説明

締結装置

締結装置は、ねじ山部(2)とシャフト部(3,23)を備えるねじ(1,21)を有し、シャフト部(3,23)は、工具を挿入するためのリセス(4)を自由端に有し、さらに、雄ねじ(7)と拡大したリム部(8)を備えるスリーブ(6,26)を有し、スリーブ(6,26)は、第2の工具を配置するための手段を有する。ねじ(1,21)は、一端に拡大されたヘッド部(5)を有する硬化可能な綱からなるロッド状のスクリューブランクから形成される。スリーブ(6,26)は、他方の端部からスクリューブランクに取付可能であり、ヘッド部(5)上にまたはヘッド部(5)に対向して配置可能なステップを有する。シャフト部(3,23)は、押し込まれるスリーブ(6,26)用の支持部(16,22)を有するように設計され、この支持部(16,22)は、ねじ(1,21)および/またはスリーブ(6,26)が回転可能となるように、スリーブ(6,26)をシャフト部(3,23)上に保持するためにスクリューブランクの変形により形成可能である。締結装置は、コンクリート、煉瓦、金属などの塊状の材料に直接ねじ込むのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、煉瓦、綱などの塊状の基部や材料への固定用の締結装置に関し、この締結装置は、ねじ山部と、自由端に工具を挿入するためのリセスが形成されたシャフト部と、を備えるねじと、雄ねじを備えるスリーブと、を有し、このスリーブは、径方向に拡大したリム部を有し、このリム部には第2の工具を配置するための手段が形成されており、該スリーブは、シャフト部に押し込み可能でかつシャフト部に回転可能に設けられているとともに、ねじおよび/またはスリーブを回転することができるように軸方向に保持されている。
【背景技術】
【0002】
このような締結装置は、特許文献1により知られている。周知の実施例では、スリーブは、シャフト部の自由端からシャフト部に取付可能であり、一方の端部ではシャフト部のカラーにより保持され、他方の端部ではシャフト部のビード部分によりシャフト部に保持される。このような冷間プロセスにおけるシャフトの自由端のビーディングによるスリーブへの固定は、硬化できない特定の綱合金を要する。よって、周知のねじは、切削機能を有する硬化されたねじ山を有しておらず、コンクリート、煉瓦、金属などの硬い材料に直接設置するために使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0476466号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題に対する解決法を提供するものである。本発明は、コンクリート、煉瓦、綱などに直接ねじ込むことができる締結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題に対する第1の解決法は、上述した種類の締結装置であって、ねじが、硬化可能でかつシャフト部の自由端に径方向に拡大したヘッド部を有する鋼製のロッド状スクリューブランクによって形成され、スリーブが他方の端部からスクリューブランクに取付可能であり、かつリム部にシャフト部のヘッド部に対向して配置可能な座部を有し、シャフト部(3,23)が支持部を有するように設計され、この支持部は、スクリューブランクの変形によって、スリーブをシャフト部に保持するためにリム部とは反対側のスリーブの端部に向かって拡大されており、ねじは取り付けられたスリーブとともに硬化可能となっている締結装置によって提供される。
【0006】
この問題に対する第2の解決法は、ねじが硬化綱によって形成され、シャフト部がリング状の溝を有し、スリーブがリム部の反対側の端部に溝と係合してスリーブをシャフト部に保持する内向きのリング状突出部を有することを特徴とする締結装置によって提供される。
【0007】
請求項2〜12には、締結装置および締結装置の製造方法に関するさらなる改良や有利な実施例が記載されている。
【0008】
本発明は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】締結装置の第1の実施例の長手方向断面図である。
【図2】締結装置の第2の実施例の長手方向断面図である。
【図3】締結装置の第3の実施例の長手方向断面図である。
【図4】締結装置の第4の実施例の長手方向断面図である。
【図5】予切削端の別の設計を示す図1と類似する長手方向断面図である。
【図6】予切削端の別の設計を示す図2と類似する長手方向断面図である。
【図7】支持部の別の設計を示す図2と類似する長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す実施例は、ねじ山部2と、自由端に図示省略の工具を挿入するためのリセス4を有するシャフト部3と、を備えるねじ1を有し、シャフト部上に配置されたスリーブ6をさらに有する。リセス4は、図示のような六角穴、トルクスリセス、または十字スロットとして形成可能である。
【0011】
スリーブ6は、ねじ1のねじ山部2とピッチが同じ雄ねじ7を有するとともに、一端に径方向に拡大したリム部8を有し、リム部8には図示省略の第2の工具との係合のためのスロット9が設けられている。図示の例では、リム部8は、スリーブ6の雄ねじ7の直径に実質的に対応する直径を有しうる。
【0012】
ねじ1は、硬化可能な鋼製であり、ロッド状の円筒形スクリューブランクから形成される。スクリューブランクは、ねじ山部2に設けられたねじの谷径に実質的に対応する直径を有するとともに、ねじ1の先端部48から離れたシャフト部3の自由端に径方向に拡大したヘッド部5を有するように設計される。ヘッド部5には、スリーブ6用の円錐状支持面11が設けられている。スリーブ6は、スクリューブランクの他方の端部からまだ加工されていないねじ山部2を通してシャフト部3に取り付けることができる。スリーブのリム部8には、円錐状のステップが設計されており、このステップがシャフト部のヘッド部5を受け入れるとともに支持面11上に配置される。スリーブ6は、図示の例では、硬化不能なもしくは硬化を意図していない鋼製とすることができる。
【0013】
シャフト部3は、支持部10を有するように設計され、この支持部10は、スクリューブランクの変形により形成可能であるとともに、シャフト部3にスリーブ6を保持するように、ねじ山部2に隣接するスリーブ6の端部に向かって拡大している。図示の例では、支持部10は、スクリューブランクに設けられた少なくとも1つのねじ山によって形成される。スリーブ6に関連する少なくとも2つのスクレイパー溝をねじ山に設けてもよい。図示の例では、3つのスクレイパー溝12が周方向で食い違うように設けられている。
【0014】
リム部8とは反対側のスリーブ6の端部には、少なくとも2つの第1の予切削端14、図示の例では4つの予切削端14が設けられており、これらの予切削端14は、支持部10に向けられているとともにそれぞれ切取部15に形成されている。より詳細には、第1の予切削端14は、ねじ1の長手方向軸を含む軸方向の平面内でかつ円錐面上に位置する。また、第1の予切削端14は、上記の円錐面に実質的に螺旋状に設けるか、もしくは斜めに設けることもできる。
【0015】
このような螺旋状もしくは斜めの位置が選択された場合には、第1または第2の予切削端の前端部または先端部、すなわちねじ山部2の先端部に最も近い端部は、ねじ山に沿ってねじの先端部48に向かって移動するときに、後端または終端、すなわち第1または第2の工具に係合する締結装置の端部に最も近い端部に対して、ねじ山の方向に前進することが好ましい。このような好適な方向付けは、締結装置の全ての実施例の全ての予切削端もしくは切削端に適用される。スリーブ6を備えるシャフト部3の支持部10と、ねじ山部2のねじ山とは、それぞれ独立した圧延プロセス、もしくは図示の実施例で想定されるように共通の圧延プロセスでスクリューブランクに形成可能である。次の行程では、上述のように形成されたスリーブ6を備えるねじ1は硬化される。さらなる行程では、腐食防止のために少なくともねじ山部2の領域、そして必要に応じて支持部10の領域において、ねじ1にガルバニックコーティングを施すことができる。
【0016】
図1に示すように、スリーブ6は、一方側ではシャフト部3の支持面11によって、また、他方側では支持部10によって、シャフト部3に回転可能に保持されており、かつねじ1とスリーブ6とを関連する2つの工具によって一緒にもしくは個々に回転することができるように軸方向に保持されている。
【0017】
開示された締結装置は、コンクリート、煉瓦、綱などに直接ねじ込む、すなわちドエルを使用せずにねじ込むためのものである。図示の実施例は、部分的に図示された木製の取付部品18を、同様に部分的に図示されたコンクリート製の支持部品19に固定するのに役立つ。スリーブ6を備えるねじ1は、この構成では、取付部品18を通して支持部品19に設けられたボアにねじ込まれる。ボアの直径は、ねじ山部2の谷径に対応する。シャフト部3の支持部10が取付部品18の外面に突き当たると、ねじ1とスリーブ6とのさらなる回転に応じて、取付部品18を貫通する孔の部分が支持部10に設けられたスクレーパ溝12およびスリーブ6の端部に設けられた第1の予切削端14によって、スリーブ6の雄ねじ7の谷径に対応する直径まで拡大し、これにより、スリーブ6を取付部品18に容易にねじ込むことが可能となる。スリーブ6のリム部8が取付部品18の外面に突き当たると、第1の予切削端14によって形成されたボアは、ねじ1およびスリーブ6のさらなる回転により、スリーブ6に形成された第2の切削端17によってリム部8の直径に対応する直径まで拡大され、これにより、取付部品18の外面と同一平面上に締結装置を取り付けることが可能になる。
【0018】
図2の締結装置の製造にも使用可能な図1の締結装置の一般的に好適な製造方法は、以下の通りである。
【0019】
図1(または図2)などに示す、ねじ山部2とシャフト部3を有し、かつ硬化可能な材料、好ましくは予穿孔されたコンクリート、予穿孔された煉瓦、予穿孔された綱の少なくとも1つに直接ねじを形成する動作を可能にする程度まで硬化可能な材料によって製造されるねじのために、全体としてロッド状のブランクが使用される。工具収容特徴部4を含むヘッド部5が、後にねじ山部の端部に対応するスクリューブランクの端部から離れたシャフト部の端部に形成される。ヘッド部は、ねじ山部2の谷径に対して拡大される。続いて、予製造されたねじ付スリーブ6が、ブランクの先端部すなわち後のねじ山部2の先端部に対応する端部からシャフト部上に配置される。その後、スリーブ保持部10が、スリーブの前端すなわち上述の先端部に隣接するスリーブの端部に隣接してねじに形成される。ねじ山が、続いてもしくは同時にねじ山部2に形成され、その後でねじ1が硬化される。
【0020】
続く図面には、対応する部品が示されており、適切な場合すなわち部品が実質的に変更されていない場合には、反対の記載がない限り、先の図面の符号と同一の符号が用いられ、同じ説明が適用される。
【0021】
図2に示す実施例は、改良されたシャフト部23を備えるねじ21および改良されたスリーブ26を有する点で図1の実施例とは異なる。シャフト部23は、支持部22を有するように設計されており、この支持部22は、スクリューブランクの変形により形成可能であり、取り付けられたスリーブ26のリム部8とは反対側の端部に向かって円錐状に拡大されている。支持部22は、スリーブ26をシャフト部23上に保持するために、スリーブ26の雄ねじ7の谷径に向かって実質的に延びている。シャフト部23には、スリーブ26と関連して少なくとも2つの第1の予切削端24、図示の例では4つの予切削端24が設けられており、これらの予切削端24は、ねじ山部2に隣接して支持部22の切取部25に形成されている。
【0022】
スリーブ26を備えるシャフト部23の支持部22と、ねじ山部2のねじ山とは、独立した圧延プロセスもしくは図示の実施例のように共通の圧延プロセスでスクリューブランクに形成可能である。次の行程では、上述のように形成されたスリーブ26を備えるねじ21は硬化される。さらなる行程では、腐食防止のために少なくともねじ山部2の領域、そして必要に応じて支持部22の領域において、ねじ21にガルバニックコーティングを施すことができる。
【0023】
ねじ21が取付部品18および支持部品19に設けられた孔にねじ込まれるときに、シャフト部23の支持部22が取付部品18の外面に突き当たると、ねじ21とスリーブ26とのさらなる回転に応じて、取付部品18を貫通する孔の部分が支持部22に設けられた第1の予切削端24によって、スリーブ26の雄ねじ7の谷径に対応する直径まで拡大し、これにより、スリーブ26を取付部品18に容易にねじ込むことが可能となる。
【0024】
ねじ21が図1のスリーブ6を備える実施例も可能である。
【0025】
図3に示す実施例は、ねじ山部32とシャフト部33を備えるねじ31を有し、シャフト部33は、第1の工具が配置されるリセス4とともにリング状の溝35を有する。締結装置は、さらにスリーブ36を有し、このスリーブ36は、ねじ山部32の先端部から離れたシャフトの自由端からシャフト部33に取り付けることができる。スリーブ36は、ねじ31のねじ山部32と同じピッチの雄ねじ7と、一方の端部における径方向に拡大したリム部38と、他方の端部における内向きのリング状突出部30と、を有し、リング状突出部30は、圧延工程などによってシャフト部33の溝35に挿入可能である。リム部38には、第2の工具が配置されるスロット39が設けられており、リム部38は、図示のようにスリーブ36の雄ねじ7の直径に実質的に対応する直径を有する。少なくとも2つの予切削端37、図示の例では4つの予切削端37が、スリーブ36の雄ねじ7に隣接して拡大されたリム部38に設けられている。各々の予切削端37は、スロット39の1つに設けられている。
【0026】
ねじ31は、硬化綱から形成される。図示の例では、ねじ山部32は、スリーブ36の雄ねじ7の直径に対応する直径を有しうる。ねじ山部32の先端部から離れた端部におけるシャフト部33の自由端は、円錐状に先細となったスリーブ36用支持面34を有するように設計されている。スリーブ36の内側面は、支持面34上に配置可能な対応する円錐状の突出部を備える。スリーブ36は、硬化されていない綱で形成可能である。
【0027】
図3に示すように、スリーブ36は、一方側ではシャフト部33の支持面34によって保持されており、他方側では溝35に係合するリング状突出部30によって保持されている。また、スリーブは、リセス4およびスロット39にそれぞれ関連する工具によって、ねじ31とスリーブ36とを一緒にまたは独立して回転することができるように、シャフト部33上に回転可能に設けられているとともに軸方向では固定されている。
【0028】
実際には、圧延によって形成可能でかつ溝35に係合する径方向内向きのリング状突出部30によって、スリーブ36を軸方向に固定するとともにスリーブ36とねじ31との相対的な回転を許容することができるため、シャフト部33の円錐状の端面34とスリーブ36の相補的な円錐状の接触面は省略することができる。
【0029】
この実施例では、スリーブ36を備えるねじ31は、取付部品18を通して支持部品19に設けられたボアにねじ込まれる。ボアの直径は、ねじ山部32の谷径およびスリーブ36の雄ねじの谷径にそれぞれ対応する。
【0030】
図4に示す実施例は、ねじ41がシャフト部43を備え、このシャフト部が溝35を境界づける径方向に拡大した(ねじ41のねじ山部42の外形に対して径方向に拡大した)端部44を有し、この端部44の直径がスリーブ36の雄ねじ7の谷径と実質的に対応する点で図3の実施例とは異なる。ねじ山部42は、端部44に隣接し、かつ端部44よりも直径が小さい。シャフト部43には、ねじ山部42に面する少なくとも2つの第1の予切削端45が設けられており、各々の予切削端45は、端部44に軸方向に設けられた切取部46に位置する。ねじ41も、硬化綱からなる。ねじ山部42は、スリーブ36の雄ねじ7のピッチと同じピッチを有するように設計される。
【0031】
この実施例では、スリーブ36を備えるねじ41は、取付部品18を通して支持部品19に設けられたボアにねじ込まれる。孔の直径は、ねじ山部42の谷径に対応する。シャフト部43の端部44が取付部品18の外面に突き当たると、ねじ41のさらなる回転に応じて、シャフト部43の予切削端45によって取付部品18を通るボアの部分が、スリーブ36の雄ねじ7の谷径に対応する直径まで拡大し、これにより、スリーブ36を取付部品18に容易にねじ込むことが可能となる。
【0032】
上述の実施例により、特に、スタッドを使用せずに、有利でかつ単純な方法でコンクリート、煉瓦、綱などの硬い材料に締結装置をストレスなく直接設置し、取付部品18と支持部品19との間に信頼性の高い永久接続部を得ることができる。
【0033】
図3,図4の締結装置は、それぞれ以下の方法によって形成可能である。
【0034】
第1に、好ましくはロッド状(円筒状)のブランクを用意し、このブランクは、好ましくは予穿孔されたコンクリート、予穿孔された煉瓦、予穿孔された綱の少なくとも1つに直接ねじを形成する動作が可能となる程度まで硬化可能である硬化可能な材料で形成されたものである。
【0035】
続いて、工具収容特徴部4を含むヘッド部が、冷間形成プロセスなどによってブランクに形成され、ねじ山部32,42とシャフト部33,43との間またはシャフト部に溝35が形成される。
【0036】
ねじ山が、圧延プロセスなどによって続いてもしくは同時にねじ山部32,42に形成され、その後でねじ31,41が硬化される。
【0037】
この方法は、予製造されたねじ付スリーブ36をシャフト部上に配置し、続いてスリーブの部分30を溝35内に変形させる追加のステップを含む。このスリーブ配置ステップは、ねじ山部32,42にねじを形成する前または後で、かつねじ31,41を硬化する前または後で実施可能である。
【0038】
次に図5を参照すると、図1の締結装置の改良例が示されており、第1と第2の予切削端14,16が図1のように軸方向平面内ではなく螺旋状に設けられている。すなわち、図5は、図1の代替例として上述した第1および第2の予切削端14,16の螺旋状すなわち傾斜した配置およびスリーブ6の表面との交差部において予切削端を画定するそれぞれの溝15,17の対応する螺旋状すなわち傾斜した配置を示している。
【0039】
図6は、図2の締結装置の改良例を示しており、スリーブ26の雄ねじ7が、ねじ山部2の先端部に隣接する前端部と拡大されたリム部との間で、スリーブの軸方向長さの大部分にわたって螺旋状または軸方向に延びる溝50を有している。実際には、溝50は、実質的に第1の予切削端24の軸方向延長部をなし、第2の予切削端まで延びてもよい。軸方向または螺旋状に延びる溝50の同様の構成は、図5の実施例や図3,図4の実施例で用いることもできる。
【0040】
つまり、第2の予切削端17は、スリーブ6,26の拡大されたリム部の前部に、全体として螺旋状または軸方向に延在する溝50によって形成することができ、スリーブ6,26のねじ山部7の螺旋状または軸方向に延びる溝50は、選択的に支持部10に隣接してもしくは支持部22上に設けられた第1の予切削端14,24と整列されて、第1の予切削端に連続する部分をなしてもよい。よって、溝50は、スリーブ6,26の面との交差部において、連続する切削端をなす。溝50は、さらに、設置部品18から切断される廃棄材料をより良好に導くように機能する。溝50は、特に、本出願人が有する欧州特許第0870118号に記載の方法で形成可能である。
【0041】
より詳細には、溝またはノッチ50は、スリーブ6,26のねじ山7に形成され、ねじ1,21の長手方向軸に対して約15°である好適な角度で延びる直線上に実質的に位置する。予切削端14,24,16が螺旋状に傾斜している場合には、溝またはノッチ50も、好ましくは同じ角度で傾斜して設けられる。4つの溝またはノッチの列が設けられることが好ましく、同じ配列でスリーブの周囲に等間隔で配置される。溝がスリーブのねじ山7のみと交差する場合には、不連続なノッチと考えることができるが、連続する溝を形成するように溝をねじ山7の谷径よりも深く形成することもできる。
【0042】
不連続なノッチが形成されるように溝が設計される場合には、これらのノッチは全体としてねじ山7の谷径に頂点(最も深い点)を有する三角形状となり、一方の側面が径方向に延びるとともに他方の側面が実質的に接線方向に延びる。
【0043】
ノッチはまた、切削端をなし、これらの切削端は特に有利に取付部品へのスリーブ6,26の挿入を容易にする。
【0044】
図7は、締結装置のさらに別の実施例を示している。この実施例のシャフト部23の支持部22は、ローレット加工/エングレーリング、特にクロスローレット加工によって形成される。ローレット加工は、スリーブ26が締結装置のシャフト部23に配置された後で実施される。この処理により、ローレット加工部分の直径が増加し、スリーブ26がシャフト部23から滑り落ちるのが防止される。クロスローレット加工された支持部22を形成した後、締結装置の材料を硬化するために硬化プロセスにさらすことができる。
【0045】
支持部22のローレット加工は、締結装置を支持部品19にねじ込むときに摩擦/予切削効果を有する。
【0046】
上述の全ての締結装置は、コンクリート、煉瓦、特に綱である金属などの塊状の基部や材料への固定に適している。この意味では、木材やプラスチックも塊状の材料である。取付部品も、あらゆる材料、特に上述したいずれの材料でも形成可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結装置であって、ねじ山部(2,32,42)と、工具を挿入するためのリセスが自由端に形成されたシャフト部(3,23,33,43)と、を備えるねじ(1,21,31,41)と、雄ねじ(7)を備えるスリーブ(6,26,36)と、を有し、スリーブは、第2の工具を配置するための手段が形成されたリム部を有し、該スリーブは、シャフト部(3,23,33,43)に押し込み可能でかつシャフト部上で回転可能であるとともに、ねじおよび/またはスリーブを回転することができるように軸方向に保持されている締結装置において、
ねじ(1,21,31,41)は、鋼製でかつシャフト部(3,23,33,43)の自由端に形成されたヘッド部(5)を有するスクリューブランクから形成され、スリーブ(6,26,36)は、前記リム部(8)に座部を備えており、シャフト部(3,23,33,43)は、支持部(10,22,44)を備えるように設計されており、この支持部は、スクリューブランクの変形によって、シャフト部(3,23,33,43)上にスリーブ(6,26,36)が保持されるように、前記リム部(8)の反対側に位置するスリーブ(6,26,36)の端部に向かって拡大しており、スリーブ(36)またはねじ(1,21,31,41)とスリーブ(6,26,36)の両方に、切削端(12,14,16,24,16,37、45,37,16,24,50)が設けられていることを特徴とする締結装置。
【請求項2】
コンクリート、煉瓦、綱などの塊状の基部または材料への固定のために使用される請求項1記載の締結装置において、
ねじ(31,41)は、硬化綱から形成され、シャフト部(33,43)は、リング状の溝(35)を有し、スリーブ(36)は、該スリーブ(36)をシャフト部(33,43)上に保持するように、前記リム部(38)とは反対側に位置する端部に内向きに延びて前記溝(35)と係合するリング状突出部(30)を有することを特徴とする締結装置。
【請求項3】
少なくとも2つの第1の切削端(14)が支持部(10)に隣接して、スリーブ(6)のリム部(8)とは反対側の端部に設けられており(図1)、前記切削端は、ねじ(1)の長手方向軸を含む軸方向平面内で円錐面上に位置するか、もしくは前記円錐面上に実質的に螺旋状に設けられているか該円錐面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1記載の締結装置。
【請求項4】
少なくとも2つの第1の切削端(24)が、ねじ山部(2)に隣接して前記支持部(22)に設けられているとともに(図2)、取付部品に孔を切削するように設計されており、該孔は、スリーブ(26)の雄ねじ(7)の谷径に実質的に対応する直径を有し、前記切削端(24)は、ねじ(1)の長手方向軸を含む軸方向平面内で円錐面上に位置するか、前記円錐面上に実質的に螺旋状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の締結装置。
【請求項5】
スリーブの雄ねじ(7)は、ねじ山部(2)の先端部に隣接するスリーブの前端と該スリーブの拡大されたリム部との間において、スリーブの軸方向長さの大部分にわたって螺旋状または軸方向に延びる溝(59)またはノッチを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の締結装置。
【請求項6】
第2の切削端(16)が、スリーブ(6,26)の径方向に拡大したリムの前部に設けられていることを特徴とする請求項5記載の締結装置。
【請求項7】
第2の切削端は、前記の螺旋状または軸方向に延びる溝(50)の延長部によって形成されていることを特徴とする請求項6記載の締結装置。
【請求項8】
スリーブのねじ山部における前記の螺旋状または軸方向に延びる溝(50)は、前記支持部(10)に隣接して、または前記支持部(10)上でスリーブ(6)に設けられた第1の切削端(14,24)と整列して第1の切削端に連続する部分を形成していることを特徴とする請求項6または7に記載の締結装置。
【請求項9】
シャフト部(43)は、ねじ山部(42)に対して拡大しており、かつねじ(41)の先端部に隣接するねじ付スリーブ(36)の前端の前方の溝(35)を境界づける部分(44)を有し、前記拡大した部分(44)の直径が、スリーブ(36)の雄ねじ(7)の谷径に対応するとともに、ねじ(41)のねじ山部(42)の直径が、前記端部(44)よりも小さいことを特徴とする請求項2記載の締結装置。
【請求項10】
少なくとも2つの第2の切削端(45)が、ねじ山部(42)に隣接して前記拡大された部分(44)に設けられているとともに、取付部品に孔を切削するように設計されており、該孔は、スリーブ(26)の雄ねじ(7)の谷径に実質的に対応する直径を有し、第1の切削端(24)は、ねじ(1)の長手方向軸を含む軸方向平面内に位置するか、前記拡大された部分(44)の表面に螺旋状に設けられていることを特徴とする請求項9記載の締結装置。
【請求項11】
雄ねじ(7)に面する少なくとも2つの第2の切削端(16,37)が、スリーブ(6,26,36)のリム部(8,38)に設けられているとともに、取付部品にスリーブ(6,26,36)の拡大されたリム部を受け入れる孔を切削するように設計されており、該孔は、前記拡大されたリム部に実質的に対応する直径を有し、第2の切削端(16,37)は、ねじ(1)の長手方向軸を含む軸方向平面内の円錐面上に位置するか、前記円錐面に実質的に螺旋状に設けられているか該円錐面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の記載の締結装置。
【請求項12】
第1の切削端(14,24)、第2の切削端(16,37)および追加の切削端(50)の少なくとも1つを有し、いずれの切削端も、ねじ付スリーブ(6)の前端、前記支持部(22)、前記拡大されたリム部(8,38)およびねじ付スリーブ(6,26,36)の対応するものに沿って設けられた溝(15,25,39,50)の径方向外側端部によって画定されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の締結装置。
【請求項13】
シャフト部(21)上にスリーブを保持するために、シャフト部(21)にローレット加工またはエングレーリングされた領域が設けられており、前記ローレット加工またはエングレーリングされた領域は、摩擦または切削効果を有することを特徴とする請求項1記載の締結装置。
【請求項14】
シャフトは、予穿孔されたコンクリート、予穿孔された煉瓦、予穿孔された綱の少なくとも1つに直接ねじを形成する動作を許容する程度まで硬化された材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の締結装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の締結装置の形成方法であって、
ねじ山部(2)とシャフト部(3,23)とを有し、かつ予穿孔されたコンクリート、予穿孔された煉瓦、予穿孔された綱の少なくとも1つに直接ねじを形成する動作を許容する程度まで硬化可能な材料で形成されたねじ用のブランクを用意し、工具収容特徴部(4)を含むヘッド部(5)を形成し、該ヘッド部は、ねじ山部(2)の谷径に関連して拡大されており、続いて、予製造したねじ付スリーブ(6,26)を前記ブランクの先端部、すなわちねじ山部(2)に後でねじが設けられる先端部に対応する端部を通してシャフト部上に配置し、次に、スリーブの自由端に隣接してねじにスリーブ保持部(10,22)を形成し、続いてまたは同時に、ねじ山部(2)にねじを形成し、その後でねじを硬化するステップをそれぞれ含むことを特徴とする締結装置の形成方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の締結装置の形成方法であって、
ねじ山部(32,42)とシャフト部(33,43)とを有し、かつ予穿孔されたコンクリート、予穿孔された煉瓦、予穿孔された綱の少なくとも1つに直接ねじを形成する動作を許容する程度まで硬化可能な材料で形成されたねじ用のブランクを用意し、工具収容特徴部(4)を含むヘッド部を前記ブランクに形成し、ねじ山部(32,42)とシャフト部(33,43)との間または該シャフト部に溝(35)を形成し、続いてまたは同時に、ねじ山部(32,42)にねじを形成し、その後でねじを硬化するステップをそれぞれ含み、前記方法は、さらに、予製造したねじ付スリーブ(36)をシャフト部上に配置し、続いて、スリーブの一部(30)を溝内に変形させる追加のステップを含み、スリーブを配置するステップは、ねじ山部(32,42)にねじを形成する前または後でかつねじの硬化の前または後に実施されることを特徴とする締結装置の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−504214(P2012−504214A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528258(P2011−528258)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007024
【国際公開番号】WO2010/037535
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
【出願人】(511080096)
【Fターム(参考)】