説明

縦形製袋充填包装機

【課題】 ガセット付き包装袋の上部を綺麗に形成することができる縦形製袋充填包装機の提供
【解決手段】 縦形製袋充填包装機は、フィルム材Fを繰出しながら製袋チューブ3の回りに筒状に形成するとともにフィルム材Fの両側縁を縦シールしてフィルム筒FCを成形する。一方、フィルム筒FCに横シールを周期的に形成した後、この横シールを中央から切断することにより、上下にトップシール及びボトムシールを有し且つその内部に被包装物が充填された包装袋を個々に製造する。この縦形製袋充填包装機は、フィルム筒FCに対し横シーラ6の下方位置で両側方から差し込まれる一対のガセット折り部材20を備える。ガセット折り部材20は、フィルム筒FCの移動方向である縦方向に延在する縦折り部21と、縦折り部21の下方位置から、当該縦折り部21を中心として対称な両脇斜め下方に向かって広がる斜面折り部22とを含む構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に被包装物が充填されるガセット付きの包装袋を製造する縦形製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガセット付きの包装袋を形成する縦形製袋充填包装機としては、例えば、特許文献1に開示された構成のものなどがある。特許文献1の角底ガセット袋成形装置は、フィルム筒(FC)にガセットを形成する構成として、三角折込みガイド(20)、ガセット垂直ガイド(24)を備えている。三角折込みガイド(20)及びガセット垂直ガイド(24)は、一対のヒータブロック(14)(16)が閉位置に移動するときに、フィルム筒(FC)の側方に進入する。この進入によって、三角折込みガイド(20)はガセット袋(GP)の下部を角底となるように折り込み、一方のガセット垂直ガイド(24)はガセット袋(GP)の上部を縦方向に折り込む。このように各ガイド(20)(24)がガセット袋を折り込んだ状態で、ヒータブロック(14)(16)による横シールが実行されて、同文献1の図3に示すようなガセットが形成される。
【特許文献1】特開2003−200908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、ガセット付きの包装袋を形成する際に、ガセット垂直ガイドで折り込まれるフィルム筒の重ね合わせ部分にずれが生じることがあった。このようなフィルム筒のずれは、特に、包装袋への内容物の充填量が多かったり、内容物の酸化を防ぐために包装袋内へ窒素ガスを充填したりするとき、顕著に発生する。
【0004】
図7は、従来の縦形製袋充填包装機においてガセット折りをした包装袋を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)はガセット折り時の(a)のZ−Z線断面図、(c)は通常の(a)のZ−Z線断面図、(d)はずれが形成された(a)のZ−Z線断面図である。
この重ね合わせ部分のずれは、ガセット垂直ガイドが縦方向に延びる一枚の平板で形成され、この平板のエッジ部分がフィルム筒の幅中央部分に左右両側方から差し込まれることが原因となっていた(図7(b)参照)。すなわち包装袋100は、図7(a)に示すように内容物の充填量が多い場合、トップシール101近傍まで内容物が充填される。よって、包装袋100上部のガセット縦折りを縦方向の狭い範囲内で行わなければならないが、フィルムの張りによってガセット折りの抵抗が強くなる。その結果、図7(d)に示すように折り目の両側(重ね合わせ部分)の抵抗のバランスが崩れ、また抵抗が大きいことで重ね合わせ部分に大きなずれが生じていた。
なお、充填ガスが充填される場合も、ガスにより包装袋上部近傍まで膨らむため、フィルムの張りによってガセット折りの抵抗が強くなり、同じような結果を招くこととなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、均等な縦方向のガセット折りを実行でき、対称性が保たれた高品質なガセット付きの包装袋を製造できる縦形製袋充填包装機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、フィルム材を繰出しながら製袋チューブの回りに筒状に形成するとともにフィルム材の両側縁を縦シールしてフィルム筒を成形し、一方、フィルム筒に横シールを周期的に形成した後、この横シールを中央から切断することにより、上下にトップシール及びボトムシールを有し且つその内部に被包装物が充填された包装袋を個々に製造する縦形製袋充填包装機において、
フィルム筒に対し横シール部の下方位置で両側方から差し込まれる一対のガセット折り部材を備え、当該ガセット折り部材が、
フィルム筒の移動方向である縦方向に延在し、フィルム筒の幅方向中央部に差し込まれる縦折り部と、
当該縦折り部の下方位置から、当該縦折り部を中心として対称な両脇斜め下方に向かって広がる斜面折り部と、
を含むことを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、まず縦折り部によってフィルム筒の幅方向中央部が縦方向に折り込まれる。続いて、縦折り部を中心として対称な両脇斜め下方に向かって広がる斜面折り部が、フィルム筒の側方に対して徐々に当接していく。このため、斜面折り部が案内ガイドとなり、フィルム筒は対称性を保ちつつ徐々に均等に折り込まれていく。その結果、重ね合わせ部分がずれず、対称性が保たれた高品質なガセット付きの包装袋を製造することができる。
【0008】
また、縦折り部および斜面折り部は、ともに平板状に形成されることが好ましい。フィルム筒の折り込み時には、この平板状に形成された縦折り部と斜面折り部の端縁が当該フィルム筒の側方に当接するため折り込みやすくなり、この端縁によって、斜面折り部で折り込まれる部分の折目が明瞭で綺麗なガセットを成形することができる。
【0009】
さらに、フィルム筒における一対のガセット折り部材が両側方から差し込まれる高さ領域に対し、当該差し込み方向と垂直に交叉する前後方向からフィルム筒を押圧する押さえ部材を備える構成とすることができる。
【0010】
この押さえ部材は、ガセット折り部材が差し込まれたフィルム筒の側方内側部分に対し、前後方向外側から挟み込む。これにより包装袋上部の折り込みを補助することができ、また上部にあるガス(エア等)も抜けて、折り込み部分を含めた包装袋上部の折目が明瞭で綺麗なガセットを成形することができる。例えば、包装袋に窒素ガスを充填する場合は、この押さえ部材が窒素ガスにより包装袋が上部近傍まで膨らむ状態を解消し、その結果、包装袋の重ね合わせ部分のずれをなくし、高品質なガセット付きの包装袋とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によれば、均等な縦方向のガセット折りを実行でき、対称性が保たれた高品質なガセット付きの包装袋を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る縦形製袋充填包装機の全体構成を概略的に示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の縦形製袋充填包装機は、リール1、フォーマ2、製袋チューブ3、繰出しベルト4、縦シーラ5、横シーラ6(第1ヒータブロック6a、第2横シーラ6b)を含む構成である。縦形製袋充填包装機は、帯状のフィルム材Fを巻いたリール1から、搬送ローラ等によってフィルム材Fを繰り出し、所定の搬送経路に沿ってフォーマ2にフィルム材Fを搬送する。
【0013】
フォーマ2は、製袋チューブ3の上方に設けてあり、搬送されてきた帯状のフィルム材Fを筒状となるように折り込む。製袋チューブ3は、フォーマ2の内部を上下方向に延びる円筒状の部材であり、下端を角筒形状に形成してある。フィルム材Fは、筒状に形成された状態でこの製袋チューブ3の回りに沿って、繰出しベルト4により下方に繰り出される。
【0014】
また、製袋チューブ3の側方には縦シーラ5が設けられている。縦シーラ5は製袋チューブ3に巻き付けられたフィルム材Fの両端部を合掌して、その合掌部分を縦シールしフィルム筒FCを成形する。このフィルム筒FCは、製袋チューブ3の角筒形状となった下端を通過することで、角筒状に成形される。
【0015】
さらに、製袋チューブ3の下方には横シーラ6が設けてある。横シーラ6は、フィルム筒FCの搬送経路を挟んで一対のヒータブロック6a、6bを備えている。横シーラ6は、幅方向にフィルム筒FCを挟み込んで周期的に横シールを形成する。そして横シールを中央から切断することにより、上下にトップシール101及びボトムシール102を有した包装袋100となる(図3参照)。縦形製袋充填包装機は、ボトムシール102の形成後に製袋チューブ3内からフィルム筒FC内に被包装物Aを充填し、この充填後にフィルム筒FCを下方に繰り出し、トップシール101を形成して密封することで、包装袋100を個々に製造することができる。
【0016】
また、本実施形態の縦形製袋充填包装機は、包装袋100にガセット付きの角底を形成する構造を備えている。縦形製袋充填包装機は、このガセット付きの角底を形成するため、製袋チューブ3と横シーラ6の間に、一対の三角折込みガイド10が設けてある。一対の三角折込みガイド10は、先端が二等辺三角形に形成されて互いに対向しており、横シーラ6の開閉方向に対して、垂直に交叉して移動する構成となっている。この三角折込みガイド10の頂部は、フィルム筒FCの側面中央部分にちょうど対向するように配設されている。
【0017】
三角折込みガイド10は、横シーラ6が横シールする際の前進に応じて、同期しながら前進してフィルム筒FCの両側方に水平に差し込まれる。これにより、側方が三角形状に折り込まれていき、横シーラ6による横シール(ボトムシール102)の形成と協働して、フィルム筒FCに角底103を成形することができる。
【0018】
図2は、本実施形態に係る縦形製袋充填包装機の製袋チューブの下端部付近を拡大して示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
また、縦形製袋充填包装機は、図1、図2に示すように、包装袋100の上部にガセット(折り込み部分104ともいう)を形成するために、一対のガセット折り部材20が横シーラ6の下方位置に設けられている。このガセット折り部材20は、縦折り部21と、斜面折り部22とを含み、三角折込みガイド10と同様に横シーラ6の開閉方向に対して、垂直に交叉して移動する構成となっている。ガセット折り部材20は、三角折込みガイド10と連動して移動し、フィルム筒FCの両側方に差し込まれる。これにより、横シーラ6による横シール(トップシール101)の形成と協働して、フィルム筒FCに折り込み部分104を成形する。
【0019】
ガセット折り部材20の縦折り部21は、平板状の金属板から形成される。縦折り部21は、フィルム筒FCの移動方向である縦方向に延在しており、フィルム筒FCの側面中央部分にちょうど対向するように配設されている。この縦折り部21は、フィルム筒FCにガセット折り部材20を差し込むときに、フィルム筒FCの側方中央部に対し端縁21aが線状に当接する。これにより、フィルム筒FCの側方が中央部分から綺麗に折り込まれることとなる。
【0020】
また、縦折り部21の下方位置には、同じく平板状の金属板からなる斜面折り部22が形成してある。斜面折り部22は、金属板の内側が抜けたV字形状となっており、縦折り部21を中心としてV字形状の先端から対称な両脇斜め下方に向かって広がるように形成されている。この斜面折り部22は、フィルム筒FCにガセット折り部材20を差し込むときに、フィルム筒FCの側方に対して徐々に当接していく。
【0021】
ここで、本実施形態のガセット付きの包装袋100に充填される被包装物Aは、種類や充填量等が様々である。例えば、図3(a)に示すように包装袋100の容量に対して半分程度の充填量とした被包装物Aもあれば、図3(b)に示すように一杯まで充填した被包装物Aもある。ガセット付きの包装袋100の上部は、これら種々の被包装物Aに応じて、折り込み部分104の傾斜面角度λやフラップ105の長さLが変わることとなる。
【0022】
本実施形態の斜面折り部22は、ガセット折り部材20を交換することによって縦折り部21に対する斜面角度α、及び仮想中心線に対する広がり角度βが自由に設定可能となっていて、折り込み部分104の傾斜面角度λやフラップ105の長さLの変更に対応することができる。具体的には、図3(a)に示す充填量が半分程度の場合は、斜面角度α及び広がり角度βが鋭角に形成された斜面折り部22が適用される。また、図3(b)に示す充填量が一杯の場合は、斜面角度α及び広がり角度βが鈍角に形成された斜面折り部22が適用される。
なお、斜面折り部22の斜面角度αや広がり角度βは、包装袋100の形状(袋幅や袋厚など)に大きく関わるため、こうした包装袋100の形状、及び被包装物Aの内容等を勘案して適宜設定することが好ましい。
【0023】
この斜面折り部22は、フィルム筒FCの側方に対して徐々に当接することで、その当接箇所を均等に折っていく。これにより、フィルム筒FCの側方をずれることなく折り込むことができ、縦折り部21の下方位置に均等にフラップ105が作られる。その結果、被包装物Aの内容にかかわらず、ガセット付きの包装袋100を綺麗に成形することができる。また斜面折り部22が平板状となっていることで、フィルム筒FCの折り込み時に端縁22aが線状に当接するため、折り込みやすくなり、この端縁22aによって、折目が明瞭で綺麗な折り込み部分104を成形することができる。
【0024】
このように本実施形態のガセット折り部材20を適用することで、フィルム筒を対称性を保ちつつ徐々に均等に折り込んでいくことができる。その結果、重ね合わせ部分がずれず、対称性が保たれた高品質なガセット付きの包装袋100を製造することができる。
【0025】
さらに、縦形製袋充填包装機は、図2に示すように横シーラ6の直下に、当該横シーラ6と同じ幅方向に延びる一対の押さえ部材30が設けてある。押さえ部材30は、フィルム筒FCにおける一対のガセット折り部材20が両側方から差し込まれる高さ領域に対して設けられ、横シーラ6とともに当該ガセット折り部材20と垂直に交叉して移動する構成となっている。この押さえ部材30は、スポンジ等の比較的形状の変形が容易な材質からなり、対向面の下方側が傾斜面31として形成されている。押さえ部材30は、横シーラ6による横シール時に、ガセット折り部材20の差し込み方向と垂直に交叉する前後方向からフィルム筒FCを押圧することになる。
【0026】
この押さえ部材30は、フィルム筒FCを押圧することで、傾斜面31に沿って包装袋100の上部を変形させる。これにより、同じくフィルム筒FCの側方に差し込まれるガセット折り部材20と協働して、包装袋100の折り込み部分104の成形を補助する。また押さえ部材30は、フィルム筒FCを押圧することで、フィルム筒FC内に存在する空気等のガスを容易に抜くことができる。よって、例えば包装袋100内に窒素ガス等を充填する場合でも、この窒素ガスを容易に抜いて、横シーラ6の横シールを良好な環境で行わせることができる。その結果、折り込み部分104を含めた包装袋100上部の折目が明瞭となり、より美観に優れたものとなる。
【0027】
図4は、本実施形態に係る縦形製袋充填包装機のガセット折り部材駆動装置を示す平面図であり、図5は、図4のガセット折り部材駆動装置の側面図である。
次に、図4、図5を参照して上記ガセット折り部材20の駆動装置について説明する。本実施形態のガセット折りは、横シーラ6がフィルム筒FCの前後側を挟んで、フィルム筒FCを閉じ方向に変形させる動作に連動して行われる。よって、ガセット折り部材駆動装置50は、横シーラ駆動装置40が横シーラ6を移動させる動作のうち、フィルム筒FCを挟んで変形させる動作に連動するように構成されている。
【0028】
横シーラ駆動装置40は、駆動源41、フレーム42、第1可動部材43、第1ヒータブロック6a、第2可動部材44、第2ヒータブロック6b、第2ヒータブロック用ブラケット45、スライドバー46を含んでいる。
【0029】
駆動源41は、制御装置(図示せず)に接続する回転モータ41bや減速機等を備えている。また駆動源41は、出力軸を両側に備え、この出力軸のそれぞれにレバー41a、41aが固定されている。第1可動部材43は第1アーム47を介して駆動源41のレバー41aの片側端に連結され、同じように第2可動部材44も、第2アーム48を介してレバー41aの反対側端に連結されている。第1可動部材43、第2可動部材44はそれぞれスライドバー46を介してフレーム42に支持され、駆動源41に対して水平面上を近接、離間するように移動する。駆動源41は、回転モータ41bの一方の回転にともなって第1可動部材43及び第2可動部材44を同時に駆動源41から離間する方向に移動させるとともに、回転モータ41bの逆回転によって離間した各可動部材43、44を同時に駆動源41に近接する方向に移動させる。
【0030】
フレーム42は、本横シーラ駆動装置40を固定する基台として設置され、第1可動部材43、第2可動部材44、第2ヒータブロック用ブラケット45を同一平面上に配置可能な構成となっている。
【0031】
第1可動部材43は、第1ヒータブロック6aを直接保持する部材でもあり、フレーム42上に移動自在に配置される。第1可動部材43の移動は、図4中において上下方向となる。第1ヒータブロック6aは、この第1可動部材43の駆動源41と反対側に取り付けられる。第1ヒータブロック6aは、第1可動部材43の駆動源41から離間する方向の移動にともなって、縦形製袋充填包装機のシール位置Xに向かって前進し、第1可動部材43の駆動源41に近接する方向の移動にともなって、このシール位置Xから後退する。
【0032】
一方、第2可動部材44は、第1可動部材43と同じく図4中において上下方向に移動自在となってフレーム42上に配置される。この第2可動部材44の両端部には、一対のスライドバー46が連結されている。スライドバー46は、図4中の下方向にシール位置Xを越えて延在し、第1可動部材43と対向する第2ヒータブロック用ブラケット45と連結している。この第2ヒータブロック用ブラケット45は、第1ヒータブロック6aと対向する側面に第2ヒータブロック6bが取り付けてある。
第1可動部材43が駆動源41から離間する方向に移動したときは、第2可動部材44も駆動源41から離間する方向に移動することとなり、これにともなってスライドバー46がスライドし、第2ヒータブロック用ブラケット45を第1可動部材側に移動させる。これにより、第2ヒータブロック6bがシール位置Xにあるフィルム筒FCに向かって前進する。また、第2可動部材44が駆動源41に近接する方向に移動すると、第2ヒータブロック6bがシール位置Xから後退する。
【0033】
以上のようにして、横シーラ駆動装置40は、横シーラ6の開閉動作を制御することができる。フィルム筒FCの横シールは、第1ヒータブロック6a、第2ヒータブロック6bが開き位置Yからシール位置Xに同時に前進して、シール位置Xにおいてフィルム筒FCを挟むことでなされる。また横シールが完了すると、第1ヒータブロック6a、第2ヒータブロック6bはシール位置Xから同時に後退して、開き位置Yに復帰することとなる。
【0034】
また、ガセット折り部材駆動装置50は、アングル51、シリンダ52、移動ブラケット53、カムローラ54、板カム55、第1支持部材56、第2支持部材57を含み、フィルム筒FCの両側方側に一対設置されている。なお、本記載では、片側のガセット折り部材駆動装置50について詳述していくこととする。
【0035】
シリンダ52は、アングル51を介してフレーム42に取り付けられている。このシリンダ52は、可動部をフィルム筒FCに近接する前進方向とフィルム筒FCから離間する後退方向に移動制御する機能を備えている。可動部の移動は、エア供給源(図示せず)から設定タイミング毎に供給されるエアによってなされる。また可動部の移動方向は、エアの供給方法を前進用または後退用に切り換えることで変更される。
【0036】
移動ブラケット53は、シリンダ52の可動部に対して取り付けられており、この移動ブラケット53には、カムローラ54、第1支持部材56、第2支持部材57が取り付けられている。カムローラ54は、移動ブラケット53の上方に回転自在に取り付けられている。
【0037】
また、第1支持部材56は、移動ブラケット53の上面に固定され、三角折込みガイド10が先端部に取り付けられている。三角折込みガイド10は、この第1支持部材56によって第1ヒータブロック6a、第2ヒータブロック6bの上面より僅かに高い位置に配置される(図5参照)。第2支持部材57は、移動ブラケット53の下部に固定され、ガセット折り部材20が先端部に取り付けられている。ガセット折り部材20は、この第2支持部材57によって第1ヒータブロック6a、第2ヒータブロック6bの下面より低い位置に配置される。
【0038】
カムローラ54、三角折込みガイド10、ガセット折り部材20は、移動ブラケット53が取り付けられた可動部の前進によって互いに近接し、可動部の後退によって互いに離間する。この近接時に、ガセット折り部材20及び三角折込みガイド10がフィルム筒FCの両側方に差し込まれることとなる。
【0039】
一方、板カム55は、このカムローラ54と同一平面上となるように高さ位置が調整された状態で、第1可動部材43の上面に取り付けられている。この板カム55は、シール位置Xの方向に延びるとともに、途中から開き方向に所定角度湾曲して形成されている。また板カム55は、第1可動部材43が駆動源41に引き寄せられた状態(第1ヒータブロック6aの開き位置Y)において、カムローラ54を越えた位置まで延在している(図4参照)。これにより板カム55は、カムローラ54の前進を規制する構成となっている。
なお、板カム55は、図示しない長孔を有しており、第1可動部材43との位置が調整可能となっている。
【0040】
次に、このガセット折り部材駆動装置50の動作について説明する。
既述したように、ガセット折り部材駆動装置50は、設定タイミングに従ってエア供給源からシリンダ52の可動部を前進させるエアが供給される。これにより移動ブラケット53は前進しようとするが、カムローラ54が、対向する板カム55により移動規制される。このため、第1ヒータブロック6aが開き位置Yにある状態では、ガセット折り部材20及び三角折込みガイド10の前進が待機状態となる。
【0041】
この状態から、回転モータ41bが回転して、第1可動部材43がシール位置Xに向かって前進すると、同時に板カム55も前進する。このため、待機状態となっていた移動ブラケット53は、カムローラ54が板カム55の傾斜にしたがって案内されつつ、前進を開始し、これによりガセット折り部材20及び三角折込みガイド10を前進させる。第1ヒータブロック6a、第2ヒータブロック6bがシール位置Xに達してフィルム筒FCを挟んだ状態では、ガセット折り部材20がフィルム筒FCの側方に差し込まれ、折り込み部分104を成形し、三角折込みガイド10がフィルム筒FCの側方を三角形状に折り込んで角底103を成形する。
【0042】
フィルム筒FCに折り込み部分104及び角底103を成形した後は、設定タイミングに従ってエア供給源からシリンダ52の可動部を後退させるエアが供給される。これにより移動ブラケット53が後退し、ガセット折り部材20及び三角折込みガイド10も後退する。なお第1ヒータブロック6a、第2ヒータブロック6bは横シールが完了すると、回転モータ41bの逆回転により後退し、開き位置Yに復帰することとなる。
【0043】
以上のように、本実施形態のガセット折り部材駆動装置50によるガセット折りは、横シーラ6がフィルム筒FCの前後側を挟む動作に連動して行うことができる。
ここで板カム55は、既述したように、第1可動部材43との位置を調整することで、第1ヒータブロック6aに対し、板カム55の取り付け位置を変更できる。一方、シリンダ52は、駆動源41と別動力であり、カムローラ54が板カム55に接触するまでに間隔があるので、移動ブラケット53を前進させるタイミングを自在に変更することができる。このように上記構成が変更可能なことで、ガセット折り部材駆動装置50は、様々な断面サイズの包装袋に適したタイミングで、横シーラ6にガセット折り部材20及び三角折込みガイド10を連動させることができるので、汎用性に優れる。
なお、剛性の高いフィルムの場合は、後退時のフィルムの引き戻しを防止するため、横シーラ6が閉じきる前にガセット折り部材20及び三角折込みガイド10を後退させるようにガセット折り部材駆動装置50を動作させることもできる。
【0044】
なお、本発明の縦形製袋充填包装機は、上記の各構成に限定されるものではなく、種々の応用例または変形例が適用可能なことは勿論である。
〔変形例〕
図6は、本発明のガセット折り部材の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
ガセット折り部材20の変形例として、斜面折り部22は、図6に示すように縦折り部21に対する斜面角度α、及び仮想中心線に対する広がり角度βを調整する調整機構23を備えた構成とすることができる。この調整機構23は、平板状の縦折り部21に対して斜面角度αを可変可能とする第1ヒンジ23aと、縦折り部21に沿う仮想中心線に対して広がり角度βを調整する第2ヒンジ23bとを備える。このような調整機構23を備えることで、斜面折り部22の斜面角度αや広がり角度βを自由に設定できるようになり、斜面角度αや広がり角度βの異なる複数のガセット折り部材20を用意する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る縦形製袋充填包装機の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る縦形製袋充填包装機の製袋チューブの下端部付近を拡大して示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
【図3】本実施形態に係る包装袋に充填される被包装物の量の相違と折り込み部分の状態を示す図である。
【図4】本実施形態に係る縦形製袋充填包装機のガセット折り部材駆動装置を示す平面図である。
【図5】図4のガセット折り部材駆動装置の側面図である。
【図6】本発明のガセット折り部材の変形例である。
【図7】従来の縦形製袋充填包装機においてガセット折りをした包装袋を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1:リール、2:フォーマ、3:製袋チューブ、4:繰出しベルト、5:縦シーラ、6:横シーラ、6a:第1ヒータブロック、6b:第2ヒータブロック
10:三角折込みガイド、
20:ガセット折り部材、21:縦折り部、22:斜面折り部、23:調整機構
30:押さえ部材、31:傾斜面、
40:横シーラ駆動装置、41:駆動源、42:フレーム、43:第1可動部材、44:第2可動部材、45:第2ヒータブロック用ブラケット、46:スライドバー、47:第1アーム、48:第2アーム、
50:ガセット折り部材駆動装置、51:アングル、52:シリンダ、53:移動ブラケット、54:カムローラ、55:板カム、56:第1支持部材、57:第2支持部材、
100:包装袋(ガセット付き)、101:トップシール、102:ボトムシール、103:角底、104:折り込み部分、105:フラップ、
A:被包装物、F:フィルム材、FC:フィルム筒、X:シール位置、Y:開き位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム材を繰出しながら製袋チューブの回りに筒状に形成するとともに前記フィルム材の両側縁を縦シールしてフィルム筒を成形し、一方、前記フィルム筒に横シールを周期的に形成した後、この横シールを中央から切断することにより、上下にトップシール及びボトムシールを有し且つその内部に被包装物が充填された包装袋を個々に製造する縦形製袋充填包装機において、
前記フィルム筒に対し横シール部の下方位置で両側方から差し込まれる一対のガセット折り部材を備え、当該ガセット折り部材は、
前記フィルム筒の移動方向である縦方向に延在し、前記フィルム筒の幅方向中央部に差し込まれる縦折り部と、
当該縦折り部の下方位置から、当該縦折り部を中心として対称な両脇斜め下方に向かって広がる斜面折り部と、
を含むことを特徴とする縦形製袋充填包装機。
【請求項2】
前記縦折り部および斜面折り部は、ともに平板状に形成されていることを特徴とする請求項1の縦形製袋充填包装機。
【請求項3】
前記フィルム筒における前記一対のガセット折り部材が両側方から差し込まれる高さ領域に対し、当該差し込み方向と垂直に交叉する前後方向から前記フィルム筒を押圧する押さえ部材を備えることを特徴とした請求項1または2に記載の縦形製袋充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−120648(P2010−120648A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293270(P2008−293270)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】