説明

縦形製袋充填包装機

【課題】被包装物が破損したり、袋体にピンホールが発生することがなく、簡単な構造で迅速に被包装物の充填包装ができる縦形製袋充填包装機を提供する。
【解決手段】被包装物の充填時、前記被包装物が内側を落下する鉛直筒状の製袋チューブ2と、該製袋チューブ2の外周に沿って繰り出される筒状のフィルムfを水平方向にシールして袋体の底を形成するための横シーラ4とを備えている縦形製袋充填包装機1であって、前記被包装物の充填時、前記被包装物が前記袋体の底に接触する前に、前記袋体の底近傍に上昇空気流17を形成するためのエア噴出手段14が前記製袋チューブ2の内側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体、特に角底袋体に被包装物を充填するための縦形製袋充填包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦形製袋充填包装機は、鉛直筒状の製袋チューブ内に被包装物を落下させ、下側に形成された袋体に被包装物を充填して包装するものである。被包装物が落下して袋体の底面に衝突する際に、被包装物が破損したり、袋体底面にピンホールが発生することがあるので、品質の低下につながっていた。
これを防止するため、製袋チューブ内にリフターを配設し、被包装物を製袋チューブ内で搬送する充填包装装置が開示されている(特許文献1参照)。この装置は、製袋チューブ上側で被包装物をリフターに載置し、リフターを低速度で下降させ、袋体底面の近傍でリフターを開放して被包装物を袋体に充填するものである。これにより、袋体への衝撃を緩和している。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の充填包装装置では、被包装物の充填の際に、リフターの上昇及び下降、リフターの開放等が必要であるため、多大な時間を要し、迅速な包装が困難となっている。また、リフターを設置すると構造が複雑になり、設備が大掛かりとなる。
【特許文献1】特開平5−42906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、被包装物を落下させて袋体に充填しても被包装物が破損することがなく、また袋体にピンホールが発生することがなく、さらに簡単な構造で迅速に被包装物の充填包装ができる縦形製袋充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、被包装物の充填時、前記被包装物が内側を落下する鉛直筒状の製袋チューブと、該製袋チューブの外周に沿って繰り出される筒状のフィルムを水平方向にシールして袋体の底を形成するための横シーラとを備えている縦形製袋充填包装機であって、前記被包装物の充填時、前記被包装物が前記袋体の底に接触する前に、前記袋体の底近傍に上昇空気流を形成するためのエア噴出手段が前記製袋チューブ内側に設けられていることを特徴とする縦形製袋充填包装機を提供する。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記エア噴出手段は、前記製袋チューブの内壁面に沿って鉛直方向に配設されているエア供給管であり、該エア供給管からエアが噴出されるエア噴出口は前記横シーラ上面から所定距離離間して下向きに開口していることを特徴としている。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記製袋チューブは、前記袋体を角底袋体に形成すべく、その下側部分が角筒状に形成されており、前記エア供給管は、前記製袋チューブの角部に沿って配設されていることを特徴としている。
【0007】
請求項4の発明では、請求項2又は3の発明において、前記エア供給管は、前記製袋チューブの上端から突出し、前記製袋チューブの外側に配置されたエア導入口を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、被包装物が袋体の底面に接触する前に、袋体底面近傍に上昇空気流を形成するためのエア噴出手段が設けられているため、被包装物が袋体底面に衝突する際の衝撃が緩和される。このため、簡単な構造で被包装物が破損することを防止し、袋体にピンホールが発生することを防止できる。さらに、従来のようにリフター等を使用せずに、被包装物を落下させて充填するので、迅速な包装を実現できる。
【0009】
請求項2の発明によれば、エア噴出手段は、製袋チューブの内壁面に沿って鉛直方向に配設されているエア供給管であるため、被包装物が製袋チューブを落下する際に妨げとなることはなく、スムーズに落下させることができる。また、エア供給管からエアが噴出されるエア噴出口は横シーラ上面から所定距離離間して下向きに開口しているため、噴出されたエアは袋体の底面に反射して上昇空気流を形成するので、被包装物が袋体底面に衝突する際の衝撃緩和の増大を図ることができる。さらに、エア供給管にエア噴出口形成のための特別な加工を施す必要がなく、簡単な構造で被包装物の衝突緩和を実現できる。
【0010】
請求項3の発明によれば、エア供給管は、下側が角筒状に形成されている製袋チューブの角筒部分の角部に沿って配設されているため、エアの流れを袋体底面の周囲から中央側に向けて生じさせることができる。このエアは中央側で互いにぶつかり、上昇空気流を形成する。筒状のフィルムとの接触によって落下が減速することがない筒状のフィルム中央側でも、上記上昇空気流を形成することにより、被包装物の落下速度を十分に低減させることができる。
【0011】
請求項4の発明によれば、エア供給管は、製袋チューブの上端から突出して製袋チューブの外側にエア導入口が形成されているので、製袋チューブにエア供給管取り付けのための加工を施す必要がなく、構造が簡単で、着脱が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明に係る縦形製袋充填包装機の概略図である。
図示したように、本発明に係る縦形製袋充填包装機1は、製袋チューブ2と、縦シーラ3と、横シーラ4とを備えている。製袋チューブ2は、鉛直筒状であり、上側が円筒状(円筒部2a)、下側が角筒状(角筒部2b)に形成されている。製袋チューブ2の上方には、被包装物を投入するためのホッパー5が備えられている。被包装物は、主に食品であり、ラスク、乾パン、せんべい等である。
【0013】
ホッパー5は、上下が開口した略漏斗状(図では略逆四角錘)であり、下側開口は製袋チューブの上端開口に収まり、上側開口は被包装物を投入しやすいように広がっている。円筒部2aの外側には、フォーマ6が設けられている。フォーマ6は、製袋チューブ2を囲うようにして、帯状のフィルムfをガイドするものである。フィルムfは、リール7から複数のガイドローラ8を介してフォーマ6に繰り出される。フィルムfは、フォーマ6にて製袋チューブ2の外周を覆うように略筒状に成形され、その両側縁は互いに合掌状に重ね合わされる。
【0014】
フォーマ6の下側には、縦シーラ3が備えられている。縦シーラ3は、合掌状に重ね合わされたフィルムfの両側縁を挟み込んでヒートシールして接着する。角筒部2bの両側にはフィルム繰り出し手段として一対のフィーダ9(図では一方のみ記載)が配設されている。フィーダ9は無端状のサクションベルト10を有している。サクションベルト10は、フィルムfを吸着しながら充填チューブ2に沿ってその下方に向けて繰り出す。フィルムfは、角筒部2bに沿って角筒形状となり、下側に繰り出される。
【0015】
角筒部2bの下側には、横シーラ4が備えられている。横シーラ4は一対のヒータブロック4a、4bを有している。これらヒータブロック4a,4bは、水平方向に互いに接離することで開閉する。下側に繰り出された角筒状のフィルムfはヒータブロック4a,4bで挟み込まれて横方向にシールされる。ヒータブロック4a又は4bのいずれか一方に切断刃11が備えられていて、他方に切断刃11を受け入れる溝が形成されている。フィルムfを横方向にシールした後、切断することで袋体12が製造される。フィルムが順次繰り出され、シールと切断が繰り返されることで、多数の袋体12が製造される。このとき、切断箇所の下側は袋体12として形成され、上側は袋体12の底として形成される。
【0016】
横シーラ4と製袋チューブ2の下端の間には、一対の三角板13が配設されていて、横シーラ4の下側には、一対のガセット縦折り板15が配設されている。横シーラ4と連動して三角板13、縦折り板15を作動させることで、袋体12の底面がガセット角底形状となる。
製袋チューブ2の内壁面に沿って、エア供給管14が鉛直方向に配設されている(図1では4本のエア供給管14を示すが、製袋チューブ2内では、エア供給管の1本のみを点線で記載)。このため、被包装物が製袋チューブ2内を落下する際にエア供給管14が妨げとなることはなく、スムーズに落下させることができる。
【0017】
エア供給管14は上端近傍が折れ曲がって形成されている。この折れ曲がり部分は、製袋チューブ2の上端よりも上側に形成されている。このエア供給管14の上側端部がエア導入口14bとなる。一方、エア供給管14の下端のエア噴出口14aは、下向きに開口している。このように、エア供給管14は製袋チューブ2に対して別体として取り付けられるため、製袋チューブ2に対してエア供給管取り付けのための加工を施す必要がなく、構造が簡単で、エア供給管14の着脱が容易である。したがって、袋体の仕様や被包装物の種類によって、それに応じたエア供給管に容易に交換して対応できる。
【0018】
図2は本発明に係る縦形製袋充填包装機の製袋チューブ下端近傍の概略断面図である。図3は、図2のA−A概略断面図である。なお、図示されない符号は図1を参照する。
図は、袋体の底面が形成された状態を示す。図2に示すように、被包装物16が製袋チューブ2内を落下して袋体の底面に接触する前に、エア供給管14のエア噴出口14aからエアが噴出される。噴出されたエアは、袋体の底面に反射して上方向に移動したり横方向に移動し、互いにぶつかり合ったりして上昇空気流17を形成する。この上昇空気流17が、被包装物16の落下速度を減少させ、したがって袋体底面に衝突する際の衝撃を緩和する。その衝撃緩和力は被落下物の破損及び袋体底面のピンホール発生防止に十分な効果を奏する。このような構成により、リフター等の被包装物の搬送設備が不要となるので、簡単な構成で迅速に被包装物を袋体に包装できる。エア噴出口14aにおけるエア噴出時間は、袋体12の製造に悪影響を及ぼさない短時間である。このエア噴出時間は、被包装物の種類や充填時間等により変化する。エア噴出開始のタイミングは、横シーラ4が閉じたあとから被包装物が横シーラ上面に到達する間である。エア噴出停止のタイミングは、横シーラ4が開いてしまうとフィルムfの繰り出しに影響があるため、横シーラが開く前である。なお、上昇空気流17を形成できれば、エア噴出口14aの開口は下向きに限られず、横向きあるいは上向きでもよい。
【0019】
図3に示すように、エア供給管14は、角筒部2bの角部に沿って配設されている。したがって、エア噴出口14aが角底袋体の角部上方に配置される。エアの流れは、袋体底面の周囲から中央側に向けて生じる。エアは中央側で互いにぶつかり、上昇空気流を形成する。筒状のフィルムfとの接触によって落下が減速することがない筒状のフィルムfの中央側でも、上昇空気流17を形成することにより、被包装物の落下速度を十分に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る縦形製袋充填包装機の概略図である。
【図2】本発明に係る縦形製袋充填包装機の製袋チューブ下端近傍の概略断面図である。
【図3】図2のA−A概略断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 縦形製袋充填包装機
2 製袋チューブ
2a 円筒部
2b 角筒部
3 縦シーラ
4 横シーラ
4a ヒータブロック
4b ヒータブロック
5 ホッパー
6 フォーマ
7 リール
8 ガイドローラ
9 フィーダ
10 サクションベルト
11 切断刃
12 袋体
13 三角板
14 エア供給管
14a エア噴出口
14b エア導入口
15 縦折り板
16 被包装物
17 上昇空気流
f フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物の充填時、前記被包装物が内側を落下する鉛直筒状の製袋チューブと、
該製袋チューブの外周に沿って繰り出される筒状のフィルムを水平方向にシールして袋体の底を形成するための横シーラとを備えている縦形製袋充填包装機であって、
前記被包装物の充填時、前記被包装物が前記袋体の底に接触する前に、前記袋体の底近傍に上昇空気流を形成するためのエア噴出手段が前記製袋チューブ内側に設けられていることを特徴とする縦形製袋充填包装機。
【請求項2】
前記エア噴出手段は、前記製袋チューブの内壁面に沿って鉛直方向に配設されているエア供給管であり、該エア供給管からエアが噴出されるエア噴出口は前記横シーラ上面から所定距離離間して下向きに開口していることを特徴とする請求項1に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項3】
前記製袋チューブは、前記袋体を角底袋体に形成すべく、その下側部分が角筒状に形成されており、
前記エア供給管は、前記製袋チューブの角部に沿って配設されていることを特徴とする請求項2に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項4】
前記エア供給管は、前記製袋チューブの上端から突出し、前記製袋チューブの外側に配置されたエア導入口を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の縦形製袋充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−116177(P2010−116177A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289729(P2008−289729)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】