説明

緩衝性包装体

【課題】 本発明は、大きさや形状が異なる物品でも1つのケースに包装でき、且つ治具や金型を使用せずに製造できる緩衝性包装体を提供する。
【解決手段】 本発明の緩衝性包装体1は、筒状ケース2と、前記筒状ケース2の壁面に熱収縮装着された熱収縮性筒状フィルム3と、前記筒状ケース2の内部に収納された物品9と、を有し、前記筒状ケース2の壁面が穴部6を有し、前記熱収縮性筒状フィルム3が前記穴部6において筒状ケースの内部方向へ膨出した膨出部31を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の破損を防止できる緩衝性のある包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の物品が包装された包装体は、様々な形態のものが知られている。
また、流通過程などにおいて、物品が破損しないように、緩衝性のある包装体も知られている。
特許文献1には、筒状の容器本体の周壁の一部に管球に当接する凹凸を設け、この凹凸部によって管球が保持された管球の包装容器が開示されている。
特許文献2には、一方向熱収縮性の樹脂発泡シート製の円筒体を用い、円筒体に電球の最大径部分が脱着自在な凹部が形成され、且つ凹部の上下端から円筒体の上下端にかけて傾斜面が形成されており、前記円筒体の凹部に電球の最大径部分が嵌入固定されている電球の包装容器が開示されている。
【特許文献1】実開昭51−102479号公報
【特許文献2】実開昭53−140672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の包装容器は、包装する物品(管球)に当接する凹凸を容器本体に形成するため、特定の形状を有する物品(管球)を緩衝性良く包装することは出来ても、この特定の物品とは異なる大きさ又は形状の物品を良好に包装できない。
同様に、上記特許文献2の包装容器も、特定の形状の物品(特定の最大径部分を有する電球)を緩衝性良く包装できても、これと異なる大きさ又は形状の物品を良好に包装できない。
従って、上記従来の緩衝性のある包装容器は、包装する物品毎に合わせて個別に形成しなければならず、物品を多品種小生産する場合に、包装コストが嵩むという問題点がある。
【0004】
さらに、上記各特許文献の包装容器は、凹凸を形成するために、その製造時に治具や金型を用いる必要がある。
【0005】
本発明の目的は、大きさや形状が異なる物品でも1種類のケースに包装でき、且つ治具や金型を使用せずに製造できる緩衝性包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の緩衝性包装体は、物品を収納可能な筒状ケースと、前記筒状ケースの壁面に熱収縮装着された熱収縮性筒状フィルムと、を有し、前記筒状ケースの壁面に、穴部が形成されており、前記熱収縮性筒状フィルムが、前記穴部において筒状ケースの内部方向へ膨出されていることを特徴とする。
【0007】
上記緩衝性包装体は、筒状ケースの内部に物品を収納した状態で、該筒状ケースの壁面に熱収縮性筒状フィルムを熱収縮装着することによって物品を包装できる。
上記緩衝性包装体は、筒状ケースの壁面に形成された穴部から筒状ケースの内部方向へ熱収縮性筒状フィルムの一部分が膨出された膨出部を有する。かかる緩衝性包装体は、その流通過程で、物品が動くことによって熱収縮性筒状フィルムの膨出部を押圧し、該膨出部が適宜変形又は圧縮することによって、物品に加わる衝撃を吸収できる。よって、上記緩衝性包装体は、収納された物品の破損を防止できる。
また、上記緩衝性包装体は、熱収縮性筒状フィルムから形成された膨出部が柔軟であるため、物品の大きさや形状に合わせてそれぞれケースを準備しなくても、1種類の筒状ケース内に大きさや形状が異なる物品をそれぞれ収納できる。
従って、物品が多品種小生産される場合でも、それらの物品を1種類の緩衝性包装体で包装でき、包装コストを抑えることができる。
さらに、上記緩衝性包装体は、穴部を有する筒状ケースに熱収縮性筒状フィルムを熱収縮装着するだけで製造できる。
従って、本発明の緩衝性包装体は、治具や金型を使用せずに製造できる。
【0008】
本発明の好ましい緩衝性包装体は、前記穴部が紡錘形状に形成されている。
穴部が紡錘形状に形成されている場合、熱収縮装着された熱収縮性筒状フィルムが穴部の周囲において皺を生じ難く、外観上、綺麗な緩衝性包装体を提供できる。また、穴部が紡錘形状に形成されている場合、筒状ケース内へ膨出された膨出部も綺麗な曲面状となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の緩衝性包装体は、収納された物品が破損することを防止できる上、大きさや形状が異なる物品でも1種類のケースを用いて包装することができる。
さらに、本発明の緩衝性包装体は、穴部を有する筒状ケースに熱収縮性筒状フィルムを熱収縮装着することによって製造できるため、治具や金型を用いずに簡易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、物品を収納可能な筒状ケース2と、前記筒状ケース2の壁面の外面に熱収縮装着された熱収縮性筒状フィルム3と、を有する緩衝性包装体を示す。前記筒状ケース2の内部には、物品9が収納されている。
【0011】
筒状ケース2は、図3〜図5にも示すように、中空体であり、例えば、円筒状に形成されている。筒状ケース2は、その内部に物品9を挿入脱できる程度の径及び上下方向長さに形成されている。
【0012】
筒状ケース2の壁面は、穴部6を有する。該穴部6は、筒状ケース2の壁面の一部分を切り欠くことによって形成されている。この穴部6から熱収縮性筒状フィルム3の一部分が筒状ケース2の内部方向へ膨出されている(この内部方向へ膨出された部分を膨出部31という)。
膨出部31の形状や膨らみ度合いは、物品の形状に合わせて適宜設定される。
膨出部31の形状や膨らみ度合いは、穴部6の開口面積及び形状によって設定できる。例えば、穴部6の開口面積を大きくすると、筒状ケース2の内部方向に大きく膨らんだ膨出部31を形成できる。
【0013】
穴部6の形状(筒状ケース2の正面から見た形状)は、特に限定されず、例えば、紡錘形状(楕円形状を含む)、円形状、矩形状、三角形状などが挙げられる。
好ましくは、図4等に示すように、穴部6は、紡錘形状に形成される。紡錘形状の穴部6を有する筒状ケース2を用いることにより、熱収縮性筒状フィルム3を穴部6の周囲において綺麗に熱収縮させることができる。
なお、紡錘形状とは、長軸と短軸を有する形状であって、2つの三角形の底辺を接合した形状や、斜辺が外側に膨らんだ2つの略三角形の底辺を接合した形状などが該当する。
【0014】
紡錘形状の穴部6は、図示したように、その長軸が筒状ケース2の中心軸方向と略直交する方向となるように形成されている。もっとも、紡錘形状の穴部6は、その長軸が筒状ケース2の中心軸方向と略平行に形成されていてもよいし、或いは、その長軸が中心軸方向と傾斜するように形成されていてもよい。
紡錘形状の穴部6は、その長軸が筒状ケース2の中心軸方向と略直交する方向となるように形成されていることが好ましい。かかる紡錘形状の穴部6を有する筒状ケース2を用いることにより、熱収縮性筒状フィルム3を熱収縮装着したときに筒状ケース2が歪に変形し難く、且つ熱収縮性筒状フィルム3をより綺麗に熱収縮させることができる。紡錘形状の穴部6を有する筒状ケース2を用いることにより、膨出部31に皺が生じ難くなり、綺麗な曲面状の膨出部31を筒状ケース2の内部へ膨出させることができる。
【0015】
また、穴部6の幅(筒状ケース2の周方向における長さ)は、筒状ケース2の径に応じて適宜設定される。該穴部6の幅は、図5に示すように、筒状ケース2の中心軸Oと穴部6の両端部6a,6aを結んだ2つの線の成す角θが、90度以上、好ましくは120度以上、より好ましくは140度〜220度となるように形成される。かかる幅の穴部6を有する筒状ケース2を用いることにより、熱収縮性筒状フィルム3を穴部6から筒状ケース2の内部方向に大きく膨出させることができる。
【0016】
また、穴部6の高さ(筒状ケース2の中心軸方向における長さ)は、余りに短いと熱収縮性筒状フィルム3の膨出部31が内部方向に大きく膨らまないので、通常、10mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上に形成される。また、穴部6の高さが余りに長すぎると、熱収縮性筒状フィルム3の収縮応力によって、筒状ケース2が大きく歪むなどの不都合を生じる場合もあるので、穴部6の高さは、好ましくは100mm以下、より好ましくは60mm以下に形成される。
【0017】
穴部6は、筒状ケース2の所望位置に少なくとも1ヶ所形成される。好ましくは、穴部6は、2ヶ所以上形成される。穴部6が、2ヶ所以上(複数)形成される場合、各穴部6は、図示したように、筒状ケース2の中心軸方向(上下方向)に所定間隔を開け、且つ上下の穴部6が筒状ケース2の中心軸を基準に線対称となる位置に形成されていることが好ましい。
【0018】
例えば、径差の大きい部分を有する物品9(電球など)を収納する場合には、図2に示すように、各穴部6は、物品9の大径部9aを基準にして上下に間隔を開け且つ向かい合う位置に形成されていることが好ましい。
このような位置に穴部6を有する筒状ケース2を用いることにより、物品9の大径部9aの上下に存する小径部9bに膨出部31が接する又は近接し、該膨出部31を介して物品9を保持できる。
【0019】
筒状ケース2の形成材料は、特に限定されないが、熱収縮性筒状フィルム3を熱収縮させたときの収縮力によって変形し難い材料を用いることが好ましい。
筒状ケース2の形成材料としては、合成樹脂製シート、厚紙、発泡体、金属などが挙げられる。例えば、厚み0.2〜1.0mm程度の合成樹脂製シート又は厚み0.5〜1.5mm程度の厚紙を筒状に丸め、その両側端部を接着することによって、上記筒状ケース2を形成できる。また、発泡スチレンなどの発泡性樹脂、合成樹脂又は金属などを筒状に成形することによって、上記筒状ケース2を形成してもよい。筒状ケース2が、発泡体を含む場合(発泡体のみで形成されている場合、又は発泡体と非発泡体が積層された積層体で形成されている場合)、筒状ケース2自体が緩衝性を有するため好ましい。さらに、筒状ケース2は、透光性を有する材料(透明又は半透明の材料)で形成されていてもよい。
また、筒状ケース2には、必要に応じて、商品名などの意匠印刷が施されていてもよい。
【0020】
円筒状に形成された筒状ケース2は、その上端及び下端にそれぞれ開口部を有する。この開口部を通じて、筒状ケース2の内部に物品9を挿入脱できる。
なお、筒状ケース2の開口部は、上端及び下端の双方に設けられていることが好ましいが、筒状ケース2の上端又は下端の何れか一方は、閉塞されていてもよい(図示せず)。例えば、筒状ケース2の上下の開口部の何れか一方に、別途の蓋部材を嵌着又は固着することによって、何れか一方の開口部が閉塞された筒状ケースを形成できる。また、上端のみが開口された有底筒状に成形することによって(例えば、発泡性樹脂を型内に入れて発泡させる発泡成形など)、何れか一方の開口部が閉塞された筒状ケースを形成できる。
【0021】
熱収縮性筒状フィルム3は、熱収縮性フィルムが筒状に形成されたものである。例えば、矩形状の熱収縮性フィルムを筒状に丸め、その両側端部を重ね合わせて接着することによって、熱収縮性筒状フィルム3を形成できる。
【0022】
筒状ケース2に熱収縮装着する前の上記熱収縮性筒状フィルム3は、筒状ケース2に外嵌可能な大きさ(径)で、且つ、筒状ケース2の中心軸方向長さよりも十分に長く形成されている。
【0023】
上記熱収縮性筒状フィルム3は、内部に物品9が収納された筒状ケース2の壁面の外面に被せられ、該筒状ケース2の壁面に熱収縮装着されている。
具体的には、熱収縮性筒状フィルム3の上下方向中央部は、穴部6に対応した部分を除いて、筒状ケース2の壁面の外面に密着している。
穴部6に対応した熱収縮性筒状フィルム3の部分は、上述のように、筒状ケース2の内部方向へ膨出した膨出部31とされている。
【0024】
熱収縮性筒状フィルム3の上方部32は、筒状ケース2の中心軸方向に大きく縮径することにより、筒状ケース2の上方開口部を塞いでいる。従って、この縮径した上方部32は、筒状ケース2の中心軸に対して直交する面と略平行な、上方開口部を塞ぐ閉塞面である。
ただし、上方部32の中央部には、熱収縮性筒状フィルム3の収縮限界に応じた、小さな円孔32aが残っている。
【0025】
一方、熱収縮性筒状フィルム3の下方部33は、筒状ケース2の中心軸方向に大きく縮径することにより、筒状ケース2の下方開口部を塞いでいる。従って、この縮径した下方部33は、筒状ケース2の中心軸に対して直交する面と略平行な、下方開口部を塞ぐ閉塞面である。
ただし、下方部33の中央部には、熱収縮性筒状フィルム3の収縮限界に応じた、小さな円孔33aが残っている。
熱収縮性筒状フィルム3の上方部32及び下方部33によって筒状ケース2の上下の開口部が閉塞されているので、収納された物品9が筒状ケース2の開口部から抜け出ることはない。
【0026】
熱収縮性筒状フィルム3を形成する熱収縮性フィルムは、所定の温度(例えば、80℃〜100℃)で、少なくとも一方向に大きく熱収縮しうるフィルムである。なお、熱収縮性フィルムは、他方向(フィルムの面内において前記一方向と直交する方向)に若干熱収縮しうるフィルムでもよい。
【0027】
具体的には、熱収縮性フィルムは、85℃に加熱した際の一方向における熱収縮率が30%以上のフィルムが用いられる。好ましくは、熱収縮性フィルムは、85℃に加熱した際の一方向における熱収縮率が40%以上であり、より好ましくは、同熱収縮率が50%以上のフィルムが用いられる。
なお、熱収縮性フィルムが他方向にも熱収縮し得る場合、85℃に加熱した際のその他方向における熱収縮率は、1〜15%であり、好ましくは1〜10%である。
【0028】
ただし、上記85℃に加熱した際の熱収縮率とは、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、フィルムを85℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式(1)に代入して求められる。
式(1):熱収縮率(%)=[{(一方向(又は他方向)の元の長さ)−(一方向(又は他方向)の浸漬後の長さ)}/(一方向(又は他方向)の元の長さ)]×100。
【0029】
上記熱収縮性フィルムは、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂製フィルム、及びこれら樹脂の発泡シートなどを用いることができる。また、熱収縮性フィルムは、熱収縮性を有する2種以上のフィルムが積層された積層体を用いることもできる。さらに、熱収縮性フィルムは、合成樹脂フィルムと緩衝シート(例えば、発泡シートや不織布など)が積層された積層体を用いることもできる。熱収縮性フィルムが、緩衝シートを含む場合、より緩衝性に優れた熱収縮性筒状フィルム3を構成できるため好ましい。さらに、熱収縮性フィルムは、透光性を有するフィルム(透明又は半透明のフィルム)を用いることもできる。筒状ケース2及び熱収縮性筒状フィルム3が何れも透光性を有する場合には、緩衝性包装体1の外部から、物品を透視することができる。
また、熱収縮性筒状フィルム3には、必要に応じて、商品名などの意匠印刷が施されていてもよい。
【0030】
上記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、熱収縮性フィルムが合成樹脂製フィルムから形成される場合、その厚みは、一般に20μm〜100μmであり、好ましくは30μm〜80μmである。また、上記熱収縮性フィルムが緩衝シートを含む場合、その厚みは、一般に80μm〜300μmである。
【0031】
本発明の緩衝性包装体1は、例えば、下記の製法によって得ることができる。
図6に示すように、筒状ケース2の内部に物品9を入れ、該筒状ケース2の壁面に熱収縮性筒状フィルム3を外嵌する。熱収縮性筒状フィルム3は、その上方部及び下方部が筒状ケース2の上端部及び下端部よりも十分に長く突出するように外嵌される。
なお、物品9を筒状ケース2内の所定位置(例えば中央部)に保持しておくため、筒状ケース2の下方開口部から支持棒を挿入し、物品9の下面を支持しておくことが好ましい。
【0032】
次いで、これを、温風などを備えるシュリンクゾーンに導いて、熱収縮性筒状フィルム3を熱収縮させる。熱収縮性筒状フィルム3は、その周方向に大きく熱収縮する。
熱収縮させるときの温度は、フィルムの種類に応じて適宜設計されるものであり、通常、80℃〜200℃程度である。好ましくは、フィルムの収縮限界又はこの近くまで熱収縮させることがより好ましい。
【0033】
かかる熱収縮により、熱収縮性筒状フィルム3の中央部が、筒状ケース2の壁面の外面に密着すると共に、該熱収縮性筒状フィルム3の一部分が、穴部6において筒状ケース2の内部方向へと膨らむ。同時に、熱収縮性筒状フィルム3の上方部32及び下方部33が、筒状ケース2の上端部及び下端部において折れ曲がり、筒状ケース2の上方開口部及び下方開口部を閉塞する。
【0034】
上記緩衝性包装体1は、比較的剛性の高い筒状ケース2内に物品9が収納されているので、筒状ケース2に加わる外圧によって物品9が破損することを防止できる。
さらに、上記緩衝性包装体1は、筒状ケース2の内部方向へ膨らんだ膨出部31を有し、且つ該膨出部31が熱収縮性筒状フィルム3で形成されている。熱収縮性筒状フィルム3から形成された膨出部31は、柔軟である。このため、緩衝性包装体1の流通過程において、収納された物品9が動いて膨出部31を押圧したときに、膨出部31が適宜変形又は圧縮して、物品9に加わる衝撃を吸収できる。
よって、上記緩衝性包装体1は、収納された物品9が破損することを防止できる。
【0035】
また、上記緩衝性包装体1は、穴部6を有する筒状ケース2に熱収縮性筒状フィルム3を熱収縮装着することによって製造できる。よって、本発明の緩衝性包装体1は、従来の包装容器のように治具や金型を用いずに、簡易に製造できる。
【0036】
さらに、上記膨出部31は、熱収縮性筒状フィルム3からなるので柔軟であり、且つ該膨出部31は穴部6から熱収縮性筒状フィルム3を膨出させて形成するため、筒状ケース2内に大きさや形状が異なる物品9を収納することもできる。
すなわち、図2に示す物品9(電球)とは形状や大きさが異なる物品を、図2に示す筒状ケース2に収納した場合であっても、熱収縮性筒状フィルム3を熱収縮させることによって形成される膨出部31が、物品の外面に接し或いは近接し、該物品の破損を防止できる。
【0037】
例えば、図7は、図2に示す物品(電球)とは形状及び大きさが異なる物品(電球)が収納された緩衝性包装体1を示す。
図7に示す筒状ケース2は、図2に示す筒状ケース2と同じで、図7に示す物品9’(電球)は、図2に示す物品9(電球)とは形状が異なり且つ大きさが小さい。図7に示すように、小さい物品9’を収納した場合には、膨出部31が最大限に膨らんで物品9’の外面に接する又は近接し、この緩衝性包装体1の流通過程において、膨出部31が適宜変形又は圧縮することによって物品9’の破損を防止できる。
なお、特に図示しないが、比較的大きな物品を収納した場合には、穴部6から膨らむ熱収縮性筒状フィルム3の一部分が収縮限界に達する前に物品の外面に当たる。従って、膨出部31が最大限に膨らむ前に物品の外面に密着した緩衝性包装体1が得られるが、かかる緩衝性包装体1でも、膨出部31が適宜変形又は圧縮することによって物品の破損を防止できる。この場合、物品の外面に密着した膨出部31は、物品の外面形状に沿っているので、この膨出部31によって、物品が揺れ動くことを防止できる。
このように本発明の緩衝性包装体1は、筒状ケース2内に、特定の物品とは大きさや形状の異なる物品を収納することもでき、1種類の緩衝性包装体で数種類の物品をそれぞれ包装することができる。
よって、本発明の緩衝性包装体1は、包装コストを抑えることができる。
【0038】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲で、適宜な構成を付加、代用、変更などすることができる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、主として上記実施形態と異なる部分を説明し、上記実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
【0039】
上記実施形態において、収納される物品9として電球を例示したが、物品9は電球に限られず、例えば、化粧品・医薬品・食品などが充填された容器、おもちゃ、日用品などでもよい。また、これらの物品9は、更に、別途の包装材によって包装されていてもよい。
【0040】
図8及び9は、筒状の物品9(例えば円筒状のスプレー缶など)が収納された、他の実施形態に係る緩衝性包装体1を示す。
この緩衝性包装体1は、筒状ケース2に少なくとも3ヶ所の穴部6が形成され、上記実施形態と同様に、該穴部6から膨出部31が膨らんでいる。
該3ヶ所の穴部6のうち、2ヶ所の穴部6A,6Bは、上下に所定間隔を開けて形成されている。残る1ヶ所の穴部6Cは、前記穴部6A,6Bの中間部であって、筒状ケース2の中心軸を基準にして穴部6A,6Bに対して線対称となる位置に形成されている。
このような位置関係で少なくとも3ヶ所の穴部6が形成されている筒状ケース2を用い且つ膨らんだ膨出部31を物品9に密着させることにより、筒状ケース2の中央部に物品9を保持することができる。かかる緩衝性包装体1は、物品9が筒状ケース2の内面から離れているので(物品9と筒状ケース2の間に十分な隙間を有している)、流通過程において筒状ケース2に加わる外圧によって、物品9が破損することを確実に防止できる。
【0041】
緩衝性包装体1は、通常、熱収縮性筒状フィルム3を破断して筒状ケース2から除去することにより、筒状ケース2内に収納された物品を取り出すことができる。なお、熱収縮性筒状フィルム3を容易に破断できるようにするため、熱収縮性筒状フィルム3に開封手段(例えば、熱収縮性筒状フィルム3を分断する方向に、熱収縮性筒状フィルム3にミシン目などを形成しておく)を設けておくことが好ましい。
もっとも、熱収縮性筒状フィルム3の一部分である膨出部31は、柔軟であるため、熱収縮性筒状フィルム3を除去せずに、筒状ケース2の開口部から物品を強引に引き抜いて取り出すことも可能である。
【0042】
なお、この他の実施形態の緩衝性包装体1についても、図10に示すように、図9に示す物品9とは形状や大きさが異なる物品9”を包装できる。
【0043】
さらに、上記実施形態では、筒状ケース2は、円筒状に形成されているが、筒状ケース2は、円筒状を含む筒状に限られず、例えば、図11に示すように、中空円錐台状に形成されていてもよい。
この他の実施形態に係る筒状ケース2の壁面には、上記実施形態と同様に、穴部6が形成され、該穴部6から筒状ケース2の内部方向に膨らんだ膨出部31によって物品9の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】1つの実施形態に係る緩衝性包装体を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線(筒状ケースの中心軸を含む面)で切断した断面図。ただし、物品は、断面で表していない(他の断面図も同様)。
【図3】1つの実施形態に係る筒状ケースを示す側面図。
【図4】同正面図。
【図5】図4のV−V線で切断した断面図。
【図6】同緩衝性包装体の製造工程を示し、熱収縮性筒状フィルムを熱収縮させる前の側面図。
【図7】図2に示した物品とは異なる物品を筒状ケース内に収納した1つの実施形態に係る緩衝性包装体を示す断面図(筒状ケースの中心軸を含む面で切断)。
【図8】他の実施形態に係る緩衝性包装体を示す斜視図。
【図9】図8のIX−IX線で切断した断面図。
【図10】図9に示した物品とは異なる物品を筒状ケース内に収納した他の実施形態に係る緩衝性包装体を示す断面図(筒状ケースの中心軸を含む面で切断)。
【図11】更なる他の実施形態に係る緩衝性包装体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
1…緩衝性包装体、2…筒状ケース、3…熱収縮性筒状フィルム、31…膨出部、6…穴部、9…物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な筒状ケースと、前記筒状ケースの壁面に熱収縮装着された熱収縮性筒状フィルムと、を有し、
前記筒状ケースの壁面に、穴部が形成されており、
前記熱収縮性筒状フィルムが、前記穴部において筒状ケースの内部方向へ膨出されていることを特徴とする緩衝性包装体。
【請求項2】
前記穴部が、紡錘形状に形成されている請求項1に記載の緩衝性包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−36962(P2010−36962A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202593(P2008−202593)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】