説明

給紙装置及び画像形成装置

【課題】 給紙トレイで設定されている記録材のサイズと異なるサイズの記録材が積載されているにもかかわらず、記録材センサにより記録材を検知された後、一定時間経過する前に、給紙位置センサが記録材積載板を検知してしまうことにより、リフトアップが正常に終了したと誤判別してしまう可能性があった。このような誤判別が発生してしまうと、給紙命令が来ても記録材を給紙できず、エラーが発生してしまう可能性があった。
【解決手段】 給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが異なることを紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差を測定することで判別する。よって、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが異なっている状態でリフトアップが正常に終了したと誤判別することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いる給紙装置における記録材検知制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置には、記録材を給紙するための給紙装置が設けられている。このような給紙装置には、複数サイズの記録材を給紙トレイ内の規定の位置に積載できるように記録材の幅方向と長さ方向に対応する側面の規制板が設置されているものがある。このような規制板のうち、搬送方向と直交する側となる後端規制板は積載される記録材の大きさによってユーザが調整可能である。給紙トレイ内に記録材を積載して給紙装置に給紙トレイを装着すると、給紙トレイ内に設置されている記録材積載板が上昇することで記録材をリフトアップする。リフトアップは記録材の上端を検知する給紙位置センサが記録材によってONに変化するまで続けられ、記録材を給紙することが可能な位置まで記録材を上昇させる。
【0003】
しかし、ユーザが記録材を交換する時に、交換前に積載されていた記録材と異なるサイズの記録材を給紙トレイに積載する場合、規制板の調整を忘れることがあった。この状態でリフトアップを実行すると、給紙ローラ付近に配置された給紙位置センサによって、積載された記録材が検出されず、リフトアップし続ける可能性があった。
【0004】
このような課題を解決するために、特許文献1ではリフトアップ時に記録材の有無を検知する記録材センサで記録材があると検知された後に、一定時間経過しても給紙位置センサで記録材を検知できない場合は、給紙トレイで設定されている記録材サイズと異なるサイズの記録材が積載されたと判断し、リフトアップを中止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−314302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録材トレイに積載された記録材の積載量によっては、給紙トレイで設定されている記録材のサイズと異なるサイズの記録材が積載されているにもかかわらず、記録材センサにより記録材を検知された後、一定時間経過する前に、給紙位置センサが記録材積載板を検知してしまうことにより、リフトアップが正常に終了したと誤判別してしまう可能性があった。このような誤判別が発生してしまうと、給紙命令が来ても記録材が積載されていないため給紙することができず、給紙エラーが発生してしまう可能性があった。
【0007】
本出願にかかる発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、給紙トレイで設定されている記録材サイズと異なるサイズの記録材が積載されている際に、リフトアップが正常に終了したと誤判別することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、記録材を積載する給紙手段と、前記給紙手段に積載される記録材を昇降させる昇降手段と、前記給紙手段に積載される記録材のサイズを検知する第1の検知手段と、前記給紙手段に積載される記録材の有無を検知する第2の検知手段と、前記昇降手段によって上昇される記録材、又は前記昇降手段が所定の位置まで上昇されたことを検知する第3の検知手段と、を有する給紙装置であって、前記昇降手段を上昇させる際に、前記第2の検知手段により記録材の有無が検知されるタイミングと、前記第3の検知手段により記録材又は前記昇降手段が検知されるタイミングの検知時間差に基づき、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが一致するか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、給紙トレイで設定されている記録材サイズと異なるサイズの記録材が積載されている際に、リフトアップが正常に終了したと誤判別することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置としてのレーザビームプリンタの概略構成図
【図2】画像形成装置のシステム構成の一例を説明するためのハードウェア構成及び機能を示したブロック図
【図3】給紙トレイ102の概略構成図
【図4】リフトアップ完了時の給紙トレイ102の状態を示す図
【図5】リフトアップを行った際の紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差と、リフトアップにかかる時間を示したグラフ
【図6】給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが一致しているか判断するフローチャート
【図7】給紙装置のシステム構成の一例を説明するためのハードウェア構成及び機能を示したブロック図
【図8】第2の実施形態における給紙トレイ102の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は画像形成装置としてのレーザビームプリンタの概略構成図である。まず、画像形成装置全体の構成について説明する。
【0013】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置101は、印字指示を受けるとピックアップローラ103によって紙としての記録材Sを給紙トレイ102から給紙させる。給紙トレイ102から給紙された記録材Sは搬送ローラ105、106、107により搬送され、記録材検出部108で検知される。記録材検出部108で記録材Sの先端を検知した後、記録材Sは画像形成部120に搬送される。
【0014】
画像形成部120は、感光ドラム109、転写ローラ110、帯電ローラ111、現像装置112を備える。感光ドラム109は、まず帯電ローラ111によって表面を均一に帯電される。その後、レーザ露光装置113より、画像信号に対応したレーザ光Lを照射されて、表面に静電潜像が形成される。このように形成された静電潜像は現像装置112から供給されるトナーによって現像されることで、トナー像として可視化される。可視化されたトナー像は、感光ドラム109が回転することによって転写位置まで搬送される。トナー像が転写位置に搬送されるタイミングに同期して、記録材Sも転写位置に搬送される。
【0015】
転写位置では、転写ローラ110にトナー像と逆極性の電圧が印加されて、感光ドラム109上のトナー像が記録材Sに転写される。トナー像が転写された記録材Sは、定着装置114へ搬送される。記録材Sは定着装置114で、加熱ローラ及び加圧ローラにより、加熱及び加圧される。これにより、記録材Sにトナー像が定着される。トナー像が定着された記録材Sは、中間排紙ローラ116により搬送され、排紙トレイ121に排紙される。また、記録材Sの両面に画像形成する場合には、1面目に画像が形成された記録材Sが、中間排紙ローラ116で反転されて両面搬送ローラ122によって搬送され、再び画像形成部120へと搬送される。
【0016】
<画像形成装置のシステム構成>
図2は、画像形成装置のシステム構成の一例を説明するためのハードウェア構成及び機能を示したブロック図である。画像形成装置制御部400はリフトアップ時に記録材サイズを判断するための測定部406、リフトアップ終了後に測定結果と比較対象となる値を比較する比較部403、記録材サイズ違いを検知した時にユーザに警告を報知する警告報知部405を用いて夫々の処理を行う。夫々の処理は、CPU401によりリフトアップを行うリフトアップモータ404、紙有りセンサ104及び紙面検知センサ201、給紙トレイ102に設置された記録材サイズを設定する給紙トレイサイズ検知部407、測定結果及び比較対象となる値を保存するメモリ402を制御することで行う。
【0017】
<給紙トレイ102の構成>
図3は、給紙トレイ102の概略構成図である。給紙トレイ102において、記録材Sは記録材積載板203の上に積載される。そして、後端規制板204により、積載した記録材Sの後端側の位置を規定する。本実施形態においては、後端規制板204と給紙トレイサイズ検知部407は連動している。ユーザは使用する記録材Sのサイズに応じて後端規制板204を記録材Sの長さ方向(図3の左右方向)に手動で操作することで給紙トレイサイズ検知部407の出力を変化させることができる。
【0018】
給紙トレイ102に積載する記録材SのサイズはCPU401により給紙トレイサイズ検知部407の出力を確認することで設定される。これにより、後端規制板204の位置によって給紙トレイ102に積載される記録材SのサイズをCPU401は認識することができる。なお、後端規制板204の位置と給紙トレイ102に積載される記録材Sのサイズの関係については、ここでの説明は省略する。
【0019】
104は、記録材積載板203の上昇(リフトアップ)時に給紙トレイ102内に記録材Sが積載されているか否かを検知するための紙有りセンサである。記録材積載板203は、昇降することが可能な構成となっている。201は、積載された最上位の記録材Sが給紙可能位置に到達したことを判定するための紙面検知センサである。本実施形態においては、紙面検知センサ201は給紙を行うピックアップローラ103付近に、紙有りセンサ104は紙面検知センサ201から50mmほど離れた位置に配置されている。また、記録材積載板203は紙有りセンサ104と接触する位置に穴が開けられており、リフトアップ完了時に給紙トレイ102内の記録材Sの有無を検知することができる。具体的には、記録材Sが積載されているときには、記録材Sにより紙有りセンサ104が動かされ、出力値が変化することにより記録材Sが有ることが検知できる。一方、記録材Sが積載されていない場合は、紙有りセンサ104は記録材積載板203に開けられた穴を通るため、出力値が変化することなく記録材Sが無いことが検知できる。
【0020】
給紙トレイ102を画像形成装置101又は給紙装置100に装着すると、記録材積載板203が記録材積載板上昇手段であるリフトアップモータ404により上昇されることで、リフトアップが行われる。リフトアップは、紙面検知センサ201の出力値が変化すると終了する。給紙トレイ102内に記録材Sが存在するか否かは、リフトアップ終了後に紙有りセンサ104の出力値が変化したかにより判定する。例えば、給紙トレイ102内に記録材Sがある場合は紙有りセンサ104は記録材SによってONになる。給紙トレイ102内に記録材Sがない場合は、記録材積載板203の穴の位置に紙有りセンサ104が配置されているため紙有りセンサ104の出力はOFFのままとなる。なお、紙有りセンサ104による出力値はONとOFFを逆にすることも可能である。
【0021】
本実施形態においては、給紙トレイサイズ検知部407は後端規制板204と連動する形式であるが、連動せずに記録材Sのサイズを検知することも可能である。また、紙有りセンサ104と紙面検知センサ201と2つのセンサを用いた例を説明したが、紙面検知手段としてのセンサは3つ以上あってもよい。記録材積載板上昇手段は、リフターモータを使用しているが、リフターモータの種類はパルスモータでもDCモータでもよい。
【0022】
<記録材Sのサイズによるリフトアップ時の動作の違い>
図4及び図5を用いてサイズの異なる記録材Sを給紙トレイ102に積載した場合のリフトアップ時の動作の違いについて説明する。図4は、リフトアップ完了時の給紙トレイ102の状態を示している。図4(a)は給紙トレイ102の後端規制板204で設定された記録材Sのサイズと、積載された記録材Sのサイズとが同じ場合で、給紙トレイ102のリフトアップが完了した状態を示している。リフトアップを行うと、紙面検知センサ201及び紙有りセンサ104は記録材SによってONに変化し、紙有り状態であると判断されてリフトアップが完了する。画像形成装置制御部400は正常にリフトアップが完了したと認識し、ピックアップローラ103により記録材Sの給紙を行う。
【0023】
図4(b)は、給紙トレイ102の後端規制板204で設定された記録材Sのサイズより、積載された記録材Sのサイズの方が小さい場合で、給紙トレイ102のリフトアップが完了した状態を示している。リフトアップを行うと、紙面検知センサ201は記録材積載板203によってONに変化し、紙有りセンサ104は記録材SによってONに変化し、紙有り状態でリフトアップが完了する。この場合も、画像形成装置制御部400は正常にリフトアップが完了したと認識し、ピックアップローラ103により記録材Sの給紙を行う。しかし、図4(b)において、記録材Sはピックアップローラ103と接触していないため、記録材Sを給紙することはできない。このように給紙エラーが発生してしまうと、ピックアップローラ103が記録材積載板203と接触した状態で回転してしまうため、ピックアップローラ103に摩耗が生じてしまう可能性がある。本実施形態においては、このように正常にリフトアップが完了したと認識されるような場合に発生しうる給紙エラーを抑制するものである。
【0024】
図5は、リフトアップを行った際の紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差と、リフトアップにかかる時間を示したグラフである。まず、図5(a)は、給紙トレイ102内の後端規制板204の位置をA4に設定した状態で、給紙トレイ102にA4、B5、A5の各サイズの記録材Sを積載した場合の紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差を示したグラフである。横軸は給紙トレイ102に積載した記録材の高さ(枚)、縦軸は紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差(ms)を示す。このグラフから、どのサイズの記録材Sを積載した場合でも積載する記録材Sが増加すると、検知時間差も増加することがわかる。増加傾向としては、A4を積載した場合よりもB5又はA5を積載した場合の方が、検知時間差の増加量が大きいことがわかる。
【0025】
図5(b)は、給紙トレイ102内の後端規制板204の位置をA4に設定した状態で、給紙トレイ102にA4、B5、A5の各サイズの記録材Sを積載した場合のリフトアップ実行時間を示したグラフである。図の横軸は給紙トレイ102に積載した記録材Sの高さ(枚)、縦軸はリフトアップの実行時間(ms)を示す。A4サイズを積載した場合は、積載した記録材Sの量の増加に比例してリフトアップの実行時間が減少していることがわかる。一方、B5サイズ又はA5サイズを積載した場合は、積載した記録材Sの量が増加してもリフトアップの実行時間は殆ど変化しないことがわかる。
【0026】
このような、リフトアップを行った際の紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差と、リフトアップにかかる時間を用いて、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが一致しているか判断する。
【0027】
<リフトアップ時に給紙トレイ102に積載された記録材Sのサイズが一致しているかの判断方法>
図6は、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが一致しているか判断するフローチャートである。S301において、CPU401は給紙トレイ102が画像形成装置101に装着されると、画像形成装置制御部400にリフトアップを行う指示を出す。画像形成装置制御部400はリフトアップ指示を受信すると記録材積載板203をリフトアップモータ404によって上昇させる。S302において、画像形成装置制御部400は紙面検知センサ201がONとなっているか判断する。ONになっていない場合は、ONになるまでリフトアップを実行する。ONになった場合は、S303において、画像形成装置制御部400は、測定部406を用いてリフトアップを開始してから終了するまでの上昇時間である時間(T1)と、紙有りセンサ104で紙面を検知した時間と紙面検知センサ201が紙面もしくは記録材積載板203を検知した時間の差(T2)を測定する。また、メモリ402に、給紙トレイ102で設定可能な記録材サイズごとに、正しいサイズの記録材Sを積載した時の記録材Sの高さに対応するT1とT2を予め保存しておく。
【0028】
S304において、CPU401はリフトアップ終了後、比較部403によりT2が一定時間以上か判断する。ここでは、一例として600msを閾値とする。T2が閾値(600ms)以上の場合、S309において、CPU401は後端規制板204で設定されている記録材サイズと異なるサイズの記録材が給紙トレイ内に積載されていると判断する。T2が閾値(600ms)未満の場合、CPU401はT2に基づき記録材サイズが正しいか判断できない。このとき、正しいサイズの記録材Sが積載されていると仮定して、CPU401はメモリ402に格納されている情報を利用し、正しいサイズの記録材Sが積載されているか判断する。
【0029】
S305において、CPU401はメモリ402の情報とT2を用いて給紙トレイ102に積載されている記録材Sの高さを推定する。ここでは、一例として紙面検知時間差は400msであるとする。このとき、A4サイズの記録材Sが給紙トレイ102に積載されていると仮定した場合、積載されている記録材Sの高さは100枚前後だと推定できる。S306において、CPU401は積載された記録材Sの高さの推定後に、メモリ402の情報と推定した記録材Sの高さを用いてリフトアップ実行時間のRefを求める。推定した記録材Sの高さが100枚前後の場合、A4サイズの記録材Sが給紙トレイ102に積載されている時のリフトアップ実行時間は3300msから3400msの間である。
【0030】
リフトアップ実行時間のRefを求めた後、S307において、CPU401はT1とRefを比較する。T1とRefの差が所定時間以上であれば、S309において、CPU401は異なるサイズの記録材Sが積載されていると判断する。T1とRefの差が所定時間未満であれば、S308において、CPU401は正しいサイズの記録材Sが積載されていると判断する。
【0031】
なお、CPU401は給紙トレイ102に積載された記録材Sのサイズが異なると判断した場合、警告報知部405を用いてユーザに警告を報知する。また、上記制御が適用できる記録材Sの高さは、最小は正常時と異常時でT1及びT2の差異がつかない高さであり、最大はリフトアップを完了することができない高さである。この閾値は給紙トレイ102の構成によって変化し、本実施形態の一例においては、最小の積載枚数は10枚前後、最大の積載枚数は200枚前後である。また、本実施形態においては、メモリ402に記録材サイズごとに記録材Sの高さに対応するT1及びT2のRefとなる値を保存していたが、近似式で記録材Sの高さに対応するT1及びT2のRefとなる値を求めることも可能である。また、S304やS307で用いている閾値は本実施形態における一例であり、画像形成装置の構成等によって適宜設定することが可能である。また、記録材Sの高さの基準として、本実施形態においては普通紙の積載枚数を基準としたが、薄紙や厚紙等他の種類の記録材Sを適用してもよい。
【0032】
このように、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが異なることを紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差を測定することで判別することができる。よって、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが異なっている状態でリフトアップが正常に終了したと誤判別することを抑制することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、リフトアップを行った際の紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差と、リフトアップにかかる時間を用いて、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが一致しているか判断する方法について説明した。第2の実施形態においては、記録材Sの積載量が少ない場合において、さらに精度良く給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが一致しているか判断する方法について説明する。なお、画像形成装置の全体構成は先の第1の実施形態と同様のため、ここでの説明は省略する。
【0034】
図7は、給紙装置のシステム構成の一例を説明するためのハードウェア構成及び機能を示したブロック図である。なお、先の第1の実施形態の画像形成装置のシステム構成との違いは、各部の制御を行うCPU401が給紙装置制御部700に備えられていることである。それ以外の構成は、先の第1の実施形態と同様であるためここでの説明は省略する。なお、CPU401は、画像形成装置にあっても給紙装置にあっても、同様の制御を行うことが可能である。
【0035】
図8は、本実施形態における給紙トレイ102の概略構成図である。先の第1の実施形態の給紙トレイ102との違いは、記録材積載板203上で、紙面検知センサ201に接触する位置に窪みが設けられていることである。図8(a)は給紙トレイ102の後端規制板204によって設定された記録材Sのサイズと同じサイズの記録材Sを少数積載した時のリフトアップ完了時の状態を示している。この時、紙面検知センサ201及び紙有りセンサ104は記録材SによってONに変化し、リフトアップが終了する。
【0036】
図8(b)は給紙トレイ102の後端規制板204によって設定された記録材Sのサイズより小さいサイズの記録材Sを少数積載した時のリフトアップ完了時の状態を示している。この時、紙面検知センサ201は記録材積載板203の窪み205によってONに変化し、紙有りセンサ104は記録材SによってONに変化し、リフトアップが完了する。そのため、記録材積載板203に設けられた窪み205の深さに応じて、リフトアップ実行時間及び紙面検知センサ201と紙有りセンサ104の検知時間差を図8(a)より増加することができる。例えば、窪みの深さが3mmである場合、給紙トレイ102の後端規制板204で設定された記録材Sのサイズと異なるサイズの記録材Sが積載された時の検知時間差は図8(a)より約200ms、同様にリフトアップ実行時間は約170ms増加させることができる。このように、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが一致しているときと、一致していないときの検知時間差を増加させることができるため、少数の記録材Sが積載されているときでも、サイズの不一致を判別することができる。
【0037】
次に、先の第1の実施形態で説明した図6のフローチャートを用いて、給紙トレイ102に1枚の記録材Sが積載されている時の記録材Sのサイズが一致しているかの判断について説明する。なお、リフトアップ完了までのS301乃至S03は先の第1の実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0038】
S304において、CPU401はリフトアップ終了後、比較部403によりT2が一定時間以上か判断する。ここでは、一例として600msを閾値とする。この時、T2は500(300+200)ms前後となるため、CPU401はT2に基づき記録材サイズが正しいか判断できない。このとき、正しいサイズの記録材Sが積載されていると仮定して、CPU401はメモリ402に格納されている情報を利用し、正しいサイズの記録材Sが積載されているか判断する。
【0039】
S305において、CPU401はメモリ402の情報とT2を用いて給紙トレイ102に積載されている記録材Sの高さを推定する。ここでは、紙面検知時間差は500msであるとする。このとき、A4サイズの記録材Sが給紙トレイ102に積載されていると仮定した場合、積載されている記録材Sの高さは150枚前後だと推定できる。S306において、CPU401は積載された記録材Sの高さの推定後に、メモリ402の情報と推定した記録材Sの高さを用いてリフトアップ実行時間のRefを求める。推定した記録材Sの高さが150枚前後の場合、A4サイズの記録材Sが給紙トレイ102に積載されている時のリフトアップ実行時間は3100msから3200msの間である。
【0040】
リフトアップ実行時間のRefを求めた後、S307において、CPU401はT1とRefを比較する。T1とRefの差が所定時間以上であれば、S309において、CPU401は異なるサイズの記録材Sが積載されていると判断する。T1とRefの差が所定時間未満であれば、S308において、CPU401は正しいサイズの記録材Sが積載されていると判断する。
【0041】
なお、CPU401は給紙トレイ102に積載された記録材Sのサイズが異なると判断した場合、警告報知部405を用いてユーザに警告を報知する。また、上記制御が適用できる閾値は、本実施形態の一例においては、最小の積載枚数は1枚、最大の積載枚数は170枚前後である。このように本実施形態では、第1の実施形態と比べてリフトアップ時にリフトアップを完了することができない記録材Sの高さの閾値は減るものの、記録材Sの高さが10枚未満の場合であっても記録材サイズ違いを検知することが可能となる。本実施形態においては、窪み205の深さを3mmとしたが、リフトアップ時にT1とT2について正常時と異常時の差異が判断できる深さであるなら窪み205の深さは適宜設定することが可能である。
【0042】
このように、記録材積載板203に窪み205を設けて、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが異なることを紙有りセンサ104と紙面検知センサ201の検知時間差を測定することで判別した。よって、記録材Sの積載枚数が少ない場合においても、給紙トレイ102に積載されている記録材Sのサイズと、後端規制板204により検知された記録材Sのサイズが異なっている状態でリフトアップが正常に終了したと誤判別することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 給紙装置
102 給紙トレイ
103 ピックアップローラ
201 紙面検知センサ
203 記録材積載板
204 後端規制板
401 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を積載する給紙手段と、
前記給紙手段に積載される記録材を昇降させる昇降手段と、
前記給紙手段に積載される記録材のサイズを検知する第1の検知手段と、
前記給紙手段に積載される記録材の有無を検知する第2の検知手段と、
前記昇降手段によって上昇される記録材、又は前記昇降手段が所定の位置まで上昇されたことを検知する第3の検知手段と、を有する給紙装置であって、
前記昇降手段を上昇させる際に、前記第2の検知手段により記録材の有無が検知されるタイミングと、前記第3の検知手段により記録材又は前記昇降手段が検知されるタイミングの検知時間差に基づき、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが一致するか否かを判断することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記昇降手段により記録材が上昇されている上昇時間を検知する第4の検知手段を備え、
前記昇降手段を上昇させる際に、前記第4の検知手段により検知された前記上昇時間に基づき、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが一致するか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記検知時間差が閾値より短くなると、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが不一致であると判断することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記上昇時間が閾値より長くなると、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが不一致であると判断することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが不一致であると判断されると、不一致であることを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記昇降手段は、前記第3の検知手段と接触する位置に窪みを設けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
記録材を積載する給紙手段と、
前記給紙手段に積載される記録材を昇降させる昇降手段と、
前記給紙手段に積載される記録材のサイズを検知する第1の検知手段と、
前記給紙手段に積載される記録材の有無を検知する第2の検知手段と、
前記昇降手段によって上昇される記録材、又は前記昇降手段が所定の位置まで上昇されたことを検知する第3の検知手段と、
前記給紙手段から給紙される記録材に画像を形成する画像形成手段と、を有する画像形成装置であって、
前記昇降手段を上昇させる際に、前記第2の検知手段により記録材の有無が検知されるタイミングと、前記第3の検知手段により記録材又は前記昇降手段が検知されるタイミングの検知時間差に基づき、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが一致するか否かを判断し、一致していれば前記給紙手段から記録材を給紙し、前記画像形成手段により画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記昇降手段により記録材が上昇されている上昇時間を検知する第4の検知手段を備え、
前記昇降手段を上昇させる際に、前記第4の検知手段により検知された前記上昇時間に基づき、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが一致するか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知時間差が閾値より短くなると、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが不一致であると判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記上昇時間が閾値より長くなると、前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが不一致であると判断することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の検知手段により検知された記録材のサイズと、前記給紙手段に積載されている記録材のサイズが不一致であると判断されると、不一致であることを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記昇降手段は、前記第3の検知手段と接触する位置に窪みを設けることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86896(P2013−86896A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227035(P2011−227035)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】