説明

緑色感光性樹脂組成物、感光性転写材料、カラーフィルタ基板及び表示装置

【課題】直線性に優れたパターンを形成できる緑色感光性樹脂組成物、それを用いた感光性転写材料、良好な色度と高い色純度とを有するカラーフィルタ基板、及び該カラーフィルタ基板を備えた表示装置の提供。
【解決手段】顔料と、顔料分散剤と、バインダーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を少なくとも含有し、前記顔料の少なくとも一種が下記一般式で表される化合物であり、前記顔料分散剤の少なくとも一種がアミノ基を含有する化合物であることを特徴とする緑色感光性樹脂組成物及びそれを用いて作製した感光性転写材料並びにそれらを用いたカラーフィルタ基板及びこの基板を備えた表示装置
【化1】



(式中、Mは所定の金属原子を表す。X〜X16のうちの任意の8〜16箇所は所定のハロゲン原子で表され残りは水素原子で表される。Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は酸素原子を表し、mは0〜2の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートパソコン、テレビモニター等の大画面の液晶表示装置等においても好適に用いられるカラーフィルタ基板、該カラーフィルタ基板に用いられる緑色感光性樹脂組成物及び感光性転写材料、並びに該カラーフィルタ基板を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、液晶ディスプレイ(以下、「液晶表示装置」ともいう。)に不可欠な構成部品である。この液晶ディスプレイは非常にコンパクトであり、性能面でもこれまでのCRTディスプレイと同等以上であり、CRTディスプレイから置き換わりつつある。
【0003】
液晶ディスプレイのカラー画像の形成は、カラーフィルタを通過した光がそのままカラーフィルタを構成する各画素の色に着色されて、それらの色の光が合成されてカラー画像を形成する。そして、現在はRGBの三色の画素でカラー画像を形成している。
【0004】
近年では、液晶ディスプレイの大画面化及び高精細化の技術開発が進み、その用途はノートパソコン用ディスプレイからデスクトップパソコン用モニター、更にはテレビモニターにまで拡大されてきている。このような背景の下で、液晶ディスプレイに使用するカラーフィルタにも高色純度化が求められる様になってきている。
【0005】
カラーフィルタの作製において、緑(G)画素用のG顔料としてPG−36(ハロゲン化銅フタロシアニン)を用いる場合には、感光性樹脂組成物中の顔料濃度を高くする必要があり、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を基板上に形成後、露光・現像して画素を形成する際に、現像時のラチチュードが狭く、現像後の画素形状が逆テーパーになることがあった。
【0006】
ハロゲン化銅フタロシアニン以外のG顔料(銅以外の中心金属を有するフタロシアニン)を用いて、明度が高く、高透過率、高色純度のカラーフィルタが得られることが提示されているが(例えば、特許文献1乃至4参照。)、銅以外の中心金属を有するフタロシアニンは分散時、及び経時での安定性が悪いために、分散時に多量のバインダーを必要とし、樹脂組成物の現像ラチチュードが狭く、表示装置にムラが生じることがあった。
なお、銅以外の中心金属を有するフタロシアニンの一種であるハロゲン化亜鉛フタロシアニンについては、非特許文献1に詳しい。
【特許文献1】特開2002−250812号公報
【特許文献2】特開2003−161828号公報
【特許文献3】特開2003−161821号公報
【特許文献4】特開2004−285281号公報
【非特許文献1】DIC Technical Review,10,46(2004)(大日本インキ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、直線性に優れたパターンを形成できる緑色感光性樹脂組成物、それを用いて作製した感光性転写材料、良好な色度と高い色純度とを有するカラーフィルタ基板、及び該カラーフィルタ基板を備えた表示装置を提供することを目的とし、該目的の達成を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
<1> 顔料と、顔料分散剤と、バインダーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を少なくとも含有する緑色感光性樹脂組成物であって、前記顔料の少なくとも一種が下記一般式で表されるハロゲン化金属フタロシアニンであり、前記顔料分散剤の少なくとも一種がアミノ基を含有する顔料分散剤であることを特徴とする緑色感光性樹脂組成物である。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn又はPbを表す。X〜X16のうちの任意の8〜16箇所はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で表され残りは水素原子で表される。X〜X16のうちのフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で表される箇所は、全て同一の原子であってもよいし異なった原子であってもよい。Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は酸素原子を表し、mは0〜2の整数を表す。)
【0011】
<2> 前記アミノ基を含有する顔料分散剤が、下記式1又は式2で表されることを特徴とする<1>に記載の緑色感光性樹脂組成物である。
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Aは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基、又は色素残基を表し、X、X及びXはそれぞれ独立して、単結合、−NR10−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SONH−を表す。また、R10は水素原子又はアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ独立してエ−テル結合を有していてもよいアルキレン基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基を表し、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して窒素原子を含む5乃至6員の飽和環を形成していてもよく、この飽和環はさらに酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される原子を含んでいてもよい。)
【0014】
<3> 黄色顔料をさらに含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の緑色感光性樹脂組成物である。
【0015】
<4> 前記黄色顔料がキノフタロン系顔料及び金属アゾ錯体顔料から選択される少なくとも一種であることを特徴とする<3>に記載の緑色感光性樹脂組成物である。
【0016】
<5> 仮支持体と、前記仮支持体上に設けられた<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の緑色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層と、を少なくとも備えることを特徴とする感光性転写材料である。
【0017】
<6> 前記仮支持体と前記感光性樹脂層との間に、前記仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層と中間層とを更に備えることを特徴とする<5>に記載の感光性転写材料である。
【0018】
<7> <1>乃至<4>のいずれか1つに記載の緑色感光性樹脂組成物を用いて形成された画素を基板上に少なくとも備えることを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0019】
<8> <5>又は<6>に記載の感光性転写材料を用いて形成された画素を基板上に少なくとも備えることを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0020】
<9> <7>又は<8>に記載のカラーフィルタ基板を少なくとも備えることを特徴とする表示装置である。
【0021】
<10> LEDバックライトを備えたことを特徴とする<9>に記載の表示装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直線性に優れたパターンを形成できる緑色感光性樹脂組成物、それを用いて作製した感光性転写材料、良好な色度と高い色純度とを有するカラーフィルタ基板、及び該カラーフィルタ基板を備えた表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の緑色感光性樹脂組成物、感光性転写材料、カラーフィルタ基板及び表示装置について詳細に説明する。まず、本発明の緑色感光性樹脂組成物について説明し、その後、樹脂転写材料、カラーフィルタ基板及び表示装置について順次説明する。
【0024】
<緑色感光性樹脂組成物>
本発明の緑色感光性樹脂組成物は、(A)顔料と、(B)顔料分散剤と、(C)バインダーと、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤と、を少なくとも含有し、前記顔料の少なくとも一種が下記一般式で表されるハロゲン化金属フタロシアニンであり、前記顔料分散剤の少なくとも一種がアミノ基を含有する顔料分散剤であることを特徴とするものである。
【0025】
【化3】

【0026】
式中、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn又はPbを表す。X〜X16のうちの任意の8〜16箇所はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で表され残りは水素原子で表される。X〜X16のうちのフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で表される箇所は、全て同一の原子であってもよいし異なった原子であってもよい。Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は酸素原子を表し、mは0〜2の整数を表す。
【0027】
本発明に係るハロゲン化金属フタロシアニン(その中でも特にハロゲン化亜鉛フタロシアニン)は、従来のハロゲン化銅フタロシアニンと比較して着色力が高い。そのため、緑色感光性樹脂組成物中の顔料濃度を減らすことができる。
また、本発明に係るアミノ基を含有する顔料分散剤は、分散性能が高く、少量で効果を発揮する。
つまり、本発明に係るハロゲン化金属フタロシアニンと本発明に係るアミノ基を含有する顔料分散剤とを併用することで、緑色感光性樹脂組成物中の固形分に占める顔料及び顔料分散剤の量を減らすことができ、それにより塗布液の設計の自由度が増す。さらに、顔料濃度が低くなると、画像のキレ(パターンの直線性)及びカバーフィルムの密着性が改善される。
【0028】
まず、上記(A)〜(E)の必須成分について説明する。
【0029】
−(A)顔料−
本発明に係る顔料の少なくとも一種は、上記一般式で表されるハロゲン化金属フタロシアニンである。
本発明に用いるフタロシアニンは、中心金属(式中のM)として、Al、Si、Sc、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn、またはPbを有する。これらの金属の中でも、ZnまたはNiを有するフタロシアニンを使用した本発明の緑色感光性樹脂組成物の硬化塗膜は、色純度、色濃度、および透明性に優れている。
【0030】
上記一般式で表されるハロゲン化金属フタロシアニンは、芳香環に置換されたハロゲン原子として、8〜16個のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を有する(残りは水素原子である)。置換されたハロゲン原子は全て同一でもよく、異なっていてもよいが、臭素原子を8個以上、かつ塩素を1個以上有することが好ましい。中でも臭素原子を12個以上、かつ塩素原子を2個以上有するものは、透明性の高い緑色を有し、カラーフィルタ用の緑色着色剤に適している。中でも着色力の点で、中心金属MとしてZnが特に好ましい。
【0031】
本発明に用いるフタロシアニンは、公知の製造方法、例えば特開2003−161828記載の方法により製造することができる。
【0032】
また、色純度の高いカラーフィルタを作製するために、本発明の緑色感光性樹脂組成物は黄色顔料をさらに含有することが好ましい。該黄色顔料としては、アゾ顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、金属アゾ錯体顔料などが好ましく、これらの黄色顔料は、単独で用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。これらの中でもキノフタロン系顔料及び金属アゾ錯体顔料から選択される少なくとも一種が好ましく、具体的には、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられ、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150が特に好ましい。
【0033】
本発明の緑色感光性樹脂組成物は更にその他の顔料を併用してもよく、該顔料の具体例として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
【0034】
本発明において、緑色感光性樹脂組成物の全固形分に対する顔料の含有量は30〜60質量%の範囲内であることが好ましく、33〜60質量%の範囲内であることが更に好ましく、35〜50質量%の範囲内であることが特に好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であることにより、良好な色度と高い色純度とを有するグリーン(G)の画素を作製することができる。
【0035】
上記顔料はまず分散液とすることが望ましい。この分散液は、前記顔料と後述する顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する溶剤(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。さらに該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
本発明で用いる顔料は、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。顔料数平均粒径が前記好ましい範囲内であると、粒子表面エネルギーが大きくなり凝集することもなく、顔料分散ができ、分散状態を安定に保つことができる。また、顔料による偏光の解消が生じることもなく、高コントラストが実現できる。なお、本明細書でいう「粒径」とは、電子顕微鏡写真画像を同面積の円としたときの直径を言い、「数平均粒径」とは多数の粒子について該粒径を求め、この100個平均値を言う。
着色画素のコントラストは、分散されている顔料の粒径を小さくすることで達成することができる。粒径を小さくするには顔料分散物の分散時間を調整することで達成できる。分散には、上記記載の公知の分散機を用いることができる。分散時間は、10〜35時間であり、好ましくは10〜30時間であり、更に好ましくは18〜30時間、最も好ましくは24〜30時間である。
【0036】
−(B)顔料分散剤−
本発明の緑色感光性樹脂組成物は、顔料分散剤の少なくとも一種としてアミノ基を含有する顔料分散剤を含有する。前記アミノ基を含有する顔料分散剤としては、下記式1又は式2で表される化合物が好ましい。
【0037】
【化4】

【0038】
式中、Aは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基、又は色素残基を表し、X、X及びXはそれぞれ独立して、単結合、−NR10−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SONH−を表す。また、R10は水素原子又はアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ独立してエ−テル結合を有していてもよいアルキレン基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基を表し、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して窒素原子を含む5乃至6員の飽和環を形成していてもよく、この飽和環はさらに酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される原子を含んでいてもよい。
【0039】
式中、Aは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基、又は色素残基を表す。前記アルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数が1〜20のアルキル基が好ましい。また前記置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキロイルオキシ基、等が好ましく挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、オクタデシル基、2−(2’−メトキシエトキシ)エトキシ基、等が挙げられる。
また、前記アラルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数が7〜15のアラルキル基が好ましい。前記置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキロイルオキシ基、等が好ましく挙げられる。具体的には、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
また、前記色素残基は、色素を構成する分子から水素原子を1個取り除いた残りの部分からなる基をいい、例えば下記式(A1)で表される色素残基等が挙げられる。
【0040】
【化5】

【0041】
式(A1)中、#はフェニル基から水素原子が1個取り除かれていることを表す。
【0042】
中でもAとしては、総炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基又は色素残基であることが好ましく、色素残基であることがより好ましく、アゾ色素残基であることが特に好ましい。
【0043】
、X及びXはそれぞれ独立して、単結合、−NR10−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−又は−SONH−を表し、R10は水素原子又はアルキル基を表す。R10で表されるアルキル基としては、総炭素数が1〜8のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、n−ブチル基等を挙げることができる。中でも、X、X及びXとして、−NR10−、−O−又は−CONH−であることが好ましく、−NH−又は−CONH−であることがより好ましい。
【0044】
また、R及びRはそれぞれ独立してエ−テル結合を有していてもよいアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、プロピレン基、エチレンオキシエチレン基等が好適に挙げられる。中でも、総炭素数が1〜10のエ−テル結合を有していてもよいアルキレン基が好ましく、総炭素数が1〜6のアルキレン基よりが好ましい。
【0045】
〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基を表す。また、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して窒素原子を含む5乃至6員の飽和環を形成していてもよく、この飽和環はさらに酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される原子を含んでいてもよい。前記アルキル基及びアラルキル基は無置換でも置換基を有していてもよい。前記アルキル基としては総炭素数が1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−オクチル基等が好ましく挙げられる。また、前記アラルキル基としては、総炭素数が7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基等が好ましく挙げられる。前記置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキロイルオキシ基、等が好ましく挙げられる。
中でも、R〜Rは、総炭素数が1〜6のアルキル基であることが好ましく、RとR、RとRがそれぞれ互いに結合して窒素原子を含む5乃至6員の飽和環(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等)を形成することもまた好ましく、総炭素数が1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)であることがより好ましい。
【0046】
上記のうち、式1で表される化合物としては、Aがアゾ色素残基であって、X、X及びXが−CONH−であって、R及びRが総炭素数1〜4のアルキレン基であって、R〜Rが総炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
また、式2で表される化合物としては、Aがアゾ色素残基であって、X、X及びXが−NH−であって、R及びRが総炭素数1〜4のアルキレン基であって、R〜Rが総炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
本発明において好ましく用いられる上記式1〜2で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0047】
【化6】

【0048】
本発明の緑色感光性樹脂組成物における顔料分散剤の含有量としては、顔料に対して、前記式1又は式2で表される化合物の含有量が5質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましい。
顔料分散剤の含有量が前記範囲内であることにより、直線性に優れたパターンを形成することができる。
【0049】
−(C)バインダー−
本発明の緑色感光性樹脂組成物に用いるバインダーとしては、アルカリ可溶性バインダーが好ましい。これにより、前記緑色感光性樹脂組成物によって形成される感光性樹脂層をアルカリ水溶液で現像可能に構成することができる。
【0050】
本発明におけるアルカリ可溶性バインダー(以下、単に「バインダー」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、緑色感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0051】
−(D)光重合性化合物−
本発明の緑色感光性樹脂組成物に用いる光重合性化合物としては、例えば、分子中に重合性基を2つ以上有するモノマーやオリゴマーが好適な例として挙げられる。
本発明におけるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも2つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
【0052】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0053】
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を組合せて用いてもよく、緑色感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
【0054】
−(E)光重合開始剤−
本発明の緑色感光性樹脂組成物に用いる光重合開始剤としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
【0055】
これらの光重合開始剤は、単独でも、2種類以上を組合せて用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラをより少なくできる。
緑色感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0056】
−(F)その他−
本発明の緑色感光性樹脂組成物は、上記成分に加えて、溶剤、界面活性剤、熱重合防止剤及び紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有することができる。
本発明における界面活性剤、熱重合防止剤及び紫外線吸収剤などの添加剤としては、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0021]に記載の着色感光性樹脂組成物を構成する成分を本発明においても好適に用いることができる。
【0057】
−溶剤−
本発明の緑色感光性樹脂組成物においては、溶剤としてエーテル類、ケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類等を好適に用いることができる。具体的には、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノール、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
これらの溶剤は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
緑色感光性樹脂組成物における溶剤の含有量としては、分散性の観点から、10質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
【0058】
<感光性転写材料>
本発明の感光性転写材料は、仮支持体と、前記仮支持体上に設けられた本発明の緑色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層と、を少なくとも備えることを特徴とする。本発明の感光性転写材料は、前記仮支持体と前記感光性樹脂層との間に、前記仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層と中間層とを更に備えていてもよい。
【0059】
本発明の感光性転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている感光性転写材料、すなわち一体型となったフイルム状に形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層(酸素遮断層)/感光性樹脂層/保護フイルムを、この順に積層した構成が挙げられる。
尚、本発明の感光性転写材料は、前述の本発明の緑色感光性樹脂組成物を用いることによって感光性樹脂層が設けられていることが必須である。
【0060】
該感光性転写材料を構成する仮支持体、酸素遮断層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性転写材料の作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法を好適に挙げることができる。
尚、本発明の感光性転写材料において、感光性樹脂層の膜厚としては、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、仮支持体は15〜100μm、熱可塑性樹脂層は2〜30μm、中間層は0.5〜3.0μm、保護フイルムは4〜40μmが、一般的に好ましい。
【0061】
尚、上記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、以下に説明する、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
【0062】
(スリット状ノズル)
上記感光性樹脂層は、本発明の緑色感光性樹脂組成物を公知の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコータが好適に用いられる。
【0063】
<カラーフィルタ基板>
本発明のカラーフィルタ基板は、本発明の緑色感光性樹脂組成物又は本発明の感光性転写材料を用いて形成された画素を基板(支持体)上に少なくとも備えることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタは、前記緑色感光性樹脂組成物又は前記感光性転写材料を用いて公知の方法により製造される。つまり、緑色感光性樹脂層の形成、露光、現像により緑色画素が形成される。その他の着色画素(例えば赤および青)は、例えば特開2006−20848号公報などに記載の公知の着色感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成し、露光、現像を適宜繰り返すことにより形成される。
以下にカラーフィルタ基板の製造方法の詳細を述べる。
【0064】
[緑色感光性樹脂組成物層形成工程]
本発明に係る緑色感光性樹脂組成物層形成工程は、支持体上に本発明の緑色感光性樹脂組成物を含む層(以下、単に「感光性樹脂層」とも言う。)を形成する工程である。
支持体上に感光性樹脂層を形成する方法としては、(a)本発明の緑色感光性樹脂組成物を含む溶液を公知の塗布法により塗布する方法、及び(b)感光性転写材料を用いた転写法によりラミネートする方法が好適に挙げられる。以下、各々について述べる。
【0065】
(a)塗布法
緑色感光性樹脂組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、又は米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、既に説明したスリットノズル又はスリットコータによる方法が好適である。
【0066】
(b)転写法
転写による場合、感光性転写材料を用いて、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層(緑色感光性樹脂組成物層)を支持体面に加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により緑色感光性樹脂組成物層を支持体上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いることが好ましい。
【0067】
(a)塗布法、(b)転写法共に緑色感光性樹脂組成物層を形成する場合、その層厚は0.5〜5.0μmが好ましい。層厚が前記範囲であると、製造時における塗布形成の際のピンホールの発生が防止され、未露光部の現像除去を短時間で行なうことができる。
【0068】
(支持体)
緑色感光性樹脂組成物層を形成する支持体としては、例えば、透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。支持体の厚みとしては、700〜1200μmが一般に好ましい。
【0069】
[露光、現像工程、その他の工程]
緑色感光性樹脂組成物層形成後、露光、現像、及びその他の工程によりパターン状の緑色画素を形成することができる。該工程の例として、特開2006−23696号公報の段落番号[0035]〜[0051]に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
青色画素、赤色画素等のその他の画素も、上述した緑色画素の場合と同様の工程を経て形成することができる。
【0070】
<表示装置>
本発明の表示装置としては既述の本発明のカラーフィルタ基板を備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などが挙げられる。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
【0071】
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
【0072】
液晶表示装置はカラーフィルタ以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角補償フィルムなどさまざまな部材から構成される。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行 )」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
中でも本発明では、バックライトとして520〜540nmの間にピーク波長を有する発光デバイスを用いることが好ましい。
該発光デバイスとしては、より具体的には、発光ダイオードを用いることが好ましい。この発光ダイオードを用いたバックライトは、特開2004−78102号公報の[0017]〜[0036]に詳細に記述されている。
即ち、赤色(R)LED、緑色(G)LED、および青色(B)LEDを含み、該赤色(R)LEDのピーク波長が610nm以上であり、該緑色(G)LEDのピーク波長が530±10nmの範囲内であり、該青色(B)LEDのピーク波長が480nm以下であるバックライトが好適に用いられる。特に、該緑色(G)LEDのピーク波長が、520〜540nmの範囲であることにより、本発明の液晶表示装置の緑色の再現領域を広くすることが可能となる。本発明においては、該緑色(G)LEDのピーク波長は、520〜540nmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは525〜535nmの範囲内である。これにより色再現域のNTSC比を従来の冷陰極管使用時に比べ高める事ができる。
【0073】
前記ピーク波長が上記範囲内の緑色(G)LEDの種類としては、例えば、DG1112H(スタンレー電気(株)製)、UG1112H(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3G(豊田合成(株)製)、E1L49−3G(豊田合成(株)製)、NSPG500S(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0074】
本発明のバックライトの光源としては、赤色(R)LEDも好適に用いられる。この場合、特に限定されるものではないが、該赤色(R)LEDのピーク波長が610nm以上が好ましく、より好ましくは615nm〜640nmの範囲である。これにより本発明の液晶表示装置で赤色のNTSC規格の色度点を再現することができる。
該赤色(R)LEDの具体例としては、例えばFR1112H(スタンレー電気(株)製)、FR5366X(スタンレー電気(株)製)、NSTM515AS(R)(日亜化学工業(株)製)、GL3ZR2D1COS(シャープ(株)製)、GM1JJ35200AE(シャープ(株)製)等が挙げられる。
【0075】
本発明のバックライトの光源としては、青色(B)LEDも好適に用いられる。この場合、ピーク波長が480nm以下のLEDであれば、特に限定されるものではない。該青色(R)LEDのピーク波長は、好ましくは480nm以下、より好ましくは465nm〜475nmの範囲内である。これにより本発明の液晶表示装置で青色のNTSC規格の色度点を再現することができる。
該青色(B)LEDの具体例としては、DB1112H(スタンレー電気(株)製)、DB5306X(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3B(豊田合成(株)製)、E1L4E−SB1A(豊田合成(株)製)、NSPB630S(日亜化学工業(株)製)、NSPB310A(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0076】
本発明におけるピーク波長は、大塚電子製分光測光装置MCPD−2000を用いたスペクトル測定値から求めたものである。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」及び「分子量」は、「質量部」、「質量%」及び「重量平均分子量」を表す。
【0078】
(実施例1)
[カラーフィルタ基板の作製(スリット状ノズルを用いた塗布による作製)]
−グリーン(G)画素の形成−
無アルカリガラス基板(300mm×400mm)を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(平田機工(株)製)にて、下記表1に記載の組成よりなる緑色感光性樹脂組成物1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層G1を得た。
【0079】
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層G1の間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cmでパターン露光した。
【0080】
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層G1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ)を100倍に希釈した液にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、更に超純水をシャワーノズルで両面から吹き付けて、付着している現像液や前記感光性樹脂層溶解物を除去し、エアーナイフにて液切りを行い、幅100μmのストライプ状のグリーン(G)画素を得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
【0081】
[実施例2〜6、比較例1、2]
実施例1において、用いた緑色感光性樹脂組成物1を下記表1に記載の緑色感光性樹脂組成物2〜8に変更した以外は、実施例1と同様の方法でグリーン(G)画素を形成した。
【0082】
【表1】

【0083】
各緑色感光性樹脂組成物は、まず表1に記載の量のG分散液、Y分散液、MMPG-Ac(ダイセル化学(株)製)をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150RPM30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30RPM5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
【0084】
バインダー3の組成は、以下であった。
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27部
・MMPG-Ac 73部
【0085】
また、DPHA液の組成は、下記であった。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76部
・MMPG-Ac 24部
【0086】
界面活性剤1の組成は、下記であった。
・下記構造物1 30部
・メチルエチルケトン 70部
【0087】
【化7】

【0088】
各緑色感光性樹脂組成物に用いられる顔料分散液の組成は以下の通りである。
【0089】
【表2】

【0090】
ここで、顔料Aは上記一般式におけるMがZnであり、mが0であり、X〜X16のうちの任意の8箇所が臭素原子(残りの8箇所が水素原子)である化合物である。
【0091】
顔料Bは上記一般式におけるMがZnであり、mが0であり、X〜X16のうちの任意の8箇所が臭素原子であり、任意の4箇所が塩素原子(残りの4箇所が水素原子)である化合物である。
【0092】
顔料C:PY−138
Paliotol Yellow D0960(BASF社)
顔料D:PY−150
Yellow Pigment E4GN(BAYER社)
顔料E:Cu−PC−Hal
Heliogen Green L8730(BASF社)
【0093】
分散剤Aは下記化合物1で示される。
【0094】
【化8】

【0095】
分散剤Bは下記化合物で示される。下記化合物は特公平5−72943号公報の顔料分散剤cの作成方法に準じて作製できる。
【0096】
【化9】

【0097】
バインダー1:FF−187
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万 27部
MMPG-Ac:ダイセル化学(株)製プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0098】
尚、表2に記載の各顔料分散液は、表2に記載の組成物を、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン(株)製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで14時間分散することにより調製した。
【0099】
実施例1〜6、比較例1、2で作製したグリーン(G)画素について、以下の評価を行った。
<パターン直線性の評価>
ライン幅100μmのラインの任意の10箇所について、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス(株)製;対物レンズ50倍)を用いて観察し、視野内のエッジ位置のうち、最も膨らんだ箇所(山頂部)と、最もくびれた箇所(谷底部)との差を絶対値として求め、観察した10箇所の平均値を算出した。得られた結果を表3に示す。この場合のパターン直線性としては、値が小さい程、良好な性能を示すため好ましい。
【0100】
【表3】

【0101】
[実施例7]:カラーフィルタ基板の作製
実施例1において、緑色感光性樹脂組成物1を下記の感光性樹脂組成物K1、R1、B1に変更し、画素を黒→赤→緑→青の順に形成した以外は、実施例1のグリーン(G)画素と同様の方法で、線幅20μmのブラックマトリクス、該ブラックマトリクスの開口部にレッド(R)画素、グリーン(G)画素、ブルー(B)画素を形成し、3色のカラーフィルタ基板1を作製した。
【0102】
【表4】

【0103】
ここで、上記表4に記載の感光性樹脂組成物K1、R1、B1の調製について説明する。
感光性樹脂組成物K1は、まず表4に記載の量のK顔料分散物1、MMPG-Acをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表4に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌することによって得られた。
【0104】
尚、表4に記載の組成物の内、
K顔料分散物1の組成は、下記であった。
・カーボンブラック 13.1部
(商品名:Nipex35、デグサ ジャパン(株)製)
・分散剤A 0.65部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万)6.72部
・MMPG-Ac 79.53部
【0105】
尚、K顔料分散物1は、上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン(株)製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで14時間分散することにより調製した。
【0106】
バインダー2の組成は、下記であった。
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27部
・MMPG-Ac 73部
【0107】
感光性樹脂組成物R1は、まず表4に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、MMPG-Acをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表4に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150RPM30分間攪拌し、更に、表4に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30RPM5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0108】
尚、表4に記載の組成物の内、R顔料分散物1及びR顔料分散物2は、下記組成物を、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン(株)製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで14時間分散することにより調製した。
【0109】
尚、表4に記載の組成物の内、R顔料分散物1の組成は以下の通りである。
・C.I.P.R.254(商品名:Irgaphor Red B−CF、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・・・ 8部
・分散剤A ・・・ 0.8部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)・・・ 8部
・MMPG-Ac ・・・83.2部
【0110】
また、R顔料分散物2の組成は以下の通りである。
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・・・ 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)・・・ 12部
・MMPG-Ac ・・・ 70部
【0111】
感光性樹脂組成物B1は、まず表4に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、MMPG-Acをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表4に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌し、更に、表4に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30RPM5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
【0112】
尚、表4に記載の組成物の内、B顔料分散物1は、御国色素(株)製の「商品名:CFブルーEX3357」を用い、B顔料分散物2は、御国色素(株)製の「商品名:CFブルーEX3383」を用いた。
【0113】
[比較例3]
実施例7において、緑色感光性樹脂組成物1を緑色感光性樹脂組成物7に変更した以外は、実施例7と同様の方法でカラーフィルタ基板2を作製した。
【0114】
[実施例8]:転写法によるカラーフィルタ基板の作製
[カラーフィルタ基板の作製(感光性転写材料のラミネートによる作製)]
−感光性転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性転写材料を作製し、サンプル名を感光性転写材料K1とした。
【0115】
熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1
・メタノール 11.1部
・MMPG-Ac 0.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=55/11.7/4.5/28.8、分子量=9万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリレートを
2当量脱水縮合した化合物(新中村化学工業(株)製、商品名:2,2−
ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン) 9.1部
・前記界面活性剤1 0.54部
【0116】
中間層用塗布液:処方P1
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
【0117】
次に、前記感光性転写材料K1の作製において用いた前記感光性樹脂組成物K1の代わりに、上記表1及び4に記載の組成よりなる緑色感光性樹脂組成物1、感光性樹脂組成物R1及びB1を用いた以外は上記と同様の方法により、感光性転写材料R1、G1及びB1を作製した。
【0118】
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板に、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱して次のラミネーターに送った。
前記感光性転写材料K1の保護フイルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、100℃に加熱した前記基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該熱可塑性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cmでパターン露光した。
【0119】
次に、トリエタノールアミン系現像液(商品名:T−PD2、富士写真フイルム(株)製を、純水で12倍(T−PD2を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液)を30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。引き続き、この基板上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製を純水で5倍に希釈した液)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名:T−SD1 富士写真フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈したものを用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーで吹きかけ、更にナイロン毛を有す回転ブラシにより形成された画像を擦って残渣除去を行い、ブラック(K)の画像(ブラックマトリクス)を得た。その後、該基板に対して両面から超高圧水銀灯で500mJ/cmの露光量でポスト露光後、220℃、15分間熱処理した。
このKの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0120】
−レッド(R)画素の形成−
前記感光性転写材料R1を用い、前記感光性転写材料K1と同様の工程で、熱処理済みのレッド(R)画素を得た。但し露光量は40mJ/cm、炭酸Na系現像液による現像は35℃35秒とした。
このKの画像、及びRの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0121】
−グリーン(G)画素の形成−
前記感光性転写材料G1を用い、前記感光性転写材料R1と同様の工程で、熱処理済みのグリーン(G)の画素を得た。但し露光量は40mJ/cm、炭酸Na系現像液による現像は34℃45秒とした。
このKの画像、RとGの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0122】
−ブルー(B)画素の形成−
前記感光性転写材料B1を用い、前記感光性転写材料R1と同様の工程で、熱処理済みのブルー(B)の画素を得た。但し露光量は30mJ/cm、炭酸Na系現像液による現像は36℃40秒とした。
【0123】
このK、R、G画素及びBの画像を形成した基板を240℃で50分ベークして、目的のカラーフィルタ基板3を得た。
【0124】
[カラーフィルタの評価]
−色再現−
上記により得られたカラーフィルタ基板の色再現域について、NTSC比を測定することで、色度と色純度の両立が達成されているか否かを評価した。
色度計OSP−200(オリンパス工業(株)製)を用いて、上記により得られた各カラーフィルタ基板のC光源を用いた際の色味を以下のようにして測定した。各カラーフィルタ基板の赤(R)、緑(G)、青(B)を個々に顕微測定し、各色のx、y座標でCIE1931規定座標にプロットし、RGB各点を結んだ時にできる三角形を色再現領域Sとした。NTSC規格にて定められた色再現領域をSとし、該Sの面積に対する各カラーフィルタの色再現領域Sの面積比率(%)をNTSC比とした。このNTSC比を用いて以下の評価基準により色再現を評価した。評価結果を表5に示す。
○:67≦NTSC比<72
×:NTSC比<67
【0125】
−コントラスト−
バックライトユニットとして3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)製FWL18EX−N)に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(日東電工(株)製G1220DUN)の間に、上記により得られたカラーフィルタ基板を設置し、偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の色度のY値を、クロスニコルに設置したときに通過する光の色度のY値で割ることでコントラストを求めた。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン製BM−5)を用いた。
2枚の偏光板、カラーフィルタ基板、色彩輝度計の設置位置は、バックライトから13mmの位置に偏光板を、40mmから60mmの位置に直径11mm長さ20mmの円筒を設置し、この中を透過した光を、65mmの位置に設置した測定サンプル(カラーフィルタ基板)に照射し、透過した光を、100mmの位置に設置した偏光板を通して、400mmの位置に設置した色彩輝度計で測定した。色彩輝度計の測定角は2°に設定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が1280cd/mになるように設定した。
上記により求めたコントラストを以下の基準に従って評価した。結果を表5に示す。
○: 2000以上
○△: 1500以上2000未満
×: 1500未満
【0126】
−ムラ−
RGB画素を備えたカラーフィルタ基板に対して、暗室でNaランプを斜め方向から照射し、面積10cm×10cmの範囲においてムラを20人に目視にて観察させ、下記評価基準に従いムラの評価をした。評価結果を表5に示す。
〈評価基準〉
○:ムラがあると認識した人数 0人
△:ムラがあると認識した人数 1〜8人
×:ムラがあると認識した人数 8人以上
【0127】
【表5】

【0128】
[実施例9〜10及び比較例4]:液晶表示装置の作製
実施例7及び8、比較例3より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにK画像(ブラックマトリクス)の上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。次いで、特開2006−64921号公報の実施例1に従い、前記で形成したITO膜上のブラックマトリックス上部に相当する部分にスペーサを形成した。
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリクス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、冷陰極管のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置1〜3とした。
【0129】
[実施例11]:LEDバックライトを備えた液晶表示装置の作製
実施例9で作製した液晶表示装置1において、用いた冷陰極管のバックライトの代わりに赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、LEDバックライトを備えた液晶表示装置4を作製した。
【0130】
[液晶表示装置の評価]
−色再現−
R,G,B単色画像を発色させ、各単色画像各々について面積10cm×10cmの範囲において鮮やかであるかどうかを10人で判定した。結果を表6に示す。
○:鮮やかであると認識した人数 5人以上
△:鮮やかであると認識した人数 2人〜4人
×:鮮やかであると認識した人数 1人以下
【0131】
−コントラスト−
上記で作製した液晶表示装置を黒表示させたときの輝度と、白表示させたときの輝度との差を測定し、コントラストを算出し、以下の基準に従い評価した。結果を表6に示す。
黒白コントラストの測定には、TOPCON CORPORATION JAPAN社製「BM−5」を輝度計として用い、これをパネル表面から垂直方向50cmの距離のところに設置して測定した。また、測定は暗室で行った。
○: 1000以上
△: 800以上1000未満
×: 800未満
【0132】
−ムラ−
液晶表示装置の各々について、グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視にて観察し、表示ムラの発生の有無を下記評価基準にしたがって評価した。結果を表6に示す。
〈評価基準〉
○:表示ムラは全く認められなかった。
△:表示ムラが僅かに認められた。
×:表示ムラが顕著に認められた。
【0133】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、顔料分散剤と、バインダーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を少なくとも含有する緑色感光性樹脂組成物であって、
前記顔料の少なくとも一種が下記一般式で表されるハロゲン化金属フタロシアニンであり、前記顔料分散剤の少なくとも一種がアミノ基を含有する顔料分散剤であることを特徴とする緑色感光性樹脂組成物。
【化1】


(式中、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn又はPbを表す。X〜X16のうちの任意の8〜16箇所はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で表され残りは水素原子で表される。X〜X16のうちのフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で表される箇所は、全て同一の原子であってもよいし異なった原子であってもよい。Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は酸素原子を表し、mは0〜2の整数を表す。)
【請求項2】
前記アミノ基を含有する顔料分散剤が、下記式1又は式2で表されることを特徴とする請求項1に記載の緑色感光性樹脂組成物。
【化2】


(式中、Aは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基、又は色素残基を表し、X、X及びXはそれぞれ独立して、単結合、−NR10−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SONH−を表す。また、R10は水素原子又はアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ独立してエ−テル結合を有していてもよいアルキレン基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアラルキル基を表し、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して窒素原子を含む5乃至6員の飽和環を形成していてもよく、この飽和環はさらに酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される原子を含んでいてもよい。)
【請求項3】
黄色顔料をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の緑色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記黄色顔料がキノフタロン系顔料及び金属アゾ錯体顔料から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の緑色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
仮支持体と、前記仮支持体上に設けられた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の緑色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層と、を少なくとも備えることを特徴とする感光性転写材料。
【請求項6】
前記仮支持体と前記感光性樹脂層との間に、前記仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層と中間層とを更に備えることを特徴とする請求項5に記載の感光性転写材料。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の緑色感光性樹脂組成物を用いて形成された画素を基板上に少なくとも備えることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の感光性転写材料を用いて形成された画素を基板上に少なくとも備えることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のカラーフィルタ基板を少なくとも備えることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
LEDバックライトを備えたことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。

【公開番号】特開2008−122478(P2008−122478A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303271(P2006−303271)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】