説明

絵描き用玩具

【課題】 単一品で多数種類の人気キャラクタなどの絵を描けるようにするとともに、幼稚園児などに興味と好奇心を与え、かつ遊戯性に富む絵描き用玩具を提供する。
【解決手段】 ベース本体20を水平面上で前進方向に一定量ずつ移動することにより、ビット列選定手段212でビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するとともに、この選択されたビット列の各ビットデータを発光素子制御手段213によりドット記入指示用発光素子70の点灯または非点灯信号に変換してドット記入指示用発光素子70に出力し、発光素子制御手段213で点灯されたドット記入指示用発光素子70に対応するドット記入穴301に筆記具300を挿入して、この筆記具300をドット記入穴に沿い移動することにより、用紙Pに表示部に60選定表示されたキャラクタを第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に描くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼稚園児などの子供が絵や平仮名などの文字を含むキャラクタを手書きする時に用いられる絵描き用玩具に関し、さらに詳しくは、子供が書きたいキャラクタを表示部に選定的に表示し、このキャラクタと同一の絵を、電子的な誘導の下で紙上等に手書きできるようにした絵描き用玩具に関するのものである。
【背景技術】
【0002】
従来、幼稚園児などの子供がアニメーションや漫画または童話に登場する人気キャラクタなどの絵を描く場合の一手法として、色の薄い墨や色の薄いカラー色を用いて人気キャラクタなどの絵を表すトレースラインを印刷してなる絵描き専用の冊子本を用意し、この冊子本に印刷された絵のトレースラインを鉛筆等の筆記用具でなぞることで、明確化された人気キャラクタなどの絵を描くようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような従来の絵描き方式は、絵描き専用の冊子本に印刷された絵のトレースラインを鉛筆等でなぞって絵を描くものであるため、一度、絵のトレースラインを鉛筆等でなぞることで描かれた絵をトレース前の状態に戻して二度、三度と繰り返し描くことができない。このため、同じ絵を鉛筆等でトレースにより、二度、三度と繰り返して描きたい場合は、同じ絵描き専用の冊子本を2冊、3冊と用意し、または絵のトレースラインを印刷した絵描き用紙を複数枚用意しておかなければならない。このことは、絵描き専用冊子本の購入費が嵩むとともに1冊の絵描き専用冊子本に掲載し得る人気キャラクタなどの種類も限定されるほか、多数種類の人気キャラクタなどの絵を描けるようにすると、絵描き専用冊子本の冊子数が増加し、その保管管理が面倒になるという問題がある。
【0004】
また、従来の絵描き方式は、印刷された絵のトレースラインを鉛筆等でなぞることで絵を描くものであるため、幼稚園児などの子供の絵描き用冊子として、しかも、絵描きの訓練や育成ようとして好適であるが、その反面、遊戯性に欠け、かつ幼稚園児などに興味と好奇心を与える度合いが低いという不具合があった。
【0005】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、単一品で多数種類の人気キャラクタなどの絵を描けるようにするとともに、幼稚園児などに興味と好奇心を与え、かつ遊戯性に富む絵描き用玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、幼稚園児などの子供が絵や平仮名などの文字を含むキャラクタを手書きで描く時に用いられる絵描き用玩具であって、ベース本体と、前記ベース本体の前端に該ベース本体の左右方向に延在して一体に設けられたドット記入盤と、前記ドット記入盤に該ドット記入盤の左右方向に沿い等間隔に形成された、前記キャラクタを構成するビットマップ画像の列方向のビット数に相当する数のドット記入穴と、前記ドット記入穴のそれぞれに対向して前記ドット記入盤に設けられたドット記入指示用発光素子と、前記ベース本体が水平面上を前後方向に移動された時に前記水平面に接触しながら転動するように前記ベース本体の下面に回転可能に設けられるとともに前記前後方向の移動に伴って一定角度回転される毎に機械的クリック音を発する転動体と、前記転動体に連動して回転され前記ベース本体が前進または後進方向に一定量移動される毎に前記機械的クリック音に同期して絵描き指令信号を出力するピッチセンサーと、前記ベース本体に装着された表示部と、前記ベース本体に設けられた、絵描きをする者により操作される入力手段と、多数のキャラクタをビットマップ形式のビット画像で格納した記憶手段と、前記入力手段を操作する毎に発生する第1の信号により前記記憶手段からキャラクタデータを順次読み出して該キャラクタデータを画像として前記表示部に順に表示するとともに該表示部に子供の望むキャラクタが表示された時に前記入力手段を操作することで発生する第2の信号により前記望むキャラクタを選定して前記表示部に表示するキャラクタ選定/表示制御手段と、前記ドット記入盤を含む前記ベース本体を一定量前進方向に移動される毎に前記ピッチセンサーからの絵描き指令信号により、前記キャラクタ選定/表示制御手段で前記表示部に選定表示されたキャラクタのビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するビット列選定手段と、前記キャラクタ選定/表示制御手段により前記表示部にキャラクタが選定表示された状態で前記ドット記入盤を含む前記ベース本体を一定量前進方向に移動される毎に前記ピッチセンサーから出力される絵描き指令信号により動作され前記ビット列選定手段で選択された1行分のビット列の各ビットデータを前記ドット記入指示用発光素子の点灯または非点灯信号に変換して前記ドット記入指示用発光素子に出力し、かつ該各ドット記入指示用発光素子をビット列のビットデータに応じて点灯または消灯制御する発光素子制御手段とを備え、前記ビットマップ画像の1行分のビット列毎に前記発光素子制御手段により点灯されたドット記入指示用発光素子に対応するドット記入穴に筆記具を挿入し該筆記具をドット記入穴に沿い移動することにより、前記平面上に置かれた用紙に前記表示部に選定表示されたキャラクタを第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に描くように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の絵描き用玩具において、前記キャラクタ選定/表示制御手段は、前記表示部にキャラクタが選定表示された当初では該キャラクタのビットマップ画像の表示を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去するように制御するとともに全行のビット列が消去された段階で再度全行のビット列を再表示させる絵描き開始用デモンストレーション機能を有し、前記発光素子制御手段は、前記表示部にキャラクタが選定表示された当初では全ドット記入指示用発光素子が点灯されるように制御するとともに前記キャラクタ選定/表示制御手段によりビットマップ画像が第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去されるのに同期して前記点灯されたドット記入指示用発光素子を上位から下位に向け1つずつ消灯するように制御する絵描き開始用デモンストレーション機能を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の絵描き用玩具において、前記ベース本体に装着されたスピーカと、前記絵描き開始用デモンストレーション機能に対応する音楽データを格納した第1音楽記憶部と、前記キャラクタ選定/表示制御手段及び前記発光素子制御手段が絵描き開始用デモンストレーション機能を発揮した時に前記第1音楽記憶部から音楽データを読み出して前記スピーカに出力し該スピーカを鳴動させるスピーカ駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2記載の絵描き用玩具において、前記ベース本体に装着されたスピーカと、前記選定表示されたキャラクタに応じてプログラムされたアニメーション画を記憶する動画記憶部と、前記アニメーション画に対応して絵描き終了の音楽データを格納した第2音楽記憶部と、前記音楽記憶部から読み出した音楽データに応じて前記スピーカを鳴動させるスピーカ駆動手段とを備え、前記ビットマップ画像の終了に対する絵描き処理が終了した時点では、前記キャラクタ選定/表示制御手段は前記動画記憶部から読み出したアニメーション画を前記表示部に表示し、同時に前記スピーカ駆動手段は前記第2音楽記憶部から読み出した絵描き終了の音楽データに応じてスピーカを鳴動させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1記載の絵描き用玩具において、前記ベース本体に回転可能にかつ押圧方向に移動可能に設けられたつまみ兼用のダイアルを有し、前記入力手段は前記ダイアルを回転操作することにより前記第1の信号を出力する第1スイッチと、前記ダイアルを押圧操作する毎に前記第2の信号を出力する第2スイッチとを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項4記載の絵描き用玩具において、前記ダイアルはリング状を呈し、このリング状ダイアルの内側に臨ませて前記表示部が配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1または6記載の絵描き用玩具において、前記表示部の表面に表示部に表示されたキャラクタ画像を拡大する光学レンズが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の絵描き用玩具によれば、ベース本体を水平面上で前進方向に一定量ずつ移動することにより、ビット列選定手段でビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するとともに、この選択されたビット列の各ビットデータを発光素子制御手段によりドット記入指示用発光素子の点灯または非点灯信号に変換してドット記入指示用発光素子に出力し、発光素子制御手段で点灯されたドット記入指示用発光素子に対応するドット記入穴に筆記具を挿入して、この筆記具をドット記入穴に沿い移動することにより、用紙にキャラクタ選定/表示制御手段で表示部に選定表示されたキャラクタを第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に描くようにしたので、絵描き専用冊子本が不要となり、単一の製品で多数種類の人気キャラクタなどの絵を描くことができるとともに、幼稚園児などに興味と好奇心を与え、かつ遊戯性に富む絵描き用玩具を提供できる。
【0014】
また、本発明の絵描き用玩具によれば、キャラクタが選定表示された当初にキャラクタ選定/表示制御手段及び発光素子制御手段のデモンストレーション機能を発揮して、表示部にデモンストレーション画像を表示し、かつスピーカを鳴動させて音楽を奏でるようにしたので、絵描き開始時に画像と音楽を楽しむことができる。
【0015】
また、本発明の絵描き用玩具によれば、キャラクタ選定/表示制御手段により、動画記憶部から読み出したアニメーション画を表示部に表示すると同時に、スピーカから絵描き終了の音楽を奏でるようにしたので、表示部に表示されたキャラクタの絵描き終了を認識することができる。
【0016】
また、本発明の絵描き用玩具によれば、表示部をリング状ダイアルの内側に臨ませて配置することにより、表示部に表示されたキャラクタを容易に確認できるほか、キャラクタの選定も容易になる。また、表示部の表面に光学レンズを配設したので、表示部に表示されたキャラクタ画像を拡大して見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
単一品で多数種類の人気キャラクタなどの絵を描けるようにするとともに、幼稚園児などに興味と好奇心を与え、かつ遊戯性に富む絵描き用玩具を提供するという目的は、ベース本体を水平面上で前進方向に一定量ずつ移動することでビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するとともに、この選択されたビット列の各ビットデータを発光素子制御手段によりドット記入指示用発光素子の点灯または非点灯信号に変換してドット記入指示用発光素子に出力し、発光素子制御手段で点灯されたドット記入指示用発光素子に対応するドット記入穴に筆記具を挿入して、この筆記具をドット記入穴に沿い移動することにより、用紙に表示部に選定表示されたキャラクタを第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に描くように構成にすることで実現した。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1について、図1〜図5を参照して説明する。
図1は本発明の実施例1における絵描き用玩具の全体の構成を示す外観図、図2は本実施例1における絵描き用玩具のベース本体と転動体との配置関係を示す要部の斜視図、図3は本実施例1における絵描き用玩具の構成を示す機能ブロック図、図4は本実施例1におけるキャラクタの種類の一例を示す説明図、図5は本実施例1におけるキャラクタの1つをドットマトリクス画として表した時の一例を示す説明図、図6は本実施例1における絵描き用玩具の動作手順を示すフローチャート、図7は本実施例1における絵描き用玩具により描かれた絵の説明図である。
【0019】
図1に示す絵描き用玩具10は、幼稚園児などの子供が絵や平仮名などの文字を含むキャラクタを手書きで描く時に用いられるもので、ベース本体20と、ドット記入盤30を備える。
ベース本体20は、図1及び図2に示すように、平板状の板部材201と、この板部材201の上面全体を覆うカバー部材202とを備え、このカバー部材202には、多数の透過小孔40aを有する支持部材40によってつまみ兼用のダイアル50が板部材201と鉛直な軸線回りに回転可能にかつ板部材201と鉛直な軸線である押圧方向に移動可能に設けられている。前記ダイアル50はリング状を呈し、このリング状ダイアル50の内側に臨ませて表示部60が配置され、この表示部60は支持部材40に取り付けられている。また、表示部60の表面には表示部60に表示されたキャラクタ画像を拡大する光学レンズ(凸レンズ)601が設けられている。
【0020】
前記ドット記入盤30は、図1に示すように、ベース本体20の前端にベース本体20の左右方向に延在して一体に設けられるもので、このドット記入盤30は、ドット記入盤30の左右方向に一線に、かつ等間隔に配列して形成された複数のドット記入穴301を備え、このドット記入穴301は、人気アニメーションに登場する絵や平仮名などの文字を含むキャラクタを構成するビットマップ画像の列方向のビット数(例えば10ビット)に相当する数を有している。また、このドット記入盤30には、各ドット記入穴301のそれぞれに対向して複数(例えば10個)のドット記入指示用発光素子70が左右方向の一線に配列して設けられている。
【0021】
前記ベース本体20の板部材201には、図2に示すように、ローラからなる転動体80が回転可能に設けられる。この転動体80は、ドット記入盤30を含むベース本体20がテーブル等の水平面上を前後方向(図1に示す矢印A1、A2の方向)に移動された時にこの水平面に接触しながら転動できるように、転動体80の外周の一部が板部材201を貫通して板部材201の下面側へ突出される構成になっている。また、この転動体80には、転動体80がベース本体20の前後方向の移動に伴って一定角度回転される毎に機械的クリック音を発するクリック音発生部801が設けられており、さらに、転動体80に連動して回転され、かつベース本体20が前進または後進方向に一定量移動される毎にクリック音発生部801の機械的クリック音に同期して絵描き指令信号を出力するピッチセンサー90が連結されている。また、前記板部材201の前端個所には、ドット記入盤30を含むベース本体20全体を前後方向に平行移動させるためのガイドローラ202が前記水平面に接触しながら転動できるようにして回転可能に設けられている。
【0022】
前記ダイアル50は、幼稚園児等の絵描きをする者(子供)により操作されるもので、請求項に記載した入力手段の操作部を兼ねている。そして、この入力手段100は、図3に示すように、ダイアル50を回転操作することにより第1の信号を出力する第1スイッチ101と、ダイアル50を押圧操作する毎に第2の信号を出力する第2スイッチ102とを備えている。
【0023】
次に、図3に示す絵描き用玩具の絵描き制御装置の構成について説明する。
図3において、絵描き用玩具の絵描き制御装置200、表示部60、ドット記入指示用発光素子70、ピッチセンサー90、入力手段100、記憶手段210、キャラクタ選定/表示制御手段211、ビット列選定手段212、発光素子制御手段213、スピーカ214、第1音楽記憶部215、スピーカ駆動手段216、動画記憶部217、第2音楽記憶部218、及びこれら各構成要素に電力を供給するための電池等からなる電源219と電源スイッチ220等を備えて構成されている。
【0024】
表示部60は、表示画面上の1個の点がメモリ内の1個のビットイメージ(たとえば、「1」または「0」)に対応するように構成された、例えば、22×18=396ドットの液晶表示画素からなるものである。また、ドット記入指示用発光素子70は、赤色等の発光ダイオードから構成されている。また、記憶手段210は、図4に示すような人気アニメーションに登場する絵などの多数のキャラクタ210Aをビットマップ形式のビット画像で格納するものである。
【0025】
キャラクタ選定/表示制御手段211は、ダイアル50を回転操作して第1スイッチ101を作動させる毎に発生する第1の信号S1により記憶手段210からキャラクタデータを順次読み出し、このキャラクタデータを画像として表示部60に順に表示するとともに、表示部60に子供の望むキャラクタが表示された時にダイアル50を押圧操作して第2スイッチ102を作動する毎に発生する第2の信号S2により前記望むキャラクタを選定して表示部60に表示する機能と、表示部60にキャラクタが選定表示された当初において該キャラクタのビットマップ画像の表示を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去するように制御するとともに全行のビット列が消去された段階で再度全行のビット列を再表示させる絵描き開始用デモンストレーション機能と、ビットマップ画像の終了に対する絵描き処理が終了した時点で動画記憶部216から読み出したアニメーション画を表示部60に表示する機能を備えている。
【0026】
ビット列選定手段212は、ドット記入盤30を含むベース本体20を一定量前進方向に(図1の矢印A1の方向)移動される毎にピッチセンサー90から出力される絵描き指令信号S3により、キャラクタ選定/表示制御手段211で表示部60に選定表示されたキャラクタのビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するものである。
【0027】
発光素子制御手段213は、キャラクタ選定/表示制御手段211により表示部60にキャラクタが選定表示された状態で、ドット記入盤30を含むベース本体20を一定量前進方向(図1の矢印A1の方向)に移動される毎にピッチセンサー90から出力される絵描き指令信号S3により動作され、ビット列選定手段212で選択された1行分のビット列の各ビットデータをドット記入指示用発光素子70の点灯または非点灯信号に変換してドット記入指示用発光素子70に出力し、かつ各ドット記入指示用発光素子70をビット列のビットデータに応じて点灯または消灯制御する機能と、表示部60にキャラクタが選定表示された当初において全ドット記入指示用発光素子70が点灯されるように制御するとともにキャラクタ選定/表示制御手段211によりビットマップ画像が第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去されるのに同期して前記点灯されたドット記入指示用発光素子70を上位から下位に向け1つずつ消灯するように制御する絵描き開始用デモンストレーション機能を備えている。
【0028】
第1音楽記憶部215は、キャラクタ選定/表示制御手段211及び発光素子制御手段213の絵描き開始用デモンストレーション機能に対応する音楽データ、例えば、ドー、レー、ミーなどのメロディ音データを格納するものであり、また、第2音楽記憶部218は、アニメーション画に対応して絵描き終了の音楽データを格納するものである。また、スピーカ駆動手段216は、キャラクタ選定/表示制御手段211及び発光素子制御手段213が絵描き開始用デモンストレーション機能を発揮した時に第1音楽記憶部215から音楽データを読み出してスピーカ214を鳴動させるとともに、絵描き処理の終了時に第2音楽記憶部218から絵描き終了の音楽データを読み出したスピーカ214を鳴動させるものである。
また、動画記憶部217は、表示部60に選定表示されたキャラクタに応じてプログラムされたアニメーション画(例えば、6フレームで構成されるもの)を記憶するものである。
【0029】
次に、本実施例1の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
絵描きに際しては、まず、絵描き用の用紙Pを机等の水平面上に載せ、さらに、この絵描き用の用紙P上にドット記入盤30を含むベース本体20を載せる。この状態で、ベース本体20に設けられた電源スイッチ219をプッシュ操作して絵描き制御装置200の電源220を投入する。これに伴い、絵描き制御装置200は絵描きモードに移行される(ステップS11)。かかる状態において、ダイアル50を回転操作すると、ダイアル50の所定の回転角度毎に第1スイッチ101から第1の信号S1が順次出力される(ステップS12)。そして、この信号S1がアクセス指令としてキャラクタ選定/表示制御手段211に入力されると、キャラクタ選定/表示制御手段211は第1の信号S1が入力される毎に記憶手段210からキャラクタデータを順次読み出し、このキャラクタデータを図4に示すようなキャラクタ画像として表示部60に順番に表示する(ステップS13)。ここで、表示部60に表示されたキャラクタ画像は光学レンズ601により拡大される。
【0030】
上記表示部60に子供の望むキャラクタが表示された場合は、この時点でダイアル50の回転操作を中止してダイアル50を押圧操作する。これにより、第2スイッチ102から第2の信号S2が出力される(ステップS14)。この信号S2がキャラクタ選定/表示制御手段211に入力されると、キャラクタ選定/表示制御手段211は子供が望んだキャラクタを選定すると同時に、このキャラクタを図5に示すようなドットマトリクス画として表示部60に表示する(ステップS15)。さらにキャラクタ選定/表示制御手段211は、表示部60に選定表示されたキャラクタのビットマップ画像、すなわち図5に示すようなドットマトリクス画像の表示を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去するように制御するための絵描き開始用デモンストレーションを実行する(ステップS16)。これと同時に、発光素子制御手段212は、表示部60にキャラクタが選定表示された当初では全ドット記入指示用発光素子70を点灯制御し、そして、キャラクタ選定/表示制御手段211により図5に示すドットマトリクス画が第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去されるのに同期して、この点灯されたドット記入指示用発光素子70を図1の左側にある上位の発光素子70から右側にある下位の発光素子70に向け1つずつ消灯するように制御する絵描き開始用デモンストレーションを実行する(ステップS17)。その後、キャラクタ選定/表示制御手段211によりドットマトリクス画の全行のビット列が消去された段階になると、キャラクタ選定/表示制御手段211は全行のビット列を再度表示させる機能を実行する(ステップS18)。
【0031】
一方、キャラクタ選定/表示制御手段211による絵描き開始用デモンストレーションの実行時は、第2スイッチ102からの第2の信号S2に基づいて第1音楽記憶部215から読み出された音楽データをスピーカ駆動手段216に出力して、スピーカ214を駆動することにより、絵描き開始を音楽で子供に知らせる(ステップS19)。かかる状態になると、絵描き用玩具10は実際の絵描き動作に移行可能になる。
【0032】
絵描き用玩具10が実際の絵描き動作に移行された状態では、まず、絵描き用の用紙P上でドット記入盤30を含むベース本体20を図1の矢印A1方向に移動させる。ドット記入盤30を含むベース本体20が矢印A1方向に移動されると、これに連動する転動体80が回転される。そして、転動体80が一定角度回転するとクリック音発生部801が動作して機械的クリック音を発すると同時に、ピッチセンサー90からクリック音発生部801の機械的クリック音に同期した絵描き指令信号S3が出力される(ステップS20)。この信号S3がビット列選定手段212に入力されるとビット列選定手段212は、キャラクタ選定/表示制御手段211で表示部60に選定表示されたキャラクタのビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択する(ステップS21)。
【0033】
また、発光素子制御手段212では、ピッチセンサー90から出力される絵描き指令信号S3入力される毎に、ビット列選定手段212で選択された1行分のビット列の各ビットデータをドット記入指示用発光素子70の点灯または非点灯信号に変換してドット記入指示用発光素子70に出力し、この各ドット記入指示用発光素子70をビット列のビットデータに応じて点灯または消灯制御する(ステップS22)。
【0034】
ドット記入指示用発光素子70がビット列のビットデータに応じて点灯または消灯制御されている状態において、点灯されたドット記入指示用発光素子70に対応するドット記入穴301に図1の2点鎖線で示す筆記具300を挿入し、この筆記具300をドット記入穴301の穴形状に沿い移動して平面上に置かれた用紙Pに穴形状を描く。この動作を点灯されている全てのドット記入穴301に対して行うことにより、表示部60に選定表示されたキャラクタのビットマップ画像、すなわちドットマトリクス画像の1行分に相当するビット列が図7に示すようにドット201Bの形で用紙P上に描かれる(ステップS23)。
以下、上記ステップS20からステップS23に示す動作を繰り返し実行することにより、表示部60に選定表示されたキャラクタを描くことができる。
【0035】
また、図6に示す絵描き処理が終了すると、すなわちビットマップ画像の最終行のビット列に相当するドットが描かれた後、ドット記入盤30を含むベース本体20が矢印A1方向に移動されることにより、ピッチセンサー90から絵描き指令信号S3が出力されると、この信号S3によって第2音楽記憶部218から絵描き終了の音楽データが読み出され、この音楽データをスピーカ駆動手段216に出力してスピーカ214を鳴動させることにより、絵描きの終了を音楽で子供に知らせる。同時に、絵描き処理が終了した時点では、キャラクタ選定/表示制御手段211により動画記憶部217から読み出したアニメーション画を表示部60に表示することにより、絵描きの終了をアニメーション画で子供に知らせる(ステップS24)。
【0036】
このような本実施例1によれば、ベース本体20を水平面上で前進方向に一定量ずつ移動することにより、ビット列選定手段212でビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するとともに、この選択されたビット列の各ビットデータを発光素子制御手段213によりドット記入指示用発光素子70の点灯または非点灯信号に変換してドット記入指示用発光素子70に出力し、発光素子制御手段213で点灯されたドット記入指示用発光素子70に対応するドット記入穴301に筆記具300を挿入して、この筆記具300をドット記入穴に沿い移動することにより、用紙Pに表示部に60選定表示されたキャラクタを第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に描くようにしたので、絵描き専用冊子本が不要となり、単一の製品で多数種類の人気キャラクタなどの絵を描くことができるとともに、幼稚園児などに興味と好奇心を与え、かつ遊戯性に富む絵描き用玩具を提供できる。
【0037】
また、本実施例1によれば、キャラクタが表示部60に選定表示された当初にキャラクタ選定/表示制御手段212及び発光素子制御手段213のデモンストレーション機能を発揮して、表示部60に絵描き開始用デモンストレーション画像を表示し、かつスピーカを鳴動させて音楽を奏でるようにしたので、絵描き開始時に画像と音楽を楽しむことができる。
【0038】
また、本実施例1によれば、キャラクタ選定/表示制御手段212により、動画記憶部217から読み出したアニメーション画を表示部60に表示すると同時に、スピーカ214から絵描き終了の音楽を奏でるようにしたので、表示部60に表示されたキャラクタの絵描き終了を容易に認識することができる。
【0039】
また、本実施例1によれば、表示部60をリング状ダイアルの内側に臨ませて配置することにより、表示部60に表示されたキャラクタを容易に確認できるほか、キャラクタの選定も容易になる。また、表示部60の表面に光学レンズを配設したので、表示部60に表示されたキャラクタ画像を拡大して見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1における絵描き用玩具の全体の構成を示す外観図である。
【図2】本実施例1における絵描き用玩具のベース本体と転動体との配置関係を示す要部の斜視図である。
【図3】本実施例1における絵描き用玩具の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施例1におけるキャラクタの種類の一例を示す説明図である。
【図5】本実施例1におけるキャラクタの1つをドットマトリクス画として表した時の一例を示す説明図である。
【図6】本実施例1における絵描き用玩具の動作手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施例1における絵描き用玩具により描かれた絵の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 絵描き用玩具
20 ベース本体
30 ドット記入盤
50 つまみ兼用のダイアル
60 表示部
601 光学レンズ
301 ドット記入穴
70 ドット記入指示用発光素子
80 転動体
801 クリック音発生部
90 ピッチセンサー
100 入力手段
101 第1スイッチ
102 第2スイッチ
200 絵描き制御装置
210 記憶手段
211 キャラクタ選定/表示制御手段
212 ビット列選定手段
213 発光素子制御手段
214 スピーカ
215 第1音楽記憶部
216 スピーカ駆動手段
217 動画記憶部
218 第2音楽記憶部
219 電源
220 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼稚園児などの子供が絵や平仮名などの文字を含むキャラクタを手書きで描く時に用いられる絵描き用玩具であって、
ベース本体と、
前記ベース本体の前端に該ベース本体の左右方向に延在して一体に設けられたドット記入盤と、
前記ドット記入盤に該ドット記入盤の左右方向に沿い等間隔に形成された、前記キャラクタを構成するビットマップ画像の列方向のビット数に相当する数のドット記入穴と、
前記ドット記入穴のそれぞれに対向して前記ドット記入盤に設けられたドット記入指示用発光素子と、
前記ベース本体が水平面上を前後方向に移動された時に前記水平面に接触しながら転動するように前記ベース本体の下面に回転可能に設けられるとともに前記前後方向の移動に伴って一定角度回転される毎に機械的クリック音を発する転動体と、
前記転動体に連動して回転され前記ベース本体が前進または後進方向に一定量移動される毎に前記機械的クリック音に同期して絵描き指令信号を出力するピッチセンサーと、
前記ベース本体に装着された表示部と、
前記ベース本体に設けられた、絵描きをする者により操作される入力手段と、
多数のキャラクタをビットマップ形式のビット画像で格納した記憶手段と、
前記入力手段を操作する毎に発生する第1の信号により前記記憶手段からキャラクタデータを順次読み出して該キャラクタデータを画像として前記表示部に順に表示するとともに該表示部に子供の望むキャラクタが表示された時に前記入力手段を操作することで発生する第2の信号により前記望むキャラクタを選定して前記表示部に表示するキャラクタ選定/表示制御手段と、
前記ドット記入盤を含む前記ベース本体を一定量前進方向に移動される毎に前記ピッチセンサーからの絵描き指令信号により、前記キャラクタ選定/表示制御手段で前記表示部に選定表示されたキャラクタのビットマップ画像を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順番に選択するビット列選定手段と、
前記キャラクタ選定/表示制御手段により前記表示部にキャラクタが選定表示された状態で前記ドット記入盤を含む前記ベース本体を一定量前進方向に移動される毎に前記ピッチセンサーから出力される絵描き指令信号により動作され前記ビット列選定手段で選択された1行分のビット列の各ビットデータを前記ドット記入指示用発光素子の点灯または非点灯信号に変換して前記ドット記入指示用発光素子に出力し、かつ該各ドット記入指示用発光素子をビット列のビットデータに応じて点灯または消灯制御する発光素子制御手段とを備え、
前記ビットマップ画像の1行分のビット列毎に前記発光素子制御手段により点灯されたドット記入指示用発光素子に対応するドット記入穴に筆記具を挿入し該筆記具をドット記入穴に沿い移動することにより、前記平面上に置かれた用紙に前記表示部に選定表示されたキャラクタを第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に描くように構成したことを特徴とする絵描き用玩具。
【請求項2】
前記キャラクタ選定/表示制御手段は、前記表示部にキャラクタが選定表示された当初では該キャラクタのビットマップ画像の表示を第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去するように制御するとともに全行のビット列が消去された段階で再度全行のビット列を再表示させる絵描き開始用デモンストレーション機能を有し、前記発光素子制御手段は、前記表示部にキャラクタが選定表示された当初では全ドット記入指示用発光素子が点灯されるように制御するとともに前記キャラクタ選定/表示制御手段によりビットマップ画像が第1行目のビット列から最終行のビット列へと順に消去されるのに同期して前記点灯されたドット記入指示用発光素子を上位から下位に向け1つずつ消灯するように制御する絵描き開始用デモンストレーション機能を有することを特徴とする請求項1記載の絵描き用玩具。
【請求項3】
前記ベース本体に装着されたスピーカと、前記キャラクタ選定/表示制御手段及び前記発光素子制御手段の絵描き開始用デモンストレーション機能に対応する音楽データを格納した第1音楽記憶部と、前記キャラクタ選定/表示制御手段及び前記発光素子制御手段が絵描き開始用デモンストレーション機能を発揮した時に前記第1音楽記憶部から音楽データを読み出して前記スピーカに出力し該スピーカを鳴動させるスピーカ駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の絵描き用玩具。
【請求項4】
前記ベース本体に装着されたスピーカと、前記選定表示されたキャラクタに応じてプログラムされたアニメーション画を記憶する動画記憶部と、前記アニメーション画に対応して絵描き終了の音楽データを格納した第2音楽記憶部と、前記音楽記憶部から読み出した音楽データに応じて前記スピーカを鳴動させるスピーカ駆動手段とを備え、前記ビットマップ画像の終了に対する絵描き処理が終了した時点では、前記キャラクタ選定/表示制御手段は前記動画記憶部から読み出したアニメーション画を前記表示部に表示し、同時に前記スピーカ駆動手段は前記第2音楽記憶部から読み出した絵描き終了の音楽データに応じてスピーカを鳴動させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の絵描き用玩具。
【請求項5】
前記ベース本体に回転可能にかつ押圧方向に移動可能に設けられたつまみ兼用のダイアルを有し、前記入力手段は前記ダイアルを回転操作することにより前記第1の信号を出力する第1スイッチと、前記ダイアルを押圧操作する毎に前記第2の信号を出力する第2スイッチとを備えることを特徴とする請求項1記載の絵描き用玩具。
【請求項6】
前記ダイアルはリング状を呈し、このリング状ダイアルの内側に臨ませて前記表示部が配置されていることを特徴とする請求項5記載の絵描き用玩具。
【請求項7】
前記表示部の表面に表示部に表示されたキャラクタ画像を拡大する光学レンズが設けられていることを特徴とする請求項1または6記載の絵描き用玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−122200(P2006−122200A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312369(P2004−312369)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(504400241)ハンザワ ホンコン リミテッド (2)
【Fターム(参考)】