説明

締付けトルク測定装置

【課題】簡単な構造で、オイルパルスレンチによる締付けトルクをより精度良く測定することができる締付けトルク測定装置を提供すること。
【解決手段】締付けトルク測定装置1は、ケース10と、オイルパルスレンチによる締付けトルクを受けて回転可能な入力軸20と、入力軸20をその回転方向とは反対方向に付勢可能なばね部30と、ばね部30による付勢力に抗して、オイルパルスレンチによる締付けトルクを受けて回転する入力軸20の回転角に基づいて締付けトルクを測定する測定部40と、を備え、ばね部30が、入力軸20をその回転方向とは反対方向に付勢し、測定部40の変位センサ42が、ばね部30による付勢力に抗して、オイルパルスレンチによる締付けトルクを受けて回転する入力軸20の回転角に基づき、その締付けトルクを測定する。なおこの際、測定部40の変位センサ42が、オイルパルスレンチによる1回の打撃による最大変位を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルパルスレンチによる締付けトルクを簡単に測定するための締付けトルク測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の機械製品の組立ラインにおいては、オイルパルスレンチ等の衝撃トルクを発生させる締付け工具(以下、オイルパルスレンチ等という)を用いてねじ類の締め付けが行われることが多い。オイルパルスレンチ等は、エアモータ等のモータの連続的な回転力をパルス発生機によって断続的なトルクに変換し、短時間にトルクを立ち上げて衝撃トルクを発生させることにより、小型で大きな締付けトルクを得ることができる。
【0003】
また、機械製品の組立においては、ねじ類の締付けトルクが規定されている部位があり、このような部位のねじの締付けにおいては、締付けトルクが規定値に達しているかどうかを判定する必要がある。そこで、従来、ねじ類をオイルパルスレンチ等によってある程度締付けた後、さらに、手動式のトルクレンチを用いて規定トルクまで締付けるようにしていた。
【0004】
しかしながら、上記従来の手動式のトルクレンチを用いて締付ける方法では、締付作業が煩雑であり、作業効率が低い。そこで、締付けトルク検出装置を用いてオイルパルスレンチ等の締付けトルクを測定し、予め規定の締付けトルクが得られるよう調整したオイルパルスレンチ等を用いる方法、あるいは、締付けトルク検出装置を内蔵したオイルパルスレンチ等を用いて規定の締付けトルクを得る方法がとられている。
【0005】
オイルパルスレンチ等の締付けトルクを測定するための締付けトルク検出装置は、例えば、歪みゲージ等の歪み検出素子を用いてトルク伝達部材の歪み(捻れ)を電気信号として検出し、この電気信号を電気回路によって処理することにより、締付けトルクを直接得るようにしている。
【0006】
しかしながら、上述のような電気的に締付けトルクを検出する締付けトルク検出装置を用いる場合、締付けトルク検出装置は、構造が複雑であり、さらに、電気回路等を用いるため高価である。また、このように高価であるために、例えば作業する人やグループなどの作業単位ごとに締付けトルク検出装置を保有することができずに共有する場合には、例えば組立ラインの外に締付けトルクのチェックスペースを配置してそのスペースに1台の締付けトルク検出装置を設置し、各作業者が作業を中断してチェックスペースに移動し、オイルパルスレンチ等の締付けトルクをチェックすることとなり、作業効率が低下することになる。
【0007】
そこで、次のように構成された締付けトルク測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、積層された皿ばねをはさんでボルトとT字ナットとを螺合させ、T字ナットをクランプブロック及びボルトによってベース板に固定し、ボルトに入力軸を取付けた締付けトルク測定装置が知られている。このように構成された締付けトルク測定装置では、次のように締付けトルクを測定することができる。すなわち、オイルパルスレンチ等の出力軸を入力軸の結合凹部に結合する。そして、オイルパルスレンチ等を作動させて、入力軸を回転させてボルトをT字ナットに締め込んで皿ばねを圧縮する。このことにより、ボルトの回転によるボルトとT字ナットとの軸方向の相対変位に
対して、その変位に応じた皿ばねの弾性力が付与されてボルトの回転に抵抗力が生じ、オイルパルスレンチ等の締付けトルクと皿ばねの弾性力による抵抗力(入力軸との摩擦力)とが釣り合ったところでボルトの回転が停止する。このとき、締付けトルクを測定することができる。また、締付けトルクを測定した後、オイルパルスレンチ等を逆回転させて、ボルトおよび指針を初期位置に戻す。このようにして、オイルパルスレンチ等の締付けトルクを簡単に測定することができる。
【特許文献1】特開2004−239681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような締付けトルク測定装置においては、オイルパルスレンチ等の先端に連結された入力軸と皿バネとの摩擦力がいつも一定とは限らず、同一条件下であっても測定する度に締付けトルクの値が異なるといった具合にその締付けトルクの測定精度が良くなかった。その要因としては、気温・室温等による周囲環境の変化や、繰り返しの測定により、入力軸の先端との摩擦による摩耗などによる皿バネのばね定数の変化が考えられる。
【0009】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造で、オイルパルスレンチによる締付けトルクをより精度良く測定することができる締付けトルク測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る締付けトルク測定装置は、締付け工具による締付けトルクを受けて回転可能な入力軸と、前記入力軸をその回転方向とは反対方向に付勢可能な付勢手段と、前記付勢手段による付勢力に抗して、前記締付けトルクを受けて回転する前記入力軸の回転角に基づいて前記締付けトルクを測定する測定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明の締付けトルク測定装置によれば、付勢手段が、入力軸をその回転方向とは反対方向に付勢し、測定手段が、付勢手段による付勢力に抗して、締付け工具による締付けトルクを受けて回転する入力軸の回転角に基づき、その締付けトルクを測定する。なおこの際、測定手段が、締付け工具による1回の打撃による最大変位を測定する。このことにより、簡単な構造で、オイルパルスレンチによる締付けトルクをより精度良く測定することができる。また、上述のように簡単な構造とすることができるので、従来の締付けトルク測定装置に比べて、低コスト且つ小型化することができる。また、上述のように締付け工具による1回の打撃による最大変位を測定するので、従来の締付けトルク測定装置に比べて、締付けトルクを測定する測定時間が短くて済み、利用者の利便性を向上させることができる。
【0012】
この場合、上述のばね手段とは、トーションバーであることが考えられる(請求項2)。このように構成すれば、トーションバーについては、同等の大きさである他の種別のバネを用いた場合に比べて、ばね定数の値のばらつきを小さくすることができることから、例えば皿バネなどの他の種別のバネを用いた場合に比べて、装置の精度を向上させることができる。また、各種のばねに比べてコンパクトに設計できるのでサイズを節約でき、省スペース化を図ることができる。
【0013】
また、上述の測定手段による測定結果を報知するように構成することが考えられる。具体的には、請求項3のように、測定手段によって測定された締付けトルクの値を報知する報知手段を備えることが考えられる。このように構成すれば、装置の外部に報知手段を別途用意する必要がなく、利用者の利便性を向上させることができる。
【0014】
また、測定手段による測定結果に基づいて締付け工具の状態を判定することが考えられる。具体的には、請求項4のように、測定手段による測定結果に基づいて、締付け工具の状態を判定する判定手段を備えることが考えられる。なお、上述の判定手段による判定結果を提示する提示手段を備えることが考えられる(請求項5)。このように構成すれば、装置の外部に判定手段や提示手段を別途用意する必要がなく、利用者の利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の締付けトルク測定装置1を示す平面図である。また、図2は、第一実施形態の締付けトルク測定装置1を示す正面図であり、図3は、第一実施形態の締付けトルク測定装置1を示す側面図である。また、図4は、第一実施形態の締付けトルク測定装置1の内部構成を示す概略説明図である。
【0016】
なお、以降、この締付けトルク測定装置1において、ケース10の底板11に対して天板12が配されている側を「上側」とし、その反対側を「下側」とする。また、ケース10において、右側板13に対して左側板14が配されている側を「左側」とし、左側板14に対して右側板13が配されている側を「右側」とする。
【0017】
[締付けトルク測定装置1の構成の説明]
図2に示すように、締付けトルク測定装置1は、ケース10と、オイルパルスレンチによる締付けトルクを受けて回転可能な入力軸20と、入力軸20をその回転方向とは反対方向に付勢可能なばね部30と、ばね部30による付勢力に抗して、オイルパルスレンチによる締付けトルクを受けて回転する入力軸20の回転角に基づいて締付けトルクを測定する測定部40と、を備える。
【0018】
以下、各構成について具体的に説明する。
[ケース10の構成の説明]
図2に示すように、ケース10は、対向するよう配置された一対の底板11および天板12を、同様に対向するよう配置された一対の右側板13および左側板14によってボルトおよびナットを用いて一体に連結するとともに、これら底板11、天板12、右側板13、左側板14を覆うように配置された、その一部が開口する箱形状に形成されたカバー17を、ビスなどによって右側板13および左側板14に連結した構成を有している。なお、底板11、天板12、右側板13および左側板14については、板状に形成された金属材料によって構成されている。また、カバー17についても金属材料によって構成されている。
【0019】
また、底板11におけるケース10が組み立てられた場合の内側の中央付近11aには、後述するばね部30の下端部30aを底板11に固定するための2つの固定部11dが対向する姿勢で取り付けられている。そして、これら2つの固定部11dの間には、後述するばね部30の下端部30aがボルトおよびナットを用いて取り付けられている。
【0020】
また、天板12の中央付近12aには挿通孔12bが形成されている。さらに、天板12におけるケース10が組み立てられた場合の内側の中央付近には、アンギュラ軸受け16が挿通孔12bと連通するように取り付けられている。
【0021】
また、図1に示すように、底板11の外周付近11bには4つの貫通孔11cが形成されている。したがって、締付けトルク測定装置1は、これら底板11の貫通孔11cを貫通したビスなどを図示しない作業台などへ取り付けることで、作業台などに固定することができる。
【0022】
また、カバー17の上部には、後述する入力軸20を挿通するための挿通孔17aが形成されている。
[入力軸20の構成の説明]
図2に示すように、入力軸20は、円柱形状に形成された金属材料によって構成されている。また、入力軸20の下端部20aには、後述するばね部30の上端部30bを挿入するための挿入孔20bが形成されている。なお、入力軸20の側面20cからは、挿入孔20bに連通するビス孔20dが形成されており、このビス孔20dにビス21を取り付けることによって、挿入孔20bに挿入されたばね部30の上端部30bを固定することができる。
【0023】
また、入力軸20の上端部20eには、天板12に取り付けられたアンギュラ軸受け16および天板12の挿通孔12bが外挿されている。このことにより、入力軸20は、アンギュラ軸受け16によって回転可能に支持されている。
【0024】
また、入力軸20の側面20cにおける前面部分20fからは、突起部20gがその半径方向に向けて突出している。
また、突起部20gには、軸状のピン22がその先端部22aが後述する測定部40の変位センサ42の方へ突出するように、突起部20gを貫通させたビス23を用いて取り付けられている。このことにより、この突起部20gおよびピン22の先端部22aは、入力軸20が回転する際に図中左右方向に移動する。
【0025】
また、入力軸20の上端部20eには、オイルパルスレンチ等の先端を取り付けるための取付孔20hが形成されている。
[ばね部30の構成の説明]
図3に示すように、ばね部30は、いわゆるトーションバーであり、その端末部のねじり負荷に対して反力を発生させるばね要素である。このばね部30は、上述のようにその下端部30aが底板11の中央付近11aに固定されるとともに、その上端部30bが入力軸20の下端部20aに固定されている。このことにより、ばね部30は、入力軸20が回転する際にはその基部30cが捻れ、この捻れを解消しようとするために入力軸20をその回転方向とは反対方向へ付勢する機能を有する。なお、ばね部30は付勢手段に該当する。
【0026】
[測定部40の構成の説明]
図4に示すように、測定部40は、入力軸20が時計回りに回転する際に左右方向に移動する突起部20gの移動量を測定する変位センサ42と、変位センサ42をケース10の底板11に固定する固定ブラケット44と、を備える。
【0027】
固定ブラケット44は、板状に形成された金属材料によって構成されている。この固定ブラケット44の下端部44aは、ケース10の底板11にビスを用いて固定されている。また、固定ブラケット44の上端部44bには、変位センサ42が2つのビス46およびナット47を用いて取り付けられている。このことにより、変位センサ42は、固定ブラケット44を介してケース10の底板11に固定されている。なお、ビス46にはスペーサー48が外挿されており、スペーサー48の枚数を増減させることによって変位センサ42の姿勢を調整することができる。
【0028】
変位センサ42には、ピン22の先端部22aを挿入させることが可能な挿入孔42aが形成されており、ピン22の先端部22aは、入力軸20の回転に伴って左右方向に移動する際に、この挿入孔42aの内部を移動可能である。
【0029】
また、変位センサ42は、入力軸20が時計回りに回転する際に左右方向に移動する突起部20g(ピン22の先端部22a)の移動量を測定することで、入力軸20の回転角度を測定する機能を有する(図5(a)参照)。また、変位センサ42は、測定結果を示す信号を外部へ出力するための端子(図示省略)を備えている。
【0030】
[締付けトルク測定装置1の動作の説明]
次に、締付けトルク測定装置1の動作を、図4および図5を参照しながら説明する。なお、図5は第一実施形態の締付けトルク測定装置1の動作を示す概略説明図である。
【0031】
まず、図示しないオイルパルスレンチの先端を入力軸20に取り付ける。具体的には、オイルパルスレンチの先端を入力軸20の上端部20eの取付孔20hに挿入する。そして、オイルパルスレンチを作動させる。すると、オイルパルスレンチが発生させた打撃によって入力軸20が時計周りに回転する。入力軸20が時計周りに回転すると、入力軸20の突起部20gが図4中の左方向に移動して変位センサ42の挿入孔42aに挿入される。また、このように入力軸20が時計周りに回転すると、ばね部30の基部30cが捻れ、この捻れを解消しようとするために入力軸20をその回転方向とは反対方向へ付勢する。この際、変位センサ42が、入力軸20の突起部20g(ピン22の先端部22a)の左方向への移動量を測定することで、入力軸20の回転角度を測定する(図5(a)参照)。つまり、変位センサ42が、オイルパルスレンチによる1回の打撃による最大変位を測定する。
【0032】
また、オイルパルスレンチの作動とは断続的な打撃力によって構成されるため、上述のばね部30による付勢力により、入力軸20が反時計回りに回転して元の位置に戻る(図5(b)参照)。
【0033】
つまり、オイルパルスレンチが作動している間には、オイルパルスレンチが断続的な打撃力を発生させた際には上述のように入力軸20が時計回りに回転し、一方、オイルパルスレンチが断続的な打撃力を発生させていない際には上述のようにばね部30の付勢力によって入力軸20が反時計回りに回転するという動作を繰り返すこととなる。
【0034】
次に、変位センサ42によって測定された回転角度から、ばね部30に加わるトルク値を算出する。なお、本実施形態では、ばね部30の静的トルク特性を予め測定しておき、上述の回転角度をトルク値へ換算するための換算データを算出しておく。そして、実測された回転角度に対する相当トルク値を上述の換算データを用いて演算することで測定対象の締付けトルク値を決定する。また、本実施形態では、変位センサ42として、小さな変位量を電気的に測定可能な電磁誘導タイプの変位計を用いている。
【0035】
[第一実施形態の効果]
(1)このように第一実施形態の締付けトルク測定装置1によれば、ばね部30が、入力軸20をその回転方向とは反対方向に付勢し、測定部40の変位センサ42が、ばね部30による付勢力に抗して、オイルパルスレンチによる締付けトルクを受けて回転する入力軸20の回転角に基づき、その締付けトルクを測定する。なおこの際、測定部40の変位センサ42が、オイルパルスレンチによる1回の打撃による最大変位を測定する。このことにより、簡単な構造で、オイルパルスレンチによる締付けトルクをより精度良く測定することができる。
【0036】
また、上述のように簡単な構造とすることができるので、従来の締付けトルク測定装置に比べて、低コスト且つ小型化することができる。また、上述のように、測定部40の変位センサ42が、オイルパルスレンチによる1回の打撃による最大変位を測定するので、従来の締付けトルク測定装置に比べて、締付けトルクを測定する測定時間が短くて済み、利用者の利便性を向上させることができる。
【0037】
(2)また、第一実施形態の締付けトルク測定装置1によれば、ばね部30がいわゆるトーションバーにて構成されている。このことにより、トーションバーについては、同等の大きさである他の種別のバネを用いた場合に比べて、ばね定数の値のばらつきを小さくすることができることから、例えば皿バネなどの他の種別のバネを用いた場合に比べて、締付けトルク測定装置1の精度を向上させることができる。また、各種のばねに比べてコンパクトに設計できるのでサイズを節約でき、省スペース化を図ることができる。
【0038】
(3)また、第一実施形態の締付けトルク測定装置1によれば、ばね部30による付勢力に抗して測定対象のトルクによって回転する入力軸20の回転変位を、突起部20gにおける直線変位に変換するとともに、その直線変位を電子誘導型の変位計を用いて電気量(電圧)に変換し、そのトルク値を示す電気量を換算データを用いて演算することで測定対象の締付けトルク値を決定する。つまり、本第一実施形態の締付けトルク測定装置1によれば、測定対象のトルクによって発生した変位を電気的に計測するため、従来のような回転トルクを歪みゲージで測定して電気的な校正を行うことでトルク値を直接的に算出する手法に比べて、必要とする電気回路や測定機器が極めて簡単な構成にもかかわらず正確なトルク値を測定でき、且つ製品構成を低価格に設定できる。
【0039】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように様々な態様にて実施することが可能である。
【0040】
(1)上記実施形態の締付けトルク測定装置1が、測定部40による測定結果を報知する手段や、オイルパルスレンチによる締付けトルクが適切であると判定する手段、判定結果を提示する手段を、備えるようにしてもよい。
【0041】
具体的には、締付けトルク測定装置1が、測定部40による測定結果などを報知する報知・判定装置50を備える。
[報知・判定装置50の構成の説明]
図6に例示するように、報知・判定装置50は、筺体51と、制御部53と、電源部54と、電源スイッチ55と、5つのLEDにて構成され、測定部40による測定結果を表示可能な測定結果表示部56と、2つのLEDにて構成され、測定部40による測定結果の適否を判定した判定結果を表示可能な判定結果表示部57と、リセットスイッチ58と、を備える。また、上述の制御部53には、電源部54、電源スイッチ55、測定結果表示部56、判定結果表示部57、およびリセットスイッチ58が接続されている。また、制御部53には、測定部40の変位センサ42が接続されている。
【0042】
筺体51は、箱状に形成された金属材料で構成されており、その内部に制御部53および電源部54を収容可能に構成されている。また、筺体51は、スイッチ55、測定結果表示部56および判定結果表示部57がその上部に取り付けられている。また、筺体51の上部には、「電源スイッチ」や、「判定」、「リセット」、トルク(N・m)」などの表示が為されている(図6参照)。
【0043】
制御部53は、CPUやROM、RAMなどによって構成された通常のコンピュータなどである。この制御部53は、測定部40による測定結果を測定結果表示部56に表示させる機能を有する。具体的には、制御部53は、変位センサ42からの出力信号に基づき、測定部40による測定結果に応じて、測定結果表示部56を構成するLEDのうち点灯させるLEDを制御する。一例を挙げると、測定部40による測定結果が30(N・m)である場合には、制御部53が、測定結果表示部56を構成するLEDのうち図中左から数えて三つ目までのLEDを政党させるといった具合である。
【0044】
また、この制御部53は、オイルパルスレンチによる締付けトルクの適否を判定し、その判定結果を判定結果表示部57に表示させる機能を有する。具体的には、制御部53は、変位センサ42からの出力信号に基づくオイルパルスレンチによる締付けトルクの値が設定値よりも大きいと判断する。締付けトルクの値が設定値よりも大きいと判断した場合には、制御部53は、オイルパルスレンチによる締付けトルクが適切であると判定して、判定結果表示部57の適切を示すLED57aを点灯させる。一方、締付けトルクの値が設定値よりも小さいと判断した場合には、制御部53は、オイルパルスレンチによる締付けトルクが不適切であると判定して、判定結果表示部57の不適切を示すLED57bを点灯させる。
【0045】
また、制御部53は、リセットスイッチ58が操作された場合には、設定値を初期状態に戻す機能を有する。
電源スイッチ55は、電源部54から制御部53などへ電力を供給される状態と供給されない状態とを切り替える機能を有する。
【0046】
このようにすれば、測定結果を報知する手段や、オイルパルスレンチによる締付けトルクが適切であると判定する手段、判定結果を提示する手段を、締付けトルク測定装置1の外部に別途用意する必要がなく、利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第一実施形態の締付けトルク測定装置を示す平面図である。
【図2】第一実施形態の締付けトルク測定装置を示す正面図である。
【図3】第一実施形態の締付けトルク測定装置を示す側面図である。
【図4】第一実施形態の締付けトルク測定装置の内部構成を示す概略説明図である。
【図5】(a)は第一実施形態の締付けトルク測定装置の動作を示す概略説明図(1)であり、(b)は第一実施形態の締付けトルク測定装置の動作を示す概略説明図(2)である。
【図6】他の実施形態の締付けトルク測定装置の報知・判定装置を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1…締付けトルク測定装置、10…ケース、11…底板、11a…底板の中央付近、
11b…底板の外周付近、11c…貫通孔、11d…固定部、12…天板、
12a…天板の中央付近、12b…挿通孔、13…右側板、14…左側板、
16…アンギュラ軸受け、17…カバー、17a…挿通孔、
20…入力軸、20a…入力軸の下端部、20b…挿入孔、20c…入力軸の側面、
20d…ビス孔、20e…入力軸の上端部、20f…入力軸の前面部分、
20g…突起部、20h…取付孔、21,23…ビス、22…ピン、
22a…ピンの先端部、30…ばね部、30a…ばね部の下端部、
30b…ばね部の上端部、30c…ばね部の基部、
40…測定部、42…変位センサ、42a…変位センサの挿入孔、
44…固定ブラケット、44a…固定ブラケットの下端部、
44b…固定ブラケットの上端部、46…ビス、47…ナット、48…スペーサー、
50…報知・判定装置、51…筺体、53…制御部、54…電源部、55…スイッチ、
55…電源スイッチ、56…測定結果表示部、57…判定結果表示部、
58…リセットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付け工具による締付けトルクを受けて回転可能な入力軸と、
前記入力軸をその回転方向とは反対方向に付勢可能な付勢手段と、
前記付勢手段による付勢力に抗して、前記締付けトルクを受けて回転する前記入力軸の回転角に基づいて前記締付けトルクを測定する測定手段と、
を備えることを特徴とする締付けトルク測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の締付けトルク測定装置において、
前記ばね手段とはトーションバーであることを特徴とする締付けトルク測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の締付けトルク測定装置において、
前記測定手段によって測定された前記締付けトルクを報知する報知手段を備えることを特徴とする締付けトルク測定装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の締付けトルク測定装置において、
前記測定手段による測定結果に基づいて前記締付け工具の状態を判定する判定手段を備えることを特徴とする締付けトルク測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の締付けトルク測定装置において、
前記判定手段による判定結果を提示する提示手段を備えることを特徴とする締付けトルク測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−237311(P2007−237311A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61549(P2006−61549)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】