説明

織りカーペット用塗料化合物、関連使用方法、及びそれらから造られる物品

織りカーペットの作製方法であって、塗料化合物を接着層として前記織りカーペットに塗布して、塗装された織りカーペットを形成することを含み;前記塗料化合物が、ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体(この場合のベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む)と湿潤剤とを含む方法。織り基材と塗料化合物の脱水生成物を含む接着層とを含む織りカーペットであって、前記塗料化合物が、ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体(この場合のベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む)と湿潤剤とを含む、織りカーペット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年12月22日に出願された米国特許仮出願第61/139,749の利益を主張するものであり、該仮出願の全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、水性ポリオレフィン分散体を含有する塗料化合物に関する。詳細には、少なくとも一部の実施形態において、本発明の塗料化合物は、織りカーペットの塗装に有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
一般的に言うと、織りカーペットは、織布を製造する方法に類似した織機を用いて製造することができる。塗料をカーペットの表面又は裏面のいずれかに塗布して一定の特性を強化することができる。例えば、接着性結合をもたらすために、塗料化合物をカーペットに塗布することがある。数ある中でも、塗料化合物は、織りカーペットにおける経糸及び緯糸を結合することができる。代表的な塗料化合物としては、ラテックス、ウレタン、又はビニル系が挙げられ、ラテックスが最も一般的である。使用することができる代表的なラテックスの例は、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(「SB」)又はアクリレートラテックス接着剤である。従来のラテックス系は、高いカーペット生産速度で塗布することができる低粘度の水性組成物である。概して、カーペットは、そのカーペット上のラテックスを乾燥させるオーブンを通過する。塗料化合物を単一の塗膜若しくは層として塗布することもでき、又は多相系として塗布することもできる。
【0004】
カーペットにおけるポリオレフィン繊維の使用は、より一般的になったが、ポリオレフィン基材に対するカルボキシル化SB及びアクリレート系ラテックス塗料化合物の使用は、難題であった。これは、少なくとも一部は、無極性ポリオレフィン繊維と塗料化合物中のより極性の高いポリマーとの相対的不相溶性のためであると考えられている。この不相溶性は、結果として、繊維とラテックス塗料化合物との弱い会合を生じさせると考えられている。この実際的な結果の1つは、カーペットのほつれの発生率増加である。カーペットを製造するとき、それは、保護しなければほつれるであろう未処理端を有する。このほつれ現象は、天然糸(例えば、ジュート及び綿)ででも観察されることがあり、又は比較的極性の高いポリマー糸(例えば、ナイロン及びポリエステル)ででも観察されることがあるが、最も多くのほつれは、無極性の糸(例えば、ポリプロピレン及び他のポリオレフィンコポリマー)とカルボキシル化SB−及びアクリレート系ラテックス塗料化合物の併用の結果として発生する。
【0005】
ラテックス塗料化合物に関するこれらの問題を解決するために、ポリオレフィン系塗料化合物がより一般的になった。加えて、当業者は、糸被覆度を制御することによりほつれの問題を解決しようと試みた。織布における糸被覆度は、3つのパラメータ:濡れ性、粘度、及び塗布された乾燥塗膜重量によって制御される。カーペットの端がほつれないように保護するもう1つの技術は、カーペットの端へのサージストリップの適用を伴った。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般に、水性ポリオレフィン分散体を含有する塗料化合物に関する。詳細には、少なくとも一部の実施形態において、本発明の塗料化合物は、織りカーペットの塗装に有用であり得る。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、織りカーペットの作製方法を提供し、この方法は、織りカーペットに塗料化合物を接着層として塗布して、塗装された織りカーペットを形成することを含むものであり、該塗料化合物は、ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体と、湿潤剤とを含み、該ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む。
【0008】
本発明のもう1つの実施形態は、織物製品を提供し、この織物製品は、基材と、塗料化合物の脱水生成物を含む接着層とを含み、該塗料化合物は、ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体と、湿潤剤とを含み、該ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む。
【0009】
本発明のもう1つの実施形態は、織り基材と、塗料化合物の脱水生成物を含む接着層とを含む、織りカーペットを提供し、該塗料化合物は、ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体と、湿潤剤とを含み、該ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態は、織り基材と塗料とを含む織りカーペットを提供し、該塗料は、ベースポリマー及び湿潤剤を含み、該ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む。
【0011】
本発明の特徴及び利点は、当業者には容易にわかるであろう。当業者は非常に多数の変更を加えることができるが、そのような変更は、本発明の精神の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
これらの図面は、本発明の一部の実施形態の一定の態様を図示すものであり、本発明を制限又は定義するために用いるべきではない。
【図1】本発明の実施形態に従って使用することができる押出機を図示する。
【図2】本発明の実施形態に従って使用することができる平坦な織りカーペットを図示する。
【図3】本発明の実施形態に従って使用することができる平坦な織りカーペットのもう1つの図を図示する。
【図4】本発明の実施形態に従って織りカーペットから経糸を引き抜くために必要な力を測定するための技術を図示する。
【図5】本発明の実施形態に従って織りカーペットから経糸を引き抜くために必要な力を測定するための技術を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、一般に、水性ポリオレフィン分散体を含有する塗料化合物に関する。詳細には、少なくとも一部の実施形態において、本発明の塗料化合物は、織りカーペットの塗装に有用であり得る。
【0014】
本発明の実施形態の多くの利点のうち、本明細書において参照又は暗示しないものの多くは、ほつれのない広幅織機織りカーペットの生産を可能にするだろう塗料及び方法を提供する能力、並びにこれらの広幅織機によって敷物を作って高価なかがり縁仕上げの必要をなくす可能性である。これは、耐ほつれ性を改善するために接着性(糸と塗膜の間)及び凝集性(塗膜内)結合ばかりでなく十分な糸被覆率を提供するはずである、本発明の最適化された塗料化合物に、少なくとも一部は、よるものである。加えて、本発明の実施形態に付随するもう1つの潜在的利点は、塗料化合物が、カーペット上に透明で曇りのない非粘着性皮膜を生じさせるはずであることであり、これは、平坦な織りカーペットの裏抜けを可能にする、又は裏面塗装ではなく表面塗装の適用も可能する、及びそのようなカーペットの光沢の向上に寄与することができる点で望ましい。ポリオレフィン系分散体からのポリマー皮膜は、一般に、離散したポリマー粒子を含有しないため、典型的なチンダル効果は混在するはずがなく、従って、カーペットの色は、強化される、又は然程くすまないはずである。チンダル効果は、ラテックス系皮膜で観察することができるブルーヘイズである。チンダル効果不在のため、ポリオレフィン系分散体からのポリマー皮膜は、透き通っており、完全に透明である。本発明の塗料化合物の実施形態は、該塗料化合物が配置される基材に水及び汚れ、例えばワイン、コーヒー、油など、に対する耐性強化をもたらすはずであるとも考えられる。本発明のもう1つの潜在的利点は、本発明の塗料化合物の実施形態を用いて造ることができるカーペットを、その製造プロセスからの裁ち落とし及びカーペット廃棄物、並びに可使時間の終わっているカーペットを使用して、樹脂系繊維に容易に再循環できることである。
【0015】
一定の用語についての語彙解説
本明細書に開示するすべての数は、「約」又は「おおよそ」という語をそれらと共に用いているかどうかにかかわらず、近似値である。それらは、1%、2%、5%又は、ときとして、10%〜20%変動することがある。下限及び上限を有する数値範囲を開示するときは常に、その範囲内に入る任意の数を具体的に開示している。
【0016】
用語「平均粒径」は、本明細書において用いる場合、体積平均粒径を指す。粒径を測定するために、例えば、レーザー回折技術を用いることができる。本明細書における粒径は、水性分散体中のベースポリマーの直径を指す。球形でないポリマー粒子については、その粒子の直径は、その粒子の長軸と短軸の平均である。Beckman−Coulter LS230レーザー回折粒径分析器又は他の適切な機器を用いて粒径を測定することができる。
【0017】
用語「塗料化合物」は、本明細書において用いる場合、物質を互いに結合させるために適する組成物を指す。用語塗料化合物には、いずれかの特定の結合メカニズムを含意する意図はない。さらに、用語塗料化合物には、該化合物による織りカーペットのいずれかの特定の被覆度を含意する意図はない。
【0018】
用語「コモノマー」は、本明細書において用いる場合、重合反応のために別のモノマーと混合されるモノマーを指す。
【0019】
用語「コポリマー」は、本明細書において用いる場合、1種より多くの化学種のモノマーに由来するポリマーを指し、該ポリマーは、1タイプより多くのタイプのモノマーに基づく繰り返し単位を有するポリマーを含むであろうが、これに限定されない。
【0020】
用語「脱泡剤」は、本明細書において用いる場合、気泡形成を防止するための組成物を指す。
【0021】
用語「分散体」は、本明細書において用いる場合、分散媒中の微粉固体又は液体を指す。用語「分散体」には、本質的に液体材料の乳濁液と固体粒子の分散体の両方を含む意図がある。
【0022】
用語「分散剤」は、本明細書において用いる場合、懸濁液中のフィラー粒子の分散を促進するための及び/又は懸濁液中のフィラー粒子の分散を維持するための組成物を指す。
【0023】
用語「よこ糸(filling)」は、本明細書において用いる場合、経糸に対して直角に耳から走行する、織布における糸を指す。それぞれの横方向の長さをピックと呼ぶ。製織工程において、よこ糸(filling yarn)は、シャトル又は他のタイプのヤーンキャリヤによって運ばれるだろう。
【0024】
用語「発泡剤」は、本明細書において用いる場合、気泡の形成を助長する組成物を指す。
【0025】
用語、「ほつれ」は、本明細書において用いる場合、仕上げをしていない端から糸の抜け落ち又はほぐれである。
【0026】
用語「グラフトモノマー」は、本明細書において用いる場合、主ポリマー鎖に側鎖として連結している化学種であって、主鎖とは異なる構造的又は配置的特徴を有する化学種を指す。
【0027】
用語「パイル」は、本明細書において用いる場合、カーペットの表面に浮いている、装飾面を構成する(主として、より太い)糸の追加セットを指す。パイル糸は、経糸にもよこ糸にも用いられる。
【0028】
用語「ポリエチレン系コポリマー」は、本明細書において用いる場合、エチレン由来の単位を少なくとも51重量%含有する混合物を指す。
【0029】
用語「ポリプロピレン系コポリマー」は、本明細書において用いる場合、プロピレン由来の単位を少なくとも51重量%含有するコポリマーを指す。
【0030】
用語「安定剤」は、本明細書において用いる場合、ベースポリマーの液体媒体への懸濁を可能にするはずである組成物を指す。従って、安定剤は、ポリマー粒子を分散させ、分散剤は、フィラー粒子を分散させる(この場合のフィラーは、高分子材料である場合もあり、又は無機材料である場合もある)。
【0031】
用語「実質的にアイソタクティックなプロピレン配列」は、本明細書において用いる場合、それらの配列が、約0.85より大きい;代替実施形態では約0.90より大きい;もう1つの代替実施形態では、約0.92より大きい;及びもう1つの代替実施形態では、約0.93より大きい、13C NMRによって測定されるアイソタクティックトライアッド(mm)を有することを意味する。
【0032】
用語「経糸」は、本明細書において用いる場合、耳に対して縦方向又は平行に走行する、及びよこ糸と織り合わせられる、すべての織布における糸のセットを指す。
【0033】
用語「緯糸(weft)」は、本明細書において用いる場合、用語よこ糸(filling)と同義である。
【0034】
用語「湿潤剤」は、本明細書において用いる場合、液体に添加されたとき、固体表面にその液体をより均等に拡がらせる又は浸透させるはずである界面活性剤(単数又は複数)を指す。
【0035】
用語「織(り/られた)」は、本明細書において用いる場合、2本の糸をそれらが互いに交差するように交絡させて織布を製造する方法又は工程を指す。経糸(warp yarns)又はたて糸(ends)、は、その布において縦方向に走行し、よこ糸(緯糸)又は横糸(picks)、は左右に走行する。
【0036】
用語「ベルベッティング(velveting)」は、本明細書において用いる場合、華美な布の外観を生じさせる結果となるカーペット面のブラッシングによって生ずるパイルのほつれを指す。
【0037】
塗料化合物の例
本発明の実施形態は、水性分散体と湿潤剤とを含む塗料化合物を提供し、この場合の水性分散体は、ベースポリマー、安定剤、任意の選択の塩基、及び液体媒体を含む。上で説明したように、一部の実施形態において、これらの塗料化合物は、例えば織りカーペットにおける経糸と緯糸の両方を結合するために、使用することができる。これらの塗料化合物は、ニードルパンチ及び/又はタフテッドカーペット(人工芝を含む)での使用にも適するだろう。
【0038】
本発明の塗料化合物を織りカーペット用途でのそれらの使用に関して考察してきたが、これらの塗料化合物及び方法は、一次又は二次基布接着剤としてタフテッドカーペットの塗装の際にも、及び一次/二次基布又は不織物におけるタフテッド糸、繊維、テープ又はフリースを含む(しかし、これらに限定されない)用途で極性基材(例えばポリオレフィンコポリマー)へのポリオレフィンフィルム又は押出物の接着の際にも有用であり得る。一例として、本発明の塗料化合物は、一次基布へのポリオレフィン糸の接着又はポリオレフィン系一次基布へのポリオレフィン二次基布の接着の際に一次塗料として有用であり得る。ポリアミド4−6又はポリアミド6−6のような極性基材への接着も、及びガラス又は金属繊維又は基材への接着でさえも、果たすことができる。他の用途、例えば、非ポリオレフィン系材料についての接着プロセスに関するものなどは、本開示から当業者には明らかだろう。
【0039】
水性分散体の例
塗料化合物の水性分散体は、ベースポリマー、安定剤、任意の選択の塩基、及び液体媒体を含むことがある。水性分散体は、本発明の塗料化合物中に、例えば、該塗料化合物の約10重量%〜約100重量%の量で存在することがある。約10重量%〜約100重量%のすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する;例えば、水性分散体は、約20重量%、約40重量%、約60重量%、約80重量%の下限から、約20重量%、約40重量%、約60重量%、約80重量%の上限まで存在することがある。例えば、水性分散体は、塗料化合物の約65重量%〜約100重量%の量で又は約90重量%〜約100重量%の量で存在することがある。
【0040】
一般に、ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマー、例えばエチレン系コポリマー、プロピレン系コポリマー、又はエチレン−プロピレンコポリマーであるはずである。一定の実施形態において、1つより多くのポリオレフィンが、水性分散体中に存在することがある。一定の実施形態において、ポリオレフィンは、アルファ−オレフィンポリマー及びコポリマー、例えばエチレン−アルファオレフィンコポリマー及びプロピレン−アルファオレフィンコポリマーを含むことがある。エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーも一定の実施形態では使用することができる。一部の実施形態において、適切なポリオレフィンとしては、米国特許第3,645,992号に記載されている均一ポリマー(特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許第4,076,698号に記載されている高密度ポリエチレン(「HDPE」)(特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる);不均一に分枝した線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」);不均一に分枝した超低密度線状ポリエチレン(「ULDPE」);均一に分枝した線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号に開示されているプロセスによって調製することができる、均一に分枝した、実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー(特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる);並びに高圧ラジカル重合エチレンポリマー及びコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(「LDPE」)が挙げられる。米国特許第6,538,070号、同第6,566,446号、同第5,869,575号、同第6,448,341号、同第5,677,383号、同第6,316,549号、同第6,111,023号、又は同第5,844,045号(特許のそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているポリマーも、一部の実施形態では、使用に適する。
【0041】
上で述べたように、ベースポリマーは、本発明の実施形態に従って、ポリマーブレンドを含むことがある。一部の実施形態において、ブレンドは、2つの異なるチーグラー・ナッタ・ポリマーを含むことがある。他の実施形態において、ブレンドは、チーグラー・ナッタ・ポリマー及びメタロセンポリマーを含むことがある。さらに他の実施形態において、ブレンドは、2つの異なるメタロセンポリマーを含むことがある。チーグラー・ナッタ及びメタロセンポリマーを考察しているが、シングルサイト触媒も使用できることは、本開示から当業者には理解されるであろう。
【0042】
一部の実施形態において、ベースポリマーは、プロピレン系コポリマー、例えばプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを含むことがある。一定の実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、実質的にアイソタクティックなプロピレン配列を有するものとして特徴づけられる。「実質的にアイソタクティックなプロピレン配列」は、それらの配列が、約0.85より大きい;代替実施形態では約0.90より大きい;もう1つの代替実施形態では、約0.92より大きい;及びもう1つの代替実施形態では、約0.93より大きい、13C NMRによって測定されるアイソタクティックトライアッド(mm)を有することを意味する。アイソタクティックトライアッドは、当該技術分野において周知であり、例えば米国特許第5,504,172号及び国際公開第 00/01745に開示されており、これは、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖内のトライアッド単位の点から見てアイソタクティックな配列を指す。
【0043】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16kgで)に従って測定して、0.1〜15g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有する。0.1〜15g/10分のすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する;例えば、メルト・フロー・レートは、0.1g/10分、0.2g/10分又は0.5g/10分の下限から、15g/10分,10g/10分、8g/10分又は5g/10分の上限までである場合がある。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.1〜10g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有することがあり;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.2〜10g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有することがある。
【0044】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)のすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する;例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5重量パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、又は3重量パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)又は7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限までである場合がある。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有することがあり;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有することがあり;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有することがあり、又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有することがある。結晶化度は、上で説明したように、DSC法によって測定される。
【0045】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、プロピレンに由来する単位、及び1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーに由来する重合単位を含む。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを製造するために利用される例示的コモノマーは、C、及びC〜C10アルファ−オレフィン;例えば、C、C、C及びCアルファ−オレフィンである。
【0046】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜40重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含む。1〜40重量パーセントのすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する;例えば、コモノマー含有率は、1重量パーセント、3重量パーセント,4重量パーセント,5重量パーセント,7重量パーセント、又は9重量パーセントの下限から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、又は9重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜35重量パーセントの1つ若しくはそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜30重量パーセントの1つ若しくはそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3〜27重量パーセントの1つ若しくはそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3〜20重量パーセントの1つ若しくはそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3〜15重量パーセントの1つ若しくはそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含む。
【0047】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3.5若しくはそれ以下;代替実施形態では3.0若しくはそれ以下;又はもう1つの代替実施形態では1.8〜3.0の、数平均分子量で割った重量平均分子量(M/M)として定義される、分子量分布(MWD)を有する。
【0048】
そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号において詳細に説明されている(この特許は参照により本明細書に組み込まれる)。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical Companyから商品名VERSIFY(商標)で、又はExxonMobil Chemical Companyから商品名VISTAMAXX(商標)で市販されている。
【0049】
1つの実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、(A)プロピレンに由来する単位を60重量パーセントと100重量パーセント未満の間、好ましくは80重量パーセントと99重量パーセントの間及びさらに好ましくは85重量パーセントと99重量パーセントの間;並びに(B)エチレン及び/又はC4〜10 α−オレフィンのうちの少なくとも1つに由来する単位をゼロ重量パーセントと40重量パーセントの間、好ましくは1重量パーセントと20重量パーセントの間、さらに好ましくは4重量パーセントと16重量パーセントの間、及びさらにいっそう好ましくは4重量パーセントと15重量パーセントの間を含む;並びに平均で少なくとも0.001、好ましくは平均で少なくとも0.005、及びさらに好ましくは平均で少なくとも0.01 長鎖分枝/1000 全炭素を含有するものとしてさらに特徴づけられる。プロピレン共重合体における長鎖分枝の最大数は、本発明の定義にとって重要ではないが、典型的には3 長鎖分枝/1000 全炭素を超えない。用語長鎖分枝は、本明細書において用いる場合、短鎖分枝より炭素が少なくとも一(1)個多い鎖長を指し、及び短鎖分枝は、本明細書において用いる場合、コモノマー中の炭素数より炭素が二(2)個少ない鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテン共重合体は、少なくとも七(7)炭素長の長鎖分枝を有する主鎖を有するが、これらの主鎖は、たった六(6)炭素長の短鎖分枝も有する。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、PCT出願番号PCT/US08/082599に詳細に記載されており、出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
一部の実施形態において、ベースポリマーは、エチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリマーを含むことがある。
【0051】
一部の実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば国際公開第2005/090427及び米国特許公開第2006/0199930号に記載されているものを、ベースポリマーとして使用することができる。適切なオレフィンブロックコポリマーの一例としては、
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mnと、摂氏度での少なくとも1つの融点、Tm、及びグラム/立方センチメートルでの密度、d、であって、Tm及びdの数値が、関係:
Tm > −2002.9 + 4538.5(d)− 2422.2(d)
に対応する、Tm及びdとを有する;又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有する、並びにJ/gでの融解熱、ΔH、及び最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの温度差と定義される摂氏度でのデルタ量、ΔT、であって、ΔT及びΔHの数値が、次の関係:
ゼロより大きく且つ130J/g以下のΔHについては、ΔT > −0.1299(ΔH)+ 62.81、
130J/gより大きいΔHについては、ΔT ≧48℃
を有するΔH及びΔTを特徴とする(この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、及び該ポリマーの5パーセント未満しか同定可能なCRYSTAFピークを有さない場合には、CRYSTAF温度は30℃である);又は
(c)エチレン/α−オレフィンコポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される300パーセント歪及び1サイクルでの、パーセントでの弾性回復率、Re、によって特徴づけられる、及びグラム/立方センチメートルでの密度、d、を有する(この場合、Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンコポリマーに実質的に架橋相がないとき、次の関係:
Re > 1481 − 1629(d)
を満たす);又は
(d)TREFを用いて分画されたとき約40℃と約130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分が、同じ温度間で溶出する比較対照となるランダムエチレンコポリマー画分のものより少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とする(この場合、比較対照となるランダムエチレンコポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーのものと同じコモノマー(単数若しくは複数)を有し、並びにエチレン/α−オレフィンコポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度及び(全ポリマーに基づく)モルコモノマー含有率を有する);又は
(e)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)であって、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比が、約1:1〜約9:1の範囲である、G’(25℃)及びG’(100℃)を有する、
エチレン/α−オレフィンコポリマーが挙げられる。
【0052】
一定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンコポリマーは、:
(a)TREFを用いて分画されたとき約40℃〜130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分が、少なくとも0.5で約1以下のブロック指数及び約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnを有することを特徴とする;又は
(b)ゼロより大きく且つ約1.0以下の平均ブロック指数、及び約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnを有する
こともある。
【0053】
ベースポリマーは、特定の用途に十分な量で水性分散体中に存在することができる。一定の実施形態においてベースポリマー(例えば、非極性ポリオレフィン)は、該ベースポリマーと安定剤の総合量の約30重量%〜約99重量%を構成することがある。約30%と約99%のすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する;例えば、ベースポリマーは、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%の下限から、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%の上限まで存在することがある。例えば、ベースポリマー(例えば、非極性ポリオレフィン)は、該ベースポリマーと安定剤の総合量の約60重量%〜約95重量%、代替的に、該ベースポリマーと安定剤の総合量の約70重量%〜約90重量%、又は、代替的に、該ベースポリマーと安定剤の総合量の約85重量%を構成することがある。
【0054】
本発明の塗料化合物中に存在する水性分散体の実施形態は、安定剤も含む。適切な安定剤の例としては、界面活性剤;コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有するポリマー;及びそれらの混合物が挙げられる。本発明の実施形態において安定剤として有用であり得る界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。適切なアニオン性界面活性剤の例としては、スルホナート、カルボキシラート、及びホスファートが挙げられる。第四級アミンが、適切なカチオン系界面活性剤の例である。適切な非イオン系界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、及びシリコーン界面活性剤が挙げられる。本発明の実施形態において安定剤として有用な界面活性剤は、外部界面活性剤である場合もあり、内部界面活性剤である場合もある。一般に、外部界面活性剤は、分散されるベースポリマーの一部であるが水性分散体の調製中に反応してポリマーになることがない界面活性剤である。本発明の実施形態において安定剤として有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸及びラウリルスルホン酸塩が挙げられる。一般に、内部界面活性剤は、水性分散体の調整中に化学反応してポリマーになるはずである界面活性剤である。本発明の実施形態において安定剤として有用な内部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びその塩が挙げられる。
【0055】
本発明の実施形態において安定剤として使用するポリマーは、ベースポリマーとは異なるべきである。適切なポリマーの例は、極性ポリオレフィンを含む。ポリマーオレフィンの具体的な例としては、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、商品名PRIMACOR(商標)、Nucrel(商標)、及びEscor(商標)で入手できる並びに米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、及び同第5,938,437号(これらのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。他のポリマーとしては、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、及びエチレンブチルアクリレート(EBA)が挙げられる。多数の他のポリマーも本発明の実施形態に従って使用することができることは、本開示から通常の当業者にはわかるであろう。
【0056】
ポリマーの極性基が、本質的に酸性又は塩基性である場合、一定の実施形態では、その安定化ポリマーを中和剤で部分的に又は完全に中和して対応する塩を形成することができる。例えば、EAAのための中和剤は、塩基性、例えば、水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムである場合がある。もう1つの実施形態において、中和剤は、例えば、アミン、例えば、モノエタノールアミン又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)である場合がある。適切な中和剤の選択が、調合される具体的な組成物をはじめとする多数の要因に依存することは、通常の当業者には理解されるであろう。
【0057】
一定の実施形態では、任意の選択の塩基を水性分散体に含めることがある。使用することができる塩基の例としては、アルカリ性金属及びアルカリ性土類金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム;無機アミン、例えばヒドロキシルアミン;有機アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム;アルカリ性金属及びアルカリ性土類金属の酸化物、水酸化物及び水素化物、例えば酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム;並びにアルカリ性金属及びアルカリ性土類金属の弱酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム;又は水酸化アンモニウムが挙げられる。一定の実施形態において、塩基は、アルカリ性金属(alkaline metal)の水酸化物、すなわちアルカリ金属(alkali metal)の水酸化物を含むことがある。一部の実施形態において、塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含むことがある。例として、十分な塩基を水性分散体に添加して、結果として得られる分散体を、約6〜約14のpH範囲を達成するように、中和することができる。約6〜約14のすべての個々の値及びサブ範囲、例えば約8、約10、又は約12の下限から、約8、約10、又は約12の上限までを開示する。例えば、約9〜約12のpHを維持するために十分な塩基を添加することができる。
【0058】
水性分散体は、固体材料を分散させることができる液体媒体をさらに含む。適切な液体媒体の例としては、脱イオン水などの水が挙げられる。固形分が水性分散体の約1容量%〜約74容量%になるように、液体媒体の量を制御することができる。約1容量%〜約74容量%のすべての個々の値及びサブ範囲、例えば約20%、約40%、又は約60%の下限から、約30%、約50%、又は約70%の上限までは本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、水性分散体の固形分は、約25容量%〜約74容量%及び、代替的に、約30容量%〜約50容量%である場合がある。
【0059】
本発明の実施形態に従って形成される水性分散体を、例えば、約0.3〜約3.0マイクロメートルの間の平均粒径を有するものとして特徴づけることができる。約0.3〜約3.0マイクロメートルのすべての個々の値及びサブ範囲、例えば約0.5、約1.0、又は約2.0の下限から、約1.0又は約2.0の上限までは本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、分散体は、約0.8マイクロメートル〜約1.2マイクロメートルの平均粒径を有する場合がある。
【0060】
水性分散体を調製するための技術例
水性分散体を調製するために、様々な適切な技術のいずれを本発明の実施形態に従って用いてもよい。1つの実施形態では、ベースポリマー及び安定剤を、場合によっては水及び中和剤、例えばアンモニア、水酸化カリウム又はそれら2つの組み合わせと共に、押出機において溶融混練して、水性分散体を形成することができる。多数の他の中和剤を使用できることは、通常の当業者にはわかるであろう。
【0061】
ニーダー、バンバリーミキサー、一軸スクリュー押し出し機又は多軸スクリュー押し出し機をはじめとする、様々な異なる溶融混練機を使用することができる。上述の成分を溶融混練するための適切なプロセスの例は、米国特許第5,756,659号及び同第6,455,636号に記載されており、特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。適切な溶融混練機の例としては、2軸又はそれ以上の軸数のスクリューを有し、それらのスクリューのいずれの位置ででも混練ブロックを添加することができる、多軸スクリュー押出機が挙げられる。例えば、押出機には、混練すべき材料の流れ方向に沿って上流から下流へと第一の材料供給口、第二の材料供給口、第三の材料供給口、そして第四の材料供給口が設けられていることがある。さらに、真空テント(vacuum tent)を押出機の任意の選択位置に加えてもよい。一部の実施形態では、分散体を、先ず、約1重量%〜約3重量%の水を含有するように希釈し、次に、25重量%より多くの水を含有するようにさらに希釈することがある。一部の実施形態では、さらなる希釈によって、少なくとも約30重量%の水を有する分散体を得ることができる。
【0062】
さて、図1を参照して、本発明の実施形態において使用することができる押出装置を説明する。この図示した実施形態において、押出機10は、圧力制御機器20に接続されている。押出機10は、例えば、多軸スクリュー押出機であり得る。適切な圧力制御機器の例としては、背圧調整器、メルトポンプ及びギヤポンプが挙げられる。押出装置の実施形態は、塩基貯留槽30及び初期水貯留槽40も含むことがあり、これらのそれぞれがポンプ(図示なし)を含むことがある。動作の際、所望の量の塩基及び初期水をそれぞれ塩基貯留槽30及び初期水貯留槽40から供給することができる。任意の適切なポンプを使用することができるが、一部の実施形態では、240barの圧力で約150cc/分の流量をもたらすことができるポンプを使用して、塩基及び初期水を押出機10に供給することができる。もう1つの実施形態では、液体噴射ポンプを使用して、200barで300cc/分又は133barで600cc/分の流量をもたらすことができる。一部の実施形態では、塩基及び初期水を予熱器で予熱する。
【0063】
図1に図示するように、ベースポリマーを、例えばペレット、粉末又はフレークの形態で、フィーダー50から押出機10の入口60に供給することができ、そこで、該ベースポリマーを溶融及び配合することができる。一部の実施形態では、分散剤をベースポリマーと共に添加することがあり、及び他の実施形態では、個別に分散剤を押出機10に添加することがある。ベースポリマーを混合及び搬送ゾーンから乳化ゾーンに配送することができ、そこで初期量の水及び塩基を塩基貯留槽30及び初期水貯留槽40から入口70を通して供給する。一部の実施形態では、追加として又は排他的に分散剤を水に添加することができる。一部の実施形態では、その乳化された混合物を、追加水貯留槽80からの追加の水で、入口90を通して押出機10の希釈及び冷却ゾーンにおいてさらに希釈することができる。その分散液をその希釈及び冷却ゾーンにおいて例えば少なくとも30重量パーセントの水分に希釈することができる。その希釈された混合物を、所望の希釈レベルに達するまで、任意の回数、希釈することができる。一部の実施形態では、水を押出機10に添加するのではなく、溶融物が押出機10を出た後にそのポリマー溶融物を含有する蒸気に水を添加する。これは、例えば、押出機10内での蒸気圧蓄積を低減するために望まれることがある。
【0064】
一部の実施形態では、塩基又はその水溶液、分散体又はスラリーを分散体にその工程の任意の地点で、例えば押出機10において、添加することができる。塩基性物質を、例えば水溶液として添加することができる。一部の実施形態では、塩基性物質を他の形態、例えばペレット又は顆粒で添加することができる。一部の実施形態では、塩基性物質及び水を押出機10の別の入口を通して添加することができる。
【0065】
湿潤剤の例
水性分散体に加えて、本発明の塗料化合物は、湿潤剤を含むことがある。数あるものの中でも、湿潤剤は、塗料化合物のカーペットへのより深い浸透を可能にするように糸及びカーペット基布の濡れ性を変化させる能力を有するはずである。より深い浸透は、糸の中の個々の繊維の団結性向上及び糸間の接着向上を可能にして、望ましくないほつれを防止するはずである。適切な湿潤剤の選択は、水性分散体中のベースポリマーの望ましくない凝集を防止するために重要である。従って、塗料化合物の実施形態において使用するために選択される湿潤剤は、水性分散体と相溶性でなければならない。
【0066】
一般に、湿潤剤は、固体表面に液体をより均等に拡がらせる又は浸透させるはずである界面活性剤(単数又は複数)である。適切な湿潤剤の例としては、イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸塩、フルオロテロマー、非イオン性界面活性剤、例えばポリエーテル、ケイ素系分子、及びそれらの組み合わせが挙げられる。アルキルスルホスクシナートは、本発明の実施形態に従って、有用な湿潤剤であり得る脂肪酸塩の一例である。アルキルスルホスクシナートの例としては、Clariantから商品名Emulsogen SF8で市販されている、ジ−オクチルスルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。特に適切なフルオロカーボンの例は、ZONYL(登録商標)FSA及びFSNフッ素系界面活性剤を含む、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手できるZONYL(登録商標)フッ素系界面活性剤である。特定の湿潤剤の追加例としては、Air Products and Chemicalsから入手できる、Zetasperse(登録商標)添加剤、Envirogem(登録商標)添加剤、Surfynol(登録商標)添加剤、Dynol(商標)添加剤、及びCarbowet(登録商標)添加剤が挙げられる。Air Products and Chemicals,Inc.、Ciba,Inc.、Hoechst AG、Dow Corning、及びClariantをはじめとする様々な供給業者から、適切な湿潤剤を入手することができる。
【0067】
アルキルスルホスクシナートを使用する場合、その湿潤剤は、例えば、塗料化合物中に、約0.1から約5部毎100部(parts per hundred parts:pphp)乾燥ポリマー(乾燥ポリマーの0.1重量%〜約5重量%)の量、代替的に、約0.4〜約2pphp乾燥(乾燥ポリマーの0.4重量%〜約2重量%)の量、及び代替的に、約0.7〜約1.2pphp乾燥(乾燥ポリマーの0.7重量%〜約1.2重量%)の量で存在することがある。1つの実施形態において、湿潤剤は、約0.55〜約0.66pphp乾燥の量で塗料化合物中に存在するジ−オクチルスルホコハク酸ナトリウムを含む。
【0068】
フッ素系界面活性剤を使用する場合、その湿潤剤は、例えば、塗料化合物中に、約0.025〜約1.5pphp乾燥(ZONYL(登録商標)FSNフッ素系界面活性剤については、乾燥ポリマーの0.05重量%〜約3重量%)の量で、代替的に、約0.025〜約0.075pphp乾燥(ZONYL(登録商標)FSNフッ素系界面活性剤については、乾燥ポリマーの0.05重量%〜約1.5重量%)の量で、及び代替的に、約0.1〜約0.5pphp乾燥(ZONYL(登録商標)FSNフッ素系界面活性剤については、乾燥ポリマーの0.2重量%〜約1.重量%)の量で存在することがある。
【0069】
任意の選択の塗料化合物成分の例
適切であると思われる場合には本発明の塗料化合物に様々な異なる任意の選択成分を含めることができることは、本開示から、通常の当業者には理解されるであろう。そのような任意の選択成分の例としては、フィラー、分散剤、発泡剤、脱泡剤、及び追加の液体媒体が挙げられる。本発明の実施形態に従って、任意の選択成分を、塗料化合物に、水性分散体の調製中に、分散体の調製後だが湿潤剤の添加前に、湿潤剤の添加と同時に、又は湿潤剤の添加後に、含めることができる。
【0070】
本発明の塗料化合物の実施形態は、任意の選択のフィラーを含むことがある。代替的に、塗料化合物の実施形態には、フィラーが本質的にないことがある、すなわち、該塗料化合物の約5重量%未満の量でフィラーを含有する。一定の実施形態において、塗料化合物の実施形態には、フィラーがないことがある、すなわち、該塗料化合物の0重量%の量でフィラーを含有る。使用する場合には、数あるものの中でも、組成物の費用を低下させるために及び粘度を上昇させるためにフィラーを含めることができる。適切なフィラーの例としては、ミルドガラス、炭酸カルシウム、アルミニウム・三水和物、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、フライアッシュ、それらの組み合わせ、又は他の公知フィラーが挙げられる。一部の実施形態において、フィラーは、塗料化合物中に、該塗料化合物の約0重量%〜約90重量%の量で存在することがある。約 %〜約90%のすべての個々の値及びサブ範囲、例えば、約20%、約40%、約60%、又は約80%の下限から、約30#、約50%、又は約70%の上限までは本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、フィラーは、約0重量%〜約35重量%、及び、代替的に、約0重量%〜約10重量%の量で存在することがある。フィラー対ベースポリマー比は、例えば、約0.1:100〜約45:1、代替的に約0.1:100〜約1:1、及び代替的に約0.1:100〜約1:4.5である場合がある。フィラーを含めることがカーペット上の塗料化合物の透明性に影響を及ぼすことがあることは、本開示から、当業者にはわかるであろう。
【0071】
本発明の塗料化合物の実施形態は、任意の選択の分散剤を含むことがある。適切な分散剤の例としては、ポリアクリル酸Na塩などの、ポリアクリレート分散剤が挙げられる。適切な分散剤の一例は、商品名Dispex(登録商標)N40分散剤で入手でき、これは、Ciba Specialty Chemicalsから入手できる。一部の実施形態において、分散剤は、塗料化合物中に、約0.013〜約3.8pphp乾燥(Dispex(登録商標)N40については、0.01重量%〜約3重量%)の量で、代替的に、約0.06〜約1.9pphp乾燥(Dispex(登録商標)N40については、0.05重量%〜約1.5重量%)の量で、及び代替的に、約0.125〜約0.625pphp乾燥(Dispex(登録商標)N40については、0.1重量%〜約0.5重量%)の量で存在することがある。
【0072】
本発明の塗料化合物の実施形態は、任意の選択の脱泡剤を含むことがある。脱泡剤は、例えば当量化合物に湿潤剤を含めることに起因する、望ましくない気泡形成を防止又は低減するために使用することができる。使用する場合、脱泡剤を、例えば湿潤剤の添加前に、塗料化合物に添加することができる。適切な脱泡剤の例としては、非イオン性脱泡剤、例えばヒュームドシリカ、エトキシ化ポリシラン及びそれらの組み合わせが挙げられる。適切な脱泡剤の一例は、商品名Surfynol(登録商標)DF−70添加剤で入手でき、これはAir Products and Chemicals,Inc.から入手できる。一部の実施形態において、脱泡剤は、塗料化合物中に、約0.1〜約6pphp乾燥ポリマー(該塗料化合物の約0.05重量%〜約3重量%)の量で存在することがある。約0.1〜約6pphp乾燥ポリマーのすべての個々の値及びサブ範囲、例えば、約0.5pphp、約1pphp、約3pphp、又は約5pphpの下限から、約1pphp、約3pphp、又は約5pphpの上限までは本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、脱泡剤は、約0.1〜約3pphp乾燥ポリマー(約0.05重量%〜約1.5重量%)及び代替的に、約0.2〜約1pphp乾燥ポリマー(約0.1重量%〜約0.5重量%)の量で存在することがある。
【0073】
本発明の塗料化合物の実施形態は、任意の選択の発泡剤を含むことがある。発泡剤は、例えば、本発明の化合物を発泡系としてカーペットに塗布することが望まれる場合、系を発泡させるために使用することができる。使用する場合、発泡剤を、例えば湿潤剤より前に、塗料化合物に添加することができる。適切な発泡剤の例としては、スルファート、スクシナマート、スルホスクシノマート(sulfosuccinomates)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の発泡剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。適切な発泡剤の一例は、Disponil SLS35で入手でき、これは、Cognisから入手できる。発泡剤の他の適切な供給業者としては、例えば、Clariant、Henkel、及びCibaが挙げられる。一部の実施形態において、発泡剤は、塗料化合物中に、約0.007〜約2.1pphp乾燥ポリマー(該塗料化合物の約0.01重量%〜約3重量%)の量で存在することがある。約0.007〜約2.1pphp乾燥ポリマーのすべての個々の値及びサブ範囲、例えば、約0.01pphp、0.05pphp、0.1pphp、0.5pphp、又は1.0pphpの下限から、約0.5pphp、1.0pphp、又は1.5pphpの上限までは本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、発泡剤は、約0.035〜約1.05pphp乾燥ポリマー(約0.05重量%〜約1.5重量%)の量で及び代替的に、約0.2〜約0.7pphp乾燥ポリマー(約0.3重量%〜約1重量%)の量で存在することがある。
【0074】
さらに、本発明の実施形態に従って、塗料化合物に追加の液体媒体を含めることがある。一定の実施形態では、水道水又は脱イオン水を使用することができる。使用する場合、追加の液体媒体は、分散体の0〜約80pphpの量で存在することがある。分散体の0〜88pphpのすべての数値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、追加の液体媒体は、分散体の約5〜約35pphpの量で存在することがある。例として、分散体の約5〜約35pphpの追加の水は、結果として、約52%の初期固形分を有する分散剤については約50%〜約35%の最終固形分をもたらすだろう。
【0075】
発泡系が所望である場合、起泡剤としてのガスにより塗料化合物を起泡させることができる。適切な起泡剤の例としては、ガス、例えば空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム及びそれらの混合物が挙げられる。例えば、液体へのガスの機械的導入によって塗料化合物に起泡剤を導入して気泡を形成することができ、これは、一般に、「機械的起泡」と呼ばれる。発泡系を調製するとき、塗料化合物のすべての成分を併せた後、それらとガスをブレンドしてもよい。発泡系を形成するために使用することができる装置の例としては、OAKES、MONDO、又はFIRESTONE起泡装置が挙げられる。
【0076】
本発明の塗料化合物を様々な技術のいずれに従って調製してもよいことは、通常の当業者には本開示から理解されるであろう。一部の実施形態では、塗料化合物の成分を次の順序で併せることができる:水性分散体、脱泡剤、追加の水、湿潤剤、分散剤、そしてフィラー。発泡が所望でない場合、脱泡剤を最初に水性分散体に添加してもよい。一部の実施形態では、塗料化合物の成分を次の順序で併せることができる:水性分散体、発泡剤、追加の水、湿潤剤、最後に分散剤、そしてフィラー。発泡が所望である場合、発泡剤を最初に水性分散体に添加してもよい。
【0077】
カーペットへの塗料化合物の塗布の例
本発明の実施形態に従って、本発明の塗料化合物をカーペットに塗布して、数あるものの中でも、より耐ほつれ性であるカーペット、カーペット上の透明、非粘着性皮膜、及び向上した防汚性を実現することができる。数あるものの中でも、可視光に対する皮膜の透明性を、該皮膜がチンダル効果を示さない点で、向上させることができる。一般に、向上した耐ほつれ性は、塗料化合物の糸への浸透増進、並びにその組成物の無極性基材への良好な接着、及び塗料化合物からなる皮膜内での良好な凝集力に起因すると考えられるだろう。
【0078】
本発明の塗料化合物を、様々な適切な技術のいずれを用いてカーペットに塗布してもよい。例として、キスロール(lick-roll)塗布により、又はドクターナイフでの発泡体の直接塗りにより、塗料組成物をカーペットに塗布することができる。加えて、塗料化合物を吹付塗装工程によってカーペットに塗布することもできる。塗料化合物のカーペットへの塗布のための他の適切な技術は、通常の当業者には本開示からわかるであろう。一定の実施形態では、塗料化合物を、カーペット基材の非パイル面に、好ましくは均一の厚さの層として塗布することができる。この被膜は、例えば約0.5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの厚さを有することがある。約0.5マイクロメートル〜約500マイクロメートルのすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、皮膜は、約10マイクロメートル〜約300マイクロメートルの厚さを有することがある。ポリマー裏打ちカーペットを作製するための様々な方法のいずれかを用いて、塗料化合物のプレコート、ラミネートコート、及びフォームコートを作製することができる。水性分散体からのプレコート、ラミネートコート、及びフォームコートは、P.L. Fitzgerald, 「Integral Dispersion Foam Carpet Cushioning」, J. Coat. Fab. 1977, Vol. 7 (pp. 107-120)に、及び R.P. Brentin, 「Dispersion Coating Systems for Carpet Backing」, J. Coat. Fab. 1982, Vol. 12 (pp. 82-91)に、より詳細に記載されている。
【0079】
浸透及び結合増進のため、所望の結合を達成するために必要なベースポリマーをより少なくできると考えられる。例として、本発明の塗料化合物を約10〜約800乾燥グラム/mの量で塗布することができる。約10〜約800乾燥グラム/mのすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、ベースポリマーは、約75〜約250乾燥グラム/mの量で、又は代替的に、約75〜約250乾燥グラム/mの量で存在することがある。より少ないベースポリマーを使用するにもかかわらず、より高い強度を得ることができる。
【0080】
塗料化合物で塗装した織りカーペットは、本発明の実施形態に従って、より大きな耐ほつれ及びベルベッティング性を示すはずである。例として、耐ほつれ性は、塗装された織りカーペットから切断したカーペットサンプルの端近くの経又はよこ(fill)糸によって呈示される引き抜かれることに対する耐性に基づく抜け落ちほつれ(slip fray)として定性的に特性づけすることができる。より定量的な方法で耐ほつれ性を特性づけするために、外部経糸を引き抜くために必要な力、すなわち外部縦糸引抜力(Outer Warp Pull force:OWPF)を測定することができる。カルボキシル化SBで得られるOWPFは、4.7kg又はそれ以下であると測定される。一定の実施形態において、織りカーペットのOWPFは、約5.0kgより大きく、代替的に約5.5kgより大きく、又は代替的に約6.0kgより大きい。
【0081】
本発明の塗料化合物をカーペットに塗布したら、任意の適切な技術を用いてその組成物を乾燥させることができる。適切な乾燥技術の例としては、空気乾燥、対流炉乾燥、熱風乾燥、マイクロ波加熱炉乾燥、及び/又は赤外線加熱炉乾燥が挙げられる。カーペットに塗布した塗料化合物を任意の温度で乾燥させることができ、例えば、そのベースポリマーの融点に等しい若しくはそれより高い温度で乾燥させることができ、又は、代替的に、そのベースポリマーの融点に等しい若しくはそれより低い温度で乾燥させることができる。カーペットの塗布した塗料化合物を、そのベースポリマーの融点より約20℃低い温度〜約150℃高い温度で乾燥させることができ、代替的にそのベースポリマーの融点より約10℃低い温度〜約5℃高い温度で乾燥させることができ、代替的にそのベースポリマーの融点より約5℃低い温度〜約10℃高い温度で乾燥させることができるが、但し、該塗料化合物の水分がその皮膜から完全に蒸発できることを条件とする。ベースポリマーの融点に等しい又はそれより高い温度での塗料化合物の乾燥は、離散した安定剤がその中に分散されている連続ベースポリマー相を有する皮膜の形成を助長するはずであり、該連続ベースポリマー相は、耐油脂性を向上させ、並びにチンダル効果不在で湿分及び蒸気透過に対するバリアとなる。接着剤皮膜を造るために使用したベースポリマーが完全に溶解したことを保証するために、乾燥皮膜は、少なくとも約1秒、代替的に少なくとも約10秒、及び代替的に少なくとも約30秒間、この温度のままにすべきである。
【0082】
例として、カーペットに塗布した塗料化合物を約60°F(15.5℃)から約700°F(約371℃)の温度で乾燥させることができる。約60°F(15.5℃)〜約700°F(約371℃)のすべての個々の値及びサブ範囲は本明細書に含まれており、本明細書において開示する。例えば、カーペットに塗布した塗料化合物を約60°F(15.5℃)〜約500°F(約260℃)、又は代替的に、約60°F(15.5℃)〜約450°F(約232.2℃)の温度で乾燥させることができる。さらなる例として、カーペットに塗布した塗料化合物を約60°F(15.5℃)〜約392°F(約200℃)、代替的に、約122°F(50℃)〜約302°F(約150℃)、又は代替的に、約158°F(70℃)〜約248°F(約120℃)の温度で乾燥させることができる。
【0083】
本発明のより良い理解を助長するために、一部の実施形態の一定の態様についての下記実施例を与える。いかなる点においても、下記実施例を、本発明の全範囲を限定又は定義するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0084】
実施例実験において使用した原料:
カルボキシル化SBラテックスA(XZ 93319.00)は、比較的硬い感触を有する、織物塗布に用いられるラテックスである。このラテックスは、50.0%の固形分、7.0のpH、25℃で250cPの動的粘度、及び140nmの粒径を有する。このポリマーは、60%のスチレン含有率、及び12℃のTgを有する。
【0085】
カルボキシル化ラテックスB(XZ 92229.03)は、比較的柔らかい感触を有する、織物塗布に使用されるラテックスである。このラテックスは、52%の固形分、8.0のpH、25℃で240cPの動的粘度、及び150nmの粒径を有する。このポリマーは、52.5のスチレン含有率、及び−23℃のTgを有する。
【0086】
DPOD 4501 Developmentalポリオレフィン分散体は、42%の固形分、9.5のpH及び25℃で500cPの動的粘度を有する、水性酸変性プロピレンポリマー系ポリオレフィン分散体である。
【0087】
DPOD 4502 Developmentalポリオレフィン分散体は、42.5%の固形分、9.5のpH及び25℃で450cPの動的粘度を有する、水性酸変性プロピレンポリマー系ポリオレフィン分散体である。
【0088】
DPOD 4503 Developmentalポリオレフィン分散体は、53%の固形分、9.5のpH及び25℃で1000cPの動的粘度を有する、水性酸変性プロピレンポリマー系ポリオレフィン分散体である。
【0089】
実施例1
耐湿潤ほつれ性、耐パイルワイヤー性、及び漏出を判定するための実験を行った。これらを行うために、おおよそ20×30cmの寸法及びおおよそ65グラムの重量を有する、ポリプロピレン緯糸とパイルワイヤーと経糸とからなる平坦な織りカーペットを使用する。前述のカーペットは、おおよそ1200g/mの重量を有する。この重量をWとして記録する。そのカーペットを、裏面を上にして置く。20×30cmのマイラーフィルムにおいて、中心から15〜25cmの長さ外れた位置にあるパンチによって1dmの円を切断する。そのマイラーフィルムをカーペットの上に置き、上面をテープで貼ってそれを固定する。0.5mmのスリットを有するキャリブレーションバーをそのマイラーフィルムの上に置く。
【0090】
カーペットへの塗布のために異なる組成物を調製する。サンプル1及び2は、カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックスAであり、サンプル1を、より低い固形分%を得るように希釈する。サンプル3及び4は、カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックスBである。サンプル5は、ポリオレフィン分散体(DPOD 4501)である。サンプル6は、ポリオレフィン分散体(DPOD 4503)である。
【0091】
説明したとおりに組成物を調製し、ある量をキャリブレーションバーの正面に持ってくる。最初に15グラム、しかし後に8〜10グラムのラテックスをプラスチックシート(マイラーフィルム)に塗布し、キャリブレーションバーにより500又は625マイクロメートルのギャップで横切ってその丸い円に塗りつける。残留ラテックスを有するシートを除去し、カーペットを計量して塗布された湿潤重量を判定する。
【0092】
10〜30分室温で放置した後、そのカーペットを漏出について観察する。表1において、漏出が観察されたかどうかに関して、−は、NOを意味し、+は、YESを意味する。その後、そのカーペットを120度のオーブンで10分間乾燥させる。最後に、塗布した円をはさみで切断し、切断端耐ほつれ性を検査する。
【0093】
耐抜け落ちほつれ性を0〜5の尺度で定性的に報告する。その切れ目のすぐ隣の、よこ糸の最初に入手できる経糸を単離し、その後、それを横方向に引っ張ってよこ糸から経糸をそれぞれ外す。抜け落ちる力を下記昇順尺度に従って定性的に表示する:
0=未塗装基準織りカーペット、耐抜け落ちほつれ性は事実上ゼロである。
1=塗装カーペット、耐抜け落ちほつれ性は無視してよい。
2=塗装カーペット、耐抜け落ちほつれ性は多少存在するが、比較的容易に引き抜ける。
3=塗装カーペット、耐抜け落ちほつれ性は存在するが、激しい往来での使用には不十分である。
4=塗装カーペット、耐抜け落ちほつれ性は有意であり、経糸又はよこ糸を抜き取るために強い引張りを必要とする。
5=塗装カーペット、耐抜け落ちほつれ性は最大であり、手で抜くことは事実上不可能である。
【0094】
耐パイルほつれ性を0〜5の尺度で定性的に報告する。パイル糸は、容易にベルベッティングする飾り糸である。切断端に垂直な硬質金属面を(例えば、鍵の後ろ側で)摩擦する。ベルベッティングを誘導する相対力を報告する。耐パイルほつれ性を下記尺度で定性的に表示する:
0=未塗装基準織りカーペット、耐ベルベッティング性は、事実上ゼロである。
1=塗装カーペット、耐ベルベッティング性は無視してよい。カーペットのその面をベルベッティングさせるために、わずかな摩擦で十分である。
2=塗装カーペット、耐ベルベッティング性が多少存在する。パイル糸をベルベッティングするために多少の摩擦を必要とする。
3=塗装カーペット、耐ベルベッティング性は存在するが、激しい往来には十分でない。大量の摩擦/又は激しい摩擦によりベルベッティングが生じる。
4=塗装カーペット、耐ベルベッティング性は有意である。大量の激しい摩擦によりベルベッティングが生じる。
5=塗装カーペット、耐ベルベッティング性は最大である。大量の激しい摩擦によりベルベッティングが生じない。
この試験系列からの結果を下の表1に提供する:
【表1】

【0095】
表1は、織りポリプロピレンカーペットを、そのような用途のために開発されたカルボキシル化SBラテックスと、水性ポリオレフィン分散体を含む結合剤組成物の両方で塗装した場合の定性的観察を例証する。サンプル1及び2のデータは、塗膜重量多いほど、より大きい耐抜け落ちほつれ及びパイルほつれ性を生じさせる結果となると考えられることの例証となる。類似して、固形分が多いほど、漏出が少ない傾向があると考えられる。異なるカルボキシル化SBラテックス(サンプル3及び4対1及び2)が、より良好な耐抜け落ちほつれ及びパイルほつれ性を有することができる。サンプル5及び6は、DPODの塗膜重量が少ないほど、基準カルボキシル化SBラテックスと比較して良好な耐抜け落ちほつれ及びパイルほつれ性を有することの例証となる。
【0096】
実施例2
実施例1からの観察に基づいて、類似した全固形分を得るために、及び表面張力低下の効果を見るために、第二の試験系列をより均一に行う。この試験系列は、別のDPOD及び湿潤剤の添加を伴う、実施例1からの試験のより制御された繰り返しである。加えて、塗装カーペットの変色試験ばかりでなく、ラテックス及び分散体の表面張力も試験する。
【0097】
ポリプロピレン経糸とパイルとよこ糸(=緯糸)とからなる平坦な織りカーペットは、おおよそ20×30cmの寸法、及びおおよそ60グラムの重量を有し、前述のカーペットは、おおよそ1200g/m2の重量を有する。図2〜4は、第一の経糸110、第二の経糸120、パイル経糸140、よこ糸150、及びベースよこ糸160を有する平坦な織りカーペットを図示する。正確な重量を記録する、W
【0098】
そのカーペットを、裏面を上にして置く。20×30cmのマイラーフィルムにおいて、中心から15〜25cmの長さ外れた位置にあるパンチによって1dmの円を切断する。そのマイラーフィルムをカーペットの上に置き、上面をテープで貼ってそれを固定する。500マイクロメートルのスリットを有するキャリブレーションバーをそのマイラーフィルムの上に置く。
【0099】
カーペットへの塗布のための異なる化合物を調製する。サンプル7は、42.0%の全固形分になるように水で希釈したカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックスAである。サンプル8は、42.0%の全固形分になるように水で希釈したカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックスBである。サンプル9は、42.0%の全固形分になるように水で希釈したポリオレフィン分散体(DPOD 4501)である。サンプル10は、42.0%の全固形分になるように水で希釈したポリオレフィン分散体(DPOD 4502)である。サンプル11は、42.0%の全固形分になるように水で希釈したポリオレフィン分散体(DPOD 4503)である。サンプル12は、100部のポリオレフィン系分散体(DPOD 4503)、4.3部の湿潤剤(Emulsogen SF8)、及び26.2部の水を含む。これにより、結果として、42.1%の固形分と、100乾燥部のポリマーあたり0.75乾燥部のEmulsogen SF8を有する化合物が得られる。
【0100】
説明したとおりに化合物を調製し、ある量のその化合物をキャリブレーションバーの正面に持ってくる。連続速度で、そのキャリブレーションバーを、前方に、パンチした円の上と通って動かして、マイラーを円形切断したカーペット上に化合物を堆積させる。塗布中のその化合物の濡れ挙動を観察し、定性的に記録する。残留化合物を有するマイラーシートをカーペットから除去する。そのカーペットを裏返して、重力によるさらなる浸透を回避し、再び計量する、W。その上面を、ラテックス又は分散体化合物の漏出について鑑定する。W−W=Wwetとして、塗布された湿潤重量を記録する。
【0101】
そのカーペットを指定温度で指定時間にわたってオーブンの中に置く。そのカーペットを冷却し、重量を再び測定して乾燥重量を得る。最低2時間の後、経糸に対して平行、垂直及び対角線状に切断を施す。切断端を、実施例1において説明したように、耐抜け落ちほつれ性及び耐パイルほつれ性について定性的に鑑定する。
【0102】
この試験系列の結果を下の表2に提供する:
【表2】

【0103】
表2、異なるカルボキシル化SBラテックスが耐パイルほつれ性を多少改善することができるという結論を下すことができる。ポリオレフィン分散体は、より少ない塗布重量ででさえ、はるかに良好な耐抜け落ちほつれ性及び耐パイルほつれ性を有する。カルボキシル化SBラテックスBは、漏出傾向をより大きく示し、及びより良好な耐パイルほつれ性を多少示す。これは、より低い表面張力に主として起因すると考えられる。サンプル12a対11aは、湿潤剤の添加が、耐抜け落ち及びパイルほつれ性をさらに改善できることを明示している。サンプル11b対11aによって、同等に塗布した湿潤塗料重量で観察することができる特性の変異が証明される。サンプル12b対12aによって、絶対塗膜重量も最終特性を左右することが証明される。耐抜け落ち及びパイルほつれ性は、定性的に観察できる最大レベルに増加し、乾燥漏出も増加した。ポリオレフィン塗料での着色は、カルボキシル化SBで観察することができるように、くすんで見えるのではなく明るく見える。チンダル効果は存在しない。
【0104】
実施例3
定量的結果を提供するために、織りカーペットから経糸を引き抜くために必要な力を測定する試験方法を開発する。これらの測定は、実施例2からのものと同じカーペットサンプルを用いて行う。
【0105】
図2及び3に図示するように、カーペットの裏面100には、例えば第一の経糸110及び第二の経糸120によって示すように、淡色の連続経糸が存在する。表面(frontside)又は表側(faceside)130には、装飾用のより濃い色のパイル経糸140が存在する。それらの経糸はパイルよこ糸150及びベースよこ糸160によって結合されている。経糸のうち、この面で確認することができるのは、外部経糸、表面下経糸及び2本の内部経糸である。内部経糸がパイル経糸を担持している。図4に図示するように、ピンセット180を使用して、カーペット17を、3.5cm長の外部経糸が単離されるように切断し、そこから1cmをほぐして、タフト・ロック・グリップのために十分な長さを準備する。図5によって図示するように、タフト・ロック・グリップ190を完全任意の外部経糸(full free Outer Warp:OWPF)長の上に配置し、タフト・ロック・メーター(図示なし)に吊るす。その後、その経糸を引き抜く力を測定する。正常金属位置決め装置を使用するこの試験を用いてカーペットを変形させるとき、カーペットをタフト・ロック・グリップの両側に位置する大きなはさみによって把持する。
【0106】
この試験系列の結果を下の表3に示す
【表3】

【0107】
表3から、異なるカルボキシル化SBラテックスは外部経糸引抜力に有意な差を示さず、2つの異なるラテックスについて類似した塗装重量が類似したOWPFを生じさせる結果となると、結論づけることができる。ポリオレフィン分散体は、より高いOWPFから証明されるように、より少ない塗布重量ででさえ、SBラテックスよりはるかに良好な耐経糸引抜性を有する。内部経糸引抜力(Inner Warp Pull Force:IWPF)で証明される、湿潤剤によるPODの浸透の改善。POD 4502は、他のPODタイプと比較して、最高OWPFを示す。
【0108】
従って、本発明は、参照した目的及び利点並びにそれらに固有であるものの達成に特に適している。上に開示した特定の実施形態は、例証となるものにすぎない。本明細書における技術の恩恵を受ける当業者には明らかな、異なるが等価の方法で、本発明を変更及び実施できるからである。さらに、下の特許請求の範囲に記載するとおりのもの以外、本明細書に示す構造又は設計の詳細への限定を意図していない。従って、上に開示した特定の例証的実施形態を変える又は変更することができることは明らかであり、すべてのそのような変形を本発明の範囲及び精神の範囲内とみなす。詳細には、本明細書において開示する(形態、「約a〜約b」、又は、同意義で、「おおよそa〜おおよそb」、又は、同意義で、「おおよそa〜b」の)値のあらゆる範囲は、それぞれの値範囲のベキ集合(すべてのサブセットのセット)指すと、及びより広い値範囲内に包含されるあらゆる範囲を示すと、解釈しなければならない。また、特許請求の範囲における用語は、本特許権所有者が別様に明確に及び明瞭に定義していない限り、それらの明白な通常の意味を有する。


【符号の説明】
【0109】
10 押出機
20 圧力制御機器
30 塩基貯留槽
40 初期水貯留槽
50 フィーダー
60 入口
70 入口
80 追加水貯留槽
90 入口
100 カーペットの裏面
110 第一の経糸
120 第二の経糸
130 表側(faceside)
140 パイル経糸
150 パイルよこ糸
160 ベースよこ糸
170 カーペット
180 ピンセット
190 タフト・ロック・グリップ






【特許請求の範囲】
【請求項1】
織りカーペットの作製方法であって、
前記織りカーペットに塗料化合物を接着層として塗布して、塗装された織りカーペットを形成することを含み、
前記塗料化合物が、
ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体(この場合の前記ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む)と、
湿潤剤とを含む方法。
【請求項2】
織りカーペットであって、
織り基材と、
塗料化合物の脱水生成物を含む接着層と
を含み、前記塗料化合物が、
ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体(この場合の前記ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む)と、
湿潤剤とを含む、織りカーペット。
【請求項3】
前記織りカーペットが、サージストリップを含まない、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項4】
前記織りカーペットが、チンダル効果の不在を特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項5】
前記織りカーペットが、ポリオレフィンから作られた糸を含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項6】
前記塗料化合物には本質的にフィラーがない、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項7】
前記塗料化合物にはフィラーがない、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項8】
前記水性分散体が、前記塗料化合物中に前記塗料化合物の約65重量%〜約100重量%の量で存在する、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項9】
前記ベースポリマーが、ポリエチレン系コポリマー、ポリプロピレン系コポリマー、及びエチレン−プロピレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項10】
前記ベースポリマーが、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項11】
前記ベースポリマーが、実質的にアイソタクティックなプロピレン配列を有する及び約1〜約40重量%の1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含むものとして特徴づけられるプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項12】
前記ベースポリマーが、エチレン酢酸ビニル系ポリマーを含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項13】
前記ベースポリマーが、該ベースポリマーと該安定剤の総合量の約30重量%〜約99重量%を構成する、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項14】
前記安定剤が、中和された極性ポリオレフィンを含み、該極性ポリオレフィンが前記ベースポリマーとは異なる、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項15】
前記湿潤剤が、脂肪酸塩、フルオロテロマー、ポリエーテル、ケイ素系分子、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項16】
前記湿潤剤が、アルキルスルホスクシナートを含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項17】
前記塗料が、フィラー、分散剤、発泡剤、脱泡剤、追加の液体媒体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの添加剤を含む、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項18】
前記織りカーペットが、少なくとも約5.0キログラムの外部経糸引抜力(outer warp pull force)を特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の織りカーペットの作製方法または織りカーペット。
【請求項19】
織り基材と、
ベースポリマー及び湿潤剤を含む塗料とを含み、前記ベースポリマーが、ポリオレフィン系ポリマーを含む、織りカーペット。
【請求項20】
基材、及び
ベースポリマー、安定剤及び液体媒体を含む水性分散体と湿潤剤とを含む塗料化合物の脱水生成物を含む接着層(この場合の前記ベースポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーを含む)を含む、織物製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−513543(P2012−513543A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542531(P2011−542531)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/068923
【国際公開番号】WO2010/075251
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】