説明

縦形製袋充填包装機の袋振動装置

【課題】 粉粒物の破砕を招くことなく、袋長の短縮を図ることができる縦形製袋充填包装機の袋振動装置を提供する。
【解決手段】 縦形製袋充填包装機の袋振動装置は、充填チューブ2の下端から下方に延び、筒状フィルムFをフィルム帯FBに形成する一対の板ばね製拡開ガイド30と、フィルム帯FBへの粉粒物の充填中、拡開ガイド30をフィルム帯FBの幅方向に振動させる略正方形の回転部材52と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦形製袋充填包装機に係わり、特に袋内に粉粒物を効果的に充填させる袋振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦形製袋充填包装機にて、充填チューブの外側にて包材を筒状に成形しつつ、筒状包材の横シールと筒状包材内への粉粒物の充填とが交互に繰り返される場合、充填された粉粒物の堆積はその表面中央にて盛り上がった状態になり易い。それ故、横シールは粉粒物の噛込みを避けるため、上述した堆積表面の盛り上がりよりも上方にて行う必要があるから、袋の長さは必要以上に長くならざるを得ない。
【0003】
このようなことから、横シールに先立ち、筒状包材をその表裏の両側から一対の叩き棒により周期的に叩いて筒状包材を振動させる袋振動装置が知られており(例えば、特許文献1)、この袋振動装置は、粉粒物間の隙間を無くし、粉粒物の充填体積を減少させるものと考えられる。
【特許文献1】実開昭51-113768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した公知の袋振動装置は、粉粒物の充填体積の減少に関しては有効であるが、その一対の叩き棒は筒状包材の幅方向に延びているため、筒状包材を叩く際、叩き棒自体が前述した堆積表面の盛り上がりを支え、その盛り上がりの解消には至らない。このため、袋の長さを所望通りに短くすることはできない。
また、一対の叩き棒は筒状包材を介して粉粒物を叩くため、この粉粒物が破砕し易い物品であると、粉粒物の破砕を招き、粉粒物の品質を悪化させる要因ともなる。
【0005】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、粉粒物の破砕を招くことなく、その充填を良好に行え、袋長の短縮を図ることができる縦形製袋充填包装機の袋振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、充填チューブに沿って繰り出される包材を筒状に成形しながら、前記充填チューブの下方にて前記筒状包材に横シールを形成するシール動作と前記筒状包材内への粉粒物の充填動作とを交互に実施する縦形製袋充填包装機において、本発明の袋振動装置は、充填チューブの下方に設けられ、筒状包材が通過する際、筒状包材を内側から張り拡げた包材帯に成形し且つこの包材帯の幅方向に変位可能な一対の拡開ガイドと、各拡開ガイドを幅方向に振動させる振動手段とを備え、この振動手段は、その周面と拡開ガイドとの間にて包材帯の側縁を挟み付け可能な回転部材であって、周面が回転中心からの距離を異ならした複数の周面部分から形成されており、回転に伴い拡開ガイドを包材帯の幅方向に周期的に変位させる回転部材と、粉粒物の充填動作に連動して回転部材を一方向に回転させる駆動源とを含んでいる(請求項1)。
【0007】
上述の袋振動装置によれば、筒状包材が一対の拡開ガイドを通過する際、これら拡開ガイドは筒状包材を張り広げた包材帯に形成し、充填チューブの下方にて包材帯に横シールが形成される。
この後、充填チューブを通じて包材帯内への粉粒物の充填動作が開始され、粉粒物は横シールにより形成された包材帯の底から堆積し、この堆積に伴い包材帯に厚みが生じる。一方、粉粒物の充填動作に連動して回転部材が回転され、一対の拡開ガイドを包材帯の幅方向に振動させる。これら拡開ガイドの振動により、包材帯の拡幅と縮幅とが交互に繰り返され、そして、この繰り返しは包材帯の表裏面をその厚み方向に周期的に変位、即ち、振動させる。それ故、包材帯内に充填された粉粒物は包材帯の両側縁に向けて流動し、この結果、粉粒物の堆積上面が均される。
【0008】
この後、包材帯は、粉粒物の堆積上面の上側にて再度横シールされ、粉粒物を収容した袋が製造される。なお、袋は横シールの個所にて切断されることで、個々の袋に分離される。
具体的に、一対の拡開ガイドは、充填チューブの直径方向に離間して配置され、充填チューブの下端から充填チューブの外側に向けて斜め下方に延びるばね板から形成されている(請求項2)。このような拡開ガイドは回転部材により包材帯の幅方向外側に弾性変位しても、自身の復元力により包材帯の幅方向内側に復帰する。
【0009】
好ましくは、駆動源は、拡開ガイド側の周面が包材の繰出し方向に移動し且つこの移動速度を包材の繰出し速度と等速又は繰出し速度よりも速くして回転部材を回転させる(請求項3)。この場合、回転部材と拡開ガイドとの間に挟み付けられた包材帯の側縁は回転部材の回転により、その繰出し方向と同一の方向に張力を付与された状態で引き下ろされる。
【0010】
更に、好ましくは、回転部材は多角形形状をなし、その角部にて拡開ガイドを押圧することより、拡開ガイドを包材帯の幅方向内側に変位させる(請求項4)。この場合、回転部材の角部は包材帯の側縁をその繰出し方向に周期的に加速させることから、包材帯は上下方向にも振動し、前述した粉粒物における堆積表面の均しが更に促進される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の縦形製袋充填包装機の袋振動装置は、袋内に充填された粉粒物の堆積上面を均すことができるので、粉粒物の堆積高さが低くなって、袋長及び厚みを短縮を同時に図ることができ、小形且つスリムな袋を提供することができる。
また、一対の拡開ガイドは、包材帯の側縁のみを内側から叩くだけであるから、拡開ガイドにより粉粒物が破砕されることもないので、品質の悪化を防止でき、しかも、拡開ガイドの振動は拡開ガイドに付着した粉粒物の滞留をも防止する。
【0012】
更に、一対の拡開ガイドは粉粒物の充填動作に連動して振動するので、充填動作の完了時には粉粒物の堆積上面は既に均された状態にある。つまり、粉粒物の充填中に、その均し作用が同時に実施されるので、充填動作の完了後直ちに横シールを行え、袋の製造速度を高速化できる。
更にまた、粉粒物が充填されても、包材帯の厚みは薄いので、横シール時、横シーラにより包材帯の表裏が互いに密着されるとき、包材帯の表裏面が粉粒物の堆積上面から粉粒物を舞い上げてしまうようなことはなく、横シールへの粉粒物の噛込みをも防止することができる。
【0013】
請求項2の袋振動装置は、拡開ガイドがばね板から形成されているので、拡開ガイドを容易に振動させることができる。
請求項3の袋振動装置は、回転部材が包材帯の側縁を引っ張りながら引き下ろすので、拡開ガイドでの包材帯の引っ掛かりが防止され、また、包材帯に皺が発生することもない。
【0014】
請求項4の袋振動装置は、粉粒物の充填中、包材帯を上下にも振動させるので、粉粒物の堆積上面を確実に均すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、一実施例の縦形製袋充填包装機を示す。
包装機は、垂直な充填チューブ2を備え、この充填チューブ2はその上部にフォーマ4を備えている。このフォーマ4には包材としてのフィルムFが導かれており、このフィルムFはフィルムロールFRから繰り出される。
フィルムFがフォーマ4を通過する際、フィルムFは充填チューブ2を包むような筒状に成形され、そして、その両側縁はラップガイド(図示しない)により所定の形態、図示の場合には合掌形態にして重ね合わされ、フィンシール部を形成する。
【0016】
フォーマ4の下方には、充填チューブ2の外側に一対のフィルムフィーダ6が配置され、これらフィルムフィーダ6は充填チューブ2の直径方向に互いに離間している。各フィルムフィーダ6は無端状の吸着ベルト8を備え、この吸着ベルト8は筒状フィルムFを吸着した状態で、一方向に走行し、これにより、筒状フィルムFが充填チューブ2に沿い図1中の矢印で示す下方に向けて繰り出される。なお、図1には片側のフィルムフィーダ6のみが示されている。
【0017】
また、充填チューブ2の外側には縦シーラ10が配置され、この縦シーラ10は充填チューブ2の周方向でみて、一対のフィルムフィーダ6間に位置付けられている。縦シーラ10は開閉可能な一対のヒータブロック12を備え、これらヒータブロック12は、筒状フィルムFが繰出される際、そのフィンシール部を挟み付けてヒートシールし、これにより筒状フィルムFに縦シールが形成される。
【0018】
更に、充填チューブ2の下方には横シーラ14が配置され、この横シーラ14もまた開閉可能な一対のヒータブロック16を備えている。これらヒータブロック16は、前述した一対のフィルムフィーダ6の離間方向に対して直交した充填チューブ2の直径方向に互いに離間し、水平方向に互いに接離して筒状フィルムFを挟み付けることができ、この際、筒状フィルムFをヒートシールし、筒状フィルムFに横シールを形成する。
【0019】
また、一方のヒータブロック16には切断ナイフ(図示しない)が突没可能に内蔵され、そして、他方のヒータブロック16には切断ナイフを受け入れ可能なナイフ溝が設けられている。切断ナイフは横シールの形成後、そのヒータブロック16から突出し、横シールの中央位置にて筒状フィルムFを切断する。
上述した筒状フィルムFに対する横シール及び切断は筒状フィルムFの所定長さ毎に行われ、これにより、筒状フィルムFは個々の袋Pに成形される。
【0020】
一方、横シールの形成後、筒状フィルムFには充填チューブ2を通じて粉粒物が充填され、筒状フィルムFの繰出しに伴い、粉粒物の充填動作と横シール及び切断動作とが交互に繰り返されることで、個々に粉粒物を収容し袋Pが製造される。
より詳しくは、充填チューブ2内にはオーガが回転自在に収容され、その下端に口金28が取り付けられている。そして、充填チューブ2の上端にホッパ20が接続され、このホッパ20は所望の粒度を有したコーヒー等の粉粒物を蓄えている。
【0021】
図1から明らかなようにオーガ22の軸端はホッパ20から上方に突出し、その上端が駆動制御ユニット24に連結されている。駆動制御ユニット24は、粉粒物の充填動作時、オーガ22の回転数を制御し、粉粒物を一定量ずつ筒状フィルムFに充填させる。
図2を参照すれば、充填チューブ2内の口金28が具体的に示されており、口金28は充填チューブ2の下端にワンタッチにして脱着自在に取り付けられている。
【0022】
図2から明らかなように充填チューブ2の下端、即ち、その口金28には一対の拡開ガイド30が取り付けられている。これら拡開ガイド30もまた充填チューブ2の直径方向に離間し、対応する側のフィルムフィーダ6の下方にそれぞれ配置されている。各拡開ガイド30は充填チューブ2の下端からその直径方向外側に向けて斜め下方に延び、それ故、一対の拡開ガイド30間の間隔は下方に向けて徐々に拡大する。
【0023】
具体的には、図3(a),(b)から明らかなように、拡開ガイド30の上端部には上下に2つの貫通孔32を有しており、これら貫通孔32を通じて取付けねじ34(図2参照)が口金28にねじ込まれることで、充填チューブ2に対して拡開ガイド30が取付けられている。
また、拡開ガイド30はその上端部から下端に向けて先細状をなし、下端縁は円弧状に形成されている。更に、拡開ガイド30は板ばねから形成され、互いに接離する方向に弾性変形可能である。
【0024】
前述した筒状フィルムFが一対の拡開ガイド30を通過すると、図2から明らかなように筒状フィルムFは一対の拡開ガイド30により張り拡げられた包材帯、即ち、フィルム帯FBとなる。
一方、各拡開ガイド30の側方には振動ユニット36がそれぞれ配置されているが、これら振動ユニット36は充填チューブ2を中心として対称な構成を有する。それ故、以下には、図2でみて右側の振動ユニット36について説明し、左側の振動ユニット36に関しては右側の振動ユニット36と同一の部材及び部位に同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0025】
振動ユニット36はブラケット38を備え、このブラケット38は、前述したフィルムフィーダ6、即ち、そのベース板40の下部に取付けられている。このベース板40には、吸着ベルト8のための上下のプーリ42,44が回転自在に支持され、また、これらプーリ42,44間に配置され、吸着ベルト8にサクション圧を供給するサクションチャンバ46もまた支持されている。更に付け加えれば、ベース板40は、充填チューブ2の側方に移動可能である。
【0026】
ブラケット38には回動アーム48が取付けられており、この回動アーム48は拡開ガイド30の下端に向けて延びている。より詳しくは、回動アーム48は枢軸50を介してブラケット38に支持され、枢軸50を中心に拡開ガイド30に対して接離する方向に回動可能である。回動アーム48の下端には回転部材52が回転自在に支持され、この回転部材52の周面はその回転中心からの距離が異なる複数の周面部分から形成されている。例えば、回転部材52の周面は略正方形の形状をなし、その角部は円弧状に丸められている。
【0027】
また、回動アーム48の下端には回転部材52と同軸にしてプーリ54が取付けられている。具体的には、プーリ54は回動アーム48の下端を回転自在に貫通するプーリ軸を有し、このプーリ軸に回転部材52が取外し可能に取付けられている。即ち、回転部材52は交換部品である。
一方、回動アーム48の上端部とブラケット38との間には引っ張りコイルばね56が架け渡されており、この引っ張りコイルばね56は回動アーム48の下端が拡開ガイド30に向かうように回動アーム48を回動付勢している。また、ブラケット38からは回動アーム48の上端に向けてストッパボルト58が突出し、このストッパボルト58は回動アーム48の上端を受け止め、鉛直面に対する回動アーム48の回動角、つまり、自由状態にある拡開ガイド30と回転部材52の回転中心との間の離間距離を決定する。
【0028】
ここで、離間距離は回転部材52の一辺の長さよりも長いが、回転部材52の対角線の長さよりも短い。なお、離間距離はブラケット38からのストッパボルト58の突出長さを可変することで調整可能である。
更に、図4に示されるようにベース板40の下部には駆動モータ60が支持されている。この駆動モータ60は回動アーム48側に突出した出力軸を有し、この出力軸は回動アーム48の枢軸50と同軸線上に位置付けられ、且つ、互いに離間した状態で配置されている。
【0029】
駆動モータ60の出力軸にはプーリ62が取り付けられており、そして、このプーリ62と回動アーム48側のプーリ54との間に無端状の駆動ベルト64が掛け回されている。ここで、回動アーム48の枢軸50は駆動モータ60の出力軸、つまり、プーリ62とが同軸上に配置されているので、回動アーム48が回動されても、プーリ54とプーリ62との間の軸間距離が変化することはない。
【0030】
なお、回動アーム48には駆動ベルト64のためのテンションプーリ66もまた回転自在に支持されている。
駆動モータ60は前述した駆動制御ユニット24に電気的に接続されており、駆動制御ユニット24はオーガ22を回転させると同時に、つまり、粉粒物の充填動作を開始すると同時に駆動モータ60に駆動信号を供給する。
【0031】
このような駆動信号を受けて駆動モータ60が回転されると、その回転力は駆動ベルト64を介して回転部材52まで伝達され、回転部材52を一方向に回転させる。具体的には、回転部材52は拡開ガイド30側の周面がフィルム帯FBの繰出し方向と同一の方向に移動すべく回転され、その角部の周速はフィルム帯FBの繰出し速度と等速であるか、又は、繰出し速度に比べて速い。
【0032】
なお、図4にはフィルムフィーダ6において、その下側のプーリ44を回転させるフィードモータ68や、サクションチャンバ46にサクション圧を供給するサクション管70、そして、前述したベース板40の移動を案内する上下一対のガイドロッド72もまた併せて示されている。
図5(a)は、フィルム帯FBに横シールが形成された後、フィルム帯FBを繰出しながらフィルム帯FB内にオーガ22から粉粒物が充填されている状態を示し、図5(b)は粉粒物の充填が完了した状態を示す。
【0033】
オーガ22から充填された粉粒物はフィルム帯FB内にその底から堆積し、その堆積上面Sは図5(a)中の破線で示すように山形に盛り上がった状態になり易い。
しかしながら、本実施例では、粉粒物の充填動作が開始されると同時に、左右の振動ユニット36の回転部材52がそれぞれ回転され、これら回転部材52の回転は充填動作が完了するまで継続する。
【0034】
回転部材52の回転は、左右の拡開ガイド30をフィルム帯FBの幅方向に振動させるので、粉粒物の堆積上面Sは図5(b)中の2点鎖線で示すような盛り上がりとはならず、破線で示すように均され、平坦面となる。
この点に関して詳述すると、図6に示されるように回転部材52が回転されると、回転部材52の角部は拡開ガイド30の下端部にフィルム帯FBの側縁を介して周期的に当接し、拡開ガイド30を2点鎖線で示すようにフィルム帯FBの幅方向内側に弾性変形させる。それ故、拡開ガイド30はフィルム帯FBの幅方向に振動し、この振動の振幅Dは回転部材52における対角線の長さと前述した離間距離との間の差により決定される。
【0035】
上述した拡開ガイド30の振動はフィルム帯FBの全体を振動させるから、図7に示されるようにフィルム帯FBの幅がW1とW2との間にて周期的に変化する。それ故、フィルム帯FBの幅がW2からW1に拡開する際、フィルム帯FBの両側縁に隙間がそれぞれ発生し、また、その内部に堆積した粉粒物はフィルム帯FBの表面A及び裏面Bにより矢印で示す如く、その厚み方向に押圧されることから、粉粒物は上側から下側に向けて流動し、発生した隙間に充填される。従って、堆積した粉粒物の堆積上面Sがその中央部分にて山状に盛り上がろうとしても、この盛り上がりがフィルム帯FBの幅の拡開により効果的に崩されることから、堆積上面Sは平坦に均されることになる。
【0036】
この点、本実施例の振動ユニット36を備えていない場合には、図5(c)に示されるように粉粒物の堆積上面Sは山形に盛り上がった状態になるから、粉粒物の充填完了後、粉粒物の噛込みを避けてフィルム帯FBを横シールするにはフィルム帯FBの繰出し長さ、つまり、袋Pの長さL1を粉粒物の盛り上がりの分だけ長くする必要がある。
しかしながら、本実施例の場合、粉粒物の堆積上面Sは平坦に均されることから、袋Pの長さL2を前記L1に比べて短くすることができる。それ故、フィルムFの消費量が削減され、袋Pの製造コストを下げることができる。
【0037】
拡開ガイド30の振動は粉粒物を叩くことはないので、粉粒物が破砕してしまうことはなく、その品質を安定して維持でき、また、拡開ガイド30に粉粒物が付着しても、付着した粉粒物はその振動により振り落とされ、拡開ガイド30に滞留することはない。
上述したように粉粒物の堆積上面Sが平坦に均されると、結果的に製造された袋Pはその厚みが薄いスリムなものとなり、その外観の見栄えが向上する。また、回転部材52における角部の周速はフィルム帯FBの繰出し速度よりも若干速いので、回転部材52はフィルム帯FBの側縁を張力を与えながら引き下ろすことになり、フィルム帯FBの繰出しを助けるばかりでなく、拡開ガイド30でのフィルム帯FBの引っ掛かりや、この引っ掛かりに起因したフィルム帯FBの皺の発生を防止することができる。
【0038】
更に、上述したように袋Pの厚みが薄く、しかも、粉粒物の堆積上面Sが平坦であると、横シール時、即ち、横シーラ14の一対のヒータブロック16がフィルム帯FBの表裏を密着させるとき、これら表裏の密着動作にて粉粒物が舞い上がることもなく、ヒータブロック16間への粉粒物の噛込みが防止される。
更にまた、回転部材52の回転、つまり、拡開ガイド30の振動は粉粒物の充填動作中に実施されるから、粉粒物の均し時間(粉粒物の沈降時間)を十分に確保できるばかりでなく、充填動作の完了直後に横シールを実施可能となり、袋Pの製造速度を高速化できる。
【0039】
本発明は上述の一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、一実施例では、回転部材が略正方形形状をなしているが、回転部材は正方形以外の多角形や楕円形状等の非円形形状であってもよい。また、回転部材の大きさや回転速度、つまり、拡開ガイドの振幅や振動数は、充填されるべき粉粒物の付着性や包材の剛性等を考慮して変更されるべきものであり、それ故、一実施例で示した回転部材52は回動アーム48に脱着可能に取付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施例の縦形製袋充填包装機を示した概略斜視図である。
【図2】図1の振動ユニットを拡大して示した正面図である。
【図3】図2の拡開ガイドの拡大図あり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】図3の振動ユニットの側面図である。
【図5】粉粒物の充填動作を説明するための図であり、(a)は一実施例での粉粒物の充填動作中を示し、(b)は一実施例での粉粒物の充填動作完了時を示し、(c)は従来技術での粉粒物の充填動作完了時を示す。
【図6】回転部材による拡開ガイドの振動作用を説明するための図である。
【図7】フィルム帯の表裏がその厚み方向に振動することを示した図である。
【符号の説明】
【0041】
2 充填チューブ
6 フィルムフィーダ
10 縦シーラ
14 横シーラ
30 拡開ガイド
36 振動ユニット
52 回転部材
F フィルム(包材)
FB フィルム帯(包材帯)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填チューブに沿って繰り出される包材を筒状に成形しながら、前記充填チューブの下方にて前記筒状包材に横シールを形成するシール動作と前記筒状包材内への粉粒物の充填動作とを交互に実施する縦形製袋充填包装機において、
前記充填チューブの下方に設けられ、前記筒状包材が通過する際、前記筒状包材を内側から張り広げた包材帯に成形し且つ前記包材帯の幅方向に変位可能な一対の拡開ガイドと、
前記各拡開ガイドを前記幅方向に振動させる振動手段と
を備え、
前記振動手段は、
その周面と前記拡開ガイドとの間にて前記包材帯の側縁を挟み付け可能な回転部材であって、前記周面が回転中心からの距離を異ならせた複数の周面部分から形成されており、回転に伴い前記拡開ガイドを前記包材帯の幅方向に周期的に変位させる回転部材と、
前記粉粒物の充填動作に連動して前記回転部材を一方向に回転させる駆動源と
を含むことを特徴とする縦形製袋充填包装機の袋振動装置。
【請求項2】
前記一対の拡開ガイドは、前記充填チューブの直径方向に離間して配置され、前記充填チューブの下端から前記充填チューブの外側に向けて斜め下方に延びるばね板から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の縦形製袋充填包装機の袋振動装置。
【請求項3】
前記駆動源は、前記拡開ガイド側の周面が前記包材の繰出し方向に移動し且つこの移動速度を前記包材の繰出し速度と等速又は繰出し速度よりも速くして前記回転部材を回転させることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦形製袋充填包装機の袋振動装置。
【請求項4】
前記回転部材は多角形形状をなし、その角部にて前記拡開ガイドを押圧して前記幅方向内側に変位させることを特徴とする請求項3に記載の縦形製袋充填包装機の袋振動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−69626(P2006−69626A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255912(P2004−255912)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】