空気を吹き出す側となるべき排気側端部656へ気流を発生させるように構成されている。ファン653は、気流の流れ方向においてイオン発生装置652よりも上流側に配置されることが好ましい。イオン発生装置652から発生したイオンの活性がファン653を通過することで低下することを防止するためである。
【0045】
以上の構成において、給紙カセット160は、複写機1の装置本体3に着脱自在に構成されているので、イオン発生ユニット650を交換する際には、現有の給紙カセット160を離脱させて新たな給紙カセット160を挿着することで、イオン発生ユニット650が容易に新品と交換される。現有の給紙カセット160と新たに搭載される給紙カセットとは同一のものであることに限定されない。イオン発生ユニット650の交換の理由として、新規開発されたイオン発生ユニットを備えた給紙カセットの発売などが考えられる。
【0046】
また、給紙カセット160は装置本体3に対して着脱自在であるので、イオン発生機能を有しない複写機において、イオン発生機能を有しない従来の給紙カセットを抜き去って、代わりにイオン発生ユニット650を有する給紙カセット160を挿着することが可能である。これによって、イオン発生機能を有しない複写機1にイオン発生ユニット650を容易に搭載させることができる。
【0047】
さらに、イオン発生ユニット650は給紙カセット160のカセット本体161内の空いたスペースを有効に利用して配置されるので、複写機1の筐体2の外部にイオン発生ユニット650が突出することがない。
【0048】
このように、複写機1によれば、設置に必要なスペースが拡大することなく、イオン発生ユニット650の後付け装備及び交換を容易ならしめることができる。
【0049】
また、カセット本体161における給紙方向の下流側端部には、給紙ローラ151等の部材が配置される一方、上流側端部には、イオン発生ユニットを配置可能なスペースが存在する。このため、ダクト651は、カセット本体161における給紙方向の下流側端部よりも上流側端部に配置される方が好ましい。下流側端部よりも上流側端部の方が、給紙カセット160を大型化せずにダクト651を配置することが容易であるためである。
【0050】
さらに、イオン発生装置652は、画像形成部10が属する空間とは吸気側端部655を除いてダクト651によって隔離されている。吸気側端部655にはフィルタ654が配置されている。給紙カセット160は、画像形成部10とは離間して配置され、カセット本体161の内部からダクト651内へ空気が吸入される。また、排気用ファン18の吸引作用によって電子写真プロセス部13および定着器12の周囲に生じる気流とダクト651内に吸入される空気とが混じりにくいように、イオン発生装置652が配置されている。このため、画像形成部10において発生するシリコン等でコロナ電極が汚損等することによってイオン発生装置652のイオン発生効率が低下することが抑制される。したがって、イオン発生装置70のイオン発生効率が長期間にわたって維持される。
【0051】
次に、図5および図6を用いて、他の実施形態に係る給紙カセット170について説明する。給紙カセット170は、カセット本体171が、外部に開口する孔を含む把手部176を備えることを除いて、給紙カセット160と同様に構成されている。説明の便宜上、給紙カセット160と同様の構成については、同じ符号を使用する。なお、給紙カセット170のように、外部に開口する孔を含む把手部176を備える場合は、第1吹き出し口167および第2吹き出し口168を無くすことができる。
【0052】
ダクト651は、カセット本体171の内部から空気を吸入し、把手部176から空気を吹き出すように構成されている。イオン発生装置652から発生されたイオンは、把手部176の孔を通って外部へ吹き出される。このため、ユーザが給紙カセット170の把手部176を手にした際に、イオン発生装置652から発生されたイオンがユーザの手に吹き付けられる。したがって、ユーザが給紙カセット170の把手部176を手にする度にユーザの手が殺菌される。
【0053】
次に、図7および図8を用いて、さらに他の実施形態に係る給紙カセット180について説明する。給紙カセット180は、イオン発生ユニット660のダクト661A,661Bにおける吸気側端部665が、筐体2における画像形成部10用の排気部とは異なる面に開口するように構成されている点、および、プラスイオン発生装置662Aとマイナスイオン発生装置662Bとが別のダクト661A,661B内に配置されている点を除いて、給紙カセット160と同様に構成されている。説明の便宜上、給紙カセット160と同様に構成されている部材については同じ符号を使用する。
【0054】
給紙カセット180では、カセット本体181における給紙方向の上流側端部に、ダクト661が、給紙カセット180の装置本体3への挿着状態において筐体2の前面と背面との間の全域にわたるように配置されている。筐体2の背面には、吸気用開口部4が設けられ、給紙カセット180が装置本体3に挿着された状態において、ダクト661の吸気側端部665は、吸気用開口部4を通して筐体2の背面側の外部に露出する。ダクト661の排気側端部666は、筐体2の前面側の外部に露出する。
【0055】
ダクト661は、少なくとも排気側端部666近傍において、互いに平行配置された2つのダクト661A,661Bに分岐されている。ダクト661は、吸気側端部近傍を除く略全域で2つのダクト661A,661Bに分岐されていることが好ましい。
【0056】
プラスイオン発生装置662Aとマイナスイオン発生装置662Bとは、別のダクト661A,661B内に配置されている。
【0057】
ファン663は、気流の流れ方向においてプラスイオン発生装置662Aおよびマイナスイオン発生装置662Bより上流側に配置されている。吸気側端部665近傍には、フィルタ664が配置されている。
【0058】
カセット本体181の近傍の空気が、吸気側端部665からダクト661内に吸入される。吸気側端部665から吸入された空気は、フィルタ664を経由してファン663によってダクト661A,661Bのそれぞれに送られる。一方のダクト661Aではプラスイオン発生装置662Aでプラスイオンが発生され、プラスイオンを含んだ空気が排気側端部666から外部へ吹き出される。また、他方のダクト661Bではマイナスイオン発生装置662Bでマイナスイオンが発生され、マイナスイオンを含んだ空気が排気側端部666から外部へ吹き出される。ダクト661A,661Bのそれぞれから吹き出されたプラスイオンとマイナスイオンとは、複写機1の外部においてラジカル化する。
【0059】
複写機1では、装置本体3の筐体2の右側面に、画像形成部10用の排気部を構成する排気用ファン18が設けられている。給紙カセット180では、吸気側端部665が、複写機1の筐体2における排気用ファン18が設けられた面とは異なる面に開口する。このため、排気用ファン18から排出された空気をイオン発生ユニット660内に吸入してしまうことが抑制される。したがって、画像形成部10で発生したシリコン等の影響がイオン発生装置662A,662Bに及ぶことが抑制され、イオン発生ユニット660の長寿命化が図られる。
【0060】
なお、給紙カセット160又は170において、プラスイオン発生装置662Aとマイナスイオン発生装置662Bとが別のダクト661A,661B内に配置されるように構成することもできる。
【0061】
また、給紙カセット180において、ダクト661を2つのダクト661A,661Bに分岐せずにプラスイオン発生装置662Aとマイナスイオン発生装置662Bとを1つのダクト661内に配置するように構成することもできる。
【0062】
さらに、装置本体3は、給紙カセット160,170,180が着脱自在な給紙カセット搭載部を複数備えるように構成することができる。イオン発生ユニット650,660を有する給紙カセット160,170,180の搭載数を増加させることで、イオン発生機能が容易に高められる。
【0063】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 複写機(画像形成装置)
2 筐体
3 装置本体
10 画像形成部
16 給紙部
18 排気用ファン
160,170,180 給紙カセット
161,171,181 カセット本体
176 把手部
650,660 イオン発生ユニット
651,661,661A,661B ダクト
652 イオン発生装置
662A プラスイオン発生装置
662B マイナスイオン発生装置
653,663 ファン
654,664 フィルタ
655,665 吸気側端部
666 排気側端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を有する画像形成装置に着脱自在に搭載され、前記画像形成部に給紙される用紙を収容するカセット本体と、
前記カセット本体に搭載されたダクトであって前記画像形成装置への挿着状態において前記カセット本体の内部を含む前記カセット本体の近傍から吸気側端部を介して吸入した空気を排気側端部を介して前記画像形成装置の外部へ案内する流路を形成するダクト、前記ダクト内に配置されたイオン発生装置、及び前記ダクト内に配置されて前記吸気側端部から前記排気側端部へ向かう方向に気流を発生させる気流発生装置を有するイオン発生ユニットと、を備える給紙カセット。
【請求項2】
前記ダクトは、前記カセット本体における給紙方向の上流側端部に配置される請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項3】
前記カセット本体は、外部に開口する孔を含む把手部を有し、
前記ダクトは、前記把手部から空気を吹き出すように構成される請求項1又は2に記載の給紙カセット。
【請求項4】
イオン発生機能を有する画像形成装置であって、
筐体、及び画像データに基づいて画像形成処理を実行する画像形成部を有する装置本体と、
給紙カセットと、を備え、
前記給紙カセットは、
前記装置本体に着脱自在に搭載され、前記画像形成部に給紙される用紙を収容するカセット本体と、
前記カセット本体に搭載されたダクトであって前記画像形成装置への挿着状態において前記カセット本体の内部を含む前記カセット本体の近傍から吸気側端部を介して吸入した空気を排気側端部を介して前記画像形成装置の外部へ案内する流路を形成するダクト、前記ダクト内に配置されたイオン発生装置、及び前記ダクト内に配置されて前記吸気側端部から前記排気側端部へ向かう方向に気流を発生させる気流発生装置を有するイオン発生ユニットとを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記吸気側端部は、前記筐体における前記画像形成部用の排気部とは異なる面に開口する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体は、前記給紙カセットが着脱自在な給紙カセット搭載部を複数備える請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ダクトは、前記カセット本体における給紙方向の上流側端部に配置される請求項4から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記カセット本体は、外部に開口する孔を含む把手部を有し、
前記ダクトは、前記把手部から空気を吹き出すように構成される請求項4から7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−123385(P2011−123385A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282381(P2009−282381)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】