説明

繊維材料

【課題】 疲労回復、脂肪燃焼効果のあるL−カルニチンを繊維材料に処理し、その効果を長期間繊維材料に付与する方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、疲労回復、脂肪燃焼効果のあるL−カルニチンを処理したことを特徴とする繊維材料である。その処理方法は、L−カルニチンを含有する加工液を処理したことを特徴とする繊維材料の処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労回復、脂肪燃焼効果のあるL−カルニチンを処理したことを特徴とする繊維材料に関する。
【背景技術】
【0002】
L−カルニチンは1905年に筋肉抽出物中より発見された物質で、ビタミンB群のビタミン様栄養素である。生体ではL−リジンとメチオニンから生合成されている。
【0003】
L−カルンチンの生理作用は運動能力の向上,疲労回復,体脂肪の減少等が挙げられる。現在L−カルニチンは上記効果をスポーツドリンク等で摂取されているが、繊維材料に処理し、その機能を繊維に付与する方法についてはまだ知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では疲労回復,体脂肪の減少等に効果があるL−カルニチンを繊維に処理し、その効果を長期間繊維材料に付与する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にあたり、発明者らはL−カルニチンと樹脂バインダーを併用した処理液で繊維材料を処理することにより耐久性に優れたL−カルニチン処理の繊維材料を得ることができ、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明は疲労回復,体脂肪減少等の効果があるL−カルニチンを処理したことを特徴とする繊維材料である。
【課題が解決するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いられる繊維材料とは、天然繊維,合成繊維,再生繊維を単独或いは混合して作られる糸又は糸よりなる織物,編物,不織布等であるが、特に限定されるものではない。
【0008】
また、本発明のL−カルニチンを含有する加工液を繊維材料に処理する際には、柔軟剤、抗菌剤、防カビ剤、防虫剤、防炎剤、帯電防止剤、撥水剤、消臭剤、紫外線防止剤、保湿剤、芳香剤等の繊維用機能加工剤と併用することも可能である。
【0009】
繊維材料に処理する加工液の濃度としては、L−カルニチンの濃度が0.01〜10重量%であることが好ましいが、特に限定はされない。
【0010】
また本発明に併用する樹脂バインダーは自己架橋型アクリル酸エステルあるいは分子内にカルボキシル基を有する共重合樹脂、アクリル・シリコン共重合樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エチレン酢ビ樹脂、メタアクリル樹脂、グリオキザール樹脂の1種又は2種以上からなる。
【実施例】
【0011】
以下、実施例により詳細説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0012】
(実施例1)L−カルニチン酒石酸塩(ロンザ・ジャパン(株))1gとアクリル・シリコン樹脂(ファイコートS−60NF:大和化学工業(株))4gを水95gに溶解し、加工処理液とした。これらの処理液を綿100%(目付100g/m)に対して、しぼり率80%で処理した後、120℃で5分間乾燥した。
【0013】
(実施例2)L−カルニチン酒石酸塩(ロンザ・ジャパン(株))1gとアクリル樹脂(ファイコートTR−36:大和化学工業(株))4g,触媒(ファイコート502:大和化学工業(株))0.2gを水94.8gに溶解し、加工処理液とした。これらの処理液をポリエステル100%(目付135g/m)に対して、しぼり率65%で処理した。処理後80℃で充乾した後、150℃で約1分間熱処理を行った。
【0014】
(洗濯方法)洗濯はJIS L−0217 103法に準じて行った。
【0015】
(付着量分析)試験試料30×3cmを円筒濾紙No.84(東洋濾紙(株)製)に入れ、エタノールを溶剤としてソックスレー抽出器で2時間抽出した。抽出後、エタノールにて100mlとし、高速液体クロマトグラフにより分析した。得られたL−カルニチンのピークの面積から繊維に付着した量を計算した。その結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
(耐光性試験及び耐熱性試験)実施例1及び2で得られた加工布の耐光性試験は、JIS L0842 カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法に準じて行った。耐光試験器はスガ試験機械株式会社製の紫外線ロングライフフェードメーターを用い、ブラックパネル温度63±3℃で40時間紫外線照射して行った。耐熱性試験は加工布を150℃の恒温器中で10分間放置した後、室温まで冷却して行った。変色の評価はそれぞれ試験試料を未加工布と比較して行った。その結果を表2に示す。
【0018】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、疲労回復、脂肪燃焼効果のあるL−カルニチンを繊維材料に処理する方法であり、このような処理により、疲労回復、脂肪燃焼効果の期待される機能化繊維材料を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−カルニチンを処理したことを特徴とする繊維材料。

【公開番号】特開2006−112020(P2006−112020A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328209(P2004−328209)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000208260)大和化学工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】