説明

緑茶入り餃子の製造方法

【課題】 外観は翡翠のような美しい緑色に綺麗に発色され、また茶の風味及び食感共に良く、焼き餃子や水餃子とした場合にも、皮が破れる等の不具合も生じることのない緑茶入り餃子を提供する。
【解決手段】 小麦粉の単位重量に対して緑茶粉末を1.5重量%〜3重量%、グルテンを2重量%〜4重量%、及び水を25重量%〜35重量%加えて混練して餃子の皮用の生地を製造すると共に、具材の単位重量に対して緑茶粉末を3重量%〜5重量%混合して緑茶入り餃子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食感、風味及び美観に優れた緑茶入り餃子を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
餃子は、小麦粉に水を加えて練り上げて皮生地を作り、それを小分けして円盤状に薄く伸ばして包皮を形成し、次いでこの皮で挽肉や細かく刻んだ野菜等を練り合わせた具材を包んで半月状に成形することにより製造される。そして、これを、焼く、煮る、茹でる、または蒸すなどの加熱処理により調理して食されている。餃子の具材としては魚介類等多種多様のものも存在し、その中で差別化して個性を出すために、調理者は長年の経験を活かしてして材料の吟味や調理方法に工夫を凝らして如何に美味しく仕上げるかに傾頭している。
【0003】
従来の餃子の皮は、白地で作られるのが一般的であった。すなわち、包皮用の皮生地に対しては小麦粉の品質や練り上げ方、又は練り上げた生地を如何に熟成させるかについては工夫しているが、使用する材料の主材はあくまで小麦粉であるため、できた皮生地は白色に限られており、これ以外の色を有するものは存在していなかった。また、上述したように餃子の具材に各種の工夫が行われているのに比べて、皮生地の方は以前として小麦粉そのものの白色以外の色を有するものは存在していなかった。
【0004】
そこで、近年、健康志向や自然志向の高まりから、菓子類などにおいても、化学物質による発色・着色材でなく、天然の食材の発する色を利用して着色することが試みられている。餃子の皮においても皮生地に野菜や果実等の有色の自然食材を添加して、白以外の発色を呈する有色皮を用いて成形されたもの(例えば、特許文献1参照。)。緑茶加工品を配合した小麦粉製品(例えば、特許文献2参照。)。紫芋の粉を着色材料に用いる試みも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−327271号公報
【特許文献2】特開2003−299440号公報
【特許文献3】特許第3112674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、緑の色素を含む緑茶を食品素材の着色料に用い、例えば「抹茶入り餃子の皮」を製造することは、特許文献1にも記載されている。本発明者もまた、緑茶を混合した健康志向の高い餃子の製造に取り組んだ。しかしながら、例えば、焼き餃子にした際に変色したり、皮が破れ易くなる等の不具合が生じ、単に緑茶粉末や抹茶を混入しても、風味、食感等において満足できる餃子を得ることは甚だ困難であった。本発明は、緑茶粉末を餃子の皮の着色材料及び具材に用い、外観は翡翠のような美しい緑色に綺麗に発色され、また茶の風味及び食感共に良く、焼き餃子や水餃子とした場合にも、皮が破れる等の不具合も生じることがない緑茶入り餃子を提供することを目的とする。さらには、着色に人工的な合成着色料を用いることなく、天然素材である茶がもつ自然の色でもって着色することにより、安全性の高い製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明の緑茶入り餃子の製造方法は、小麦粉の単位重量に対して緑茶粉末を1.5重量%〜3重量%、グルテンを2重量%〜4重量%、及び水を25重量%〜35重量%加えて混練して餃子の皮用の生地を製造すると共に、具材の重量に対して緑茶粉末を3重量%〜5重量%混合してなることを特徴とする。
【0008】
緑茶の粉と小麦粉との混合割合を前記のようにするのは、緑茶の粉が5重量%より少なくては、餃子の皮とした際に緑色が薄くなってしまうという不都合があり、逆に3重量%より多いと、色が濃くなり過ぎたり、餃子の皮を薄く延ばした際に破れてしまうことがあるので好ましくないからである。すなわち、緑茶の粉を1.5重量%〜3重量%とした方が、餃子の皮とした際に発色が良く、なおかつ、餃子の皮を薄く延ばしても破れることがないので好ましい。また、具材に対する混合割合も緑茶粉末が3重量%より少ないと風味に欠け、5重量%より多いと苦味を呈するようになるからである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の優れた効果がある。
(1)茶の適度な香りと風味がある。
(2)餃子の皮の伸びがよく、もちもち感が生まれる。
(3)発色が良好で、皮の破れも少なくなる。
(4)餃子同士の癒着も少なくなる。
【0010】
茶が含有する有色成分と、皮生地の主構成材である小麦粉とが所定量の水を加えて均一に混練された結果、小麦粉の白色と茶の緑色とが混ざって淡色化されて独特の翡翠色を皮生地全体に呈することになる。このように、本発明は着色手段に食紅等の人工着色料ではなく、天然の食材が自然に有する色をそのまま用いるため、近年問題となっている化学合成添加物による健康障害の畏れもなく、安全性も高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本願発明に係る着色餃子及びその製造方法の具体的な調理例について説明する。
【実施例】
【0012】
餃子包皮の材料:
(1)小麦粉 10Kg
(2)緑茶粉末 150g〜300g
(3)食塩 40g
(4)P.G(プロピレン・グリコール) 150g
(5)ソルビット(甘味料) 100g
(6)アルコール 200g
(7)グルテン(グリアA:商品名) 200g〜400g
(8)水 2.5Kg〜3.5Kg
これを混練させて有色の皮生地を作り、これを小分けして餃子の皮約1500枚を製造した。
この練り上げ作業自体は、混練機で行われる。尚、加える水の量は、緑茶の粉と小麦粉とを捏ね上げた際の硬さが耳たぶ程度の硬さになるように、使用する緑茶の粉及び小麦粉の量及び温度・湿度等の作業環境に応じて適宜調整しても良い。
【0013】
前記において使用する緑茶の粉末は、乾燥した緑茶のパウダーであって、市販のものはいずれも使用することができるが、粒子径6〜7μm程度のものが好ましい、本実施例では、「緑茶粉末」(商品名:有限会社宮崎上水園製)を使用した。また、小麦粉は、東福製粉株式会社製の「珠 獅子」(商品名)、グルテンは、アマサ化成株式会社製の「グリアA」(商品名)を使用した。しかしながら基本的には、小麦粉は通常餃子の皮の製造に用いられる準強力粉又は強力粉と薄力粉を混合したものならばいずれも使用可能である。そして、グルテンを添加することで、餃子の皮の伸びがよく、もちもち感が生まれ、皮の破れも少なくなる。尚、P.G(プロピレン・グリコール)は、湿潤、乳化安定、保存のために添加した。
【0014】
その後、黒豚の挽き肉、白菜、キャベツ、ニラ、ニンニク、生姜、調味料等、通常の餃子の具の材料を準備し、この単位重量に対して緑茶粉末が3重量%〜5重量%となるように混練し、上記緑茶の粉が含有された包皮で包んだ後、通常の要領で焼き上げたり、水餃子を作った。焼餃子や水餃子とした際にも、前記の餃子の皮の綺麗な発色が保持されており、皮が翡翠色で美観に優れ、食欲をそそる綺麗な色の製品が得られた。また、餃子同士の癒着や皮の破れもなく、美観に優れ食欲をそそる上、茶の風味高く栄養の観点からも優れた餃子が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上のように、本発明によれば、餃子の皮の発色材・着色材として天然の緑茶を使用するばかりでなく、餃子の具の中にも緑茶が含まれているので、健康食品として注目されている緑茶を、餃子を印象づける素材として採用し、食品(餃子)のコンセプトとして「緑茶」を強く打ち出すことができる。そこで、健康志向、天然志向を強める消費者、需要者の要求に適切に応えることができ、商品価値の高い、商品として魅力ある食品(餃子)を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉の単位重量に対して緑茶粉末を1.5重量%〜3重量%、グルテンを2重量%〜4重量%、及び水を25重量%〜35重量%加えて混練して餃子の皮用の生地を製造すると共に、具材の単位重量に対して緑茶粉末を3重量%〜5重量%混合してなることを特徴とする緑茶入り餃子の製造方法。

【公開番号】特開2006−87340(P2006−87340A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276406(P2004−276406)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(504360059)
【Fターム(参考)】