説明

練歯磨組成物

【解決手段】 (A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、
(B)ラウリル硫酸ナトリウム、
(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(E)シトラール及びシトラールのアセタール誘導体から選ばれる1種又は2種以上
を含有し、(A)/(B)が質量比で0.005〜1であることを特徴とする練歯磨組成物。
【効果】 本発明は、使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性に優れ、使用後に歯面のつるつる感が得られ、かつ、経時での香味劣化や変色のない嗜好性の高い香味を有する練歯磨組成物を提供できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性に優れ、使用後に歯面のつるつる感が得られ、かつ、経時での香味劣化や変色のない、嗜好性の高い香味を有する練歯磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、当該技術分野では、カチオン性ポリマーはフッ素化合物や抗プラスミン剤等の薬効成分と組み合わせて、それら薬効成分の口腔内滞留性や粘膜吸収性を向上させる検討がなされてきた(特許文献1:特開2004−83543号公報、特許文献2:特開2002−205929号公報、特許文献3:特開2001−342123号公報、特許文献4:特開2001−226244号公報参照)。
【0003】
更に、カチオン性ポリマーを用いた、離液防止等の保存安定性向上又は使用中の泡立ちに優れた練歯磨組成物の検討がなされてきた(特許文献5:特開2002−187829号公報、特許文献6:特開平6−183939号公報参照)。
【0004】
しかしながら、近年、予防歯科の観点から提唱されているブラッシングによるプラークコントロールを確実に実施するためには、使用中の泡立ちの良さだけではなく、泡の持続性が強く要望されている。
【0005】
更に、プラークコントロールの継続的な実施のためには、ブラッシングを行うことへの意欲を保つことが重要であり、このため、使用後に歯面がつるつるした実感が得られるといった歯面のつるつる感を付与することが、ブラッシング時の意欲向上には必要であると考えられている。
【0006】
また、シトラールは、レモン油やレモングラス油等の天然精油にも含有され、香味の補強や嗜好性を高める香料素材として広く用いられている。しかしながら、シトラールは、酸化により、劣化臭が生じたり、賦香された製品を変色させるという問題があるため、劣化抑制の検討がなされてきた(特許文献7:特開2005−171116号公報、特許文献8:特開2002−180081号公報参照)。しかしながら、これらの検討は、植物抽出物等を用いて抑制する検討が多く、練歯磨剤中で発生するシトラールの劣化臭と異なるため、練歯磨における劣化抑制効果は不十分である。
【0007】
また、香料開発上、アセタール化により安定化されたシトラールのアセタール誘導体が使用される場合があるが、香味補強や嗜好性を高める効果は低く、消費者満足の点からも、より高い嗜好性を得るために必要なシトラールの使用量は制限されていた。
【0008】
以上のように、練歯磨組成物における口腔内でのカチオン性ポリマーの有用性は明らかであるにもかかわらず、泡の持続性や使用後の歯面のつるつる感を向上させる手段は見出されていない。
【0009】
更に、シトラール又はシトラールのアセタール誘導体を用いた場合、練歯磨組成物における経時での香味劣化や変色のない嗜好性の高い香味を実現する手段は見出されていない。
【0010】
【特許文献1】特開2004−83543号公報
【特許文献2】特開2002−205929号公報
【特許文献3】特開2001−342123号公報
【特許文献4】特開2001−226244号公報
【特許文献5】特開2002−187829号公報
【特許文献6】特開平6−183939号公報
【特許文献7】特開2005−171116号公報
【特許文献8】特開2002−180081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性に優れ、使用後に歯面のつるつる感が得られ、かつ、経時での香味劣化や変色のない、嗜好性の高い香味を有する練歯磨組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、
(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、
(B)ラウリル硫酸ナトリウム、
(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(E)シトラール及びシトラールのアセタール誘導体から選ばれる1種又は2種以上
を含有し、(A)/(B)を質量比で0.005〜1とすることにより、泡立ち、泡の持続性、歯面のつるつる感に優れ、経時での香味劣化や変色のない嗜好性の高い香味を有することを知見し、本発明をなすに至った。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性に優れ、使用後に歯面のつるつる感が得られ、かつ、経時での香味劣化や変色のない嗜好性の高い香味を有する練歯磨組成物を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について更に詳細に説明すると、本発明の練歯磨組成物は、
(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、
(B)ラウリル硫酸ナトリウム、
(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(E)シトラール及びシトラールのアセタール誘導体から選ばれる1種又は2種以上
を含有し、(A)/(B)を質量比で0.005〜1とするものである。
【0015】
ここで用いられるヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩とは、ヒドロキシエチルセルロースにジメチルジアリルアンモニウム塩をグラフト重合して得られるカチオン性ポリマーである。対イオンは、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンや、メトサルフェートイオン等である。本発明で用いるヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩は、その2質量%水溶液粘度(BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分)は30〜3,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは35〜350mPa・sである。その窒素含有量は0.1〜3質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5質量%である。本発明のヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩の重量平均分子量は特に限定されないが、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量で、好ましくは250,000〜1,500,000である。このようなヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩としては、日本エヌエスシー株式会社から市販されているセルコートL−200(2質量%粘度:35〜350mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量:250,000〜350,000)、セルコートH−100(2質量%粘度:500〜2,750mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量:1,300,000〜1,500,000)等が挙げられる。これらは、対イオンが塩化物イオンである。この中でも、歯垢除去力、及び口中からの液だれの点から、セルコートL−200(2質量%粘度:35〜350mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量:250,000〜350,000)が好ましい。
【0016】
上記ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩の配合量は、泡の持続性、歯面のつるつる感及び泡立ちの良さの点から、通常練歯磨組成物全体の0.001〜2質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。0.001質量%未満では充分な歯面のつるつる感及び泡の持続性が得られない場合があり、2質量%を超えると泡立ちの良さが劣る。配合量が0.001〜2質量%において、泡の持続性、歯面のつるつる感及び泡立ちの良さに優れた効果を発揮する。
【0017】
次に、本発明におけるラウリル硫酸ナトリウムの配合量は、泡立ちの良さ及び歯面のつるつる感の点から、通常練歯磨組成物全体の0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%である。0.1質量%未満では充分な泡立ちの良さが得られない場合があり、5質量%を超えると歯面のつるつる感が得られない場合がある。
【0018】
次に、本発明におけるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、泡立ちの良さ、歯面のつるつる感及び泡の持続性の点から、エチレンオキサイド平均付加モル数が3〜8であるものを用いることができ、好ましくは3〜5モルである。エチレンオキサイドの付加モル数が3未満のものは泡立ちの良さが劣り、8を超えるものは歯面のつるつる感が得られない場合がある。
【0019】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素鎖としては、泡の持続性及び歯面のつるつる感の点から、炭素数が12〜18のものを用いることができ、好ましくは16〜18のものである。炭素数が12未満のものは泡の持続性が劣る場合があり、炭素数が18を超えるものは歯面のつるつる感が得られないおそれがある。
【0020】
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば日本エマルジョン株式会社の製品中、アルキル部分がセチルエーテルのものとして、エマレックス103,エマレックス105,エマレックス107、アルキル部分がステアリルエーテルのものとして、エマレックス603,エマレックス605,エマレックス606,エマレックス608等が挙げられる。
【0021】
この中でも、泡立ちの良さ、歯面のつるつる感及び泡の持続性の点から、エチレンオキサイド平均付加モル数が5であり、アルキル鎖の炭素鎖長が16〜18であるものが特に好ましい。
【0022】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、泡立ちの良さ及び歯面のつるつる感の点から、歯磨剤組成物全体の0.2〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.8〜2質量%である。配合量が0.2質量%未満では充分な泡立ちの良さが得られず、5質量%を超えると歯面のつるつる感が劣る。
【0023】
また、本発明におけるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、泡立ちの良さ及び歯面のつるつる感の点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30のものであり、20のものが好ましい。エチレンオキサイドの平均付加モル数が10未満のものは充分な泡立ちが得られず、30を超えるものは歯面のつるつる感が得られない場合がある。このようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として、たとえば日光ケミカルズ株式会社のHCO−10,HCO−20,HCO−30、日本エマルジョン株式会社のHC−10,HC−20,HC−30、青木油脂工業株式会社のBLAUNON RCW−20(ポリオキシエチレン20モル)等が挙げられる。
【0024】
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量は、泡立ちの良さ及び歯面のつるつる感の点から、歯磨剤組成物全体の0.2〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.8〜2質量%である。配合量が0.2質量%未満では充分な泡立ちの良さが得られず、5質量%を超えると歯面のつるつる感が劣る。
【0025】
本発明における、シトラールは、化学合成品でも天然単離品のいずれでも構わない。通常、シトラールには、2つの幾何異性体であるゲラニアール(trans体)、ネラール(cis体)及びイソシトラールが含まれる。本発明のシトラールは、trans体とcis体の比率やイソシトラールの含有量は限定されない。また、シトラールのアセタール誘導体としては、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールエチレングリコールアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、シトラールジイソトリデシルアセタール等が挙げられる。
【0026】
上記シトラール及びシトラールのアセタール誘導体の配合量は、香味発現性及び嗜好性の点から、歯磨剤組成物全体の0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%である。配合量が0.01質量%未満では香味発現性に劣る場合があり、5質量%を超えると香味嗜好性が得られない場合がある。
【0027】
更に、本発明では、上記ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩(A)とラウリル硫酸ナトリウム(B)の配合比(A)/(B)を質量比で0.005:1〜1:1、特に0.02:1〜0.2:1の範囲とすることが望ましい。ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩とラウリル硫酸ナトリウムの配合比が0.005:1より小さいと、歯面へのつるつる感が得られなかったり、香味安定性が劣る場合があり、1:1より大きいと、泡立ちの良さが得られなかったり、香味発現性が劣る場合がある。
【0028】
本発明の練歯磨組成物は、上記必須成分に加えて任意成分としてその他の添加剤を配合できる。
【0029】
即ち、研磨剤、粘結剤、上記以外の界面活性剤、湿潤剤、上記以外の香料、甘味剤、防腐剤、各種有効成分、着色剤等を配合でき、これら成分と水とを混合して製造することができる。
【0030】
研磨剤としては、シリカゲル、沈降シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
【0031】
これらの研磨剤の配合量は、練歯磨組成物全体の2〜50質量%、特に10〜40質量%とすることが好ましい。
【0032】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアガム、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラヤガム、ビーガム、キサンタンガム等が挙げられる。
【0033】
これらの配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができるが、練歯磨組成物全体の0.1〜2質量%、特に0.3〜1質量%が好適である。
【0034】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びカチオン界面活性剤、両性界面活性剤を配合することができる。アニオン性界面活性剤としては、ミリスチル硫酸ナトリウム等のラウリル硫酸ナトリウム以外のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウム等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のエーテル型の活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0035】
これらの界面活性剤は、これを配合する場合、練歯磨組成物全体の0.1〜1質量%、特に0.1〜0.5質量%の配合量とすることが好ましい。
【0036】
湿潤剤としては、ソルビット、グリセリン、プロピレングリコ−ル、キシリット、マルチット、ラクチット等が挙げられるが、特にソルビット、キシリットが好ましい。
これらの配合量は、組成物全体の5〜50質量%、特に20〜45質量%とすることが好ましい。
【0037】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等が挙げられ、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
香料としては、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚子油、オリスコンクリート、ペパーミントアブソリュート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート等の天然香料及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、リモネン、ピネン、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、メントール、リナロール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、アネトール、チモール、オイゲノール、カルボン、メントン、プレゴン、シネオール、ヘキサナール、オクタナール、アニスアルデヒド、シンナミックアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、カルビールアセテート、サリチル酸メチル、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、エチルラクテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、バニリン、ウンデカラクトン、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。これらの香料は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【0039】
各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第一錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェノール、α−ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、クロロヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物が挙げられる。
【0040】
なお、上記有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【0041】
着色剤としては、青色1号、黄色4号、緑色3号、二酸化チタン等を通常量で配合することができる。
【0042】
本発明の口腔用組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、口腔用組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記例で特に断らない限り、%は質量%を示す。
【0044】
[実施例]
下記表1〜4に示す組成の歯磨組成物を下記製造法により調製した。
(製造法)
精製水中に水溶性成分(フッ化ナトリウム、サッカリンナトリウム、キシリット、リン酸水素二ナトリウム、ソルビット液(70%)、ポリエチレングリコール#4000、DL−アラニン)を常温で混合溶解させたA相を調製する。
プロピレングリコール中にヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウムを常温で分散させたB相を調製する。
撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、更に無水ケイ酸、70℃で加温融解した非イオン界面活性剤、15質量%ゼラチン水溶液を添加混合し、C相を調製する。
【0045】
常温に戻したC相中に、香料、研磨剤、その他の成分(デキストラナーゼ、酸化チタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、酸化アルミニウム)を、1.5Lニーダー(石山工作所社製)を用い常温で混合し、減圧(減圧度:4kPa)による脱泡を行い、練歯磨組成物1.2kgを得た。
下記表1〜4に示した練歯磨組成物について、10名の被験者により、1gの練歯磨組成物を歯刷子(ライオン株式会社、デンターシステマライオンハブラシレギュラー)にとり、3分間のブラッシングの後、使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性、使用後の歯面のつるつる感、香味発現性、香味嗜好性について、以下の基準で、相対評価又は絶対評価での官能試験を行い、平均値を求めた。
【0046】
使用中の泡立ちの良さ
(評点)
3点:比較例9に比べ、使用直後からの発泡量が多い
2点:比較例9に比べ、使用直後からの発泡量がやや多い
1.5点:比較例9に比べ、使用直後からの発泡量が同等
1点:比較例9に比べ、使用直後からの発泡量がやや少ない
0点:比較例9に比べ、使用直後からの発泡量が少ない
(使用中の泡立ちの良さ評価基準)
◎:使用中の発泡性平均点が2.0点〜3.0点
○:使用中の発泡性平均点が1.5点超〜2.0点未満
△:使用中の発泡性平均点が1.0点〜1.5点
×:使用中の発泡性平均点が0点〜1.0点未満
【0047】
泡の持続性
(評点)
3点:比較例2に比べ、3分間ブラッシング後の発泡量が多い
2点:比較例2に比べ、3分間ブラッシング後の発泡量がやや多い
1.5点:比較例2に比べ、3分間ブラッシング後の発泡量が同等
1点:比較例2に比べ、3分間ブラッシング後の発泡量がやや少ない
0点:比較例2に比べ、3分間ブラッシング後の発泡量が少ない
(泡の持続性評価基準)
◎:泡の持続性平均点が2.0点〜3.0点
○:泡の持続性平均点が1.5点超〜2.0点未満
△:泡の持続性平均点が1.0点〜1.5点
×:泡の持続性平均点が0点〜1.0点未満
【0048】
使用後の歯面のつるつる感
(評点)
3点:比較例7に比べ、ブラッシング後の歯面がつるつるする程度が高い
2点:比較例7に比べ、ブラッシング後の歯面がややつるつるする
1.5点:比較例7に比べ、ブラッシング後の歯面がつるつるする程度が同等
1点:比較例7に比べ、ブラッシング後の歯面がつるつるする程度がやや低い
0点:比較例7に比べ、ブラッシング後の歯面がつるつるする程度が低い
(使用後の歯面のつるつる感評価基準)
◎:使用後の歯面のつるつる感平均点が2.0点〜3.0点
○:使用後の歯面のつるつる感平均点が1.5点超〜2.0点未満
△:使用後の歯面のつるつる感平均点が1.0点〜1.5点
×:使用後の歯面のつるつる感平均点が0点〜1.0点未満
【0049】
香味発現性
(評点)
3点:比較例5に比べ、口の中に香りや味が広がる程度が高い
2点:比較例5に比べ、口の中に香りや味が広がる
1.5点:比較例5に比べ、口の中に香りや味が広がる程度が同等
1点:比較例5に比べ、口の中に香りや味が広がる程度がやや低い
0点:比較例5に比べ、口の中に香りや味が広がる程度が低い
(香味発現性の評価基準)
◎:香味発現性平均点が2.0点〜3.0点
○:香味発現性平均点が1.5点超〜2.0点未満
△:香味発現性平均点が1.0点〜1.5点
×:香味発現性平均点が0点〜1.0点未満
【0050】
香味嗜好性
(評点)
5点:非常によい
4点:よい
3点:どちらともいえない
2点:よくない
1点:非常によくない
(香味嗜好性の評価基準)
◎:香味嗜好性平均点が4.0点〜5.0点
○:香味嗜好性平均点が3.0点超〜4.0点未満
△:香味嗜好性平均点が2.0点〜3.0点
×:香味嗜好性平均点が1.0点〜2.0点未満
【0051】
また、表1〜4に示した練歯磨組成物の50℃,1ヶ月保存品について、香味安定性及び変色のなさについて、−5℃,1ヶ月保存品を対照として、専門家10名により下記官能評価を行った。
香味安定性及び変色のなさ
◎:−5℃保存品と同等
○:−5℃保存品とほとんど差が認められない
△:−5℃保存品とやや差が認められる
×:−5℃保存品と著しく差が認められる
以下に結果を示す。なお、表1〜4中の配合量を表す数値はいずれも質量%である。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルアリルアンモニウム塩は日本エヌエスシー株式会社製のセルコートL−200を使用(2質量%水溶液粘度:132mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分)
(B)ラウリル硫酸ナトリウムは東邦化学工業株式会社製のラウリル硫酸ナトリウムを使用
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス605を使用
(C)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス705を使用
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数3)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス603を使用
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数8)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス608を使用
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数20)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックスHC−20を使用
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数10)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックスHC−10を使用
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数30)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックスHC−30を使用
(E)シトラールは高砂香料工業株式会社製シトラールSPを使用
(E)シトラールジメチルアセタールはIFF社製シトラールジメチルアセタールを使用
(E)シトラールジエチルアセタールはクエスト・インターナショナル社製シトラサール(Citrathal)を使用
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルアリルアンモニウム塩は日本エヌエスシー株式会社製のセルコートL−200を使用(2質量%水溶液粘度:132mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分)
(B)ラウリル硫酸ナトリウムは東邦化学工業株式会社製のラウリル硫酸ナトリウムを使用
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス605を使用
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数2)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス602を使用
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数11)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス611を使用
(C)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックス505Hを使用
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数20)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックスHC−20を使用
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数5)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックスHC−5を使用
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数40)は日本エマルジョン株式会社製のエマレックスHC−40を使用
(E)シトラールは高砂香料工業株式会社製シトラールSPを使用
(E)シトラールジメチルアセタールはIFF社製シトラールジメチルアセタールを使用
(E)シトラールジエチルアセタールはクエスト・インターナショナル社製シトラサール(Citrathal)を使用
【0058】
表1〜4から実施例1〜17においてヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、シトラール及びシトラールのアセタール誘導体を特定量配合した練歯磨組成物は、使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性、使用後の歯面のつるつる感、香味発現性、香味嗜好性、香味安定性、変色のなさにおいて、いずれも良好であった。一方、比較例1〜12においては使用中の泡立ちの良さ、泡の持続性、使用後の歯面のつるつる感、香味発現性、香味嗜好性、香味安定性、変色のなさにおいて、いずれかの点で充分な効果が発揮されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、
(B)ラウリル硫酸ナトリウム、
(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(E)シトラール及びシトラールのアセタール誘導体から選ばれる1種又は2種以上
を含有し、(A)/(B)が質量比で0.005〜1であることを特徴とする練歯磨組成物。

【公開番号】特開2007−55976(P2007−55976A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245951(P2005−245951)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】