説明

編集装置、編集方法、およびプログラム

【課題】可変長符号化されたデータを確実にインサート編集することができるようにする。
【解決手段】ビデオエンコーダ24は、可変長符号化された上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとする。符号化制御部31は、対象ピクチャの上書きデータのデータ量がデータ量XAlignではない場合、対象ピクチャの上書きデータのデータ量がデータ量XAlignとなるように、対象ピクチャの上書きデータにスタッフィングデータを付加して対象ピクチャの挿入データを生成する。一方、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量である場合、符号化制御部31は、対象ピクチャの上書きデータをそのまま対象ピクチャの挿入データとする。本発明は、例えば、可変長符号化されたデータを編集する編集システムに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編集装置、編集方法、およびプログラムに関し、特に、可変長符号化されたデータを確実にインサート編集することができるようにした編集装置、編集方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のVTR(Video Tape Recorder)において、ビデオテープに既に記録されているデータ(以下、下地データという)の所定の範囲に編集データを挿入するインサート編集は、一般に多く用いられている(例えば、先行技術文献1参照)。
【0003】
記録メディアに記録されている、Long GOP構造を有するMPEG(Moving Picture Experts Group phase)方式で可変長符号化されたデータを編集する編集システムにおいても、従来と同様のインサート編集機能が求められている。
【0004】
図1は、下地データおよび編集データが固定長符号化されたデータである場合のインサート編集について説明する図である。
【0005】
図1の例では、2秒分のプロキシデータ(Proxy)またはリアルタイムメタデータ(RT)、オーディオデータ(Audio)、およびビデオデータ(Video)からなる年輪データ単位で、下地データおよび編集データが記録される。なお、プロキシデータとは、ビデオデータのデータ量を少なくしたプロキシデータであり、リアルタイムメタデータとは、読み込み処理においてリアルタイム性が要求される内容のメタデータである。
【0006】
図1Aに示すように、下地データが固定長符号化されたデータである場合、下地データの年輪データを構成する各データは固定長である。また、編集データが固定長符号化されたデータである場合、所定の再生時間分の下地データと編集データのデータ量は同一である。従って、図1Bに示すように、例えば下地データの所定の再生時間分のビデオデータを、所定の再生時間分の編集データのビデオデータに置換し、インサート編集を行うことができる。
【0007】
これに対して、下地データおよび編集データのビデオデータが可変長符号化されたデータである場合のインサート編集について、図2を参照して説明する。
【0008】
図2Aや図2Bに示すように、下地データおよび編集データのビデオデータが可変長符号化されたデータである場合、下地データおよび編集データの所定の再生時間分のビデオデータの総発生符号量は可変である。従って、所定の再生時間分の編集データのビデオデータの総発生符号量が、所定の再生時間分の下地データのビデオデータの総発生符号量より大きくなる場合がある。この場合、所定の時間分の編集データのビデオデータを、所定の時間分の下地データのビデオデータに上書きすることができず、インサート編集を行うことができない。
【0009】
そこで、図3に示すように、下地データのES(Elementary Stream)と編集データのESの総発生符号量が同一となるように、下地データおよび編集データを可変長符号化方式で符号化することが考えられている。
【0010】
しかしながら、記録媒体への記録単位は固定長であり、この記録単位は、ファイルフォーマットにより予め決められている。
【0011】
例えば、MXF(Material exchange Format)のファイルは、その先頭から、ヘッダ、ボディ、フッタが順次配置されて構成される。ボディは、1フレーム分のアイテムにより構成される。
【0012】
具体的には、ボディは、図4に示すように、後段のピクチャアイテムに配置されるビデオデータのフレームについてのメタデータが配置されるシステムアイテム、1フレーム分のLong GOP構造を有するMPEG方式で符号化されたビデオデータが配置されるピクチャアイテム、および、1フレーム分のAES(Audio Engineering Society)3方式で符号化されたオーディオデータが配置されるオーディオアイテムにより構成される。
【0013】
また、図4に示すように、各アイテムには、データがKLV(Key,Length,Value)構造にKLVコーディングされて配置される。
【0014】
KLV構造とは、その先頭から、キー(Key)、レングス(Length)、バリュー(Value)が順次配置された構造であり、キーには、バリューに配置されるデータがどのようなデータであるかを表す、SMPTE 298Mの規格に準拠した16バイトのラベルが配置される。レングスには、バリューに配置されるデータのデータ長が配置される。バリューには、実データが配置される。
【0015】
また、各アイテムのデータ長は、KAG(KLV Alignment Grid)を基準とする固定長となっている。そして、各アイテムを固定長とするためのフィラー(Fill)が、やはりKLV構造とされて、各アイテムのデータの後に配置される。
【0016】
以上のように、MXFでは、各アイテムのデータ長である固定長を記録単位としてデータが記録される。ピクチャアイテムの記録単位は、例えば2Kバイトである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第99/22374号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、下地データのESと編集データのESの総発生符号量が同一であっても、実際に挿入される編集データのデータ量が、その編集データが挿入される下地データのデータ量より大きくなってしまう場合がある。
【0019】
例えば、記録単位が10バイトである場合、図5Aの左側に示すように、ESの総発生符号量が7バイトであると、3バイトのフィラーが付加され、その結果得られる10バイトのデータが記録される。また、図5Aの中央に示すように、ESの総発生符号量が18バイトであると、2バイトのフィラーが付加され、その結果得られる20バイトのデータが10バイト単位で記録される。さらに、図5Aの右側に示すように、ESの総発生符号量が25バイトであると、5バイトのフィラーが付加され、その結果得られる30バイトのデータが10バイト単位で記録される。
【0020】
即ち、フィラーのデータ量は、図5Bに示すように最小で0バイトであり、図5Cに示すように最大で9バイトである。
【0021】
また、図6Aに示すように、3ピクチャ分の下地データの総発生符号量が50バイトであり、各ピクチャの発生符号量が、それぞれ、7バイト、18バイト、25バイトであると、実際に記録されているフィラーを含む下地データの総データ量は、60バイトである。
【0022】
このとき、図6Bに示すように、3ピクチャ分の編集データのESの総発生符号量が下地データと同一の50バイトであっても、各ピクチャの発生符号量が、それぞれ、20バイト、10バイト、20バイトであると、全ピクチャに対してフィラーが付加されず、実際に記録されるフィラーを含む編集データの総データ量は、50バイトになる。従って、実際に記録される編集データのデータ量は、実際に記録されている下地データのデータ量より小さい。
【0023】
しかしながら、図6Cに示すように、3ピクチャ分の編集データのESの総発生符号量が下地データと同一の50バイトであっても、各ピクチャの発生符号量が、それぞれ、21バイト、11バイト、18バイトであると、各ピクチャについてフィラーが多く付加され、実際に記録されるフィラーを含む編集データの総データ量は、70バイトになる。従って、実際に記録される編集データのデータ量は、実際に記録されている下地データのデータ量より大きくなってしまう。よって、このような場合、ユーザはインサート編集を行うことができない。
【0024】
即ち、下地データと編集データが可変長符号化されている場合、フィラー量が可変となるため、下地データと編集データのESの総発生符号量が同一であっても、インサート編集を行うことができない場合がある。
【0025】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、可変長符号化されたデータを確実にインサート編集することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の側面の編集装置は、可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化手段と、前記符号化手段により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加手段と、総データ量が前記実データのデータ量と同一である前記挿入データに、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と同一のデータ量のフィラーを付加するフィラー付加手段と、前記フィラーが付加された挿入データを前記下地データに挿入する挿入手段とを備える編集装置である。
【0027】
本発明の第1の側面の編集方法およびプログラムは、本発明の第1の側面の編集装置に対応する。
【0028】
本発明の第1の側面においては、可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータが可変長符号化され、可変長符号化された上書きデータの各ピクチャが順に対象ピクチャとされ、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量ではない場合、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量となるように、対象ピクチャの上書きデータにスタッフィングデータが付加されて対象ピクチャの挿入データが生成され、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量である場合、対象ピクチャの上書きデータがそのまま対象ピクチャの挿入データとされ、総データ量が実データのデータ量と同一である挿入データに、下地データに含まれるフィラーのデータ量と同一のデータ量のフィラーが付加され、フィラーが付加された挿入データが下地データに挿入される。
【0029】
本発明の第2の側面の編集装置は、可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化手段と、前記符号化手段により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加手段と、総データ量が前記下地データのデータ量と同一である前記挿入データを前記下地データに挿入する挿入手段とを備える。
【0030】
本発明の第2の側面の編集方法およびプログラムは、本発明の第2の側面の編集装置に対応する。
【0031】
本発明の第2の側面においては、可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータが可変長符号化され、可変長符号化された上書きデータの各ピクチャが順に対象ピクチャとされ、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量ではない場合、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量となるように、対象ピクチャの上書きデータにスタッフィングデータが付加されて対象ピクチャの挿入データが生成され、対象ピクチャの上書きデータのデータ量が所定単位のデータ量である場合、対象ピクチャの上書きデータがそのまま対象ピクチャの挿入データとされ、総データ量が前記下地データのデータ量と同一である挿入データが下地データに挿入される。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明によれば、可変長符号化されたデータを確実にインサート編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】固定長符号化されたデータのインサート編集について説明する図である。
【図2】可変調符号化されたデータのインサート編集について説明する図である。
【図3】下地データと編集データのESの例を示す図である。
【図4】MXFのファイルフォーマットの例を示す図である。
【図5】フィラーを説明する図である。
【図6】下地データと編集データのフィラーを説明する図である。
【図7】本発明を適用した編集システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の記録機の詳細構成例を示すブロック図である。
【図9】挿入データの記録時の処理を詳細に説明する図である。
【図10】下地データと挿入データのVBVバッファ内のビット占有量を示す図である。
【図11】挿入データの構成例を示す図である。
【図12】挿入データのVBVバッファ内のビット占有量を示す図である。
【図13】挿入データに対するフィラーの付加方法を説明する図である。
【図14】通常ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を説明するフローチャートである。
【図15】最終ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を説明するフローチャートである。
【図16】データ制御部によるフィラー付加処理を説明するフローチャートである。
【図17】挿入データに対するフィラーの他の付加方法を説明する図である。
【図18】通常ピクチャ用のフィラー付加処理を説明するフローチャートである。
【図19】フィラー付加処理を説明するフローチャートである。
【図20】本発明を適用した編集システムの第2実施の形態の記録機の構成例を示すブロック図である。
【図21】挿入データの記録時の処理を詳細に説明する図である。
【図22】記録データの構成例を示す図である。
【図23】記録データの構成例を示す図である。
【図24】記録データの構成例を示す図である。
【図25】インサート編集処理を説明するフローチャートである。
【図26】インサート編集処理を説明するフローチャートである。
【図27】コンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施の形態>
[編集システムの第1実施の形態の構成例]
図7は、本発明を適用した編集システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0035】
図7の編集システム10は、記録機11(編集装置)、再生機12、編集機13、およびリファレンス信号発生器14により構成される。
【0036】
記録機11は、再生機12と同軸ケーブルで接続されている。また、記録機11は、編集機13と制御線で接続されている。この制御線は、例えばRS-422規格の9ピンケーブルである。記録機11は、編集機13から制御線を介して送信されてくる制御信号に応じて、再生機12からHD-SDI(High Definition Serial Digital Interface)信号として送信されてくる編集データを、記録メディアに記録されている下地データの編集範囲に挿入する。さらに、記録機11は、制御線を介して各種の信号を編集機13に送信する。なお、記録機11は、自分自身に装着された記録メディアに下地データを記録してもよい。
【0037】
再生機12は、記録機11と同様に、編集機13と制御線で接続されている。再生機12は、編集機13から制御線を介して送信されてくる制御信号に応じて、自分自身に装着された記録メディアに記録されているデータを編集データとして読み出し、HD-SDI信号として記録機11に供給する。また、再生機12は、制御線を介して各種の信号を編集機13に送信する。
【0038】
編集機13は、例えばリモートコントローラにより構成される。編集機13は、ユーザからの指示に対応する制御信号を、制御線を介して送信することにより、記録機11および再生機12を制御し、GOP単位でインサート編集を行う。即ち、編集機13は、記録機11および再生機12を制御して、記録機11の記録メディアに記録されている下地データの編集範囲に、再生機12により再生された編集データを上書きさせる。
【0039】
リファレンス信号発生器14は、記録機11、再生機12、および編集機13の制御のタイミング、並びに、記録や再生のタイミングの基準となるリファレンス信号を発生する。
【0040】
[記録機の詳細構成例]
図8は、図7の記録機11の詳細構成例を示すブロック図である。
【0041】
図8に示すように、記録機11は、機器制御部21、ベースバンド入出力処理部22、ビデオデコーダ23、ビデオエンコーダ24(符号化手段)、バッファメモリ25、データ制御部26(挿入手段)、および記録メディア27により構成される。
【0042】
機器制御部21は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成される。機器制御部21は、編集機13からの制御信号などに基づいて、他のブロックをフレーム単位またはGOP単位で制御する。
【0043】
例えば、機器制御部21は、編集機13から供給されるユーザにより指定されたイン点を示す制御信号に基づいて、データ制御部26を制御し、記録メディア27からのイン点を含むGOPの先頭のピクチャ以降のピクチャの読み出しを開始させる。また、機器制御部21は、編集機13から供給されるユーザにより指定されたアウト点を示す制御信号に基づいて、データ制御部26を制御し、記録メディア27からのアウト点を含むGOPの終端のピクチャの読み出しの終了時に、読み出しを停止させる。
【0044】
また、機器制御部21は、他のブロックを監視する。機器制御部21は、タイムコードなどの記録機11の情報を表す信号を編集機13に送信する。
【0045】
ベースバンド入出力処理部22は、セレクタ22Aを有する。ベースバンド入出力処理部22は、再生機12からHD-SDI信号として送信されてくる編集データを取得し、セレクタ22Aに供給する。また、ベースバンド入出力処理部22は、ビデオデコーダ23から供給される下地データをセレクタ22Aに供給する。
【0046】
セレクタ22Aは、機器制御部21の制御により、編集データと下地データのいずれかを選択し、選択した編集データまたは下地データを上書きデータとしてビデオエンコーダ24に供給する。
【0047】
具体的には、イン点やアウト点がGOPの途中にある場合、GOPの先頭からイン点までの下地データや、アウト点からGOPの終端までの下地データを、再度符号化したり、符号化時に参照画として用いたりする必要がある。従って、このような場合、セレクタ22Aは、GOPの先頭からイン点までの下地データや、アウト点からGOPの終端までの下地データを選択し、上書きデータとしてビデオエンコーダ24に供給する。
【0048】
ビデオデコーダ23は、バッファメモリ25に記憶されている、Long GOP構造を有するMPEG方式で符号化されている下地データを読み出し、復号する。ビデオデコーダ23は、復号の結果得られる下地データをベースバンド入出力処理部22に供給する。
【0049】
ビデオエンコーダ24は、セレクタ22Aから供給される上書きデータをLong GOP構造を有するMPEG方式で符号化する。ビデオエンコーダ24は、符号化された上書きデータにスタッフィングデータを付加することにより、総発生符号量を記録単位の1以上の任意の整数倍のデータ量XAlign(例えば、2Kバイト)にする。ビデオエンコーダ24は、その結果得られるデータを挿入データとしてバッファメモリ25に供給する。
【0050】
バッファメモリ25は、ビデオエンコーダ24から供給される挿入データを一時的に保持する。また、バッファメモリ25は、データ制御部26から供給される下地データを一時的に保持する。
【0051】
データ制御部26は、バッファメモリ25から挿入データを読み出す。データ制御部26は、必要に応じて、その挿入データに記録単位のフィラーを付加する。データ制御部26は、フィラーが付加された挿入データまたは挿入データそのものを記録データとして、記録単位で記録メディア27に記録させる。
【0052】
また、データ制御部26は、機器制御部21の制御により、記録メディア27から、Long GOP構造を有するMPEG方式で符号化されている下地データを読み出す。データ制御部26は、その下地データからフィラーを取り除き、バッファメモリ25に供給する。また、データ制御部26は、読み出された下地データに含まれるフィラーのデータ量を認識する。
【0053】
記録メディア27は、光ディスク、フラッシュメモリなどのリムーバブルメディアやHDD(Hard Disk Drive)などの大容量記録メディアにより構成される。
【0054】
図9は、挿入データの記録時のビデオエンコーダ24、データ制御部26などの処理を詳細に説明する図である。
【0055】
図9に示すように、ビデオエンコーダ24は、符号化を制御する符号化制御部31(スタッフィングデータ付加手段)を有している。符号化制御部31は、VBV(Video Buffering Verifier)バッファ内のビット占有量の監視を行う。また、符号化制御部31は、挿入データの各ピクチャの発生符号量がデータ量XAlignとなるように、発生符号量を制御する。具体的には、符号化制御部31は、各ピクチャの発生符号量がデータ量XAlignとなるように、符号化されたピクチャの上書きデータにスタッフィングデータを付加し、挿入データを生成する。この挿入データはバッファメモリ25に一時的に保持される。
【0056】
データ制御部26は、ピクチャ単位の挿入データにデータ量XAlignのフィラーを付加するフィラー付加回路32を有する。データ制御部26は、機器制御部21の制御により、記録メディア27から挿入データを挿入する範囲(以下、再エンコード範囲という)の下地データを読み出す。具体的には、データ制御部26は、イン点を含むGOPの先頭のピクチャから、アウト点を含むGOPの終端のピクチャまでを再エンコード範囲として、その再エンコード範囲の下地データを読み出す。そして、データ制御部26は、読み出された下地データに含まれるフィラーのデータ量を認識する。
【0057】
フィラー付加回路32は、データ制御部26によりバッファメモリ25から読み出された最後のピクチャの挿入データに、その挿入データが挿入される再エンコード範囲の下地データに含まれるフィラーのデータ量と同一のデータ量のフィラーを付加する。
【0058】
[編集前後のVBVバッファ内のビット占有量の説明]
図10は、下地データと挿入データのVBVバッファ内のビット占有量を示す図である。
【0059】
図10のグラフにおいて、横軸は時間を表し、縦軸はVBVバッファ内のビット占有量を表している。また、図10のグラフにおいて、点線が下地データのVBVバッファ内のビット占有量の時間的変化を表し、実線が挿入データのVBVバッファ内のビット占有量の時間的変化を表している。従って、点線や実線の傾きは、下地データや挿入データのビットレートを表し、点線や実線の縦線の長さは、下地データや挿入データの発生符号量を表す。
【0060】
図10の例では、n+1番目のGOPに含まれるピクチャがイン点として指定され、n+3番目のGOPに含まれるピクチャがアウト点として指定されている。従って、n+1番目のGOPの先頭から、n+3番目のGOPの終端までの範囲が再エンコード範囲とされる。そして、再エンコード範囲の開始点からイン点までの下地データ、編集データ、および、アウト点から再エンコード範囲の終了点までの下地データが、ビデオエンコーダ24により符号化される。
【0061】
この符号化は、図10に示すように、再エンコード範囲の下地データと挿入データのフレームレートおよびビットレートが一致し、再エンコード範囲の下地データのESと挿入データのESの総発生符号量が一致するように行われる。
【0062】
これにより、再エンコード範囲の下地データと挿入データのピクチャの枚数が一致する。また、再エンコード範囲の下地データの先頭のピクチャと再エンコード範囲の挿入データの先頭のピクチャのVBVバッファ内のビット占有量が同一となる。さらに、再エンコード範囲の下地データの最後のピクチャと再エンコード範囲の挿入データの最後のピクチャのVBVバッファ内のビット占有量が同一となる。従って、インサート編集後のデータがストリームとして成立する。
【0063】
[挿入データの説明]
図11は、挿入データの構成例を示す図である。
【0064】
図11Aに示すように、記録単位が10バイトであり、3ピクチャの各ピクチャの下地データのESの発生符号量が、それぞれ、7バイト、18バイト、25バイトである場合、各ピクチャにそれぞれ3バイト、2バイト、5バイトのフィラーが付加される。従って、3ピクチャ分の下地データのESの総発生符号量は50バイトであるが、記録メディア27に記録される3ピクチャ分の下地データのデータ量は、60バイトになる。
【0065】
このように記録メディア27に記録されている3ピクチャ分の下地データの範囲を再エンコード範囲とする3ピクチャ分の上書きデータが入力された場合、ビデオエンコーダ24は、その上書きデータを符号化する。そして、ビデオエンコーダ24は、符号化の結果得られる上書きデータの3ピクチャの各ピクチャに対して、データ量がデータ量XAlignとなるようにスタッフィングデータを付加し、挿入データのESを生成する。但し、ビデオエンコーダ24は、再エンコード範囲の下地データのESの総発生符号量と、挿入データのESの総発生符号量が同一となるように、符号化を行う。
【0066】
従って、例えば、図11Bに示すように、各ピクチャの挿入データのESの発生符号量は、それぞれ、記録単位の2倍である20バイト、記録単位の1倍である10バイト、記録単位の2倍である20バイトとなる。よって、挿入データの全てのピクチャにフィラーを付加する必要がない。また、図11Bに示すように、挿入データのESの総発生符号量は、図11Aに示した下地データのESの総発生符号量と同一の50バイトになる。
【0067】
従って、挿入データの記録時に必要な記録領域の最小サイズは、60バイトの再エンコード範囲より小さい50バイトとなる。よってインサート編集を行うことができる。
【0068】
図12は、挿入データのVBVバッファ内のビット占有量を示す図である。
【0069】
なお、図12のグラフにおいて、横軸は時間を表し、縦軸はVBVバッファ内のビット占有量を表している。また、図12のグラフにおいて、実線は挿入データのVBVバッファ内のビット占有量の時間的変化を表している。従って、実線の傾きは、挿入データのビットレートを表し、実線の縦線の長さは、挿入データの発生符号量を表す。
【0070】
図12に示すように、再エンコード範囲の最終ピクチャ以外の上書きデータのピクチャには、発生符号量がデータ量XAlignとなるようにスタッフィングデータが付加される。
【0071】
また、図12に示すように、インサート編集後の再エンコード範囲の終了点の次のピクチャ(以下、接続点という)のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量を超えるとき、上書きデータの最終ピクチャにオキュパンシ用スタッフィングデータが付加される。これにより、インサート編集前とインサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が同一となる。
【0072】
[フィラーの付加方法の説明]
図13は、挿入データに対するフィラーの付加方法を説明する図である。
【0073】
図13Bに示すように、挿入データの各ピクチャのESの総発生符号量はデータ量XAlignであるので、各ピクチャにフィラーを付加する必要はない。従って、再エンコード範囲の下地データが図13Aに示すような場合、図13Bに示すように、挿入データの最後のピクチャのESに対して、図13Aの下地データに含まれる全てのフィラーのデータ量分のフィラーを付加する。
【0074】
これにより、最後のピクチャにフィラーが付加された挿入データである記録データの総データ量と再エンコード範囲の下地データの総データ量が同一となり、再エンコード範囲の下地データを、記録データに確実に置換することができる。
【0075】
[記録機の処理の説明]
図14は、記録機11のビデオエンコーダ24による通常ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を説明するフローチャートである。この通常ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理は、例えば、セレクタ22Aからビデオエンコーダ24に再エンコード範囲の最終ピクチャ以外の各ピクチャの上書きデータが入力されたとき、開始される。
【0076】
ステップS11において、ビデオエンコーダ24は、セレクタ22Aから入力されるピクチャの上書きデータを符号化する。ステップS12において、ビデオエンコーダ24の符号化制御部31(図9)は、符号化された上書きデータの発生符号量を認識する。
【0077】
ステップS13において、符号化制御部31は、発生符号量がデータ量XAlignであるかどうかを判定する。ステップS13で発生符号量がデータ量XAlignではないと判定された場合、処理はステップS14に進む。
【0078】
ステップS14において、符号化制御部31は、発生符号量がデータ量XAlignになるように、ステップS11で符号化された上書きデータにスタッフィングデータを付加する。そして、符号化制御部31は、スタッフィングデータが付加された上書きデータを、挿入データとしてバッファメモリ25に供給し、処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS13で、発生符号量がデータ量XAlignであると判定された場合、ステップS14の処理はスキップされ、符号化された上書きデータが挿入データとしてそのままバッファメモリ25に供給される。そして処理は終了する。
【0080】
図15は、ビデオエンコーダ24による最終ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を説明するフローチャートである。この最終ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理は、例えば、セレクタ22Aからビデオエンコーダ24に再エンコード範囲の最終ピクチャの上書きデータが入力されたとき、開始される。
【0081】
ステップS21およびS22の処理は、処理対象が最終ピクチャのデータであること以外、図11のステップS11およびS22の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0082】
ステップS23において、符号化制御部31は、インサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になりそうであるかを判定する。
【0083】
ステップS23でインサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になりそうであると判定された場合、即ち挿入データの最終ピクチャと下地データの接続点を接続可能である場合、処理はステップS24に進む。
【0084】
ステップS24において、符号化制御部31は、インサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量と同一になるように、ステップS21で符号化された上書きデータにオキュパンシ用スタッフィングデータを付加する。そして、符号化制御部31は、オキュパンシ用スタッフィングデータが付加された上書きデータを、挿入データとしてバッファメモリ25に供給し、処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS23でインサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になりそうではないと判定された場合、即ち挿入データの最終ピクチャと下地データの接続点を接続可能ではない場合、処理はステップS25に進む。
【0086】
ステップS25において、符号化制御部31は、ステップS21で符号化された上書きデータの発生符号量がデータ量XAlignであるかどうかを判定する。ステップS25で発生符号量がデータ量XAlignではないと判定された場合、処理はステップS26に進む。
【0087】
ステップS26において、符号化制御部31は、発生符号量がデータ量XAlignになるように、ステップS21で符号化された上書きデータにスタッフィングデータを付加する。そして、符号化制御部31は、スタッフィングデータが付加された上書きデータを、挿入データとしてバッファメモリ25に供給し、処理を終了する。
【0088】
一方、ステップS25で、発生符号量がデータ量XAlignであると判定された場合、ステップS26の処理はスキップされ、符号化された上書きデータが挿入データとしてそのままバッファメモリ25に供給される。そして処理は終了する。
【0089】
なお、ステップS23でインサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になりそうではないと判定された場合、挿入データの最終ピクチャと下地データの接続点は接続できない。従って、インサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になるように、再エンコード範囲の終了点が設定し直される。
【0090】
図16は、データ制御部26によるフィラー付加処理を説明するフローチャートである。このフィラー付加処理は、例えば、バッファメモリ25から挿入データの最終ピクチャが読み出されたとき開始される。
【0091】
ステップS41において、データ制御部26は、記録メディア27から読み出された再エンコード範囲の下地データに含まれていたフィラーの総データ量を計算する。ステップS42において、データ制御部26のフィラー付加回路32(図9)は、ステップS41で計算された総データ量のフィラーを、挿入データの最終ピクチャに付加する。このフィラーが付加された挿入データは、記録データとして記録単位で記録メディア27に記録される。
【0092】
[フィラーの他の付加方法の説明]
図17は、挿入データに対するフィラーの他の付加方法を説明する図である。
【0093】
図17に示す付加方法では、下地データに含まれるフィラーと同一のデータ量のフィラーがデータ量XAlign単位で最終ピクチャ以外のピクチャに分散されて付加され、残りのフィラーが最終ピクチャに付加される。
【0094】
例えば、図17では、図17Aの下地データに含まれるフィラーが、XAlign単位で先頭ピクチャのESと3番目のピクチャのESに分散されて付加され、残りのフィラーが最終ピクチャのESに付加される。これにより、再エンコード範囲内の下地データと、フィラーが付加された挿入データである記録データの総データ量は等しくなる。
【0095】
[他のフィラー付加処理の説明]
図18は、データ制御部26による通常ピクチャ用のフィラー付加処理を説明するフローチャートである。この通常ピクチャ用のフィラー付加処理は、例えば、バッファメモリ25から挿入データの最終ピクチャ以外の各ピクチャが対象ピクチャとして読み出されたとき開始される。
【0096】
ステップS61において、データ制御部26は、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量を計算する。具体的には、データ制御部26は、対象ピクチャの1つ前のピクチャのフィラーの総蓄積量に、対象ピクチャに対応する下地データのピクチャに付加されたフィラーのデータ量を加算した値を、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量として計算する。なお、対象ピクチャが挿入データの先頭のピクチャである場合には、対象ピクチャに対応する下地データのピクチャに付加されたフィラーのデータ量を、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量として計算する。
【0097】
即ち、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量は、下地データの再エンコード範囲の最初のピクチャから対象ピクチャに対応する下地データのピクチャまでに含まれるフィラーのデータ量から、挿入データの最初のピクチャから対象ピクチャの1つ前のピクチャまでに付加されたフィラーのデータ量を減算した減算値である。
【0098】
ステップS62において、データ制御部26は、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量が記録単位以上であるかどうかを判定する。ステップS62で対象ピクチャのフィラーの総蓄積量が記録単位以上であると判定された場合、ステップS63において、フィラー付加回路32は、対象ピクチャに総蓄積量以下のデータ量XAlignのフィラーを付加する。
【0099】
ステップS64において、データ制御部26は、ステップS61で計算された対象ピクチャのフィラーの総蓄積量から、ステップS63で付加されたフィラーのデータ量XAlignを減算することにより、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量を更新する。そして処理は終了する。ステップS64で更新された対象ピクチャのフィラーの総蓄積量は、次の対象ピクチャのフィラーの総蓄積量の計算に用いられる。
【0100】
一方、ステップS62でフィラーの総蓄積量が記録単位以上はないと判定された場合、ステップS63およびS64の処理はスキップされ、処理は終了する。
【0101】
図19は、データ制御部26による最終ピクチャ用のフィラー付加処理を説明するフローチャートである。この最終ピクチャ用のフィラー付加処理は、例えば、バッファメモリ25から挿入データの最終ピクチャが対象ピクチャとして読み出されたとき開始される。
【0102】
ステップS81において、データ制御部26は、図18のステップS61の処理と同様に、対象ピクチャのフィラーの総蓄積量を計算する。ステップS82において、フィラー付加回路32は、対象ピクチャに対象ピクチャのフィラーの総蓄積量のフィラーを付加し、処理を終了する。
【0103】
以上のように、記録機11は、再エンコード範囲の下地データと挿入データの総発生符号量が同一になるように符号化する。また、記録機11は、符号化された上書きデータのピクチャにスタッフィングデータを付加することにより、挿入データの各ピクチャの発生符号量を必ずデータ量XAlignにする。従って、挿入データの記録時にフィラーを付加する必要がなく、また挿入データの総データ量が、再エンコード範囲内の下地データの総データ量を上回ることがない。よって、記録機11では、Long GOP構造を有するMPEG方式などで可変長符号化された編集データを確実にインサート編集することができる。
【0104】
これに対して、上書きデータのビットレートを下地データのビットレートより低くすることにより、実際に上書きされるデータの総データ量が、再エンコード範囲内の下地データの総データ量を上回ることを防止する場合には、インサート編集により画質の劣化が生じてしまう。
【0105】
また、記録機11では、挿入データの発生符号量を必ずデータ量Alignにするので、記録メディア27が下地データに含まれるフィラーのデータ量が不明な記録メディアであっても、確実にインサート編集を行うことができる。
【0106】
なお、記録機11は、下地データのESと挿入データのESの総発生符号量が同一になるように符号化を行ったが、フィラーを含む下地データのデータ量と挿入データのESの総発生符号量を同一にするように符号化を行ってもよい。この場合、下地データに含まれるフィラーを有効に活用することができる。
【0107】
また、この場合、フィラーの総蓄積量を計算しながら、最終ピクチャ以外のピクチャのESにもフィラーを分散して利用する方が、最終ピクチャのESにのみフィラーを利用する場合に比べて、より下地データに含まれるフィラーを有効に活用することができる。
【0108】
<第2実施の形態>
[編集システムの第2実施の形態の記録機の構成例]
図20は、本発明を適用した編集システムの第2実施の形態の記録機50の構成例を示すブロック図である。
【0109】
図20に示す構成のうち、図8の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0110】
図20の記録機50の構成は、主に、機器制御部21、ビデオエンコーダ24、データ制御部26の代わりに機器制御部51、ビデオエンコーダ52、データ制御部53が設けられている点が図8の構成と異なる。
【0111】
記録機50は、上書きデータの全ピクチャに対してデータ量XAlignの挿入データを生成するのではなく、下地データに含まれるフィラーのデータ量に応じて、データ量XAlignの挿入データを生成するか、または、符号化された上書きデータをそのまま挿入データにするかを選択する。
【0112】
詳細には、機器制御部51は、図8の機器制御部21と同様に、CPUなどにより構成される。機器制御部51は、編集機13からの制御信号などに基づいて、他のブロックをフレーム単位またはGOP単位で制御する。
【0113】
例えば、機器制御部51は、機器制御部21と同様に、編集機13から供給されるユーザにより指定されたイン点を示す制御信号に基づいて、データ制御部53を制御し、記録メディア27からのイン点を含むGOPの先頭のピクチャ以降のピクチャの読み出しを開始させる。また、機器制御部51は、機器制御部21と同様に、編集機13から供給されるユーザにより指定されたアウト点を示す制御信号に基づいて、データ制御部53を制御し、記録メディア27からのアウト点を含むGOPの終端のピクチャの読み出しの終了時に、読み出しを停止させる。
【0114】
さらに、機器制御部51は、編集機13から供給されるユーザにより指定されたイン点を示す制御信号に基づいて、データ制御部53を制御し、再エンコード範囲の開始点から所定の範囲内の下地データに含まれるフィラーの総データ量を取得する。そして、機器制御部51は、その総データ量を予測使用可能総データ量としてビデオエンコーダ52に供給する。また、機器制御部51は、データ制御部53を制御して、既に挿入データに付加されたフィラーの総データ量を取得し、その総データ量を付加済み総データ量としてビデオエンコーダ52に供給する。
【0115】
また、機器制御部51は、機器制御部21と同様に、他のブロックを監視する。機器制御部51は、機器制御部21と同様に、タイムコードなどの記録機11の情報を表す信号を編集機13に送信する。
【0116】
ビデオエンコーダ52は、図8のビデオエンコーダ24と同様に、セレクタ22Aから供給される上書きデータをLong GOP構造を有するMPEG方式で符号化する。ビデオエンコーダ52は、機器制御部51から供給される予測使用可能総データ量と付加済み総データ量に基づいて、符号化モードをアライン制御モードか、または、通常モードに設定する。なお、アライン制御モードとは、データ量XAlignの挿入データを生成するモードであり、通常モードとは、符号化された上書きデータをそのまま挿入データにするモードである。
【0117】
ビデオエンコーダ52は、アライン制御モード時に、符号化された上書きデータにスタッフィングデータを付加することにより、総発生符号量をデータ量XAlignにする。そして、ビデオエンコーダ52は、その結果得られるデータを挿入データとしてバッファメモリ25に供給する。また、ビデオエンコーダ52は、通常モード時に、符号化された上書きデータをそのまま挿入データとしてバッファメモリ25に供給する。
【0118】
データ制御部53は、図8のデータ制御部26と同様に、バッファメモリ25から挿入データを読み出す。データ制御部53は、データ量XAlign以外のデータ量の挿入データのピクチャにフィラーを付加することにより、データ量をデータ量XAlignにする。また、データ制御部53は、予測使用可能総データ量と付加済み総データ量に基づいて、データ量XAlignの挿入データのピクチャにデータ量XAlignのフィラーを付加する。データ制御部53は、フィラーが付加された挿入データまたは挿入データそのものを記録データとして、記録単位で記録メディア27に記録させる。また、データ制御部53は、付加済み総データ量を機器制御部51に供給する。
【0119】
また、データ制御部53は、機器制御部51の制御により、記録メディア27から、Long GOP構造を有するMPEG方式で符号化されている下地データを読み出す。データ制御部53は、その下地データからフィラーを取り除き、バッファメモリ25に供給する。また、データ制御部53は、読み出された下地データに含まれるフィラーのデータ量を認識する。データ制御部53は、予測使用可能総データ量を、機器制御部51に供給する。
【0120】
図21は、挿入データの記録時のビデオエンコーダ52、データ制御部53などの処理を詳細に説明する図である。
【0121】
図21に示すように、ビデオエンコーダ52は、符号化を制御する符号化制御部61(スタッフィングデータ付加手段)を有している。符号化制御部61は、VBVバッファの占有量の監視を行う。また、符号化制御部61は、予測使用可能総データ量から付加済み総データ量を減算した値(以下、予測残データ量という)に基づいて、符号化モードをアライン制御モードまたは通常モードに設定する。
【0122】
符号化制御部61は、アライン制御モード時に、挿入データのピクチャの発生符号量がデータ量XAlignとなるように、符号化されたピクチャの上書きデータにスタッフィングデータを付加し、挿入データを生成する。また、符号化制御部61は、通常モード時に、符号化されたピクチャの上書きデータをそのまま挿入データとする。符号化制御部61は、挿入データをバッファメモリ25に供給する。
【0123】
データ制御部53は、ピクチャ単位の挿入データにフィラーを付加するフィラー付加回路62を有する。データ制御部53は、機器制御部51の制御により、再エンコード範囲の下地データを読み出す。
【0124】
フィラー付加回路62は、データ量XAlign以外のデータ量の挿入データのピクチャを記録する場合、データ量がデータ量XAlignとなるように、挿入データにフィラーを付加する。また、フィラー付加回路62は、データ量XAlignの挿入データのピクチャを記録する場合、予測残データ量に基づいて、挿入データにデータ量XAlignのフィラーを付加する。データ制御部53は、フィラーが付加された挿入データ、または、挿入データそのものを記録データとして記録メディア27に記録させる。
【0125】
[記録データの説明]
図22乃至図24は、記録データの構成例を示す図である。
【0126】
ユーザによりイン点が指定された場合、図22Aに示すように、まず、データ制御部53は、再エンコード範囲の開始点から所定の範囲内に含まれるフィラーの総データ量を予測使用可能総データ量として認識する。そして、図22Bに示すように、符号化制御部61は、ピクチャごとに、予測使用可能総データ量と付加済み総データ量を比較して予測残データ量を求められ、その予測残データ量に基づいて、符号化モードが通常モードまたはアライン制御モードに設定する。
【0127】
図22Bに示すように、フィラー付加回路62は、通常モードで得られた挿入データのピクチャには、データ量がデータ量XAlignとなるようにフィラーを付加する。一方、アライン制御モードで得られた挿入データのピクチャは、データ量がデータ量XAlignであるので、フィラー付加回路62はフィラーを付加しない。
【0128】
但し、図23に示すように、このようにして付加されたフィラーのデータ量を、現在の予測残データ量から減算して得られる新たな予測残データ量が少ない場合には、フィラー付加回路62は、符号化モードによらず、挿入データのピクチャに、予測残データ量より少ないデータ量XAlignのフィラーを付加する。
【0129】
そして、ユーザによりアウト点が指定された場合、図24Aに示すように、データ制御部53は、再エンコード範囲の開始点から終了点までの下地データに含まれるフィラーの総データ量を認識する。そして、データ制御部53は、その総データ量から付加済み総データ量を減算した値を、絶対使用可能総データ量として求める。
【0130】
次に、図24Bに示すように、絶対使用可能総データ量に余裕がない場合、符号化制御部61は、現在の符号化対象のピクチャから上書きデータの最終ピクチャまでのピクチャ(以下、最終ピクチャ群という)の符号化モードをアライン制御モードに設定する。そして、フィラー付加回路62は、絶対使用可能総データ量のフィラーを、挿入データの最終ピクチャに付加する。
【0131】
これに対して、絶対使用可能総データ量に余裕がある場合、図24Bに示すように、符号化制御部61は、最終ピクチャ群の符号化モードを通常モードに設定する。そして、フィラー付加回路62は、最終ピクチャ以外の最終ピクチャ群のピクチャの挿入データに対して、データ量がデータ量XAlignとなるようにフィラーを付加する。また、フィラー付加回路62は、最終ピクチャに対して、絶対使用可能総データ量から最終ピクチャ以外の最終ピクチャ群のピクチャに既に付加されたフィラーの総データ量を減算した値(以下、絶対残データ量という)のフィラーを付加する。
【0132】
[記録機の処理の説明]
図25および図26は、記録機50によるインサート編集処理を説明するフローチャートである。このインサート編集処理は、例えば、ユーザが編集機13を用いてイン点を指定したとき開始される。
【0133】
ステップS101において、機器制御部51は、編集機13からイン点を示す制御信号を取得する。そして、機器制御部51は、データ制御部53を制御し、記録メディア27からの、イン点を含むGOPの先頭のピクチャである再エンコード範囲の開始点以降のピクチャの読み出しを開始させる。
【0134】
ステップS102において、データ制御部53は、再エンコード範囲の開始点から所定の範囲内(例えば、30ピクチャ分)の下地データに含まれるフィラーの総データ量を、予測使用可能総データ量Ainとして認識する。データ制御部53は、予測使用可能総データ量Ainを、機器制御部51を介してビデオエンコーダ52に供給する。
【0135】
ステップS103において、ビデオエンコーダ52は、予測使用可能総データ量Ainが予め設定された閾値X(例えば、30Kバイト)より大きいかどうかを判定する。ステップS103で予測使用可能総データ量Ainが閾値Xより大きいと判定された場合、ステップS104ビデオエンコーダ52は、符号化モードを通常モードに設定する。
【0136】
ステップS105において、ビデオエンコーダ52は、再エンコード範囲の開始点を処理の対象とする対象ピクチャとし、ベースバンド入出力処理部22から供給される対象ピクチャの上書きデータを符号化する。ビデオエンコーダ52は、符号化された対象ピクチャの上書きデータを挿入データとして、バッファメモリ25に供給し、一時的に保持させる。
【0137】
ステップS106において、データ制御部53は、バッファメモリ25から対象ピクチャの挿入データを読み出し、その挿入データのデータ量はデータ量XAlignであるかどうかを判定する。
【0138】
ステップS106で挿入データのデータ量がデータ量XAlignではないと判定された場合、ステップS107において、データ制御部53は、データ量がデータ量XAlignとなるように、挿入データにフィラーを付加する。そして処理はステップS110に進む。
【0139】
一方、ステップS106で挿入データのデータ量がデータ量XAlignであると判定された場合、ステップS107の処理はスキップされ、処理はステップS110に進む。
【0140】
また、ステップS103で予測使用可能総データ量Ainが閾値X以下であると判定された場合、ステップS108において、ビデオエンコーダ52は、符号化モードをアライン制御モードに設定する。
【0141】
ステップS109において、データ制御部53は、図14の通常ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を行い、処理をステップS110に進める。
【0142】
ステップS110において、データ制御部53は、挿入データに付加されたフィラーのデータ量と予測使用可能総データ量Ainに基づいて、予測残データ量Binを計算する。なお、直前にステップS106で挿入データのデータ量がデータ量XAlignであると判定された場合、または、S109の処理が行われた場合、挿入データに付加されたフィラーのデータ量は0である。
【0143】
ステップS111において、データ制御部53は、予測残データ量Binが予め設定された閾値Yより大きいかどうかを判定する。ステップS111で予測残データ量Binが閾値Yより大きいと判定された場合、ステップS112において、データ制御部53は、予測残データ量Binより少ないデータ量XAlignのフィラーを挿入データに付加する。
【0144】
ステップS113において、データ制御部53は、予測残データ量BinからステップS111で付加されたフィラーのデータ量XAlignを減算した値を、新たな予測残データ量Binとして求め、処理をステップS114に進める。
【0145】
一方、ステップS111で予測残データ量Binが閾値Yより大きくはないと判定された場合、ステップS112およびS113の処理はスキップされ、処理はステップS114に進む。
【0146】
ステップS114において、データ制御部53は、予測使用可能総データ量Ainを予測残データ量Binに変更する。ステップS115において、機器制御部51は、編集機13からアウト点を示す制御信号を取得したかどうかを判定する。
【0147】
ステップS115でアウト点を示す制御信号を取得していないと判定された場合、ビデオエンコーダ52は、対象ピクチャを現在の対象ピクチャの次のピクチャにし、処理をステップS103に戻す。そして、アウト点を示す制御信号が取得されるまで、ステップS103乃至S115の処理が繰り返される。
【0148】
一方、ステップS115でアウト点を示す制御信号を取得したと判定された場合、機器制御部51は、再エンコード範囲の終了点を決定する。そして、ステップS116において、データ制御部53は、再エンコード範囲の下地データに含まれるフィラーの総データ量から、現在の対象ピクチャまでの付加済み総データ量を減算して、絶対使用可能データ量Aoutを求める。そして、データ制御部53は、絶対使用可能総データ量Aoutを、機器制御部51を介してビデオエンコーダ52に供給する。
【0149】
ステップS117において、ビデオエンコーダ52は、機器制御部51から供給される絶対使用可能総データ量Aoutが予め設定された閾値Zより大きいかどうかを判定する。ステップS117で絶対使用可能総データ量Aoutが閾値Zより大きいと判定された場合、ステップS118において、ビデオエンコーダ52は、符号化モードを通常モードに設定する。
【0150】
ステップS119において、ビデオエンコーダ52は、現在の対象ピクチャの次のピクチャを対象ピクチャとし、ベースバンド入出力処理部22から供給される対象ピクチャの上書きデータを符号化する。そして、ビデオエンコーダ52は、符号化された対象ピクチャの上書きデータを挿入データとしてバッファメモリ25に供給し、一時的に保持させる。
【0151】
ステップS120において、データ制御部53は、バッファメモリ25から対象ピクチャの挿入データを読み出し、その挿入データのデータ量はデータ量XAlignであるかどうかを判定する。
【0152】
ステップS120で挿入データのデータ量がデータ量XAlignではないと判定された場合、ステップS121において、データ制御部53は、データ量がデータ量XAlignとなるように、挿入データにフィラーを付加する。そして処理はステップS124に進む。
【0153】
一方、ステップS120で挿入データのデータ量がデータ量XAlignであると判定された場合、ステップS121の処理はスキップされ、処理はステップS124に進む。
【0154】
また、ステップS117で絶対使用可能総データ量Aoutが閾値X以下であると判定された場合、ステップS124において、ビデオエンコーダ52は、符号化モードをアライン制御モードに設定する。
【0155】
ステップS125において、ビデオエンコーダ52は、図14の通常ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を行い、処理をステップS124に進める。
【0156】
ステップS124において、データ制御部53は、挿入データに付加されたフィラーのデータ量と絶対使用可能総データ量Aoutに基づいて、絶対残データ量Boutを計算する。なお、直前にステップS120で挿入データのデータ量がデータ量XAlignであると判定された場合、または、S123の処理が行われた場合、挿入データに付加されたフィラーのデータ量は0である。
【0157】
ステップS125において、対象ピクチャが再エンコード範囲の最終ピクチャであるかどうかを判定する。ステップS125で対象ピクチャが最終ピクチャではないと判定された場合、処理はステップS117に戻り、最終ピクチャが対象ピクチャになるまで、ステップS117乃至S125の処理が繰り返される。
【0158】
ステップS125で対象ピクチャが最終ピクチャであると判定された場合、ステップS126において、ビデオエンコーダ52は、図15の最終ピクチャ用スタッフィングデータ付加処理を行う。
【0159】
ステップS127において、データ制御部53は、対象ピクチャである最終ピクチャに絶対残データ量Boutのフィラーを付加し、処理を終了する。
【0160】
なお、上述したインサート編集処理では、インサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になりそうであるものとして、ステップS126の処理後、処理はステップS127に進むものとした。インサート編集後の接続点のVBVバッファ内のビット占有量が、インサート編集前の接続点のVBVバッファ内のビット占有量以上になりそうでない場合には、データ制御部53は、再エンコード範囲の終了点を設定し直し、処理をステップS116に戻す。
【0161】
また、上述したインサート編集処理では、下地データに含まれるフィラーのデータ量分のフィラーがデータ量XAlign単位で分散されて挿入データに付加されたが、挿入データの最終ピクチャにまとめて付加されるようにしてもよい。
【0162】
以上のように、記録機50は、再エンコード範囲の開始点から所定の範囲内の下地データに含まれるフィラーの総データ量を、フィラーに使用可能なデータ量として予測する。そして、記録機50は、そのデータ量から既に付加済みのフィラーのデータ量を減算した値に余裕があるかどうかによって、符号化モードを設定する。従って、上書きデータの全ピクチャに対してデータ量XAlignの挿入データを生成する場合に比べて、スタッフィングデータのデータ量を削減することができる。その結果、インサート編集後の画質を向上させることができる。
【0163】
なお、本発明は、外部の機器から送信されてきたTS(Transport Stream)の所定の範囲に、可変長符号化された上書きデータを挿入することによりインサート編集を行う編集システムにも適用することができる。この場合、上述したフィラーは、アダプテーションフィールドに相当する。
【0164】
また、本発明は、ISO/IEC 13838-2,ITU-T H.262,ISO/IEC 14496-19,ITU-T H.264などの規格に準拠した方式で符号化したデータの編集を行う編集システムに適用することができる。
【0165】
上述した記録機の一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0166】
図27は、上述した記録機の一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0167】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0168】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、及びドライブ210が接続されている。
【0169】
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
【0170】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0171】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0172】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0173】
なお、本明細書において、プログラム記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0174】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0175】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0176】
10 編集装置, 11 記録機, 24 ビデオエンコーダ, 26 データ制御部, 31 符号化制御部, 32 フィラー付加回路, 50 記録機, 52 ビデオエンコーダ, 53 データ制御部, 61 符号化制御部,62 フィラー付加回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化手段と、
前記符号化手段により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加手段と、
総データ量が前記実データのデータ量と同一である前記挿入データに、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と同一のデータ量のフィラーを付加するフィラー付加手段と、
前記フィラーが付加された挿入データを前記下地データに挿入する挿入手段と
を備える編集装置。
【請求項2】
前記フィラー付加手段は、最後のピクチャの前記挿入データに前記フィラーを付加する
請求項1に記載の編集装置。
【請求項3】
前記フィラー付加手段は、前記下地データの最初のピクチャから前記対象ピクチャに対応する前記下地データのピクチャまでに含まれるフィラーのデータ量から、前記挿入データの最初のピクチャから前記対象ピクチャの1つ前のピクチャまでに付加されたフィラーのデータ量を減算した減算値が所定の閾値以上である場合、前記対象ピクチャの前記挿入データに、前記減算値以下の前記所定単位のデータ量のフィラーを付加し、前記対象ピクチャが最後のピクチャである場合、前記対象ピクチャの前記挿入データに前記減算値のフィラーを付加する
請求項1に記載の編集装置。
【請求項4】
前記スタッフィングデータ付加手段は、前記下地データの最初のピクチャから所定の範囲内のピクチャに含まれるフィラーのデータ量から、前記挿入データの最初のピクチャから前記対象ピクチャの1つ前のピクチャまでに付加されたフィラーのデータ量を減算した減算値が所定の閾値より大きい場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま挿入データとし、前記減算値が前記所定の閾値以下である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではないとき、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの前記挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量であるとき、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの前記挿入データとし、
前記フィラー付加手段は、前記対象ピクチャの前記挿入データのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記挿入データのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記挿入データにフィラーを付加するとともに、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と前記挿入データに付加されるフィラーのデータ量が同一となるように、前記挿入データにフィラーを付加する
請求項1に記載の編集装置。
【請求項5】
前記フィラー付加手段は、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と前記挿入データに付加されるフィラーのデータ量が同一となるように、最後のピクチャの前記挿入データに前記フィラーを付加する
請求項4に記載の編集装置。
【請求項6】
前記フィラー付加手段は、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と前記挿入データに付加されるフィラーのデータ量が同一となるように、前記減算値が所定の閾値より大きいときに、前記対象ピクチャの前記挿入データに、前記減算値より小さい前記所定単位のデータ量のフィラーを付加し、前記対象ピクチャが最後のピクチャである場合、前記対象ピクチャの前記挿入データに前記減算値のフィラーを付加する
請求項4に記載の編集装置。
【請求項7】
編集装置が、
可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化ステップと、
前記符号化ステップの処理により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加ステップと、
総データ量が前記実データのデータ量と同一である前記挿入データに、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と同一のデータ量のフィラーを付加するフィラー付加ステップと
前記フィラーが付加された挿入データを前記下地データに挿入する挿入ステップと
を含む編集方法。
【請求項8】
コンピュータに、
可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化ステップと、
前記符号化ステップの処理により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加ステップと、
総データ量が前記実データのデータ量と同一である前記挿入データに、前記下地データに含まれるフィラーのデータ量と同一のデータ量のフィラーを付加するフィラー付加ステップと
前記フィラーが付加された挿入データを前記下地データに挿入する挿入ステップと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化手段と、
前記符号化手段により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加手段と、
総データ量が前記下地データのデータ量と同一である前記挿入データを前記下地データに挿入する挿入手段と
を備える編集装置。
【請求項10】
編集装置が、
可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化ステップと、
前記符号化ステップの処理により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加ステップと、
総データ量が前記下地データのデータ量と同一である前記挿入データを前記下地データに挿入する挿入ステップと
を含む編集方法。
【請求項11】
コンピュータに、
可変長符号化された実データを含む所定単位のデータ量のピクチャ単位のデータからなる下地データに対するインサート編集に用いられる上書きデータを可変長符号化する符号化ステップと、
前記符号化ステップの処理により可変長符号化された前記上書きデータの各ピクチャを順に対象ピクチャとし、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量ではない場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量となるように、前記対象ピクチャの前記上書きデータにスタッフィングデータを付加して前記対象ピクチャの挿入データを生成し、前記対象ピクチャの前記上書きデータのデータ量が前記所定単位のデータ量である場合、前記対象ピクチャの前記上書きデータをそのまま前記対象ピクチャの挿入データとするスタッフィングデータ付加ステップと、
総データ量が前記下地データのデータ量と同一である前記挿入データを前記下地データに挿入する挿入ステップと
を含む処理を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−28802(P2011−28802A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172459(P2009−172459)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】