説明

縦型多列自動充填包装機におけるカッター装置

【課題】
カッター刃の切れ味を長持ちさせることができる縦型多列自動充填包装機を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、原料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置7を備えた自動包装機1であって、当該カッター装置7は、下刃811,821が取付けられた下側カッターユニット71,72と、下刃811,821との間で包装フィルム112の横シール部分を挟み込んで切断する上刃831,851が取付けられた上側カッターユニット73,74とを有するものである。そして、当該上側カッターユニット73,74は、上刃831,851が下刃811,821に対して傾斜するように回動可能に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のスティック状包装袋を一度に形成する縦型多列自動充填包装機に関し、特に、縦型多列自動充填包装機のカッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、縦型多列自動充填包装機によって、スティックタイプの包装袋が製造されてきた。縦型多列自動充填包装機は、原反フィルムを各包装袋で必要なサイズ毎にスリッターで切り分け、この切り分けられた包装フィルムを袋状に成形する。この成形された両端重ね合わせ部分に縦シールが施され、縦シールにより筒状になった包装フィルムの規定の位置を挟み込んで横シールが施される。
縦型多列自動充填包装機は、このスティックタイプの包装袋に原料を充填する場合には、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを用いて原料を投入する。その後、縦型多列自動充填包装機は、原料注入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対しカッター装置を用いて切り離し、個別包装袋としている。このような縦型多列自動充填包装機の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
従来の縦型多列自動充填包装機におけるカッター装置は、自動包装機本体に固定された上刃と、エアーシリンダによって駆動する下刃とによって挟み込むようにして裁断している。これら上刃、下刃として平刃が用いられ、上刃は下刃に略平行な状態で上方から押圧されている。そのため、上刃と下刃との両刃先は自動包装機を駆動するにつれて磨耗して丸みを帯び、これらの噛み合わせが悪化する。これによって、カッターの切れ味を持続させることが困難となる。
【0004】
さらに、縦型多列自動充填包装機において、長尺幅の原反フィルムを用いて多数列の包装袋を一度に製造する場合には、原反フィルムの幅の長さが長くなる程、カッター刃の長さも長くなる。そのため、多数列の包装袋に対して、一様な切れ味となるようにカッター刃を調整するのに手間がかかり、効率よく調整することができない。
【0005】
また、カッター装置の上刃、下刃の幅も原反フィルムの幅に比例して長くなるためカッター刃そのもののコストが高くなる。特に、自動包装機におけるカッター装置のカッター刃は、特殊金属等を用いて形成されているため、カッター刃が長くなることによるコストの上昇は著しい。それ故、高価なカッターを用いることなく、切れ味が長持ちするカッター装置を実現することが困難であった。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の縦型多列自動充填包装機では、上刃と下刃とが略平行に配設されているので刃先が磨耗し、上刃と下刃との噛み合わせが悪化するため、カッター刃の切れ味を長持ちさせることができないという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、カッター刃の切れ味を長持ちさせることができる縦型多列自動充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる縦型多列自動充填包装機は、幅の広いシートフィルムを複数枚の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、当該複数の各包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シール装置及び横シール装置と、当該シール成形された各包装フィルムに原料を充填する充填装置と、当該原料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置とを備えた縦型多列自動充填包装機であって、前記カッター装置は、第1のカッター刃(例えば、発明を実施するための最良の形態において、上刃831,851)が取付けられた第1のカッターユニット(例えば、発明を実施するための最良の形態において、上側カッターユニット73,74)と、前記第1のカッター刃との間で前記横シール部分を挟み込んで切断する第2のカッター刃(例えば、発明を実施するための最良の形態において、下刃811,821)が取付けられた第2のカッターユニット(例えば、発明を実施するための最良の形態において、下側カッターユニット71,72)とを有し、前記第1のカッターユニットは、前記第1のカッター刃が前記第2のカッター刃に対して傾斜するように回動可能に取付けられたものである。
このような構成において、第1のカッター刃は、常に第2のカッター刃の方に傾斜しているので、第1のカッター刃の刃先と第2のカッター刃の刃先との接触状態を持続することができる。それ故、カッター刃の切れ味を長持ちさせることができる。
【0008】
さらに、前記カッター装置は、前記第1のカッターユニットを、当該縦型多列自動充填包装機の本体フレームに固定するカッター台と、前記第1のカッターユニットを、前記第1のカッター刃が前記第2のカッター刃に対して傾斜するように回動可能に前記カッター台に取付ける蝶番とを有する。これにより、第1のカッターユニットの位置調整が容易となる。
【0009】
好適には、前記第1のカッターユニットは、前記第1のカッター刃を前記第2のカッター刃に向かって付勢する押圧機構を有し、前記第2のカッターユニットは、前記第2のカッター刃に連結され、前記第1のカッター刃の方向に前記第2のカッター刃を案内して前記第1のカッター刃の刃先に前記第2のカッター刃を押しつけるためのガイドを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カッター刃の切れ味を長持ちさせることができる縦型多列自動充填包装機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、スティック状の包装袋に内容物を自動で充填して包装するものである。本発明の実施形態においては、幅広の原反フィルムを用いて包装袋を製造する縦型多列自動充填包装機を用いて説明するが、幅広の原反フィルムに限らず、種々のサイズの原反フィルムを用いることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
【0012】
まず、図1及び図2を用いて、本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成について説明する。本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、1度に複数本のスティック状の包装袋を連続的にシール成形する。
図1の正面図に、本発明に係る縦型多列自動充填包装機の一構成例が示されている。図1では、本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、符号1により全体的に示され、この図1は正面側(前方)から背面側(後方)に向かって観察した図である。また、以下では、この前方から後方を見た左右を左方、右方と呼ぶ。なお、縦型多列自動充填包装機1を自動包装機1と略す。
図1に示すように、自動包装機1は、フォーミング装置2、縦シール装置3、横シール装置4、ホッパー5、シュータ6、カッター装置7、操作パネルボックス8を備えている。
【0013】
フォーミング装置2は、包装フィルムを略円筒状にフォーミングする装置であり、フォーマーパイプ21、フォーマーリング22、ホルダー23を有する。フォーマーパイプ21は、多列に並設されている。フォーマーリング22は、フォーマーパイプ21ごとに設けられている。このフォーマーリング22には、フォーマーパイプ21が貫装されている。ホルダー23は、フォーマーリング22を載置する台であり、フォーマーパイプ21が差し込まれている。
【0014】
縦シール装置3は、ホルダー23の下方に設けられ、フォーマーパイプ21上で、略円筒状に成形された包装フィルムに縦シールを施す装置である。横シール装置4は、縦シール装置3の下方に設けられ、縦シールされた包装フィルムに横シールを施す装置である。
ホッパー5は、横シールによって形成された包装袋に供給する原料を蓄える装置である。
シュータ6は、ホッパー5から供給された原料を包装袋に投入する装置である。
【0015】
カッター装置7は、2つの横シール間に原料が充填された包装袋を横シールの位置で切断し、スティック状の包装袋に分包する装置である。本発明に係る自動包装機1におけるカッター装置7は、上刃が下方の下刃の方に傾倒可能な機構を有し、その詳細については後述する。
操作パネルボックス8は、自動包装機1の各駆動装置等を操作するための装置が内蔵され、自動包装機1の各種駆動装置等を支持する本体フレーム11に取付けられている。また、本体フレーム11には、自動包装機1の動作状態を示すための報知手段である表示/警報ランプ等が設けられている。
【0016】
続いて、図2を用いて、本発明に係る自動包装機1の動作について概略的に説明する。
図2の側面図に、本発明に係る自動包装機1の一構成例が示され、この図2は、図1において右方から左方に向かって観察した図である。図2に示すように、自動包装機1は、上記の各装置に加え、フィルム送り装置9、スリッター装置10を備えている。
原反ロール110から引き出された原反フィルム111は、各種ローラ、駆動機構を有するフィルム送り装置9によってスリッター装置10へと送られる。スリッター装置10は、フィルム送り装置9によって送られた原反フィルム111を多列に切り裂く。この多列に分けられた包装フィルム112は、フォーマーパイプ21に巻きつけられ、フォーマーパイプ21とフォーマーリング22との間に挿入される。フォーマーリング22は包装フィルム112の両端を合掌状に重ね合わせる。これにより、包装フィルム112は、略筒状に成形される。包装フィルム112は、この状態で縦シール装置3へと導入され、重ね合わせられた部分を縦シールされる。
【0017】
この縦シールによって略筒状となった包装フィルム112は、横シール装置4に導入され、短手方向に横シールされる。この横シールは包装袋の底部分となり、フォーマーパイプ21内に挿入されたシュータ6から原料が投入される。原料が所定量だけ充填されると、横シール装置4が間歇運動によって包装フィルム112を下方に引く。この間歇運動によって原反フィルム111が原反ロール110から引き出される。横シール装置4は、復動した後、包装フィルム112が停止した状態で再度横シールを行う。これによって、包装袋が完成し、カッター装置7に導入される。カッター装置7は、横シール部分を切断することによって、一連に繋がった包装袋を個別に分封する。
【0018】
次に、本発明に係る自動包装機1のカッター装置7について詳細に説明する。
まず、図3を用いて、本発明に係る自動包装機1のカッター装置7の具体的な構成について詳細に説明する。
図3(a)に、上方から観察したカッター装置7が示されている。カッター装置7は、上側カッター台701、下側カッター台702、下側カッターユニット71,72、上側カッターユニット73,74、シリンダ機構75,76を備えている。
【0019】
上側カッター台701は、上側カッターユニット73,74を取付けるための部材であり、長寸の取付台である。この上側カッター台701は、自動包装機1の本体フレーム11に固定されている。上側カッター台701は、その長手方向が略水平となるように本体フレーム11に固定されている。詳細には、上側カッター台701は、左右方向に延在するように固定されている。また、上側カッター台701は、上側カッターユニット73,74の下方に配設されている。
下側カッター台702は、上側カッター台701と同様に、下側カッターユニット71,72を取付けるための部材であり、長寸の取付台である。
【0020】
下側カッターユニット71は、下側本体部810、下刃811を有する。
下側本体部810は、長寸の取付部材であり、下側カッター台702に固定されている。従って、下側本体部810は、その長手方向が左右となるように配設されている。下刃811は、下側カッターユニット71のカッター刃であり、平刃とすることができる。下刃811は、その刃先が下側本体部810の長手方向に沿うように固定され、左右に配設されている。この下刃811は、自動包装機1の取付面(地面)に対して略水平である。下刃811は、後方に突出している。下刃811は、この突出程度が長手方向に沿って滑らかに減少した形状を有する。すなわち、下刃811の刃先は、下側本体部810の長手方向に対して傾斜している。
【0021】
下刃811の傾斜した部分において最も奥側の部分(最も突出した部分)には、ガイド812が突設されている。詳細には、ガイド812は、前方から後方に突出している。このガイド812は、上面が滑らかに研磨された形状を有する。具体的には、ガイド812は、下刃811との連結部分において下刃811の刃先の厚みと略同じ厚さを有し、突出方向に向かうに従って滑らかに薄くなるような形状を有する。換言すれば、ガイド812は、突出端から下刃811との連結端に向かって、滑らかに膨らんで下刃811に連結されたような起伏のある形状を有する。
下側カッターユニット72は、下側カッターユニット71と同様であり、下側本体部810、下刃811と同様の下側本体部820、下刃821を有する。これら下側カッターユニット71,72は左右に並設されている。また、下刃821には、ガイド812と同様のガイド822が突設されている。
【0022】
図3(b)に、前方から観察したカッター装置7が示されている。この図3(b)には、上側カッターユニット73,74が示されている。ここで、図3(b)においては、下側カッターユニット71,72、シリンダ機構75,76が省略されている。
図3(b)に示すように、上側カッターユニット73は、上側本体部830、上刃831、蝶番832,833,834、ストッパー835,836、押圧機構837,838,839,840を有する。
【0023】
上側本体部830は、長寸の取付部材であり、その長手方向が左右となるように配設されている。上刃831は、上側カッターユニット73のカッター刃であり、平刃とすることができる。上刃831は、その刃先が上側本体部830の長手方向に沿って左右に固定されている。この上刃831の刃先は、前方に突出している。
【0024】
蝶番832〜834は、上刃831を下方、すなわち下刃811側に傾倒するための機構である。蝶番832〜834は、上側カッター台701と上側本体部830とを回動可能に連結している。詳細には、蝶番832〜834は、その開閉軸が略水平となるように上側カッター台701、上側本体部830に固定されている。すなわち、蝶番832〜834の開閉軸は左右方向を向いている。従って、蝶番832〜834は、上側本体部830を上下に回動自在に上側カッター台701に固定している。
【0025】
ストッパー835,836は、ネジを用いて構成することができる。これらストッパー835,836は、上下に螺動可能に上側本体部830に取付けられている。詳細には、ストッパー835,836は、上方から下方に向けて上側本体部830を螺通し、その下端において上側カッター台701表面に当接している。すなわち、ストッパー835,836は、上側カッター台701上に載置されている。また、ストッパー835,836それぞれは、上側本体部830の外側と内側にそれぞれ配設されている。
押圧機構837〜840は、上側本体部830を上方から押圧する機構であり、その詳細は後述する。
【0026】
上側カッターユニット74は、上記の各部材830〜840と同様の上側本体部850、上刃851、蝶番852,853,854、ストッパー855,856、押圧機構857,858,859,860を有する。
これら上側カッターユニット73,74は左右に並設されている。これら上側カッターユニット73,74のそれぞれは、下側カッターユニット71,72に対峙した状態で設けられている。より詳細には、上側カッターユニット73.74は、それらの上刃831,851が下刃811,821の上面とが略同一の高さとなるように配設されている。このように、カッター装置7は、二組のカッターユニット71,73とカッターユニット72,74とが並設された構造を有する。
【0027】
シリンダ機構75,76は、下側カッターユニット71,72を前後に駆動させるための機構である。シリンダ機構75,76それぞれは、上下のカッター台701,702の両端に固定されている。具体的には、シリンダ機構75,76は、下側カッター台702を略水平に保持している。これによって、シリンダ機構75,76は、下側カッターユニット71,72を上側カッターユニット73,74に対して略平行となるように保持している。
【0028】
図3(c)に、カッター装置7の断面が示されている。この図3(c)の断面図は、図3(a)におけるA−A’断面を示している。また、図3(c)には、包装フィルム112が模式的に示されている。
図3(c)に示すように、押圧機構837は、取付部材870、調整ネジ871、固定ネジ872、バネ部材873、挟持ネジ874を有する。
取付部材870は、押圧機構837を上側カッター台701に取付けるための部材である。この取付部材870は、略L字状に折れ曲がった形状を有し、上側本体部830の上方で前方に突出している。
【0029】
調整ネジ871は、取付部材870の突出部分875に、上下に螺動可能に取付けられている。詳細には、調整ネジ871は、そのネジ頭が突出部分875の上方に配置された状態で取付けられている。また、調整ネジ871の胴体は、突出部分875のネジ孔を上方から下方に向けて螺通している。
固定ネジ872は、調整ネジ871を取付部材870に可動に固定するためのネジである。
【0030】
バネ部材873は、一般の巻きバネであり、調整ネジ871の胴体に貫装されている。詳細には、バネ部材873は、取付部材870の突出部分875と上側本体部830との間に配置されている。すなわち、バネ部材873は、取付部材870の突出部分875に対して、調整ネジ871のネジ頭と反対方向に配置されている。
挟持ネジ874は、バネ部材873を上方から上側本体部830に押し付けるためのネジである。詳細には、挟持ネジ874は、バネ部材873の上方において、調整ネジ871のネジ切りされた胴体に螺着されている。すなわち、挟持ネジ874は、突出部分875の下面とバネ部材873の上端との間に、バネ部材873に圧接した状態で螺動可能に固定されている。
【0031】
このように構成されたカッター装置7において、図3(c)に示すように、上側カッターユニット73,74は、上側カッター台701に対して傾いた状態で取付けられている。詳細には、上側本体部830,850は、蝶番832〜834,852〜854を介して、上側カッター台701に回動可能に取付けられている。これによって、上側本体部830,850の先端が下方に傾倒し、この先端に固着された上刃831,851の先端(刃先)が下方すなわち下刃811,821の方に傾いた状態で固定されている。換言すると、上刃831と下刃811とは、平行ではなく、各々の刃先側が相互に近づく方向に傾斜した状態にある。
【0032】
ストッパー835,836,855,856は、上側カッター台701と上側本体部830,850との間を所定の間隔で維持し、上側本体部830,850が当該間隔以上開いて下方に傾かないように支持している。押圧機構837〜840,857〜860は、上側カッターユニット73,74の上側本体部830,850を上方から押圧している。このとき、下刃811,821のガイド812,822の突出端における上面は、上刃831,851の刃先下面と略同一の高さとなっている。また、ガイド812,822の突出端における上面を上刃831,851下面よりも低くなるように設定してもよい。この場合には、ガイド812,822は、下刃811,821との連結端における上面が上刃831,851の刃先下面よりも高くなるように設定される。
【0033】
続いて、本発明にかかる自動包装機1のカッター装置7の裁断動作について詳細に説明する。ここで、図3を適宜参照しながら説明する。
カッター装置7は、裁断動作を行う前に、次のように調整される。具体的には、ストッパー835,836,855,856を回すことにより、その上側本体部830,850を螺通する程度が調整される。これによって、上側カッター台701と上側本体部830,850との間の間隔が調整される。このとき、上側本体部830,850は、蝶番832〜834,852〜854の開閉軸を軸として回動する。
その後、押圧機構837〜840,857〜860の調整ネジ、挟持ネジ(押圧機構837ではネジ871,874)を回すことによって、バネ部材(押圧機構837ではバネ部材873)が上側本体部830,850を下方に押圧する程度が調整される。これらの位置調整と押圧調整によって、上刃831,851は下刃811,821に接触するように調整され、上刃831,851と下刃811,821との間の間隔が調整される。
【0034】
カッター装置7の下側カッターユニット71,72は、裁断前には、上側カッターユニット73,74から離れた状態で保持されている。このとき、下刃811,821は、ガイド812,822の上面が上刃831,851の先端上面に接触可能な位置に保持されている。カッター装置7が裁断動作を行うとき、シリンダ機構75,76は、下側カッターユニット71,72を後方に牽引する。これによって、下側カッターユニット71,72は、後方に位置した上側カッターユニット73,74に向かってスライドしながら近づく。
【0035】
スライドした下刃811,821は、上刃831,851側に突設されたガイド812,822から上刃831,851に近づく。これらガイド812,822の上面が突出端から下刃811,821との連結端に向かって滑らかに膨らんでいる。さらに、ガイド812,822の突出端は、上刃831,851の刃先下面の高さ以下に配置されている。これによって、上刃831,851に近づいたガイド812,822は、それらの突出端における上面において上刃831,851下面に接触する。接触したガイド812,822は、それらの上面に沿って当接しながら摺動する。このとき、下刃811,821は、それらのガイド812,822上面においてこれら上面の形状に従って、上刃831,851を押し上げながら後方に移動する。
【0036】
ガイド812,822がそれらの上面において上刃831,851の刃先下面を摺動すると、下刃811,821の刃先が上刃831,851の刃先に到達する。ガイド812,821は、下刃811,821との連結端における上面が下刃811,821の刃先上面と略同じ高さとなるように、滑らかに連結されている。これによって、下刃811,821は、それらの上面において上刃831,851下面に当接しながら裁断動作を行う。このとき、下刃811,821は、ガイド812,822による上刃831,851の押し上げに続いて、これら刃先下面を押し上げながら上刃831,851の下方に入り込んでゆく。このとき、押圧機構837〜840,857〜860は、上刃831,851がガイド812,822、下刃811,821による上方への押し上げによって下刃811,821から離れないように、下方に押さえ込んでいる。
【0037】
上刃831,851の刃先下面を摺動するとき、下刃811,821が傾斜した形状を有するので、上刃831,851と下刃811,821は、ほぼ点接触しながら移動する。これによって、上刃831,851と下刃811,821は、鋏のように包装フィルム112を挟み込んで裁断する。また、上刃831,851と下刃811,821とが挟みとして機能するための押圧力は、押圧機構837〜840,857〜860によって供給される。その後、下刃811,821がスライドするにつれて、傾斜した形状の下刃811,821が上刃831,851の下方に入り込む。これによって、これらの刃811,821,831,851は、複数条に分離された包装フィルム112のすべてを裁断する。
【0038】
以上のように、本発明に係るカッター装置7においては、上側カッターユニット73,74は、蝶番832〜834,852〜854によって回動可能に取付けられている。そのため、カッター装置7は、上刃831,851の刃先を下刃811,821に対して傾けた状態で下刃811,821の刃先に常に押しつけることができる。それ故、上刃831,851の刃先は、自動包装機1の駆動に応じて、丸みを帯びることなく下刃811,821の刃先表面に沿って研磨される。これによって、上刃831,851の刃先を微調整しながら、上刃831,851の刃先と下刃811,821の刃先との噛み合わせを良好に持続することができる。従って、一様な切れ味を長持ちさせることができ、良質なカッター装置7を実現することができる。
【0039】
一般に、上刃831,851を下刃811,821の方に傾けるのではなく、予め僅かに下方に角度がつけられたカッター刃を用いることも可能である。しかしながら、この刃先に角度がつけられたカッター刃を研磨して形成する場合には、手間がかかるので、平刃のカッター刃に比べてカッター刃の製作コストが上昇する。
これに対して、本発明に係るカッター装置7では、刃811,821,831,851全てに平刃を用いて、上刃831,851を傾斜した状態で取付けることができる。これによって、刃先に角度がつけられたカッター刃と同様の構成を得ると同時に、カッター刃を製造するコストが上昇するのを回避することができる。
【0040】
また、上側カッターユニット73,74においては、上刃831,851が磨耗に従って下刃811,821側に傾くことができる。これにより、刃811,821,831,851の位置を手動で微調整することなく、上刃831,851の刃先を僅かに下方に角度を容易につけることができる。
【0041】
なお、本実施形態のカッター装置7は、図3に示すように、二組のカッターユニットを並設したものであるが、これに限らず、1つのカッターユニットから構成することも可能である。このように、1つのカッターユニットから構成するのではなく、分離された複数のカッターユニットを並設した構成とした場合には、各カッターユニットにおける上刃・下刃の長さを短くすることができる。
これによって、上刃・下刃が撓むのを防止することができ、それとともに、これら上刃・下刃をより容易に位置調整することができる。これによって、より正確に裁断を行うことができる。さらに、上刃・下刃が短くなるので、これらを形成する生産コストが上昇するのを回避することができ、カッター装置の製造コストを低減することができる。
【0042】
またなお、本実施形態においては、裁断時に前後に駆動するカッター刃が下方に配置されているが、これに限らず、この駆動するカッター刃を上方に配置してもよい。さらになお、本実施形態においては、本体フレームに固定された上刃が前後に駆動する下刃に対して傾いているが、これに限らず、下刃を本体フレームに固定し、この固定された下刃に対して上刃が傾くように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1…縦型多列自動充填包装機(自動包装機)、2…フォーミング装置、
3…縦シール装置、4…横シール装置、5…ホッパー、6…シュータ、
7…カッター装置、8…操作パネルボックス、9…スリッター装置
701…上側カッター台、702…下側カッター台
71,72…下側カッターユニット、
810,820…下側本体部、811,821…下刃、812,822…ガイド
73,74…上側カッターユニット、
830,850…上側本体部、831,851…上刃、
832〜834,852〜854…蝶番、
835,836,855,856…ストッパー、
837〜840,857〜860…押圧機構
75,76…シリンダ機構
110…原反ロール、111…原反フィルム、112…包装フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広いシートフィルムを複数枚の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
当該複数の各包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シール装置及び横シール装置と、
当該シール成形された各包装フィルムに原料を充填する充填装置と、
当該原料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置とを備えた縦型多列自動充填包装機であって、
前記カッター装置は、第1のカッター刃が取付けられた第1のカッターユニットと、前記第1のカッター刃との間で前記横シール部分を挟み込んで切断する第2のカッター刃が取付けられた第2のカッターユニットとを有し、
前記第1のカッターユニットは、前記第1のカッター刃が前記第2のカッター刃に対して傾斜するように回動可能に取付けられた縦型多列自動充填包装機。
【請求項2】
前記カッター装置は、前記第1のカッターユニットを、当該縦型多列自動充填包装機の本体フレームに固定するカッター台と、
前記第1のカッターユニットを、前記第1のカッター刃が前記第2のカッター刃に対して傾斜するように回動可能に前記カッター台に取付ける蝶番とを有することを特徴とする請求項1記載の縦型多列自動充填包装機。
【請求項3】
前記第1のカッターユニットは、前記第1のカッター刃を前記第2のカッター刃に向かって付勢する押圧機構を有し、
前記第2のカッターユニットは、前記第2のカッター刃に連結され、前記第1のカッター刃の方向に前記第2のカッター刃を案内して前記第1のカッター刃の刃先に前記第2のカッター刃を押しつけるためのガイドを有することを特徴とする請求項2記載の縦型多列自動充填包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−117270(P2006−117270A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306078(P2004−306078)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】