説明

絶縁劣化モニタ装置、電気機器および絶縁劣化モニタ方法

【課題】絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる絶縁劣化モニタ装置、電気機器および絶縁劣化モニタ方法を提供する。
【解決手段】容器11は開口部を有する。フィルタ12は、開口部を塞いでいる。ポンプ15は、容器11内の圧力を容器11外の圧力に比して小さくするために容器11に接続されている。試験片13は、絶縁材料からなり、かつ容器11内に配置されている。測定部14aは、試験片13の表面抵抗に対応する値を測定するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁劣化モニタ装置、電気機器および絶縁劣化モニタ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受配電機器などの電気機器の絶縁体部に用いられる絶縁体として、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性樹脂が使用されている。これらの絶縁体からなる絶縁体部の表面抵抗は経年変化によって時間とともに低下してくる。
【0003】
表面抵抗の低下は、主に、イオンとなる物質が絶縁体部の表面に付着することに起因している。たとえば大気中の窒素酸化物(NOx)や二酸化硫黄(SO2)は、大気中の水分により硝酸や硫酸となり、絶縁体部の表面に付着する。また海に近い地域では、塩化ナトリウムなどの海塩粒子が絶縁体部の表面に付着する。これらの付着物は、湿度が高くなると、硝酸イオンや、硫酸イオン、Naイオン、Clイオンとなり、絶縁体部の表面抵抗を低下させる。すなわち絶縁体部の絶縁劣化が生じる。
【0004】
絶縁体部の絶縁劣化は電気機器の性能を低下させる原因となり得る。よってこの絶縁劣化をモニタする方法が必要となる場合がある。
【0005】
たとえば特開2000−356660号公報(特許文献1)によれば、時間の経過と共にイオン性物質が表面に滞積した絶縁物の絶縁抵抗値と前記表面の一定面積から採取したイオン性物質の水溶液中での電気電導度との相関関係が予め求められる。絶縁物の劣化状態が診断される際には、診断対象である絶縁物について経時的に滞積したイオン性物質の電気電導度が測定され、この電気電導度と前記相関関係とに基づいて当該絶縁物の絶縁抵抗値が推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−356660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特開2000−356660号公報に記載された方法では、絶縁物(絶縁体部)の表面に堆積したイオン性物質を採取して純水に溶かす作業、すなわちサンプリング作業が必要であるために、絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる絶縁劣化モニタ装置、電気機器および絶縁劣化モニタ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の絶縁劣化モニタ装置は、容器と、フィルタと、ポンプと、試験片と、測定部とを有する。容器は開口部を有する。フィルタは、開口部を塞いでいる。ポンプは、容器内の圧力を容器外の圧力に比して小さくするために容器に接続されている。試験片は、絶縁材料からなり、かつ容器内に配置されている。測定部は、試験片の表面抵抗に対応する値を測定するためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の絶縁劣化モニタ装置によれば、試験片の表面抵抗に対応する値が測定されることによって、絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電気機器の構成を概略的に示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における電気機器に含まれる本体装置が有する絶縁体部の近傍を概略的に示す平面図である。
【図3】絶縁体部と同じ材料からなる表面上に付着したイオン量と、表面抵抗率との関係の一例を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態1における絶縁劣化モニタ装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における絶縁劣化モニタ方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図6】図4の試験片の第1変形例(A)、第2変形例(B)、および第3変形例(C)を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2における絶縁劣化モニタ装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図8】図7の試験片上の様子を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1および図2を参照して、本実施の形態の電気機器30は、絶縁劣化モニタ装置10aと、本体装置20とを有する。本体装置20は、たとえば受配電機器である。絶縁劣化モニタ装置10aは、本体装置20が有する絶縁体部23の表面抵抗を、推定によってモニタするためのものである。本体装置20は、絶縁体部23と、スイッチ24と、1対の端子部22a、22b(1対の配線部)と、1対の配線21a、21bとを有する。
【0013】
絶縁体部23は、たとえば樹脂からなり、より具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂からなる。また本体装置20が非密閉構造を有することで、絶縁体部23の表面は電気機器30外の環境空気にさらされている。
【0014】
1対の端子部22a、22bは絶縁体部23上に互いに離れて形成されている。よって1対の端子部22a、22bは絶縁体部23によって互いに電気的に絶縁されている。1対の配線21a、21bのそれぞれは1対の端子部22a、22bに結線されている。スイッチ24は1対の端子部22a、22bの間の電気的経路を開閉するものである。
【0015】
さらに図3を参照して、絶縁体部23の材料と同じ絶縁材料からなる表面上におけるイオン量が増大すると、表面抵抗率が低下することが分かる。よって経時変化によって絶縁体部23上に過剰な量のイオンが付着すると、絶縁体部23の表面抵抗率が不十分になる。この結果、スイッチ24が切断されても配線21aおよび21bの間の絶縁抵抗を十分に確保することができなくなるので、電気機器30の性能に問題が生じ得る。
【0016】
図4を参照して、絶縁劣化モニタ装置10aは、箱11(容器)と、フィルタ12と、ポンプ15と、モニタ板13(試験片)と、はかり14a(測定部)とを有する。
【0017】
箱11は図中上方に開口部を有する。また箱11は、アルカリや酸と反応しにくく、かつ吸湿しにくい材料からなり、たとえばフッ素樹脂やポリプロピレンなどのオレフィン樹脂からなる。これにより箱11内のイオンが箱11と反応したり箱11に吸収されたりすることが抑制されるので、箱11内のイオンを、より効率よくモニタ板13に付着させることができる。
【0018】
フィルタ12は、この開口部を塞いでいる。またフィルタ12は、水溶液およびガスと、環境空気中の固体浮遊物とを分離することができるものである。より具体的には、フィルタ12は、SO2、NOxなどの水溶液およびガスと、環境空気中の固体浮遊物とを分離できる程度の大きさの孔を有する。またフィルタ12の材料は、酸やアルカリのイオンと反応しにくい材料が好ましい。たとえばフィルタ12は、孔径0.5μm程度、空孔率80%程度、膜厚1mm程度のフィルム状の親水性フッ素樹脂製メンブレンフィルタである。
【0019】
ポンプ15は、吸引ポンプであり、箱11に接続されている。ポンプ15によって箱11内の圧力を箱11外の圧力に比して小さくすることができる。この圧力差によって、箱11外の空気、すなわち環境空気の箱11内への流入が促進される。
【0020】
モニタ板13は、絶縁材料からなり、より具体的には絶縁体部23の材料と同じ材料からなる。またモニタ板13は、箱11内において、はかり14aに載せられている。
【0021】
はかり14aは、モニタ板13の表面抵抗に対応する値として、モニタ板13の重量を測定するためのものである。また、はかり14aはランプ16(表示装置)を有する。ランプ16は、箱11外に取り付けられており、またモニタ板13の重量が予め設定された重量以下であるときに消灯し、かつ、この重量を超えるときに点灯するように構成されている。この構成により、ランプ16は、モニタ板13の重量が予め設定された範囲内にあるか否かを箱11の外部から視認できるように表示することができる。
【0022】
次に絶縁劣化モニタ装置10aを用いた絶縁劣化モニタ方法について説明する。
図3を参照して、絶縁体部23と同じ材料からなる表面上に付着したイオン量と、表面抵抗率との関係が予め求められる。これにより、モニタ板13表面へのイオンの付着による重量増加から、モニタ板13の表面抵抗率を求めることができるようになる。次に本体装置20の絶縁体部23に求められる絶縁性に応じて、表面のイオン量(mg/cm2)の上限値が決定される。この上限値は、絶縁体部23が必要とする表面抵抗率の下限値を基に、図3に示すような表面抵抗率と表面のイオン量との相関から求めることができる。
【0023】
なお、図3に示すような表面抵抗率と表面のイオン量との相関を実験によって求める代わりに、たとえば日本工業規格JISC4605「高圧交流負荷開閉器」に記載の、耐塩じん汚損性による汚損度汚損度(等価塩分付着量)を用いることができる。この規格は、絶縁破壊を防ぐためのものであり、一般用の機器の汚損度は0.03mg/cm2とされている。
【0024】
次に、表面のイオン量の上限値と、モニタ板13の表面積との積に対応するしきい値重量が算出される。たとえばモニタ板13が10cm角の薄板であり、イオン量の上限値が0.03mg/cm2の場合、しきい値重量は3mgとなる。
【0025】
図4を参照して、はかり14a上にモニタ板13が置かれ、続いて箱11の開口部がフィルタ12によって塞がれる。これによりモニタ板13の重量変化が常に検知され得る状態となる。
【0026】
次にポンプ15が稼動される。これにより箱11内が箱11外に対して負圧とされる。箱11内の到達圧力は、フィルタ12が破壊されない範囲内で、フィルタ12を介して環境空気が箱11内に十分に流入する程度に低くされる。具体的には、箱11の到達圧力は、たとえば1〜10hPa程度であり、簡易なポンプで容易に達成され得る。
【0027】
上記のように箱11内が負圧とされることで、箱11外の環境空気がフィルタ12を介して箱11内に流入する。これによりモニタ板13は、絶縁体部23を取り囲む環境空気と同様の雰囲気にさらされる。
【0028】
なお絶縁体部23の表面抵抗を低下させるイオン性化合物は水に溶ける性質がある。塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウムなどは、湿度が高くなると潮解することで水溶液化する。この水溶液は、フィルタ12を通過することができるので、箱11内へと取り込まれる。すなわちフィルタ12を介して箱11外から箱11内へとイオン性物質が容易に取り込まれる。
【0029】
一方、環境空気中の固体浮遊物のほとんどはフィルタ12の存在によって箱11内に侵入できない。
【0030】
図5を参照して、はかり14aによってモニタ板13の重量が、常時または所定の間隔を空けて測定される。時間の経過によって、モニタ板13には環境空気中のイオン48が、水溶液中のイオンとして、またはイオン性化合物として付着していく。よってモニタ板13の重量は時間とともに増大していく。したがってはかり14aの測定結果も時間の経過とともに増大していく。この重量の増加分が上述したしきい値重量を超えた場合、はかり14aはランプ16を点灯させる。
【0031】
なお、しきい値重量が、たとえば3mgの場合、はかり14aの定量下限は1mg程度あればよい。よって、はかり14aとして電子天秤を用いれば、十分な秤量精度が得られる。
【0032】
本実施の形態によれば、モニタ板13の重量増加、すなわちモニタ板13の表面抵抗に対応する値が測定されることで、モニタ板13の絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる。このモニタ結果から、モニタ板13と同様の環境空気にさらされている絶縁体部23の絶縁劣化の程度を推定することができる。すなわちこの推定によって、絶縁体部23の絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる。
【0033】
またモニタ板13の材料と絶縁体部23の材料とが同じとされることで、絶縁体部23の絶縁劣化のモニタ精度を向上させることができる。この理由は、たとえば以下の通りである。
【0034】
絶縁体部23の材料として一般に使用されるポリエステル樹脂は、充填剤である炭酸カルシウムを含む。この炭酸カルシウムは、環境中の窒素酸化物(NOx)と反応して硝酸カルシウムとなる。この硝酸カルシウムは、大気中の水分を吸湿してイオンを生成しやすい。このように絶縁体部23中の化合物が環境物質と反応して表面抵抗を低下させる場合があるので、モニタ板13の材料を絶縁体部23の材料と同じとすることで、モニタ板13および絶縁体部23の各々におけるイオンの生成現象をより近似させることができる。よって絶縁体部23の絶縁劣化のモニタ精度を向上させることができる。
【0035】
なお、モニタ板13の材料と絶縁体部23の材料とが同じであるとは、両材料が厳密に同じであることを意味するのではなく、上記のようなイオンの生成現象の観点で両材料がほぼ同様の作用を生じることを意味する。
【0036】
またフィルタ12によって環境空気中の固体浮遊物47(図5)の箱11内への侵入が抑制されるので、固体浮遊物がはかり14aの計量結果に及ぼす影響が抑制される。よって、はかり14aにより測定される重量の増加分におけるイオンの寄与を高めることができる。これにより、より精度よくモニタ板13表面のイオン量を把握できるので、絶縁劣化のモニタ精度を向上させることができる。
【0037】
またフィルタ12の孔径がたとえば0.5μm程度以上とされることで、フィルタ12はガスだけでなく水溶液を箱11の内部に通すことができる。これにより、絶縁抵抗を低下させるイオンを発生させる物質が水溶液化された場合であっても、これらの物質を箱11の内部に取り込むことができる。このような物質としては、たとえば塩化ナトリウムおよび硫酸アンモニウムがある。塩化ナトリウムは、環境中に固体浮遊物として存在し、湿度が高くなると潮解して水溶液化することでナトリウムイオンおよび塩素イオンを発生する。硫酸アンモニウムは、土壌中に肥料などとして含まれ、水によく溶ける性質を有し、たとえば結露水に溶解して水溶液化することで硫酸イオンおよびアンモニウムイオンを発生する。
【0038】
一方、フィルタ12は環境空気中の固体浮遊物を通さない。これにより、湿度が高くなっても水に溶けずに固体浮遊物として存在し続ける物質が測定結果に影響を及ぼすことを防ぐことができる。このような物質としては、土壌中のシリカや酸化アルミニウムなどのように絶縁体部23の絶縁劣化を引き起こさない絶縁物や、水に溶けずに金属粉として存在し続ける物質がある。
【0039】
なおフィルタ12は、直径7μm程度より大きいものと小さいものとを分離できるような孔を多数有するフィルタであってもよい。表面抵抗と関係のある海塩粒子は粒径7μmより小さい粒径を有し、対して、石、砂、繊維、花粉などの絶縁劣化と無関係な絶縁浮遊物(水に不溶の個体浮遊物)の多くは7μm以上の粒径を有するので、環境中の絶縁劣化に影響する粒子やガスは上記フィルタを透過するが、絶縁劣化と無関係な浮遊物の多くは透過しない。よってモニタ板13表面に付着する物質が主にイオン量を増加させる物質のみになるので、絶縁劣化のモニタ精度が向上する。
【0040】
またフィルタ12の材料として親水性フッ素樹脂を例示したが、吸湿性が低く、かつ酸やアルカリと反応しにくい他の樹脂もフィルタ12の材料として好適に用いることができ、たとえばポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂を用いることができる。
【0041】
また図4においては平坦な表面を有するモニタ板13を示したが、表面に凹凸を設けることによってモニタ板の表面積を大きくすることで、より効率よくイオンを付着させてもよい。このために、たとえば断面形状が、逆おわん型(図6(A))、のこぎり型(図6(B))、凹凸型(図6(C))のそれぞれとなるようなモニタ板13a〜13cのいずれかを用いることができる。これにより、モニタ板全体の重量増加が大きくなるので、絶縁劣化の程度をより高い精度でモニタすることができる。
【0042】
また電気機器30が受配電盤などのように10年以上の長期に渡って使用される機器である場合、通常、定期検査が行なわれる。この定期検査の際に、フィルタ12が交換されることで、フィルタ12上に堆積された環境空気中の固体浮遊物47(図5)を除くことができる。これにより、絶縁劣化のモニタを長期に渡って正確に行なうことができる。
【0043】
(実施の形態2)
図7および図8を参照して、本実施の形態の絶縁劣化モニタ装置10bは、箱11(容器)と、フィルタ12と、ポンプ15と、モニタ板13(試験片)と、抵抗測定部14b(測定部)とを有する。抵抗測定部14bは、1対の電極17x、17yと、1対の配線18x、18yと、ランプ16(表示装置)とを有する。
【0044】
1対の電極17x、17yは、モニタ板13上に互いに間隔を空けて設けられた櫛型電極であり、たとえば蒸着法によって形成されている。1対の電極17x、17yのそれぞれは1対の配線18x、18yによって抵抗測定部14bが有する抵抗計に接続されている。この構成により、抵抗測定部14bは、モニタ板13の表面抵抗を測定することができる。
【0045】
ランプ16は、箱11外に取り付けられており、また抵抗計によって測定された抵抗値が予め設定された値以上であるときに消灯し、かつ、この値未満であるときに点灯するように構成されている。この構成により、ランプ16は、モニタ板13の表面抵抗が予め設定された範囲内にあるか否かを箱11の外部から視認できるように表示することができる。
【0046】
なお絶縁劣化モニタ装置10bは、絶縁劣化モニタ装置10a(図4)と同様に、本体装置20(図1)とともに用いられる。
【0047】
また、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0048】
本実施の形態によれば、モニタ板13の表面抵抗が測定されることで、モニタ板13の絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる。このモニタ結果から、モニタ板13と同様の環境空気にさらされている絶縁体部23(図2)の絶縁劣化の程度を推定することができる。すなわちこの推定によって、絶縁体部23の絶縁劣化の程度をその場でモニタすることができる。
【0049】
また実施の形態1と同様に、モニタ板13の材料と絶縁体部23の材料とが同じとされることで、絶縁劣化のモニタ精度を向上させることができる。
【0050】
また実施の形態1と同様に、フィルタ12によって、絶縁劣化のモニタ精度を向上させることができる。仮にフィルタ12がないとすると、水に溶けない絶縁浮遊物がモニタ板13に付着し得る。この付着は電極17x、17y間の電気抵抗を低下させないだけでなく上昇させることもあるので、モニタ板13の表面抵抗劣化をモニタする上で誤差の原因となる。
【0051】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、絶縁劣化モニタ装置、電気機器および絶縁劣化モニタ方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0053】
10a,10b 絶縁劣化モニタ装置、11 箱(容器)、12 フィルタ、13,13a〜13c モニタ板(試験片)、14a はかり(測定部)、14b 抵抗測定部(測定部)、15 ポンプ、16 ランプ(表示装置)、47 固体浮遊物、48 イオン、17x,17y 電極、18x,18y 配線、20 本体装置、21a,21b 配線、22a,22b 端子部(配線部)、23 絶縁体部、24 スイッチ、30 電気機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器と、
前記開口部を塞ぐフィルタと、
前記容器内の圧力を前記容器外の圧力に比して小さくするために前記容器に接続されたポンプと、
絶縁材料からなり、かつ前記容器内に配置された試験片と、
前記試験片の表面抵抗に対応する値を測定するための測定部とを備えた、絶縁劣化モニタ装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記値が予め設定された範囲内にあるか否かを前記容器の外部から視認できるように表示する表示装置を含む、請求項1に記載の絶縁劣化モニタ装置。
【請求項3】
前記測定部は前記試験片の重量を測定するためのはかりを含み、前記試験片は前記はかりに載せられている、請求項1または2に記載の絶縁劣化モニタ装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記試験片上において互いに間隔を空けて設けられた1対の電極を含む、請求項1または2に記載の絶縁劣化モニタ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁劣化モニタ装置と、
本体装置とを備え、
前記本体装置は、絶縁体部と、前記絶縁体部によって互いに電気的に絶縁された1対の配線部とを含む、電気機器。
【請求項6】
前記絶縁材料は前記絶縁体部の材料と同じである、請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
絶縁体部の表面抵抗率をモニタする絶縁劣化モニタ方法であって、
絶縁材料からなる表面上に付着したイオン量と、前記表面の表面抵抗率との関係を求める工程と、
前記絶縁体部を取り囲む環境空気にさらされるように、前記絶縁体部と同じ材料からなる試験片を保持する工程と、
前記関係を求める工程および前記試験片を保持する工程の後に、前記試験片の重量を測定する工程とを備えた、絶縁劣化モニタ方法。
【請求項8】
前記絶縁材料は前記絶縁体部の材料と同じである、請求項7に記載の絶縁劣化モニタ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−243201(P2010−243201A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89233(P2009−89233)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】