編組層を備えた膨張式構造体
経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、脈管ステント又はステントグラフトの送達のような治療法のためのバルーンは、バルーンの一貫した折り畳みを促進するようにパターン形成された強化材料を使用する。繊維布地強化を有するバルーンを含むバルーンを用いた、殺生物材処置のための方法及び装置もまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用バルーンのための複合構造体に関し、特に、予測可能な折り畳みを促進するような構造体に関する。
本出願は、ここにその全体が引用により組み入れられる、2006年10月12日に出願された特許文献1に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
織り地及び編み地は、種々のデバイスを強化するために用いられてきた。製織に比べて編組は単位重量当たりより大きな強度を与えることができる。編組の強度は、多数のヤーンが互いに巻き付くことなく絡み合うことができるという事実に由来するものである。一般に、ヤーンはある角度で連続的に編組みされ、どのヤーンも鋭く曲げられる必要はない。その結果、荷重を編組全体にわたって均等かつ効率的に分散することができる。
【0003】
編組の自動製造は、一般に管状又は平坦な構成をもたらす。編組は、基底となる支持体なしで形成されることもでき(自立型)、あるいはマンドレル、又は帆船のマストのような強化されるべき部材の上を覆って形成されることもできる。
【0004】
ハイブリッド編を形成するために、単一の編組に複数のヤーン材料を組み入れることができる。これは、得られる製品に模様を入れるために行われることが多い。ヤーンは、金属製、炭素繊維製、ガラス繊維製、モノフィラメント又はマルチフィラメント糸製などとすることができる。編組みは非常に繊細な材料を用いて行うことができる。
【0005】
編組は、内視鏡及びカテーテルのような外科用デバイス、並びに副木及びステントのような移植用デバイスの強化材として用いられてきた。
【0006】
不織布の強化材も公知であり、例えば、ファイバーグラスの場合のようにランダムに配置された繊維、及びマトリクス上又はマトリクス内に配置されたハンドレイアップされた繊維が公知の方式である。どちらも、医療用バルーンの強化に関連して説明されている。
【0007】
多くの複合バルーン構造体は、非弾性フィラメントによって強化されており、これはつぶされたバルーンの容積を最小化するための折り畳みに非常に適している。しかしながら、この繊維は折り畳みの障害となることがあり、これが、以下で開示される本発明の実施形態のうちの少なくとも幾つかが取り組む課題である。
【0008】
以下は、編組技術の分野の背景に関するいくつかの参考文献である。簡潔な概説、並びに2D編組機と3D編組機との比較及びその編組機によって作ることができる構造の種類は、非特許文献1の記事によって提供される。
【0009】
3TEX社は、非特許文献2において三次元自動化編組の最新技術についての情報を提供している。このページは、大規模なCartesian編組機の写真と動画を表示している。強調されているポイントの1つは、コンピュータ制御によって、ヤーンの数又は連続性を変更することなくいつでも編組パターンをシフトさせることが可能であることである。
【0010】
ペンシルベニア州Springhouseのナショナル・テキスタイル・センター(National Textile Center (NTC))によるレポートは、ひし形、規則的、及びHercules編組といった異なる種類の編組パターンについて考察しており、また引張荷重の下での編組の挙動、荷重及び妨害(jamming)条件に関するヤーン角度の影響、及びその他の論点について考察している。非特許文献3。
【0011】
以下の論文は、混合材料を含む、異なる機械的性質を有する編組について考察している。非特許文献4。非特許文献5。
【0012】
以下の論文は、編み地の機械的性質に対する編組の影響を考察している。ここには、ハイブリッド編組及びその性能に関して、かなりの背景が記載されている。非特許文献6。非特許文献7は、複合材料の関係で編組を考察している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国仮出願番号第60/829,231号
【特許文献2】米国特許第6,746,425号明細書
【特許文献3】米国特許第5,357,839号明細書
【特許文献4】米国特許第5,772,848号明細書
【特許文献5】米国特許第6,090,137号明細書
【特許文献6】米国特許第5,085,252号明細書
【特許文献7】米国特許第5,465,760号明細書
【特許文献8】米国特許第6,129,122号明細書
【特許文献9】米国特許第6,315,007号明細書
【特許文献10】米国特許第6,439,096号明細書
【特許文献11】米国特許第6,599,448号明細書
【特許文献12】米国特許第6,258,249号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「Braiding」 2005、[online]、2007年8月、Advanced Composite Materials & Textile Research Laboratory、マサチューセッツ大学ローウェル校(University of Massachusetts−Lowell)、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<URL:http://mechanical.uml.edu/acmtrl/research-Braiding.htm>
【非特許文献2】[online]、3TEX社、[2005年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.3tex.com/3braid.cfm>
【非特許文献3】「Engineered Non− Linear Elastic Blended Fabrics」、NTC Project F00−PH05 2005、ナショナル・テキスタイル・センター(National Textile Center (NTC))、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.ntcresearch.org/pdf-rpts/AnRp02/F0O- PH05-A2.pdf>
【非特許文献4】Guang−Wu Du、Tsu−Wei Chou及びP.Popper、「Analysis of three−dimensional textile preforms for multidirectional reinforcement of composites」、 J. Mater. Sci.1991年、第26巻、p.3438−3448
【非特許文献5】Dunn,Matthew、Armstrong−Carroll,Eileen、Gowayed,Yasser、「Engineered Non−linear Elastic Bland Fabrics」、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.ntcresearch.org/pdf-rpts/BrefO601/F00-P05.pdf>
【非特許文献6】Seneviratne,Waruna P.及びTomblin,John S.、「Design Of A Braided Composite Structure With A Tapered Cross−Section」、National Institute for Aviation Research、ウィチタ州立大学(Wichita State University)、カンザス州、ウィチタ(Wichita,KS 67260−0093)
【非特許文献7】The Department Of Defense Handbook Composite Materials Handbook Volume 2、「Polymer Matrix Composites Materials Properties」、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.lib.ucdavis.edu/dept/pse/resources/fulltext/HDBK17-2F.pdf>
【発明の概要】
【0015】
経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、脈管ステント又はステントグラフトの送達のような治療法のためのバルーンは、バルーンの一貫した、予測可能な、又は緊密な折り畳みを促進するようにパターン形成された強化材料を使用する。
【0016】
本発明は、可撓性領域に沿った折り畳みを促進するための、壁が比較的剛直な領域と比較的可撓性の領域を有する医療用バルーンを提供する。剛性の変動は、異なる実施形態に従って、複合要素をバルーンの壁上又は壁内に可変的に配置することによって、壁の選択された部分に補強部材を取り付けることによって、布地若しくは編組又は他のフィラメント構造の性質を変更して可変の剛性を定めることによって、及びその他の手段によって、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの実施形態によれば、本発明は、壁を有する折り畳み可能な複合バルーンである。壁は、第1及び第2のフィラメントと第1及び第2の壁部とを有する。壁は、第1のフィラメントと第2のフィラメントとを分離する圧縮要素を、この第1及び第2のフィラメントが巻方向に延びる対向する張力要素を定めるように、第1の壁部内に有する。対向する張力要素は特定方向の成分を有し、少なくとも1つの圧縮要素によって分離され、その結果、少なくとも特定方向で第1の部分は第2の部分よりも剛性が高くなり、第1の部分及び第2の部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置される。これは、折り畳みが一般に第2の部分に対して整列することによるものであり得、これが、バルーンが押し潰されたときにきちんとした予測可能な折り畳みを保証することを補助することができる。これがひいては、狭い領域におけるコンパクトな構成を保証することを補助することができる。
【0018】
この実施形態のバリエーション及びその他が可能である。例えば、第1及び第2のフィラメントは、第1の部分と第2の部分とを連続的に通って延びる細長い部材の一部とすることができる。第1及び第2のフィラメントは、編組の少なくとも一部を定めるように編組みされることができる。編組は、第1及び第2の部分の中に0°編組ヤーンとして延びる第3のフィラメントを有する三軸部分を含むことができ、第1の部分内の第3のフィラメントは第2の部分内の第3のフィラメントよりも太く、第3のフィラメントは圧縮要素の少なくとも一部を形成する。0°ヤーンとは、編組が製織されるときに編組がその方向に沿って延びていく(又は長くなる)方向である長手方向に延びるヤーンのことを指すことに留意のこと。
【0019】
第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部(layer alteration)間の交差を有する編組の少なくとも一部を定めることができる。第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する二軸編組の少なくとも一部を定めることができる。
【0020】
壁は長手方向軸を有するように延びることができ、第2の部分は、その軸に対して整列するか、又はその長手方向軸の周囲を巡る螺旋状経路に従うことができる。壁は、ポリマー・マトリックスのようなマトリックスと、その中に包埋された部材とを含むことができ、第1及び第2のフィラメントはマトリックス中に包埋され、部材は圧縮要素の少なくとも一部を形成する。
【0021】
壁は、マトリックスと、その中に包埋された平坦な部材とを含むことができ、第1及び第2のフィラメントはマトリックス中に包埋され、部材は圧縮要素の少なくとも一部を形成する。
【0022】
1つの実施形態によれば、本発明は、第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を備えた、折り畳み可能な複合バルーンもまた提供する。壁は第1及び第2の部分を有することができ、第1のフィラメント及び第2のフィラメントは第1の壁部分の中でポリマー・マトリックスの部分によって離間され、その結果、これらは、特定方向の成分を有する巻方向に延びる、マトリックス部分で分離された、対向する張力要素を定めるようになっている。マトリックス部分の対向する側部上の張力要素の間隔は、マトリックス部分が圧縮要素として働くようになっており、その結果、少なくとも特定の方向において、第1の部分は第2の部分よりも剛性が高くなる。第1及び第2の部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることができる。あるいは、第2の部分は、その構造が折り畳みを促進することを補助するように、又は自然な折り畳み挙動を作り出すように、バルーンの折り畳み線に対して整列することができる。
【0023】
この実施形態も同様にバリエーションを有し、例えば、第1の部分及び第2の部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部である第1及び第2のフィラメントを含むことができる。第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することができる。第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する編組を定めることができる。第2の部分は折り畳み輪郭を定めることができ、交替部は、第1の領域内で、折り畳み輪郭に平行な側部交替部の連続した列が生じないように、互い違いになっている。
【0024】
さらに他の実施形態によれば、本発明は、ポリマー・マトリックスとそれに取り付けられたフィラメント構造体とを有するボディを備えた、折り畳み可能な複合バルーンである。ボディは、第1及び第2の部分と、折り畳み線とを有することができ、フィラメント構造体は第1及び第2の部分を定め、折り畳み線は第2の部分内に位置し、第1の部分は第2の部分間に位置する。1つの実施形態において、フィラメント構造体は、少なくとも折り畳み線に垂直な方向において、第1の部分で第2の部分よりもボディの剛性が高くなるように構成されることによって、折り畳み線に沿った折り畳みを促進するように構成されることができる。他の実施形態において、フィラメント構造体は、稜線を備えた型の上で形成された結果として、折り畳み線に沿って折り畳まれる方が有利な機械的バイアスを発生させるように構成されることができる。
【0025】
フィラメント構造体は、少なくとも折り畳み線に垂直な方向において、第1の部分で第2の部分よりもボディの剛性が高くなるように構成されることができる。フィラメント構造体は、編組を含むことができる。フィラメント構造体は、第1及び第2のフィラメントと圧縮要素とを含むことができ、第1の部分は、少なくとも一部には、第1の部分の第1及び第2のフィラメントが、その間に圧縮要素を伴って配置されることにより圧縮要素によって分離された対向する張力要素を定める結果として、少なくとも折り畳み線に垂直な方向で剛性がより高くなる。編組は層を有することができ、第1の部分の方が第2の部分よりも剛性が高くなるように、第1の部分において第2の部分よりも多くの層を有する。
【0026】
ボディは長手方向軸を有することができ、折り畳み線は長手方向軸に平行である。ボディは長手方向軸を有することができ、折り畳み線は長手方向軸の周囲に螺旋形に巻回されることができる。
【0027】
さらに他の実施形態によれば、ポリマー・マトリックスに取り付けられた又はポリマー・マトリックス内に組み込み要素を含むポリマー・マトリックスの壁を有する、折り畳み可能な複合バルーンが提供される。組み込み要素は、壁が第1の部分において第2の部分よりも容易に折り畳まれるように、壁の第1の部分及び第2の部分を定める。
【0028】
さらに他の実施形態によれば、細長い強化部材と第1の部分と第2の部分とを有する壁を備え、第1の部分の剛性が第2の部分の剛性よりも低い、折り畳み可能な複合バルーンが提供される。細長い強化部材の配置により、壁は第2の部分で第1の部分よりも剛性が高くなり、これにより、バルーンは低剛性部分に一致する輪郭に沿って折り畳まれる傾向を有することになる。
【0029】
1つの実施形態によれば、本発明は、体内の感染領域を処置するための方法である。この方法は、手術中に露出された体内の感染領域に導電性殺生物剤組成物を適用し、殺生物剤組成物を有する表面に、交互の極性の導電性表面を有する膨張性部材を接触させて電場を生成することによって、殺生物剤組成物に電場を印加するステップを含む。電場強度及び印加の持続時間は、感染領域の微生物の死滅を引き起こすのに十分である。好ましくは、感染領域は、主として細菌、酵母又は真菌からなるバイオフィルムから構成される。好ましくは、殺生物剤は、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、マクロライド系抗生物質及びキノロンの系統から選択される抗生物質である。好ましくは、導電性殺生物剤組成物は、緩衝生理食塩水組成物である。好ましくは、殺生物剤組成物は増粘剤を含む。好ましくは、電場は実質的に一定である。好ましくは、電場はパルス又は交流電場である。好ましくは、電場強度は約1ミリアンペアから約200ミリアンペアまでの範囲の値を有する電流によって生成される。好ましくは、電場は、約1分間から約48時間までの時間にわたって導電性殺生物剤組成物に印加される。好ましくは、殺生物剤は、電場無しで用いられた場合には感染領域を完全に死滅させるには無効である量で組成物中に存在する。
【0030】
上記の方法の実施形態の特定のバリエーションにおいて、方法は心臓弁置換手術の過程の間に実行される。好ましくは、殺生物剤は、抗生物質、抗真菌剤、消毒薬、滅菌剤、他の防腐剤、ヘキサクロロフェン、カチオン性ビスビグアニド(bisiguanide)、ヨウ素、ヨードフォア、パラ−クロロ−メタ−キシレノール、トリクロサン、フラン製剤、メテナミン、アルデヒド、又はアルコールである。好ましくは、カチオン性ビスビグアニドは、クロルヘキシジン又はシクロヘキシジンを含む。好ましくは、ヨウ素はポピドンヨードを含む。好ましくは、ヨードフォアはポピドンヨードを含む。フラン製剤は、ニトロフラントイン又はニトロフラゾンを含む。好ましくは、アルデヒドはグルタ体(glute form)である。
【0031】
他の実施形態によれば、本発明は、外面に露出した強化繊維のアレイを有するバルーン体を含み、強化繊維の少なくとも幾つかはバルーン体の表面上に電場が連続的に生成されるように電圧源に接続可能な導電性サブセットである、医療用バルーンである。好ましくは、繊維は編組パターンを形成する。好ましくは、強化繊維の少なくとも幾つかは、金属製である。好ましくは、強化繊維の少なくとも幾つかは、三軸編組のゼロ度繊維である。
【0032】
1つの実施形態によれば、第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を備えた折り畳み可能な複合バルーンもまた提供することができる。壁は第1及び第2の部分を含むことができ、第1及び第2のフィラメントは第1の壁部分の中で1つ又は複数の電波不透過性要素によって離間され、その結果、電波不透過要素上に重なるヤーンは、特定方向の成分を有する巻方向に延びる、電波不透過性部分によって分離された、対向する張力要素を定める。これにより、電波不透過性の組み込み要素は、バルーンの折り畳みを妨害することなく(実際には促進する)、相対的に剛性になる。マトリックス部分の対向する側部上の張力要素の間隔は、電波不透過性要素が張力要素として働くようになっており、その結果、少なくとも特定の方向において、第1の部分は第2の部分よりも剛性が高くなる。第1及び第2の部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることができる。あるいは、第2の部分は、その構造が折り畳みを促進することを補助するように、又は自然な折り畳み挙動を作り出すように、バルーンの折り畳み線に対して整列することができる。
【0033】
この実施形態も同様にバリエーションを有し、例えば、第1の部分及び第2の部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部である第1及び第2のフィラメントを含むことができる。第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することができる。第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する編組を定めることができる。第2の部分は折り畳み輪郭を定めることができ、交替部は、第1の領域内で、折り畳み輪郭に平行な側部交替部の連続した列が生じないように、互い違いになっている。
【0034】
他の実施形態において、折り畳み可能な複合バルーンは、壁を定める編組強化構造体を有する。編組強化パターンは、壁が第1の壁部分において第2の壁部分よりも剛性が高くなるようになっている。第1及び第2の壁部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置される。好ましくは、少なくとも第1の壁部分はその上に電波不透過性コーティングを有する。あるいは、第1の壁部分のみがその上に電波不透過性コーティングを有する。他の好ましい実施形態において、電波不透過性材料は、第1の部分のみに組み込まれている。
【0035】
添付の図面はここに組み入れられ、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を図示するものであり、上記の一般的な説明及び下記の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】複合バルーンにおいて用いることができる管状編組のような強化構造体を示し、この強化構造体は相対的に可撓性の部分又は小面及び相対的に剛直な部分又は小面を有する。
【図2A】長手方向の折り畳みパターンを有する医療用バルーン繊維予備成形品の模式的な図である。
【図2B】長手方向の折り畳みパターンを有する医療用バルーン繊維予備成形品の模式的な図である。
【図3】本発明の実施形態による、カテーテル表面に隣接して位置する折り畳まれたバルーンの壁の一部の平面展開図である。
【図4A】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分とを与える編組パターンを示す。
【図4B】図4Aの編組パターンの特徴の説明を補助するための図である。
【図4C】図4Aの編組パターンの特徴の説明を補助するための図である。
【図5A】バルーンのための複数の強化構造体を編組み又は製織するために用いることができる多重バルーン・マンドレルを示す。
【図5B】バルーンのための強化構造体を編組み又は製織するために用いることができる単一バルーン・マンドレルを示す。
【図5C】その上に強化構造体を編組することができる土台バルーンを示す。
【図6A】多重バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法のフロー図である。
【図6B】単一バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法のフロー図である。
【図6C】ライナ・バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法のフロー図である。
【図7】1つの実施形態による複合バルーンの製造で用いられる要素を示す。
【図8A】図7の実施形態による複合バルーンの製造におけるステップを示す。
【図8B】図7の実施形態による複合バルーンの製造におけるステップを示す。
【図8C】図7の実施形態による複合バルーンの製造におけるステップを示す。
【図9A】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。
【図9B】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。
【図9C】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。
【図10】強化部分が段階的かつ部分的に付加されるバルーンの実施形態を示す。
【図11】非シリンダ状の形状を有する強化されたバルーンを示す。
【図12】非円形の断面を有するシリンダ状の型を示す。
【図13】強化構造体又はバルーンと強化構造体との組合せを形成するための成形装置を示す。
【図14】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える別の編組パターン及び構造を示す。
【図15】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与えるさらに別の編組パターン及び構造を示す。
【図16】ホストの開口部の中に挿入された2つの代替的な種類のバルーンを示す。
【図17A】殺生物手技又は導電体を有するバルーンが用いられるその他の手技のための、導電性表面を備えた医療用バルーンの実施形態の実施形態を示す。
【図17B】殺生物手技又は導電体を有するバルーンが用いられるその他の手技のための、導電性表面を備えた医療用バルーンの実施形態の実施形態を示す。
【図18】導電性ヤーンを有する布地を示す。
【図19】本発明の実施形態で使用するための部分的に絶縁された導電性ヤーンを示す。
【図20】部分的に絶縁された導電性ヤーンを有するバルーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
種々の実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。可能な限り、図面全体を通じて、同じ又は類似の部材を指すために同じ参照番号を用いるものとする。
図1は、複合バルーンにおいて用いることができる管状編組のような強化構造体を示し、この強化構造体は相対的に可撓性の部分106又は小面(ファセット)及び相対的に剛直な部分102又は小面を有する。管状編組103は、相対的に剛直な、又は少なくとも円周方向(すなわち、バルーン軸の周囲方向)で相対的に剛直な、剛直部分102を有する。管状編組103は、これもまた少なくとも円周方向で剛直部分102に比べて可撓性である、可撓性部分106も有する。
【0038】
管状編組103は、どのようなタイプの強力フィラメント(個別に図示せず)製であってもよいが、折り畳み医療用バルーンの本実施形態においては、これは比較的非弾性の高強力剛性繊維を含む。フィラメントは異なる材料及び断面形状の混合物とすることができ、異なる材料を以下で考察するように種々の方法で組み合わせることができる。編組みは、ここで説明される編組パターン及び他の構造を利用する分野で公知の様々な機構を用いて行うことができる。例えば、管状編組103の編組みは、プログラム可能な管状編組機(図示せず)を用いて行うことができる。あるいは、管状編組103は、図2Aに示されるような、次第に先細状になる端部を有する非円筒形(三次元)編組の一部とすることもできる。
【0039】
管状編組103は、圧力を保持し、漏れを防ぐことを保証することができる可撓性材料内に包埋され、そのような可撓性材料で含浸され、又は他の方法でそのような可撓性材料と組み合わされて、医療用バルーンを形成する。例えば、管状編組を、所望の種類のバルーンの形状を有する土台ライナの上に接着剤で接着することができる。複合構造体を形成するための様々な公知のプロセスが適切であるので、この主題に関してはここでは多くは論じない。
【0040】
図2A及び図2Bは、長手方向の折り畳みパターンを有する医療用バルーン繊維予備成形品の模式的な図である。図2Aにおいて、バルーン予備成形品105は直線状の折り畳み輪郭線を有し、図2Bにおいて、バルーン予備成形品107は螺旋状の折り畳み輪郭線を有する。予備成形品105及び107は、図5A及び図5Bを参照して後述するように、三次元の型の上を覆って編組みされて、図示された形状を達成することができる。上記のように多様な可撓性を有する異なる部分を集合的に108及び109で表す。その他の種々の形状を本発明の特徴と共に用いることができ、図示された形状は、種々の折り畳み特徴及び構造を単に説明する目的のためのものであることに留意のこと。
【0041】
図3は、本発明の実施形態による、カテーテル表面に隣接して位置する折り畳まれたバルーンの壁の一部の平面展開図である。当業者には理解されるように、収縮したときに折り畳まれるように構成することによって、医療用バルーンの断面の高さを薄くすることができる。図3に示される折り畳まれた形状は、折り畳まれたバルーン109の壁の一部を示す。図示されているように、この図面は平面展開図であり、104で示される面は図面の平面を貫通するバルーンの軸の周囲を取り巻くことになり、その上に重なるバルーン壁114及び折り畳み部も同様であることを理解すべきである。例えば、構造体111は断面が円形のカテーテルとすることができる。図3は、相対的に剛直な部分112が比較的平坦になり、その一方で折り畳み部が相対的に可撓性の部分113に一致する様子を示す。その結果として、バルーン109が収縮したときに、折り畳みパターンはバルーン109から、より容易に推測することができる。図示されていないが、上記の編組のような複合繊維強化材は、好ましくはバルーン109の壁114の内部に組み入れられる。
【0042】
上記及び下記の実施形態は、バルーンがコンパクトな形状を達成するために、壁が180°屈曲して隣接部分に完全に重なり、かつ接触するという意味では完全に折り畳まれないような方式に改変することができる。すなわち、壁は、完全に180°の曲がり目を作ることなく単に巻き付くこと又は曲がることができ、及び/又は隣接する部分が折り畳まれた構成において一度重ならなくてもよい。例えば、図3において、部分112は部分113よりも、曲げに対して抵抗する。図3は平面展開図を示しているので、部分112は、平坦な部分として表示されているとはいえ、一般にバルーンの軸の周囲を取り巻いていることに留意されたい。バルーンは折り畳まれた状態で弛緩した状態を有することができ(実際、このことは、幾つかの実施形態において好ましい)、その場合、バルーンの幾つかの部材は実際に、折り畳まれた構成を形成するための曲げに対して負の抵抗を与えることができる。従って、「抵抗」という用語は、ここではゼロ、負、及び正の抵抗をカバーする全体的な意味で用いられる。換言すれば、折り畳みなどの際にバルーンの最も屈曲する部分は、例えば折り畳まれた構成においてその最も弛緩した状態に達することができ、その場合、バルーンは折り畳まれる傾向があるので、正の抵抗を生じないことになることが理解される。従って、この場合、特定の部分、例えば折り畳み線における抵抗は負となるだろう。
【0043】
図4Aは、相対的に剛直な部分と相対的に可撓性の部分とを与える編組パターンを示す。図4Aは、医療用バルーン(この図では図示せず)の壁のための強化構造体の一部を形成することができる三軸編み地100を示す。図3の領域113と一致する可撓性領域110及び112において、編組パターンはいわゆるひし形編組パターンであり、ヤーンは、1つのヤーンを横切るたび毎に交互に両側を行き来する。ひし形編組パターンでは、全てのヤーンが同じ長手方向の線に沿って両側に交差する位置に長手方向(長手方向は、バルーンの長軸でもあるこのページの長軸方向として定義される)の「シーム」が形成される。シームは細く、与える抵抗が小さいので、これがひし形パターンを曲がりやすくする。剛直領域115(1つしか示していないが、通常もっとたくさん存在する)において、ヤーンは一般に、両側に交差する前に1本より多くの0°ヤーンを横切る。例えば、Hercules編組において、ヤーンは両側に交差する前に3本の他の0°ヤーンを横切る。図示された剛直領域115のための編組パターンにおいて、ヤーンは交差の前に他の3本の0°ヤーンを横切る。パターンは、好ましくは、交差点が長手方向線に並ぶようになっている。
【0044】
ここで図4B及び図4Cを参照すると、これらの図は、図4Aの可撓性110領域及び剛直115領域の編組パターンがどのように異なり、その違いが相対的な剛性にどのように寄与するかを示す。図4Bにおいて、相対的に可撓性のひし形パターンが模式的な断面図で示される。断面で示されるヤーン250は、軸編組の長手方向の繊維を表す。ヤーン253は斜線方向に交差しており、どこで直線断面をとっても交差するヤーンの連続的な経路は実際の断面図では見ることができないが、この図解は検査によって確認できるように機能的に同様であるので、この図面は模式的な断面図であることに留意のこと。ヤーン253がそこで交差する252で示されるようなシームは、ヤーンが全ての交差点毎に交替するので、長手方向に沿って連続した列で配置される。対照的に、図4Cに示されるように、ヤーンが全ての交差点毎に交替しない場合、より剛直な構造が形成され、交差するヤーン280及び284は張力要素を形成し、これが、包埋されたマトリックス(これは圧縮に対して抵抗する)と組み合わされて、剛直セグメント288を定める。286における交差で示されるような他の交差ヤーンの交差点の位置は、横方向で一致しない(すなわち、交差線は長手方向の線に沿って整列しない)ので、編組がそこで曲がりやすくなるはずのシームが発生しない。このように、例えば、先の剛直セグメント288に長手方向で隣接する剛直セグメント290(破線で示される)は、横方向にずれている。このようにして、剛性は、剛直セグメント288の範囲を超えて横方向に拡張される。この種類の剛直性の配置は、図4Aの115に示されている。
【0045】
図5Aは、バルーンのための複数の強化構造体を単一の編組み操作で編組み(又は製織)するために用いることができる多重バルーン型215、又はマンドレルを示す。編組みは、頂部延長部216から開始され、バルーン部210に向かって拡幅し、接続区域217Aに向かって狭められることができる。編組み操作は、バルーン区域211及び接続区域217(任意の数のそれら)を越え、次に最後のバルーン区域212及び延長区域218を越えて続けることができ、切断して複数のバルーン予備成形品とすることができる構造体(図示せず)を形成することができる。
【0046】
図5Bは、バルーンのための単一の強化構造体を編組み(又は製織)するために用いることができる、延長区域222を備えた単一バルーン型220を示す。215及び220の実施形態のどちらにおいても、型は、1つ又はそれ以上の予備成形品を残して、仕上げられた形態215、220から取り去ることができるように、解体又はその他の方法で崩壊させることができる構造で作ることができる。実施形態215のセグメントを分割するための切断操作は、型215の崩壊の前又は後で行うことができる。図5Cは、その上を覆って強化構造体を編組みすることができる土台バルーンを示す。延長部242を備えた土台バルーン240は、仕上げられたバルーンのライナ部分として働くことができ、編組構造体の製作のための編組み型として機能し、任意に、仕上げられたバルーンの一部として残ることができる。好ましくは、土台バルーン240は、これを編組み用の型及び土台として用いることを容易にするために、非弾性材料で作ることができる。
【0047】
図6Aは、多重バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法の例のフロー図である。ステップS10において、複数の要素で構成された(mutiple part)型215が製作され、ステップS15において、編組み装置を用いて型215の上を覆って編組みが行われる(図5A)。次にステップS20において、得られた型及び編組みされた予備成形品をセグメントに切断して、別々のバルーンにおいて用いられる個別の予備成形品を定める。次にステップS25において、下に重なった型を、例えば、酸又は水中に溶解させること、溶融させること、再構成すること、又は型の構造に応じたその他の1つ又は複数のステップを実行することによって崩壊させる。ステップS30において、バルーン予備成形品の各々の中にライナを挿入し、膨張させる。ライナは、膨張したときに所望の形状及び大きさを呈するように形成することができる。ステップS35において、1つの実施形態においては、ライナは加圧流体で膨張させられ、編組予備成形品はマトリックスでコーティングされ、このマトリックスは、ステップS40で硬化され、予備成形品とライナ・バルーンとマトリックスとを互いに接着させて一体化した構造を形成するのに役立つ。
【0048】
図6Bは、単一バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法の例のフロー図である。ステップS110において、型215が製作され、ステップ115において、編組み装置を用いて型225の上を覆って編組みが行われる(図5B)。ステップS120において、下に重なった型を、例えば、酸又は水中に溶解させること、溶融させること、再構成すること、又は型の構造に応じたその他の1つ又は複数のステップを実行することによって崩壊させる。ステップS130において、バルーン予備成形品の中にライナを挿入し、膨張させる。ライナは、最終的な形状になる前に成形を必要とするような形態及び形状とすることができる。バルーンの封止及び充填を補助するために、シリンダ状のマンドレルをステップ315において挿入することができる。ステップS140において、この実施形態においては、ライナは加圧流体で膨張させられ、次に編組予備成形品がマトリックスでコーティングされ、このマトリックスは、ステップS40で硬化され、予備成形品とライナ・バルーンとマトリックスとを互いに接着させて一体化した構造を形成するのに役立つ。
【0049】
図6Cは、ライナ・バルーンを型として用いて強化医療用バルーンを作るための方法の例のフロー図である。ステップS210において、ライナ・バルーン220(図5C)が製作され、ステップS215において、編組み装置を用いてライナ・バルーン220の上を覆って編組みが行われる(図5C)。ステップS235において、バルーンの封止及び充填を補助するために、シリンダ状のマンドレルをライナ内に挿入することができ、この部分組立品はモールド内に挿入される。ステップS240において、この実施形態においては、ライナは加圧流体で膨張させられ、部分組立品は、編組がライナ・バルーン内へと溶融するまで加熱され、それにより、このバルーンが、編組構造を封止するマトリックスを形成する。次に、マトリックスはステップ245において冷却されて、一体化した構造を形成する。
【0050】
上記の実施形態において、一体化された繊維編組強化材を備えたバルーンを形成するのに多くのやり方があることを示すために、方法のステップをわざと変化させた。例えば、図6A及び図6Bの方法において、硬化性コーティングを予備成形品上に配置したが、一方、図6Cにおいては、熱可塑性ライナを一部溶融し、冷却して、バルーンを形成する。種々の方法及び特徴を変更し、変化させて、バルーンを形成することができ、本出願に記載された強化構造体の利点を実現するためには特定の方法を必要としないことが認識される。例えば、微細な熱可塑性材料又は接着剤で編組みされる繊維をコーティングすることができ、又は微細な熱可塑性材料又は接着剤を予備成形品に含浸させることができ、このときライナ・バルーンは成形温度よりも高い溶融温度を有するものとする。その場合、図6Cの方法において、次に、熱成形の間に、コーティングされた又は含浸された材料が編組をライナに接着させて、バルーンを形成する。
【0051】
モールドを使用せずにバルーンを作る代替的な方法は、土台バルーンのヤーンの基材よりも低い温度で流動する樹脂を含むヤーンを用いて、ライナ・バルーン上を覆って編組みすることである。例えば、高い溶融温度のヤーンを低い溶融温度の熱可塑性材料でコーティングすることができる。土台バルーンの上を覆ってこの二部式ヤーンを編組みした後、編組及び土台バルーンを低溶融温度の樹脂の流動が起きる温度まで加熱して、ヤーン間の隙間を封止する。土台バルーンの材料及び厚さは、土台バルーンの材料の性質に応じて、土台バルーンを取り去るか、又はその場に残すかのいずれかとすることができるように、選択することができる。
【0052】
図7並びに図8A、図8B及び図8Cは、1つの実施形態による複合バルーンの製造を示す。開口部304を有するマンドレル302を、成形されてバルーンライナを形成することになるポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又は他の適切な材料の管314の中に挿入する。マンドレル302及び管314を編組みされた予備成形品308の中に挿入し、次にこの部分構造332をここでは二部式モールドとして示されているモールド310及び312の中に置く。図8A参照。クランプ320をマンドレルの端部306の上に配置して、管314と予備成形品308とをマンドレル306に押し付けて封止する。次にモールドを組み立て(破線322又は矢印355によって示されるように)、予備成形品308を覆って締め付け(図8D参照)、空気又は他の流体を端部開口部306からマンドレル302に注入しながら加熱する。その結果、管314のバルーンは軟化して、加圧下で膨張する。図8C参照。今やバルーン314Aである管314が複合バルーン314を形成した後、モールドを冷却し、複合バルーンを取り出す。
【0053】
図9A−図9Cは、相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。本実施形態は、0°ヤーン420が剛直領域415内の他のヤーンよりも断面積が大きいこと以外は、図4A−図4Cの実施形態と同様である。可撓性領域410において、ヤーンは同一とすることができる。本実施形態における0°ヤーン420は、張力部分420を図4A−図4Cの実施形態よりもさらに離間させて分離させ、それにより高い剛性を作り出す効果を有する。
【0054】
図9Bにおいて、相対的に可撓性のひし形パターンが模式的な断面図に示されており、0°ヤーン408は断面で示されている。ここでもまた、ヤーン425がそこで交差する423で示されるようなシームは、ヤーン425が全ての交差点毎に交替するので、長手方向に配置される。図9Cにおいては、ヤーン425は全ての交差点毎に交替せず、可撓性が少ない構造が形成され、交差ヤーン420は、図4Cを参照して上記したように張力要素を形成する。ここでもまた、好ましくは、編組パターンは、剛直セグメントが長手方向に対して垂直な方向にずれて互い違いになって剛直セグメント間で協同的な連続した剛性の範囲を提供するようになっている。このような互い違いの配置は、図9Cにおいて、横方向に一致しない他の交差ヤーン435の交替点の位置を観察することによって、例示される。
【0055】
同じ原理を用いた、二軸編組構造を使用した編組の他の実施形態を創出することもできることに留意のこと。このような実施形態においては、可撓性領域410内に0°ヤーンは存在しないが、剛直領域において0°要素(必ずしもヤーンである必要はない)が二軸ヤーンの二軸層を分離する働きをする。そのような実施形態において、要素420は、例えばPET又はナイロンのフィラメントとすることができる。この場合、0°要素は、マトリックスを形成する材料と共に圧縮に対する抵抗を与えることを補助する別の材料で作られたものすることができる。
【0056】
図10は、強化部分が段階的かつ部分的に付加されるバルーンの実施形態を示す。型の上を覆って編組みして三次元の予備成形品を作る代わりに、ここで説明される編組構造は、シリンダ状の管515として編組みすることができる。管515をバルーン505の上にかぶせて摺動させ、そのバルーンに対して接合又は成形することができる。この場合、端部は、編組をほぐし(teasing)、それを折り曲げ(重ね)、その中に切り欠きを入れ、又は完全に端部を覆う前に単にそれを止めることによって、形成することができる。さらに、編組は、510で示されるように端部の上を覆って形成することができる。例えば、管515をほぐして、その繊維を端部(この例では円錐形)の上に置き、螺旋巻を円錐形の端部の上に巻き付けることができる。ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる医療用バルーンについての特許文献2を参照のこと。これは、螺旋巻によってバルーンを包むための構造及び方法を記載している。例えば、管515をライナ・バルーンの上に配置し、膨張させて所望の形状を形成した後に、この参考文献の実施形態に従った、接着剤の使用を伴い得る方法を行うことができる。
【0057】
図10の実施形態のバリエーションにおいて、0°ヤーンを、円錐形端部が達している管の端部を越えて延ばすことができる。これらの自由な長手方向繊維は、特許文献2に記載されているように、所定位置で接着剤によって接合されることができ、この特許に記載されているやり方で螺旋巻が頂部上に付加される。0°ヤーンの自由端は、編組み装置によって、又は切断若しくはほぐすことによって得ることができる。あるいは、斜線方向のヤーンを、円錐部分の上で長手方向強化材の中に組み入れることができる。
【0058】
図11は、非シリンダ状の形状を有する強化されたバルーンを示す。図11は、本発明の強化構造体がシリンダ状バルーンに限定されないことを例証するために含められている。例えば、バルーン524は、アコーディオン状の折り目530及び535を用いて潰され、そして膨らまされて、シリンダ状のような拡張された形態を形成することができる。
【0059】
図12は、非円形の断面を有するシリンダ状の型550を示す。このような非シリンダ状の型の上を覆って編組みをすることは、場合によっては、ヤーン角度との適合性及び他の検討事項に応じて折り畳みをさらに促進するために、有益であり得る。このような型の上を覆って編組みすることによって、ヤーンの長さは、折り畳まれた構成に有利になるようにバイアスをかけられるが、これは上述のような多様な剛直領域と可撓性領域という性質にさらに加えられる性質である。シリンダ550(技術的には、非円形の柱状形状も「シリンダ」よぶことに留意のこと)は、折り畳み線が長手方向でない場合には、螺旋巻を有することができる。場合によっては、編組構造(例えば、図4A−図4C及び図9A−図9Cを参照して説明されたような)全体にわたって、より剛直な編組を用いることが有益であり、それは、鋭い曲がり目552(代表(typ.))に近接したところに、そこから離れた層におけるよりも短い張力部材284及び420をもたらすことになる。従って、そのような構造は、あたかも編組が折り畳まれたときに最も弛緩した状態になるように「成形され」又アニールされているかのように、その折り畳まれた構成へと向かうバイアスを保持することになる。図13は、強化構造体又はバルーンと強化構造体との組合せを形成するための成形装置を示す。モールドは、中央部582及びウィング部584を含む。このような構造を用いると、バルーンは、マトリックス内に成形された折り畳み形状バイアス、並びに折り畳まれた部分における更なる可撓性、及び/又は複合構造(例えば編組)における折り畳みバイアスを有することができる。
【0060】
図14は、相対的に剛直な部分及び相対的に曲げやすい部分を与える別の編組パターン及び構造を示す。ここでは、剛直領域570はその上を覆って編組が製織されるスペーサ576を有する。スペーサ576は、0°ヤーンとして保持されることができ、編組みはその周囲で行われることができる。可撓性領域572の層同士は隣接し、それらをより可撓性にさせる。剛直領域570の分離した層は、図4B−図4C及び図9B−図9Cを参照して説明されたのと同様の方式で、剛性に寄与する。すなわち、上層及び下層は、スペーサ576の形態の非圧縮性コアの上で張力要素として作用する。可撓性領域574における層は、三次元編組装置を用いて単一の布地として製織されることができることに留意のこと。例えば、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載されているような三次元編組みである。
【0061】
図15は、相対的に剛直な部分及び相対的に曲げやすい部分を与える別の編組パターンを示す。剛直部分592は、剛直にされるべき領域592のみにおいて、重ね編組層(586で重ね編組み(編組の上に重ねて編組みして、追加の層を形成する)される。これは、より安価な二次元編組装置を用いて行うことができる。編組パターンは、重ね編組層586をつなぐヤーン590を含むことができる。薄い領域は主として下層588によって定められる。他の実施形態において、図14の576のようなスペーサが、剛直領域の層間に組み入れられる。この実施形態において、スペーサは中間の積層又はコーティングステップによって組み入れられてもよく、その場合、スペーサは編組予備成形品の一部として配置され、組み入れられるよりもむしろ、バルーン上に置かれることに留意のこと。
【0062】
好ましい実施形態において、インサイチュでのバルーンの可視化を高めるために、剛直部分592は、電波不透過性材料で作ることができる。あるいは、剛直部分592を電波不透過性にするために、剛直部分592は、その中に組み込まれた又はその上にコーティングされた電波不透過性材料を有することができる。このことは、可撓性が低すぎるか又はその他の理由で医療用バルーンに組み込まれることが困難であった電波不透過性材料を用いることを可能にすることができる。
【0063】
ここで説明されているどの実施形態においても、バルーンは、電波不透過性材料でコーティングまたは含浸することができ、又は、本明細書で論じられるような編組みプロセスになどのその他の方法によって中に組み込まれた電波不透過性材料を有することができる。そのような電波不透過性材料は、バルーン壁の比較的平坦な(折り畳まれない)部分に限定することができ、それにより、緊密に折り畳まれる部分で用いられた場合には高度な歪みに耐えられないような材料を用いることを可能にすることができる。
【0064】
上記の実施形態のマトリックス及び/又はライナのために用いることができる材料の例には、ポリカプロラクタム、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ABS共重合体、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体、アイオノマー樹脂、液晶ポリマー、及び剛直ロッドポリマーが含まれる。
【0065】
医療用バルーンの実施形態の用途には、脈管拡張、ステント送達、薬物送達、センサ及びブレードのような外科デバイスの送達及び操作などが含まれる。本発明の範囲内のバルーンの例示的な設計パラメータは、破裂圧力が100psi以上のバルーンを含む。
【0066】
上記で考察及び図示された多くの例は、二軸編組構造及び三軸編組構造に基づいていたが、本発明の実施形態の利点は、他の編組パターンにも適用できることに留意のこと。そのようなパターンには、多層、及びいわゆる厚型編組(thick braid)又は三次元編組が含まれる。
【0067】
また、編組の形成の高度な自由度及び制御を可能にするいくつもの種類の編組み技術があることにも留意のこと。本開示の教示と組み合わせることができるような適切な技術及び技法は、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、及び特許文献10に見いだすことができる。
【0068】
また、実施形態は基本技術として編組の観点で説明されているが、同じ利点を製織又は製織及び編組みの組合せの技術を用いて達成することができることにも留意のこと。そのような場合、剛直性を与える性質は、布地の組織中の縦糸及び/又はよこ糸に由来するものとすることができる。さらに、現在の編成、製織、及び編組技術は、そのカテゴリの境界があいまいになってきているので、これらの用語は限定的に解釈されるべきではない。
【0069】
本開示において、「ヤーン」及び「繊維」という用語は互換的に用いられる。「ヤーン」という用語は通常、編組みの分野で用いられる。この用語は、上記のいずれの実施形態で用いられる繊維材料の材料、組成、又は構造を制限することも意図していない。さらに、開示された構造体は、編組みを含まない機構を含む種々の方法で作り出すことができる。従って、「ヤーン」という用語が用いられ、及び/又は構造体を形成する好ましい手段として編組みが記載されていたとしても、その使用は、記載された構造体を編組みによって形成されるものに限定することを必ずしも意図しない。
【0070】
繊維/ヤーンのために種々の材料を用いることができる。例としては、Kevlar、Vectran、Spectra、Dacron、Dyneema、Terlon(PBT)、Zylon(PBO)、ポリイミド(PIM)、超高分子量ポリエチレンなどのような高強力非弾性繊維があるが、これらに限定されない。さらに、繊維/ヤーンは、非円形断面を有することができる。例えば、平坦な繊維/ヤーンは折り畳みに対する優れた順応性を提供することができる。
【0071】
上記のいずれの実施形態においても、バルーン又は編組予備成形品を適切な材料(塗料)でコーティングして、得られる医療用バルーンを電波不透過性にすることができる。適切なコーティングは、例えば、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献11に記載されているように公知である。さらに、得られるバルーンの電波不透過性を高めるために、使用されるヤーン又は繊維の一部又は全部を電波不透過性とすることができる。これは、例えば、バルーン又は繊維に、蒸着又は電子エネルギー堆積を用いて、例えばチタン又は硫酸バリウムのようなその他の材料の金属コーティングを施すことによって行うことができる。また、金属層は、部位を滅菌するために体内に電場を作り出すための手段を提供するような処置において用いることができる。そのような用途及び殺生物剤の例は、全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献12(Charles Lee Simpson、「Sterilization of Surgical Sites」)に記載されている。
【0072】
ここで図16を参照すると、医療用バルーン601は、単一のポリマー、編組繊維を含めた繊維との複合体、積層体、又は任意の他の適切な構造体を含むいずれかの適切な構造とすることができる。医療用バルーン601は、上記で引用により組み入れた特許文献12に記載された殺生物機能を実行するための電場を生成することができるように、外表面上に導電性表面(この図では図示せず)を有する。図示された例においては、バルーン601は、ホスト604の手術による又は外傷性の創傷である体腔の2つの表面606と608との間に挿入されている。バルーン601は、特許文献12に記載されているように殺生物剤でコーティングされ、導電性表面は電圧源(交流又は直流)に接続されて、バイオフィルム又は他の感染しやすい物質を破壊する。バルーン601は、バルーン6021を表面606及び608に従わせることができる内圧を有した状態で、挿入及び移動されることができる。シリンダ状のバルーン614をホスト604の管腔構造616内に挿入して、同じ機能を実行することができる。例えば、管腔は、血管、尿道、管路、又は他のいずれかのシリンダ状の腔又は導管とすることができる。どちらのバルーン601、614の内部空間602、610も、例えば生理食塩水のような任意の適切な物質で満たすことができる。
【0073】
図16のバルーンの更なる詳細は、種々の代替的な実施形態に従って、図17A、図17B、並びに図18から図20に示される。ここで図17A及び図17Bを参照すると、バルーン630及び660の表面は、バルーン630については634及び636、並びにバルーン660については664及び666である第1及び第2の導電性ストリップで縞状になっている。ストリップは、電圧源(図示せず)の2極のうちのどちらに接続されるかを示すために、1及び2で表示されている。ストリップ634及び638又は664及び666は、バルーン上にいずれかの適切な方法で塗装され、スパッタされ、積層され、又はその他の仕方で堆積される。
【0074】
代替的な実施形態において、ストリップ634及び638又は664及び666は、表面がバルーン630、660上に露出された導電性ヤーンを編組パターン内で使用することによって実現することができる。その表面は、平行な導電性ヤーンのセットを用いた編組予備成形品を作ることによって露出させることができる。次に、接着剤、例えば熱活性化接着剤又は熱可塑性ポリマー層を備えた土台バルーンを予備成形品の中で膨張させる。接着剤は、用途の要件によっては必ずしも必要ではないが、導電性ヤーンがバルーンの表面上に露出して図17A及び図17Bに示されるパターンを作り出すような結果が好ましい。バルーン630及び660の導電性表面は、それぞれ、電圧源に接続するための端子638、640又は668、670を持つことができる。
【0075】
図18は、平行な導電性ヤーン、この場合は長手方向のヤーン704が、布地706の三軸編組パターンによって所定位置に保持され、平行に維持される例を示す。導電性ヤーン704の間の空間を非導電性ヤーンが占めていてもよい。代替的な実施形態において、斜線方向のヤーン703の一部又は全部が導電性とされてもよい。極性は、反対の極性のヤーンが所望の間隔となることを達成するように、任意の所望のやり方でNヤーン毎に交互にすることができる。導電性ヤーンは、金属、炭素含浸繊維、炭素複合体、又はいずれかの適切な材料とすることができることに留意のこと。編組は必ずしもこのやり方で導電性繊維を用いる必要はないことにもまた留意のこと。例えば、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献2に記載されているようにヤーンをモールド内に置き、バルーンをその中で成形することができる。表面に残った接着剤又はマトリックスは、導電性ヤーンを露出させるために研磨して除去することができる。
【0076】
図19及び図20を参照すると、導電性ヤーンは、導電体がバルーン上の所望の位置のみに露出されるように、一部が絶縁された状態で設けることができる。例えば、図19に示される、アレイ706内の導電体752及び754(これらは交互の極性の組を示す)は、領域756(又は図19の実施形態においては786)のみで露出する。領域757は、導電体752及び754を電源との接続のために端子領域757で露出する。一方の極性の導電体752は、図20に示されるように、電圧源に対する接続を容易にするために、他方の極性の導電体754とは異なる軸位置で絶縁を欠損することによって露出することができる。ここで、領域782は、一方の極性のヤーンが露出し、他方の極性のヤーンが絶縁されている領域である。領域780は、他方の極性のヤーンが露出し、一方の極性のヤーンが絶縁されている領域である。このようにして、導電性テークオフ781及び783は、短絡を引き起こすことなく、はんだ付け又は他の手段で導電性ヤーンに電気的に接続させることができる。
【0077】
本発明を特定の好ましい実施形態を参照して開示してきたが、記載された実施形態に対する多数の修正、改変、及び変更が、例として添付の番号を付記された以下の段落で説明される本発明の領分及び範囲から逸脱することなく可能である。従って、本発明は、記載された実施形態に限定されることを意図せず、少なくとも以下の特許請求の範囲及びその均等の範囲の文言によって定義される完全な範囲を有することが意図される。
【符号の説明】
【0078】
100、400:編組
103:管状編組
102、115、415、570、592:剛直部分(領域)
106、110、112、410、572、574、594:可撓性部分(領域)
105、107、308:バルーン予備成形品
109、505、524、601、614、630、660:バルーン
250、420、408、704:0°ヤーン
252、423:シーム
253、280、284、425、703:斜線方向ヤーン
286、435:他の交差
288、290:剛直セグメント
215:多重バルーン型
220:単一バルーン型
240:土台バルーン
302:マンドレル
314、515:管
310、312:モールド
576:スペーサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用バルーンのための複合構造体に関し、特に、予測可能な折り畳みを促進するような構造体に関する。
本出願は、ここにその全体が引用により組み入れられる、2006年10月12日に出願された特許文献1に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
織り地及び編み地は、種々のデバイスを強化するために用いられてきた。製織に比べて編組は単位重量当たりより大きな強度を与えることができる。編組の強度は、多数のヤーンが互いに巻き付くことなく絡み合うことができるという事実に由来するものである。一般に、ヤーンはある角度で連続的に編組みされ、どのヤーンも鋭く曲げられる必要はない。その結果、荷重を編組全体にわたって均等かつ効率的に分散することができる。
【0003】
編組の自動製造は、一般に管状又は平坦な構成をもたらす。編組は、基底となる支持体なしで形成されることもでき(自立型)、あるいはマンドレル、又は帆船のマストのような強化されるべき部材の上を覆って形成されることもできる。
【0004】
ハイブリッド編を形成するために、単一の編組に複数のヤーン材料を組み入れることができる。これは、得られる製品に模様を入れるために行われることが多い。ヤーンは、金属製、炭素繊維製、ガラス繊維製、モノフィラメント又はマルチフィラメント糸製などとすることができる。編組みは非常に繊細な材料を用いて行うことができる。
【0005】
編組は、内視鏡及びカテーテルのような外科用デバイス、並びに副木及びステントのような移植用デバイスの強化材として用いられてきた。
【0006】
不織布の強化材も公知であり、例えば、ファイバーグラスの場合のようにランダムに配置された繊維、及びマトリクス上又はマトリクス内に配置されたハンドレイアップされた繊維が公知の方式である。どちらも、医療用バルーンの強化に関連して説明されている。
【0007】
多くの複合バルーン構造体は、非弾性フィラメントによって強化されており、これはつぶされたバルーンの容積を最小化するための折り畳みに非常に適している。しかしながら、この繊維は折り畳みの障害となることがあり、これが、以下で開示される本発明の実施形態のうちの少なくとも幾つかが取り組む課題である。
【0008】
以下は、編組技術の分野の背景に関するいくつかの参考文献である。簡潔な概説、並びに2D編組機と3D編組機との比較及びその編組機によって作ることができる構造の種類は、非特許文献1の記事によって提供される。
【0009】
3TEX社は、非特許文献2において三次元自動化編組の最新技術についての情報を提供している。このページは、大規模なCartesian編組機の写真と動画を表示している。強調されているポイントの1つは、コンピュータ制御によって、ヤーンの数又は連続性を変更することなくいつでも編組パターンをシフトさせることが可能であることである。
【0010】
ペンシルベニア州Springhouseのナショナル・テキスタイル・センター(National Textile Center (NTC))によるレポートは、ひし形、規則的、及びHercules編組といった異なる種類の編組パターンについて考察しており、また引張荷重の下での編組の挙動、荷重及び妨害(jamming)条件に関するヤーン角度の影響、及びその他の論点について考察している。非特許文献3。
【0011】
以下の論文は、混合材料を含む、異なる機械的性質を有する編組について考察している。非特許文献4。非特許文献5。
【0012】
以下の論文は、編み地の機械的性質に対する編組の影響を考察している。ここには、ハイブリッド編組及びその性能に関して、かなりの背景が記載されている。非特許文献6。非特許文献7は、複合材料の関係で編組を考察している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国仮出願番号第60/829,231号
【特許文献2】米国特許第6,746,425号明細書
【特許文献3】米国特許第5,357,839号明細書
【特許文献4】米国特許第5,772,848号明細書
【特許文献5】米国特許第6,090,137号明細書
【特許文献6】米国特許第5,085,252号明細書
【特許文献7】米国特許第5,465,760号明細書
【特許文献8】米国特許第6,129,122号明細書
【特許文献9】米国特許第6,315,007号明細書
【特許文献10】米国特許第6,439,096号明細書
【特許文献11】米国特許第6,599,448号明細書
【特許文献12】米国特許第6,258,249号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「Braiding」 2005、[online]、2007年8月、Advanced Composite Materials & Textile Research Laboratory、マサチューセッツ大学ローウェル校(University of Massachusetts−Lowell)、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<URL:http://mechanical.uml.edu/acmtrl/research-Braiding.htm>
【非特許文献2】[online]、3TEX社、[2005年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.3tex.com/3braid.cfm>
【非特許文献3】「Engineered Non− Linear Elastic Blended Fabrics」、NTC Project F00−PH05 2005、ナショナル・テキスタイル・センター(National Textile Center (NTC))、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.ntcresearch.org/pdf-rpts/AnRp02/F0O- PH05-A2.pdf>
【非特許文献4】Guang−Wu Du、Tsu−Wei Chou及びP.Popper、「Analysis of three−dimensional textile preforms for multidirectional reinforcement of composites」、 J. Mater. Sci.1991年、第26巻、p.3438−3448
【非特許文献5】Dunn,Matthew、Armstrong−Carroll,Eileen、Gowayed,Yasser、「Engineered Non−linear Elastic Bland Fabrics」、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.ntcresearch.org/pdf-rpts/BrefO601/F00-P05.pdf>
【非特許文献6】Seneviratne,Waruna P.及びTomblin,John S.、「Design Of A Braided Composite Structure With A Tapered Cross−Section」、National Institute for Aviation Research、ウィチタ州立大学(Wichita State University)、カンザス州、ウィチタ(Wichita,KS 67260−0093)
【非特許文献7】The Department Of Defense Handbook Composite Materials Handbook Volume 2、「Polymer Matrix Composites Materials Properties」、[2006年6月21日検索]、インターネットから検索<http://www.lib.ucdavis.edu/dept/pse/resources/fulltext/HDBK17-2F.pdf>
【発明の概要】
【0015】
経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、脈管ステント又はステントグラフトの送達のような治療法のためのバルーンは、バルーンの一貫した、予測可能な、又は緊密な折り畳みを促進するようにパターン形成された強化材料を使用する。
【0016】
本発明は、可撓性領域に沿った折り畳みを促進するための、壁が比較的剛直な領域と比較的可撓性の領域を有する医療用バルーンを提供する。剛性の変動は、異なる実施形態に従って、複合要素をバルーンの壁上又は壁内に可変的に配置することによって、壁の選択された部分に補強部材を取り付けることによって、布地若しくは編組又は他のフィラメント構造の性質を変更して可変の剛性を定めることによって、及びその他の手段によって、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの実施形態によれば、本発明は、壁を有する折り畳み可能な複合バルーンである。壁は、第1及び第2のフィラメントと第1及び第2の壁部とを有する。壁は、第1のフィラメントと第2のフィラメントとを分離する圧縮要素を、この第1及び第2のフィラメントが巻方向に延びる対向する張力要素を定めるように、第1の壁部内に有する。対向する張力要素は特定方向の成分を有し、少なくとも1つの圧縮要素によって分離され、その結果、少なくとも特定方向で第1の部分は第2の部分よりも剛性が高くなり、第1の部分及び第2の部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置される。これは、折り畳みが一般に第2の部分に対して整列することによるものであり得、これが、バルーンが押し潰されたときにきちんとした予測可能な折り畳みを保証することを補助することができる。これがひいては、狭い領域におけるコンパクトな構成を保証することを補助することができる。
【0018】
この実施形態のバリエーション及びその他が可能である。例えば、第1及び第2のフィラメントは、第1の部分と第2の部分とを連続的に通って延びる細長い部材の一部とすることができる。第1及び第2のフィラメントは、編組の少なくとも一部を定めるように編組みされることができる。編組は、第1及び第2の部分の中に0°編組ヤーンとして延びる第3のフィラメントを有する三軸部分を含むことができ、第1の部分内の第3のフィラメントは第2の部分内の第3のフィラメントよりも太く、第3のフィラメントは圧縮要素の少なくとも一部を形成する。0°ヤーンとは、編組が製織されるときに編組がその方向に沿って延びていく(又は長くなる)方向である長手方向に延びるヤーンのことを指すことに留意のこと。
【0019】
第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部(layer alteration)間の交差を有する編組の少なくとも一部を定めることができる。第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する二軸編組の少なくとも一部を定めることができる。
【0020】
壁は長手方向軸を有するように延びることができ、第2の部分は、その軸に対して整列するか、又はその長手方向軸の周囲を巡る螺旋状経路に従うことができる。壁は、ポリマー・マトリックスのようなマトリックスと、その中に包埋された部材とを含むことができ、第1及び第2のフィラメントはマトリックス中に包埋され、部材は圧縮要素の少なくとも一部を形成する。
【0021】
壁は、マトリックスと、その中に包埋された平坦な部材とを含むことができ、第1及び第2のフィラメントはマトリックス中に包埋され、部材は圧縮要素の少なくとも一部を形成する。
【0022】
1つの実施形態によれば、本発明は、第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を備えた、折り畳み可能な複合バルーンもまた提供する。壁は第1及び第2の部分を有することができ、第1のフィラメント及び第2のフィラメントは第1の壁部分の中でポリマー・マトリックスの部分によって離間され、その結果、これらは、特定方向の成分を有する巻方向に延びる、マトリックス部分で分離された、対向する張力要素を定めるようになっている。マトリックス部分の対向する側部上の張力要素の間隔は、マトリックス部分が圧縮要素として働くようになっており、その結果、少なくとも特定の方向において、第1の部分は第2の部分よりも剛性が高くなる。第1及び第2の部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることができる。あるいは、第2の部分は、その構造が折り畳みを促進することを補助するように、又は自然な折り畳み挙動を作り出すように、バルーンの折り畳み線に対して整列することができる。
【0023】
この実施形態も同様にバリエーションを有し、例えば、第1の部分及び第2の部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部である第1及び第2のフィラメントを含むことができる。第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することができる。第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する編組を定めることができる。第2の部分は折り畳み輪郭を定めることができ、交替部は、第1の領域内で、折り畳み輪郭に平行な側部交替部の連続した列が生じないように、互い違いになっている。
【0024】
さらに他の実施形態によれば、本発明は、ポリマー・マトリックスとそれに取り付けられたフィラメント構造体とを有するボディを備えた、折り畳み可能な複合バルーンである。ボディは、第1及び第2の部分と、折り畳み線とを有することができ、フィラメント構造体は第1及び第2の部分を定め、折り畳み線は第2の部分内に位置し、第1の部分は第2の部分間に位置する。1つの実施形態において、フィラメント構造体は、少なくとも折り畳み線に垂直な方向において、第1の部分で第2の部分よりもボディの剛性が高くなるように構成されることによって、折り畳み線に沿った折り畳みを促進するように構成されることができる。他の実施形態において、フィラメント構造体は、稜線を備えた型の上で形成された結果として、折り畳み線に沿って折り畳まれる方が有利な機械的バイアスを発生させるように構成されることができる。
【0025】
フィラメント構造体は、少なくとも折り畳み線に垂直な方向において、第1の部分で第2の部分よりもボディの剛性が高くなるように構成されることができる。フィラメント構造体は、編組を含むことができる。フィラメント構造体は、第1及び第2のフィラメントと圧縮要素とを含むことができ、第1の部分は、少なくとも一部には、第1の部分の第1及び第2のフィラメントが、その間に圧縮要素を伴って配置されることにより圧縮要素によって分離された対向する張力要素を定める結果として、少なくとも折り畳み線に垂直な方向で剛性がより高くなる。編組は層を有することができ、第1の部分の方が第2の部分よりも剛性が高くなるように、第1の部分において第2の部分よりも多くの層を有する。
【0026】
ボディは長手方向軸を有することができ、折り畳み線は長手方向軸に平行である。ボディは長手方向軸を有することができ、折り畳み線は長手方向軸の周囲に螺旋形に巻回されることができる。
【0027】
さらに他の実施形態によれば、ポリマー・マトリックスに取り付けられた又はポリマー・マトリックス内に組み込み要素を含むポリマー・マトリックスの壁を有する、折り畳み可能な複合バルーンが提供される。組み込み要素は、壁が第1の部分において第2の部分よりも容易に折り畳まれるように、壁の第1の部分及び第2の部分を定める。
【0028】
さらに他の実施形態によれば、細長い強化部材と第1の部分と第2の部分とを有する壁を備え、第1の部分の剛性が第2の部分の剛性よりも低い、折り畳み可能な複合バルーンが提供される。細長い強化部材の配置により、壁は第2の部分で第1の部分よりも剛性が高くなり、これにより、バルーンは低剛性部分に一致する輪郭に沿って折り畳まれる傾向を有することになる。
【0029】
1つの実施形態によれば、本発明は、体内の感染領域を処置するための方法である。この方法は、手術中に露出された体内の感染領域に導電性殺生物剤組成物を適用し、殺生物剤組成物を有する表面に、交互の極性の導電性表面を有する膨張性部材を接触させて電場を生成することによって、殺生物剤組成物に電場を印加するステップを含む。電場強度及び印加の持続時間は、感染領域の微生物の死滅を引き起こすのに十分である。好ましくは、感染領域は、主として細菌、酵母又は真菌からなるバイオフィルムから構成される。好ましくは、殺生物剤は、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、マクロライド系抗生物質及びキノロンの系統から選択される抗生物質である。好ましくは、導電性殺生物剤組成物は、緩衝生理食塩水組成物である。好ましくは、殺生物剤組成物は増粘剤を含む。好ましくは、電場は実質的に一定である。好ましくは、電場はパルス又は交流電場である。好ましくは、電場強度は約1ミリアンペアから約200ミリアンペアまでの範囲の値を有する電流によって生成される。好ましくは、電場は、約1分間から約48時間までの時間にわたって導電性殺生物剤組成物に印加される。好ましくは、殺生物剤は、電場無しで用いられた場合には感染領域を完全に死滅させるには無効である量で組成物中に存在する。
【0030】
上記の方法の実施形態の特定のバリエーションにおいて、方法は心臓弁置換手術の過程の間に実行される。好ましくは、殺生物剤は、抗生物質、抗真菌剤、消毒薬、滅菌剤、他の防腐剤、ヘキサクロロフェン、カチオン性ビスビグアニド(bisiguanide)、ヨウ素、ヨードフォア、パラ−クロロ−メタ−キシレノール、トリクロサン、フラン製剤、メテナミン、アルデヒド、又はアルコールである。好ましくは、カチオン性ビスビグアニドは、クロルヘキシジン又はシクロヘキシジンを含む。好ましくは、ヨウ素はポピドンヨードを含む。好ましくは、ヨードフォアはポピドンヨードを含む。フラン製剤は、ニトロフラントイン又はニトロフラゾンを含む。好ましくは、アルデヒドはグルタ体(glute form)である。
【0031】
他の実施形態によれば、本発明は、外面に露出した強化繊維のアレイを有するバルーン体を含み、強化繊維の少なくとも幾つかはバルーン体の表面上に電場が連続的に生成されるように電圧源に接続可能な導電性サブセットである、医療用バルーンである。好ましくは、繊維は編組パターンを形成する。好ましくは、強化繊維の少なくとも幾つかは、金属製である。好ましくは、強化繊維の少なくとも幾つかは、三軸編組のゼロ度繊維である。
【0032】
1つの実施形態によれば、第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を備えた折り畳み可能な複合バルーンもまた提供することができる。壁は第1及び第2の部分を含むことができ、第1及び第2のフィラメントは第1の壁部分の中で1つ又は複数の電波不透過性要素によって離間され、その結果、電波不透過要素上に重なるヤーンは、特定方向の成分を有する巻方向に延びる、電波不透過性部分によって分離された、対向する張力要素を定める。これにより、電波不透過性の組み込み要素は、バルーンの折り畳みを妨害することなく(実際には促進する)、相対的に剛性になる。マトリックス部分の対向する側部上の張力要素の間隔は、電波不透過性要素が張力要素として働くようになっており、その結果、少なくとも特定の方向において、第1の部分は第2の部分よりも剛性が高くなる。第1及び第2の部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることができる。あるいは、第2の部分は、その構造が折り畳みを促進することを補助するように、又は自然な折り畳み挙動を作り出すように、バルーンの折り畳み線に対して整列することができる。
【0033】
この実施形態も同様にバリエーションを有し、例えば、第1の部分及び第2の部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部である第1及び第2のフィラメントを含むことができる。第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することができる。第1及び第2のフィラメントは、第2の部分内において第1の部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する編組を定めることができる。第2の部分は折り畳み輪郭を定めることができ、交替部は、第1の領域内で、折り畳み輪郭に平行な側部交替部の連続した列が生じないように、互い違いになっている。
【0034】
他の実施形態において、折り畳み可能な複合バルーンは、壁を定める編組強化構造体を有する。編組強化パターンは、壁が第1の壁部分において第2の壁部分よりも剛性が高くなるようになっている。第1及び第2の壁部分は、バルーンが折り畳まれたときに第1の部分が第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置される。好ましくは、少なくとも第1の壁部分はその上に電波不透過性コーティングを有する。あるいは、第1の壁部分のみがその上に電波不透過性コーティングを有する。他の好ましい実施形態において、電波不透過性材料は、第1の部分のみに組み込まれている。
【0035】
添付の図面はここに組み入れられ、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を図示するものであり、上記の一般的な説明及び下記の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】複合バルーンにおいて用いることができる管状編組のような強化構造体を示し、この強化構造体は相対的に可撓性の部分又は小面及び相対的に剛直な部分又は小面を有する。
【図2A】長手方向の折り畳みパターンを有する医療用バルーン繊維予備成形品の模式的な図である。
【図2B】長手方向の折り畳みパターンを有する医療用バルーン繊維予備成形品の模式的な図である。
【図3】本発明の実施形態による、カテーテル表面に隣接して位置する折り畳まれたバルーンの壁の一部の平面展開図である。
【図4A】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分とを与える編組パターンを示す。
【図4B】図4Aの編組パターンの特徴の説明を補助するための図である。
【図4C】図4Aの編組パターンの特徴の説明を補助するための図である。
【図5A】バルーンのための複数の強化構造体を編組み又は製織するために用いることができる多重バルーン・マンドレルを示す。
【図5B】バルーンのための強化構造体を編組み又は製織するために用いることができる単一バルーン・マンドレルを示す。
【図5C】その上に強化構造体を編組することができる土台バルーンを示す。
【図6A】多重バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法のフロー図である。
【図6B】単一バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法のフロー図である。
【図6C】ライナ・バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法のフロー図である。
【図7】1つの実施形態による複合バルーンの製造で用いられる要素を示す。
【図8A】図7の実施形態による複合バルーンの製造におけるステップを示す。
【図8B】図7の実施形態による複合バルーンの製造におけるステップを示す。
【図8C】図7の実施形態による複合バルーンの製造におけるステップを示す。
【図9A】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。
【図9B】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。
【図9C】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。
【図10】強化部分が段階的かつ部分的に付加されるバルーンの実施形態を示す。
【図11】非シリンダ状の形状を有する強化されたバルーンを示す。
【図12】非円形の断面を有するシリンダ状の型を示す。
【図13】強化構造体又はバルーンと強化構造体との組合せを形成するための成形装置を示す。
【図14】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える別の編組パターン及び構造を示す。
【図15】相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与えるさらに別の編組パターン及び構造を示す。
【図16】ホストの開口部の中に挿入された2つの代替的な種類のバルーンを示す。
【図17A】殺生物手技又は導電体を有するバルーンが用いられるその他の手技のための、導電性表面を備えた医療用バルーンの実施形態の実施形態を示す。
【図17B】殺生物手技又は導電体を有するバルーンが用いられるその他の手技のための、導電性表面を備えた医療用バルーンの実施形態の実施形態を示す。
【図18】導電性ヤーンを有する布地を示す。
【図19】本発明の実施形態で使用するための部分的に絶縁された導電性ヤーンを示す。
【図20】部分的に絶縁された導電性ヤーンを有するバルーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
種々の実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。可能な限り、図面全体を通じて、同じ又は類似の部材を指すために同じ参照番号を用いるものとする。
図1は、複合バルーンにおいて用いることができる管状編組のような強化構造体を示し、この強化構造体は相対的に可撓性の部分106又は小面(ファセット)及び相対的に剛直な部分102又は小面を有する。管状編組103は、相対的に剛直な、又は少なくとも円周方向(すなわち、バルーン軸の周囲方向)で相対的に剛直な、剛直部分102を有する。管状編組103は、これもまた少なくとも円周方向で剛直部分102に比べて可撓性である、可撓性部分106も有する。
【0038】
管状編組103は、どのようなタイプの強力フィラメント(個別に図示せず)製であってもよいが、折り畳み医療用バルーンの本実施形態においては、これは比較的非弾性の高強力剛性繊維を含む。フィラメントは異なる材料及び断面形状の混合物とすることができ、異なる材料を以下で考察するように種々の方法で組み合わせることができる。編組みは、ここで説明される編組パターン及び他の構造を利用する分野で公知の様々な機構を用いて行うことができる。例えば、管状編組103の編組みは、プログラム可能な管状編組機(図示せず)を用いて行うことができる。あるいは、管状編組103は、図2Aに示されるような、次第に先細状になる端部を有する非円筒形(三次元)編組の一部とすることもできる。
【0039】
管状編組103は、圧力を保持し、漏れを防ぐことを保証することができる可撓性材料内に包埋され、そのような可撓性材料で含浸され、又は他の方法でそのような可撓性材料と組み合わされて、医療用バルーンを形成する。例えば、管状編組を、所望の種類のバルーンの形状を有する土台ライナの上に接着剤で接着することができる。複合構造体を形成するための様々な公知のプロセスが適切であるので、この主題に関してはここでは多くは論じない。
【0040】
図2A及び図2Bは、長手方向の折り畳みパターンを有する医療用バルーン繊維予備成形品の模式的な図である。図2Aにおいて、バルーン予備成形品105は直線状の折り畳み輪郭線を有し、図2Bにおいて、バルーン予備成形品107は螺旋状の折り畳み輪郭線を有する。予備成形品105及び107は、図5A及び図5Bを参照して後述するように、三次元の型の上を覆って編組みされて、図示された形状を達成することができる。上記のように多様な可撓性を有する異なる部分を集合的に108及び109で表す。その他の種々の形状を本発明の特徴と共に用いることができ、図示された形状は、種々の折り畳み特徴及び構造を単に説明する目的のためのものであることに留意のこと。
【0041】
図3は、本発明の実施形態による、カテーテル表面に隣接して位置する折り畳まれたバルーンの壁の一部の平面展開図である。当業者には理解されるように、収縮したときに折り畳まれるように構成することによって、医療用バルーンの断面の高さを薄くすることができる。図3に示される折り畳まれた形状は、折り畳まれたバルーン109の壁の一部を示す。図示されているように、この図面は平面展開図であり、104で示される面は図面の平面を貫通するバルーンの軸の周囲を取り巻くことになり、その上に重なるバルーン壁114及び折り畳み部も同様であることを理解すべきである。例えば、構造体111は断面が円形のカテーテルとすることができる。図3は、相対的に剛直な部分112が比較的平坦になり、その一方で折り畳み部が相対的に可撓性の部分113に一致する様子を示す。その結果として、バルーン109が収縮したときに、折り畳みパターンはバルーン109から、より容易に推測することができる。図示されていないが、上記の編組のような複合繊維強化材は、好ましくはバルーン109の壁114の内部に組み入れられる。
【0042】
上記及び下記の実施形態は、バルーンがコンパクトな形状を達成するために、壁が180°屈曲して隣接部分に完全に重なり、かつ接触するという意味では完全に折り畳まれないような方式に改変することができる。すなわち、壁は、完全に180°の曲がり目を作ることなく単に巻き付くこと又は曲がることができ、及び/又は隣接する部分が折り畳まれた構成において一度重ならなくてもよい。例えば、図3において、部分112は部分113よりも、曲げに対して抵抗する。図3は平面展開図を示しているので、部分112は、平坦な部分として表示されているとはいえ、一般にバルーンの軸の周囲を取り巻いていることに留意されたい。バルーンは折り畳まれた状態で弛緩した状態を有することができ(実際、このことは、幾つかの実施形態において好ましい)、その場合、バルーンの幾つかの部材は実際に、折り畳まれた構成を形成するための曲げに対して負の抵抗を与えることができる。従って、「抵抗」という用語は、ここではゼロ、負、及び正の抵抗をカバーする全体的な意味で用いられる。換言すれば、折り畳みなどの際にバルーンの最も屈曲する部分は、例えば折り畳まれた構成においてその最も弛緩した状態に達することができ、その場合、バルーンは折り畳まれる傾向があるので、正の抵抗を生じないことになることが理解される。従って、この場合、特定の部分、例えば折り畳み線における抵抗は負となるだろう。
【0043】
図4Aは、相対的に剛直な部分と相対的に可撓性の部分とを与える編組パターンを示す。図4Aは、医療用バルーン(この図では図示せず)の壁のための強化構造体の一部を形成することができる三軸編み地100を示す。図3の領域113と一致する可撓性領域110及び112において、編組パターンはいわゆるひし形編組パターンであり、ヤーンは、1つのヤーンを横切るたび毎に交互に両側を行き来する。ひし形編組パターンでは、全てのヤーンが同じ長手方向の線に沿って両側に交差する位置に長手方向(長手方向は、バルーンの長軸でもあるこのページの長軸方向として定義される)の「シーム」が形成される。シームは細く、与える抵抗が小さいので、これがひし形パターンを曲がりやすくする。剛直領域115(1つしか示していないが、通常もっとたくさん存在する)において、ヤーンは一般に、両側に交差する前に1本より多くの0°ヤーンを横切る。例えば、Hercules編組において、ヤーンは両側に交差する前に3本の他の0°ヤーンを横切る。図示された剛直領域115のための編組パターンにおいて、ヤーンは交差の前に他の3本の0°ヤーンを横切る。パターンは、好ましくは、交差点が長手方向線に並ぶようになっている。
【0044】
ここで図4B及び図4Cを参照すると、これらの図は、図4Aの可撓性110領域及び剛直115領域の編組パターンがどのように異なり、その違いが相対的な剛性にどのように寄与するかを示す。図4Bにおいて、相対的に可撓性のひし形パターンが模式的な断面図で示される。断面で示されるヤーン250は、軸編組の長手方向の繊維を表す。ヤーン253は斜線方向に交差しており、どこで直線断面をとっても交差するヤーンの連続的な経路は実際の断面図では見ることができないが、この図解は検査によって確認できるように機能的に同様であるので、この図面は模式的な断面図であることに留意のこと。ヤーン253がそこで交差する252で示されるようなシームは、ヤーンが全ての交差点毎に交替するので、長手方向に沿って連続した列で配置される。対照的に、図4Cに示されるように、ヤーンが全ての交差点毎に交替しない場合、より剛直な構造が形成され、交差するヤーン280及び284は張力要素を形成し、これが、包埋されたマトリックス(これは圧縮に対して抵抗する)と組み合わされて、剛直セグメント288を定める。286における交差で示されるような他の交差ヤーンの交差点の位置は、横方向で一致しない(すなわち、交差線は長手方向の線に沿って整列しない)ので、編組がそこで曲がりやすくなるはずのシームが発生しない。このように、例えば、先の剛直セグメント288に長手方向で隣接する剛直セグメント290(破線で示される)は、横方向にずれている。このようにして、剛性は、剛直セグメント288の範囲を超えて横方向に拡張される。この種類の剛直性の配置は、図4Aの115に示されている。
【0045】
図5Aは、バルーンのための複数の強化構造体を単一の編組み操作で編組み(又は製織)するために用いることができる多重バルーン型215、又はマンドレルを示す。編組みは、頂部延長部216から開始され、バルーン部210に向かって拡幅し、接続区域217Aに向かって狭められることができる。編組み操作は、バルーン区域211及び接続区域217(任意の数のそれら)を越え、次に最後のバルーン区域212及び延長区域218を越えて続けることができ、切断して複数のバルーン予備成形品とすることができる構造体(図示せず)を形成することができる。
【0046】
図5Bは、バルーンのための単一の強化構造体を編組み(又は製織)するために用いることができる、延長区域222を備えた単一バルーン型220を示す。215及び220の実施形態のどちらにおいても、型は、1つ又はそれ以上の予備成形品を残して、仕上げられた形態215、220から取り去ることができるように、解体又はその他の方法で崩壊させることができる構造で作ることができる。実施形態215のセグメントを分割するための切断操作は、型215の崩壊の前又は後で行うことができる。図5Cは、その上を覆って強化構造体を編組みすることができる土台バルーンを示す。延長部242を備えた土台バルーン240は、仕上げられたバルーンのライナ部分として働くことができ、編組構造体の製作のための編組み型として機能し、任意に、仕上げられたバルーンの一部として残ることができる。好ましくは、土台バルーン240は、これを編組み用の型及び土台として用いることを容易にするために、非弾性材料で作ることができる。
【0047】
図6Aは、多重バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法の例のフロー図である。ステップS10において、複数の要素で構成された(mutiple part)型215が製作され、ステップS15において、編組み装置を用いて型215の上を覆って編組みが行われる(図5A)。次にステップS20において、得られた型及び編組みされた予備成形品をセグメントに切断して、別々のバルーンにおいて用いられる個別の予備成形品を定める。次にステップS25において、下に重なった型を、例えば、酸又は水中に溶解させること、溶融させること、再構成すること、又は型の構造に応じたその他の1つ又は複数のステップを実行することによって崩壊させる。ステップS30において、バルーン予備成形品の各々の中にライナを挿入し、膨張させる。ライナは、膨張したときに所望の形状及び大きさを呈するように形成することができる。ステップS35において、1つの実施形態においては、ライナは加圧流体で膨張させられ、編組予備成形品はマトリックスでコーティングされ、このマトリックスは、ステップS40で硬化され、予備成形品とライナ・バルーンとマトリックスとを互いに接着させて一体化した構造を形成するのに役立つ。
【0048】
図6Bは、単一バルーン型を用いて強化医療用バルーンを作るための方法の例のフロー図である。ステップS110において、型215が製作され、ステップ115において、編組み装置を用いて型225の上を覆って編組みが行われる(図5B)。ステップS120において、下に重なった型を、例えば、酸又は水中に溶解させること、溶融させること、再構成すること、又は型の構造に応じたその他の1つ又は複数のステップを実行することによって崩壊させる。ステップS130において、バルーン予備成形品の中にライナを挿入し、膨張させる。ライナは、最終的な形状になる前に成形を必要とするような形態及び形状とすることができる。バルーンの封止及び充填を補助するために、シリンダ状のマンドレルをステップ315において挿入することができる。ステップS140において、この実施形態においては、ライナは加圧流体で膨張させられ、次に編組予備成形品がマトリックスでコーティングされ、このマトリックスは、ステップS40で硬化され、予備成形品とライナ・バルーンとマトリックスとを互いに接着させて一体化した構造を形成するのに役立つ。
【0049】
図6Cは、ライナ・バルーンを型として用いて強化医療用バルーンを作るための方法の例のフロー図である。ステップS210において、ライナ・バルーン220(図5C)が製作され、ステップS215において、編組み装置を用いてライナ・バルーン220の上を覆って編組みが行われる(図5C)。ステップS235において、バルーンの封止及び充填を補助するために、シリンダ状のマンドレルをライナ内に挿入することができ、この部分組立品はモールド内に挿入される。ステップS240において、この実施形態においては、ライナは加圧流体で膨張させられ、部分組立品は、編組がライナ・バルーン内へと溶融するまで加熱され、それにより、このバルーンが、編組構造を封止するマトリックスを形成する。次に、マトリックスはステップ245において冷却されて、一体化した構造を形成する。
【0050】
上記の実施形態において、一体化された繊維編組強化材を備えたバルーンを形成するのに多くのやり方があることを示すために、方法のステップをわざと変化させた。例えば、図6A及び図6Bの方法において、硬化性コーティングを予備成形品上に配置したが、一方、図6Cにおいては、熱可塑性ライナを一部溶融し、冷却して、バルーンを形成する。種々の方法及び特徴を変更し、変化させて、バルーンを形成することができ、本出願に記載された強化構造体の利点を実現するためには特定の方法を必要としないことが認識される。例えば、微細な熱可塑性材料又は接着剤で編組みされる繊維をコーティングすることができ、又は微細な熱可塑性材料又は接着剤を予備成形品に含浸させることができ、このときライナ・バルーンは成形温度よりも高い溶融温度を有するものとする。その場合、図6Cの方法において、次に、熱成形の間に、コーティングされた又は含浸された材料が編組をライナに接着させて、バルーンを形成する。
【0051】
モールドを使用せずにバルーンを作る代替的な方法は、土台バルーンのヤーンの基材よりも低い温度で流動する樹脂を含むヤーンを用いて、ライナ・バルーン上を覆って編組みすることである。例えば、高い溶融温度のヤーンを低い溶融温度の熱可塑性材料でコーティングすることができる。土台バルーンの上を覆ってこの二部式ヤーンを編組みした後、編組及び土台バルーンを低溶融温度の樹脂の流動が起きる温度まで加熱して、ヤーン間の隙間を封止する。土台バルーンの材料及び厚さは、土台バルーンの材料の性質に応じて、土台バルーンを取り去るか、又はその場に残すかのいずれかとすることができるように、選択することができる。
【0052】
図7並びに図8A、図8B及び図8Cは、1つの実施形態による複合バルーンの製造を示す。開口部304を有するマンドレル302を、成形されてバルーンライナを形成することになるポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又は他の適切な材料の管314の中に挿入する。マンドレル302及び管314を編組みされた予備成形品308の中に挿入し、次にこの部分構造332をここでは二部式モールドとして示されているモールド310及び312の中に置く。図8A参照。クランプ320をマンドレルの端部306の上に配置して、管314と予備成形品308とをマンドレル306に押し付けて封止する。次にモールドを組み立て(破線322又は矢印355によって示されるように)、予備成形品308を覆って締め付け(図8D参照)、空気又は他の流体を端部開口部306からマンドレル302に注入しながら加熱する。その結果、管314のバルーンは軟化して、加圧下で膨張する。図8C参照。今やバルーン314Aである管314が複合バルーン314を形成した後、モールドを冷却し、複合バルーンを取り出す。
【0053】
図9A−図9Cは、相対的に剛直な部分と相対的に曲げやすい部分を与える編組パターンとヤーンのセットを示す。本実施形態は、0°ヤーン420が剛直領域415内の他のヤーンよりも断面積が大きいこと以外は、図4A−図4Cの実施形態と同様である。可撓性領域410において、ヤーンは同一とすることができる。本実施形態における0°ヤーン420は、張力部分420を図4A−図4Cの実施形態よりもさらに離間させて分離させ、それにより高い剛性を作り出す効果を有する。
【0054】
図9Bにおいて、相対的に可撓性のひし形パターンが模式的な断面図に示されており、0°ヤーン408は断面で示されている。ここでもまた、ヤーン425がそこで交差する423で示されるようなシームは、ヤーン425が全ての交差点毎に交替するので、長手方向に配置される。図9Cにおいては、ヤーン425は全ての交差点毎に交替せず、可撓性が少ない構造が形成され、交差ヤーン420は、図4Cを参照して上記したように張力要素を形成する。ここでもまた、好ましくは、編組パターンは、剛直セグメントが長手方向に対して垂直な方向にずれて互い違いになって剛直セグメント間で協同的な連続した剛性の範囲を提供するようになっている。このような互い違いの配置は、図9Cにおいて、横方向に一致しない他の交差ヤーン435の交替点の位置を観察することによって、例示される。
【0055】
同じ原理を用いた、二軸編組構造を使用した編組の他の実施形態を創出することもできることに留意のこと。このような実施形態においては、可撓性領域410内に0°ヤーンは存在しないが、剛直領域において0°要素(必ずしもヤーンである必要はない)が二軸ヤーンの二軸層を分離する働きをする。そのような実施形態において、要素420は、例えばPET又はナイロンのフィラメントとすることができる。この場合、0°要素は、マトリックスを形成する材料と共に圧縮に対する抵抗を与えることを補助する別の材料で作られたものすることができる。
【0056】
図10は、強化部分が段階的かつ部分的に付加されるバルーンの実施形態を示す。型の上を覆って編組みして三次元の予備成形品を作る代わりに、ここで説明される編組構造は、シリンダ状の管515として編組みすることができる。管515をバルーン505の上にかぶせて摺動させ、そのバルーンに対して接合又は成形することができる。この場合、端部は、編組をほぐし(teasing)、それを折り曲げ(重ね)、その中に切り欠きを入れ、又は完全に端部を覆う前に単にそれを止めることによって、形成することができる。さらに、編組は、510で示されるように端部の上を覆って形成することができる。例えば、管515をほぐして、その繊維を端部(この例では円錐形)の上に置き、螺旋巻を円錐形の端部の上に巻き付けることができる。ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる医療用バルーンについての特許文献2を参照のこと。これは、螺旋巻によってバルーンを包むための構造及び方法を記載している。例えば、管515をライナ・バルーンの上に配置し、膨張させて所望の形状を形成した後に、この参考文献の実施形態に従った、接着剤の使用を伴い得る方法を行うことができる。
【0057】
図10の実施形態のバリエーションにおいて、0°ヤーンを、円錐形端部が達している管の端部を越えて延ばすことができる。これらの自由な長手方向繊維は、特許文献2に記載されているように、所定位置で接着剤によって接合されることができ、この特許に記載されているやり方で螺旋巻が頂部上に付加される。0°ヤーンの自由端は、編組み装置によって、又は切断若しくはほぐすことによって得ることができる。あるいは、斜線方向のヤーンを、円錐部分の上で長手方向強化材の中に組み入れることができる。
【0058】
図11は、非シリンダ状の形状を有する強化されたバルーンを示す。図11は、本発明の強化構造体がシリンダ状バルーンに限定されないことを例証するために含められている。例えば、バルーン524は、アコーディオン状の折り目530及び535を用いて潰され、そして膨らまされて、シリンダ状のような拡張された形態を形成することができる。
【0059】
図12は、非円形の断面を有するシリンダ状の型550を示す。このような非シリンダ状の型の上を覆って編組みをすることは、場合によっては、ヤーン角度との適合性及び他の検討事項に応じて折り畳みをさらに促進するために、有益であり得る。このような型の上を覆って編組みすることによって、ヤーンの長さは、折り畳まれた構成に有利になるようにバイアスをかけられるが、これは上述のような多様な剛直領域と可撓性領域という性質にさらに加えられる性質である。シリンダ550(技術的には、非円形の柱状形状も「シリンダ」よぶことに留意のこと)は、折り畳み線が長手方向でない場合には、螺旋巻を有することができる。場合によっては、編組構造(例えば、図4A−図4C及び図9A−図9Cを参照して説明されたような)全体にわたって、より剛直な編組を用いることが有益であり、それは、鋭い曲がり目552(代表(typ.))に近接したところに、そこから離れた層におけるよりも短い張力部材284及び420をもたらすことになる。従って、そのような構造は、あたかも編組が折り畳まれたときに最も弛緩した状態になるように「成形され」又アニールされているかのように、その折り畳まれた構成へと向かうバイアスを保持することになる。図13は、強化構造体又はバルーンと強化構造体との組合せを形成するための成形装置を示す。モールドは、中央部582及びウィング部584を含む。このような構造を用いると、バルーンは、マトリックス内に成形された折り畳み形状バイアス、並びに折り畳まれた部分における更なる可撓性、及び/又は複合構造(例えば編組)における折り畳みバイアスを有することができる。
【0060】
図14は、相対的に剛直な部分及び相対的に曲げやすい部分を与える別の編組パターン及び構造を示す。ここでは、剛直領域570はその上を覆って編組が製織されるスペーサ576を有する。スペーサ576は、0°ヤーンとして保持されることができ、編組みはその周囲で行われることができる。可撓性領域572の層同士は隣接し、それらをより可撓性にさせる。剛直領域570の分離した層は、図4B−図4C及び図9B−図9Cを参照して説明されたのと同様の方式で、剛性に寄与する。すなわち、上層及び下層は、スペーサ576の形態の非圧縮性コアの上で張力要素として作用する。可撓性領域574における層は、三次元編組装置を用いて単一の布地として製織されることができることに留意のこと。例えば、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載されているような三次元編組みである。
【0061】
図15は、相対的に剛直な部分及び相対的に曲げやすい部分を与える別の編組パターンを示す。剛直部分592は、剛直にされるべき領域592のみにおいて、重ね編組層(586で重ね編組み(編組の上に重ねて編組みして、追加の層を形成する)される。これは、より安価な二次元編組装置を用いて行うことができる。編組パターンは、重ね編組層586をつなぐヤーン590を含むことができる。薄い領域は主として下層588によって定められる。他の実施形態において、図14の576のようなスペーサが、剛直領域の層間に組み入れられる。この実施形態において、スペーサは中間の積層又はコーティングステップによって組み入れられてもよく、その場合、スペーサは編組予備成形品の一部として配置され、組み入れられるよりもむしろ、バルーン上に置かれることに留意のこと。
【0062】
好ましい実施形態において、インサイチュでのバルーンの可視化を高めるために、剛直部分592は、電波不透過性材料で作ることができる。あるいは、剛直部分592を電波不透過性にするために、剛直部分592は、その中に組み込まれた又はその上にコーティングされた電波不透過性材料を有することができる。このことは、可撓性が低すぎるか又はその他の理由で医療用バルーンに組み込まれることが困難であった電波不透過性材料を用いることを可能にすることができる。
【0063】
ここで説明されているどの実施形態においても、バルーンは、電波不透過性材料でコーティングまたは含浸することができ、又は、本明細書で論じられるような編組みプロセスになどのその他の方法によって中に組み込まれた電波不透過性材料を有することができる。そのような電波不透過性材料は、バルーン壁の比較的平坦な(折り畳まれない)部分に限定することができ、それにより、緊密に折り畳まれる部分で用いられた場合には高度な歪みに耐えられないような材料を用いることを可能にすることができる。
【0064】
上記の実施形態のマトリックス及び/又はライナのために用いることができる材料の例には、ポリカプロラクタム、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ABS共重合体、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体、アイオノマー樹脂、液晶ポリマー、及び剛直ロッドポリマーが含まれる。
【0065】
医療用バルーンの実施形態の用途には、脈管拡張、ステント送達、薬物送達、センサ及びブレードのような外科デバイスの送達及び操作などが含まれる。本発明の範囲内のバルーンの例示的な設計パラメータは、破裂圧力が100psi以上のバルーンを含む。
【0066】
上記で考察及び図示された多くの例は、二軸編組構造及び三軸編組構造に基づいていたが、本発明の実施形態の利点は、他の編組パターンにも適用できることに留意のこと。そのようなパターンには、多層、及びいわゆる厚型編組(thick braid)又は三次元編組が含まれる。
【0067】
また、編組の形成の高度な自由度及び制御を可能にするいくつもの種類の編組み技術があることにも留意のこと。本開示の教示と組み合わせることができるような適切な技術及び技法は、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、及び特許文献10に見いだすことができる。
【0068】
また、実施形態は基本技術として編組の観点で説明されているが、同じ利点を製織又は製織及び編組みの組合せの技術を用いて達成することができることにも留意のこと。そのような場合、剛直性を与える性質は、布地の組織中の縦糸及び/又はよこ糸に由来するものとすることができる。さらに、現在の編成、製織、及び編組技術は、そのカテゴリの境界があいまいになってきているので、これらの用語は限定的に解釈されるべきではない。
【0069】
本開示において、「ヤーン」及び「繊維」という用語は互換的に用いられる。「ヤーン」という用語は通常、編組みの分野で用いられる。この用語は、上記のいずれの実施形態で用いられる繊維材料の材料、組成、又は構造を制限することも意図していない。さらに、開示された構造体は、編組みを含まない機構を含む種々の方法で作り出すことができる。従って、「ヤーン」という用語が用いられ、及び/又は構造体を形成する好ましい手段として編組みが記載されていたとしても、その使用は、記載された構造体を編組みによって形成されるものに限定することを必ずしも意図しない。
【0070】
繊維/ヤーンのために種々の材料を用いることができる。例としては、Kevlar、Vectran、Spectra、Dacron、Dyneema、Terlon(PBT)、Zylon(PBO)、ポリイミド(PIM)、超高分子量ポリエチレンなどのような高強力非弾性繊維があるが、これらに限定されない。さらに、繊維/ヤーンは、非円形断面を有することができる。例えば、平坦な繊維/ヤーンは折り畳みに対する優れた順応性を提供することができる。
【0071】
上記のいずれの実施形態においても、バルーン又は編組予備成形品を適切な材料(塗料)でコーティングして、得られる医療用バルーンを電波不透過性にすることができる。適切なコーティングは、例えば、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献11に記載されているように公知である。さらに、得られるバルーンの電波不透過性を高めるために、使用されるヤーン又は繊維の一部又は全部を電波不透過性とすることができる。これは、例えば、バルーン又は繊維に、蒸着又は電子エネルギー堆積を用いて、例えばチタン又は硫酸バリウムのようなその他の材料の金属コーティングを施すことによって行うことができる。また、金属層は、部位を滅菌するために体内に電場を作り出すための手段を提供するような処置において用いることができる。そのような用途及び殺生物剤の例は、全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献12(Charles Lee Simpson、「Sterilization of Surgical Sites」)に記載されている。
【0072】
ここで図16を参照すると、医療用バルーン601は、単一のポリマー、編組繊維を含めた繊維との複合体、積層体、又は任意の他の適切な構造体を含むいずれかの適切な構造とすることができる。医療用バルーン601は、上記で引用により組み入れた特許文献12に記載された殺生物機能を実行するための電場を生成することができるように、外表面上に導電性表面(この図では図示せず)を有する。図示された例においては、バルーン601は、ホスト604の手術による又は外傷性の創傷である体腔の2つの表面606と608との間に挿入されている。バルーン601は、特許文献12に記載されているように殺生物剤でコーティングされ、導電性表面は電圧源(交流又は直流)に接続されて、バイオフィルム又は他の感染しやすい物質を破壊する。バルーン601は、バルーン6021を表面606及び608に従わせることができる内圧を有した状態で、挿入及び移動されることができる。シリンダ状のバルーン614をホスト604の管腔構造616内に挿入して、同じ機能を実行することができる。例えば、管腔は、血管、尿道、管路、又は他のいずれかのシリンダ状の腔又は導管とすることができる。どちらのバルーン601、614の内部空間602、610も、例えば生理食塩水のような任意の適切な物質で満たすことができる。
【0073】
図16のバルーンの更なる詳細は、種々の代替的な実施形態に従って、図17A、図17B、並びに図18から図20に示される。ここで図17A及び図17Bを参照すると、バルーン630及び660の表面は、バルーン630については634及び636、並びにバルーン660については664及び666である第1及び第2の導電性ストリップで縞状になっている。ストリップは、電圧源(図示せず)の2極のうちのどちらに接続されるかを示すために、1及び2で表示されている。ストリップ634及び638又は664及び666は、バルーン上にいずれかの適切な方法で塗装され、スパッタされ、積層され、又はその他の仕方で堆積される。
【0074】
代替的な実施形態において、ストリップ634及び638又は664及び666は、表面がバルーン630、660上に露出された導電性ヤーンを編組パターン内で使用することによって実現することができる。その表面は、平行な導電性ヤーンのセットを用いた編組予備成形品を作ることによって露出させることができる。次に、接着剤、例えば熱活性化接着剤又は熱可塑性ポリマー層を備えた土台バルーンを予備成形品の中で膨張させる。接着剤は、用途の要件によっては必ずしも必要ではないが、導電性ヤーンがバルーンの表面上に露出して図17A及び図17Bに示されるパターンを作り出すような結果が好ましい。バルーン630及び660の導電性表面は、それぞれ、電圧源に接続するための端子638、640又は668、670を持つことができる。
【0075】
図18は、平行な導電性ヤーン、この場合は長手方向のヤーン704が、布地706の三軸編組パターンによって所定位置に保持され、平行に維持される例を示す。導電性ヤーン704の間の空間を非導電性ヤーンが占めていてもよい。代替的な実施形態において、斜線方向のヤーン703の一部又は全部が導電性とされてもよい。極性は、反対の極性のヤーンが所望の間隔となることを達成するように、任意の所望のやり方でNヤーン毎に交互にすることができる。導電性ヤーンは、金属、炭素含浸繊維、炭素複合体、又はいずれかの適切な材料とすることができることに留意のこと。編組は必ずしもこのやり方で導電性繊維を用いる必要はないことにもまた留意のこと。例えば、ここにその全文が記述されているものとして引用により組み入れられる特許文献2に記載されているようにヤーンをモールド内に置き、バルーンをその中で成形することができる。表面に残った接着剤又はマトリックスは、導電性ヤーンを露出させるために研磨して除去することができる。
【0076】
図19及び図20を参照すると、導電性ヤーンは、導電体がバルーン上の所望の位置のみに露出されるように、一部が絶縁された状態で設けることができる。例えば、図19に示される、アレイ706内の導電体752及び754(これらは交互の極性の組を示す)は、領域756(又は図19の実施形態においては786)のみで露出する。領域757は、導電体752及び754を電源との接続のために端子領域757で露出する。一方の極性の導電体752は、図20に示されるように、電圧源に対する接続を容易にするために、他方の極性の導電体754とは異なる軸位置で絶縁を欠損することによって露出することができる。ここで、領域782は、一方の極性のヤーンが露出し、他方の極性のヤーンが絶縁されている領域である。領域780は、他方の極性のヤーンが露出し、一方の極性のヤーンが絶縁されている領域である。このようにして、導電性テークオフ781及び783は、短絡を引き起こすことなく、はんだ付け又は他の手段で導電性ヤーンに電気的に接続させることができる。
【0077】
本発明を特定の好ましい実施形態を参照して開示してきたが、記載された実施形態に対する多数の修正、改変、及び変更が、例として添付の番号を付記された以下の段落で説明される本発明の領分及び範囲から逸脱することなく可能である。従って、本発明は、記載された実施形態に限定されることを意図せず、少なくとも以下の特許請求の範囲及びその均等の範囲の文言によって定義される完全な範囲を有することが意図される。
【符号の説明】
【0078】
100、400:編組
103:管状編組
102、115、415、570、592:剛直部分(領域)
106、110、112、410、572、574、594:可撓性部分(領域)
105、107、308:バルーン予備成形品
109、505、524、601、614、630、660:バルーン
250、420、408、704:0°ヤーン
252、423:シーム
253、280、284、425、703:斜線方向ヤーン
286、435:他の交差
288、290:剛直セグメント
215:多重バルーン型
220:単一バルーン型
240:土台バルーン
302:マンドレル
314、515:管
310、312:モールド
576:スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントを有する壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定の方向の成分を有し、
前記壁は、さらに第1の壁部分及び第2の壁部分と、前記第1の壁部分の中で前記第1及び第2のフィラメントを分離する圧縮要素とを有し、前記第1及び第2のフィラメントは、それにより、前記圧縮要素で分離された対向する張力要素を定め、その結果、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が前記第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項2】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記第1及び第2のフィラメントは、編組の少なくとも一部を定めるように編組みされることを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項4】
前記編組は、前記第1及び第2の壁部分の中に0°編組ヤーンとして延びる第3のフィラメントを有する三軸部分を含み、前記第1の部分内の前記第3のフィラメントは前記第2の壁部分内の前記第3のフィラメントよりも太く、前記第3のフィラメントは前記圧縮要素の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項3に記載のバルーン。
【請求項5】
前記バルーンは長手方向軸を有し、前記第1及び第2のフィラメントは前記第1及び第2の壁部分内で互いに交差して交差点を形成し、前記交差点は前記第2の壁部分内では長手軸方向に整列するが、前記第1の壁部分内では整列しないことを特徴とする請求項3に記載のバルーン。
【請求項6】
前記バルーンは長手方向軸を有し、前記第1及び第2のフィラメントは前記第1及び第2の壁部分内で互いに交差して交差点を形成し、前記交差点は前記第2の壁部分内では長手方向軸の向きに整列するが、前記第1の壁部分内では整列しないことを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項7】
前記壁は長手方向軸を有し、前記第2の壁部分は前記軸に対して整列することを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項8】
前記壁は長手方向軸を有し、前記第2の壁部分の少なくとも一部は前記長手方向軸の周囲を巡る螺旋状経路に従うことを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項9】
前記壁はマトリックスとその中に包埋された部材とを含み、前記第1及び第2のフィラメントは前記マトリックス内に包埋され、前記部材の少なくとも幾つかは前記圧縮要素の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項10】
前記壁はマトリックスとその中に包埋された平坦な部材とを含み、前記第1及び第2のフィラメントは前記マトリックス内に包埋され、前記部材の少なくとも幾つかは前記圧縮要素の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項11】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定の方向の成分を有し、
前記第1及び第2のフィラメントは第1の壁部分の中で前記ポリマー・マトリックスのマトリックス部分によって離間され、その結果、前記第1及び第2のフィラメントが前記マトリックス部分によって分離された対向する張力要素を定めるようになっており、その結果として、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項12】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項11に記載のバルーン。
【請求項13】
前記第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することを特徴とする請求項11に記載のバルーン。
【請求項14】
前記バルーンは長手方向軸を有し、前記第1及び第2のフィラメントは前記第1及び第2の壁部分内で互いに交差して交差点を形成し、前記交差点は前記第2の壁部分内では長手軸方向に整列するが、前記第1の壁部分内では整列しないことを特徴とする請求項11に記載のバルーン。
【請求項15】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
ポリマー・マトリックスとそれに取り付けられたフィラメント構造体とを備えたボディを含み、
前記ボディは、第1及び第2の部分と、前記第2の部分内に位置する折り畳み線とを有し、
前記フィラメント構造体は、
少なくとも前記折り畳み線に垂直な方向において、前記第1の部分で前記第2の部分よりも前記ボディの剛性が高くなるように構成されること、又は
稜線を備えた型の上で前記ボディを形成することによる前記フィラメント構造体内の張力の結果として、前記第1の部分よりも前記折り畳み線に沿って折り畳まれる方が有利な機械的バイアスを発生させるように構成されること、
のいずれかにより、前記折り畳み線に沿った折り畳みを促進するように構成されることを特徴とするバルーン。
【請求項16】
前記フィラメント構造体は、少なくとも前記折り畳み線に垂直な方向において前記第1の部分で前記第2の部分よりも前記ボディの剛性が高くなるように構成されることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項17】
前記フィラメント構造体は、編組を含むことを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項18】
前記フィラメント構造体は、第1及び第2のフィラメントと圧縮要素とを含み、前記第1の部分は、少なくとも一部には、前記第1の部分の前記第1及び第2のフィラメントが、その間に圧縮要素を伴って配置されることにより前記圧縮要素によって分離された対向する張力要素を定める結果として、少なくとも前記折り畳み線に垂直な方向で剛性がより高くなることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項19】
前記第1及び第2のフィラメントは、編組を定めることを特徴とする請求項18に記載のバルーン。
【請求項20】
前記フィラメント構造体は層を備えた編組を含み、前記編組は、前記第1の部分の方が前記第2の部分よりも剛性が高くなるように、前記第1の部分において前記第2の部分よりも多くの層を有することを特徴とする請求項18に記載のバルーン。
【請求項21】
前記ボディは長手方向軸を有し、前記折り畳み線は前記長手方向軸に平行であることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項22】
前記ボディは長手方向軸を有し、前記折り畳み線は前記長手方向軸の周囲に螺旋形に巻回されることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項23】
前記フィラメント構造体は、三軸編組及び二軸編組のうちの1つを含むことを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項24】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
ポリマー・マトリックスの壁を含み、前記壁は前記ポリマー・マトリックスとは異なる材料の組み込み要素を有し、前記組み込み要素は、前記壁が第1の部分と第2の部分とを有するように配置され、前記第1の部分の剛性は前記第2の部分の剛性よりも低く、その結果、前記壁が前記第1の部分において前記第2の部分よりも容易に折り畳まれることを特徴とするバルーン。
【請求項25】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
細長い強化部材と第1の部分と第2の部分とを有する壁を含み、
前記細長い強化部材の配置は、前記壁が前記第2の部分で前記第1の部分よりも剛性が高くなるようになっており、これにより、前記バルーンは低剛性部分に一致する輪郭に沿って折り畳まれる傾向を有することを特徴とするバルーン。
【請求項26】
体内の感染領域を処置するための方法であって、手術中に露出された前記体内の感染領域に導電性殺生物剤組成物を適用し、前記殺生物剤組成物を有する表面に、交互の極性の導電性表面を有する膨張性部材を接触させて電場を生成することによって、前記殺生物組成物に電場を印加するステップを含み、前記電場強度及び印加の持続時間は前記感染領域の微生物の死滅を引き起こすのに十分であることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記感染領域が、主として細菌、酵母又は真菌からなるバイオフィルムから構成されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記殺生物剤が、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、マクロライド系抗生物質及びキノロンの系統から選択される抗生物質であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記導電性殺生物剤組成物が、緩衝生理食塩水組成物であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記殺生物剤組成物が、増粘剤を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記電場が、実質的に一定であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記電場が、パルス又は交流電場であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記電場強度が、約1ミリアンペアから約200ミリアンペアまでの範囲の値を有する電流によって生成されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記電場が、約1分間から約48時間までの時間にわたって前記導電性殺生物剤組成物に印加されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記殺生物剤が、電場無しで用いられた場合には前記感染領域を完全に死滅させるには無効である量で前記組成物中に存在することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項36】
心臓弁置換手術の過程の間に実行されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
心臓弁置換手術の過程の間に実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記殺生物剤が、抗生物質、抗真菌剤、消毒薬、滅菌剤、他の防腐剤、ヘキサクロロフェン、カチオン性ビスビグアニド、ヨウ素、ヨードフォア、パラ−クロロ−メタ−キシレノール、トリクロサン、フラン製剤、メテナミン、アルデヒド、又はアルコールであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記カチオン性ビスビグアニドが、クロルヘキシジン又はシクロヘキシジンを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ヨウ素が、ポビドンヨードを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記ヨードフォアが、ポビドンヨードを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記フラン製剤が、ニトロフラントイン又はニトロフラゾンを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記アルデヒドが、グルタ体であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
外面上に露出した強化繊維のアレイを有するバルーン体を含み、
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、前記バルーン体の表面上に電場が連続的に生成されるように、電圧源に接続可能な導電性サブセットであることを特徴とする医療用バルーン。
【請求項45】
前記繊維が編組パターンを形成することを特徴とする請求項44に記載のバルーン。
【請求項46】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、金属製であることを特徴とする請求項44に記載のバルーン。
【請求項47】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、三軸編組のゼロ度繊維であることを特徴とする請求項44に記載のバルーン。
【請求項48】
外面上に露出した強化繊維のアレイを有するバルーン体を含み、
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、電波不透過性材料を組み込んでいることを特徴とする医療用バルーン。
【請求項49】
前記繊維が編組パターンを形成することを特徴とする請求項48に記載のバルーン。
【請求項50】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、電波不透過性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項48に記載のバルーン。
【請求項51】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、三軸編組のゼロ度繊維であることを特徴とする請求項48に記載のバルーン。
【請求項52】
折り畳み可能な複合バルーンであって
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定方向の成分を有し、
前記第1及び第2のフィラメントが第1の壁部分の中でそれによって離間されるように前記第1及び第2のフィラメント間に電波不透過性要素を含み、その結果、前記第1及び第2のフィラメントが前記電波不透過性要素によって分離された対向する張力要素を定めるようになっており、その結果として、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項53】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項52に記載のバルーン。
【請求項54】
前記第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することを特徴とする請求項52に記載のバルーン。
【請求項55】
前記第1及び第2のフィラメントが、前記第2の壁部分内で、前記第2の壁部分内よりも前記第1の壁部分内でより多くの回数、両側を交互に行き来するヤーンを有する編組を定めることを特徴とする請求項52に記載のバルーン。
【請求項56】
前記第2の壁部分が、ヤーンがそこで交差する折り畳み輪郭を有することを特徴とする請求項55に記載のバルーン。
【請求項57】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定方向の成分を有し、
前記第1及び第2のフィラメントが第1の壁部分の中でそれによって離間されるように前記第1及び第2のフィラメント間に電波不透過性要素を含み、その結果、前記第1及び第2のフィラメントが前記電波不透過性要素によって分離された対向する張力要素を定めるようになっており、その結果として、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項58】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項57に記載のバルーン。
【請求項59】
前記第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することを特徴とする請求項57に記載のバルーン。
【請求項60】
前記第1及び第2のフィラメントが、前記第2の壁部分内において前記第1の壁部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する編組を定めることを特徴とする請求項57に記載のバルーン。
【請求項61】
前記第2の壁部分は折り畳み輪郭を定め、前記交替部は、第1の壁部分内で、前記輪郭に平行な側部交替部の連続した列が生じないように、互い違いになっていることを特徴とする請求項60に記載のバルーン。
【請求項62】
折り畳み可能な複合体バルーンであって、
第1の壁部分と第2の壁部分とを備えた壁を定める編組強化構造体を含み、
前記編組強化構造体の編組パターンは、前記壁が前記第1の壁部分において前記第2の壁部分よりも剛性が高くなるようになっており、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項63】
少なくとも前記第1の壁部分が、その上に電波不透過性コーティングを有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項64】
前記第1の壁部分のみが、その上に電波不透過性コーティングを有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項65】
少なくとも前記第1の壁部分が、その中に組み込まれた電波不透過性材料を有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項66】
前記第1の壁部分のみが、その中に組み込まれた電波不透過性材料を有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項1】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントを有する壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定の方向の成分を有し、
前記壁は、さらに第1の壁部分及び第2の壁部分と、前記第1の壁部分の中で前記第1及び第2のフィラメントを分離する圧縮要素とを有し、前記第1及び第2のフィラメントは、それにより、前記圧縮要素で分離された対向する張力要素を定め、その結果、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が前記第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項2】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記第1及び第2のフィラメントは、編組の少なくとも一部を定めるように編組みされることを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項4】
前記編組は、前記第1及び第2の壁部分の中に0°編組ヤーンとして延びる第3のフィラメントを有する三軸部分を含み、前記第1の部分内の前記第3のフィラメントは前記第2の壁部分内の前記第3のフィラメントよりも太く、前記第3のフィラメントは前記圧縮要素の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項3に記載のバルーン。
【請求項5】
前記バルーンは長手方向軸を有し、前記第1及び第2のフィラメントは前記第1及び第2の壁部分内で互いに交差して交差点を形成し、前記交差点は前記第2の壁部分内では長手軸方向に整列するが、前記第1の壁部分内では整列しないことを特徴とする請求項3に記載のバルーン。
【請求項6】
前記バルーンは長手方向軸を有し、前記第1及び第2のフィラメントは前記第1及び第2の壁部分内で互いに交差して交差点を形成し、前記交差点は前記第2の壁部分内では長手方向軸の向きに整列するが、前記第1の壁部分内では整列しないことを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項7】
前記壁は長手方向軸を有し、前記第2の壁部分は前記軸に対して整列することを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項8】
前記壁は長手方向軸を有し、前記第2の壁部分の少なくとも一部は前記長手方向軸の周囲を巡る螺旋状経路に従うことを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項9】
前記壁はマトリックスとその中に包埋された部材とを含み、前記第1及び第2のフィラメントは前記マトリックス内に包埋され、前記部材の少なくとも幾つかは前記圧縮要素の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項10】
前記壁はマトリックスとその中に包埋された平坦な部材とを含み、前記第1及び第2のフィラメントは前記マトリックス内に包埋され、前記部材の少なくとも幾つかは前記圧縮要素の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1に記載のバルーン。
【請求項11】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定の方向の成分を有し、
前記第1及び第2のフィラメントは第1の壁部分の中で前記ポリマー・マトリックスのマトリックス部分によって離間され、その結果、前記第1及び第2のフィラメントが前記マトリックス部分によって分離された対向する張力要素を定めるようになっており、その結果として、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項12】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項11に記載のバルーン。
【請求項13】
前記第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することを特徴とする請求項11に記載のバルーン。
【請求項14】
前記バルーンは長手方向軸を有し、前記第1及び第2のフィラメントは前記第1及び第2の壁部分内で互いに交差して交差点を形成し、前記交差点は前記第2の壁部分内では長手軸方向に整列するが、前記第1の壁部分内では整列しないことを特徴とする請求項11に記載のバルーン。
【請求項15】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
ポリマー・マトリックスとそれに取り付けられたフィラメント構造体とを備えたボディを含み、
前記ボディは、第1及び第2の部分と、前記第2の部分内に位置する折り畳み線とを有し、
前記フィラメント構造体は、
少なくとも前記折り畳み線に垂直な方向において、前記第1の部分で前記第2の部分よりも前記ボディの剛性が高くなるように構成されること、又は
稜線を備えた型の上で前記ボディを形成することによる前記フィラメント構造体内の張力の結果として、前記第1の部分よりも前記折り畳み線に沿って折り畳まれる方が有利な機械的バイアスを発生させるように構成されること、
のいずれかにより、前記折り畳み線に沿った折り畳みを促進するように構成されることを特徴とするバルーン。
【請求項16】
前記フィラメント構造体は、少なくとも前記折り畳み線に垂直な方向において前記第1の部分で前記第2の部分よりも前記ボディの剛性が高くなるように構成されることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項17】
前記フィラメント構造体は、編組を含むことを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項18】
前記フィラメント構造体は、第1及び第2のフィラメントと圧縮要素とを含み、前記第1の部分は、少なくとも一部には、前記第1の部分の前記第1及び第2のフィラメントが、その間に圧縮要素を伴って配置されることにより前記圧縮要素によって分離された対向する張力要素を定める結果として、少なくとも前記折り畳み線に垂直な方向で剛性がより高くなることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項19】
前記第1及び第2のフィラメントは、編組を定めることを特徴とする請求項18に記載のバルーン。
【請求項20】
前記フィラメント構造体は層を備えた編組を含み、前記編組は、前記第1の部分の方が前記第2の部分よりも剛性が高くなるように、前記第1の部分において前記第2の部分よりも多くの層を有することを特徴とする請求項18に記載のバルーン。
【請求項21】
前記ボディは長手方向軸を有し、前記折り畳み線は前記長手方向軸に平行であることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項22】
前記ボディは長手方向軸を有し、前記折り畳み線は前記長手方向軸の周囲に螺旋形に巻回されることを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項23】
前記フィラメント構造体は、三軸編組及び二軸編組のうちの1つを含むことを特徴とする請求項15に記載のバルーン。
【請求項24】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
ポリマー・マトリックスの壁を含み、前記壁は前記ポリマー・マトリックスとは異なる材料の組み込み要素を有し、前記組み込み要素は、前記壁が第1の部分と第2の部分とを有するように配置され、前記第1の部分の剛性は前記第2の部分の剛性よりも低く、その結果、前記壁が前記第1の部分において前記第2の部分よりも容易に折り畳まれることを特徴とするバルーン。
【請求項25】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
細長い強化部材と第1の部分と第2の部分とを有する壁を含み、
前記細長い強化部材の配置は、前記壁が前記第2の部分で前記第1の部分よりも剛性が高くなるようになっており、これにより、前記バルーンは低剛性部分に一致する輪郭に沿って折り畳まれる傾向を有することを特徴とするバルーン。
【請求項26】
体内の感染領域を処置するための方法であって、手術中に露出された前記体内の感染領域に導電性殺生物剤組成物を適用し、前記殺生物剤組成物を有する表面に、交互の極性の導電性表面を有する膨張性部材を接触させて電場を生成することによって、前記殺生物組成物に電場を印加するステップを含み、前記電場強度及び印加の持続時間は前記感染領域の微生物の死滅を引き起こすのに十分であることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記感染領域が、主として細菌、酵母又は真菌からなるバイオフィルムから構成されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記殺生物剤が、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、マクロライド系抗生物質及びキノロンの系統から選択される抗生物質であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記導電性殺生物剤組成物が、緩衝生理食塩水組成物であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記殺生物剤組成物が、増粘剤を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記電場が、実質的に一定であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記電場が、パルス又は交流電場であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記電場強度が、約1ミリアンペアから約200ミリアンペアまでの範囲の値を有する電流によって生成されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記電場が、約1分間から約48時間までの時間にわたって前記導電性殺生物剤組成物に印加されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記殺生物剤が、電場無しで用いられた場合には前記感染領域を完全に死滅させるには無効である量で前記組成物中に存在することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項36】
心臓弁置換手術の過程の間に実行されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
心臓弁置換手術の過程の間に実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記殺生物剤が、抗生物質、抗真菌剤、消毒薬、滅菌剤、他の防腐剤、ヘキサクロロフェン、カチオン性ビスビグアニド、ヨウ素、ヨードフォア、パラ−クロロ−メタ−キシレノール、トリクロサン、フラン製剤、メテナミン、アルデヒド、又はアルコールであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記カチオン性ビスビグアニドが、クロルヘキシジン又はシクロヘキシジンを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ヨウ素が、ポビドンヨードを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記ヨードフォアが、ポビドンヨードを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記フラン製剤が、ニトロフラントイン又はニトロフラゾンを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記アルデヒドが、グルタ体であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
外面上に露出した強化繊維のアレイを有するバルーン体を含み、
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、前記バルーン体の表面上に電場が連続的に生成されるように、電圧源に接続可能な導電性サブセットであることを特徴とする医療用バルーン。
【請求項45】
前記繊維が編組パターンを形成することを特徴とする請求項44に記載のバルーン。
【請求項46】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、金属製であることを特徴とする請求項44に記載のバルーン。
【請求項47】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、三軸編組のゼロ度繊維であることを特徴とする請求項44に記載のバルーン。
【請求項48】
外面上に露出した強化繊維のアレイを有するバルーン体を含み、
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、電波不透過性材料を組み込んでいることを特徴とする医療用バルーン。
【請求項49】
前記繊維が編組パターンを形成することを特徴とする請求項48に記載のバルーン。
【請求項50】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、電波不透過性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項48に記載のバルーン。
【請求項51】
前記強化繊維の少なくとも幾つかは、三軸編組のゼロ度繊維であることを特徴とする請求項48に記載のバルーン。
【請求項52】
折り畳み可能な複合バルーンであって
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定方向の成分を有し、
前記第1及び第2のフィラメントが第1の壁部分の中でそれによって離間されるように前記第1及び第2のフィラメント間に電波不透過性要素を含み、その結果、前記第1及び第2のフィラメントが前記電波不透過性要素によって分離された対向する張力要素を定めるようになっており、その結果として、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項53】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項52に記載のバルーン。
【請求項54】
前記第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することを特徴とする請求項52に記載のバルーン。
【請求項55】
前記第1及び第2のフィラメントが、前記第2の壁部分内で、前記第2の壁部分内よりも前記第1の壁部分内でより多くの回数、両側を交互に行き来するヤーンを有する編組を定めることを特徴とする請求項52に記載のバルーン。
【請求項56】
前記第2の壁部分が、ヤーンがそこで交差する折り畳み輪郭を有することを特徴とする請求項55に記載のバルーン。
【請求項57】
折り畳み可能な複合バルーンであって、
各々がそれぞれの巻方向に延びる第1及び第2のフィラメントが取り付けられたポリマー・マトリックスの壁を含み、
前記それぞれの巻方向は特定方向の成分を有し、
前記第1及び第2のフィラメントが第1の壁部分の中でそれによって離間されるように前記第1及び第2のフィラメント間に電波不透過性要素を含み、その結果、前記第1及び第2のフィラメントが前記電波不透過性要素によって分離された対向する張力要素を定めるようになっており、その結果として、少なくとも前記特定の方向において前記第1の壁部分が第2の壁部分よりも剛性が高くなり、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項58】
前記第1及び第2のフィラメントは、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分を連続的に通って延びる細長い部材の一部であることを特徴とする請求項57に記載のバルーン。
【請求項59】
前記第1及び第2のフィラメントは編組みされて、編組を形成することを特徴とする請求項57に記載のバルーン。
【請求項60】
前記第1及び第2のフィラメントが、前記第2の壁部分内において前記第1の壁部分内よりも多数の層交替部間の交差を有する編組を定めることを特徴とする請求項57に記載のバルーン。
【請求項61】
前記第2の壁部分は折り畳み輪郭を定め、前記交替部は、第1の壁部分内で、前記輪郭に平行な側部交替部の連続した列が生じないように、互い違いになっていることを特徴とする請求項60に記載のバルーン。
【請求項62】
折り畳み可能な複合体バルーンであって、
第1の壁部分と第2の壁部分とを備えた壁を定める編組強化構造体を含み、
前記編組強化構造体の編組パターンは、前記壁が前記第1の壁部分において前記第2の壁部分よりも剛性が高くなるようになっており、
前記第1及び第2の壁部分は、前記バルーンが折り畳まれたときに前記第1の部分が前記第2の部分よりも曲げに抵抗するように配置されることを特徴とするバルーン。
【請求項63】
少なくとも前記第1の壁部分が、その上に電波不透過性コーティングを有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項64】
前記第1の壁部分のみが、その上に電波不透過性コーティングを有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項65】
少なくとも前記第1の壁部分が、その中に組み込まれた電波不透過性材料を有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【請求項66】
前記第1の壁部分のみが、その中に組み込まれた電波不透過性材料を有していることを特徴とする請求項62に記載のバルーン。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2010−514462(P2010−514462A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532609(P2009−532609)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/081264
【国際公開番号】WO2008/063782
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/081264
【国際公開番号】WO2008/063782
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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