説明

緩衝体及び複数の緩衝体から形成される緩衝体ユニット

【課題】保管性と組み立て容易性を両立し、かつ十分な緩衝性を有する緩衝体ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】開口部4,5,6,7を有する板部に、スリーブの両側面16、17をはめ込むことによって、湾曲状の緩衝体ユニットがえられる。寸法等を対応する製品に合わせて、6方向前面を支えることができ湾曲状クッションが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装箱と、包装される製品との間に装着し、当該製品を衝撃や振動から保護するための緩衝体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、緩衝部材としてとくに精密部品などの壊れやすいにものを保護するには、プラスティックフィルムで空気を封じこめたタイプのエアクッション、あるいはウレタンフォームなどそれぞれ十分に緩衝性があるものが用いられてきた。しかしながら、地球環境保護ならびに再生利用の面から、再生可能な紙製等を用いた緩衝部材が必要とされている。しかしながら、紙あるいは段ボールを一般的に知られた方法で使用しても、十分な緩衝性をもたせることができない、合成樹脂製であるエアクッション・ウレタンフォームに代わる再生可能な材料で安価なでかつ十分な緩衝性をもったクッションの開発の重要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば、円筒状の紙管をボール紙などを用いて作製し、その弾力性を用いる方法があるが、緩衝性も不十分な場合もあった。さらに管状に作るためのコストも高く、その形状のため、運送・保管コストも高くなってしまっていた。
【0004】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、輸送・保管性をも含みコストを削減し、さらには組み立ても容易でかつ十分な緩衝性を有する緩衝体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の手段により、上記の課題を解決する。
第1の発明である緩衝体ユニットは、スリーブ部材の短手の両サイドを平板状の部材の開口部にはめ込むことによって2重の湾曲部を前記スリーブ部材が形成することによって、緩衝性をもたせるクッションであって、平板状の部材に適数のスリーブをはめ込むことによって、物品を保護するクッションすなわち緩衝体になることを特徴とする。
【0006】
前記スリーブ部材は、ボール紙等の弾力性のあるものを用い、平板状の部材は、通常パッドとして使用する段ボールを用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記のようにしたことによって、作製コスト、輸送コストを削減し、さらに保管スペースの削減、組み立ても容易でかつ十分な緩衝性を有する緩衝体ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る緩衝体ユニットを構成する部材を示した平面図ならびに斜視図である。
【図2】図1に示した部材を組み合わせて得られる緩衝体ユニットを示した斜視図である。
【図3】図2に示したスリーブを畳んだ状態を示した斜視図である。
【図4】外装箱の中で製品の6方向を緩衝体ユニットで支えられた状態を示した上方・側面の断面図と寸法を変えた緩衝体ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る緩衝体ユニットを構成する各部材を示しており、同図(A)は段ボールからなるベース層を示した平面図、(B)はボール紙からなるスリーブの展開図、(C)は(B)のスリーブを糊付などで組立てた状態を示した斜視図である。
【0009】
ベース層の素材となる段ボールは、厚さ数ミリ程度のものを適宜使用することができるが、ここでは3mm厚のものを用いている。ベース層には、図1(A)に示すように複数の開口部4,5,6,7が設けてある。開口部4は、幅hの開口部4aと幅hの開口部4bがペアから構成されており、各開口部には、タブ4a、4a、4b、4bが形成され、各タブの両側は、スリット状になっている。本実施形態では幅hとhを等しくしているが、これらの幅は必ずしも等しくなくてもよい。他の開口部5〜7も同様に、二つの開口部のペアからなる。また符号8,9は使用する際に曲げやすくするための折り目を示している。
【0010】
図1(C)に示すスリーブ15は、図1(B)に示す折り目で折り畳み、接着剤などで必要部分を糊付けすることによって形成される。図1(C)に示すように、形成される四つの面は、いずれも中心軸に平行であり、手前側の面と奥側の面は開口されている。なお、本実施形態では、上面18の幅と底面19の幅が等しく、スリーブの縦断面はほぼ直方体であるが、上面18の幅と底面19の幅は必ずしも等しい必要はない。スリーブ15に使用するボール紙は、その緩衝性により厚みを0.数ミリから1mm以上のものを適宜使用できるが、ここでは0.5mm厚のコートボール紙を用いている。側面16の高さh′は幅hの開口部4aに嵌まる値とし、側面17の高さh′は幅hの開口部4bに嵌まる値とする。
【0011】
使用時には、スリーブ15の側面16をベース層の開口部4aに挿入するとともに、タブ4a、4aをスリーブ15の開口部に差し込むことによってタブとベース層とでスリーブ15のボール紙を挟む状態とする。そして、上面18及び底面19を湾曲させて、側面17を開口部4bに挿入し、タブ4b、4bをスリーブ15の開口部に差し込む。このようにして一つの緩衝体が得られる。さらに、同様にして開口部5、6、7にも別のスリーブ15を嵌め込むことによって、図2に示すような緩衝体ユニット25が形成される。
【0012】
こうして形成された各緩衝体は、スリーブの湾曲面18、19の弾性によって、図2の矢印21で示されるような方向、つまり板部1,2,3の面直方向における緩衝性を持つことができる。また、スリーブ15の18、19の両面で二重に湾曲面が形成されているために、湾曲面が単一の場合と比較してより重い製品に対応できる。
【0013】
本実施形態の緩衝体ユニット25は、そのスリーブ15の寸法や厚みを変えることによって、あるいは緩衝体の数を変えることによって緩衝性能を任意に調節することが可能である。スリーブ15は製作する際には通常糊付けをして図3に示すように、矢印26の方向に平面状に畳むことができるので、運搬・保管の際のスペースを大幅に節約できる。
【0014】
図4は外装箱の中でこのような緩衝体ユニット25を用いて製品の6面を支えた状態を説明する図である。図4の(A)は、外装箱30に製品35を緩衝体ユニットでサイドの4面から支えている状態を示す断面図である。図4(B)は、側面の断面図で底面に緩衝体ユニットを31のように配置、天面には緩衝体ユニットを32のよう配置することで、十分な緩衝効果が得られ、輸送中の振動・衝撃等から製品を保護することができる。ここでは31、32の緩衝体ユニットは、図4の(C)に示すような形にしてここでは使用する。
【0015】
上記のように、段ボール等の板材とボール紙を用いることによって容易に緩衝体ユニットが得られ、しかも場所を取らないため保管スペースが節約でき、さらに使用時には簡単に組み立てることができる。なお、上記の実施形態では素材を段ボールとボール紙として説明した。しかしながら、製品に対する必要な緩衝効果があって、適度な加工性がある素材であれば、段ボール・ボール紙以外の素材を使用することもできる。
【符号の説明】
1〜3 板部
4〜7 開口部
8、9、12、13、14 折り目
10、11 接合部
15 スリーブ
16、17 スリーブ側面部
18,19 スリーブ天・底面部
21、26 矢印
25、31、32 緩衝体ユニット
30 外装箱
35 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品と外箱との間に介装されて前記製品を振動等から保護する緩衝体であって、いずれも長方形の第1及び第2の開口部からなる開口対が少なくとも一つ形成されたベース層と、可撓性の素材からなり、中心軸に並行な第1乃至第4を有し、上下の面が開口した中空のスリーブとを有し、使用時には、前記スリーブの第1の面を前記ベース層の第1の開口部に挿入するとともに、互いに対向する第2及び第4の面を湾曲させて、第1の面に対向する第3の面を前記ベース層の第2の開口部に挿入して組み立てられることを特徴とする緩衝体。
【請求項2】
前記開口部の長方形の短辺に、使用時に前記スリーブの開口部に差し込むためのタブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の緩衝体が複数形成された、緩衝体ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162262(P2011−162262A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45847(P2010−45847)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(301035600)株式会社セイコー紙業 (7)
【Fターム(参考)】