継手
【課題】ボディに対しノーズを適正に装着することができる継手を得る。
【解決手段】ビール継手10は、一方側の流路端に接続される樹脂製のノーズ14と、他方側の流路端に接続されると共に該他方側の流路端と前記一方側の流路端とが連通されるように14が挿入されるボディ12と、ボディ12に所定深さまで挿入されたノーズ14を該ボディ14に対し抜けないようにロックするロック機構16と、ノーズ14がボディ12に所定深さまで挿入されると該ボディ12の内側に隠れるように該ノーズ14の表面で露出されたカラーライン部42と、を備えている。カラーライン部42は、樹脂材より成り、1次成形品であるノーズ14に2次成形して形成されている。
【解決手段】ビール継手10は、一方側の流路端に接続される樹脂製のノーズ14と、他方側の流路端に接続されると共に該他方側の流路端と前記一方側の流路端とが連通されるように14が挿入されるボディ12と、ボディ12に所定深さまで挿入されたノーズ14を該ボディ14に対し抜けないようにロックするロック機構16と、ノーズ14がボディ12に所定深さまで挿入されると該ボディ12の内側に隠れるように該ノーズ14の表面で露出されたカラーライン部42と、を備えている。カラーライン部42は、樹脂材より成り、1次成形品であるノーズ14に2次成形して形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路部が形成された雄型のノーズと雌型のボディとを備えた継手に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールなどの液体を移送するホース間の継手として、流路部が形成された雄型のノーズと雌型のボディとを備えた継手が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1記載の継手では、ノーズがボディに対しロックされるように適正に挿入されるとボディの内側に隠れる表示部が、ノーズの表面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−14166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような表示部をノーズの表面にインク等を塗布して設ける場合、ボディに対するノーズの繰り返しの着脱や洗浄によって表示部が剥離することが懸念される。
【0005】
本発明は、ボディに対しノーズを適正に装着することができる継手を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る継手は、一方側の流路端に接続される樹脂製のノーズと、他方側の流路端に接続されると共に、該他方側の流路端と前記一方側の流路端とが連通されるように前記ノーズが挿入されるボディと、前記ボディに所定深さまで挿入された前記ノーズを該ボディに対する抜け状態にロックするロック構造と、前記ノーズとは別工程で形成され、該ノーズが前記ボディに前記所定深さまで挿入されると該ボディの内側に隠れるように該ノーズの表面で露出された樹脂製の表示部と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の継手では、ノーズをボディに対し所定深さまで適正に挿入すると、ロック構造によってノーズがボディに対しロックされ、該ノーズがボディに対し抜け止め状態で装着される。これにより、一方側の流路端と他方側の流路端とが継手を介して連通される。このボディに対するノーズの装着の際には、表示部がボディに隠れるようにノーズをボディに挿入することで、該ノーズをボディに対し適正に挿入して適正に装着させることができる。
【0008】
ここで、本継手では、表示部がノーズとは別工程で形成された樹脂より成るため、例えば塗装等により形成された表示部と比較して、ボディに対するノーズの着脱や洗浄によって表示部が剥離(削れや摩耗を含む)されにくい。このため、本継手では、長期間に亘って安定してボディに対しノーズを適正に装着させることに寄与する。
【0009】
このように、請求項1記載の継手では、ボディに対しノーズを適正に装着することができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る継手は、請求項1に記載の継手において、前記表示部は、前記ノーズとは異なる色とされている。
【0011】
請求項2記載の継手では、ノーズと表示部とで色が異なるので、該ノーズのボディへの挿入状態の適否を確認しやすい。
【0012】
請求項3記載の発明に係る継手は、請求項1又は請求項2に記載の継手において、前記表示部は、前記ノーズの表面に開口された溝部内に樹脂を2次成形することで形成されている。
【0013】
請求項3記載の継手では、ノーズ表面の溝部内に樹脂を2次成形することで表示部が形成されているので、該表示部は、ボディに対するノーズの着脱や洗浄によって一層剥離されにくい。
【0014】
請求項4記載の発明に係る継手は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の継手において、前記表示部は、前記ノーズ表面における前記ボディへの挿入方向に直交する面に沿って該ノーズ表面の周方向の全周に亘って設けられている。
【0015】
請求項4記載の継手では、表示部がノーズ表面の全周に亘る環状を成しているので、ノーズのボディへの挿入状態の適否を、どの方向からも確認しやすい。特に、ノーズの溝部に樹脂を2次成形して表示部を得る構成(請求項3の構成)では、この表示部は、ボディに対するノーズの着脱や洗浄によってより一層剥離されにくい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る継手は、ボディに対しノーズを適正に装着することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズとボディとの分離状態を示す半断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズとボディとの結合状態を示す半断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るビール継手の流体流通状態を示す半断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズの側面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズのカラーライン部が設けられる前の側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るビール継手の背面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るビール継手の節度機構を示す図であって、(A)はカバーがロック位置にあるときの節度突起の付近を示す拡大断面図、(B)はカバーをロック解除位置の方向に少し回動させたとき節度突起付近を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに挿入する過程の初期を示す半断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに挿入する過程の中期を示す半断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに挿入する過程の終期を示す半断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係るビール継手において、継手のカバーをロック解除位置に回動した状態を示す半断面図である。
【図13】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに引き抜く過程を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る継手としてのビール継手10について、図1〜図13に基づいて説明する。
【0019】
図1には、ビール継手10の分離状態が半断面図にて示されている。また、図2には、ビール継手10の結合状態が半断面図にて示されており、図3には、ビール継手10の使用状態(液体の流通状態)が半断面図にて示されている。これらの図に示される如く、ビール継手10は、雌型部材であるボディ12と、雄型部材であるノーズ14と、これらボディ12とノーズ14との結合状態を保持するためのロック機構16とを主要部として構成されている。この実施形態に係るビール継手10は、液体としての飲料であるビールを所定の圧力(例えば、約0.4MPa)で流す用途で使用されている。
【0020】
ボディ12は、例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材より成り、全体として軸線(流れ方向)が一直線状を成す筒状に形成されている。このボディ12は、一端側(ビール流れ方向の上流側、以下、「矢印A側」という)に形成されノーズ14が挿入されるノーズ挿入部12Aと、他端側に形成され流路端としてのアダプター(を介して配管)が螺合により接続される配管接続部12Bと、これらノーズ挿入部12Aと配管接続部12Bとを連通する連通流路部12Cとを有する。この実施形態では、連通流路部12Cを構成する筒壁が他の部分に対し内外径共に縮径された括れ部とされている。
【0021】
ノーズ14は、例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材より成り、側面視で略「L」字状の管状(中空)部材とされている。ノーズ14における矢印A側には、ノーズ挿入部12Aに挿入されると共にロック機構16によってロックされる装着部14Aが形成されている。装着部14Aには、ビール流れ(軸線)方向との直行面に沿って外周面に形成され、ロック機構16によってロックされる環状の係合溝18が形成されている。換言すれば、環状の係合溝18がロック機構16の一部を構成しているものと捉えることも可能である。
【0022】
また、ノーズ14は、装着部14Aから矢印A側に突出され、図2及び図3に示す結合状態で連通流路部12C内に至るシール部14Bを有する。シール部14Bにおいて係合溝18と略平行に形成されたシール溝20には、シール部材であるOリング22が装着されている。Oリング22は、連通流路部12Cの内周面であるシール面12Dに圧着されてボディ12とノーズ14との間をシールするようになっている。装着部14A(係合溝18)とシール部14Bとの間には、シール部14B側に向けて縮径されたテーパ部14Cが形成されている。一方、ノーズ14における装着部14A、シール部14Bの内部(流路)と連通された他端部は、流路端としてのホース(図示省略)が接続されるホース接続部14Dとされている。
【0023】
ロック機構16は、ボディ12のノーズ挿入部12A内に抜け止め状態で保持された保持部材24と、保持部材24の内側でボディ12(保持部材24)に対し軸線方向に相対変位可能に支持されたロック部材としてのコレット26とを主要部品として構成されている。保持部材24は、短円筒状を成しており、外周面から周方向に連続的又は断続的に突出された係合突起24Aを、ノーズ挿入部12Aの内周面に形成された係合溝12Eに入り込ませることで、想定される使用状態ではボディ12に対し相対変位しないよう保持されている。
【0024】
この保持部材24と、ボディ12におけるノーズ挿入部12Aと連通流路部12Cとの間の段部12Fとの間の空間は、コレット逃がし溝28とされている。また、保持部材24におけるノーズ14の挿入端側には、係合段部24Bが形成されている。コレット26は、後述するように段部12Fと係合段部24Bとの間で、ボディ12に対し軸線方向に相対変位可能とされている。
【0025】
コレット26は、全体として略円筒状に形成されており、その矢印A側の一部(略半分)には軸線方向に沿って複数のスリット(図示省略)が形成されることで、複数の板ばね状の脚部26Aが形成されている。脚部26Aは、厚み(径)方向に弾性変形可能とされており、該変形によって、その軸線中間部に形成された係合突起30をノーズ14の係合溝18に対し進退させ得る構成とされている。
【0026】
また、各脚部26Aの自由端部26Bには、自由端側及び径方向内側を向くように傾斜されたテーパ面26Cが形成されている。コレット26は、テーパ面26Cを段部12Fから突設されたカム突起12Gに係合させつつ矢印A側に移動されることで、各脚部26Aが径方向の外向きに弾性変形するようになっている。この弾性変形に伴ってコレット26は、その自由端部26Bがコレット逃がし溝28に入り込む構成とされている。ロック機構16では、この自由端部26Bが進退するコレット逃がし溝28によって、ノーズ挿入部12A内に位置する係合突起30が環状の係合溝18に対し進退するストロークが確保される構成とされている。
【0027】
なお、ビール継手10では、図9に示される如く自由端部26Bが段部12Fに係合する位置が、コレット26の矢印A側への移動限とされている。一方、各脚部26Aの径方向外側には、係合段部24Bに係合可能な抜け止め段部26Dが形成されており、図3に示される如く抜け止め段部26Dが係合段部24Bに係合する位置が、コレット26が反矢印A側への移動限とされている。
【0028】
以上説明したロック機構16によるロック動作については、本実施形態の作用と共に後述する。
【0029】
また、図1〜図3に示される如く、コレット26は、係合段部24Bと段部12Fと移動規制された範囲の任意の位置から少なくとも矢印A側への移動限に至るまでのストローク分だけ、ノーズ挿入部12A(保持部材24)の開口端からノーズ14側に張り出されるロック解除操作部26Eを有する。そして、ビール継手10は、ロック機構16によるボディ12に対するノーズ14のロック状態を解除するためのロック解除部材としてのカバー32を備えている。
【0030】
カバー32は、ボディ12をノーズ挿入部12A柄から覆うキャップ状(有底円筒状)に形成されており、その底板部32Aにはノーズ14を貫通させる貫通孔32Bが形成されている。さらに、カバー32の円筒部32Cにおける開口端側には、ノーズ挿入部12Aの外周から突出された解除規制突起34を入り込ませる切欠部36が形成されている。切欠部36は、円筒部32Cの周方向に周方向に長手とされ、解除規制突起34が長手方向の両端36A、36Bに係合する範囲(この実施形態では、略1/4周)内で、カバー32のボディ12に対する相対変位を許容するようになっている。この実施形態では、解除規制突起34、切欠部36が180°離間して各2つ設けられている。
【0031】
ビール継手10では、カバー32における切欠部36の一方の端部36Aに係合する位置がロック位置(図2参照)とされ、カバー32における切欠部36の他方の端部36Bに係合する位置がロック解除位置(図1参照、端部36Bについては図7参照)とされている。具体的には、切欠部36における端部36B側には、他の部分よりも深く形成された突起逃がし部36Cが形成されており、切欠部36は、突起逃がし部36C内に解除規制突起34を入り込ませることで、底板部32Aをノーズ挿入部12Aの開口端に近接させる方向(軸線方向)の相対変位が許容されるようになっている。
【0032】
この変位によってカバー32は、その底板部32Aにおいてロック解除操作部26Eを段部12F側に押し込むようになっている。これにより、ロック機構16(コレット26)によるボディ12に対するノーズ14のロック状態が解除される構成とされている。なお、カバー32は、その内周側に形成された抜け止め突起32Dがノーズ挿入部12Aの外周に形成された係合突起12Hに係合する(図2参照)ことで、ボディ12に対する脱落が防止される構成とされている。また、カバー32によるロック解除動作については、本実施形態の作用と共に後述する。
【0033】
また、この実施形態では、図8(A)及び図8(B)に示される如く、ノーズ挿入部12Aにおける解除規制突起34の近傍、カバー32における切欠部36の端部36Aの近傍からは、節度突起38、40がそれぞれ突出されている。節度突起38、40は、カバー32がロック位置からロック解除位置側に回転操作される際に、互いに乗り越えあうことでロック解除に伴う節度感を付与する構成とされている。なお、この実施形態では、節度突起38、40は、ロック解除の際に乗り越える斜面がロックの際に乗り越える斜面よりも急勾配とされており、ロック解除の際には大きな抵抗(節度感)を感得させるように構成されている。
【0034】
以上説明したビール継手10では、ノーズ14の装着部14A(及びシール部14B)をボディ12のノーズ挿入部12Aに所定深さまで挿入することで、後述する如くロック機構16によってノーズ14のボディ12に対する抜け動作がロックされて、該ノーズ14がボディ12に適正に装着されるようになっている。そして、ビール継手10は、ノーズ14の装着部14Aの表面に設けられた表示部としてのカラーライン部42を備えている。
【0035】
カラーライン部42は、図4に示される如く、ノーズ14(ボディ12)の軸線方向との直交面に沿って装着部14Aの表面に全周に亘るリング状のラインとして形成されている。カラーライン部42は、ノーズ14の外表面の色(白色)とは異なる色(この実施形態では、赤色)に着色されている。このカラーライン部42は、装着部14Aがノーズ挿入部12Aに所定深さまで挿入されると(例えば図10参照)、該ノーズ挿入部12Aの内側に隠れる位置に配置されている。
【0036】
そして、ビール継手10では、カラーライン部42は、樹脂材より成り、ノーズ14とは別工程で成形されることで、該ノーズ14の表面に目視可能に露出されている。具体的には、図5及び図6に示される如く、1次成形品であるノーズ14におけるカラーライン部42の形成部位には、全周に亘る溝部としての環状溝44が形成されており、カラーライン部42は、環状溝44をノーズ14とは異なる色の樹脂材にて埋めることで構成されている。
【0037】
この実施形態では、カラーライン部42を構成する樹脂材として、ノーズ14を構成する樹脂材と同種の樹脂材(POM)又は該樹脂材よりも成形温度の低い樹脂材を予め着色したものが用いられ、ノーズ14の1次成形後に環状溝44を埋めるように樹脂材を2次成形することで、カラーライン部42が形成されている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
上記構成のビール継手10では、ノーズ14とボディ12を結合する際には、ボディ12のノーズ挿入部12Aにノーズ14の装着部14Aを挿し込む(挿入する)。すると、図9に示される如く、ノーズ14のテーパ部14Cがコレット26から突出された係合突起30を押し、コレット26が矢印A側に移動される。この移動に伴って、コレット26を構成する各脚部26Aの自由端部26Bがカム突起12Gに係合しつつ径方向外側に変位される。
【0040】
これにより、ノーズ14のテーパ部14Cが係合突起30を通過してノーズ挿入部12A内に深く挿入され、図10に示される如くノーズ14に形成された係合溝18が係合突起30の位置に至ると、各脚部26Aの復原によって各係合突起30が係合溝18に入り込む。この際ノーズ14は、係合溝18において係合突起30を係合させたコレット26と共に、反矢印A側に若干移動し、図11に示される如くコレット26のロック解除操作部26Eがノーズ挿入部12Aの開口端から突出される。これにより、ノーズ14をボディ12からの引き抜く方向に引張っても、係合溝18と係合突起30との係合、及び係合段部24Bと抜け止め段部26Dとの係合によって該引き抜きが禁止されるロック状態となる。
【0041】
さらに、カバー32をロック解除位置からロック位置に回動させることで、図2に示される如く、カバー32によってコレット26をロック解除側に押し込むことが該カバー32と解除規制突起34との干渉によって禁止されるロック解除禁止状態に保持される。すなわち、ノーズ14がボディ12に対し適正に装着される。なお、ビール継手10では、カバー32がロック位置に位置する状態から、該カバー32のロック操作を除く上記と同じ手順でボディ12にノーズ14を装着することができる。そして、ビール継手10内をビールが流れると、図3に示される如くビール内圧によるノーズ14引き抜き方向の力が、保持部材24の係合段部24Bとコレット26抜け止め段部26Dとの係合によって支持される。
【0042】
一方、洗浄等のためにボディ12とノーズ14とを分離する際には、図12に示される如くカバー32をロック解除位置まで回動させ、さらに矢印A方向に押し込む。すると、コレット26が矢印A側に変位され、この変位に伴って自由端部26Bのテーパ面26Cがカム突起12Gに案内されて各脚部26Aが径方向外側に変位(変形される)。これにより、脚部26Aに設けられた係合突起30がノーズ14の係合溝18から抜け出し(図10参照)、図13に示される如くノーズ14をボディ12から引き抜くことができる。
【0043】
ここで、ビール継手10では、ノーズ14の装着部14Aにカラーライン部42が設けられている。このため、ボディ12にノーズ14を装着する際に作業者は、カラーライン部42がノーズ挿入部12Aの内側に隠れることを目視にて確認しながら、カラーライン部42がノーズ挿入部12Aの内側に隠れるまでノーズ14をノーズ挿入部12Aに押し込むことで、該ノーズ14をボディ12に適正に装着することができる。例えば、カラーライン部42を有しない構成では、ノーズ14がノーズ挿入部12Aに所定深さまで挿入されない不十分な挿入状態又はノーズ14がノーズ挿入部12Aに対し傾斜して挿入された不良挿入状態であるにも拘らず、作業者が十分な挿入状態であると誤認識することが懸念されるが、カラーライン部42を備えたビール継手10では、このような誤認識の発生を防止又は効果的に抑制することができる。
【0044】
そして、ビール継手10では、カラーライン部42がノーズ14とは別工程で2次成形された構成であるため、該カラーライン部42のノーズ14に対する保持強度が高い。例えばノーズ14の外表面にインク等を直接的に塗布して成るカラーライン部を備えた比較例では、インク塗布後にガスバーナで該インクをノーズ14の表面に焼付ける作業が要求される。この焼付けは、樹脂部品であるノーズ14の寸法精度の維持などのために煩雑でかつ安定して行うことが困難であり、結果、カラーライン部のノーズ14に対する保持強度が不十分となりやすい。このため、比較例に係る構成では、ボディ12に対するノーズ14の繰り返しの着脱(作業者の爪等による擦りを含む)、ノーズ14の洗浄に伴って、カラーライン部が剥離(摩耗や削れ)等によって消失してしまうことが懸念される。
【0045】
これに対してビール継手10では、樹脂材より成るカラーライン部42をノーズ14に設ける構成であるため、カラーライン部42自体の強度、及びカラーライン部42のノーズ14に対する保持強度が高い。そして、ノーズ14の環状溝44に樹脂材を2次成形することで、上記のようにそれ自体及びノーズ14に対する保持強度の高いカラーライン部42を得ることができる。しかも、カラーライン部42は、ノーズ14の全周に亘る連続環状を成すため、仮にノーズ14との界面が固着されていなくても、該ノーズ14から脱落し難い。さらに、カラーライン部42が環状であることで、ノーズ14が作業者に対しどの方向を向いていても該作業者はカラーライン部42を目視することができ、ボディ12とノーズ14と結合作業性が良好である。
【0046】
なお、上記した実施形態では、本発明における表示部としてカラーライン部42を設けたれを示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ノーズ14の表面と該ノーズ14に設けた着色部との境界、ノーズ14の外周面の一部に形成した円形、三角形、矩形等のマーク、ノーズ14の外周面周方向に断続的に設けた破線状のライン等を、本発明における表示部としても良い。
【0047】
また、上記した実施形態では、ビール継手10がビールを流す流路系に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、炭酸飲料等の飲料、その他の流体について本発明に係る継手を適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 ビール継手(継手)
12 ボディ
14 ノーズ
16 ロック機構
42 カラーライン部(表示部)
44 環状溝(溝部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路部が形成された雄型のノーズと雌型のボディとを備えた継手に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールなどの液体を移送するホース間の継手として、流路部が形成された雄型のノーズと雌型のボディとを備えた継手が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1記載の継手では、ノーズがボディに対しロックされるように適正に挿入されるとボディの内側に隠れる表示部が、ノーズの表面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−14166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような表示部をノーズの表面にインク等を塗布して設ける場合、ボディに対するノーズの繰り返しの着脱や洗浄によって表示部が剥離することが懸念される。
【0005】
本発明は、ボディに対しノーズを適正に装着することができる継手を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る継手は、一方側の流路端に接続される樹脂製のノーズと、他方側の流路端に接続されると共に、該他方側の流路端と前記一方側の流路端とが連通されるように前記ノーズが挿入されるボディと、前記ボディに所定深さまで挿入された前記ノーズを該ボディに対する抜け状態にロックするロック構造と、前記ノーズとは別工程で形成され、該ノーズが前記ボディに前記所定深さまで挿入されると該ボディの内側に隠れるように該ノーズの表面で露出された樹脂製の表示部と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の継手では、ノーズをボディに対し所定深さまで適正に挿入すると、ロック構造によってノーズがボディに対しロックされ、該ノーズがボディに対し抜け止め状態で装着される。これにより、一方側の流路端と他方側の流路端とが継手を介して連通される。このボディに対するノーズの装着の際には、表示部がボディに隠れるようにノーズをボディに挿入することで、該ノーズをボディに対し適正に挿入して適正に装着させることができる。
【0008】
ここで、本継手では、表示部がノーズとは別工程で形成された樹脂より成るため、例えば塗装等により形成された表示部と比較して、ボディに対するノーズの着脱や洗浄によって表示部が剥離(削れや摩耗を含む)されにくい。このため、本継手では、長期間に亘って安定してボディに対しノーズを適正に装着させることに寄与する。
【0009】
このように、請求項1記載の継手では、ボディに対しノーズを適正に装着することができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る継手は、請求項1に記載の継手において、前記表示部は、前記ノーズとは異なる色とされている。
【0011】
請求項2記載の継手では、ノーズと表示部とで色が異なるので、該ノーズのボディへの挿入状態の適否を確認しやすい。
【0012】
請求項3記載の発明に係る継手は、請求項1又は請求項2に記載の継手において、前記表示部は、前記ノーズの表面に開口された溝部内に樹脂を2次成形することで形成されている。
【0013】
請求項3記載の継手では、ノーズ表面の溝部内に樹脂を2次成形することで表示部が形成されているので、該表示部は、ボディに対するノーズの着脱や洗浄によって一層剥離されにくい。
【0014】
請求項4記載の発明に係る継手は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の継手において、前記表示部は、前記ノーズ表面における前記ボディへの挿入方向に直交する面に沿って該ノーズ表面の周方向の全周に亘って設けられている。
【0015】
請求項4記載の継手では、表示部がノーズ表面の全周に亘る環状を成しているので、ノーズのボディへの挿入状態の適否を、どの方向からも確認しやすい。特に、ノーズの溝部に樹脂を2次成形して表示部を得る構成(請求項3の構成)では、この表示部は、ボディに対するノーズの着脱や洗浄によってより一層剥離されにくい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る継手は、ボディに対しノーズを適正に装着することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズとボディとの分離状態を示す半断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズとボディとの結合状態を示す半断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るビール継手の流体流通状態を示す半断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズの側面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るビール継手を構成するノーズのカラーライン部が設けられる前の側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るビール継手の背面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るビール継手の節度機構を示す図であって、(A)はカバーがロック位置にあるときの節度突起の付近を示す拡大断面図、(B)はカバーをロック解除位置の方向に少し回動させたとき節度突起付近を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに挿入する過程の初期を示す半断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに挿入する過程の中期を示す半断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに挿入する過程の終期を示す半断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係るビール継手において、継手のカバーをロック解除位置に回動した状態を示す半断面図である。
【図13】本発明の実施形態に係るビール継手において、ノーズをボディに引き抜く過程を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る継手としてのビール継手10について、図1〜図13に基づいて説明する。
【0019】
図1には、ビール継手10の分離状態が半断面図にて示されている。また、図2には、ビール継手10の結合状態が半断面図にて示されており、図3には、ビール継手10の使用状態(液体の流通状態)が半断面図にて示されている。これらの図に示される如く、ビール継手10は、雌型部材であるボディ12と、雄型部材であるノーズ14と、これらボディ12とノーズ14との結合状態を保持するためのロック機構16とを主要部として構成されている。この実施形態に係るビール継手10は、液体としての飲料であるビールを所定の圧力(例えば、約0.4MPa)で流す用途で使用されている。
【0020】
ボディ12は、例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材より成り、全体として軸線(流れ方向)が一直線状を成す筒状に形成されている。このボディ12は、一端側(ビール流れ方向の上流側、以下、「矢印A側」という)に形成されノーズ14が挿入されるノーズ挿入部12Aと、他端側に形成され流路端としてのアダプター(を介して配管)が螺合により接続される配管接続部12Bと、これらノーズ挿入部12Aと配管接続部12Bとを連通する連通流路部12Cとを有する。この実施形態では、連通流路部12Cを構成する筒壁が他の部分に対し内外径共に縮径された括れ部とされている。
【0021】
ノーズ14は、例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材より成り、側面視で略「L」字状の管状(中空)部材とされている。ノーズ14における矢印A側には、ノーズ挿入部12Aに挿入されると共にロック機構16によってロックされる装着部14Aが形成されている。装着部14Aには、ビール流れ(軸線)方向との直行面に沿って外周面に形成され、ロック機構16によってロックされる環状の係合溝18が形成されている。換言すれば、環状の係合溝18がロック機構16の一部を構成しているものと捉えることも可能である。
【0022】
また、ノーズ14は、装着部14Aから矢印A側に突出され、図2及び図3に示す結合状態で連通流路部12C内に至るシール部14Bを有する。シール部14Bにおいて係合溝18と略平行に形成されたシール溝20には、シール部材であるOリング22が装着されている。Oリング22は、連通流路部12Cの内周面であるシール面12Dに圧着されてボディ12とノーズ14との間をシールするようになっている。装着部14A(係合溝18)とシール部14Bとの間には、シール部14B側に向けて縮径されたテーパ部14Cが形成されている。一方、ノーズ14における装着部14A、シール部14Bの内部(流路)と連通された他端部は、流路端としてのホース(図示省略)が接続されるホース接続部14Dとされている。
【0023】
ロック機構16は、ボディ12のノーズ挿入部12A内に抜け止め状態で保持された保持部材24と、保持部材24の内側でボディ12(保持部材24)に対し軸線方向に相対変位可能に支持されたロック部材としてのコレット26とを主要部品として構成されている。保持部材24は、短円筒状を成しており、外周面から周方向に連続的又は断続的に突出された係合突起24Aを、ノーズ挿入部12Aの内周面に形成された係合溝12Eに入り込ませることで、想定される使用状態ではボディ12に対し相対変位しないよう保持されている。
【0024】
この保持部材24と、ボディ12におけるノーズ挿入部12Aと連通流路部12Cとの間の段部12Fとの間の空間は、コレット逃がし溝28とされている。また、保持部材24におけるノーズ14の挿入端側には、係合段部24Bが形成されている。コレット26は、後述するように段部12Fと係合段部24Bとの間で、ボディ12に対し軸線方向に相対変位可能とされている。
【0025】
コレット26は、全体として略円筒状に形成されており、その矢印A側の一部(略半分)には軸線方向に沿って複数のスリット(図示省略)が形成されることで、複数の板ばね状の脚部26Aが形成されている。脚部26Aは、厚み(径)方向に弾性変形可能とされており、該変形によって、その軸線中間部に形成された係合突起30をノーズ14の係合溝18に対し進退させ得る構成とされている。
【0026】
また、各脚部26Aの自由端部26Bには、自由端側及び径方向内側を向くように傾斜されたテーパ面26Cが形成されている。コレット26は、テーパ面26Cを段部12Fから突設されたカム突起12Gに係合させつつ矢印A側に移動されることで、各脚部26Aが径方向の外向きに弾性変形するようになっている。この弾性変形に伴ってコレット26は、その自由端部26Bがコレット逃がし溝28に入り込む構成とされている。ロック機構16では、この自由端部26Bが進退するコレット逃がし溝28によって、ノーズ挿入部12A内に位置する係合突起30が環状の係合溝18に対し進退するストロークが確保される構成とされている。
【0027】
なお、ビール継手10では、図9に示される如く自由端部26Bが段部12Fに係合する位置が、コレット26の矢印A側への移動限とされている。一方、各脚部26Aの径方向外側には、係合段部24Bに係合可能な抜け止め段部26Dが形成されており、図3に示される如く抜け止め段部26Dが係合段部24Bに係合する位置が、コレット26が反矢印A側への移動限とされている。
【0028】
以上説明したロック機構16によるロック動作については、本実施形態の作用と共に後述する。
【0029】
また、図1〜図3に示される如く、コレット26は、係合段部24Bと段部12Fと移動規制された範囲の任意の位置から少なくとも矢印A側への移動限に至るまでのストローク分だけ、ノーズ挿入部12A(保持部材24)の開口端からノーズ14側に張り出されるロック解除操作部26Eを有する。そして、ビール継手10は、ロック機構16によるボディ12に対するノーズ14のロック状態を解除するためのロック解除部材としてのカバー32を備えている。
【0030】
カバー32は、ボディ12をノーズ挿入部12A柄から覆うキャップ状(有底円筒状)に形成されており、その底板部32Aにはノーズ14を貫通させる貫通孔32Bが形成されている。さらに、カバー32の円筒部32Cにおける開口端側には、ノーズ挿入部12Aの外周から突出された解除規制突起34を入り込ませる切欠部36が形成されている。切欠部36は、円筒部32Cの周方向に周方向に長手とされ、解除規制突起34が長手方向の両端36A、36Bに係合する範囲(この実施形態では、略1/4周)内で、カバー32のボディ12に対する相対変位を許容するようになっている。この実施形態では、解除規制突起34、切欠部36が180°離間して各2つ設けられている。
【0031】
ビール継手10では、カバー32における切欠部36の一方の端部36Aに係合する位置がロック位置(図2参照)とされ、カバー32における切欠部36の他方の端部36Bに係合する位置がロック解除位置(図1参照、端部36Bについては図7参照)とされている。具体的には、切欠部36における端部36B側には、他の部分よりも深く形成された突起逃がし部36Cが形成されており、切欠部36は、突起逃がし部36C内に解除規制突起34を入り込ませることで、底板部32Aをノーズ挿入部12Aの開口端に近接させる方向(軸線方向)の相対変位が許容されるようになっている。
【0032】
この変位によってカバー32は、その底板部32Aにおいてロック解除操作部26Eを段部12F側に押し込むようになっている。これにより、ロック機構16(コレット26)によるボディ12に対するノーズ14のロック状態が解除される構成とされている。なお、カバー32は、その内周側に形成された抜け止め突起32Dがノーズ挿入部12Aの外周に形成された係合突起12Hに係合する(図2参照)ことで、ボディ12に対する脱落が防止される構成とされている。また、カバー32によるロック解除動作については、本実施形態の作用と共に後述する。
【0033】
また、この実施形態では、図8(A)及び図8(B)に示される如く、ノーズ挿入部12Aにおける解除規制突起34の近傍、カバー32における切欠部36の端部36Aの近傍からは、節度突起38、40がそれぞれ突出されている。節度突起38、40は、カバー32がロック位置からロック解除位置側に回転操作される際に、互いに乗り越えあうことでロック解除に伴う節度感を付与する構成とされている。なお、この実施形態では、節度突起38、40は、ロック解除の際に乗り越える斜面がロックの際に乗り越える斜面よりも急勾配とされており、ロック解除の際には大きな抵抗(節度感)を感得させるように構成されている。
【0034】
以上説明したビール継手10では、ノーズ14の装着部14A(及びシール部14B)をボディ12のノーズ挿入部12Aに所定深さまで挿入することで、後述する如くロック機構16によってノーズ14のボディ12に対する抜け動作がロックされて、該ノーズ14がボディ12に適正に装着されるようになっている。そして、ビール継手10は、ノーズ14の装着部14Aの表面に設けられた表示部としてのカラーライン部42を備えている。
【0035】
カラーライン部42は、図4に示される如く、ノーズ14(ボディ12)の軸線方向との直交面に沿って装着部14Aの表面に全周に亘るリング状のラインとして形成されている。カラーライン部42は、ノーズ14の外表面の色(白色)とは異なる色(この実施形態では、赤色)に着色されている。このカラーライン部42は、装着部14Aがノーズ挿入部12Aに所定深さまで挿入されると(例えば図10参照)、該ノーズ挿入部12Aの内側に隠れる位置に配置されている。
【0036】
そして、ビール継手10では、カラーライン部42は、樹脂材より成り、ノーズ14とは別工程で成形されることで、該ノーズ14の表面に目視可能に露出されている。具体的には、図5及び図6に示される如く、1次成形品であるノーズ14におけるカラーライン部42の形成部位には、全周に亘る溝部としての環状溝44が形成されており、カラーライン部42は、環状溝44をノーズ14とは異なる色の樹脂材にて埋めることで構成されている。
【0037】
この実施形態では、カラーライン部42を構成する樹脂材として、ノーズ14を構成する樹脂材と同種の樹脂材(POM)又は該樹脂材よりも成形温度の低い樹脂材を予め着色したものが用いられ、ノーズ14の1次成形後に環状溝44を埋めるように樹脂材を2次成形することで、カラーライン部42が形成されている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
上記構成のビール継手10では、ノーズ14とボディ12を結合する際には、ボディ12のノーズ挿入部12Aにノーズ14の装着部14Aを挿し込む(挿入する)。すると、図9に示される如く、ノーズ14のテーパ部14Cがコレット26から突出された係合突起30を押し、コレット26が矢印A側に移動される。この移動に伴って、コレット26を構成する各脚部26Aの自由端部26Bがカム突起12Gに係合しつつ径方向外側に変位される。
【0040】
これにより、ノーズ14のテーパ部14Cが係合突起30を通過してノーズ挿入部12A内に深く挿入され、図10に示される如くノーズ14に形成された係合溝18が係合突起30の位置に至ると、各脚部26Aの復原によって各係合突起30が係合溝18に入り込む。この際ノーズ14は、係合溝18において係合突起30を係合させたコレット26と共に、反矢印A側に若干移動し、図11に示される如くコレット26のロック解除操作部26Eがノーズ挿入部12Aの開口端から突出される。これにより、ノーズ14をボディ12からの引き抜く方向に引張っても、係合溝18と係合突起30との係合、及び係合段部24Bと抜け止め段部26Dとの係合によって該引き抜きが禁止されるロック状態となる。
【0041】
さらに、カバー32をロック解除位置からロック位置に回動させることで、図2に示される如く、カバー32によってコレット26をロック解除側に押し込むことが該カバー32と解除規制突起34との干渉によって禁止されるロック解除禁止状態に保持される。すなわち、ノーズ14がボディ12に対し適正に装着される。なお、ビール継手10では、カバー32がロック位置に位置する状態から、該カバー32のロック操作を除く上記と同じ手順でボディ12にノーズ14を装着することができる。そして、ビール継手10内をビールが流れると、図3に示される如くビール内圧によるノーズ14引き抜き方向の力が、保持部材24の係合段部24Bとコレット26抜け止め段部26Dとの係合によって支持される。
【0042】
一方、洗浄等のためにボディ12とノーズ14とを分離する際には、図12に示される如くカバー32をロック解除位置まで回動させ、さらに矢印A方向に押し込む。すると、コレット26が矢印A側に変位され、この変位に伴って自由端部26Bのテーパ面26Cがカム突起12Gに案内されて各脚部26Aが径方向外側に変位(変形される)。これにより、脚部26Aに設けられた係合突起30がノーズ14の係合溝18から抜け出し(図10参照)、図13に示される如くノーズ14をボディ12から引き抜くことができる。
【0043】
ここで、ビール継手10では、ノーズ14の装着部14Aにカラーライン部42が設けられている。このため、ボディ12にノーズ14を装着する際に作業者は、カラーライン部42がノーズ挿入部12Aの内側に隠れることを目視にて確認しながら、カラーライン部42がノーズ挿入部12Aの内側に隠れるまでノーズ14をノーズ挿入部12Aに押し込むことで、該ノーズ14をボディ12に適正に装着することができる。例えば、カラーライン部42を有しない構成では、ノーズ14がノーズ挿入部12Aに所定深さまで挿入されない不十分な挿入状態又はノーズ14がノーズ挿入部12Aに対し傾斜して挿入された不良挿入状態であるにも拘らず、作業者が十分な挿入状態であると誤認識することが懸念されるが、カラーライン部42を備えたビール継手10では、このような誤認識の発生を防止又は効果的に抑制することができる。
【0044】
そして、ビール継手10では、カラーライン部42がノーズ14とは別工程で2次成形された構成であるため、該カラーライン部42のノーズ14に対する保持強度が高い。例えばノーズ14の外表面にインク等を直接的に塗布して成るカラーライン部を備えた比較例では、インク塗布後にガスバーナで該インクをノーズ14の表面に焼付ける作業が要求される。この焼付けは、樹脂部品であるノーズ14の寸法精度の維持などのために煩雑でかつ安定して行うことが困難であり、結果、カラーライン部のノーズ14に対する保持強度が不十分となりやすい。このため、比較例に係る構成では、ボディ12に対するノーズ14の繰り返しの着脱(作業者の爪等による擦りを含む)、ノーズ14の洗浄に伴って、カラーライン部が剥離(摩耗や削れ)等によって消失してしまうことが懸念される。
【0045】
これに対してビール継手10では、樹脂材より成るカラーライン部42をノーズ14に設ける構成であるため、カラーライン部42自体の強度、及びカラーライン部42のノーズ14に対する保持強度が高い。そして、ノーズ14の環状溝44に樹脂材を2次成形することで、上記のようにそれ自体及びノーズ14に対する保持強度の高いカラーライン部42を得ることができる。しかも、カラーライン部42は、ノーズ14の全周に亘る連続環状を成すため、仮にノーズ14との界面が固着されていなくても、該ノーズ14から脱落し難い。さらに、カラーライン部42が環状であることで、ノーズ14が作業者に対しどの方向を向いていても該作業者はカラーライン部42を目視することができ、ボディ12とノーズ14と結合作業性が良好である。
【0046】
なお、上記した実施形態では、本発明における表示部としてカラーライン部42を設けたれを示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ノーズ14の表面と該ノーズ14に設けた着色部との境界、ノーズ14の外周面の一部に形成した円形、三角形、矩形等のマーク、ノーズ14の外周面周方向に断続的に設けた破線状のライン等を、本発明における表示部としても良い。
【0047】
また、上記した実施形態では、ビール継手10がビールを流す流路系に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、炭酸飲料等の飲料、その他の流体について本発明に係る継手を適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 ビール継手(継手)
12 ボディ
14 ノーズ
16 ロック機構
42 カラーライン部(表示部)
44 環状溝(溝部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の流路端に接続される樹脂製のノーズと、
他方側の流路端に接続されると共に、該他方側の流路端と前記一方側の流路端とが連通されるように前記ノーズが挿入されるボディと、
前記ボディに所定深さまで挿入された前記ノーズを該ボディに対する抜け状態にロックするロック構造と、
前記ノーズとは別工程で形成され、該ノーズが前記ボディに前記所定深さまで挿入されると該ボディの内側に隠れるように該ノーズの表面で露出された樹脂製の表示部と、
を備えた継手。
【請求項2】
前記表示部は、前記ノーズとは異なる色とされている請求項1記載の継手。
【請求項3】
前記表示部は、前記ノーズの表面に開口された溝部内に樹脂を2次成形することで形成されている請求項請求項1又は請求項2記載の継手。
【請求項4】
前記表示部は、前記ノーズ表面における前記ボディへの挿入方向に直交する面に沿って該ノーズ表面の周方向の全周に亘って設けられている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の継手。
【請求項1】
一方側の流路端に接続される樹脂製のノーズと、
他方側の流路端に接続されると共に、該他方側の流路端と前記一方側の流路端とが連通されるように前記ノーズが挿入されるボディと、
前記ボディに所定深さまで挿入された前記ノーズを該ボディに対する抜け状態にロックするロック構造と、
前記ノーズとは別工程で形成され、該ノーズが前記ボディに前記所定深さまで挿入されると該ボディの内側に隠れるように該ノーズの表面で露出された樹脂製の表示部と、
を備えた継手。
【請求項2】
前記表示部は、前記ノーズとは異なる色とされている請求項1記載の継手。
【請求項3】
前記表示部は、前記ノーズの表面に開口された溝部内に樹脂を2次成形することで形成されている請求項請求項1又は請求項2記載の継手。
【請求項4】
前記表示部は、前記ノーズ表面における前記ボディへの挿入方向に直交する面に沿って該ノーズ表面の周方向の全周に亘って設けられている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−230134(P2010−230134A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80502(P2009−80502)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]