説明

線状光源装置

【課題】
本発明の目的は、導光体からの出射光の可視域の長波長成分をカットしつつ、光量低下を抑制した線状光源装置を提供することにある。
【解決手段】
第1の発明に係る線状光源装置は、光出射面に対向する背面に凹凸状の反射面が設けられた棒状の導光体と、該導光体の長手方向における端部に設けられた発光ダイオードと、
を備えた線状光源装置において、該反射面の外面に、可視域の長波長成分の光をカットする手段及び拡散反射手段を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、複写機、イメージスキャナ、バーコードリーダなどに使用する画像読取装置の照明用光源に用いられる線状光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリなどの画像読取装置において、線状光源装置として国際公開第2008/013234号(以下、特許文献1)に記載されたものがあった。
特許文献1では、棒状の導光体の一端面に、基板の上面に設けられた発光ダイオードが対向配置される。この導光体は、長手方向に沿って反射面が設けられる。導光体は、白色の顔料を練り込んだポリカーボネート樹脂を成形してなる導光体カバーによって覆われる。
特許文献1では、発光ダイオードから出射された光が、導光体の一端面から取り込まれる。取り込まれた光は、一部が導光体の長手方向に沿って設けられた反射面に反射され、残りの一部が導光体の反射面を通過して導光体カバーによって拡散反射される。これらにより、導光体の出射面からは、導光体の反射面で反射された光と、導光体カバーによって拡散反射された光とが、出射される。
【0003】
また、同じ用途において、線状光源装置として特開2008−216409号公報(以下、特許文献2)に記載されたものもあった。
特許文献2では、棒状の導光体の一端面に、基板の上面に設けられた発光ダイオードが対向配置される。この導光体には、その長手方向に沿って反射鏡が配設されている。このため、導光体には、原稿台に向かう反射面と、反射鏡に向かう反射面とが設けられる。
【0004】
また、同じ用途において、線状光源装置として特開平06−217084号公報(以下、特許文献3)に記載されたものもあった。
特許文献3では、棒状の導光体の一端面に、基板の上面に設けられた発光ダイオードが対向配置される。この導光体は、長手方向に沿って反射面が設けられる。また、導光体からの出射光の色温度や色味を変えるためには、発光ダイオードと導光体の端面との間にフィルタを設けることも記載されている(特許文献3の段落番号0131を参照のこと)。
【0005】
また、同じ用途において、線状光源装置として特開2006−227384号公報(以下、特許文献4)に記載されるものもあった。
特許文献4では、読取用途においてCCDが用いられるが、CCDには感度特性があり、線上光源装置から可視域の長波長成分が出射されると、CCDによる色再現性が低下する問題ことが記載されている。そのため、特許文献4では、基板の上面に発光ダイオードをライン状に並べ、このライン状に並んだ発光ダイオードに平行するように、導光体が配置される。導光体の出射面には、可視域の長波長成分カットフィルタが設けられ、発光ダイオードからの光のうち、650nm〜700nmの波長域を除去することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/013234号
【特許文献2】特開2008−216409号公報
【特許文献3】特開平06−217084号公報
【特許文献4】特開2006−227384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4にあるように、ファクシミリなどの画像読取用途において、その線状光源装置には、可視域の長波長成分、具体的には650nm以上の波長域をカットすることが望まれる。このため、特許文献1〜3のように、導光体の一端面に発光ダイオードを対向配置する構成であっても、導光体からの出射光には、可視域の長波長成分がカットされていることが必要である。
【0008】
しかしながら、導光体の一端面に発光ダイオードを対向配置する構成の場合、特許文献4のように導光体の出射面に可視域の長波長成分をカットするフィルタを設けると、必要な波長域の成分も低下するという問題があった。
これは、導光体の出射面に可視域の長波長成分をカットするフィルタを設け、導光体の一端面に発光ダイオードを対向配置し、導光体の出射面に可視域の長波長成分をカットするフィルタを設けた場合、導光体の出射面に対する発光ダイオードからの光の入射角度が大きいために、発光ダイオードからの光は何度もフィルタを通過することになり、フィルタを通過するたびに光量が低下してしまったものと推測される。
【0009】
また、特許文献3には、導光体の一端面と発光ダイオードとの間にフィルタを設けることが記載されていることから、このフィルタを可視域の長波長成分をカットするフィルタにすることも考えられるが、このときも必要な波長域の光量低下が生じる。これは次の理由からである。
発光ダイオードからの光は、導光体の一端面に入射する際に、光の一部が一端面に反射されてしまう。発光ダイオードと導光体の一端面との間にフィルタを設けてしまうと、発光ダイオードの光は、フィルタに入射する際に一部反射されて、フィルタを出射する際にも一部反射されてしまって、導光体の入射面に入射する光量が低下してしまって、導光体から出射される光量も低下してしまう。
【0010】
そこで、本発明の目的は、導光体からの出射光の可視域の長波長成分をカットしつつ、光量低下を抑制した線状光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)第1の発明に係る線状光源装置は、光出射面に対向する背面に凹凸状の反射面が設けられた棒状の導光体と、該導光体の長手方向における端部に設けられた発光ダイオードと、
を備えた線状光源装置において、該反射面の外面に、可視域の長波長成分をカットする手段及び拡散反射手段を設けたことを特徴とする。
(2)第2の発明に係る線状光源装置は、第1の発明において、可視域の長波長成分をカットする手段が、可視域の長波長成分をカットするフィルタであり、該拡散反射手段が、拡散反射シートであることを特徴とする。
(3)第3の発明に係る線状光源装置は、第1の発明において、可視域の長波長成分をカットする手段及び拡散反射手段が、可視域の長波長成分を吸収する拡散反射シートであることを特徴とする。
(4)第4の発明に係る線状光源装置は、第1の発明において、可視域の長波長成分をカットする手段が、可視域の長波長成分をカットするフィルタであり、該拡散反射手段が、拡散反射面が設けられた支持台であることを特徴とする。
(5)第5の発明に係る線状光源装置は、第1の発明において、可視域の長波長成分をカットする手段及び拡散反射手段が、拡散反射面が設けられると共に可視域の長波長成分を吸収する支持台であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る線状光源装置は、導光体からの出射光の可視域の長波長成分をカットしつつ、光量低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
【図2】第1の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
【図3】(a)第2の実施例に係る線状光源装置の説明図である。(b)第3の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
【図4】第4の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
【図5】(a)第5の実施例に係る線状光源装置の説明図である。(b)第6の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
【図6】(a)第7の実施例に係る線状光源装置の説明図である。(b)第8の実施例に係る線状光源装置の説明図である。(c)第9の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
【図7】第1の実験の結果を示した図である。
【図8】(a)比較例に係る線状光源装置の説明図である。(b)第2の実験の結果を示した図である。
【0014】
図1及び図2は、本発明の第1の実施例に係る線状光源装置1の説明図である。
図1は、線状光源装置1を示した斜視図である。図2(a)は、図1の導光体3の長手方向に対して直交する断面図であり、図2(b)は、図1の導光体3の長手方向に沿った断面の一部を示した図である。
【0015】
線状光源装置1は、棒状の導光体3と、導光体3の長手方向における一端面35に対向配置した発光ダイオードを備えた光源2と、該導光体3を支持する支持台51とを備え、導光体3の背面34に可視域の長波長成分をカットするフィルタ6が設けられ、この可視域の長波長成分をカットするフィルタ6の背面34に拡散反射シート41が設けられる。
【0016】
図1に示すように、導光体3の長手方向における一端面35には光源2が配置される。光源2は、基板21の上面(図1においては、基板21の紙面奥側の面)に、発光ダイオード(不図示)が設けられる。この発光ダイオードは、導光体3の一端面35に対向配置されており、発光ダイオードからの光が導光体3の一端面35から取り込まれるようになっている。
この光源2は、白色光を出射するものが用いられ、例えば、青色発光ダイオードと、この発光ダイオードを封止する部分に黄色蛍光体を封入したものを用いることができる。この場合、発光ダイオードからの青色光と、この青色光によって黄色蛍光体が励起されて得られる黄色光とが、光源2から出射されることになり、光源2から出射された光は、青色光と黄色光との混色光である白色光となる。
【0017】
棒状の導光体3は、断面が半円状の出射面32を備え、その出射面32が導光体3の長手方向に沿って形成される。
導光体3を構成する部材としては、可視光を透過する部材が用いられ、例えばソーダ石灰ガラス、アルミノ珪酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムガラスのような透光性ガラスが用いられ、また、例えばアクリル樹脂,ポリカーボネート樹脂、COCやCOPなどの環状ポリオレフィン樹脂、オレフィンマレイミド共重合体などのポリオレフィン樹脂、ポリエステル系透明樹脂のような透光性樹脂が用いられる。
【0018】
導光体3の出射面32の反対側には、背面34が存在し、その背面34に図2(b)に示す凸凹溝からなる反射面341が設けられる。この反射面341は、導光体3の長手方向に沿って設けられる。
【0019】
導光体3の出射面32と背面34との間は、側面33が設けられており、この側面33の一方には、突出部36が設けられる。
【0020】
導光体3の背面34の外面には、可視域の長波長成分をカットする手段として可視域の長波長成分をカットするフィルタ6が配置され、少なくとも反射面341の外面に可視域の長波長成分をカットするフィルタ6が配置される。この可視域の長波長成分をカットするフィルタ6は、導光体3の長手方向に沿って伸びるように設けられる。
この可視域の長波長成分をカットするフィルタ6は、可視光波長域において、400nm〜500nmのいわゆる青色の波長域の光の透過率に比べて、500nm〜800nmのいわゆる黄色の波長域から赤色の波長域にかけての光の透過率が相対的に低いものが用いられる。
【0021】
導光体3の背面34から側面33にかけて覆うように、拡散反射手段として拡散反射シート41が設けられる。この拡散反射シート41は、導光体3側の面に拡散反射面を有する。これにより、導光体3から抜け出てきた光は、拡散反射シート41の拡散反射面で拡散反射されて、導光体3の内部に戻ることになる。
【0022】
拡散反射シート41の外面には、支持台51が配置される。この支持台51は、導光体3の背面34及び側面33を覆う形状を有し、導光体3を保持する。フィルタ及び拡散反射シート41は、支持台51と導光体3との間で挟持される。
【0023】
上述した線状光源装置1は、図示しない電源から発光ダイオードに給電することで、導光体3の出射面32から線状の出射光が得られる。この線状の出射光を得るまでについて説明する。
【0024】
給電された発光ダイオードは、青色光を出射し、発光ダイオードの周辺に設けられた黄色蛍光体を照射する。黄色蛍光体は、青色光を照射されることで励起されて黄色光を出射する。これにより、光源2からの出射光は、青色光と黄色光との混色光からなる白色光となり、導光体3の一端面35を照射し、導光体3の内部に取り込まれる。
【0025】
導光体3の内部に取り込まれた光は、導光体3の長手方向に沿って進んでいき、導光体3の反射面341に順次照射していく。図2(b)に示すように、導光体3の反射面341は凸凹溝であることから、導光体3の反射面341を照射した光は、反射面341に対する入射角度によって、反射面341で反射される光L1もあれば、反射面341を通過する光もある。反射面341を通過した光は、反射面341の外面に設けられた可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を通過し、拡散反射シート41の拡散反射面によって拡散反射光L2として反射される。
【0026】
導光体3の反射面341で反射された光は、導光体3の出射面32から出射される。この場合、光源2の白色光として出射される。
拡散反射シート41によって拡散反射された光は、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を通過する際に、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6によって、500nm〜800nmの波長域の光が400nm〜500nmの波長域の光よりも吸収されており、500nm〜800nmの波長域の光量が400nm〜500nmの波長域の光量よりも相対的に低くなる。このため、拡散反射された光は、青みを帯びた光となり、その多くは導光体3の出射面32から出射される。
従って、導光体3の出射面32からは、発光ダイオードからの白色光と可視域の長波長成分をカットするフィルタ6によって青みを帯びた光との混色光が出射される。
【0027】
なお、導光体3の反射面341を通過した光は、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6に入射される際に一部反射され、さらに可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を出射する際に一部反射される(これらフィルタによって反射された光をフィルタ反射光と呼ぶ)。可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を導光体3の出射面32の反対側の背面34に設けることで、フィルタ反射光が向かう方向は、導光体3の出射面32になり、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を導光体3の一端面35に設けた場合に比べて、光量低下を抑制することができる。
【0028】
以上のことから、第1の実施例に係る線状光源装置1は、光源2からの光の通り道に可視域の長波長成分カットする手段として可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けたことにより、光源2からの光の一部を可視域の長波長成分をカットするフィルタ6によって500nm〜800nmの波長域の光量を低下させることができ、これにより導光体3からの線状の出射光はCCDにとって好適な光とすることができる。また、第1の実施例に係る線状光源装置1は、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を導光体3の出射面32の反対側に位置する反射面341の外面に設けることで、導光体3の出射面32からの線状の出射光の光量低下を抑制することができる。
【0029】
なお、第1の実施例では、反射面341を1つ設けた例を示したがこれに限定されるものではない。図3(a)は、第2の実施例の説明図であり、導光体3の長手方向に対して直交する断面図である。図3(a)では、導光体3の反射面341を2つ設けた例を示しており、本発明では反射面341が2つあったとしても、反射面341の外面に可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けさえすれば、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、第1及び2の実施例では、突出部36を設けた例を示したが、その設ける位置は、図3(a)に示す側面33の一方であってもかまわなく、図3(b)に示す第3の実施例のように、側面33の他方であってもかまわない。
【0031】
本発明に係る線状光源装置1は、特許文献2のように、反射鏡と組み合せるものがある。線状光源装置1と反射鏡とを組み合わせた例として、第4の実施例を示す。
【0032】
図4は、本発明の第4の実施例に係る線状光源装置1の説明図である。
図4は、導光体3の長手方向に対して直交する断面図である。
なお、図4には、図1に示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0033】
図4に示す線状光源装置1は、反射面341,342を複数設けた点と、その反射面341,342で反射した光が向かう方向が異なる点とで、図1で示した第1の実施例と相違する。
図4の第4の実施例の説明として、図1との相違点について述べる。
【0034】
導光体3の長手方向に沿って、反射鏡7が設けられる。この反射鏡7は反射鏡支持台8に支持される。導光体3を支持する支持台51と反射鏡支持台8とは、基台91に固定されていることで、導光体3と反射鏡7との位置関係が固定される。
【0035】
導光体3の出射面32の背面34は、断面V字状に形成され、V字を構成する二辺にそれぞれ反射面341,342が設けられる。この2つの反射面341,342のうち、一方の反射面341の法線は原稿面に向かっており、他方の反射面342の法線は反射鏡7に向かっている。
【0036】
導光体3の断面V字状の背面34の外面には、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6がV字状に配置され、少なくとも2つの反射面341,342の外面に可視域の長波長成分カットフィルタ6が配置される。この可視域の長波長成分をカットするフィルタ6は、導光体3の長手方向に沿って伸びるように設けられる。
この可視域の長波長成分をカットするフィルタ6は、可視光波長域において、400nm〜500nmのいわゆる青色の波長域の光の透過率に比べて、500nm〜800nmのいわゆる黄色の波長域から赤色の波長域にかけての光の透過率が相対的に低いものが用いられる。
【0037】
第4の実施例に係る線状光源装置1は、導光体3の背面34を断面V字状にし、この背面34に2つの反射面341,342を設けたことで、一方の反射面341で反射した反射光L3が原稿台92に向かうのに対し、他方の反射面342からの反射光L4が反射鏡7に向かう。反射鏡7に向かった光L4は、反射鏡7で反射されて原稿台92に向かう。一方の反射面341を通過する光は、一方の反射面341の外面に可視域の長波長成分をカットするフィルタ6が設けられたおり、さらにフィルタ6の外面に拡散反射シート41が設けられていることから、原稿台92に向かう光L3は、第1の実施例と同様に、青みを帯びた光とすることができる。また、他方の反射面342を通過する光は、他方の反射面342の外面に可視域の長波長成分をカットするフィルタ6が設けられており、さらにフィルタ6の外面に拡散反射シート41が設けられていることから、反射鏡7に向かう光L4は、第1の実施例と同様に、青みを帯びた光とすることができる。反射鏡7に向かった光L4は、反射鏡7で反射されることで、原稿台92に向かう。原稿台92上には、読取媒体が載置されており、線状光源装置1からの直接光L3と反射鏡7からの光L4とが照射され、最終的にCCDによって読み取られる。
従って第4の実施例に係る線状光源装置1は、反射鏡7を介してCCDに読み取られる光があるものの、反射鏡7に向かう光も第1の実施例と同様に青みを帯びた光としたことで、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0038】
なお、第1〜第4の実施例では、突出部36の外面に拡散反射シート41を設けなかったが、図5(a)に示す第5の実施例のように、突出部36の外面にも拡散反射シート41を設けたとしても、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
また、第4の実施例では、反射面341,342を設ける導光体3の背面34を断面V字状にしたが、図5(b)に示す第6の実施例のように、断面がパラボラ状の面を2つ設けた背面34であってもかまわない。
【0039】
上述の第1〜6の実施例では、可視域の長波長成分カット手段として可視域の長波長成分カットフィルタ6を利用し、拡散反射手段として拡散反射シート41を利用したが、それ以外の可視域の長波長成分カットフィルタ6と拡散反射手段の組み合せの例として第7〜9の実施例を示す。
【0040】
図6(a)は、本発明の第7の実施例に係る光源装置の説明図である。
図6(a)は、導光体3の長手方向に対して直交する断面図である。
なお、図6(a)には、図2(a)に示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0041】
図6(a)に示す線状光源装置1は、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けない点と、導光体3の背面34の外面と当接する拡散反射シート41上に可視域の長波長成分をカットする機能を加えた点とで、図2(a)に示した第1の実施例と相違する。
図6(a)の第7の実施例の説明として、図2(a)との相違点について述べる。
【0042】
導光体3の背面34の外面と当接する拡散反射シート41上には、可視域の長波長成分を吸収するように青色に着色されている。以下、青色着色部42と記す。この可視域の長波長成分を吸収する青色着色部42は、導光体3の長手方向に沿って伸びるように設けられる。
この可視域の長波長成分を吸収する青色着色部42は、可視光波長域において、400nm〜500nmのいわゆる青色の波長域の光の反射率に比べて、500nm〜800nmのいわゆる黄色の波長域から赤色の波長域にかけての光の反射率が相対的に低いものが用いられる。従って、導光体3を抜けてきた光は、500nm〜800nmの波長域の光が400nm〜500nmの波長域の光に比べて、可視域の長波長成分を吸収する青色着色部42への吸収量が大きいので、可視域の長波長成分を吸収する青色着色部42で拡散反射される光は、500nm〜800nmの波長域の光よりも、400nm〜500nmの波長域の方が光量が大きい。
【0043】
第7の実施例は、第1の実施例が備えた可視域の長波長成分をカットするフィルタ6が無いが、拡散反射シート41上に青色着色部42を設けることで、可視域の長波長成分をカットする機能を加えることができ、青色着色部42が拡散反射手段であり、且つ、可視域の長波長成分をカットする手段となり、導光体3の出射面32からは青みを帯びた光を出射することができるので、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0044】
図6(b)は、本発明の第8の実施例に係る光源装置の説明図である。
図6(b)は、導光体3の長手方向に対して直交する断面図である。
なお、図6(b)には、図2(a)に示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0045】
図6(b)に示す線状光源装置1は、拡散反射シート41を設けない点と、支持台51に拡散反射機能を加えた点とで、図2(a)に示した第1の実施例と相違する。
図6(b)の第8の実施例の説明として、図2(a)との相違点について述べる
【0046】
支持台51の導光体3を載置する面は、導光体3の背面34から側面33まで伸びており、拡散反射面511で構成される。
【0047】
第8の実施例は、第1の実施例が備えた拡散反射シート41が無いが、支持台51に拡散反射面511を設けることで、支持台51が拡散反射手段の機能を有することになり、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を通過した光を支持台51の拡散反射面511で拡散反射し、導光体3の出射面32に向かわせることができるので、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0048】
図6(c)は、本発明の第9の実施例に係る線状光源装置の説明図である。
図6(c)は、導光体3の長手方向に対して直交する断面図である。
なお、図6(c)には、図2(a)に示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0049】
図6(c)に示す線状光源装置1は、拡散反射シート41を設けない点と、支持台52に拡散反射機能を加え、且つ、導光体3の背面34の外面と当接する支持台52上に可視域の長波長成分をカットする機能を加えた点とで、図6(a)に示した第7の実施例と相違する。
図6(c)の第9の実施例の説明として、図6(a)との相違点について述べる
【0050】
導光体3の背面34の外面と当接する支持台52の一部分には、可視域の長波長成分を吸収するように青色に着色されている。(青色着色部42)。導光体3は青色着色部42を有した支持台52に保持される。
この支持台52は、導光体3を載置する面が導光体3の背面34から側面33まで伸びており、拡散反射面521で構成される。
青色着色部42は、可視光波長域において、400nm〜500nmのいわゆる青色の波長域の光の反射率に比べて、500nm〜800nmのいわゆる黄色の波長域から赤色の波長域にかけての光の反射率が相対的に低いものが用いられる。従って、導光体3を抜けてきた光は、500nm〜800nmの波長域の光が400nm〜500nmの波長域の光に比べて、可視域の長波長成分を吸収する青色着色部42への吸収量が大きくので、可視域の長波長成分を吸収する青色着色部42で拡散反射される光は、500nm〜800nmの波長域の光よりも、400nm〜500nmの波長域の方が光量が大きい。
【0051】
第9の実施例は、第7の実施例が備えた拡散反射シート41が無いが、支持台52に拡散反射手段の機能を加えており、且つ、導光体3の背面34の外面と当接する支持台52の一部分に備えた青色着色部42が可視域の長波長成分をカットする手段となるため、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0052】
本発明において得られる効果として、導光体3からの出射光を青みを帯びた光にすることと、光量低下を抑制することがある。これらの効果が、本発明から得られることを示した実験について説明する。
【0053】
まず、第1の実験では、図4に示した線状光源装置1を用いて、導光体3からの出射光が青みを帯びた光になっていることを説明する。
図4に示した線状光源装置1を本発明の線状光源装置1として第1の実験に用い、図4に示した線状光源装置1から可視域の長波長成分をカットするフィルタ6だけを除いたものを従来の線状光源装置1として第1の実験に用いた。本発明の線状光源装置6にて使用した可視域の長波長成分をカットするフィルタ6には、富士フィルム株式会社製の色温度変換フィルタ(製品名:LBBフィルタ)を使用した。
【0054】
実験では、各線状光源装置1から得られた線状光について、その色度を測定して比較をした。
具体的には、各線状光源装置1を点灯させ、各線状光源装置1に具備される導光体3の出射面32から10mm離れた位置に分光光度計の受光部を配置し、導光体3の長手方向に沿ってその線状光の色度を測定した。
【0055】
第1の実験結果をまとめたのが、図7である。
図7(a)及び図7(b)は、横軸を導光体3の長手方向を示しており、導光体3の長手方向における中央を0mmとしている。また、図7(a)の縦軸は、色度のx値を示しており、図7(b)の縦軸は、色度のy値を示している。
図7に示すように、本発明に係る線状光源装置1から得られる光は、従来に係る線状光源装置1から得られる光に比べて、色度のx値が低く、且つ、色度のy値も低いので、青みを帯びた光であることを示している。これは、本発明に係る線状光源装置1から得られる光が、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を備えることで、発光ダイオードからの光の一部から、500nm〜800nmの波長域の光を可視域の長波長成分をカットするフィルタ6で吸収していることから、従来に係る線状光源装置1から得られる光に比べて、青みを帯びた光となったものである。
従って、本発明に係る線状光源装置1は、導光体3と拡散反射シート41との間に、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けたことで、CCDの読み取りに好適な光にすることができる。
【0056】
次に、第2の実験では、図4に示した線状光源装置1を本発明に係る線状光源装置1として用い、図8(a)に示した線状光源装置1を比較例として用いた。
【0057】
図8(a)は、導光体3の長手方向に対して直交する断面図である。
図8(a)に示す比較例は、可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を導光体3の側面33の外面にも設けた点で、図4に示す本発明と相違し、それ以外の構成は同一である。可視域の長波長成分をカットするフィルタ6には、富士フィルム株式会社製の色温度変換フィルタ(製品名:LBBフィルタ)を使用した。
【0058】
実験では、各線状光源装置1から得られた線状光について、その照度を測定して比較をした。
具体的には、各線状光源装置1を点灯させ、各線状光源装置1に具備される導光体3の出射面32から5mm離れた位置に照度計の受光部を配置し、導光体3の長手方向に沿ってその線状光の照度を測定した。
【0059】
第2の実験結果をまとめたのが、図8(b)である。
図8(b)は、横軸を導光体3の長手方向を示しており、導光体3の長手方向における中央を0mmとしている。また、縦軸は、導光体3の長手方向における発光ダイオード側の端部における照度を100%にしたときの相対照度を示している。
図8(b)に示すように、比較例に係る線状光源装置1からの得られる光の照度は、導光体3の長手方向において、発光ダイオードが配置された端部から反対側の端部に向かうに従って、本発明に係る線状光源装置1から得られる光の照度よりも、下がってしまう。これは、比較例が導光体3の側面33にも可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けたためである。
従って、本発明に係る線状光源装置1は、導光体3の側面33に可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けず、導光体3の背面34のみに可視域の長波長成分をカットするフィルタ6を設けたことで、光量低下を抑制できたものである。
【符号の説明】
【0060】
1 線状光源装置
2 光源
21 基板
3 導光体
32 出射面
33 側面
34 背面
341 反射面(凸凹溝)
342 反射面(凸凹溝)
35 一端面
36 突出部
41 拡散反射シート
42 青色着色部
51 支持台
511 拡散反射面
52 赤外を吸収する支持台
521 拡散反射面
6 可視域の長波長成分をカットするフィルタ
7 反射鏡
8 反射鏡支持台
91 基台
92 原稿台

L1 発光ダイオードからの光
L2 赤外がカットされた光
L3 出射面から原稿面に向かう光
L4 反射鏡から原稿面に向かう光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射面に対向する背面に凹凸状の反射面が設けられた棒状の導光体と、
該導光体の長手方向における端部に設けられた発光ダイオードと、
を備えた線状光源装置において、
該反射面の外面に、可視域の長波長成分の光をカットする手段及び拡散反射手段を設けたことを特徴とする線状光源装置。
【請求項2】
該可視域の長波長成分をカットする手段が、可視域の長波長成分をカットするフィルタであり、
該拡散反射手段が、拡散反射シートである
ことを特徴とする請求項1に記載の線状光源装置。
【請求項3】
該可視域の長波長成分をカットする手段及び拡散反射手段が、可視域の長波長成分を吸収する拡散反射シートである
ことを特徴とする請求項1に記載の線状光源装置。
【請求項4】
該可視域の長波長成分をカットする手段が、視域の長波長成分をカットするフィルタであり、
該拡散反射手段が、拡散反射面が設けられた支持台である
ことを特徴とする請求項1に記載の線状光源装置。
【請求項5】
該可視域の長波長成分をカットする手段及び拡散反射手段が、拡散反射面が設けられると共に可視域の長波長成分を吸収する支持台である
ことを特徴とする請求項1に記載の線状光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−216945(P2011−216945A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80321(P2010−80321)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】