説明

繊維強化プラスチックの部品を製造するための方法および装置

本方法は、a)素材(3)を提供し、b)セグメント(1;22)を備えたセットを備えた第1のツールを提供し、c)閉ポジションで互いに隣接配置されたとき製造される部品表面の形状を描く第2のツール面を形成するセグメント(2a;2b)の第1・第2のセットを備えた第2のツールを提供し、d)閉ポジションへと第2のツールの第1のセットのセグメント(2a)を移動させ、e)閉ポジションへと第2のツールの第2のセットのセグメント(2b)を移動させ、f)第1・第2のツールに圧力を加えてその間で素材(3)を圧縮するステップを具備する。セグメント(2a;2b)は、閉ポジションに向かうセグメント(2b;21)の移動の間絶えず、このセグメント(2b;21)に関する閉ポジションまでの瞬間移動距離は、セグメント(2a;20)に関する閉ポジションまでのそれを超えるよう移動させられる。これは、繊維強化プラスチック、特にホイール、リムなどのリング状部品の製造を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の製造、特に繊維強化プラスチックからなる部品の製造に関する。それは、請求項の冒頭に記載された方法および装置に関する。
【0002】
本発明は、多くの分野で、たとえば自動車などのためのリムあるいはホイールの製造の分野で、あるいは航空機製造の分野で、特に胴体を補強するのに使用されるストリンガーの製造において利用可能である。電気産業において、本発明は、たとえば、熱可塑性ガラス繊維プレプレグからのガラス繊維強化インシュレータの製造のために利用可能である。
【背景技術】
【0003】
自動車産業においては、非常に軽量な部品、ならびに高い剛性および強度と組み合わされた良好な破壊挙動を呈する部品が絶えず求められている。これは、たとえば、ホイールおよびリムに当てはまる。リムあるいはその一部を製造するための、さまざまな手法が当該分野においては周知である。
【0004】
特許文献1は、繊維強化プラスチックからなるホイールを開示しているが、ここでは、繊維ストランドの大部分は、リム内では周方向に、そしてホイールスパイダー内では半径方向に向けられている。これは、たとえば、単方向無端繊維の巻き取りによって実現される。これは、特に、複雑な部品ジオメトリーの場合に、産業分野における製造方法の実施を困難にする。
【0005】
特許文献2においては、湾曲した繊維強化熱可塑性樹脂プロファイルの製造方法が提案されている。熱可塑性樹脂予備含浸繊維(通常、熱可塑性「プレプレグ」と呼ばれる)は、成形ツール内で加圧されながら加熱される。そのようにして成形されたプレプレグプロファイルは、成形プロセスの後に冷却される。続いては、プレプレグプロファイルが、二つの本質的に固定された部材間のスロットを経て滑り様式で押し付けられる。このようにして、プレプレグプロファイルには、再び、圧力が、すなわちツール部材との滑り相互作用に由来する圧力が加えられる。プロファイルには、こうして、基本的に、固定ツール部材と湾曲ツール部材の湾曲との間のスロットの断面が付与される。この方法の欠点は、熱可塑性樹脂プロファイルは、それが動いている間に処理されることである。すなわち、プレプレグの層は、処理の間に、滑るか、曲がるか、変位することがあり、これによって最終製品が損傷する。この方法を採用する場合、温度および圧力を概ね一定に維持することはさらに困難である。さらに、リング状部品などの、ある形状の部品は、この方法では製造できない。
【0006】
特許文献3においては、複合素材の事前成形コンポーネント(プリフォーム)を製造するための方法が開示されている。繊維状プレアセンブリ、すなわち所定配向の繊維を有する布が使用される。布の変形可能なメッシュが事前成形マトリックスあるいは成形具上に配置され、続いて、この成形具の周囲で数層の厚みまで巻回される。この巻回体は成形具の大きな直径で固定され、これによって、繊維は規定の様式で配向される。こうして得られたプリフォームはリングのような形状を持つことができる。このプリフォームは形枠内に配置でき、そして続いて、レジンを真空圧のもとでかつ/または移送圧力を用いてプリフォームを経て移送することができ、そして最後に、レジンを適切な温度で架橋することができる。熱可塑性レジンの射出は、熱可塑性素材の高い粘性のために、不可能あるいは少なくとも極めて困難であると予測される。
【0007】
特許文献4は、シームレス金属製ホイールリムの製造方法を開示している。このリムの所望の断面は、二つの輪郭取りされた円形型枠によって、金属の基礎リング形状部材上に押し付けられる。この方法は、繊維複合素材に対して簡単に適用することはできない。なぜなら、金属において生じる成形メカニズムが繊維を含む素材においては生じないからである。
【0008】
特許文献5においては、熱可塑性複合素材からなるシームレスリング形状構造体の製造方法が開示されている。この多少シンプルな方法は、インナーおよびアウターリング形状型枠間に、熱可塑性複合プレプレグ素材の複数の層からなる環状プリフォームを装填することに基づく。二つの上記型枠の少なくとも一方は、それがプリフォームの一部に圧力を局所的に加えるように回転し、ここで、プリフォームは、少なくとも圧力が加えられる領域において処理温度まで加熱される。明らかに、この動的処理を自動化しようと試みときに問題が生じる。さらに、プリフォームのプレプレグ素材の層のスリップあるいはオーバーラップ作用を回避するために適切な圧力を加えている間に一定の処理温度分布を実現することは、かなり困難である。温度および圧力などの最適化された処理パラメーターを用いてさえ、産業スケールでの利用のために必要な再現性および品質を保証するのは困難あるいは不可能である。なぜなら、処理を通じて、こうしたパラメーターを一定に適用するのは、産業的な製造を実現するためには明らかに不可能であるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第101 45 630号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第43 35 062号明細書
【特許文献3】欧州特許第842 757号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2 010 155号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/050405号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一つの目的は、上記欠点あるいは問題を呈さない部品を製造するための方法を創出することである。さらに、部品を製造するための個々の装置が提供される。
【0011】
本発明の別な目的は、部品、特に優れた機械的特性を備えた軽量部品、特に良好な破壊挙動および/または高い剛性および/または高い強度を有する部品を製造するための可能性を提供することである。
【0012】
本発明の別な目的は、強化プラスチック性の部品を製造するための可能性を提供することである。
【0013】
本発明の別な目的は、部品を、特に強化プラスチック製の部品を、とりわけ強化熱可塑性樹脂製の部品を製造する際に、大きなプロセスウィンドウ(process windows)を提供するための可能性を提供することである。
【0014】
本発明の別な目的は、急な破損の場合に特に安全な挙動を示す部品を製造するための可能性を提供することである。
【0015】
本発明の別な目的は、改良された破壊挙動を示す部品を製造するための可能性を提供することである。
【0016】
本発明の別な目的は、部品を製造するための改良されたサイクル時間を実現するための可能性を提供することである。
【0017】
本発明の別な目的は、特殊な形状あるいはジオメトリーを、特に環状あるいはリング状形状あるいは類似の形状を有する部品を製造するための可能性を提供することである。
【0018】
本発明の別な目的は、シームレスな部品、特にシームレスなリング形状部品を製造するための可能性を提供することである。
【0019】
本発明の別な目的は、改良された絶縁特性(特に熱および/または電気絶縁)を有する部品、および/または改良された化学的不活性あるいは耐性を示す部品を製造するための可能性を提供することである。
【0020】
本発明の別な目的は、部品を、特に実質的に強化プラスチックからなる部品を一層容易に製造するための可能性を提供することである。
【0021】
本発明の別な目的は、実質的に強化熱可塑性樹脂から、特にガラス繊維強化熱可塑性樹脂あるいは炭素繊維強化熱可塑性樹脂からなる部品を製造するための改善された可能性を提供することである。
【0022】
本発明の別な目的は、リムあるいはホイールあるいはその一部を製造するための改善された可能性を提供することである。
【0023】
本発明の別な目的は、インシュレータ、特に強化インシュレータを製造するための改善された可能性を提供することである。
【0024】
本発明の別な目的は、胴体の補強要素として航空機において使用するためのストリンガーを製造するための改善された可能性を提供することである。
【0025】
さらなる目的は、以下の説明ならびに実施形態から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的の少なくとも一つは、少なくとも部分的に、本発明に係る装置および方法によって達成される。
【0027】
部品を製造するための方法は、
a)素材を提供するステップと、
b)少なくとも一つのセグメントを備えた少なくとも一つのセットを備えた第1のツールを提供するステップと、
c)少なくとも一つのセグメントであって、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で互いに隣り合って配置されたとき、製造されることになる部品の表面の一部の形状を描く第2のツール面を形成する少なくとも一つのセグメントの少なくとも一つの第1および少なくとも一つの第2のセットをそれぞれ備えた第2のツールを提供するステップと、
d)閉ポジションへと第2のツールの第1のセットの少なくとも一つのセグメントを移動させるステップと、
e)閉ポジションに向かってかつ閉ポジションへと第2のツールの第2のセットの少なくとも一つのセグメントを移動させるステップと、
f)第1および第2のツールの少なくとも一方に対して圧力を加えることによって、少なくとも第1および第2のツール間で素材の少なくとも一部を、特に少なくとも実質的に素材の全てを圧縮するステップとを具備し、
第2のツールのセグメントは、閉ポジションに向かう第2のツールの第2のセットの少なくとも一つのセグメントの移動の間絶えず、第2のツールの第2のセットの少なくとも一つのセグメントに関する閉ポジションまでの瞬間移動距離は、第2のツールの第1のセットの少なくとも一つのセグメントに関する閉ポジションまでの瞬間移動距離を上回るように移動させられる。
【0028】
上記第1および第2のツールを検討することもでき、したがって、それらを第1および第2の加圧ツールあるいは第1および第2の型枠と呼ぶことができる。
【0029】
ある実施形態では、本方法は、強化プラスチック製の部品を製造するための方法、特に繊維強化プラスチック製(特に繊維強化熱可塑性樹脂製)の部品を製造するための方法である。
【0030】
先に提示した実施形態と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、上記部品を産業的に生産するための方法である。
【0031】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材は樹脂を含み、かつ、上記圧縮は樹脂の架橋を促進するために実施される。
【0032】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、完成品であるか、あるいは、一つ以上の仕上げ生産ステップを経ることになる中間製品である。
【0033】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、シームレス部品を製造するための方法である。
【0034】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記セグメントは、所定の方向あるいは経路に沿って移動させられる。
【0035】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第1および第2のツールの上記セグメントは、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で配置されたとき、製造されることになる上記部品の表面の一部の形状を描くツール面を形成し、特に、上記第1および第2のツールの上記セグメントは、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で配置されたとき、実質的に、製造されることになる上記部品の完全な表面の形状を描くツール面を形成する。
【0036】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、ステップf)は、上記素材(あるいはその一部)を所望の形状に成形するために実施され、素材に加えられる圧力は成形圧力とも呼ばれる。
【0037】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、ステップf)における作用圧力は、上記第2のツールのセグメントに対する少なくとも上記第1のツールのセグメントの相対的な移動を引き起こす。
【0038】
実際、ある実施形態において、ステップf)における圧縮の間、二つの段階を区別することは可能である。すなわち、全てのツールが閉ポジションに達する前の加圧に関して、この段階では、少なくとも上記第2のセットのセグメントが移動させられ、この段階は、素材内のガス(通常は空気)を素材から除去するために有用である。そして、第1のセットのセグメントおよび第2のツールの第2のセットのセグメントが既に閉ポジションにある間の加圧に関し、この段階の間は、第2のセットのセグメントに対する第1のセットのセグメントの相対移動は、もはや生じない。
【0039】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、ステップd)において、上記第2のツールの上記第1のセットの少なくとも一つのセグメントは、上記閉ポジションに向かってかつ閉ポジションへと初期ポジションから移動させられる。
【0040】
先に提示した実施形態と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第2のツールの上記第2のセットの上記セグメントの少なくとも一つは、上記第2のツールが上記閉ポジションにあるときには、上記第2のツールの上記第1のセットの一つ以上の隣接セグメント間に配置され、そして上記第2のツールの上記第1のセットの上記一つ以上の隣接セグメント間の開口は、上記初期ポジションから上記閉ポジションに達する前に第1のセットによって到達された中間ポジションまで、上記第2のツールの上記第2のセットの上記セグメントの上記少なくとも一つが上記閉ポジションに向かう、その途上で通り抜けるには小さすぎる。
【0041】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第2のツールのセグメントに対して加えられる圧力の方向は、少なくとも実質的に、少なくとも上記閉ポジション付近にあるとき、ステップd)およびe)のそれぞれにおいて言及した個々のセグメントの移動の方向と一致する。特に、ステップd)およびe)のそれぞれにおいて言及した上記移動は、少なくとも実質的に、直線に沿って実施され、かつ、圧力の上記方向は、少なくとも実質的に、移動のそれぞれの方向と一致する。
【0042】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、主として、特に実質的に、連続繊維強化部品である(そして上記素材は、これに対応して、連続繊維強化プラスチックを含む)。そうした実質的に連続した繊維によって強化された部品は、顕著な特性を有する。
【0043】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、主として、特に実質的に、配向された繊維である繊維を含む(かつ上記素材はこれに対応して配向された繊維を含む)。そうした様式で補強された部品は、顕著な特性を発揮し得る。繊維の向きは、製造されることになる部品の所望の特性に応じて選択される。たとえば、最適な繊維の向きを見つけるために計算/シミュレーションを実施できる。たいてい、素材には複数の層が含まれ、その一つ以上は同じ、そしてその一つ以上は異なる繊維の向きを有することになる。
【0044】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、リムあるいはホイールあるいはその一部である。
【0045】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、インシュレータ、特に強化インシュレータ、特に実質的に円筒形状インシュレータである。
【0046】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、胴体の補強要素として航空機において使用されるストリンガーである。
【0047】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第2のツールの上記第1のセットは、上記第2のツールの上記第2のセットが上記素材と接触状態とされる前に、上記素材と接触状態とされる。特に、圧力は、上記第2のツールの上記第1のセットによって上記素材に対して圧力が加えられた後でのみ、上記第2のツールの上記第2のセットによって上記素材に対して加えられる。とりわけ、上記第2のツールの上記第1および第2のセットは、圧力が上記第2のツールの上記第2のセットによって上記素材に加えられたとき、圧力がまた、上記第2のツールの上記第1のセットによって上記素材に加えられるように構成され、配置され、そして動作させられる。
【0048】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第1のツールはアウターツールでありかつ上記第2のツールはインナーツールであり、あるいは逆も同様であり、特に、インナーツールは、上記移動ステップの間、概して上記アウターツールによって描かれる形状の概して内側に配置される。
【0049】
たいてい、上記第1のツール、特にそのセグメントは、第2のツールのセットの移動の間、適所にて保持される。これは、上記第1のツールのセグメントに対して相応の力を加えることによってかつ/または第1のツールのセグメントを互いに固定することで実現できる。特に興味深いのは、第1のツールがアウターツールでありかつ第2のツールがインナーツールである場合である。この場合、繊維、特に素材中に含まれる連続繊維は、上記圧縮作用の間に、少なくとも主として引き伸ばされ、これによって、たいてい、特に有利な素材特性が実現される。
【0050】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、セグメントの上記セットの少なくとも一つ(特にそのそれぞれ)は、少なくとも二つの、特に少なくとも三つの、とりわけ少なくとも四つのセグメントを備える。
【0051】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、上記圧縮の間、少なくとも実質的に同時に、上記セットの一つの全てのセグメント(それが上記第1のツールのセットあるいは上記第2のツールのセットでも)を移動させることを含み、特に、ここで、これは、インナーツールのセットのそれぞれに対して、あるいは上記セットのそれぞれに対して当てはまる。特に、ここで、上記セットの上記のものの全てのセグメントの上記移動のために、一つのそして同じ駆動源によって駆動される。
【0052】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、上記圧縮の間、実質的に同じ速度で、上記セットの一つの全てのセグメント(それが上記第1のツールのセットあるいは上記第2のツールのセットでも)を移動させることを含み、特に、ここで、これは、インナーツールのセットのそれぞれに対して、あるいは上記セットのそれぞれに対して当てはまる。
【0053】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材は、実質的にフォイルあるいはシートあるいは細片の形態で提供され、特に上記第1および第2のツール間に装填される。
【0054】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材ならびに上記部品は、強化プラスチック、特に繊維強化プラスチックを含むか、あるいは少なくとも実質的にそれからなる。
【0055】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第1および第2のツール間に装填された上記素材は熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂は、さらに迅速な製造(より短い製造サイクル時間)を可能とし、それらは高い破壊靭性ならびに良好なリサイクル性を有し、かつ、あるものは高い温度耐性を示す。
【0056】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材は、実質的に、プリフォームあるいはプリプレグ素材である。
【0057】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材は、上記第1および第2のツール間に手作業で装填される。
【0058】
先に言及した実施形態を除いて、先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材は、上記第1および第2のツール間に自動的に、特にロボットによって装填される。
【0059】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、上記圧縮の前に、そして特に上記第1および第2のツール間に素材を装填した後に、上記素材を加熱することを含む。熱可塑性樹脂に関しては、加熱は重要であり、一方、熱硬化樹脂およびエラストマーの場合には、加熱を省略することが可能である。
【0060】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、上記圧縮の間に、上記素材を加熱することを含む。
【0061】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記方法は、特に上記圧縮の前および/またはその間に、上記素材の温度をモニタリングすることを、特にそれを制御することを含む。
【0062】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、
・実質的に閉じた形状;あるいは、
・ほとんど閉じたい形状;あるいは、
・概ねあるいは少なくとも部分的に凹状内面および概ねあるいは少なくとも部分的に凸状外面を有する開放形状を描く部分を備え、
あるいは、上記部品は、実質的に、
・実質的に閉じた形状;あるいは、
・ほとんど閉じたい形状;あるいは、
・概ねあるいは少なくとも部分的に凹状内面および概ねあるいは少なくとも部分的に凸状外面を有する開放形状を描く。
【0063】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は、概ねリング形状あるいはリング状構造体を有する部分を備え、あるいは、上記部品は実質的にリング形状あるいはリング状構造体を有する。
【0064】
そうした種類の部品は、特に、素材が実質的に強化熱可塑性樹脂、特に繊維で強化された、とりわけ連続繊維で強化された熱可塑性樹脂である場合に、別の方法では製造が困難である。
【0065】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記部品は実質的に環状形状を有する部分を備え、あるいは上記部品は実質的に環状形状を有する。
【0066】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記素材を圧縮する間、上記第2のツールの上記第1のセットと接触状態にある上記素材の面積は、上記第2のツールの上記第2のセットと接触状態にある上記素材の面積よりも大きく、特に少なくとも2倍であり、とりわけ少なくとも3倍である。
【0067】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第1および第2のツールは、その形状が上記部品の形状を決定するツールであり、特に、上記第1および第2のツールの形状は、それらが閉ポジションと呼ばれる既定の様式で配置された際に、製造されることになる部品の形状に対応する形状を描くツールである。
【0068】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、ツールは、既定の様式で配置された際に、製造されることになる上記部品の形状に少なくとも実質的に対応するキャビティを形成する。
【0069】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第2のツールの上記第1のセットおよび/または上記第2のツールの上記第2のセットに関して、個々のセットのセグメントは、上記個々のセットのセグメントの一つによって加えられえる、圧縮されることになる上記素材に対する圧力は、少なくとも概ね、上記セグメントのそれぞれに関して同じであるように移動させられる。
【0070】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第2のツールの上記第2のセットの上記セグメントの少なくとも一つは、上記セグメントの移動の方向に先細化されている。特に、上記第1のツールの上記第2のセットの上記セグメントのそれぞれは、個々のセグメントの移動の方向に先細化されている。
【0071】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記第2のツールの上記第2のセットの上記セグメントの少なくとも一つは、上記素材を圧縮する際に、力が上記第2のツールの上記第1のセットの少なくとも一つのセグメントに対して上記セグメントによって加えられるような形状とされる。特に、上記第2のツールの上記第2のセットの上記セグメントのそれぞれは、上記セグメントを移動させることで上記素材を圧縮する際に、力が上記第2のツールの上記第1のセットの少なくとも一つのセグメントに対して、特に上記第2のツールの上記第1のセットの各セグメントに対して、上記セグメントによって加えられるような形状とされる。
【0072】
先に提示した実施形態に関連するある実施形態においては、上記加えられる力は、上記セグメントからあるいは上記セグメント群から、上記第2のツールの上記第1のセットの上記少なくとも一つのものに対して、あるいは、上記第2のツールの上記第1のセットの各セグメントに対して、上記第2のツールの上記第1のセットの少なくとも一つのセグメントの少なくとも一つの接触面と相互作用するか、あるいは上記第2のツールの上記第1のセットの上記セグメントの接触面と相互作用する上記セグメントあるいはセグメント群の少なくとも一つの接触面を介して、特に実質的にもっぱらそれを介して、伝達される。特に、そうした相互作用接触面は係合面である。
【0073】
最後に言及するかその前に言及した実施形態に関連するある実施形態においては、上記加えられる力は、実質的に上記セグメントの上記移動の方向に、あるいはそれとほとんど直交する方向に、あるいはそうした力の重畳の方向に向けられる。
【0074】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記圧縮によって、少なくとも5バールの、特に最大で50バールの圧力が上記素材に加えられる。とりわけ、10ないし30バールの圧力が、ツールのセグメントによって上記素材に加えられる。
【0075】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、本方法は、上記圧縮の前にかつ/またはその間にかつ/またはその後に、上記素材を加熱する、特に、上記第1および第2のツール間に装填された素材の少なくとも実質的に全てを加熱するステップを備える。特に、すなわち(強化)熱硬化樹脂の場合に最も顕著であるが、上記素材はレジンを含み、かつ、上記加熱はこのレジンの架橋を促進するために実施される。(強化)熱可塑性樹脂の場合、上記加熱は熱可塑性樹脂を申し分ない成形可能状態とする。
【0076】
部品(特に実質的に強化プラスチックからなる部品)を製造するための装置は、
・第1および第2のツールであって、第1のツールは少なくとも一つの(特に少なくとも二つの)セグメントを備えた少なくとも一つのセットを具備し、かつ、第2のツールは少なくとも一つの(特に少なくとも二つの)セグメントの少なくとも一つの第1および一つの第2のセットをそれぞれ具備する第1および第2のツールと、
・第2のツールの少なくとも上記第1のセットおよび上記第2のセットを駆動するための駆動ユニットとを具備してなる。
【0077】
そうした装置は、上記方法を実施することを可能とする。
【0078】
ある実施形態では、上記駆動ユニットは、上記第1のツールに向かって上記第1のツールの少なくとも上記第1のセットおよび上記第2のセットを駆動するための駆動ユニットであり、特に、上記駆動部は上記駆動のための形状・構造とされる。
【0079】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な装置の、ある実施形態においては、第1のツールのセグメントは、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で配置されたとき、それらが、製造されることになる部品の第1の部分表面に対応する少なくとも実質的に連続した表面を形成するような形状とされており、かつ、第2のツールのセグメントは、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で配置されたとき、それらが、製造されることになる部品の第2の部分表面に対応する少なくとも実質的に連続した表面を形成するような形状とされており、特に、これら二つの部分表面は、それらが、製造されることになる部品の実質的に全表面を形成するように、相互補完するものである。
【0080】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な装置の、ある実施形態においては、第1のツールのセグメントは、既定の所定の様式で配置されたとき、それらが連続した表面を形成するような形状とされ、かつ、第2のツールのセグメントは、既定の様式で配置されたとき、それらが連続した表面を形成するような形状とされ、かつ、これら二つの連続した表面は、既定の様式で互いに配置された際に、それらが既定容積の実質的に全表面を形成するように相互補完する。
【0081】
二つの最後に提示した実施形態の一方あるいは両方に関連する装置の、ある実施形態においては、上記第2のツールの第1のセットの上記少なくとも一つのセグメントは、上記第2のツールが閉ポジションにあるときに、第2のツールの第2のセットの少なくとも一つのセグメントの少なくとも一つの係合面と係合する少なくとも一つの係合面をそれぞれ備え、第2のツールの第1のセットの係合面はそれぞれ、閉ポジションにおいて、第2の部分表面と鋭角をなす。
【0082】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記装置は、閉ポジションに向かって第2のツールの第2のセットの少なくとも一つのセグメントを移動させる間絶えず、第2のツールの第2のセットの少なくとも一つのセグメントに関する閉ポジションまでの瞬間移動距離が、第2のツールの第1のセットの少なくとも一つのセグメントに関する閉ポジションまでの瞬間移動距離を上回るように、第2のツールのセグメントが移動させられるように、第2のツールの第1のおよび第2のセットの動作を制御するよう構成された制御ユニットを備える。特に、この制御ユニットは、説明した様式で上記駆動ユニットを制御する。
【0083】
先に提示した実施形態の一つ以上と組み合わせることが可能な、ある実施形態においては、上記装置は、第1および第2のツール間に装填された素材を加熱あるいは冷却するように、あるいはその加熱および冷却の両方を行うよう構成された温度変更ユニットを具備してなる。特に、この温度変更ユニットの少なくとも一部は、上記ツールの少なくとも一つと一体化される。
【0084】
本発明は、本発明に基づく対応する方法の特徴を備えた装置を含み、逆も同様である。
【0085】
本発明の利点は、基本的に、対応する方法の利点に対応し、逆も同様である。
【0086】
本発明のある態様において、部品を製造するための方法は、
・第1および第2のツール間に素材を装填するステップであって、当該第1のツールは少なくとも二つのセグメントを備えた少なくとも一つのセットを含み、特に、上記セグメントは互いに分離可能であり、かつ、上記第2のツールは少なくとも一つのセグメントの少なくとも一つの第1および一つの第2のセットを含み、特に上記セグメントは互いに分離可能であるようなステップと、
・上記素材の少なくとも一部を、特に上記素材の少なくとも実質的に全てを、
上記第1のツールに向かって上記第2のツールの少なくとも上記第1のセットを移動させ、かつ、続いて、
上記第1のツールに向かって上記第2のツールの少なくとも上記第2のセットを移動させることによって、圧縮するステップと、を含む。
【0087】
上記第2のツールの上記第1のセットおよび上記第2のツールの上記第2のセットのその後の移動(この移動は、通常、少なくとも5バールの圧力を加えることで実施される)によって、プレプレグ素材などのプリフォームからリング形状およびリングのような形状の部品を形成することが可能となる。素材に対して非常に均一に圧力を加えることが可能である。
【0088】
この態様のある実施形態において、上記第1のツールに向かって上記第2のツールの少なくとも上記第1のセットを移動させることは、上記第1のツールに向かって上記第2のツールの少なくとも上記第2のセットを移動させる間、依然として(すなわち連続的に)あるいは再び(すなわち新たに)実施される。
【0089】
この態様は、原理的に適合可能である限り、その他の本明細書中で開示した実施形態とも、そしてその他の本明細書中で開示した実施形態のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【0090】
さらなる実施形態および利点は、従属請求項および図面から明白である。
【0091】
以下、実施例および図面を用いて、本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】プリフォームが装填された状態での装置の細部平面図であり、第1のツール(アウターツール)および第2のツール(インナーツール)は閉ポジションに存在している。
【図2】プリフォームが装填されかつツールが開いた状態での装置の細部平面図である。
【図3】プリフォームが装填されかつアウターツールが閉じられた状態での装置の細部平面図である。
【図4】プリフォームが装填されかつクランプで固定されてアウターツールが閉じられた状態での装置の細部平面図である。
【図5】プリフォームが装填された状態での装置の細部の断面状側面図であり、プルロッドの第1のセットのロッドは連結されている。
【図6】プリフォームが装填された状態での装置の細部の断面状側面図であり、プルロッドの第1のセットのロッドは連結されかつインナーツールの第1のセットのセグメントに力を加えるよう作動している。
【図7】プリフォームが装填された状態での装置の細部の断面状側面図であり、プルロッドの第1のセットのロッドは連結されかつインナーツールの第1のセットのセグメントに力を加えるよう作動しており、インナーツールの第2のセットのセグメントもまた示されている。
【図8】装填されたプリフォームおよび変位機構と共に装置の細部を示す断面状側面図であり、インナーツールの第2のセットのセグメントはプリフォーム内へと移動している。
【図9】装填されたプリフォームおよび変位機構と共に装置の細部を示す断面状側面図であり、インナーツールの第2のセットのセグメントはプリフォーム内へと移動してしまっており、そしてプルロッドの第2のセットのロッドが連結されている。
【図10】プリフォームが装填された状態での装置の細部の断面状側面図であり、インナーツールの第2のセットのセグメントはプリフォーム内へと移動してしまっており、そしてプルロッドの第2のセットのロッドが連結されている。
【図11】プリフォームが装填された状態での装置の細部の断面状側面図であり、インナーツールの第2のセットのセグメントはプリフォーム内へと移動してしまっており、そしてプルロッドの第2のセットのロッドが連結されかつインナーツールの第2のセットのセグメントに力を加えるよう作動している。
【図12】プリフォームが装填された状態での装置の細部平面図であり、プルロッドの第1のセットのロッドは連結されかつインナーツールの第1のセットのセグメントに力を加える動作中であり、かつ、プルロッドの第2のセットのロッドは連結されかつインナーツールの第2のセットのセグメントに力を加えるよう作動している。
【図13】閉ポジションにおけるインナーツールの平面図である。
【図14】力を加えた状態での、閉ポジションにおけるインナーツールの平面図である。
【図15】装置の細部平面図であり、インナーツールの第2のセットのセグメントが解放されている。
【図16】変位機構と共に装置の細部を示す断面状側面図であり、インナーツールの第2のセットのセグメントは解放されてしまっており、かつ、プルロッドの第2のセットのプルロッドは連結解除されている。
【図17】変位機構と共に装置の細部を示す断面状側面図であり、プルロッドの第2のセットのプルロッドは連結解除されてしまっており、かつ、アウターツールの第2のセットのセグメントは移動させられてしまっている。
【図18】装置の細部平面図であり、アウターツールの第2のセットのセグメントは移動させられてしまっており、インナーツールの第2のセットのセグメントは、プルロッドの第1のセットのロッドを動作させることによって解放される。
【図19】装置の細部平面図であり、アウターツールのセットのセグメントは、クランプが解除された後に、移動させられてしまっている。
【図20】部品軸線と直交するさまざまな断面の概略図であり、すなわち左側に閉じた形状を、中央にほとんど閉じた形状を、そして右側に開いた構造を示している。
【図21】装填されたプリフォームおよびインナーツールのセグメントを駆動するための駆動装置としてのパンタグラフ機構と共に装置の細部を示す部分的に切り欠いた側面図である。
【図22】図23の装置を用いて製造可能な湾曲プロファイルを示す図である。
【図23】二つのセグメントのセットを有するアウターツールならびに一つのセグメントの第1のセットおよび二つのセグメントの第2のセットを有するインナーツールを備えた装置の細部の断面状側面図である。
【図24】図22のプロファイルの線A‐A’に沿った代表的断面図である。
【図25】図22のプロファイルの線A‐A’に沿った別な代表的断面図である。
【図26】挿入された素材が圧縮された状態での、リング形状(円筒面状)部品を製造するための装置の細部の部品軸線に沿った概略断面図である。
【図27】第2のツールの第1のセットのセグメントおよび第2のセットのセグメント間のインターフェースの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図中で使用している参照記号およびその意味は参照記号のリストに示されている。説明する実施形態は実例であり、本発明を制限するものではない。
【0094】
強化プラスチックからなる部品、たとえばリング形状構造体が製造可能となるが、なぜなら、たいていはプレプレグ素材からなるプリフォームのオーバーラップ層は、層間の問題となる交差が、そのようにして製造された(シームレス)部品に存在しないように、加圧およびたいていはまた加熱を含む製造プロセスの間に結合するからである。そのようにして得られた部品に加えられる力は、マトリックス中の剪断力によってオーパーラップ領域において、ある繊維ストランドから次のものへと伝達され、それゆえ、最終的に得られる構造的欠陥は、溶接継ぎ目あるいは接着表面に比べて非常に軽微である。
【0095】
さまざまな半完成製品が、その後に処理されることになるプリフォームとして利用できる。たとえば、異なる繊維マトリックスコンビネーション、あるいは予備含浸(プレプレグ)非圧密繊維半完成製品、あるいは非強化ポリマーのフィルムと組み合わされた非予備含浸半完成製品である。熱硬化樹脂あるいはエラストマーマトリックス系さえ、本発明に係る方法で処理できる。
【0096】
たとえば、以下の繊維素材が使用できる。すなわち、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、玄武岩(basalt)繊維、ポリpフェニレンベンゾビゾゾール(PBO)繊維、ホウ素繊維、ポリアミド繊維、亜麻繊維、麻繊維、綿、あるいはその組み合わせである。概して、処理圧力、時間および温度が製造された部品中の繊維の特性を劣化させない限り、いかなる種類の繊維が使用されてもよい。選択は、その繊維によって、製造された部品の所望の特性が実現可能であることを最も重視してなされる。
【0097】
プリフォーム、特にリングのような形状のプリフォームを製造するための、さまざまな方法が存在する。以下に、その例を挙げる。
i)プレプレグなどのテープ形状半完成製品が、たとえばそれを細片へと裁断することによって細片として提供される。この細片は、所望のプリフォーム、特にリング形状プリフォームが得られるように配置される。細片は、互いに同一面をなしても、オーバーラップしても、あるいは多層状であってもよい。
ii)特にリング形状のプリフォームは、プレプレグなどの半完成製品をスパイラルへと巻き上げることによって形成される。
iii)プレプレグなどのテープ形状半完成製品が、たとえばそれを細片へと裁断することによって細片として提供される。プリフォーム、特にリングのような形状のプリフォームは、加圧ツール内へ細片を漸進的に装填することによって形成される(以下のツール、特にアウターツールの実施例および図面参照)。裁断および/または装填は、手作業であるいは自動で実施できる。
iv)切り口(Incisions)は、プレプレグなどの半完成製品へと裁断され、この結果、切開は、それを完全に別個の部分へと分割しない。こうした切開の目的は、半完成製品層内で補強繊維を経て裁断することである。切り口は、好ましくは、半完成製品の隣接層における切り口間にオフセットが存在しないように挿入される。そのように準備されたプリフォームは、たとえばii)において提案されたとおり、ツール内に装填される(以下のツール、特にアウターツールの実施例および図面参照)。切り口は、プリフォーム形状を形成するプロセス中の補強繊維のスライド動作を促進し、したがって形成されるプリフォーム内の内部ストレスを減少させ、これによってツール内へのプリフォームの装填を容易なものとする。
v)同様に、細片へと裁断される前および/または後に、iv)において説明したような切り口を伴って、細片へと裁断された半完成製品(i)あるいはiii)参照)が提供される。続いて、プリフォームがi)において説明したような形状とされ、あるいは、細片は、iii)において説明したようにツール内に装填される。
【0098】
確定されかつ安定した処理を実施するために、少なくとも熱可塑性樹脂に関しては、ツールを用いて装置内でそれを圧力にさらす前および/またはその間に、プリフォームの温度をモニターしかつ/または制御することが好ましい。処理温度の許容差は、処理される素材次第で、かつ、処理温度をTおよびTをそれぞれ上回るように十分に高く選定することで、10℃ないし20℃、あるいは約50℃、あるいはそれ以上とすることができる。
【0099】
その中に繊維が埋め込まれるマトリックス素材としての強化熱可塑性樹脂の場合、関連する処理温度を基本的に決定するのは熱可塑性樹脂である。
【0100】
半結晶熱可塑性素材に関して、結晶融解温度T(たとえば、ポリプロピレンに関しては162℃)および結晶化温度Tは関連がある。Tは、特定の熱可塑性素材によっては、Tよりも40℃超低くてもよい。
【0101】
プリフォームは、少なくともその結晶融解温度Tまで加熱される必要がある。これは、たとえばストリップヒーターを用いた直接加熱によって、たとえば赤外線放射器を用いた放射作用によって、高温空気対流によって、あるいはその中でプリフォームが加圧されるツールを介した間接加熱によって実施できる。これら加熱方法の二つ以上の組み合わせも可能である。
【0102】
加熱デバイスの配置は、好ましくは、プリフォームがTよりも高い温度まで、特に明確にTを上回る処理温度まで均一かつ速やかに加熱されるように選択され、ほとんどの場合、それは、Tを少なくとも20°、少なくとも50℃あるいは少なくとも75℃上回るように選択される。
【0103】
非晶質熱可塑性素材の場合、いわゆるガラス転移温度Tは別として、明確な温度限界は存在しない。処理温度はTを上回っている必要が、特に明確にTを上回っている必要があり、ほとんどの場合、それは、Tを少なくとも20°、少なくとも50℃、少なくとも100℃あるいは少なくとも150℃上回るように選択される。同様に、非晶質熱可塑性素材にとって結晶化温度Tも存在しない(なぜなら、それらは非結晶のままであるからである)。素材の凝固に関して、凝固温度T(これは、たいてい、通常は10℃ないし40℃だけTよりも僅かに高い)は重要である。
【0104】
処理方法の原理は非晶質に関して、そして半結晶熱可塑性素材に関して同じであるが、温度限界の定義および外延が異なる。
【0105】
以下の表は、提案される処理において使用可能な代表的熱可塑性ポリマー素材を示している。温度範囲は、対応するバルクポリマーに関する基準値に過ぎない。ポリマーの特殊な改質に依存して、この値は表中の値から著しく逸脱し得る。
【0106】
【表1】

【0107】
エラストマーおよび熱硬化プラスチックは低い粘性を有し、たとえばレジントランスファー成形(RTM)のようなプロセスにおいて、それを(装置のツールによって形成された)型枠キャビティ内に射出することを可能とする。熱硬化樹脂あるいはエラストマーベースのプレプレグをプリフォームとして使用することも可能である。
【0108】
提案される方法を実施するのに好適な装置(設備)はインナーおよびアウターツール(すなわち内および外型枠)を備え、ここで両方のツールに含まれるセグメントの総数は少なくとも三つである。極めてシンプルな形態においては、これは、アウターツールは正確に一つのセグメントを備えかつインナーツールは正確に二つのセグメントを備えることを、あるいはアウターツールは正確に二つのセグメントを備えかつインナーツールは正確に一つのセグメントを備えることを意味する。
【0109】
上記ツールの少なくとも一方は、プリフォームが加圧ステップにおいて加圧される前にプリフォームを装置内に挿入できかつ/または上記加圧ステップの後に加圧部を装置から分離させることができる開ポジションに配置でき、かつ、加圧ステップ/成形処理が実施される閉ポジションに配置できる。アウターおよびインナーツールは、その一方のみを移動させることで、あるいは両方を移動させることで、相対的に往復移動可能である。
【0110】
特に、たとえば開あるいは閉リング形状構造体のような、さらに複雑な形状を有する部品を製造する場合、インナーおよびアウターツールはそれぞれ好ましくは二つ以上のツールセグメントから構成される。これによって、ツールから部品を取り出すことが可能となり、あるいはそれが容易なものとなる。
【0111】
ツールは同じあるいは異なる素材から形成できる。金属あるいは合金、たとえばスチールあるいはアルミニウムがツール用の素材として適している。なぜなら、それらは、弾性を有し、かつ、同時にコスト効率が良く、かつ、所望の部品を得るために要求される必要形状へと容易に加工可能であるからである。
【0112】
必要ならば、ツールの表面を、たとえば商業用等級離型剤を用いて処理することで、プリフォームのマトリックス素材とツール表面との間の付着力を排除できる。
【0113】
プリフォームのマトリックス素材とツール表面との間の付着力が非常に小さい場合、プリフォームに含まれる異なる層の無制御の/望ましくない相互スライドを回避するために、プリフォームのマトリックス素材とツール表面との間に接着物質などを塗布することができる。
【0114】
いくつかの素材および/またはジオメトリーは制御された冷却処置あるいは熱的事後処理を必要とするので、少なくとも一つの加熱および/または冷却デバイスの存在が、加圧間および/または(加圧時間を低減するために)加圧が開始される前だけでなく、それ以後も推奨される。たとえば、加熱および/または冷却デバイスは、装置内に、特に一方あるいは両方のツール内に、直に組み込むことができる。かつ/または、別な加熱および/または冷却デバイスがツールとは別個に設けられてもよい。加熱を実施するための方法は先に言及した。冷却に関して、同じ原理を、ただし、たとえば冷水サーペンタインあるいは従来公知の類似の手段を用いることで、逆に適用できる。
【0115】
採用されるプリフォームマトリックス素材(主としてプリフォームを構成する)のために、そして製造されることになる部品の形状のために好適な成形圧力を得るために、インナーおよびアウターツールの少なくとも一方の外面に力を、機械的に、流体的に、あるいは電気機械的に加える、異なる手法を利用できる。全てのツールセグメント間の、および/またはツールとツール間に配置されるプリフォームとの間の、極めて良好な密着状態を実現するために、そして、加えられる力の適切な向きおよび適切な圧力分布を保証するために、たとえばプッシュロッドあるいはプルロッドを用いて、加えられる力を適切にガイドすることが望ましく、多くの代替策が当業者にとって周知である。
【0116】
上記プロセス、あるいは少なくとも加圧ステップ(および、それゆえセグメントの移動)および好ましくはまた加熱は、好ましくは、たとえばコントローラーにおいてあるいはコンピューターにおいて作動する適切なソフトウエア、たとえば、冷却のための、加熱のための、そして加圧のための時間、温度および圧力として重要なパラメーターを制御するソフトウエアを用いて、自動的に制御される。
【0117】
図1ないし図19は、部品を製造するための装置および方法の第1実施例を示している。これは、繊維強化プラスチック製のリング形状構造体、たとえば炭素繊維強化ポリエーテルイミド(PEI)製の車両ホイール用のリムを製造するための方法および装置である。特に、配向連続繊維が補強材として使用される。図2ないし図19は、その後のプロセスステップを示しており、そして、以後の図のある例では、概ね同じ処理ステップの異なる眺めを示している。だが、処理ステップのそのように暗示された順序は、ステップの異なる順序を選択できることを、あるいはステップの付加または削除が可能であることを除外するものではない。
【0118】
図1は、部品を製造するための装置の細部平面図であり、さらに正確に言うと、それは、装置を通る断面を示している。本装置は、アウターツールあるいは外型枠である第1のツールと、インナーツールあるいは内型枠である第2のツールとを備えている。
【0119】
アウターツールは、クランプ6によって対のように互いにクランプされた四つのセグメント1を含むセグメントのセットを備える。
【0120】
インナーツールは、四つのセグメント2aを含むセグメントの第1のセット、および四つのセグメント2bを含むセグメントの第2のセットを備える。
【0121】
第1のツール(アウターツール)および第2のツール(インナーツール)は閉ポジションにて示されている。
【0122】
図1において、装置は、インナーおよびアウターツール間にプリフォーム3が装填された状態で示されている。アウターツールのセグメント1とインナーツールのセグメント2a,2bとの間のキャビティの形状は、たとえばリムのような製造されることになる部品の形状に対応している。
【0123】
図2においては、装置の詳細が、アウターツールおよびインナーツールが開ポジションにある状態で、両者間に装填されたプリフォーム3と共に示されている。プリフォーム3は、好適なプレプレグの実質的に円筒状の構造体であってもよい。
【0124】
図3は、たとえばアウターツールの外面に対して加えられる(矢印によって示す)力Fの作用によって、アウターツールが閉じられた状態を示している。参照数字4は閉ポジションにあるアウターツールを指している。この閉ポジションは、以下でさらに明らかとなるように、アウターツールの加圧準備完了(pressing-ready)ジオメトリーと考えることができる。
【0125】
閉ポジションにおけるアウターツール4の剛性を高めるために、クランプ6がアウターツールに対して付加される(図4参照)。クランプ6によって圧力が加えられ、アウターツールの接触インターフェース5を、相手に向かって対をなすように駆動する。スクリューあるいはその他のものが、クランプ6の代わりに使用できる。
【0126】
この時点で、インナーおよび/またはアウターツールの(好ましくは両方の)加熱を開始することができる。加熱プロセスおよび加熱の開始は、特に、プロセスによっておよびプリフォーム3の素材あるいは素材群によって与えられる要件次第で、より早くあるいはより遅く予定できることは当業者にとって明らかである。
【0127】
図5は、アウターツール4が閉ポジションにある状態で、プリフォーム3が装填された装置の細部の断面状側面図であり、プルロッドの第1のセットのロッド8が連結されている。
【0128】
図6は、プリフォームが装填された状態での装置の細部の断面状側面図であり、プルロッドの第1のセットのロッド8は、インナーツールのセグメントの第1のセットのセグメント2aに対して連係動作可能に連結されている。ロッド8は作動しており、小さな矢印で示すように、セグメント2aに力を加えている。こうして、プリフォーム3は、第1のツールとインナーツールの第1のセットのセグメント2aとの間で(低い圧力で)加圧される。
【0129】
図7は、図6と同じ状況を、ただし装置の細部の断面の平面図状の眺めで示している。インナーツールの第2のセットのセグメント2bは既に図7に示されている。図から明らかであるように、アウターツールおよびプリフォーム3に向かうセグメント2aの移動によって、隣接するセグメント2a間にスペースが形成される。このスペースは、セグメント2bもプリフォーム3に対して圧力を加えることができるように、セグメント2a間にセグメント2bを導入するために使用される(以下参照)。セグメント2aは係合面13aを有し、かつ、セグメント2bは係合面13bを有する。第2のツールの閉ポジションにおいては、係合面13a,13bは対をなすように係合する(図1、図12、図13および図14参照)。
【0130】
図8は、装填されたプリフォームおよび変位機構10と共に装置の細部を示す断面状側面図である。この状況は図6および図7に示すものと似ているが、連結されかつインナーツールのセグメント2aに(小さな)力を加えるように作動しているプルロッドの第1のセットのロッド8は示されていない。だが、プルロッドの第2のセットのロッド11は図示されている。変位機構10によって、たとえば電動モーターによって作動させられるリフトによって駆動されて、インナーツールの第2のセットのセグメント2bがプリフォーム3内へと移動させられている。
【0131】
図9(これは図8と同様に描かれている)において、インナーツールの第2のセットのセグメント2bはプリフォーム3の内側に配置されており、かつ、ロッド11は連結されている。
【0132】
図10は図9の状況を示しているが、駆動機構は図示されていない。
【0133】
図11において、ロッド11は、連結され、かつ、インナーツールの第2のセットのセグメント2bに力を加えるように作動中である。依然としてプルロッドの第1のセットのロッド8は連結されかつインナーツールの第1のセットのセグメントに力を加えるように作動中であることに留意されたい。さらに、セグメント2bはプリフォーム3に対して圧力を加えるだけでなく、セグメント2aに対しても、すなわちその相互接触インターフェースにおいて、すなわち係合面13a,13bにおいて、圧力を加えることに留意されたい。
【0134】
図12は図11の状況を平面視的に示している。プリフォーム3はセグメント2aによって、そしてセグメント2aと接触していないその内面のこれら領域においては、セグメント2bによって、アウターツールに対して押し付けられている。強固になっているプリフォーム3の温度は217℃(これは示された素材にとってのTである)ないし400℃、好ましくは300℃ないし350℃であるべきである。
【0135】
係合面13aおよび13b(図7参照)によって形成されたセグメント2aおよび2b間の接触インターフェース13(インナーツールの上面を示している図13参照)は特に効率のよい処理をもたらすだけではないことに留意されたい。それらはまた、セグメント2aおよび2bによってプリフォーム3に加えられる力の良好な分布を実現する。これは、インナーツールのセグメント2a,2bの全ての圧力フィッティングだけでなく、形状フィッティングが存在するからである。
【0136】
セグメント2aおよび2b間の接触インターフェース13(図13参照)はセグメント2aおよび2bのそれぞれの移動方向(インナーツールの上面を示す図14における力ベクトル14および15参照)に対して、図4に示す方向に、すなわちセグメント2bはセグメント2a間に残るスペース内へと移動しかつその中に嵌り込むことができるように傾いている。これによって、セグメント2aに関する鋭角αおよびセグメント2bに関する鈍角βが実現される(図27参照)。好ましくは、角度αは、セグメント2bの移動経路に沿った、セグメント2aに隣接する(あるいはその間の)セグメント2bの挿入可能性によって幾何学的に与えられる角度よりも、少なくとも1°、少なくとも2°あるいは少なくとも4°小さくなるよう選択される。
【0137】
セグメント2aおよび2bは、それらがプリセットポジション(閉ポジション)に達するまで、プリフォーム3に向かって(それぞれプルロッド8および11によって)引っ張られる。このポジションでは、アウターツールとインナーツールとの間のキャビティは、製造されることになる部品の形状、すなわちリム形状と等しい。同時に、セグメント2aおよび2bの外面は、今や、製造されることになる部品の内面の形状を有し、かつ、それを形成する。
【0138】
セグメント2aおよび2bを介してプリフォーム3に対して加えられる圧力(成形圧力)は、プリフォーム3の層内の熱可塑性レジンの圧密化のために、2秒ないし2分間、好ましくは20秒ないし1分間、保持される。この実施例では、処理圧力は、5バールないし50バールである必要が、好ましくは8バールないし20バールである必要がある。こうした大きな時間および圧力範囲は本発明に係る処理の大きな利点の一つであり、これは新しい部品ジオメトリーに入り込むのをより容易なものとし、そして新しい部品ジオメトリーは、たいてい一つの主要な変量、すなわちプレプレグ素材層の数を有する。
【0139】
たとえば、バイクホイール用のリムの場合、極めて僅かな層が必要なだけであり、したがって10秒の加圧時間で十分であり、これに対して、車用のホイールの場合、層の数はかなり多く、たとえば2〜3ダースであり、したがって加圧時間は、たとえば20ないし30秒まで増大する。
【0140】
加圧時間および圧力は、プリフォーム3内の層の数に概ね比例する。とはいえ、形成されることになる部品のジオメトリーの複雑さといったその他の要因もまた、これらパラメーターに影響を与える(ただし、たいてい強いものではない)。
【0141】
この時点において、インナーおよびアウターツールの冷却が、通常は、開始され、一方、プリフォーム3へのツールの圧力は維持される。これからは、プリフォーム3は部品16(この例では、リム16)と呼ぶことができる。冷却は、もちろん、たとえばツール内の冷却サーペンタインによって促進されてもよい。
【0142】
冷却の間、選択された素材が固体である温度に達した後、リム16への圧力は、ロッド11を緩めることによって軽減される。セグメント2bはリム16から離れるように移動させられる。図15は、装置の細部の平面図で、この状況を示している。インナーツールの第2のセットのセグメント2bは、素材の凝固が終了した時点で(ロッド11を動作させることによって(図15の開く矢印参照))リリースされる。部品16の軸線Aは図の面に対して垂直である。
【0143】
図16は、セグメント2bが再び開ポジションにあり、かつ、ロッド11が連結解除されている装置の細部の断面状側面図である。アウターツールからセグメント2bを移動させるために、図8および図9におけるのと同じ変位機構10が、ただし図8および図9とは逆の様式で準備されている。
【0144】
図17において、プルロッド11は取り外されており、そしてセグメント2bは変位機構10によってアウターツールから移動させられている。
【0145】
図18は、アウターツールの第2のセットのセグメント2bが移動させられた後、インナーツールの第2のセットのセグメント2aがプルロッドの第1のセットのロッド8を開く矢印の方向に動作させることによってリリースされる様子を示している。部品16は、第2の(=インナー)ツールとは、もはや接触していない。
【0146】
図19は、クランプ6がリリースされた後に、アウターツールのセグメントのセットのセグメント2aが移動させられた様子を示している。部品16から離れるようにセグメント2aを移動させるとき、好ましくは、外部ロボット、オペレータ、あるいはその他の手段が、それが落下しないようにリム16を保持する。
【0147】
リム16をツールから取り出すことで、装置は次なる生産サイクルの準備が整う。
【0148】
本発明に係るプロセスの簡潔な簡素化されたバージョンは、以下の順序の以下のステップによって大まかに要約できる。
・閉じられた外型枠(これは事前加熱されるか、あるいはされない)内へプリフォームを装填する;
・(装填された素材と接触あるいはほとんどそのような状態で)加圧準備完了ポジションへとインナーツールを移動する;
・素材を、T(半結晶熱可塑性樹脂の場合)およびT(非結晶熱可塑性樹脂の場合)をそれぞれ上回るまで、特に、TおよびTをそれぞれ少なくとも20℃、特に少なくとも50℃、とりわけ少なくとも100℃上回るまで(ツールを介して)加熱する;
・少なくとも10バールの、特に少なくとも20バールの圧力(成形圧力)で、通常は25バールないし50バールの圧力で、ツールによって素材を圧縮する;
・受動的に、あるいは、好ましくは、能動的に素材をTおよびTをそれぞれ下回るように、特に、TおよびTをそれぞれ少なくとも20℃、とりわけ少なくとも40℃下回るまで冷却する;
・加えた圧力を低減する;
・上記ツールの少なくとも一つを開く/取り外す;
・ツールから、こうして得られた部品を取り出す。
【0149】
素材がTおよびTを上回る処理温度に達した後でのみ完全成形圧力を加えることで、通常は、素材がこの温度に達する前に既に完全成形圧力を加えるよりも、より高品質な部品が実現されることに留意されたい。
【0150】
図1ないし図19に関連して先に説明した第1の例は、本プロセスを実施するための一つの方式に過ぎず、その他の可能性が存在する。たとえば、アウターおよびインナーツールは、経時的に逆の順序で作動することができる。すなわち、インナーツールは、まず、閉ポジション(図12、図13、図14参照)に配置され、そしてプリフォーム3を保持することができ、続いて、アウターツールのセグメントが接近してプリフォーム3を取り囲む。
【0151】
さらに別なプロセスも可能である。すなわち、ロボットがプリフォーム3を適所にて保持し、そして、インナーツールおよびアウターツールの両方が、図12に示す閉ポジションへと開ポジションから実質的に同時に移動する。
【0152】
第1実施例に基づくツールおよびリング状部品の場合、インナーツールのセグメント(2aおよび2b共に)の最小数は4個である。概して、完全に円筒形あるいは円錐形部品を製造する必要がある場合、アウターツール用のある単一の円筒状セグメントが原理上は十分である。だが、リムの半径方向断面が軸方向に少なくとも一つのアンダーカットを有する場合、ツールから、製造される剛体部品を分離させるべく、少なくとも二つのセグメントをアウターツールのために使用する必要がある。
【0153】
ツールのセグメントの上述した経時的に逆あるいは同時移動の場合、セグメントのこうした最小個数は相応に変化し得る。
【0154】
たとえば開いたリング形構造体あるいは楕円構造体におけるのと同様に、その軸線と直交するプリフォーム3の断面が完全に円形でない場合、完全に円形のインナーおよびアウターツールを、好適な湾曲および/または形状(図20に示す、さまざまな例参照)を有する、相応の形状とされた、その他のインナーおよびアウターセグメントで置き換えることで、処理を適応させることができる。
【0155】
図20は、部品軸線と直交する、さまざまな断面を非常に大まかに、すなわち、左側には閉じた形状(リングのような形状)を、中央には、ほとんど閉じた形状を、そして右側には開いた構造体を示している。部品軸線は屈曲/湾曲していてもよく、たとえば、部品はトーラスの一部の表面の形状を描いてもよいことに留意されたい。さらに、部品断面は部品軸線に沿って変化してもよく、たとえば部品は円錐の一部を描いてもよいことに留意されたい。
【0156】
図21は、部品を製造するための方法および装置の別な実施例を示している。図21は、装填されたプリフォームおよびインナーツールのセグメント2a,2bを駆動するための駆動装置としてのパンタグラフ機構17と共に装置の細部を示す部分的に切り欠いた側面図である(セグメント2aあるいはセグメント2bのみが示されている)。この第2実施例では、パンタグラフ17はインナーツールのセグメントを動作させるために使用される。したがって、異なる加圧原理が採用される。
【0157】
インナーツールのセグメント2aおよび2bがパンタグラフ17に搭載されている。パンタグラフボルト18を回転させている間、セグメント2aおよび2bは、閉じたアウターツールに向かって移動し(なぜなら一つのそして同じパンタグラフ17に設けられているから)、これによってプリフォーム3に所望の圧力を加える。たとえば、セグメント2a,2bは、まず、セグメント2aが装填された素材と接触状態となり、続いてセグメント2bが装填された素材と接触状態となるか、あるいはセグメント2aがセグメント2aよりも早くかつ/またはそれとは異なる速度で移動するように動作させられる。概して、セグメント2bは、閉ポジションに向かいかつそれに至るそのそれぞれ経路上で、セグメント2aよりも素材3に決して接近しない。パンタグラフアームを適切に設計することで、そうした動作を実現することができる。加熱および加圧の後、逆向きにパンタグラフボルト18を回転させることで部品をツールから取り出すことができる。
【0158】
部品を製造するための方法および装置の第3実施例について図22および図23と関連付けて説明する。図22は、図23に示された装置を用いて製造可能な湾曲プロファイル19を示している。図23は、二つのセグメント21のセットを有するアウターツールならびに一つのセグメント20の第1のセットおよび二つのセグメント21の第2のセットを有するインナーツールを備えた装置の細部の断面状側面図である。
【0159】
この第3実施例は、炭素繊維強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)オープンプロファイル19、たとえば航空機胴体を補強するためのストリンガーを製造するための方法および装置に関する(図22参照)。プロファイル19は、(図22においてA‐A’が付けられた線に沿って)たとえば、I形、T形、あるいはC形、あるいは略Z形断面を呈してもよく、そして、さらに、この断面はプロファイルの長さ方向に沿って変化してもよい。図24および図25は、図22における線A‐A’に沿った代表的断面を、すなわちT形および略Z形断面をそれぞれ示している。
【0160】
そして、プロファイル19は連続的に変化する曲げ半径を有することができる(図22のR1およびRN参照)。上記方法および装置によって、局所的に変化に富んだ半径および局所的に変化に富んだ断面を備えたプロファイルを製造することが可能となる。
【0161】
第1実施例(上記参照)の温度、加圧時間および圧力の処理パラメーターは、この例においても、適用可能である。
【0162】
概して、このプロセスもまた、上記第1実施例と実質的に同じ様式で、そして原理的に等価なあるいは少なくとも類似の装置を用いて同様に行われる。主たる相違はセグメントの数である。すなわち、この例では、インナーツールは少なくとも一つの中央セグメント20および二つの側方セグメント21を備えている必要があり、一方、アウターツールは少なくとも二つのセグメント22を備えている必要がある。
【0163】
図22ないし図25の特定の実施例(第3実施例)は、ただ一つの内径R1が存在する場合あるいはプロファイルの長さがそれを行うことを可能とする場合には、上記三つのもの(一つの中央のもの20および二つの対称なもの21)の代わりに、二つの内部セグメントのみと協働してもよい(図示せず)。
【0164】
概して、実際には、セグメントの最小数は、基本的に、以下の二つの要因によって与えられる。
・セグメントは、開ポジションから閉ポジションへと前後におよび逆に移動している間に、それらが互いに衝突しないように設計される必要がある。
・プリフォームおよび加圧部品は、それぞれ、ツールおよび/またはそのセグメント内に容易に配置可能であり、かつ、そこから容易に取り出せる必要がある。
【0165】
図26は、挿入された素材3が圧縮された状態での、リング形状(円筒面状)部品を製造するための装置の細部の概略断面図である。この断面は部品の軸線に沿った断面である。開いた矢印は、素材3がインナーおよびアウターツール間に形成されたキャビティ内で圧縮され、これによってツールによって決定される形状を呈するように、インナーツールのセグメント2aを介して素材3に加えられる力を表している。セグメントの孔(図26の点線)と相互作用するセグメント2aに対して取り付けられたピンのような案内部7を、インナーおよびアウターツールの適切なアライメントを保証するために使用できる。参照数字12はアウターツールの内面を示しており、したがってまた製造される部品の外面を示している。図27に示す断面において、この面12は線として現れており、製造されることになる部品は実質的に円筒体ジャケットを表している。たとえば円筒体軸線に沿って円筒体半径を変化させるといった、さらに複雑な形状も可能である。この半径の(そして部品の対応する内径の)適切な変化によって、自動車用のリムが、製造される部品となり得る。図26において説明した原理は、たとえば、図1ないし図19において説明した第1実施例にも申し分なく適用可能である。
【0166】
図27は、たとえば図1ないし図19に示す第1実施例において使用可能である様式で、第2のツールの第1のセットのセグメント2aと第2のツールの第2のセットのセグメント2bとの間のインターフェース13の詳細を示している。インターフェース13は、さらに詳しくは、セグメント2aの係合面13a(図7も参照)とセグメント2bの係合面13b(図7も参照)によって形成されている。セグメント2a、さらに詳しくはその係合面13a(図7も参照)は、インナーツールの局所接線と鋭角αをなす。この局所接線は、図27において、破線にて示されている。これに対応して、セグメント2b、さらに詳しくはその係合面13b(図7も参照)は、インナーツールの局所接線と鈍角βをなす。鋭角αは、たいてい、89°ないし40°、特に88°ないし60°、とりわけ86°ないし70°である。
【0167】
インターフェース13ならびに係合面13aおよび13bは、必ずしも平坦である必要はないことに留意されたい。図27に点線で示すように、湾曲したインターフェース13および表面14も可能である。鋭角αを設けることによって、完成部品中で良好に配置されかつ良好な形状とされた繊維が実現される。
【0168】
第2のセットのセグメント2b(第1および第2実施例)および21(第3実施例)は、同時に、閉ポジションにあるときのそれらの(その)ポジションからの(それらの移動経路に沿った)第1のセットのセグメント2a(第1および第2実施例)および20(第3実施例)よりも、閉ポジションに向かうその途上で、常に、閉ポジションにあるときの、それらの(その)ポジションから(それらの移動経路に沿って)遠く離れていることは明らかである。
【0169】
概して、第2のセットのセグメント2b,21は、閉ポジションへのそのそれぞれの途上で第1のセットのセグメントを追い越すことがあるいは「オーバーテーク」ができないと言うことができる。
【0170】
これによって、狭い凹状表面を備えた部品を成形することが可能となる。セグメントのために利用可能な制限されたスペースが巧みに利用される。セグメントの異なるセットは、異なる時間で、かつ/または異なる速度で、幾何学的制限を克服するために動作させられる。第2実施例(図21参照)と関連付けて先に説明したものと同様に、第1実施例(図1〜図19参照)の場合には、セグメント2bが閉ポジションに向かってその途上で既に移動している間、セグメント2aを依然として移動させかつ依然として閉ポジションには存在しないようにすることも可能であり、すなわち、図1〜図19と関連する第1実施例の説明において、セグメント2bは、セグメント2aがその閉ポジションに既に存在するようになった後でのみ、その初期ポジションへと移動させられることに留意されたい。
【0171】
上記方法および装置は、特に連続繊維および/または配向繊維が補強材として使用される場合、プリフォームからの圧力成形繊維強化プラスチック部品の製造に、特にリングのような、あるいはほとんど閉じた、あるいは凹状部分を伴う、かなり複雑な形状を有する部分を有するか、あるいはそれからなる、そうした部品に特に適している。
【符号の説明】
【0172】
1 セグメント、第1のツールのセグメント、外型枠セグメント
2a セグメント、第2のツールの第1のセットのセグメント、内型枠セグメント
2b セグメント、第2のツールの第2のセットのセグメント、内型枠セグメント
3 プリフォーム、プリプレグ
4 閉状態の第1のツール、閉状態の外型枠
5 第1のツールのセグメントの接触インターフェース、外型枠のセグメントの接触インターフェース
6 クランプ
7 案内部、案内手段、案内ピン
8 プルロッド、プルロッドの第1のセットのロッド
10 変位機構
11 プルロッド、プルロッドの第2のセットのロッド
12 製造される部品の外面、アウターツールの内面
13 接触インターフェース、第2のツールの第1のセットのセグメントと第2のセットのセグメントとの間のインターフェース
13a 第2のツールの第1のセットのセグメントの係合面
13b 第2のツールの第2のセットのセグメントの係合面
14 力ベクトル
15 力ベクトル
16 部品、リム
17 パンタグラフ
18 パンタグラフボルト
19 部品、プロファイル
20 セグメント、第2のツールの第1のセットのセグメント、内型枠セグメント、中央型枠セグメント
21 セグメント、第2のツールの第2のセットのセグメント、内型枠セグメント、側方型枠セグメント
22 セグメント、第1のツールのセグメント、外型枠セグメント、外型枠のセグメント
A 軸線、部品軸線
...R 曲げ半径
α 角度、鋭角
β 角度、鈍角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(16;19)を製造するための方法であって、
a)素材(3)を提供するステップと、
b)少なくとも一つのセグメント(1;22)を備えた少なくとも一つのセットを備えた第1のツールを提供するステップと、
c)少なくとも一つのセグメント(2a;2b;20,21)であって、前記セグメント(2a;2b;20,21)は、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で互いに隣り合って配置されたとき、製造されることになる前記部品の表面の一部の形状を描く第2のツール面を形成する少なくとも一つのセグメント(2a;2b;20,21)の少なくとも一つの第1および少なくとも一つの第2のセットをそれぞれ備えた第2のツールを提供するステップと、
d)前記閉ポジションへと前記第2のツールの前記第1のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2a;20)を移動させるステップと、
e)前記閉ポジションに向かってかつ前記閉ポジションへと前記第2のツールの前記第2のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2b;21)を移動させるステップと、
f)前記第1および第2のツールの少なくとも一方に対して圧力を加えることによって、少なくとも前記第1および第2のツール間で前記素材(3)の少なくとも一部を、特に少なくとも実質的に前記素材(3)の全てを圧縮するステップと、
を具備し、
前記第2のツールの前記セグメント(2a;2b;20,21)は、前記閉ポジションに向かう前記第2のツールの前記第2のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2b;21)の移動の間絶えず、前記第2のツールの前記第2のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2b;21)に関する前記閉ポジションまでの瞬間移動距離は、前記第2のツールの前記第1のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2a;20)に関する前記閉ポジションまでの瞬間移動距離を上回るように移動させられることを特徴とする部品を製造するための方法。
【請求項2】
前記第1のツールはアウターツールであり、かつ、前記第2のセットはインナーツールであり、あるいは逆であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セグメント(1;22;2a;20;2b;21)の前記セットの少なくとも一つ、特にそのそれぞれは、少なくとも二つの、特に少なくとも三つの、とりわけ少なくとも四つのセグメントを具備してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記素材(3)は、実質的に、フォイルまたはシートまたは細片の形態で提供されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記素材(3)ならびに前記部品(16;19)は、強化プラスチック、特に繊維強化プラスチックを含むか、あるいは少なくとも実質的にそれからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記素材(3)は、実質的に、プリフォームあるいはプレプレグ素材であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記部品は、実質的にリング形状のあるいはリング状の構造を有する部分からなり、あるいは前記部品は、実質的に、リング形状のあるいはリング状の構造を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記素材(3)の圧縮の間、前記第2のツールの前記第1のセットと接触状態にある、前記素材(3)の面積は、前記第2のツールの前記第2のセットと接触状態にある、前記素材(3)の前記面積よりも大きく、特に少なくともその2倍の大きさであり、とりわけ少なくとも3倍の大きさであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2のツールは、その形状が前記部品の形状を決定するツールであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のツールの前記第1のセットに関してかつ/または前記第2のツールの前記第2のセットに関して、前記個々のセットの前記セグメント(2a;2b;20;21)は、前記個々のセットの前記セグメント(2a;2b;20;21)の一つによって加えられる、圧縮されることになる前記素材(3)に対する圧力が、前記セグメント(2a;2b;20;21)のそれぞれに関して、少なくとも概ね同一であるように移動させられることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のツールの前記第2のセットの前記セグメント(2b;21)の少なくとも一つは、前記素材を圧縮する際に、力が、前記セグメント(2b;21)によって、前記第2のツールの前記第1のセットの少なくとも一つのセグメント(2a;20)に対して加えられるような形状とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記圧縮によって、少なくとも5バールの、特に多くても50バールの圧力が前記素材に加えられることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記圧縮の前にかつ/またはその間にかつ/またはその後に、前記素材(3)を加熱するステップを具備することを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
実質的に配向連続繊維強化プラスチックからなるシームレス部品を製造するための方法であって、特に前記プラスチックは熱可塑性を有することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
部品、特に実質的に強化プラスチックからなる部品を製造するための装置であって、
第1および第2のツールであって、前記第1のツールは少なくとも一つのセグメント(1;22)を備えた少なくとも一つのセットを具備し、かつ、前記第2のツールは少なくとも一つのセグメント(2a;2b;20;21)の少なくとも一つの第1および一つの第2のセットをそれぞれ具備する第1および第2のツールと、
前記第2のツールの少なくとも前記第1のセットおよび前記第2のセットを駆動するための駆動ユニットと、
を具備してなることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記第1のツールの前記セグメント(1;22)は、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で配置されたとき、それらが、製造されることになる部品(16;19)の第1の部分表面に対応する少なくとも実質的に連続した表面を形成するような形状とされており、かつ、前記第2のツールの前記セグメント(2a;2b;20;21)は、閉ポジションと呼ばれる所定の様式で配置されたとき、それらが、製造されることになる部品(16;19)の第2の部分表面に対応する少なくとも実質的に連続した表面を形成するような形状とされており、特に、これら二つの部分表面は、それらが、製造されることになる前記部品の実質的に全表面を形成するように、相互補完するものであることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2のツールの前記第1のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2a;20)は、前記第2のツールが前記閉ポジションにあるときに、前記第2のツールの前記第2のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2b;21)の少なくとも一つの係合面(13b)と係合する少なくとも一つの係合面(13a)をそれぞれ備え、前記第2のツールの前記第1のセットの前記係合面(13a)はそれぞれ、前記閉ポジションにおいて、前記第2の部分表面と鋭角をなすことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記閉ポジションに向かって前記第2のツールの前記第2のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2b;21)を移動させる間絶えず、前記第2のツールの前記第2のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2b;21)に関する前記閉ポジションまでの瞬間移動距離は、前記第2のツールの前記第1のセットの前記少なくとも一つのセグメント(2a;20)に関する前記閉ポジションまでの瞬間移動距離を上回るように、前記第2のツールの前記セグメント(2a;2b;20,21)が移動させられるように、前記第2のツールの前記第1のおよび前記第2のセットの動作を制御するよう構成された制御ユニットを備えることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1および第2のツール間に挿入された素材を加熱あるいは冷却するように、あるいはその加熱および冷却の両方を行うように構成された温度変更ユニットを具備してなることを特徴とする請求項15ないし請求項18のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2012−517368(P2012−517368A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549543(P2011−549543)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051647
【国際公開番号】WO2010/092081
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511196700)クリンクラン・コンポジッツ・アーゲー (1)
【Fターム(参考)】