説明

練歯磨の製造方法

【解決手段】練歯磨の製造方法であって、櫛歯状リング壁を有するステータと渦巻き状の羽根及び櫛歯状リング壁を有するロータとを備えた高剪断型ミキサー部と、有機粘結剤粉体を供給するホッパーと、水又は湿潤剤水溶液を供給する液体導入部とを具備する高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)のホッパー内に有機粘結剤粉体を投入し、有機粘結剤と水又は湿潤剤水溶液とをミキサー部内に連続的に供給し、水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製し、これを低剪断型の真空混合装置(B)に供給して有機粘結剤の膨潤溶解液とした後、装置(B)を用いて減圧下で前記膨潤溶解液に研磨剤、香料等の残りの原料成分を混合する。
【効果】本発明によれば、気泡混入が少なく、成分均一性、保型性及び肌の光沢、香り立ちに優れた練歯磨を効率よく製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡の混入が少なく、有機粘結剤等の成分の均一性に優れ、保型性及び肌の光沢に優れ、かつ香り立ちにも優れた練歯磨を短時間で効率よく製造できる練歯磨の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨の製造法において、過度の剪断力のある設備で製造する場合、香料及び研磨剤が微粒化され、研磨剤に吸着する香料が多くなり、香味の匂い立ちが悪くなる。また、有機粘結剤の切断が起こり、練歯磨の保型性が悪くなる。
【0003】
逆に、剪断力が弱すぎる設備で製造すると、有機粘結剤の膨潤混合が不十分になりダマが生じ易くなる。これを解決するため、有機粘結剤の膨潤混合はパドル翼を備えた混合槽、香料及び研磨剤の混合は低剪断のニーダーで製造することを推奨している(特許文献1;特開平11−171743号公報参照)。しかし、この方法では、膨潤水溶液をニーダーに移す工程が入るため切替洗浄性が悪く、更に粘結剤の膨潤混合物は水分活性が高いため、防腐力が弱い等の問題がある。
【0004】
従って、上記問題がなく、気泡の混入が少なく、かつ香り立ち、成分の均一性に優れた練歯磨を得ることができる工業的に有利な練歯磨の製造方法の開発が望まれる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−171743号公報
【特許文献2】米国特許第4,511,256号
【特許文献3】米国特許第4,729,663号
【非特許文献1】Quadro社 ホームページhttp://www.quadro.com/A_resource/5_caseStudies/2_ytron/cosmetics/APYC05_ToothpasteManufacturing.asp
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、気泡の混入が少なく、成分の均一性に優れ、保型性及び肌の光沢が良好で、かつ香り立ちに優れた練歯磨を簡単な工程で短時間で効率よく製造できる練歯磨の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、有機粘結剤粉体の投入口の真下に高剪断型ミキサーを持ち、上部から流入してくる粉体原料が前記ミキサー部の液体導入部から流入してくる液体原料と混合するのと同時に粉の濡れと分散を可能にする高剪断のインライン型の湿式混合分散装置と、低剪断型の真空混合装置とを同一ラインで用いること、即ち、研磨剤、有機粘結剤、湿潤剤、水、香料を含有する練歯磨を製造する際、
(A)櫛歯状リング壁を有するステータと渦巻き状の羽根及びその外側に櫛歯状リング壁を有するロータとを備えた高剪断型ミキサー部と、粉体原料成分をこのミキサー部に供給するホッパーと、液体原料成分を前記ミキサー部に供給する液体導入部とを具備する高剪断型のインライン型湿式混合分散装置と
(B)低剪断型の真空混合機と
を用い、装置(A)に備えられた粉体原料を供給するホッパー内に有機粘結剤粉体を投入し、液体導入部から水又は湿潤剤水溶液を流入し、前記ホッパーから供給された有機粘結剤粉体が前記液体導入部から流入する水又は湿潤剤水溶液と接触して前記湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部から排出されるまでの平均滞留時間が0.05〜0.50秒間となるように水又は湿潤剤水溶液の流入速度を調整して、有機粘結剤と前記水又は湿潤剤水溶液とをミキサー部内に連続的に供給し、前記水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製し、次いで、前記有機粘結剤分散液を低剪断型の真空混合装置(B)に供給して有機粘結剤の膨潤溶解液とした後、更に装置(B)を用いて減圧下で前記膨潤溶解液に研磨剤を含む残りの粉体原料成分と香料を含む残りの液体原料成分を混合することにより、気泡の混入などがほとんどなく、有機粘結剤等の成分が均一分散し、保型性及び練肌(肌の光沢)に優れ、しかも香味品質が良い練歯磨を効率良く製造できること、しかも、この製造方法によれば、例えば粘結剤の水又は湿潤剤水溶液への分散釜が必要ないため切替洗浄性に有利であり、簡単な工程で工業的に有利に高品質の練歯磨を製造できることを見出した。
【0008】
なお、高剪断型のインライン型湿式混合分散装置は特許文献2,3(米国特許第4,511,256号、米国特許第4,729,663号)に提案され、非特許文献1にはこの装置を用いた歯磨の製造方法が提案されているが、本発明では、上記装置(A)及び(B)を同一ラインで用いた特定工程を行うことにより、高品質な練歯磨を簡単かつ短時間で製造できることを見出したものであり、このことは本発明者の新知見である。
【0009】
本発明の製造方法によれば、
(1)有機粘結剤を高剪断ミキサーで膨潤・分散させるため、生成物はまま粉(フィッシュアイ)のない均一な膨潤液になる。また、高剪断ミキサーを通る回数は1回のため、必要以上の剪断による粘度低下がなく、最終製品の保型性が良く、練肌(肌の光沢)にも優れる。
(2)研磨剤、香料は、低剪断の真空混合機で他成分と混合するため、微粒化されず、香味品質の良い練歯磨を製造できる。
(3)装置(A),(B)の両設備を直列に配置することで、中間製品タンクが必要なく、切替洗浄が簡単にできる。また、液接触後、短時間の滞留時間で排出されるため、配管詰まりがない。
といった利点がある。
【0010】
従って、本発明は、
請求項1;
研磨剤、有機粘結剤、湿潤剤、水、香料を含有する練歯磨の製造方法であって、櫛歯状リング壁を有するステータと渦巻き状の羽根及びその外側に櫛歯状リング壁を有するロータとを備えた高剪断型ミキサー部と、有機粘結剤粉体をこのミキサー部に供給するホッパーと、水又は湿潤剤水溶液を前記ミキサー部に供給する液体導入部とを具備する高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)の前記ホッパー内に有機粘結剤粉体を投入し、前記ホッパーから供給された有機粘結剤粉体が前記液体導入部から流入する前記水又は湿潤剤水溶液と接触して前記湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部から排出されるまでの平均滞留時間が0.05〜0.50秒間となるように水又は湿潤剤水溶液の流入速度を調整して、有機粘結剤と水又は湿潤剤水溶液とをミキサー部内に連続的に供給し、前記水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製し、次いで、前記有機粘結剤分散液を低剪断型の真空混合装置(B)に供給して有機粘結剤の膨潤溶解液とした後、更に装置(B)を用いて減圧下で前記膨潤溶解液に研磨剤を含む残りの粉体原料成分と香料を含む残りの液体原料成分を混合することを特徴とする練歯磨の製造方法。
請求項2;
高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)が、粉体供給用ホッパーと液体導入部を有し、かつ前記ホッパー及び液体導入部からそれぞれ粉体及び液体が供給されて混合されるミキサー部に、複数枚の渦巻き状の羽根が取り付けられ、その外側に周方向に沿って多数の櫛歯で形成されたリング壁を有し、かつ、回転軸を有するロータと、周方向に沿って多数の櫛歯で形成されたリング壁を有するステータとを備え、前記ホッパー及び液体導入部から供給された粉体及び液体が前記ロータの回転軸と一体に回転する羽根によって攪拌混合されると共に、この混合物が前記ロータ及びステータの櫛歯の隙間を通過する際に剪断されて、前記装置(A)に設けられた排出口から排出するように構成されたものである請求項1記載の製造方法。
請求項3;
ロータが、渦巻き状の羽根の外側に多数の櫛歯で形成された内方リング壁が設けられ、かつこの内方リング壁の外側に該内方リング壁との間にリング状空隙部を形成するように多数の櫛歯で形成された外方リング壁が設けられたものであり、前記ステータがそのリング壁を前記リング状空隙部に挿入するように配設された請求項2記載の製造方法。
請求項4;
前記ロータ及びステータの櫛歯間の隙間の間隔がそれぞれ0.5〜5mmである請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
請求項5;
装置(A)の液体導入部が、液体を供給する設備としてポンプを備え、このポンプの流量を調整することにより液体の流入速度を調整するようにした請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
請求項6;
装置(B)が、シグマ型ブレードの回分式ニーダである請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の練歯磨の製造方法によれば、気泡の混入が少なく、成分の均一性に優れ、保型性及び肌の光沢に優れ、しかも、香り立ちにも優れた練歯磨を短時間で効率よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明は、研磨剤、有機粘結剤、湿潤剤、水、香料を含有する練歯磨の製造方法であって、
(A)円筒形の周方向に櫛歯状の隙間を持つステータと、渦巻き状の羽根及びその外側に櫛歯状の隙間を持つ円筒形のロータとを備えた高剪断型ミキサー部と、このミキサー部に粉体原料成分を供給するホッパーと、液体原料成分を供給する液体導入部とを具備する高剪断型のインライン型湿式混合分散装置、及び
(B)低剪断型の真空混合機
を用い、装置(A)に備えられた粉体を供給するホッパー内に有機粘結剤粉体を入れ、液体導入部から水又は湿潤剤水溶液を入れ、前記ホッパーから供給される有機粘結剤粉体が前記液体導入部から流入する水又は湿潤剤水溶液と接触して前記湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部から排出されるまでの平均滞留時間が0.05〜0.50秒間となるように水又は湿潤剤水溶液の流入速度を調整して、有機粘結剤と水又は湿潤剤水溶液とをミキサー部内に連続的に供給し、前記水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製し、次いで、前記有機粘結剤分散液を低剪断型の真空混合装置(B)に供給して有機粘結剤の膨潤溶解液とした後、更に装置(B)を用いて減圧下で前記膨潤溶解液に研磨剤を含む残りの粉体原料成分と香料を含む残りの液体原料成分を混合するものである。
【0013】
(1)高剪断型のインライン型湿式混合分散装置
本発明に使用される高剪断型のインライン型湿式混合分散装置は、ステータとロータとを持つ高剪断型ミキサーと、前記ミキサーに粉体原料成分を供給するホッパーと、液体原料成分を供給する液体原料導入部と、好ましくは原料成分の供給時間を調整する設備としてポンプとを備える。
【0014】
上記高剪断型のインライン型湿式混合分散装置では、液体原料成分流入口と粉体原料成分供給口及び排出口を有し、粉体原料成分を供給するホッパーが前記供給口に備えられ、液体原料成分の流入口には液体原料成分を供給する液体導入部と液体流路が設置されており、該流入口及び供給口よりそれぞれ液体原料成分及び粉体原料成分がロータとステータを設けた混合部(高剪断型ミキサー部)に投入され、この混合部内で接触し、前記ロータとステータとの隙間を通過することで、高剪断下で混合された分散液が前記排出口より排出される連続式混合装置である。
【0015】
より具体的には、高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)が、粉体供給用ホッパーと、液体導入部とを有し、かつこれらホッパー及び液体導入部からそれぞれ粉体及び液体が供給されて混合されるミキサー部に、複数枚の渦巻き状の羽根が取り付けられ、その外側に周方向に沿って多数の櫛歯で形成されたリング壁を有し、かつ、回転軸を有するロータと、周方向に沿って多数の櫛歯で形成されたリング壁を有するステータとを備え、前記ホッパーから供給された粉体及び液体導入部から流入された液体が前記ロータの回転軸と一体に回転する羽根によって攪拌混合されると共に、この混合物が前記ロータ及びステータの櫛歯の隙間を通過する際に剪断されて、前記装置(A)に設けられた排出口から排出するように構成されたものであることがよく、この場合、ロータが、渦巻き状の羽根の外側に多数の櫛歯で形成された内方リング壁が設けられ、かつこの内方リング壁の外側に該内方リング壁との間にリング状空隙部を形成するように多数の櫛歯で形成された外方リング壁が設けられたものであり、前記ステータがそのリング壁を前記リング状空隙部に挿入するように配設されたものであることが好ましく、更に、前記液体導入部が、液体を供給する設備として渦巻きポンプ等のポンプを備え、このポンプの流量を調整することにより液体の流入速度を調整するようにしたものであることが好ましい。
【0016】
このような装置(A)として図1〜4に示す高剪断型インライン型の湿式混合分散装置が例示される。
即ち、この装置1は、粉体供給用ホッパー2及び液体導入部3を有する。この液体導入部3には、液体流路4が接続され、この流路にポンプ5が介装されており、このポンプ5の流量を調整することで流路4を流れる液体の供給速度が調整される。なお、6は後述するミキサー部10の液体流入口であり、7及び8はそれぞれ開閉バルブである。
10はミキサー部であり、ロータ11及びステータ21を備える。この場合、ロータ11は中心部に回転軸12を有し、この回転軸12に複数枚の渦巻き状の羽根13が取り付けられている。また、上記羽根13の先端より外側に、周方向に沿って多数の櫛歯14aで形成された円形内方リング壁15aが設けられていると共に、この内方リング壁15aの外側に、該内方リング壁15aとの間に円形リング状空隙16が形成されるように、周方向に沿って多数の櫛歯14bで形成された円形外方リング壁15bが設けられており、上記回転軸12の回転と一体に羽根13及び円形リング壁15a,15bが回転する。一方、ステータ21は、大径円形リング状基体22の下端周縁部に中間傾斜リング壁23を介して周方向に沿って多数の櫛歯24で形成された前記リング状空隙の直径と一致する直径を有する小径円形リング壁25が一体に連設されたもので、このステータ21のリング壁25が前記ロータ11のリング状空隙16に挿入されるように配置されている。
そして、前記ホッパー2からミキサー部10(羽根13上)に導入された粉体と前記液体導入部3から液体流入口6を通ってミキサー部10(羽根13上)に導入された液体とが、ロータ11の回転軸12の回転と一体に回転する渦巻き状の羽根13の回転によって攪拌混合されつつ内方リング壁15a方向に流動せしめられ、上記櫛歯14a、24、14bの隙間を通過する際に剪断され、排出口26により排出される。
【0017】
上記高剪断型のインライン型湿式混合分散装置は、高剪断型であり、ミキサーの混合条件(円形外方リング壁15b先端の線速度)は15〜50m/s、特に25〜40m/sの範囲であることが好適である。15m/sに満たないと剪断が不十分で有機粘結剤のダマができ易く、50m/sを超えると剪断が強すぎ、有機粘結剤が切断し、粘度低下を起こし易い。なお、上記線速度は下記方法で計算することができる。
線速度(m/s)=
円周率×回転軸の回転数(rpm)×円形外方リング壁先端の直径(m)÷60
また、線速度から求めるミキサー回転軸の回転数は下記式で求められる。
回転軸の回転数(rpm)=
60÷円周率×線速度(m/s)÷円形外方リング壁先端の直径(m)
例えば、円形外方リング壁先端の直径が0.095mのミキサーの混合条件を回転軸の回転速度で示すと、3,017〜10,057rpm、特に5,028〜8,046rpmの範囲が好適になる。
【0018】
更に、高剪断型のインライン型湿式混合分散装置においては、ミキサー内のロータ及びステータの櫛歯状の隙間の隙間間隔が0.5〜5mm、特に1.5〜3.0mmであることが好ましい。隙間間隔が0.5mmより狭いと、有機粘結剤の剪断が強くなり、粘度低下を起こし、保型性が悪くなる場合がある。隙間間隔が5mmより広いと有機粘結剤の剪断が弱くなり、有機粘結剤の分散不足でダマができ、保型性、練肌が悪くなる場合がある。
【0019】
なお、本発明において、練肌とは、歯磨剤の肌の光沢を評価したものであり、具体的には、歯磨剤をわら半紙等の上に出し、このわら半紙等を折って歯磨剤を挟みつぶして開いた時の歯磨剤表面の肌の光沢を目視で評価した時に、歯磨剤表面に粒が認められず、かつ良好な光沢を有するものを練肌がよいと評価する。この歯磨剤の練肌は、口中での歯磨剤の広がり易さにつながる。
【0020】
このような高剪断型のインライン型湿式混合分散装置として具体的には、下記装置が使用できる。
インライン型湿式混合分散装置
クアドロワイトロンXC型、ZC型[(株)パウレック] Quadro社
Becomix DUO−ホモジナイザー[ベレンツ社]
【0021】
本発明に使用される高剪断型のインライン型湿式混合分散装置としては、特にカナダQuadro社のYtron ZC型混合機(U.S.Patent No.4,511,256、同No.4,729,663参照)が好適に使用される。本機は、流入液体で、有機粘結剤粉体の濡れと分散を瞬時に可能にするため、配管内の詰まりがなく、フィッシュアイのない均一な膨潤液として排出させることができる。
【0022】
なお、本発明において、高剪断型のインライン型湿式混合分散装置の代わりに低剪断型真空混合機のみを用いた場合は、有機粘結剤のダマができ、練歯磨の保型性、練肌が悪くなり、高剪断型オフライン湿式混合装置を用いた場合は、オフラインのため、洗浄性が悪くなってしまい、また、高剪断型一釜のみを用い、低剪断型の真空混合機を用いない場合は、研磨剤、香料の微粒化により、香味の匂い立ちが悪くなり、加えて、過度の剪断により保型性が悪くなり、いずれも本発明の目的を達成することができない。
【0023】
(2)低剪断型の真空混合機
装置(B)の低剪断型の真空混合機としては、アンカー型、スパイラル型、衛星運動(自転公転)型など、一般的に使用されている混合機も使用できるが、回分式ニーダが好ましい。回分式ニーダの混合条件は、10〜50rpm、特に15〜40rpmであることが好適である。10rpmに満たないと満足な混合ができない場合があり、50rpmを超えると気泡の混入が多くなる不具合がある。
【0024】
回分式ニーダーには、シグマ型、ゼッド型、マスチケータ型、スパイラル型、フィッシュテール型などのブレードが使用される(混練装置109頁参照;著者:橋本建次、発行:科学技術総合研究所)が、特にシグマ型のブレードの回分式ニーダが好適である。他のブレード(ゼット型、マスチケータ型等)では、全体混合が悪く、香味品質が悪くなる場合がある。
【0025】
本発明の製造法では、まず、第I工程として、好ましくは0℃〜60℃、より好ましくは10℃〜50℃の温度条件で、装置(A)に備えられた粉体供給用ホッパー内に有機粘結剤を入れ、液体導入部に水又は湿潤剤水溶液を入れ、前記粉体供給用ホッパーから供給された有機粘結剤粉体が、前記液体導入部から供給され、液体原料流入口から流入する水又は湿潤剤水溶液と接触して前記湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部から排出されるまでの平均滞留時間が0.05〜0.50秒間となるように湿潤剤水溶液の流入速度を調整して、有機粘結剤と水又は湿潤剤水溶液とをミキサー部内に連続的に供給し、前記水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製する。
【0026】
ここで、上記平均滞留時間とは、粉体原料である有機粘結剤粉体が、液体導入部から流入する水又は湿潤剤水溶液と接触した時から、高剪断型のインライン型湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部、特に下部ローターから排出されるまでの時間(滞留時間)の平均値であり、下記方法で計算することができる。
【0027】
滞留時間の計算方法
滞留時間=(ロータ+ステータ)の容量÷単位時間当たりの流量
具体的には、後述する実施例で使用したQuadro Ytron ZC1型機のロータ+ステータ容量は、171ml(半径40mm、高さ34mm)で固定値である。単位時間当たりの流量はポンプで調整できるため、流量を調整することで、滞留時間を調整することができ、例えば下記のように調整できる。
滞留時間(秒): 0.01 0.05 0.15 0.50 1.00
流量(ml/s): 17,100 3,420 1,140 342 171
Quadro Ytron ZC1型機の標準品のソルビット排出ポンプ能力は1,220ml/秒、水の排出ポンプ能力は2,000ml/秒である。
【0028】
本発明では、ホッパーから供給された有機粘結剤粉体が水又は湿潤剤水溶液と接触して前記湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部から排出されるまでの平均滞留時間が0.05〜0.50秒間、好ましくは0.07〜0.30秒間になるように湿潤剤水溶液の流入速度を調整するが、0.05秒より短いと粉体と液との接触時間が短すぎ、粉体が液に濡れる前にミキサーで処理されるため、均一な膨潤分散ができなくなる。一方、0.50秒より長いとミキサーを通る前に有機粘結剤の膨潤が進み、ロータ出口で詰まる。
【0029】
有機粘結剤粉体を高剪断ミキサーで分散混合するために必要な水又は湿潤剤水溶液の質量は、有機粘結剤粉体の質量の5倍以上、特に10倍以上が好ましい。5倍より少ない場合は、高濃度の有機粘結剤粉体を膨潤分散させるため、高剪断ミキサーのローター回転数を必要以上に高速にするため、粘結剤切断による粘度低下が起こり易くなる場合がある。水又は湿潤剤水溶液の供給量は、上記したように液体を供給する設備として備えられたポンプで調整でき、有機粘結剤の供給量は図1の開閉バルブ8の開閉などで調整できる。例えば、ポンプ能力を1,500g/秒にした時の有機粘結剤の供給速度は、300g/秒以下、特に150g/秒以下にすることが好ましい。
【0030】
練歯磨に配合される粘結剤は、練歯磨剤の粉体と液体の系を安定化(液分離防止)させると共に、保型性を与える原料であり、有機粘結剤や無機粘結剤(例えばシリカゲル、ビーガム、ラポナイト、モンモリロナイト、ベントナイト等)があるが、本発明では、粉体供給用ホッパーに入れ、高剪断ミキサーで処理する粘結剤には、有機粘結剤を用いる。なお、無機粘結剤を高剪断ミキサーで有機粘結剤と同時に処理しても問題ないが、無機粘結剤は、高剪断による膨潤工程が必要ないため、第三工程の装置Bによる混合で問題ない。
【0031】
有機粘結剤としては、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成重合物、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸誘導体、カラゲナン類などが挙げられる。
【0032】
また、有機粘結剤は、その95%以上が500μm以下、好ましくは355μm以下の粒径であることが好ましい。有機粘結剤の粒径は、有機粘結剤10gをローテーションタップ式のふるい振とう機にかけ、15分間篩過し、篩過した有機粘結剤の量で求めることができる。ふるいは、日局規格でふるい番号30(呼び寸法500μm)及びふるい番号42(呼び寸法355μm)を用いる。ここで、有機粘結剤の粒径が500μm以下とは、ふるい番号30を使用して、上記試験を行ったところ、その95%以上が篩過したことを言う。同様に、有機粘結剤の粒径が350μm以下とは、ふるい番号42を使用して、上記試験を行ったところ、その95%以上が篩過したことを言う。
【0033】
練歯磨における有機粘結剤の配合量は、通常の配合量とすることができ、組成物全体の0.1〜5質量%が好適である。
【0034】
無機粘結剤としては、シリカゲル、ビーガム、ラポナイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどが挙げられる。練歯磨における無機粘結剤の配合量は、通常の配合量とすることができ、組成物全体の0.1〜10質量%が好適である。
【0035】
第一工程において、湿潤剤としては、通常練歯磨に配合されるものを使用でき、例えばソルビット、グリセリン、キシリット、マルチット、ラクチット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、特にソルビット及び/又はグリセリンが好適に使用され、溶媒としては特に水が好適に使用される。これら湿潤剤は、第一工程で全量を使用しても良いし、一部を使用して残量を第二工程で使用しても良い。更に、全量を第二工程以降に使用しても良い。
【0036】
第一工程で使用される湿潤剤と溶媒として使用される水との混合割合(質量比)は、湿潤剤/水=85/15〜0/100、特に70/30〜20/80が望ましい。水の割合が15質量%より少ないと粉体状の湿潤剤(キシリット、ソルビットなど)の水への溶解不良の問題、粘稠の高い湿潤剤(グリセリンなど)の粘度上昇による流量不良の問題などの他、水分が全くないと有機粘結剤が完全未膨潤のまま高剪断ミキサーで処理され、膨潤が低剪断真空混合機中で開始するため、十分な膨潤溶解が得られない場合がある。従って、プロピレングリコールや液状のポリエチレングリコールなどの流動性の良い液体湿潤剤を第一工程で使用する際は、単独ではなく、15質量%以上の水を加えて、湿潤剤水溶液として使用することが望ましい。また、水の割合は100質量%でも問題ないが、極端に膨潤スピードの速い有機粘結剤を使用する場合には、水分量を80質量%以下にして膨潤スピードをコントロールする方が良い場合がある。
なお、ここで、湿潤剤の比率は純分で示した値である。例えば、ソルビットの場合は粉体としての濃度を表し、汎用的に使用される70質量%ソルビット水溶液の場合はソルビット/水=70/30と表記する。
【0037】
本発明において使用される湿潤剤は、上記したようにソルビット及び/又はグリセリンが好適であり、これらは通常歯磨剤に使用される他の湿潤剤と比較し、香味への影響が少なく、多量に配合が可能な点及び有機粘結剤の分散性が良好な点から好適に使用される。なお、ソルビットは高純度のソルビット粉体を水に溶解し、規定濃度のソルビット液を調製しても、汎用のソルビット液(例えば70質量%液)を規定濃度に希釈、又はそのまま使用しても良い。グリセリンも同様に高純度の濃グリセリン又はグリセリン液(例えば85質量%液)を規定濃度に希釈、又はそのまま使用しても良い。
歯磨剤における湿潤剤の配合量は、組成物全体の5〜60質量%が好ましい。
【0038】
また、溶媒としては水が好適に使用され、湿潤剤水溶液を製造する場合には、歯磨剤中に配合される水の一部を湿潤剤と混合する。歯磨剤への水の配合量は、通常、組成物全体の20〜70質量%が好ましい。その一部を有機粘結剤の分散媒として上記混合割合となるように使用して膨潤剤水溶液を調製し、残りの水は有機粘結剤分散後の膨潤溶解時に使用する。また、いずれの場合も溶媒としての水に水溶性の原料(粘結剤、発泡剤を除く)を予め溶解した混合水溶液を使用してもよい。
【0039】
本発明において、有機粘結剤分散液とは、有機粘結剤が水又は湿潤剤水溶液に均一分散された液を示すが、本発明では有機粘結剤が粉体の状態(未膨潤)と膨潤溶解している状態とが混在している分散液を示す。この分散液の状態については、連続式混合分散機による分散直後と経時後の粘度変化及び顕微鏡観察による未膨潤有機粘結剤の有無により確認できる。顕微鏡観察によると、未膨潤の場合には粒子が見え、膨潤溶解した場合にはその粒子が消失した透明の液になる。
【0040】
装置(A)により水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製した後は、第II工程として、この有機粘結剤分散液を装置(B)に供給して有機粘結剤の膨潤溶解液とし、更に後述するように第III工程としてこの装置(B)を用いて減圧下で、有機粘結剤膨潤液に残りの原料を混合する。
第II工程における装置(B)での混合条件は、0〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度条件で、10〜50rpm、好ましくは15〜40rpmの回転回数で、5〜20分間混合し、有機粘結剤を膨潤溶解させるのが望ましい。
【0041】
第III工程では、装置(B)を用いて減圧下で、第II二工程で得られた有機粘結剤の膨潤溶解液に発泡剤を除く全ての残りの原料を投入した後、0〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度条件で、10〜50rpm、好ましくは15〜40rpmの回転数で、減圧下5〜20分脱泡混合することが好ましい。最後に発泡剤を添加し、再び、上記条件で脱泡混合して、歯磨組成物を得ることができる。この場合、減圧条件としては、1〜10kPa、特に2〜8kPaの条件が好ましい。
このように装置(B)を用いて低剪断条件で、有機粘結剤膨潤溶解後に香料、研磨剤、発泡剤を含む残りの原料を混合することで、香味発現が良好となる。
【0042】
歯磨剤の製造においては、香料、研磨剤を有機粘結剤と同様に連続式混合機を用いて混合した場合、これらの原料が微粒化されることで、香料の研磨剤への吸着量が異なり、香味のバランスが崩れるが、予め有機粘結剤分散液を調製し、更に有機粘結剤膨潤溶解液とした後、この第III工程で残りの原料として香料、研磨剤等を混合することで、香味バランスを改善することができる。
好ましくは、香料は研磨剤の前に投入し、その後研磨剤を投入することが好ましい。香料を研磨剤の後から投入した場合、系全体の粘度が上がり、香料が均一に混合し難くなる場合がある。
【0043】
第III工程で添加する残りの原料とは、前工程で配合した原料を除いた通常歯磨剤成分として使用される公知の成分である。練歯磨剤においては、通常、研磨剤、有機粘結剤、無機粘結剤、湿潤剤、溶剤、香料、可溶化剤、着色剤、防腐剤、有効成分、矯味剤、増粘剤、甘味剤、pH調整剤、安定剤、洗浄剤、吸着剤、清涼剤、発泡剤等が配合されるが、第三工程で添加する残りの原料とは、これら成分から上記した有機粘結剤、水又は湿潤剤水溶液を除いた成分原料で、前工程において未配合の原料である。なお、未配合の水及び湿潤剤もこの工程で添加される。
【0044】
研磨剤(粉体)としては、リン酸水素カリウム・無水和物、リン酸水素カルシウム・2水和物、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ポリメタクリル酸メチル、その他の合成樹脂等が挙げられ、これら研磨剤は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。歯磨剤における配合量は、組成物全体の5〜50質量%を用いるのが好ましい。
【0045】
発泡剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合することができる。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム等のN−アシルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミド等の脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が挙げられる。これら発泡剤は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。歯磨剤における配合量は、組成物全体の0.1〜10質量%が好ましい。
【0046】
香料成分としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料成分;これらの天然香料成分の加工処理した香料成分;メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド等の単品香料成分;ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー等の調合香料成分等、口腔用組成物に用いられる公知の香料成分素材が挙げられる。これら香料成分は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。歯磨剤における配合量は、組成物全体の0.1〜5質量%を用いるのが好ましい。
【0047】
更に、残りの原料としては、有効成分、無機粘結剤、防腐剤、着色剤、甘味剤、可溶化剤、矯味剤、増粘剤、pH調整剤、安定剤、洗浄剤、吸着剤、清涼剤等が挙げられる。
【0048】
具体的には有効成分として、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヒノキチオール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、クロルヘキシジン塩類等、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リゾチーム、ムタナーゼ等の酵素類、塩化ナトリウム、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、トコフェロール類、グリチルレチン酸類、アスコルビン酸及びその誘導体とその塩類、生薬、硝酸カリウム、カミツレ、オウゴン等が挙げられる。塩化ナトリウムを除く歯磨剤における配合量は、組成物全体の0.001〜5質量%が好ましい。塩化ナトリウムの歯磨剤における配合量は、組成物全体の5〜25質量%が好ましい。
【0049】
防腐剤として、各種パラベンのほかトリクロサン等の非イオン性抗菌剤、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性抗菌剤、安息香酸ナトリウム、精油等が挙げられる。着色剤として、食用色素類、二酸化チタン等が挙げられる。
【0050】
甘味剤として、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、マルトース、ラクトース、ペリラルチン、グリチルリチン塩類、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、パラメトキシシンナミックアルデヒド等が挙げられる。歯磨剤における配合量は、組成物全体の0.01〜5質量%が好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量の部はいずれも質量部である。
【0052】
〔実施例1〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを図1〜5に示した設備で製造して練歯磨を得た。
粉体原料である有機粘結剤(ポリアクリル酸ナトリウム0.5部、キサンタンガム0.5部、アルギン酸ナトリウム0.5部)及びサッカリンナトリウム0.2部を図1〜4に示すような高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(クアドロワイトロンZC1型;パウレック(株)製)のホッパー(A)2に入れ(温度25℃)、精製水25.0部及び70%ソルビット液20.0部を液体導入部(B)3に入れた(温度25℃)。ポンプ5(インバータ付きの渦巻きポンプ(C))の流速が1,140ml/sになるよう調整した。バルブ(D)7を開け、ポンプ(C)5の運転を開始し、液が液体原料成分の流入口6に流入したら、バルブ(E)8を開けホッパー(A)2の粉体原料を高剪断ミキサー(F)10に投入した。この時の高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定した。高剪断ミキサー10はステータ21、ロータ11を持つ混合分散装置で、ロータ11中心部に回転軸12に取り付けられた渦巻き状の羽根13を持ち、ロータ11は羽根13が一体となって回転する。ロータ11の羽根13が回転することで、ロータ11内部の液が外部に押し出され、ロータ11の櫛歯14a,14b及びステータ21の櫛歯24の隙間を通る際に、ホッパー(A)2の粉体原料が混合・分散される。ロータ11、ステータ21は、櫛歯14aで形成された円形内方リング壁15aの大きさが80mm、櫛歯14bで形成された円形内方リング壁15bの大きさが95mm、ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が2.0mm、ロータ及びステータを重ねた時の高さが34mmになるものを使用した。この時、ホッパー(A)の粉体原料が液中投入後、円形内方リング壁15aに接触するまでの容積は、171mlになる。液体の流速を1,140ml/sに設定したので、ホッパー(A)の粉体原料の平均滞留時間は0.15秒になる。また、高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定したので、円形外方リング壁先端の線速度は32.3m/sになる。高剪断ミキサーで処理された有機粘結剤分散液を、インラインで、図5に示すブレード30を備えた低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に入れ、34rpmで600秒間混合して有機粘結剤の膨潤溶解液を得た(温度28℃)。この膨潤溶解液に、プロピレングリコール3.0部を入れ、34rpmで120秒間混合した後、香料1.5部を添加し、34rpmで300秒間混合した(温度27℃)。これに、歯磨用リン酸水素カルシウム・無水和物47.0部を加え、34rpmで300秒間混合した後、真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度25℃)。常圧に戻した後、ラウリル硫酸ナトリウム1.8部を添加し、再び真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第2段階の減圧脱泡混合を行い練歯磨を調製した(出来上がり温度25℃)。
【0053】
〔実施例2〕
実施例1の渦巻きポンプ(C)の能力(1,140ml/s)を3,420ml/sに変更する以外は実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。この時の粉体滞留時間は、0.05秒になった。
【0054】
〔実施例3〕
実施例1の渦巻きポンプ(C)の能力(1,140ml/s)を2,443ml/sに変更する以外は実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。この時の粉体滞留時間は、0.07秒になった。
【0055】
〔実施例4〕
実施例1の渦巻きポンプ(C)の能力(1,140ml/s)を570ml/sに変更する以外は実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。この時の粉体滞留時間は、0.30秒になった。
【0056】
〔実施例5〕
実施例1の渦巻きポンプ(C)の能力(1,140ml/s)を342ml/sに変更する以外は実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。この時の粉体滞留時間は、0.50秒になった。
【0057】
〔比較例1〕
実施例1の渦巻きポンプ(C)の能力(1,140ml/s)を17,100ml/sに変更し、実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。この時の粉体滞留時間は、0.01秒になった。
【0058】
〔比較例2〕
実施例1の渦巻きポンプ(C)の能力(1,140ml/s)を171ml/sに変更する以外は実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。この時の粉体滞留時間は、1.00秒になった。
【0059】
〔比較例3〕
実施例1の高剪断型のインライン型湿式混合分散装置を低剪断型のインライン型湿式混合分散装置(スタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド)に変更し、実施例1と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0060】
〔比較例4〕従来技術(特開平11−171743号公報)による方法
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを下記方法で調製した。パドル翼を備えた混合槽に、プロピレングリコール3.0部、有機粘結剤(ポリアクリル酸ナトリウム0.5部、キサンタンガム0.5部、アルギン酸ナトリウム0.5部)を入れ、15分間攪拌し、均一に有機粘結剤を分散させた(温度22℃)。パドル翼を備えた混合槽に、精製水25.0部、70%ソルビット液20.0部及びサッカリンナトリウム0.2部を入れ、5分間混合した(温度24℃)。これに、上記混合槽で予め調製した粘結剤分散液を入れ、膨潤分散させた(温度25℃)。この膨潤液を低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に入れ、香料1.5部を添加し、34rpmで5分間混合した(温度25℃)。更に歯磨用リン酸水素カルシウム・無水和物47.0部を加え、34rpmで5分間混合した。この混合物を圧力3kPaで、34rpmで10分間第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度23℃)。常圧に戻し、ラウリル硫酸ナトリウム1.8部を添加し、圧力3kPaで、34rpmで10分間第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度23℃)。
【0061】
〔比較例5〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを下記方法で調製した。
パドル翼を備えた混合槽に、プロピレングリコール3.0部、有機粘結剤(ポリアクリル酸ナトリウム0.5部、キサンタンガム0.5部、アルギン酸ナトリウム0.5部)を入れ、15分間攪拌し、均一に有機粘結剤を分散させた(温度20℃)。高剪断型の湿式混合分散装置(容量200Lユニバーサルミキサー;パウレック社製)に精製水25.0部、70%ソルビット液20.0部及びサッカリンナトリウム0.2部を入れ、5分間、アジテーター50rpm、ホモミキサー1,300rpmで混合した(温度25℃)。これに、上記混合槽で予め調製した有機粘結剤分散液を入れ、上記条件で10分間混合し、有機粘結剤を膨潤溶解させた(温度25℃)。これに、香料1.5部を添加混合し、更に歯磨用リン酸水素カルシウム・無水和物47.0部を加え、上記条件で5分間混合した。この混合物を、圧力3kPaで、アジテーター50rpm、ホモミキサー1,300rpmで上下循環させながら混練し、10分間、第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度24℃)。常圧に戻し、ラウリル硫酸ナトリウム1.8部を添加し、圧力3kPaで、アジテーター50rpm、ホモミキサー1,300rpmで上下循環させながら第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度24℃)。
【0062】
〔比較例6〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを下記方法で調製した。パドル翼を備えた混合槽に、プロピレングリコール3.0部、有機粘結剤(ポリアクリル酸ナトリウム0.5部、キサンタンガム0.5部、アルギン酸ナトリウム0.5部)を入れ、15分間攪拌し、均一に有機粘結剤を分散させた(温度18℃)。低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に精製水25.0部、70%ソルビット液20.0部及びサッカリンナトリウム0.2部を入れ、5分間、34rpmで混合した(温度24℃)。これに、上記混合槽で予め調製した有機粘結剤分散液を入れ、34rpmで10分間混合した。これに、香料1.5部を添加、34rpmで5分間混合し、更に歯磨用リン酸水素カルシウム・無水和物47.0部を加え、34rpmで5分間混合した(温度22℃)。この混合物を、圧力3kPaで、34rpmで10分間第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度21℃)。常圧に戻し、ラウリル硫酸ナトリウム1.8部を添加し、圧力3kPaで、34rpmで10分間第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度21℃)。
【0063】
得られた歯磨組成物について、下記方法で評価した。上記実施例及び比較例における歯磨組成物の組成を表1−1に、歯磨製造条件及び評価結果を表1−2に示す。なお更に、表1−1には、後述する実施例の歯磨組成物の組成も示す。
【0064】
練歯磨の評価方法
(1)香味
歯磨剤組成物1gを歯ブラシにとり、実際に歯みがきした時の香味を下記に示す3段階で、香味専門パネラー8名がそれぞれ評価し、歯磨組成物の評価は上記8名の平均点で、4段階に評価した。
香味専門パネラーの評価基準
3点:歯磨剤として良好な香味であり、使用感に優れる。
2点:歯磨剤として香味のバランスがわずかに崩れているが、商品性に問題ない。
1点:歯磨剤として香味のバランスが崩れ、商品性に問題がある。
歯磨組成物の評価基準
◎:香味専門パネラーの評価平均点が2.5点以上
○:香味専門パネラーの評価平均点が2.0点以上〜2.5点未満
△:香味専門パネラーの評価平均点が1.5点以上〜2.0点未満
×:香味専門パネラーの評価平均点が1.5点未満
【0065】
(2)保型性
口径8mmのチューブに充填した歯磨組成物を毛の硬さが普通タイプのクリニカハブラシ4列スタンダード(ライオン株式会社製、植毛部形状:4列、ヨコ20mm、タテ9mm、高さ10mm)の上に10mm押出し、1分後の歯ブラシへの染み込みを下記に示す◎〜×の4段階で評価した。
◎:歯ブラシ上でペーストの形状が保たれており、
歯ブラシへの染み込みは1mm以下
○:歯ブラシ上でペーストの形状がわずかに崩れており、
歯ブラシへの染み込みは1〜3mm
△:歯ブラシ上でペーストの形状が崩れており、
歯ブラシへの染み込みは3〜5mm
×:歯ブラシ上でペーストの形状が完全に崩れており、
歯ブラシへの染み込みは5mm以上
【0066】
(3)練肌(肌の光沢)
口径8mmのチューブに充填した歯磨組成物を紙の上に10cm押出し、上部に紙を乗せた。この状態で、上部の紙の上を指で押しながら、歯磨組成物を伸ばした後、上部の紙を取り、紙の上に広がった歯磨組成物の外観を下記に示す3段階で、専門パネラー8名がそれぞれ評価し、歯磨組成の評価は上記8名の平均点で、下記に示す4段階で評価した。
専門パネラーの評価基準
3点:表面が均一で、粒(ダマ)がなく、更に、光沢がある。
2点:表面が均一で、粒(ダマ)はないが、光沢がない。
1点:表面が不均一で、粒(ダマ)が見られる。
歯磨組成物の評価基準
◎:専門パネラーの評価平均点が2.5点以上
○:専門パネラーの評価平均点が2.0点以上〜2.5点未満
△:専門パネラーの評価平均点が1.5点以上〜2.0点未満
×:専門パネラーの評価平均点が1.5点未満
【0067】
また、上記実施例及び比較例において、作業性の評価を下記方法で評価した。結果を表1−2に示す。
作業性の評価:
(1)洗浄性
製造設備の洗浄に必要な水の量を4段階評価した。
◎:歯磨製造釜容積の2倍以内
○:歯磨製造釜容積の2倍超〜4倍以内
△:歯磨製造釜容積の4倍超〜6倍以内
×:歯磨製造釜容積の6倍超
(2)配管詰まり
ロータ排出口の詰まりの程度を4段階で目視評価した。
◎:ほとんど付着のないレベル
○:わずかに付着があるが、継続して製造可能なレベル
△:付着があり、付着物が堆積すると、製造できなくなるレベル
×:かなり付着あり継続して製造ができないレベル
【0068】
【表1−1】

【0069】
表中、ナトリウム塩はNaと略した。配合量を示す数字は質量部(%)を表す。
【0070】
商品名(製造メーカー)
*1 キミカアルギンI−3(キミカ)
*2 GENUVISCO type PJ−JPE(CPケルコジャパン)
*3 レオジック 250H(日本純薬)
*4 サンローズ F10LC(日本製紙ケミカル)
*5 モナートガムDA(大日本製薬)
*6 トクシール(トクヤマ)
*7 70%ソルビット液(東和化成工業)
*8 85%グリセリン液(阪本薬品工業)
*9 アデカプロピレングリコール(旭電化)
*10 キシリット(東和化成工業)
*11 PEG#400(ライオン)
*12 Tixosil43(ローディア)
*13 歯磨用リン酸水素カルシウム(東ソー・アクゾ)
*14 重質炭酸カルシウム(備北粉化工業)
*15 ハイジライト−210(昭和電工)
*16 タイペーク CR−50(石原産業)
*17 サッカリンナトリウム(大東化学工業)
*18 アルスコープLN−90P(東邦化学工業)
*19 ソイポン SLP(川研ファインケミカル)
【0071】
【表1−2】

【0072】
上記の結果から、装置(A)の高剪断ミキサーの有機粘結剤粉体の滞留時間は、0.05〜0.50秒が良く、特に0.07秒〜0.30秒が好ましいことがわかった。0.01秒の時は、保型性、練肌が悪く、1.00秒では配管つまりが起こった。
装置(A)と装置(B)の組合せは、高剪断インライン式湿式混合分散装置と低剪断真空混合機の組合せが良く、装置(A)の高剪断インライン式湿式混合分散装置の代わりに低剪断インライン式湿式混合分散装置で歯磨組成物を製造した場合は、保型性、練肌が悪く、高剪断オフライン式湿式混合分散装置で歯磨組成物を製造した場合は、洗浄性が悪くなった。また、高剪断型一釜で歯磨組成物を製造した場合は、香味品質が悪く、低剪断型一釜で歯磨組成物を製造した場合は、保型性、練肌が悪くなった。
【0073】
〔実施例6〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを図1〜5に示した設備で製造して練歯磨を得た。
粉体原料である有機粘結剤(カラゲナン0.8部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1.2部)及びサッカリンナトリウム0.15部、二酸化チタン0.4部を図1〜4に示すような高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(クアドロワイトロンZC1型;パウレック(株)製)のホッパー(A)2に入れ(温度15℃)、85%グリセリン水溶液30.0部を液体導入部(B)3に入れた(温度40℃)。ポンプ5(インバータ付きの渦巻きポンプ(C))の流速が1,140ml/sになるよう調整した。バルブ(D)7を開け、ポンプ(C)5の運転を開始し、液が液体原料成分の流入口6に流入したら、バルブ(E)8を開けホッパー(A)2の粉体原料を高剪断ミキサー(F)10に投入した。この時の高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定した。高剪断ミキサー10はステータ21、ロータ11を持つ混合分散装置で、ロータ11中心部に回転軸12に取り付けられた渦巻き状の羽根13を持ち、ロータ11は羽根13が一体となって回転する。ロータ11の羽根13が回転することで、ロータ11内部の液が外部に押し出され、ロータ11の櫛歯14a,14b及びステータ21の櫛歯24の隙間を通る際に、ホッパー(A)2の粉体原料が混合・分散される。ロータ11、ステータ21は、櫛歯14aで形成された円形内方リング壁15aの大きさが80mm、櫛歯14bで形成された円形内方リング壁15bの大きさが95mm、ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が2.0mm、ロータ及びステータを重ねた時の高さが34mmになるものを使用した。この時、ホッパー(A)の粉体原料が液中投入後、円形内方リング壁15aに接触するまでの容積は、171mlになる。液体の流速を1,140ml/sに設定したので、ホッパー(A)の粉体原料の平均滞留時間は0.15秒になる。また、高剪断型ミキサーの回転数を6,500rpmに設定したので、円形外方リング壁先端の線速度は32.3m/sになる。高剪断ミキサーで処理された有機粘結剤分散液を、インラインで、図5に示すブレード30を備えた低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に入れ、34rpmで600秒間混合して有機粘結剤の膨潤溶解液を得た(温度35℃)。この膨潤溶解液に、精製水44.75部を入れ、34rpmで120秒間混合した後、香料1.2部を添加し、34rpmで300秒間混合した(温度28℃)。これに、無水ケイ酸20.0部を加え、34rpmで300秒間混合した後、真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度26℃)。常圧に戻した後、ラウリル硫酸ナトリウム1.5部を添加し、再び真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度26℃)。
【0074】
〔実施例7〕
ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が0.3mmのものに変更する以外は実施例6と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0075】
〔実施例8〕
ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が0.5mmのものに変更する以外は実施例6と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0076】
〔実施例9〕
ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が1.5mmのものに変更する以外は実施例6と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0077】
〔実施例10〕
ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が3.0mmのものに変更する以外は実施例6と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0078】
〔実施例11〕
ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が5.0mmのものに変更する以外は実施例6と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0079】
〔実施例12〕
ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が7.0mmのものに変更する以外は実施例6と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0080】
実施例6〜12で得られた練歯磨について、実施例1と同様にして保型性と練肌を評価した。なお、製造条件及び評価結果は表2に示す通りである。
【0081】
【表2】

【0082】
上記結果より、高剪断ミキサーのロータとステータの櫛歯間隔は、0.5〜5.0mmが良く、特に1.5〜3.0mmが好ましかった。櫛歯間隔が0.5〜5.0mmの場合に比べて、櫛歯間隔が0.3mmでは、ミキサー剪断力が強いために粘度低下が起こって保型性がやや低下し、7.0mmでは、ミキサーの剪断が弱いために有機粘結剤の分散性に若干影響が生じて保型性及び練肌がやや悪くなった。
【0083】
〔実施例13〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを図1〜5に示した設備で製造して練歯磨を得た。
粉体原料である有機粘結剤(アルギン酸ナトリウム0.7部、キサンタンガム0.7部)及びサッカリンナトリウム0.05部を図1〜4に示すような高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(クアドロワイトロンZC1型;パウレック(株)製)のホッパー(A)2に入れ(温度32℃)、精製水21.95部を液体導入部(B)3に入れた(温度28℃)。ポンプ5(インバータ付きの渦巻きポンプ(C))の流速が1,140ml/sになるよう調整した。バルブ(D)7を開け、ポンプ(C)5の運転を開始し、液が液体原料成分の流入口6に流入したら、バルブ(E)8を開けホッパー(A)2の粉体原料を高剪断ミキサー(F)10に投入した。この時の高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定した。高剪断ミキサー10はステータ21、ロータ11を持つ混合分散装置で、ロータ11中心部に回転軸12に取り付けられた渦巻き状の羽根13を持ち、ロータ11は羽根13が一体となって回転する。ロータ11の羽根13が回転することで、ロータ11内部の液が外部に押し出され、ロータ11の櫛歯14a,14b及びステータ21の櫛歯24の隙間を通る際に、ホッパー(A)2の粉体原料が混合・分散される。ロータ11、ステータ21は、櫛歯14aで形成された円形内方リング壁15aの大きさが80mm、櫛歯14bで形成された円形内方リング壁15bの大きさが95mm、ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が2.0mm、ロータ及びステータを重ねた時の高さが34mmになるものを使用した。この時、ホッパー(A)の粉体原料が液中投入後、円形内方リング壁15aに接触するまでの容積は、171mlになる。液体の流速を1,140ml/sに設定したので、ホッパー(A)の粉体原料の平均滞留時間は0.15秒になる。また、高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定したので、円形外方リング壁先端の線速度は32.3m/sになる。高剪断ミキサーで処理された有機粘結剤分散液を、インラインで、図5に示すブレード30を備えた低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に入れ、34rpmで600秒間混合して有機粘結剤の膨潤溶解液を得た(温度40℃)。この膨潤溶解液に、70%ソルビット水溶液25.0部、シリカゲル4.0部、キシリット5.0部を入れ、34rpmで120秒間混合した後、香料1.8部を添加し、34rpmで300秒間混合した(温度30℃)。これに、炭酸カルシウム40.0部を加え、34rpmで300秒間混合した後、真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度29℃)。常圧に戻した後、ラウリル硫酸ナトリウム0.8部を添加し、再び真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度28℃)。
【0084】
〔実施例14〕
真空混合機のブレードをゼット型に変更する以外は実施例13と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0085】
〔実施例15〕
真空混合機のブレードをマスチケータ型に変更する以外は実施例13と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0086】
実施例13〜15で得られた練歯磨について、下記に示した方法で、香味バラツキを評価した。製造条件及び評価結果は表3に示す通りである。
【0087】
香味バラツキの評価法
香味匂い立ち判定パネラー8名により、練歯磨製造釜の手前中、手前右、手前左、奥中、奥右、奥左の6箇所からサンプリングした練歯磨1gを薬包紙に出し、匂い立ちのバラツキの程度を3段階で官能評価した。
◎:6サンプル全て同等と認められる場合
○:6サンプル中、1〜2サンプル差異が認められるが、その差が小さい場合
△:6サンプル中、1〜2サンプル差異が認められ、その差が大きい場合
×:6サンプル中、同等と認められるサンプルが3サンプル以下の場合
【0088】
【表3】

【0089】
歯磨組成物の全体混合には、低剪断真空混合機のブレードとしてシグマ型が最も良く、ゼット型やマスチケータ型では、低剪断真空混合機内部の部位によって香味のバラツキが若干見られた。
【0090】
〔実施例16〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを図1〜5に示した設備で製造し、練歯磨を得た。
粉体原料である有機粘結剤(ポリアクリル酸ナトリウム0.6部、キサンタンガム0.6部)及びサッカリンナトリウム0.16部を図1〜4に示すような高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(クアドロワイトロンZC1型;パウレック(株)製)のホッパー(A)2に入れ(温度10℃)、精製水10.0部及び85%グリセリン水溶液22.0部を液体導入部(B)3に入れた(温度15℃)。ポンプ5(インバータ付きの渦巻きポンプ(C))の流速が1,140ml/sになるよう調整した。バルブ(D)7を開け、ポンプ(C)5の運転を開始し、液が液体原料成分の流入口6に流入したら、バルブ(E)8を開けホッパー(A)2の粉体原料を高剪断ミキサー(F)10に投入した。この時の高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定した。高剪断ミキサー10はステータ21、ロータ11を持つ混合分散装置で、ロータ11中心部に回転軸12に取り付けられた渦巻き状の羽根13を持ち、ロータ11は羽根13が一体となって回転する。ロータ11の羽根13が回転することで、ロータ11内部の液が外部に押し出され、ロータ11の櫛歯14a,14b及びステータ21の櫛歯24の隙間を通る際に、ホッパー(A)2の粉体原料が混合・分散される。ロータ11、ステータ21は、櫛歯14aで形成された円形内方リング壁15aの大きさが80mm、櫛歯14bで形成された円形内方リング壁15bの大きさが95mm、ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が2.0mm、ロータ及びステータを重ねた時の高さが34mmになるものを使用した。この時、ホッパー(A)の粉体原料が液中投入後、円形内方リング壁15aに接触するまでの容積は、171mlになる。液体の流速を1,140ml/sに設定したので、ホッパー(A)の粉体原料の平均滞留時間は0.15秒になる。また、高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定したので、円形外方リング壁先端の線速度は32.3m/sになる。高剪断ミキサーで処理された有機粘結剤分散液を、インラインで、図5に示すブレード30を備えた低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に入れ、34rpmで600秒間混合して有機粘結剤の膨潤溶解液を得た(温度17℃)。この膨潤溶解液に、精製水18.14部、ポリエチレングリコール1.0部を入れ、34rpmで120秒間混合した後、香料1.0部を添加し、34rpmで300秒間混合した(温度18℃)。これに、水酸化アルミニウム45.0部を加え、34rpmで300秒間混合した後、真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度17℃)。常圧に戻した後、ラウリル硫酸ナトリウム1.2部及びN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.3部を添加し、再び真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度16℃)。
【0091】
〔実施例17〕
高剪断ミキサーの回転数を2,011rpmに変更する以外は実施例16と同様な方法で練歯磨を調製した。この場合の高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は、10.0m/sになる。
【0092】
〔実施例18〕
高剪断ミキサーの回転数を3,017rpmに変更する以外は実施例16と同様な方法で練歯磨を調製した。この場合の高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は、15.0m/sになる。
【0093】
〔実施例19〕
高剪断ミキサーの回転数を5,028rpmに変更する以外は実施例16と同様な方法で練歯磨を調製した。この場合の高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は、25.0m/sになる。
【0094】
〔実施例20〕
高剪断ミキサーの回転数を8,046rpmに変更する以外は実施例16と同様な方法で練歯磨を調製した。この場合の高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は、40.0m/sになる。
【0095】
〔実施例21〕
高剪断ミキサーの回転数を10,057rpmに変更する以外は実施例16と同様な方法で練歯磨を調製した。この場合の高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は、50.0m/sになる。
【0096】
〔実施例22〕
高剪断ミキサーの回転数を12,068rpmに変更する以外は実施例16と同様な方法で練歯磨を調製した。この場合の高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は、60.0m/sになる。
【0097】
実施例16〜22で調製した練歯磨について、実施例1と同様にして保型性及び練肌を評価した。製造条件と歯磨の品質評価結果を表4に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
高剪断ミキサーの円形外方リング壁先端の線速度は15.0〜50.0m/sが良く、特に25.0〜40.0m/sが良かった。線速度が15.0〜50.0m/sの場合に比べて、線速度10.0m/sでは、有機粘結剤の剪断が低いために未膨潤の有機粘結剤が見られ、練肌及び保型性が若干悪く、線速度60.0m/sでは、剪断が強いために有機粘結剤切断による粘度低下が生じて保型性がやや低かった。
【0100】
〔実施例23〕
表1−1に示す組成の歯磨組成物50kgを図1〜5に示した設備で製造し、練歯磨を得た。
粉体原料である有機粘結剤(アルギン酸ナトリウム0.4部、カラゲナン0.8部、カルボキシメチルセルロース1.2部)及びサッカリンナトリウム0.25部を図1〜4に示すような高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(クアドロワイトロンZC1型;パウレック(株)製)のホッパー(A)2に入れ(温度30℃)、70%ソルビット水溶液25.0部及び精製水34.55部を液体導入部(B)3に入れた(温度24℃)。ポンプ5(インバータ付きの渦巻きポンプ(C))の流速が1,140ml/sになるよう調整した。バルブ(D)7を開け、ポンプ(C)5の運転を開始し、液が液体原料成分の流入口6に流入したら、バルブ(E)8を開けホッパー(A)2の粉体原料を高剪断ミキサー(F)10に投入した。この時の高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定した。高剪断ミキサー10はステータ21、ロータ11を持つ混合分散装置で、ロータ11中心部に回転軸12に取り付けられた渦巻き状の羽根13を持ち、ロータ11は羽根13が一体となって回転する。ロータ11の羽根13が回転することで、ロータ11内部の液が外部に押し出され、ロータ11の櫛歯14a,14b及びステータ21の櫛歯24の隙間を通る際に、ホッパー(A)2の粉体原料が混合・分散される。ロータ11、ステータ21は、櫛歯14aで形成された円形内方リング壁15aの大きさが80mm、櫛歯14bで形成された円形内方リング壁15bの大きさが95mm、ロータ及びステータの櫛歯の隙間間隔が2.0mm、ロータ及びステータを重ねた時の高さが34mmになるものを使用した。この時、ホッパー(A)の粉体原料が液中投入後、円形内方リング壁15aに接触するまでの容積は、171mlになる。液体の流速を1,140ml/sに設定したので、ホッパー(A)の粉体原料の平均滞留時間は0.15秒になる。また、高剪断ミキサーの回転数を6,500rpmに設定したので、円形外方リング壁先端の線速度は32.3m/sになる。高剪断ミキサーで処理された有機粘結剤分散液を、インラインで、図5に示すブレード30を備えた低剪断型の真空混合機(有効容量60Lニーダ、シグマブレード;井上製作所製)に入れ、34rpmで600秒間混合して有機粘結剤の膨潤溶解液を得た(温度28℃)。この膨潤溶解液に、85%グリセリン水溶液25.0部を入れ、34rpmで120秒間混合した後、香料0.8部を添加し、34rpmで300秒間混合した(温度29℃)。これに、無水ケイ酸11.0部を加え、34rpmで300秒間混合した後、真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第1段階の減圧脱泡混合を行った(温度28℃)。常圧に戻した後、ラウリル硫酸ナトリウム1.0部を添加し、再び真空混合機内の圧力を3kPaにし、回転数34rpmで、600秒間混練し、第2段階の減圧脱泡混合を行い、練歯磨を調製した(出来上がり温度28℃)。
【0101】
〔実施例24〕
低剪断真空混合機のブレード回転数を5rpmに変更する以外は実施例23と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0102】
〔実施例25〕
低剪断真空混合機のブレード回転数を10rpmに変更する以外は実施例23と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0103】
〔実施例26〕
低剪断真空混合機のブレード回転数を15rpmに変更する以外は実施例23と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0104】
〔実施例27〕
低剪断真空混合機のブレード回転数を40rpmに変更する以外は実施例23と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0105】
〔実施例28〕
低剪断真空混合機のブレード回転数を50rpmに変更する以外は実施例23と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0106】
〔実施例29〕
低剪断真空混合機のブレード回転数を60rpmに変更する以外は実施例23と同様な方法で練歯磨を調製した。
【0107】
実施例23〜29について、実施例13と同様にして香味バラツキ及び下記に示す気泡混入を評価した。製造条件及び評価結果を表5に示す。
【0108】
気泡混入評価
口径8mmのチューブに充填した歯磨組成物を紙の上に10cm押出し、上部に紙を乗せた。この状態で、上部の紙の上を指で押しながら、歯磨組成物を伸ばした後、上部の紙を取り、紙の上に広がった歯磨組成物の外観を下記に示す3段階で、専門パネラー8名がそれぞれ評価し、歯磨組成の評価は上記8名の平均点で、下記に示す4段階で評価した。
専門パネラーの評価基準
3点:表面に気泡が全くない。
2点:表面に気泡が少しある。
1点:表面に多くの気泡がある。
歯磨組成物の評価基準
◎:専門パネラーの評価平均点が2.5点以上
○:専門パネラーの評価平均点が2.0点以上〜2.5点未満
△:専門パネラーの評価平均点が1.5点以上〜2.0点未満
×:専門パネラーの評価平均点が1.5点未満
【0109】
【表5】

【0110】
低剪断真空混合機のブレード回転数は10〜50rpmが良く、特に15〜40rpmが好ましかった。回転数が10〜50rpmの場合に比べて、回転数5rpmでは、低剪断真空混合機の6箇所から採取した歯磨剤に香味バラツキが若干見られ、回転数60rpmでは、気泡混入がやや見られた。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(クアドロワイトロンZC1型;パウレック(株)製)の概略図である。
【図2】同図のミキサー部の拡大図である。
【図3】ロータの概略平面図である。
【図4】ステータの概略底面図である。
【図5】低剪断型の真空混合装置のブレードを示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
【0112】
1 高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)
2 粉体供給用ホッパー
3 液体導入部
4 液体流路
5 ポンプ
6 液体流入口
7 開閉バルブ
8 開閉バルブ
10 ミキサー部
11 ロータ
12 回転軸
13 羽根
14a 櫛歯
14b 櫛歯
15a 内方リング壁
15b 外方リング壁
16 リング状空隙
21 ステータ
22 大径円形リング状基体
23 中間傾斜リング壁
24 櫛歯
25 小径円形リング壁
26 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨剤、有機粘結剤、湿潤剤、水、香料を含有する練歯磨の製造方法であって、櫛歯状リング壁を有するステータと渦巻き状の羽根及びその外側に櫛歯状リング壁を有するロータとを備えた高剪断型ミキサー部と、有機粘結剤粉体をこのミキサー部に供給するホッパーと、水又は湿潤剤水溶液を前記ミキサー部に供給する液体導入部とを具備する高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)の前記ホッパー内に有機粘結剤粉体を投入し、前記ホッパーから供給された有機粘結剤粉体が前記液体導入部から流入する前記水又は湿潤剤水溶液と接触して前記湿式混合分散装置の高剪断型ミキサー部から排出されるまでの平均滞留時間が0.05〜0.50秒間となるように水又は湿潤剤水溶液の流入速度を調整して、有機粘結剤と水又は湿潤剤水溶液とをミキサー部内に連続的に供給し、前記水又は湿潤剤水溶液に有機粘結剤が分散した有機粘結剤分散液を調製し、次いで、前記有機粘結剤分散液を低剪断型の真空混合装置(B)に供給して有機粘結剤の膨潤溶解液とした後、更に装置(B)を用いて減圧下で前記膨潤溶解液に研磨剤を含む残りの粉体原料成分と香料を含む残りの液体原料成分を混合することを特徴とする練歯磨の製造方法。
【請求項2】
高剪断型のインライン型湿式混合分散装置(A)が、粉体供給用ホッパーと液体導入部を有し、かつ前記ホッパー及び液体導入部からそれぞれ粉体及び液体が供給されて混合されるミキサー部に、複数枚の渦巻き状の羽根が取り付けられ、その外側に周方向に沿って多数の櫛歯で形成されたリング壁を有し、かつ、回転軸を有するロータと、周方向に沿って多数の櫛歯で形成されたリング壁を有するステータとを備え、前記ホッパー及び液体導入部から供給された粉体及び液体が前記ロータの回転軸と一体に回転する羽根によって攪拌混合されると共に、この混合物が前記ロータ及びステータの櫛歯の隙間を通過する際に剪断されて、前記装置(A)に設けられた排出口から排出するように構成されたものである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
ロータが、渦巻き状の羽根の外側に多数の櫛歯で形成された内方リング壁が設けられ、かつこの内方リング壁の外側に該内方リング壁との間にリング状空隙部を形成するように多数の櫛歯で形成された外方リング壁が設けられたものであり、前記ステータがそのリング壁を前記リング状空隙部に挿入するように配設された請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記ロータ及びステータの櫛歯間の隙間の間隔がそれぞれ0.5〜5mmである請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
装置(A)の液体導入部が、液体を供給する設備としてポンプを備え、このポンプの流量を調整することにより液体の流入速度を調整するようにした請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
装置(B)が、シグマ型ブレードの回分式ニーダである請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−88145(P2008−88145A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274188(P2006−274188)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】