説明

給電プラグロック装置

【課題】装置体格を小型化することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】アンロック位置に位置するロックバー39でロックピース47を横支えして、ロックピース47をアンロック位置で維持することにより、給電プラグロック装置34をアンロック状態で保持する。また、ロックバー39が手動操作によってロック方向に回動操作され、ロックバー39による横支えが解消されると、ロックピース47が付勢部材51の付勢力によってロック方向に回動を始める。そして、ロックピース47がロックバー39を上から押さえ付けてロックアーム27に固定することにより、給電プラグロック装置34がロック状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行する。よって、長距離走行してバッテリ残量が減ったときは、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。従って、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に接続した際、給電プラグが不正に取り外されないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給電プラグロック装置を車両に搭載する場合、その搭載場所は、例えば車体の側壁などの搭載スペースが限られた場所となる可能性が高い。よって、限られた搭載スペースであっても搭載することができる小型の給電プラグロック装置の開発ニーズがあった。
【0006】
本発明の目的は、装置体格を小型化することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグに抜け止めの爪として設けられたロックアームを前記インレットの突部に固定することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、手動操作によって少なくともロック方向に可動するロック部材と、ロック位置及びアンロック位置の2位置をとり、前記ロック部材と協同して前記ロックアームを前記突部に固定可能なピース部材と、当該ピース部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記ピース部材のロック方向への動きが前記ロック部材によって規制されることにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記ピース部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動いて、当該ピース部材が前記ロック部材を前記ロックアームに押し付けることにより、ロック状態となることを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、給電プラグロック装置の構造が、ロック部材、ピース部材及び付勢部材などを必要とするだけの構成で済むので、給電プラグロック装置に必要な部品が少なく済む。よって、給電プラグロック装置の装置体格を小型化することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記ロック部材をロック状態に手動操作する際の操作部が当該ロック部材に一体形成されていることを要旨とする。この構成によれば、操作部がロック部材に一体形成されるので、部品点数が少なく済む。
【0010】
本発明では、前記ロック部材がロック状態の際、ロック位置にある前記ピース部材をアンロック方向に引くことにより、前記ロック状態をアンロック状態に切り換える解除手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、ロック状態にある給電プラグロック装置を、解除手段によってアンロック状態に戻すことが可能となる。
【0011】
本発明では、前記解除手段は、アクチュエータによって前記ピース部材をアンロック方向に動作させることにより、前記ロック状態をアンロック状態に切り換える電気式であることを要旨とする。この構成によれば、解除手段がアクチュエータを用いた電気式であるので、給電プラグロック装置を自動で元のアンロック状態に切り換えることが可能となる。よって、給電プラグロック装置をアンロック状態に切り換える際の利便性が確保される。
【0012】
本発明では、前記ロック部材、前記ピース部材及び前記付勢部材は、1つの装置本体に一体に組み付けられ、前記アクチュエータは、前記装置本体とは別体に形成されていることを要旨とする。この構成によれば、装置本体にアクチュエータを搭載する必要がないので、装置本体の体格を小型化することが可能となる。よって、搭載スペースが限られていても、そのスペースに装置本体を取り付けることが可能となる。
【0013】
本発明では、前記アクチュエータは、電子キーシステムによる車両ドアの施錠動作に連動してアンロック動作を実行することを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のアンロック動作を、車両ドアの解錠に連動するようにしたので、車両ドアを解錠すれば、同時に給電プラグロック装置もアンロック状態に切り換わる。よって、給電プラグロック装置をアンロック状態に切り換える際の利便性確保に効果が高くなる。
【0014】
本発明では、前記アクチュエータと前記装置本体とが別体の場合、前記装置本体とその取付箇所との間には、前記ピース部材と前記アクチュエータとを繋ぐ連結部材が通される箇所において、防水性を確保するシール部材が設けられていることを要旨とする。この構成によれば、装置本体とその取付箇所との連結部分から内部への水等の浸入がシール部材によって抑制される。このため、装置内部や車体内部に設置された電装品等に水等が至り難くなるので、電装品の故障防止に効果が高くなる。
【0015】
本発明では、前記ロック部材は、装置奥行き方向に延びる軸回りに回動する部材であり、前記ピース部材は、装置高さ方向に延びる軸回りに回動する部材であることを要旨とする。この構成によれば、簡素(シンプル)な構成で、アンロック位置にあるロック部材でピース部材をアンロック位置に保持したり、ロック位置に移動したピース部材でロック部材をロック位置で保持したりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、給電プラグロック装置の装置体格を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態の車両及び充電システムの構成図。
【図2】給電プラグ及び受電コネクタの斜視図。
【図3】一部破断断面とした給電プラグを受電コネクタに取り付ける際の様子を示す側面図。
【図4】給電プラグロック装置の取り付け方を示す斜視図。
【図5】給電口の正面図。
【図6】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図7】アンロック状態の給電プラグロック装置の斜視図。
【図8】アンロック状態の給電プラグロック装置の平面図。
【図9】ロック状態の給電プラグロック装置の斜視図。
【図10】ロック状態の給電プラグロック装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2及びモータ3を利用して発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。車両1は、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモード、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモード、モータ3のみで走行するモードなど、各種モードにて走行する。
【0019】
車両1には、ワイヤレスキー6からの通信を契機にID照合を行って車両ドアの施解錠させるワイヤレスキーシステム7が搭載されている。この場合、車両1には、ワイヤレスキー6の正当性を認証する照合ECU(Electronic Control Unit)8と、車両1の各種電装品の電源を管理するボディECU9とが設けられ、これらとハイブリッドシステム4とが車内のバス10によって接続されている。照合ECU8には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機11が接続されている。ボディECU9には、ドア施解錠の駆動源となるドアロックモータ12が接続されている。なお、ワイヤレスキーシステム7が電子キーシステムに相当する。
【0020】
ワイヤレスキー6のワイヤレスボタン13が操作されると、ワイヤレスキー6は、操作されたワイヤレスボタン13に応じたワイヤレス信号SwlをUHF電波により送信する。ワイヤレス信号Swlには、ワイヤレスキー6のIDコードと、操作されたワイヤレスボタン13に応じた機能コードとが含まれている。照合ECU8は、車両受信機11でワイヤレス信号Swlを受信すると、ワイヤレス信号Swl内のIDコードにてID照合(ワイヤレス照合)を実行し、この照合が成立することを確認すると、ボディECU9にドアロックの施解錠動作を実行させる。
【0021】
車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム14が設けられている。充電システム14は、例えば街に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備15として、充電設備15の充電ケーブル16の先端に設けられた給電プラグ17を車両1に接続してバッテリ5を充電する。
【0022】
図2に示すように、車体18の側壁には、車体18の給電口19を開閉するリッド20が横開き可能に設けられている。給電口19には、リッド20や給電口19周辺の各種部品を取り付けるための収納ボックス21が設けられている。
【0023】
収納ボックス21の略中央には、給電プラグ17の嵌め込み先となる略筒状のインレット22が、複数(本例は4つ)の締結部材23にて取り付け固定されている。車体18側の受電コネクタ24は、複数の電気接続端子(パワー端子、制御端子等)が形成されるとともに、インレット22の中央に貫設された通し孔22aから外部に引き出されている。インレット22には、受電コネクタ24に給電プラグ17が完挿されたことを検出する図1に示すプラグ接続検出センサ25が設けられている。なお、収納ボックス21が装置本体の取付箇所に相当する。
【0024】
図3に示すように、給電プラグ17は、充電システム14の電源側であって、受電コネクタと同様の電気接続端子を有する。給電プラグ17のプラグ本体26には、接続時の抜け止めとしてロックアーム27が回動可能に取り付けられている。ロックアーム27は、長手方向中央を回動軸28として、長手方向と交差する方向に回動操作可能である。ロックアーム27は、先端の爪部29と根元のアーム操作部30とがプラグ本体26の外部に露出されている。ロックアーム27には、アーム操作部30寄りの位置に、ロックアーム27を閉じ側に常時付勢する付勢部材31が設けられている。
【0025】
給電プラグ17を受電コネクタ24に接続する際には、給電プラグ17を受電コネクタ24に向けて真っ直ぐ(図3の−X軸方向)に挿し込む。このとき、爪部29がインレット22の上部の係止突32に当接すると、ロックアーム27はその斜面33に案内されて係止突32を上る。そして、給電プラグ17がインレット22に完挿されると、付勢部材31の付勢力によってロックアーム27が閉じ側に回動する。このため、爪部29が係止突32に引っ掛かり、給電プラグ17がインレット22に抜け止めされる。なお、係止突32が突部に相当する。
【0026】
ハイブリッドシステム4は、給電プラグ17が受電コネクタ24に完挿されたことを確認すると、給電プラグ17(充電設備15)にバッテリ5の充電を実行させる。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電になったことを確認すると、給電プラグ17に充電を終了させる。充電終了後、給電プラグ17を受電コネクタ24から取り外す際には、アーム操作部30を押してロックアーム27を開き側に回動操作し、係止突32から離間する。そして、この状態で給電プラグ17を受電コネクタ24から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0027】
図4〜図6に示すように、給電口19内の収納ボックス21には、受電コネクタ24に接続された給電プラグ17の不正取り外しを防止する給電プラグロック装置34が設けられている。本例の給電プラグロック装置34は、アンロック状態からロック状態への切り換えを手動操作によって行い、ロック状態からアンロック状態への切り換えを、ワイヤレスキーシステム7による車両ドアの解錠動作に連動して行う。
【0028】
図4に示すように、給電プラグロック装置34の装置本体35は、4つの締結部材23のうちの上の2つの23a,23aによってインレット22と共締めすることにより、収納ボックス21に取り付け固定されている。また、給電プラグロック装置34は、後付けの用品としてもよい。この場合、上の2つの締結部材23a,23aを取り外し、装置本体35を取付状態のインレット22に対して位置決めした後、装置本体35を締結部材23a,23aによってインレット22と共締めすることにより取り付ける。
【0029】
図6に示すように、装置本体35のケース36には、給電プラグロック装置34の各種部品を収納するケース本体部37と、ケース本体部37の開口を閉じる蓋部38とが設けられている。蓋部38は、例えばスナップフィットやボルト等によってケース本体部37に一体組み付けされている。締結部材23a,23aは、ケース本体部37の両端に形成された通し孔37a,37aと、蓋部38の両端に形成された通し孔38a,38aとに通される。
【0030】
ケース36には、ロックアーム27の開き動作を規制するロックバー39が、装置奥行き方向(図6のX軸方向)に沿う軸心L1回りに回動可能に取り付けられている。ロックバー39は、根元端部において図6のX軸方向に延設された回動軸40がケース本体部37の軸穴41に枢支されている。回動軸40には、ロックバー39をアンロック方向(図6の矢印A2方向)に常時付勢する付勢部材42が取り付けられている。付勢部材42は、例えばトーションばねが使用されている。ロックバー39の先端部には、閉じ状態となった際にロックアーム27の爪部29に引っ掛かる係止爪43が突設されている。ロックバー39は、ケース本体部37と蓋部38とを組み付けたときに間にできる図4に示す空間44において回動する。なお、ロックバー39がロック部材に相当する。
【0031】
図4〜図6に示すように、ロックバー39において回動軸40寄りの位置には、ロックバー39をロック方向(図6の矢印A1方向)に回動操作する際に操作するノブ部45が設けられている。ノブ部45は、ロックバー39の本体部分に一体形成されている。ロックバー39をロック方向に回動操作するときには、ノブ部45を下方向に押すように操作して行う。ノブ部45を下方向に押してロックバー39の閉じ方向に回動したとき、ノブ部45がケース本体部37の当て面46に当接するまで、ロックバー39をロック方向に回動することが可能である。なお、ノブ部45が操作部に相当する。
【0032】
図6に示すように、ケース本体部37には、ロックバー39と協同してロックアーム27の開き動作を規制するロックピース47が、装置高さ方向(図6のZ軸方向)に沿う軸心L2回りに回動可能に軸支されている。ロックピース47の角部には、装置高さ方向に延びる回動軸49が突設され、この回動軸49がケース本体部37の軸穴50に枢支されている。回動軸49には、ロックピース47をロック方向(図6の矢印B1方向)に常時付勢する付勢部材51が取り付けられている。付勢部材51は、例えばトーションばねが使用されている。なお、ロックピース47がピース部材に相当する。
【0033】
ロックピース47は、アンロック位置に位置するロックバー39の側壁に当接してロック方向への回動が不可の状態となると、ロックアーム27をインレット22に固定しないアンロック位置(図7及び図8の状態)をとる。また、ロックピース47は、ロックバー39が閉じ方向に回動して付勢部材51の付勢力よってロック方向(図6の矢印B1方向)に回動し、ロックバー39を上から押さえる状態となると、ロックアーム27をインレット22に固定するロック位置(図9及び図10の状態)をとる。
【0034】
ロックピース47には、ロックバー39との接触部分となる略板状のロックバー当接部52が形成されている。ロックピース47がロック位置をとるとき、ロックバー当接部52がロックバー39を上から押さえ付けることにより、ロックバー39によるロックアーム27の固定が維持される。また、ロックピース47がアンロック位置をとるとき、ロックバー当接部52がロックバー39から離間して、ロックバー39の付勢部材42によるアンロック方向への回動を許容する。アンロック位置をとるロックピース47は、ケース本体部37に形成された収納穴53にロックバー当接部52が収納される。
【0035】
図6に示すように、蓋部38には、ロック位置をとったロックピース47を収納する収納穴38bが形成されている。この収納穴38bの上壁は、ロックピース47を上から支持する平面状のピース支持部54として形成されている。よって、ロックバー39がロック状態をとるとき、ロックアーム27にアンロック方向(開き方向)の外力が加えられても、ピース支持部54がロックピース47を上から支持することによって、ロックバー39のロック状態を保持する。この不正解除時、ロックバー39からロックピース47に加わる外力は、ピース支持部54で受けて、結局のところ上2つの締結部材23a,23aによって支持する。
【0036】
ロックピース47には、ロックピース47をロック位置に位置させるアクチュエータ55がワイヤ56を介して接続されている。詳しくは、ロックピース47の底面に、ワイヤ係止部57が設けられ、このワイヤ係止部57に、アクチュエータ55から延びるワイヤ56の先端のリング部58が摺動可能に係止されている。ワイヤ係止部57は、ロックピース47の回動平面(図6のXY平面)において回動軸49に対し紙面手前側にずれた位置に配置されている。なお、アクチュエータ55及びワイヤ係止部57が解除手段を構成し、ワイヤ56が解除手段及び連結部材を構成する。
【0037】
アクチュエータ55は、通電時にのみワイヤ56を手前に引く吸引ソレノイドが使用されている。アクチュエータ55は、給電プラグロック装置34の装置本体35に対して別体で形成されている。つまり、本例のアクチュエータ55は、給電口19に設けられるのではなく、車体18の内部に配置されている。アクチュエータ55は、ドアロックモータ12に流れる電流にて動作させるために、電気配線を通じてドアロックモータ12に接続されている。
【0038】
図5に示すように、ワイヤ56は、ケース本体部37に貫設された通し孔59に通され、収納ボックス21の側壁に形成された通し孔60を通じて、アクチュエータ55に引き出されている。収納ボックス21の側壁とケース36の間には、通し孔59,60の間の防水性を確保するシール部材61が介装されている。シール部材61は、例えばOリングが使用されるとともに、ケース本体部37の端面に形成された取付溝37bに取り付けられている。
【0039】
図1に示すように、ドアロックモータ12とアクチュエータ55とを繋ぐ配線には、給電プラグロック装置34がロック状態となった際にオンするロック検出スイッチ62が接続されている。ロック検出スイッチ62は、例えばロックバー39(ロックピース47でも可)がロック位置に到達すると、機械的にオンするリミットスイッチが使用されている。
【0040】
このため、給電プラグロック装置34がロック状態のときは、ロック検出スイッチ62がオン状態をとるので、車両ドアの解錠動作に伴ってドアロックモータ12に電流が流れると、電流の一部がアクチュエータ55に流れ、アクチュエータ55がロックピース47をアンロック方向に引く。一方、給電プラグロック装置34がアンロック状態のときは、ロック検出スイッチ62がオフ状態をとるので、車両ドアの施錠動作に伴ってドアロックモータ12に電流が流れても、これがアクチュエータ55に流れず、アクチュエータ55は動作しない。
【0041】
次に、本例の給電プラグロック装置34の動作を、図7〜図10を用いて説明する。
図7及び図8に示すように、給電プラグロック装置34がアンロック状態のときは、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によってアンロック方向(図7の矢印A2方向)に回動しており、係止爪43の側面でロックピース47を横支えする。このため、ロックピース47は、付勢部材51の付勢力を受けていてもロック方向に回動せず、アンロック位置で保持される。以上により、給電プラグロック装置34がアンロック状態を維持するので、この状態下では、給電プラグ17を受電コネクタ24に自由に抜き挿しすることが可能である。
【0042】
給電プラグ17を受電コネクタ24に挿し込んだ後、給電プラグロック装置34をロック状態にするには、まずロックバー39のノブ部45を手動操作にて下方向(図7の矢印A1方向)に倒す。このとき、ロックバー39がロック方向(図7の矢印A1方向)回動していく過程で、ロックバー39がロックピース47を横支えする状態が解消されると、ロックピース47が付勢部材51の付勢力により、ロック方向(図7の矢印B1方向)に回動する。
【0043】
そして、図9及び図10に示すように、ロックピース47がアンロック位置から略90度回転してロック位置をとると、ロックピース47がロックバー当接部52とともにロックバー39を上から押さえて、上支えする状態となる。つまり、ロックバー39のロック位置がロックピース47によって保持される。これにより、給電プラグロック装置34がロック状態となるので、給電プラグ17がインレット22に固定され、第三者による給電プラグ17の不正取り外しが防止される。
【0044】
ロック状態の給電プラグロック装置34をアンロック状態にするには、ワイヤレスキー6で車両ドアを無線により解錠することによって行う。ところで、給電プラグロック装置34がロック状態になったとき、ロック検出スイッチ62がオンとなるので、ドアロック解錠時にドアロックモータ12に電流が流れると、この一部がアクチュエータ55に供給される。よって、アクチュエータ55は、この電流によって動作してワイヤ56を引き、ロックピース47をアンロック方向(図9の矢印B2方向)に回動させる。
【0045】
ロックピース47がロック位置から略90度回転してアンロック位置をとると、ロックピース47がロックバー39を上支えする状態が解除される。このため、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によってアンロック方向(図9の矢印A2方向)に回動する。このとき、ロックバー39がアンロック位置まで回動すると、係止爪43がロックピース47を横支え可能な位置に到達する。
【0046】
このため、ドアロックモータ12に電流が流れなくなってアクチュエータ55がワイヤ56を引き込まない状態となっても、ロックピース47はロックバー39によって横支え可能となるので、アンロック位置で維持される。つまり、アクチュエータ55がワイヤ56を引く状態を解除しても、給電プラグロック装置34が図7及び図8のアンロック状態で保持される。
【0047】
以上により、本例においては、アンロック位置に位置するロックバー39でロックピース47を横支えして、ロックピース47をアンロック位置で維持することにより、給電プラグロック装置34をアンロック状態で保持する。また、ロックバー39が手動操作によってロック方向に回動操作され、ロックバー39による横支えが解消されると、ロックピース47が付勢部材51の付勢力によってロック方向に回動を始める。そして、ロックピース47がロックバー39を上から押さえ付けてロックアーム27に固定することにより、給電プラグロック装置34がロック状態となる。このため、本例の給電プラグロック装置34は、主にロックバー39、ロックピース47、付勢部材42,51などを必要とするだけで済み、結果、構成部品が少なく済む。従って、給電プラグロック装置34の装置体格を小型化することが可能となる。
【0048】
また、給電プラグロック装置34のロックは、ロックバー39のノブ部45を押すという手動操作にて行うので、ユーザが真にロック状態に移行させたいときにのみ、給電プラグロック装置34にロック動作を行わせることが可能となる。このため、不要なロック動作が実施されずに済むので、部品の早期劣化が抑制される。
【0049】
一方、給電プラグロック装置34のアンロックは、ワイヤレスキーシステム7による車両ドアの施錠動作に連動するので、車両ドアをワイヤレスキー6で施錠すれば、給電プラグロック装置34も同時にアンロック状態に切り換わる。よって、給電プラグロック装置34を車両ドアと同時にアンロックに移行させることが可能となるので、アンロック操作時の利便性が確保される。
【0050】
また、給電プラグロック装置34の機構部分である装置本体35からアクチュエータ55を分離することにより、装置本体35とアクチュエータ55とを別体とした。このため、装置本体35の装置体格が小さく済むとともに、アクチュエータ55を装置本体35とは別の場所に自由に配置することが可能となる。よって、給電口19に限られた部品搭載スペースしかなくても、そこに装置本体35を搭載できれば給電プラグロック装置34を車体18に取り付けることが可能となるので、搭載の実現性に効果が高くなる。
【0051】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)本例の給電プラグロック装置34は、ロックバー39、ロックピース47、付勢部材42,51などを必要とするだけで済むので、必要な部品点数が少なく済む。よって、給電プラグロック装置34の装置体格を小型化することができる。
【0052】
(2)ロック切り換え時に操作するノブ部45はロックバー39に一体形成されるので、部品点数削減に効果が高くなる。
(3)ロックピース47がロックバー39を上から押さえ付けてロック状態をとるとき、アクチュエータ55の駆動力にてワイヤ56を引いて、ロックピース47をアンロック方向に略90度回動させれば、ロックピース47がロックバー39から離間し、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によってロック方向に回動する。よって、ロック状態にある給電プラグロック装置34を、問題なく元のアンロック状態に戻すことができる。
【0053】
(4)給電プラグロック装置34のアンロック動作は、アクチュエータ55の駆動力にてワイヤ56を引いてロックピース47をロックバー39から離間させる電気式である。このため、給電プラグロック装置34をアンロック状態に切り換える際には、この動作がアクチュエータ55によって自動で実行されるので、給電プラグロック装置34をアンロック状態に切り換える際の利便性を確保することができる。
【0054】
(5)アクチュエータ55を装置本体35から分離して、装置本体35とアクチュエータ55とを別体とした。このため、装置本体35自体の体格は小型で済み、かつアクチュエータ55は配置自由度が増す。よって、給電プラグロック装置34の搭載スペースが限られていても、搭載の実現性が高くなる。
【0055】
(6)給電プラグロック装置34のアンロック動作を、車両ドアの解錠動作と連動するようにしたので、ワイヤレスキーシステム7によって車両ドアを解錠すれば、同時に給電プラグロック装置34のアンロック状態に切り換わる。よって、ロック状態の給電プラグロック装置34を簡単にアンロック状態に切り換えることができる。
【0056】
(7)収納ボックス21の側壁とケース36の間に、通し孔59,60の間の防水性を確保するシール部材61を設けた。このため、この部分から車体18や給電プラグロック装置34の内部に水等が浸入し難くなるので、電装品の故障防止に効果が高くなる。
【0057】
(8)ロックバー39を装置奥行き方向に延びる軸心L1回りに回動する部材とし、ロックピース47を装置高さ方向に延びる軸心L2回りに回動する部材とした。よって、簡素(シンプル)な構成で、アンロック位置にあるロックバー39でロックピース47をアンロック位置に保持したり、ロック位置に移動したロックピース47でロックバー39をロック位置で保持したりすることができる。
【0058】
(9)蓋部38に、ロックバー39がロック位置をとる際に上から支持するロックバー当接部52を設けた。このため、給電プラグロック装置34がロック状態のとき、仮に第三者がロックアーム27を無理に開き方向に操作しても、この外力により持ち上がろうとするロックピース47をロックバー当接部52で受けることができる。よって、給電プラグロック装置34のロック状態が保持されるので、給電プラグロック装置34のロック状態の不正解除防止に効果が高くなる。
【0059】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・電子キーシステムは、ワイヤレスキー6に限定されない。例えば、車両1からの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)によりID照合を行うキー操作フリーシステムとしてもよい。また、車両1側のアンテナから送信される電波を電源にキーが起動して、近距離無線通信(通信距離:約5〜10cm程度)にてID照合を行う近距離無線通信システムでもよい。
【0060】
・ワイヤレスキーシステム7は、車両ドアの施解錠を切り換えるシステムに限定されず、例えばスライドドアやバックドアの開閉を遠隔操作にて行うシステムでもよい。
・ロック検出スイッチ62は、給電プラグ17が受電コネクタ24に接続された際、受電コネクタ24によって機械的にオンするスイッチでもよい。
【0061】
・ロック検出スイッチ62は、部材によって押されて機械的にオンするスイッチに限定されない。例えば、ロック検出スイッチ62をスイッチング素子とし、このスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路を設ける。そして、制御回路は、給電プラグロック装置34がロック状態になったことを確認したとき、スイッチング素子をオンして、アクチュエータ55を電源と繋がる閉回路とする。
【0062】
・アクチュエータ55の電源は、ドアロックモータ12に流れる電流の一部に限定されない。例えば、車載バッテリとアクチュエータ55との間にスイッチング素子を設け、このスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路を設ける。そして、制御回路は、車両ドアの施錠動作が開始されたことを確認したとき、スイッチング素子をオンして、アクチュエータ55にアンロック動作を実施させる。
【0063】
・ロックアーム27の形状、配置位置、動きは、実施形態に述べた構成に限らず、爪部29がインレット22の係止突32に係止できれば、他の態様に変更可能である。また、ロックピース47も同様である。
【0064】
・ロックバー39は、装置奥行き方向に延びる軸心L1回りに回動する部材に限らず、軸心を他の向きに変更してもよい。例えば、ロックバー39を扇状の形状とし、根元を軸として回動する部材としてもよい。また、ロックピース47も、装置高さ方向に延びる軸心L2回りに回動する部材に限らず、軸心を他の向きに変更してもよい。
【0065】
・ロックバー39は、軸回りに回動する部材に限定されず、例えば直線方向に移動するスライド部材としてもよい。また、ロックピース47も同様である。
・ノブ部45は、ロックバー39に一体形成されることに限定されず、ロックバー39と別体でもよい。この場合、ロックバー39とノブ部45との間に、ノブ部45の操作力の方向を変えてロックバー39に伝達する変換機構を介装してもよい。
【0066】
・ロックピース47のアンロック方向への回動は、アクチュエータ55でワイヤ56を引いて行うことに限定されない。例えば、アクチュエータ55の駆動力にて突片を押出し、これによりロックピース47をアンロック方向に回動させてもよい。
【0067】
・アクチュエータ55は、吸引ソレノイドに限定されず、例えばモータ等に変更してもよい。
・給電プラグロック装置34のアンロック動作は、アクチュエータ55を使用した電気式に限定されない。例えば、ユーザ自らがワイヤ56を手動で引いてロック状態を解除する手動式としてもよい。
【0068】
・装置本体35及びアクチュエータ55は、別体であることに限定されず、一体としてもよい。
・給電プラグロック装置34のアンロック動作は、車両ドアの解錠動作に連動することに限定されず、連動しない態様をとってもよい。この場合、例えば、給電口19にアンロックスイッチを設けておき、このスイッチが操作されると、アンロック動作が実行されてもよい。また、ワイヤレスキー6に給電プラグロック装置34のアンロックボタンを設けておき、このボタンでの遠隔操作によってアンロック動作が実行されてもよい。
【0069】
・給電プラグロック装置34は、締結部材23a,23aによってインレット22と共締めされることにより車体18に組み付けられることに限定されない。例えば、給電プラグロック装置34のみを、個別にボルト等で車体18に組み付けてもよい。
【0070】
・シール部材は、Oリングに限定されず、他のシール構造を使用してもよい。
・付勢部材42,51は、トーションばねに限定されず、ロックバー39やロックピース47に付勢力を与えることができれば、他の部材に変更可能である。
【0071】
・給電プラグロック装置34の構造は、実施形態に述べた態様に限定されず、本発明の思想を満たすことができれば、他の構造や形状に変更可能である。
・車両1は、ハイブリッド車に限定されず、モータ3のみで動く電気自動車でもよい。
【0072】
・給電プラグロック装置34は、車両1に搭載されることに限定されず、他の装置や機器に転用可能である。
【符号の説明】
【0073】
7…電子キーシステムとしてのワイヤレスキーシステム、17…給電プラグ、21…装置本体の取付箇所としての収納ボックス、22…インレット、27…ロックアーム、32…突部としての係止突、34…給電プラグロック装置、35…装置本体、39…ロック部材としてのロックバー、45…操作部としてのノブ部、47…ピース部材としてのロックピース、51…付勢部材、55…解除手段を構成するアクチュエータ、56…解除手段及び連結部材を構成するワイヤ、57…解除手段を構成するワイヤ係止部、61…シール部材、L1,L2…軸としての軸心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグに抜け止めの爪として設けられたロックアームを前記インレットの突部に固定することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、
手動操作によって少なくともロック方向に可動するロック部材と、ロック位置及びアンロック位置の2位置をとり、前記ロック部材と協同して前記ロックアームを前記突部に固定可能なピース部材と、当該ピース部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、
前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記ピース部材のロック方向への動きが前記ロック部材によって規制されることにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記ピース部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動いて、当該ピース部材が前記ロック部材を前記ロックアームに押し付けることにより、ロック状態となる
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記ロック部材をロック状態に手動操作する際の操作部が当該ロック部材に一体形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記ロック部材がロック状態の際、ロック位置にある前記ピース部材をアンロック方向に引くことにより、前記ロック状態をアンロック状態に切り換える解除手段を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記解除手段は、アクチュエータによって前記ピース部材をアンロック方向に動作させることにより、前記ロック状態をアンロック状態に切り換える電気式である
ことを特徴とする請求項3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記ロック部材、前記ピース部材及び前記付勢部材は、1つの装置本体に一体に組み付けられ、前記アクチュエータは、前記装置本体とは別体に形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の給電プラグロック装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、電子キーシステムによる車両ドアの施錠動作に連動してアンロック動作を実行する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の給電プラグロック装置。
【請求項7】
前記アクチュエータと前記装置本体とが別体の場合、前記装置本体とその取付箇所との間には、前記ピース部材と前記アクチュエータとを繋ぐ連結部材が通される箇所において、防水性を確保するシール部材が設けられている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の給電プラグロック装置。
【請求項8】
前記ロック部材は、装置奥行き方向に延びる軸回りに回動する部材であり、前記ピース部材は、装置高さ方向に延びる軸回りに回動する部材である
ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45637(P2013−45637A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182804(P2011−182804)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】