説明

繊維機械及び管継ぎ手

【課題】1つの管継ぎ手を用いて、管継ぎ手内の仕切り板を着脱するだけで、2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替える。
【解決手段】自動ワインダの各糸継装置に連結された圧管32は、内部に仕切り板51が配置された締め付け環41が取り付けられている管継ぎ手40により接合されている。この管継ぎ手40により接合された2つの圧管32の連通は、仕切り板51により遮断されている。また、この仕切り板51は、管継ぎ手40から着脱自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械及び管継ぎ手に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの管を管継ぎ手で接合し、2つの管を連通させているものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、管継ぎ手で接合された2つの管内には、同一圧力の気体が供給されている。ここで、2つの管内にそれぞれ異なる圧力の気体を供給したい場合や、一方の管にのみ所定圧力の気体を供給したい場合には、従来、管継ぎ手を取り外し、2つの管の接合される端部にそれぞれ蓋を付けて封止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−170971号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これでは、管継ぎ手とは異なる別の蓋が必要であり、2つの管を接合しながら、2つの管の連通を遮断するのは困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、1つの管継ぎ手を用いて、2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替える繊維機械及び管継ぎ手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の繊維機械は、原料繊維または前記原料繊維から紡績された糸を処理する作動装置を備えた処理ユニットを複数備えた繊維機械であって、管継ぎ手と、前記管継ぎ手により接合された2つの管と、を備えており、前記2つの管のうち一方の第1の管には、単一または複数の第1の作動装置が連結され、他方の第2の管には、単一または複数の第2の作動装置が連結され、前記管継ぎ手の内部には、前記2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替える仕切り板が、着脱自在に設けられている。
【0007】
本発明の管継ぎ手によると、1つの管継ぎ手を用いて、管継ぎ手内の仕切り板を着脱するだけで、2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替えることができる。また、同一の管継ぎ手によって気体の通過と遮断とを切り替えることができるため、2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替える際に管と管のクリアランスを変更する必要がない。
【0008】
また、前記第1の管は、前記第1の作動装置を作動させるための圧縮または減圧した気体を発生させる第1の気圧調整装置と連結され、前記第2の管は、前記第2の作動装置を作動させるための圧縮または減圧した気体を発生させる第2の気圧調整装置と連結され、前記仕切り板が取り付けられた前記管継ぎ手により、前記2つの管の間を流れる気体の通過を遮断していることが好ましい。これによると、2つの管を接合しつつも、2つの管内を異なる圧力にすることができるので、第1の作動装置と第2の作動装置とを異なる圧力で作動させることができる。
【0009】
さらに、前記管継ぎ手は、前記2つの管の接合側端部の外周面に密着して、前記2つの管内の気体が外部に漏洩するのを防止する円筒状の弾性部材からなるシール部材と、前記シール部材を縮径方向に締め付ける締付部材と、を有しており、前記仕切り板は、円板状に形成されており、前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、前記仕切り板の外周面を密着させて取り付ける取り付け部が形成されていることが好ましい。これによると、シール部材の取り付け部に仕切り板を取り付けて、仕切り板によるシール性を高めることで、確実に2つの管の連通を遮断することができる。
【0010】
加えて、前記取り付け部は、前記シール部材の軸方向中央部の内周面に形成された環状の凹部であることが好ましい。これによると、仕切り板の外周面がシール部材の凹部に入り込み、仕切り板が移動するのを防止でき、より確実に2つの管の連通を遮断することができる。さらに、仕切り板の取り付け、取り外しも容易に行うことができる。
【0011】
また、前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、軸方向に間隔をあけて並ぶ、環状の2つの凸部が設けられており、前記凹部は、前記2つの凸部の間に形成されていることが好ましい。これによると、仕切り板が移動するのを防止でき、且つ、両側2つの凸部に挟まれて、シール部材と仕切り板のシール性が高まり、より一層確実に2つの管の連通を遮断することができる。
【0012】
さらに、前記作動装置は、空気流により糸を繋ぐ糸継ぎ装置であることが好ましい。これによると、2つの管の連通状態を切り替えることで、複数の糸継ぎ装置を同じ圧力または異なる圧力で作動することができる。したがって、必要とされる糸継ぎ装置への供給圧力が異なる糸種を処理ユニットで処理する際にも、糸種に応じた圧力で糸継ぎ装置を作動させることができる。
【0013】
本発明の管継ぎ手は、流体を流すための2つの管を接続する管継ぎ手であって、前記2つの管の接合側端部の外周面に密着して、前記2つの管内の流体が外部に漏洩するのを防止する弾性部材からなるシール部材と、前記シール部材を締め付ける締付部材と、を有しており、前記シール部材に着脱自在に設けられた仕切り板と、を備えている。
【0014】
本発明の管継ぎ手によると、1つの管継ぎ手を用いて、管継ぎ手内の仕切り板を着脱するだけで、2つの管の間を流れる流体の通過と遮断とを切り替えることができる。
【0015】
また、前記シール部材は、円筒状に形成され、前記仕切り板は、円板状に形成され、前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、前記仕切り板の外周面を密着させて取り付ける取り付け部が形成されていることが好ましい。これによると、シール部材の取り付け部に仕切り板を取り付けて、仕切り板によるシール性を高めることで、確実に2つの管の連通を遮断することができる。
【0016】
さらに、前記取り付け部は、前記シール部材の軸方向中央部の内周面に形成された環状の凹部であることが好ましい。これによると、仕切り板の外周面がシール部材の凹部に入り込み、仕切り板が移動するのを防止でき、より確実に2つの管の連通を遮断することができる。
【0017】
加えて、前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、軸方向に間隔をあけて並ぶ、環状の2つの凸部が設けられており、前記凹部は、前記2つの凸部の間に形成されていることが好ましい。これによると、仕切り板が移動するのを防止でき、且つ、両側2つの凸部に挟まれて、シール部材と仕切り板のシール性が高まり、より一層確実に2つの管の連通を遮断することができる。
【発明の効果】
【0018】
1つの管継ぎ手を用いて、管継ぎ手内の仕切り板を着脱するだけで、2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動ワインダの概略構成を示す正面図である。
【図2】自動ワインダの1つの巻取ユニットの正面図である。
【図3】2つの巻取ユニットの概略構成を示す正面図である。
【図4】2本の管が接合された管継ぎ手近傍の拡大図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】仕切り板が取り付けられていない管継ぎ手の断面図である。
【図7】変形例における管継ぎ手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、給糸ボビンから解舒された糸を巻取管に巻取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットを多数備えた、自動ワインダ(繊維機械)に本発明を適用した一例である。図1は、自動ワインダの概略構成を示す正面図であり、図2は、自動ワインダの1つの巻取ユニットの正面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、自動ワインダ1は、列設された複数の巻取ユニット2(処理ユニット)と、これら多数の巻取ユニット2に沿ってそれらの列設方向に走行自在に設けられた玉揚装置3と、巻取ユニット2の列設方向一端側に配置され、自動ワインダ1の全体制御を司る制御部を有する機台4とを備えている。
【0022】
自動ワインダ1は、各々の巻取ユニット2において給糸ボビンBから解舒される紡績糸Yを巻取管11に巻取ってパッケージPを形成するように構成されている。玉揚装置3は、巻取ユニット2に所定長で所定形状の満玉のパッケージPが形成されたときには、その巻取ユニット2の頭上に移動して、パッケージPを取り外し、糸の巻かれていない巻取管11に取り替える。
【0023】
次に、各々の巻取ユニット2の詳細な構成について説明する。図2に示す巻取ユニット2は、給糸ボビンBから解舒される紡績糸Yをトラバースさせながら巻取管11に巻き付けて、満管のパッケージPを形成するものである。
【0024】
巻取ユニット2は、その上部に、図示しないユニットフレームに設けられて巻取管11を回転自在に把持するクレードル12と、同じくユニットフレームに回転自在に支持された綾振ドラム13とを備えている。綾振ドラム13はドラム駆動モータ28により回転駆動される。また、この綾振ドラム13の周面には螺旋状の綾振溝13aが形成されており、この綾振溝13aによって紡績糸Yをトラバースさせるように構成されている。そして、綾振ドラム13が、綾振溝13aによって紡績糸Yをトラバースさせながら、巻取管11に紡績糸Yが巻き取られることによって形成されたパッケージPに接触した状態で回転することで、綾振ドラム13との接触摩擦によってパッケージPが回転し、給糸ボビンBから解舒された紡績糸Yが巻取管11に巻取られていくようになっている。
【0025】
図2に示すように、給糸ボビンBと綾振ドラム13の間の糸走行経路中には、給糸ボビンB側から順に、解舒補助装置17、糸切れ検知部18、テンション付与装置19、糸継ぎ装置20(作動装置)、糸欠陥除去装置21がそれぞれ配設されている。
【0026】
解舒補助装置17は、給糸ボビンBに被さる筒体25と、この筒体25を降下させる駆動装置26とを備えており、駆動装置26により筒体25と給糸ボビンBの先端(チェス部)との間隔が略一定に保たれるように制御して、糸Yの解舒を安定させるものである。糸切れ検知部18は、解舒補助装置17とテンション付与装置19との間における紡績糸Yの有無を検出するものである。
【0027】
テンション付与装置19は、走行する紡績糸Yに所定のテンションを付与するものである。図2に示される例では、固定の櫛歯19aに対して可動の櫛歯19bを配置するゲート式のものが用いられている。櫛歯19aに対して櫛歯19bが噛み合わせ状態または開放状態になるように旋回自在になっており、その旋回はロータリー式のソレノイド27により行われる。
【0028】
糸継ぎ装置20は、後述する糸欠陥除去装置21により検出された糸欠陥を除去するために行われる糸切断時、または解舒中の糸切れ時などに、給糸ボビンB側の下糸Y1とパッケージP側の上糸Y2とを糸継ぎする。この糸継ぎ装置20は、圧縮空気の力で作動する作動装置であり、従来からエアスプライサとして知られている。このエアスプライサは、下糸Y1と上糸Y2が重なった状態で収容された空間内に、圧縮空気を供給することで、空間内に空気流を発生させて下糸Y1と上糸Y2の繊維同士を絡ませて糸継ぎをおこなうものである。上述のように、このエアスプライサについては、従来公知の技術であり、特開昭61−257877号公報などに詳細が記載されているため、より詳細な説明を省略する。
【0029】
また、糸継ぎ装置20の上下には、給糸ボビンB側の下糸Y1を捕捉して糸継ぎ装置20へ案内する下糸捕捉案内部材22と、パッケージP側の上糸Y2を捕捉して糸継ぎ装置20へ案内する上糸捕捉案内部材23が設けられている。解舒中の糸切れ時、あるいは、糸欠陥除去装置21による糸切断時には、下糸捕捉案内部材22の吸引口22aは、図2に示されている位置において下糸Y1の糸端を捕捉し、下から上へと旋回して糸継ぎ装置20に下糸Y1を案内する。同時に、上糸捕捉案内部材23は、そのサクションマウス23aが、図2に示されている位置から、パッケージPと綾振ドラム13の接点近傍の糸端捕捉位置まで旋回し、この糸端捕捉位置においてパッケージPから上糸Y2の糸端を捕捉した後に再び下へと旋回し、糸継ぎ装置20に上糸Y2を案内するようになっている。
【0030】
糸欠陥除去装置21は、紡績糸Yに生じたスラブなどの糸欠陥を検出する。また、このクリアラー21には、糸欠陥を検出した時の糸切断用のカッター21aが付設されている。
【0031】
次に、糸継ぎ装置20に圧縮空気を供給するための構成について説明する。なお、ここでは簡単のため、2つの巻取ユニット2の糸継ぎ装置20にそれぞれ圧縮空気を供給するための構成について説明する。図3に示すように、2つの糸継ぎ装置20は、それぞれ異なる導入管34を介して、2つの圧管32にそれぞれ連結されている。2つの圧管32の対向する一端は、管継ぎ手40により接合されており、他端には、それぞれ異なるポンプ30(気圧調整装置)が連結されている。この2つの圧管32を接合する管継ぎ手40は、その内部に後述する仕切り板51を有しており、2つの圧管32の連通を遮断している。
【0032】
この管継ぎ手40について詳細に説明する。管継ぎ手40は、図3〜図5に示すように、スリット41aが形成された円筒状のSUS304などの金属材料からなる締め付け環41と、締め付け環41の内周面に接触して配置され、円筒状に巻かれた薄い金属材料からなる金属板45と、金属板45の内周面に接触して配置されたゴムなどの弾性部材からなる円筒状のシール部材50と、シール部材50内を2つに分断する仕切り板51とを有している。
【0033】
締め付け環41のスリット41aを挟んだ両縁には、接線方向に延在して対向するSUS304などの金属材料からなる2つの締め付け板42の一端が接合されており、その他端は湾曲して円筒を形成しており、その内部にはシャフト43が配置されている。シャフト43には、軸方向に間隔をあけて径方向に貫通した2つの貫通孔が形成されている。2つの締め付け板42には、貫通孔の貫通方向が2つの締め付け板42の対向する方向と平行になるようにシャフト43が配置されたときに、貫通孔が露出できるように開口が形成されている。
【0034】
そして、2本のボルト44が、2つの締め付け板42の円筒内に配置された一方のシャフト43の貫通孔を挿通し、2本のボルト44の先端は、他方のシャフト43の貫通孔に形成されたねじ溝に螺合している。2本のボルト44を締めると、2つのシャフト43が近づく方向に移動し、それにともない、2つの締め付け板42も近づく方向に移動し、締め付け環41が縮径する。なお、本実施形態における締め付け板42、シャフト43、ボルト44が、本発明における締付部材に相当する。
【0035】
金属板45は、薄い板を円筒状に丸めた形状であり、軸方向の両端から筒内の向かって折り曲がった折り曲げ部45aを有しており、折り曲げ部45aには、周方向に沿って間隔をあけて複数の切り欠き45bが形成された歯形部材45cが取り付けられている。
【0036】
シール部材50は、軸方向の略中央において、その内周面から突出し、軸方向に間隔をあけて並ぶ、環状の2つの凸部50aを有している。そして、シール部材50の2つの凸部50aの間(2つの凸部50aのくぼみ)には、金属材料からなる円板状の仕切り板51が着脱自在に取り付けられる取り付け部50cが形成されている。また、仕切り板51の外径は、シール部材50の2つの凸部50aの間のくぼみが形成された箇所の内径よりも若干大きくなっている。これにより、仕切り板51は、2つの凸部50aの間のくぼみに圧入されることになる。なお、シール部材の材質としては、EPDMを使用することが好ましい。
【0037】
また、シール部材50内の軸方向両端部の内周面には、径方向内側に突出するように形成された密閉凸部50bが形成されている。このような構成の管継ぎ手40のシール部材50内に、軸方向の両側から圧管32を挿入し、ボルト44を締めると、締め付け環41が縮径することで、金属板45も縮径し、シール部材50の密閉凸部50bが圧管32を締め付け、2つの圧管32は管継ぎ手40により接合される。これにより、圧管32内の流体が管外部に漏洩することを防止している。ただし、シール部材50内に仕切り板51が取り付けられているため、2つの圧管32の連通は遮断されている。
【0038】
このとき、シール部材50内の仕切り板51は、2つの凸部50aのくぼみに入り込んで、シール部材50から押圧される。これにより、シール部材50内で仕切り板51が移動するのを防止でき、且つ、両側2つの凸部50aに挟まれて、シール部材50と仕切り板51のシール性が高まり、より確実に2つの圧管32の連通を遮断することができる。
【0039】
また、金属板45には、切り欠き45bを有する歯形部材45cが取り付けられていることで、圧管32が管継ぎ手40から抜けることを防止している。一方、ボルト44を緩めると、締め付け環41が拡径することで、金属板45も拡径し、シール部材50の締め付けが解除され、圧管32を取り外した上で、内部の仕切り板51を取り外すことができる。
【0040】
このように、仕切り板51が取り付けられている管継ぎ手40で2つの圧管32を接合した上で、図3に示すように、2つの圧管32にそれぞれ気圧調整装置たるポンプ30を連結し、2つのポンプ30をそれぞれ異なる圧力で駆動すると、2つの圧管32内をそれぞれ異なる圧力にすることができる。すると、それぞれの圧管32に導入管34を介して接続された2つの糸継ぎ装置20には、それぞれ異なる圧力の圧縮空気が供給されることになり、それぞれ旋回力の異なる空気流を発生させることができる。2つの糸継ぎ装置20を有する巻取ユニット2が、糸の太さなど糸種の異なる紡績糸Yを巻取る場合には、糸種と空気流の旋回力の関係で繊維同士の絡み方が違ってくる。例えば、第1のポンプ30で0.4MPa、第2のポンプ30で0.8MPaという圧力を発生させた場合、第1のポンプ30に連結された第1の圧管32と第2のポンプ30に連結された第2の圧管32との間には、0.4MPaもの圧力差が生じる場合がある。このように、圧力差が大きいときには、バルブで開閉できれば、各圧管32の連通/遮断は容易なのであるが、高い圧力差が存在するときには、バルブの遮断性能では十分ではなく、漏れが生じるおそれがある。また、構造が複雑な上に、コストが高い。そこで、仕切り板51が取り付けられている管継ぎ手40で2つの圧管32を接合することで、2つの糸継ぎ装置20にそれぞれ連結された2つの圧管32の連通を確実に遮断して、第1の圧管32に接続された第1の作動装置たる糸継ぎ装置20と第2の圧管32に接続された第2の作動装置たる糸継ぎ装置20に対してそれぞれ異なる最適な圧力の圧縮空気を供給することができる。
【0041】
また、上述した管継ぎ手40に代わって、図6に示すように、仕切り板51を取り付け部50cから取り外して、仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手140により2つの圧管32を接合することもできる。この管継ぎ手140は、仕切り板51が取り付けられていないだけで、その他の構成については管継ぎ手40と同じである。仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手140で2つの圧管32を接合すると、2つの圧管32は連通し、内部を同一圧力にすることができる。このような場合、一方のポンプ30の駆動を停止し、他方のポンプ30のみを駆動して、2つの圧管32にそれぞれ連結された2つの糸継ぎ装置20に対して同一圧力の圧縮空気を供給することができる。これにより、ポンプ30の駆動数が減り、消費電力を削減することができる。
【0042】
なお、仕切り板51が取り付け部50cに取り付けられている管継ぎ手40と、仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手140とで、ボルト44の色を変えたり、外側から見える位置にマークを書いておいたりするなどによって、2つの圧管32を管継ぎ手で接合した状態でおいても、その管継ぎ手が仕切り板51が取り付けられている管継ぎ手40であるか、仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手140であるかを、分解して仕切り板51の有無を確認せずに容易に判断することができる。本実施形態においては、図4に示すように、仕切り板51が取り付けられている管継ぎ手40の締め付け板42にだけ凹み46(識別部)を形成している。なお、管継ぎ手の仕切り板51の有無がわかるようなそれぞれ異なる識別を示す識別部であれば、この識別部は、識別部管継ぎ手40と管継ぎ手140の両方に形成されていてもよいし、どちらか一方にのみ形成されていてもよい。
【0043】
本実施形態の管継ぎ手40によると、シール部材50内に仕切り板51を配置するという簡単な構造で確実に2つの圧管32の連通を遮断することができる。これにより、仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手40に仕切り板51を取り付けるだけで、仕切り板51の有無以外同じ形状の管継ぎ手40を用いて、2つの圧管32を接合しながら、2つの圧管32の連通を遮断することができる。
【0044】
上述したような自動ワインダ1においては、管継ぎ手40により接合された2つの圧管32に連結されたそれぞれ別のポンプ30を駆動することで、それぞれの圧管32内に異なる圧力の圧縮空気を供給し、2つの糸継ぎ装置20に異なる圧力の圧縮空気を供給することができる。また、仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手140に取り替えると、一方の圧管32に連結されたポンプ30のみを駆動することで、2つの圧管32内に同一圧力の気体を供給し、2つの糸継ぎ装置20に同一圧力の圧縮空気を供給することができる。このように、仕切り板51の有無だけが異なる同じ形状の管継ぎ手を用いて、2つの圧管32を接合しつつも、各糸継ぎ装置20に供給する圧縮空気の圧力を切り替えることができる。
【0045】
また、従来では、2つの圧管32の連通を遮断する場合には、2つの圧管32の端部を軸方向から蓋を押し込んで封止していた。これに対して、仕切り板51が取り付けられている管継ぎ手40であれば、圧管32の端部間の間隔が狭く、蓋の取り付けが困難なときであっても、弾性部材からなるシール部材50を変形させつつ、圧管32の端部に被せるように取り付けるだけであるため、圧管32の長さや圧管32と圧管32の間隔(クリアランス)を変えずに、簡単に取り付けることができる。
【0046】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。本実施形態においては、管継ぎ手40により接合された2つの圧管32は、エアスプライサである糸継ぎ装置20に連結されていたが、2つの圧管32内を供給される圧縮または減圧した気体により作動する作動装置であれば、2つの圧管32にはいかなる作動装置が連結されていてもよい。例えば、自動ワインダ1では、糸切れ、糸切断時の糸端を吸引捕捉してスプライサへ運ぶサクションマウス23aなどが連結されていてもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、2つの圧管32には、それぞれ異なるポンプ30が連結されていたが、一方の圧管32にのみポンプ30が連結されており、他方のポンプ30にはポンプ30が連結されていなくてもよい。この場合、仕切り板51が取り付けられている管継ぎ手40で2つの圧管32を接合していると、2つの圧管32の連通は遮断され、ポンプ30を駆動することで、ポンプ30に連結された一方の圧管32内にのみ圧縮空気が供給され、他方の圧管32には圧縮空気は供給されない。それゆえに、一方の圧管32に連結された糸継ぎ装置20のみに圧縮空気を供給し、他方の圧管32に連結された糸継ぎ装置20への圧縮空気の供給を停止することができる。また、仕切り板51を取り外して、仕切り板51が取り付けられていない管継ぎ手140に取り替えると、ポンプ30を駆動することで、2つの圧管32内に同一圧力の圧縮空気を供給し、2つの糸継ぎ装置20に同一圧力の圧縮空気を供給することができる。このように、仕切り板51の有無だけが異なる同じ形状の管継ぎ手40を用いて、各糸継ぎ装置20への圧縮空気の供給状態を切り替えることができる。
【0048】
さらに、本実施形態においては、シール部材50には、仕切り板51が配置される2つの凸部50aが形成されていたが、この2つの凸部50aは形成されていなくてもよい。
【0049】
加えて、本実施形態においては、シール部材50と仕切り板51のシール性を高めるために、シール部材50に形成された2つの凸部50aの間のくぼみに仕切り板51を配置していたが、図7(a)に示すように、シール部材150に環状の凹部150aが形成されており、その凹部150aに仕切り板51を配置してもよい。また、図7(b)に示すように、仕切り板251とシール部材250に嵌合可能な凹部251aと凸部250aをそれぞれ形成してもよい。
【0050】
以上、説明した実施形態及びその変更形態では、本発明の管継ぎ手40を、自動ワインダ1に適用したが、本発明の適用対象は、このような自動ワインダ1に限られず、2つの管の連通状態を切り替えるような構成をともなう装置であれば、紡績機など様々な繊維機械に加え、繊維機械以外の装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 自動ワインダ
2 巻取ユニット
20 糸継ぎ装置
30 ポンプ
32 圧管
40 管継ぎ手
41 締め付け環
50 シール部材
50b 凸部
51 仕切り板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料繊維または前記原料繊維から紡績された糸を処理する作動装置を備えた処理ユニットを複数備えた繊維機械であって、
管継ぎ手と、
前記管継ぎ手により接合された2つの管と、を備えており、
前記2つの管のうち一方の第1の管には、単一または複数の第1の作動装置が連結され、
他方の第2の管には、単一または複数の第2の作動装置が連結され、
前記管継ぎ手の内部には、前記2つの管の間を流れる気体の通過と遮断とを切り替える仕切り板が、着脱自在に設けられていることを特徴とする繊維機械。
【請求項2】
前記第1の管は、前記第1の作動装置を作動させるための圧縮または減圧した気体を発生させる第1の気圧調整装置と連結され、
前記第2の管は、前記第2の作動装置を作動させるための圧縮または減圧した気体を発生させる第2の気圧調整装置と連結され、
前記仕切り板が取り付けられた前記管継ぎ手により、前記2つの管の間を流れる気体の通過を遮断していることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
【請求項3】
前記管継ぎ手は、
前記2つの管の接合側端部の外周面に密着して、前記2つの管内の気体が外部に漏洩するのを防止する円筒状の弾性部材からなるシール部材と、
前記シール部材を縮径方向に締め付ける締付部材と、を有しており、
前記仕切り板は、円板状に形成されており、
前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、前記仕切り板の外周面を密着させて取り付ける取り付け部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械。
【請求項4】
前記取り付け部は、前記シール部材の軸方向中央部の内周面に形成された環状の凹部であることを特徴とする請求項3に記載の繊維機械。
【請求項5】
前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、軸方向に間隔をあけて並ぶ、環状の2つの凸部が設けられており、
前記凹部は、前記2つの凸部の間に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の繊維機械。
【請求項6】
前記作動装置は、空気流により糸を繋ぐ糸継ぎ装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項7】
流体を流すための2つの管を接続する管継ぎ手であって、
前記2つの管の接合側端部の外周面に密着して、前記2つの管内の流体が外部に漏洩するのを防止する弾性部材からなるシール部材と、
前記シール部材を締め付ける締付部材と、を有しており、
前記シール部材に着脱自在に設けられた仕切り板と、を備えていることを特徴とする管継ぎ手。
【請求項8】
前記シール部材は、円筒状に形成され、
前記仕切り板は、円板状に形成され、
前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、前記仕切り板の外周面を密着させて取り付ける取り付け部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の管継ぎ手。
【請求項9】
前記取り付け部は、前記シール部材の軸方向中央部の内周面に形成された環状の凹部であることを特徴とする請求項8に記載の管継ぎ手。
【請求項10】
前記シール部材の軸方向中央部の内周面には、軸方向に間隔をあけて並ぶ、環状の2つの凸部が設けられており、
前記凹部は、前記2つの凸部の間に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の管継ぎ手。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−179140(P2011−179140A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45104(P2010−45104)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】