説明

縦方向に延伸した多層フィルム

フィルムを作製する方法が開示される。この方法は、ドローダウン比が増大するにつれてフィルムのダートドロップ衝撃試験強度が増加するようになるドローダウン比で、多層フィルムを縦方向に延伸することを含む。この多層フィルムは、少なくとも1層の直鎖低密度ポリエチレン層、および少なくとも1層の高密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレン層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエチレンフィルムに関する。より詳細には、本発明は縦方向に延伸した多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは、高密度(HDPE、密度0.941g/cm3以上)、中密度(MDPE、密度0.926〜0.940g/cm3)、低密度(LDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)、および直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)に分類される。ASTM D4976−98:Standard Specification for Polyethylene Plastic Molding and Extrusion Materialsを参照されたい。ポリエチレンは分子量によっても分類することができる。例えば、超高分子量ポリエチレンとは、重量平均分子量(Mw)が3,000,000を超えるものを意味する。米国特許第6,265,504号を参照されたい。高分子量ポリエチレンとは通常、Mwが130,000〜1,000,000であるものを意味する。
【0003】
ポリエチレン(HDPE、MDPE、LLDPE、およびLDPE)の主要な用途の一つは、レジ袋、公共用および消費者用ゴミ袋、商品用袋、輸送袋、食品包装フィルム、多重袋ライナー(multi−wall bag liner)、野菜袋、ラップフィルム、ストレッチラップ、シュリンクラップなどの、フィルム製品である。ポリエチレンフィルムの重要な物性には、引裂き強度、衝撃強度、引張り強度、剛性、透明性が含まれる。フィルムの剛性は弾性率で測定することができる。弾性率は応力の下でのフィルムの変形抵抗である。
【0004】
縦方向延伸(MDO)は、ポリオレフィン業界で知られている。ポリマーが一軸方向の応力を受けて引き伸ばされると、配向が引張り方向に揃うようになる。例えば、米国特許第6,391,411号は、高分子量の(MnおよびMwともに1,000,000超)HDPEフィルムのMDOを教示している。しかし、高分子量HDPEフィルムを高いドローダウン比まで引き伸ばすことが難しいために、これらのフィルムのMDOは制限されている。
【0005】
現在のポリエチレンフィルムは通常、包装のダートドロップ衝撃強度要件を満たすために、弾性率、降伏強度、破断強度など、いく種類かの特性が損なわれている。このような特性を損なわないポリマーフィルムが、バッグの性能のみならずバッグの生産およびバッグへの充填に伴う経済性を改善するために望まれる。例えば、フィルムの弾性率および降伏強度を増すことによって、消費者が手を触れた後もその形状を保持しながら、より大量の品物を包装することが可能な、より大きなバッグを生産することができる。バッグの弾性率がより高ければ、充填ラインをより速く走らせることも可能になり、充填工程の全体の経済性が改善される。
【0006】
フィルムの降伏強度を増すことによって、バッグが応力の下で伸びにくくなり、したがってバッグが元の形状および寸法を保持する。これによって、フィルムが負荷を受けて降伏し薄くなることにより破断する量が減少する。また、バッグの印刷された表面が変形されず、包装の美的品質が保たれ、消費者によるブランド意識が高められる。
【0007】
さらに、上述の特性を損なわないフィルムは、フィルム肉厚の削減を可能にし、製品に関わる経済性をさらに改善する。このような技術革新が、高荷重輸送袋業界の全てにとって性能および経済的利益の両方を提供する新製品を創造するために望ましい。
[発明の概要]
本発明の方法は、ドローダウン比が増大するにつれてフィルムのダートドロップ強度が増加するようになるドローダウン比で、多層(multilayer)フィルムを縦方向(MD)に延伸することを含む。この多層フィルムは、少なくとも1層の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)層、および少なくとも1層の高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)層を含む。
【0008】
フィルムが延伸されるとフィルムが薄くなるので、そのダートドロップ衝撃強度は通常減少する。驚くべきことに、多層フィルムがあるドローダウン比を超えて縦方向に延伸されると、ドローダウン比が増大するにつれてフィルムのダートドロップ強度が増加し、延伸されたフィルムが、遂には元のフィルムのダートドロップ強度値を超えるダートドロップ値を持ちうることを、本発明者は見出した。したがって、本発明は、高弾性率、高引張強度、高ダートドロップ衝撃強度を併せ持つ縦方向延伸(MDO)多層フィルムを生産する新たな方法を提供する。
[発明の詳細な説明]
本発明の方法は、フィルムのダートドロップ衝撃強度が、ドローダウン比が増大するにつれて増加するようになるドローダウン比で、多層フィルムを縦方向(MD)に延伸することを含む。この多層フィルムは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)の少なくとも1層、および高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)の少なくとも1層を含む。
【0009】
適当なLLDPEは、好ましくは、エチレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなど、長鎖α−オレフィン5重量%〜15重量%とのコポリマーである。適当なLLDPEには、密度が約0.910g/cm3〜約0.925g/cm3の範囲のものが含まれる。適当なLLDPEには、いわゆる超低密度ポリエチレン(VLDPE)も含まれる。適当なVLDPEの密度は、0.865g/cm3〜0.910g/cm3の範囲である。
【0010】
適当なMDPEの密度は、好ましくは、約0.926g/cm3〜約0.940g/cm3の範囲である。より好ましくは、密度が、約0.930g/cm3〜約0.940g/cm3の範囲である。好ましいMDPEは、エチレンの繰返し単位約85重量%〜約98重量%と、C3〜C10のα−オレフィンの繰返し単位約2重量%〜約15重量%を含むコポリマーである。適当なC3〜C10のα−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなど、およびそれらの混合物が含まれる。
【0011】
MDPEは、二頂性または多頂性の分子量分布を有することが好ましい。二頂性または多頂性のMDPEを作製する方法は知られている。例えば、米国特許第6,486,270号は、MDPEのマルチプルゾーン(multiple−zone)法による製造を教示している。
【0012】
適当なHDPEの密度は、好ましくは、約0.941g/cm3〜約0.970g/cm3の範囲である。より好ましくは、密度は、約0.945g/cm3〜約0.965g/cm3の範囲である。最も好ましくは、密度は、約0.958g/cm3〜約0.962g/cm3の範囲である。
【0013】
LLDPE、MDPEおよびHDPEのMI2は、約0.01〜約1.5デシグラム/分であることが好ましく、約0.01〜約1.0デシグラム/分であることがより好ましい。LLDPE、MDPEおよびHDPEのMFRは、約50〜約300であることが好ましい。メルトインデックス(MI2)は通常、ポリマーの分子量を測定するのに使用され、メルトフロー比(MFR)は、分子量分布を測定するのに使用される。より大きなMI2が、より低い分子量を示す。より大きなMFRが、より広い分子量分布を示す。MFRは、高荷重メルトインデックス(HLMI)とMI2の比である。MI2およびHLMIは、ASTM D−1238に従って測定することができる。MI2は、190℃、圧力2.16kgで測定される。HLMIは、190℃、圧力21.6kgで測定される。
【0014】
LLDPE、MDPEおよびHDPEの数平均分子量(Mn)は、約10,000〜約500,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは約11,000〜約50,000、最も好ましくは約11,000〜約35,000である。LLDPE、MDPEおよびHDPEの重量平均分子量(Mw)は、約120,000〜約1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは約135,000〜約500,000、最も好ましくは約140,000〜約250,000である。LLDPE、MDPEおよびHDPEの分子量分布(Mw/Mn)は、約3〜約20の範囲であることが好ましく、より好ましくは約4〜約18、最も好ましくは約5〜約17である。
【0015】
Mw、Mn、およびMw/Mnは、混合床GPCカラム(Polymer Labs mixed B−LS)および移動相として1,2,4−トリクロロベンセン(TCB)を装備したWaters GPC2000CV高温装置でのゲル透過クロマトグラフィーによって求められる。移動相は、表示流速1.0ミリリットル/分、温度145℃で使用される。移動相に酸化防止剤は添加されないが、サンプルを溶解するために、800ppmのBHTを溶媒に添加する。ポリマーサンプルを、30分毎に緩やかに撹拌しながら175℃に2時間加熱する。注入量は100マイクロリットルである。
【0016】
MwおよびMnは、Waters Millennium 4.0ソフトウエアで用いられる累積マッチング%較正手順(cummulative matching % calibration procedure)を用いて較正する。この手順では、まず狭いポリスチレン標準(PSS、Waters Corporationの製品)を用いて較正曲線を作成し、次いでユニバーサルキャリブレーション手順(Universal Calibration)によってポリエチレンの較正曲線を作成する。
【0017】
適当なLLDPE、MDPE、およびHDPEは、チーグラー触媒、シングルサイト触媒、またはその他のオレフィン重合用触媒によって生産することができる。チーグラー触媒はよく知られている。適当なチーグラー触媒の例としては、ハロゲン化チタン、チタニウムアルコキシド、ハロゲン化バナジウム、およびそれらの混合物が含まれる。チーグラー触媒はアルキルアルミニウム化合物などの助触媒と共に使用される。
【0018】
シングルサイト触媒は、メタロセン触媒と非メタロセン触媒に分類することができる。メタロセンシングルサイト触媒は、シクロペンタジエニル(Cp)またはCp誘導体の配位子を含む遷移金属化合物である。例えば、米国特許第4,542,199号はメタロセン触媒を教示している。非メタロセンシングルサイト触媒は、Cp以外の配位子を含んでいるが、触媒特性がメタロセンと同じである。非メタロセンシングルサイト触媒は、例えばボロアリール、ピロリル、アザボロリニル、キノリルなどのヘテロ原子配位子を含むことができる。例えば、米国特許第6,034,027号、5,539,124号、5,756,611号、および5,637,660号は非メタロセン触媒を教示している。
【0019】
任意選択で、多層フィルムは、ガスバリヤー層、接着層、医療用層、難燃性層など、その他の層を含む。これら任意選択の層に適当な材料には、ポリ(ビニリデンクロライド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンメチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、アイオノマー、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、K−レジン(スチレン/ブタジエンブロックコポリマー)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)など、およびそれらの混合物が含まれる。
【0020】
多層フィルムは、共押出し法、コーティング法、およびその他の任意のラミネーションプロセスによって作製することができる。これらは、キャスト法またはインフレーション法によって作製することができる。インフレーション法には、ハイストーク(high−stalk)法およびインポケット(in−pocket)法が含まれる。ハイストーク法とインポケット法の違いは、ハイストーク法では、押出しチューブを押出しダイからある距離[即ちストーク(stalk)の長さ]だけ離れた所で膨らませるが、インポケット法では、チューブが押出しダイから出るとともに押出しチューブを膨らませることである。
【0021】
多層フィルムは、機械(または加工)方向に一軸に延伸する。これは、いわゆるMDOである。MDOの間、インフレートフィルムラインまたはその他のフィルムプロセスからのフィルムは、延伸温度に加熱される。延伸温度は、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)の差の60%と、溶融温度(Tm)の間であることが好ましい。例えば、その混合物のTgが25℃でTmが125℃であるならば、延伸温度は約60℃〜約125℃の範囲内であることが好ましい。複数の加熱ローラーを利用して加熱することが好ましい。
【0022】
次に、加熱されたフィルムは、回転速度が加熱ローラーと同一である、ニップローラー付きの低速引取ロールに供給される。次いで、フィルムは高速引取ロールに入る。高速引取ロールの速度は、低速引取ロールの2〜10倍であり、これによってフィルムは連続して効果的に延伸される。
【0023】
次いで、延伸されたフィルムは、フィルムを高温にある時間保持することによって応力緩和を可能にするアニーリング熱ローラーに入る。アニーリング温度は、約100℃〜約125℃の範囲、アニーリング時間は、約1〜約2秒の範囲であることが好ましい。最後に、フィルムは、冷却ローラーを経由して室温に冷却される。
【0024】
延伸前と延伸後のフィルム肉厚の比は、「ドローダウン比」と呼ばれる。例えば、6ミル(0.15mm)フィルムが0.6ミル(0.015mm)に延伸されると、ドローダウン比は10:1である。本発明の方法によれば、フィルムのダートドロップ強度が、ドローダウン比とともに増加するときのドローダウン比は十分に高い。予想通り、多層フィルムを縦方向延伸すると、そのダートドロップ値は、ドローダウン比が増大するにつれて減少する。しかし、驚くべきことに、フィルムをある点を越えて延伸すると、ダートドロップ値が、ドローダウン比が増大するにつれて増加することを、本発明者は見出した。延伸を続けると、延伸されたフィルムは、遂には未延伸フィルムのダートドロップ値を超えたダートドロップ値をもつことができる。
【0025】
ドローダウン比が増大するにつれてダートドロップ値が増加に転ずる臨界点は、フィルム層の特性、フィルム加工条件、MDO条件を含めた多くの要因に依存する。ドローダウン比が6:1を超えることが好ましい。ドローダウン比が8:1を超えることがより好ましい。ドローダウン比が10:1を超えることが最も好ましい。多層フィルムの各層が層間剥離および多重フィルム(multi−wall film)の形成を開始する程度にまで、多層フィルムを延伸することが好ましい。
【0026】
本発明は、本発明の方法によって作製された縦方向延伸フィルムを含む。本発明は、本発明の方法によって作製された多重フィルムも含む。本発明のフィルムは、高弾性率および高引張り強度を有するのみならず、高いダートドロップ衝撃強度を有する。本発明のフィルムは、高弾性率、高引張り強度、高衝撃強度を兼ね備えているため、高荷重バッグを作製するのにとりわけ有用である。
【0027】
本発明のフィルムの縦方向および横方向(transverse direction)の1%正割弾性率は、150,000psi(10,545kg/cm2)を超えることが好ましく、200,000psi(14,060kg/cm2)を超えることがより好ましく、250,000psi(17,575kg/cm2)を超えることが最も好ましい。弾性率はASTM E−111−97に従って試験する。
【0028】
フィルムの縦方向の引張り降伏強度および破断強度は、30,000psi(2,109kg/cm2)を超えることが好ましく、35,000psi(2,460kg/cm2)を超えることがより好ましく、40,000psi(2,812kg/cm2)を超えることが最も好ましい。引張り強度は、ASTM D−882に従って試験する。
【0029】
フィルムのヘイズは、30%未満であることが好ましく、50%未満であることがより好ましい。ヘイズは、ASTM D1003−92:Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics,Oct.1992に従って試験する。フィルムの光沢は、20を超えることが好ましく、30を超えることがより好ましい。光沢は、ASTM D2457−90:Standard Test Method for Specular Gloss of Plastic Films and Solid Plasticsに従って試験する。
【0030】
以下の実施例は、本発明を例示するものにすぎない。当業界の技術者なら、本発明の精神および特許請求の範囲の範囲に含まれる多くの変形形態を理解するであろう。
【実施例】
【0031】
実施例1〜6
LLDPE/MDPE/LLDPE三層フィルムの縦方向延伸
2.5mmのダイギャップの1000mmダイで、中密度ポリエチレン(XL3805、Equistar Chemical,LPの製品、MI2:0.057デシグラム/分、密度:0.938g/cm3、Mn:18,000、Mw:209,000)を直鎖低密度ポリエチレン(GS707、Equistar Chemical,LPの製品、密度:0.915g/cm3、MI2:0.700デシグラム/分、Mn:30,000、Mw:120,000)と共押し出しし、肉厚14.0ミル(0.35mm)の等しく層を成す三層(LLDPE/MDPE/LLDPE)フィルムに変換した。フィルムは、インポケット法で、2:1の膨張比(BUR)で作製する。
【0032】
次いで、フィルムを、実施例1〜6において、それぞれ4、5、6、7、8、および9.3:1のドローダウン比で、縦方向に延伸してより薄いフィルムにする。9.3:1のドローダウン比は、ポリマーフィルムによってではなく延伸設備によって制限される最大ドローダウン比である。各フィルムの性質を表1にリストする。低いドロー比では、予想通りドローダウン比が増大するにつれてダートドロップ値が減少することが示される。特定のドロー比から、ダートドロップ値が増加を開始し、初期のフィルムのダートドロップ値を大きく超えるようになる。
【0033】
【表1】

【0034】
比較例7〜11
HDPE単層フィルムの縦方向延伸
各フィルムが、単層HDPE構造(L5005、Equistar Chemical,LPの製品、密度:0.949g/cm3、MI2:0.057デシグラム/分、Mn:12,600、Mw:212,000)として作製される点以外は、実施例1〜6を繰り返す。各フィルムの性質を、表2にリストするが、ドローダウン比が増大するにつれてダートドロップ値が著しく減少し、実施例1〜6の多層フィルムで見られた、ダートドロップ値の劇的な上昇は観測されないことが示されている。7.9:1のドローダウン比は、ポリマーフィルムによってではなく延伸設備によって制限される最大ドローダウン比である。
【0035】
【表2】

【0036】
比較例12〜19
MDPE−LLDPE混合物からの単層フィルムの縦方向延伸
各フィルムが、MDPE(XL3805、Equistar Chemical,LPの製品、MI2:0.057デシグラム/分、密度:0.938g/cm3、Mn:18,000、Mw:209,000)およびLLDPE(GS707、Equistar Chemical,LPの製品、密度:0.915g/cm3、MI2:0.700デシグラム/分、Mn:30,000、Mw:120,000)の混合物からの単層フィルムとして作製される点以外は、実施例1〜6を繰り返す。混合物中の成分の割合は、フィルム全体に存在する各材料の百分比が、実施例1〜6で示された多層フィルムの成分の割合と同じになっている。各フィルムの性質を、表3にリストするが、ドローダウン比が増大するにつれてダートドロップ値が著しく減少し、実施例1〜6の多層フィルムで見られた、ダートドロップ値の劇的な上昇は観測されないことが示されている。10.6:1のドローダウン比は、ポリマーフィルムによってではなく延伸設備によって制限される最大ドローダウン比である。
【0037】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローダウン比が増大するにつれてフィルムのダートドロップ衝撃試験強度が増加するようになるドローダウン比で、多層フィルムを縦方向に延伸するステップを含む方法であって、前記フィルムが、少なくとも1層の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)層、および少なくとも1層の高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)層を含む方法。
【請求項2】
前記HDPEの密度が0.941g/cm3から0.970g/cm3の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MDPEの密度が0.926g/cm3から0.940g/cm3の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記LLDPEの密度が0.865g/cm3から0.925g/cm3の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルムを、フィルム層間剥離を引き起こすのに有効なドローダウン比に延伸する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルムのダートドロップ強度が元のフィルムのダートドロップ強度を超えるようになるドローダウン比に、前記フィルムを延伸する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
LLDPE、HDPE、およびMDPEのそれぞれの重量平均分子量(Mw)が120,000から1,000,000の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Mwが135,000から500,000の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記Mwが140,000から250,000の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
LLDPE、HDPE、およびMDPEのそれぞれの数平均分子量(Mn)が10,000から500,000の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記Mnが11,000から50,000の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記Mnが11,000から35,000の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1の方法によって作製される、延伸フィルム。
【請求項14】
請求項5の方法によって作製される、多重(multi−wall)フィルム。

【公表番号】特表2007−528309(P2007−528309A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502821(P2007−502821)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/004719
【国際公開番号】WO2005/092595
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(501391331)エクイスター ケミカルズ、 エルピー (30)
【氏名又は名称原語表記】Equistar Chemicals,LP
【Fターム(参考)】