説明

織物および繊維製品

【課題】ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む織物であって、使用によって付与された皺が吸湿により容易に回復する性能を有する織物および該織物を用いてなる繊維製品を提供する。
【解決手段】ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を、織物の全重量に対して20重量%以上含む織物であって、該織物から抜出した前記複合繊維が捲縮構造を有しており、該複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧5(%)であり、かつ織物のカバーファクターCFが3300以下である織物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む織物であって、使用によって付与された皺が入浴後の浴室等の湿気により容易に回復する織物および該織物を用いてなる繊維製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アウター用衣料、ブラウス、ドレスシャツ、Yシャツなどの用途に、ポリエステル繊維などの合成繊維からなる織物が多く用いられている。
しかしながら、ポリエステル繊維などの合成繊維からなる織物は皺になり難いという長所を有するものの、一度皺が付与されると容易には皺が回復しないという短所を有していた。
なお、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む織編物は、例えば特許文献1や特許文献2により提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−97176号公報
【特許文献2】特開2003−41462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む織物であって、使用によって付与された皺が吸湿により容易に回復する性能を有する織物および該織物を用いてなる繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリエステルとポリアミドの異質ポリマーを貼りあわせたサイドバイサイド型複合繊維を用いて織物を得る際、該織物から抜出した前記複合繊維が捲縮構造を有し、かつ吸湿時と乾燥時において特定の捲縮率を有しており、かつ織物が所定のカバーファクターを有していると、使用によって付与された皺が吸湿により容易に回復することを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば「ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を、織物の全重量に対して20重量%以上含む織物であって、該織物から抜出した前記複合繊維が捲縮構造を有しており、該複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧5(%)であり、かつ織物のカバーファクターCFが3300以下であることを特徴とする織物。」が提供される。
【0007】
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、また、カバーファクターCFは下記式により定義される。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
【0008】
その際、ポリエステル成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0〜4.5モル%共重合された変性ポリエステルからなることが好ましい。また、前記の複合繊維が600T/m以上の撚りが施された撚り糸であることが好ましい。
【0009】
本発明の織物において、織物が、前記複合繊維と他の繊維とで構成されることが好ましい。ここで、前記の複合繊維が経糸および緯糸のうちどちらか一方に配され、他の繊維が他方に配されてなることが好ましい。また、前記の複合繊維と他の繊維とが、各々織物の構成糸条として、1本交互または複数本交互に配されてなることが好ましい。また、前記の複合繊維と他の繊維とが、前記の複合繊維が芯部に位置し、他の繊維が鞘部に位置する芯鞘型複合糸として織編物に含まれることが好ましい。また、他の繊維がポリエステル繊維であることが好ましい。
【0010】
本発明の織物において、染色加工が施されていることが好ましい。また、吸湿時における織物の皺回復性が2級以上であることが好ましい。ただし、織物の皺回復性は下記の方法で測定するものとする。ただし、織物の皺回復性は下記の方法で測定するものとする。まず、試験片として織物と同じ方向に経8cm緯25cmの試験片(長方形)を3枚採取し、短辺の1cmを縫い代とし輪状に縫い合わせる。その後、図1に示すように、該試験片を直径6cmの円筒の下部まで通した後、さらにその上から円筒にぴったりくっつくように39.2N(4kgf)の円筒荷重を加えて30分間皺付けを行う。除重後、試験片の縫い糸をほどき、3時間放置した後、該試験片を図2に示す判定標準写真と並べて比較判定し、乾燥時の判定級(A1)とする。その後、該試験片を温度30℃、相対湿度90%の恒温恒湿層に1時間投入し、取り出して1時間経過後の皺付きの状況を再度、前記の判定標準写真と並べて比較判定し、吸湿後の判定級(A2)とする。そして、皺回復性を下記式により算出する。
皺回復性(級)=(吸湿後の判定級(A2))−(乾燥時の判定級(A1))
【0011】
また、本発明によれば、前記の織物を用いてなる、アウター用衣料、ブラウス、ドレスシャツ、およびYシャツからなる群より選択される繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む織物であって、使用によって付与された皺が吸湿により容易に回復する性能を有する織物および該織物を用いてなる繊維製品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、複合繊維はポリエステル成分とポリアミド成分とからなり、両成分はサイドバイサイド型に接合されている。
【0014】
ここで、ポリエステル成分としては、他方のポリアミド成分との接着性の点で、スルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属、ホスホニウム塩を有し、かつエステル形成能を有する官能基を1個以上もつ化合物が共重合された、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンタレフタレート等の変性ポリエステルが好ましく例示される。なかでも、汎用性およびポリマーコストの点で、前記化合物が共重合された、変性ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。その際、共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそのエステル誘導体、5−ホスホニウムイソフタル酸およびそのエステル誘導体、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。共重合量としては、2.0〜4.5モル%の範囲が好ましい。該共重合量が2.0モル%よりも小さいと、優れた捲縮性能が得られるものの、ポリアミド成分とポリエステル成分との接合界面にて剥離が生じるおそれがある。逆に、該共重合量が4.5モル%よりも大きいと、延伸熱処理の際、ポリエステル成分の結晶化が進みにくくなるため、延伸熱処理温度を上げる必要があり、その結果、糸切れが多発するおそれがある。
【0015】
一方のポリアミド成分としては、主鎖中にアミド結合を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−46、ナイロン−12などがあげられる。なかでも、汎用性、ポリマーコスト、製糸安定性の点で、ナイロン−6およびナイロン−66が好適である。
【0016】
なお、前記ポリエステル成分およびポリアミド成分には、公知の添加剤、例えば、顔料、顔料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤等が含まれていてもよい。
【0017】
前記のサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、任意の断面形状および複合形態をとることができる。例えば、特開2006−97176号公報の図1の(イ)、(ロ)のようなサイドバイサイド型が好ましく用いられるが、(ハ)のような偏心芯鞘型であってもよい。さらには、単繊維の断面形状が三角形や四角形、その断面内に中空部を有するものであってもよい。なかでも、特開2006−97176号公報の図1の(イ)のように、丸型であると吸湿時に皺が容易に回復し好ましい。両成分の複合比は任意に選定することができるが、通常、ポリエステル成分とポリアミド成分の重量比で30:70〜70:30(より好ましくは40:60〜60:40)の範囲内であることが好ましい。
【0018】
前記複合繊維の単糸繊度、単糸数(フィラメント数)としては特に限定されないが、単糸繊度1〜10dtex(より好ましくは2〜5dtex)、単糸数10〜200本(より好ましくは20〜100本)の範囲内であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の織物に含まれる複合繊維は、捲縮構造を有している必要がある。異種ポリマーがサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、通常、潜在捲縮性能を有しており、後記のように、染色加工等で熱処理を受けると潜在捲縮性能が発現する。捲縮構造としては、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置し、ポリエステル成分が捲縮の外側に位置していることが好ましい。かかる捲縮構造を有する複合繊維は、後記の製造方法により容易に得ることができる。複合繊維がこのような捲縮構造を有していると、吸湿時に、内側のポリアミド成分が膨潤、伸張し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が低下する(複合繊維の見かけの長さが長くなる。)。一方、乾燥時には、内側のポリアミド成分が収縮し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が増大する(複合繊維の見かけの長さが短くなる。)。このように、吸湿時に、複合繊維の捲縮率が可逆的に変化することにより皺が回復する。
【0020】
前記の複合繊維は、600T/m以上(好ましくは600〜1500T/m)の撚りが施された撚り糸であることが好ましい。このように撚りが施されていると、吸湿時に複合繊維の捲縮率が可逆的に変化する際、撚りとの相乗効果により皺が容易に回復する。なお、該撚数が1500T/mよりも大きいとシボが発生してしまうおそれがあるので、1500T/m以下であることが好ましい。また、交絡数が20〜60ケ/m程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
【0021】
本発明の織物には、前記の複合繊維が含まれている。その際、織物中に含まれる複合繊維の含有量は、重量基準で織物全重量に対して、20重量%以上(より好ましくは40重量%以上)であることが肝要である。複合繊維の含有量が20重量%よりも小さいと、吸湿時に皺が十分回復しないおそれがある。
【0022】
また織物が、前記複合繊維と前記複合繊維以外の他の繊維とで構成される場合、かかる他の繊維としては特に限定されず、ポリエチレンタレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル、パラ型もしくはメタ型アラミド、およびそれらの変性合成繊維、さらには、天然繊維、再生繊維、半合成繊維など衣料に適した繊維であれば自由に選択できる。なかでも、湿潤時の寸法安定性や、前記複合繊維との相性(混繊性、交編・交織性、染色性)の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンタレフタレートや、これらに前記共重合成分が共重合された変性ポリエステルからなるポリエステル繊維が好適である。また、かかる他の繊維の単糸繊度、単糸数(フィラメント数)としては特に限定されないが、織編物の吸湿性を高め、吸湿時に皺を性能よく回復させる上で、単糸繊度0.1〜5dtex(より好ましくは0.5〜2dtex)、単糸数20〜200本(より好ましくは30〜100本)の範囲内であることが好ましい。なお、交絡数が20〜60ケ/m程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が他の繊維に施されていてもさしつかえない。
【0023】
本発明の織物に、前記の複合繊維と他の繊維が含まれる場合、両者は各々単独糸条で織物を構成してもよいし、空気混繊糸、合撚糸、複合仮撚捲縮加工糸、引揃え糸などの複合糸として織編物を構成してもよい。
【0024】
織物の構造としては、その織組織、層数は特に限定されるものではない。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織が好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。
【0025】
次に、本発明の織物において、該織物から抜出した前記複合繊維が捲縮構造を有しており、前記複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧5(%)(好ましくは、50(%)≧DC−HC≧10(%))であることが肝要である。DC−HCが5%未満では、乾燥時に比べて吸湿時に皺が性能よく回復しないおそれがあり、好ましくない。
【0026】
ここで、織物中における複合繊維の捲縮率は、下記の方法により測定する。まず、織物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織物から織物と同じ方向の30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。次いで、各々の小片から、複合繊維を取り出し、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L0fを測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L1fを測定する。さらにこの糸を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L0f’を測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L1f’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、吸湿時の捲縮率HC(%)、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出する。なお、n数は5でその平均値を求める。なお、前記の測定は雰囲気中から取り出した試料を直ちに行うものとする。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0f−L1f)/L0f)×100
吸湿時の捲縮率HC(%)=(L0f’−L1f’)/L0f’)×100
【0027】
本発明において、織物の態様としては、(1)前記の複合繊維が経糸および緯糸のうちどちらか一方に配され、他の繊維が他方に配されてなる織物、(2)前記の複合繊維と他の繊維とが、各々織物の構成糸条として、1本交互または複数本交互に配されてなる織物、(3)前記の複合繊維と他の繊維とが、前記の複合繊維が芯部に位置し、他の繊維が鞘部に位置する芯鞘型複合糸として織物に含まれる織物、(4)織物前記の複合繊維と他の繊維とが、引き揃えられて織組織の経糸および/または緯糸に配されてなる織物、などが例示される。
【0028】
本発明の織物は例えば下記の製造方法によって容易に得ることができる。
まず、固有粘度が0.30〜0.43(オルソクロロフェノールを溶媒として35℃で測定)の、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0〜4.5モル%共重合された変性ポリエステルと、固有粘度が1.0〜1.4(m−クレゾールを溶媒として30℃で測定)のポリアミドとを用いてサイドバイサイド型に溶融複合紡糸する。その際、ポリエステル成分の固有粘度が0.43以下であることが特に重要である。ポリエステル成分の固有粘度が0.43よりも大きいと、ポリエステル成分の粘度が増大するため、複合繊維の物性がポリエステル単独糸に近くなり、本発明が目的とする織物が得られないおそれがある。逆に、ポリエステル成分の固有粘度が0.30よりも小さいと、溶融粘度が小さくなりすぎて製糸性が低下するとともに毛羽発生が多くなり、品質および生産性が低下するおそれがある。
【0029】
溶融紡糸の際に用いる紡糸口金としては、特開2000−144518号公報の図1のような、高粘度側と低粘度側の吐出孔を分離し、かつ高粘度側吐出線速度を小さくした(吐出断面積を大きくした)紡糸口金が好適である。そして、高粘度側吐出孔に溶融ポリエステルを通過させ、低粘度側吐出孔に溶融ポリアミドを通過させ冷却固化させることが好ましい。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分との重量比は、前述のとおり、30:70〜70:30(より好ましくは40:60〜60:40)の範囲内であることが好ましい。
【0030】
また、溶融複合紡糸した後、一旦巻き取った後に延伸する別延方式を採用してもよいし、一旦巻き取らずに延伸熱処理を行う直延方式を採用してもよい。その際、紡糸・延伸条件としては、通常の条件でよい。例えば、直延方式の場合、1000〜3300m/分程度で紡糸した後、連続して100〜150℃の温度で延伸し巻き取る。延伸倍率は最終時に得られる複合繊維の切断伸度が10〜60%(好ましくは20〜45%)、切断強度が3.0〜4.7cN/dtex程度となるよう、適宜選定すればよい。
【0031】
ここで、前記の複合繊維が、下記の要件(1)および(2)を同時に満足することが好ましい。
(1)乾燥時における複合繊維の捲縮率DCが1.5〜13%(好ましくは2〜6%)の範囲内である。
(2)前記捲縮率DCと、湿潤時における複合繊維の捲縮率HCとの差(DC−HC)が0.5%以上(好ましくは1〜5%)である。
【0032】
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、湿潤時とは、試料を温度20℃の水中に2時間浸漬した後の状態であり、乾燥時における捲縮率DCおよび湿潤時における捲縮率HCは、下記の方法で測定した値を用いることとする。
【0033】
まず、枠周:1.125mの巻き返し枠を用いて、荷重:49/50mN×9×トータルテックス(0.1gf×トータルデニール)をかけて一定の速度で巻き返し、巻き数:10回の小綛をつくり、該小綛をねじり2重の輪状にしたものに49/2500mN×20×9×トータルテックス(2mg×20×トータルデニール)の初荷重をかけたまま沸水中に入れて30分間処理し、該沸水処理の後100℃の乾燥機にて30分間乾燥し、その後さらに初荷重をかけたまま160℃の乾熱中に入れ5分間処理する。該乾熱処理の後に初荷重を除き、温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間以上放置した後、前記の初荷重および98/50mN×20×9×トータルテックス(0.2gf×20×トータルデニール)の重荷重を負荷し、綛長:L0を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1を測定する。さらにこの綛を初荷重をかけたまま温度20℃の水中に2時間浸漬した後取り出し、ろ紙(大きさ30cm×30cm)にて0.69mN/cm(70mgf/cm)の圧力を5秒間かけて軽く水を拭き取った後、初荷重および重荷重を負荷し綛長:L0’を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、湿潤時の捲縮率HC(%)、乾燥時と湿潤時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出する。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0−L1)/L0)×100
湿潤時の捲縮率HC(%)=(L0’−L1’)/L0’)×100
【0034】
前記の湿潤時における複合繊維の捲縮率HCとしては、0.5〜10.0%(好ましくは1〜3%)の範囲内であることが好ましい。
【0035】
次いで、前記複合繊維に常法により撚りを施した後、該複合繊維を単独で用いるか、他の繊維も同時に用いて、常法により織物を織成した後、染色加工などの熱処理により前記複合繊維の捲縮を発現させる。
ここで、織物を織成する際、前述のように、重量基準で織物全重量に対して、20重量%以上(好ましくは40重量%以上)であることが肝要である。また、織組織は特に限定されず、前述のものを適宜選定することができる。
【0036】
前記染色加工の温度としては100〜140℃(より好ましくは110〜135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5〜40分の範囲内であることが好ましい。かかる条件で、織物に染色加工を施すことにより、前記複合繊維は、ポリエステル成分とポリアミド成分との熱収縮差により捲縮を発現する。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分として、前述のポリマーを選定することにより、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置する捲縮構造となる。
【0037】
染色加工が施された織物には、通常、乾熱ファイナルセットが施される。その際、乾熱ファイナルセットの温度としては120〜200℃(より好ましくは140〜180℃)、時間としては1〜3分の範囲内であることが好ましい。かかる、乾熱ファイナルセットの温度が120℃よりも低いと、染色加工時に発生したシワが残り易く、また、仕上がり製品の寸法安定性が悪くなるおそれがある。逆に、該乾熱ファイナルセットの温度が200℃よりも高いと、染色加工の際に発現した複合繊維の捲縮が低下したり、繊維が硬化し生地の風合いが硬くなるおそれがある。
【0038】
かくして得られた織物において、織物中の複合繊維の可動性(捲縮変化)を確保するため織物のカバーファクターCFが3300以下(好ましくは1800〜3200)の範囲内であることが肝要である。カバーファクターCFが3300よりも大きいと吸湿時に皺が回復しないおそれがある。ただし、カバーファクターCFは下記式により定義される。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
【0039】
本発明の織物において、使用により付与された皺が、吸湿時に複合繊維の捲縮率が可逆的に変化することにより皺が回復する。その際、かかる皺回復性としては、吸湿による織物の皺回復性が2級以上であることが好ましい。ただし、織物の皺回復性は下記の方法で測定するものとする。ただし、織物の皺回復性は下記の方法で測定するものとする。まず、試験片として織物と同じ方向に経8cm緯25cmの試験片(長方形)を3枚採取し、短辺の1cmを縫い代とし輪状に縫い合わせる。その後、図1に示すように、該試験片を直径6cmの円筒の下部まで通した後、さらにその上から円筒にぴったりくっつくように39.2N(4kgf)の円筒荷重を加えて30分間皺付けを行う。除重後、試験片の縫い糸をほどき、3時間放置した後、該試験片を図2に示す判定標準写真と並べて比較判定し、乾燥時の判定級(A1)とする。その後、該試験片を温度30℃、相対湿度90%の恒温恒湿層に1時間投入し、取り出して1時間経過後の皺付きの状況を再度、前記の判定標準写真と並べて比較判定し、吸湿後の判定級(A2)とする。そして、皺回復性を下記式により算出する。
皺回復性(級)=(吸湿後の判定級(A2))−(乾燥時の判定級(A1))
【0040】
なお、本発明の織物には、前記の加工以外に、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、吸水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0041】
次に、本発明の繊維製品は、前記の織物を用いてなる、アウター用衣料、ブラウス、ドレスシャツ、およびYシャツからなる群より選択される繊維製品である。かかる繊維製品は前記の織物を用いているので、使用により皺が付与されても、入浴後の浴室等の湿気や消臭スプレーなどの湿気により皺が容易に回復する。
【実施例】
【0042】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
【0043】
<ポリエステルの固有粘度>オルソクロロフェノールを溶媒として使用し温度35℃で測定した。
【0044】
<ポリアミドの固有粘度>m−クレゾールを溶媒として使用し温度30℃で測定した。
【0045】
<破断強度、破断伸度>繊維試料を、雰囲気温度25℃、湿度60%RHの恒温恒湿に保たれた部屋に一昼夜放置した後、サンプル長さ100mmで(株)島津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度で伸張し、破断時の強度(cN/dtex)、伸度(%)を測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
【0046】
<仮撚捲縮加工糸条の捲縮率>供試フィラメント糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製した。
前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6grf(5.9cN)の初荷重を付加し、さらに600grf(588cN)の重荷重をかけ、1分後にかせの長さL0を測定した。その後、直ちに、前記かせから重荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に20分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾した。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600grf(588cN)の重荷重をかけ、1分後にかせの長さL1を測定し、その後かせから重荷重を外し、1分後にかせの長さL2を測定した。初荷重は測定中は常時付加しておく。仮撚捲縮加工糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出した。
CP(%)=((L1−L2)/L0)×100
【0047】
<複合繊維の捲縮率>枠周:1.125mの巻き返し枠を用いて、荷重:49/50mN×9×トータルテックス(0.1gf×トータルデニール)をかけて一定の速度で巻き返し、巻き数:10回の小綛をつくり、該小綛をねじり2重の輪状にしたものに49/2500mN×20×9×トータルテックス(2mg×20×トータルデニール)の初荷重をかけたまま沸水中に入れて30分間処理し、該沸水処理の後100℃の乾燥機にて30分間乾燥し、その後さらに初荷重をかけたまま160℃の乾熱中に入れ5分間処理した。該乾熱処理の後に初荷重を除き、温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間以上放置した後、前記の初荷重および98/50mN×20×9×トータルテックス(0.2gf×20×トータルデニール)の重荷重を負荷し、綛長:L0を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1を測定した。さらにこの綛を初荷重をかけたまま温度20℃の水中に2時間浸漬した後取り出し、ろ紙(大きさ30cm×30cm)にて0.69mN/cm(70mgf/cm)の圧力を5秒間かけて軽く水を拭き取った後、初荷重および重荷重を負荷し綛長:L0’を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、湿潤時の捲縮率HC(%)、乾燥時と湿潤時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出した。なお、n数は5で平均値を求めた。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0−L1)/L0)×100
湿潤時の捲縮率HC(%)=(L0’−L1’)/L0’)×100
【0048】
<織物中における複合繊維の捲縮率>織物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織物から織物と同じ方向の30cm×30cmの小片を裁断した(n数=5)。次いで、各々の小片から、複合繊維を取り出し、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L0fを測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L1fを測定した。さらにこの糸を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L0f’を測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L1f’を測定した。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、吸湿時の捲縮率HC(%)、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出した。なお、n数は5でその平均値を求めた。また、前記の測定は雰囲気中から取り出した試料を直ちに行った。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0f−L1f)/L0f)×100
吸湿時の捲縮率HC(%)=(L0f’−L1f’)/L0f’)×100
【0049】
<撚数>市販のショッパー型検撚器で撚数(T/m)を測定した。
【0050】
<皺回復性>温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で、試験片として 織物と同じ方向に経8cm緯25cmの試験片(長方形)を3枚採取し、短辺の1cmを縫い代とし輪状に縫い合わせた。その後、図1に示すように、該試験片を直径6cmの円筒の下部まで通した後、さらにその上から円筒にぴったりくっつくように39.2N(4kgf)の円筒荷重を加えて30分間皺付けを行った。除重後、試験片の縫い糸をほどき、3時間放置した後、該試験片を図2に示す判定標準写真と並べて比較判定し、乾燥時の判定級(A1)とした。この際、照明は洗濯外観試験方法の低角照明を用いた。
その後、該試験片を温度30℃、相対湿度90%の恒温恒湿層に1時間投入し、取り出して1時間経過後の皺付きの状況を再度、前記の判定標準写真と並べて比較判定し、吸湿後の判定級(A2)とした。そして、皺回復性を下記式により算出した。
皺回復性(級)=(吸湿後の判定級(A2))−(乾燥時の判定級(A1))
【0051】
<カバーファクターCF>下記式により算出した。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0052】
[ 実施例1 ]
固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.39で2.6モル%の5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270℃、290℃にて溶融し、特開2000−144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、特開2006−97176号公報の図1(イ)の単繊維横断面形状を有するサイドバイサイド型複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60℃の予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度3050m/分、温度150℃に加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、84dtex/24filの複合繊維を得た。該複合繊維において、破断強度3.4cN/dtex、破断伸度40%であった。また、該複合繊維に沸水処理を施して捲縮率を測定したところ、乾燥時の捲縮率DCが3.3%、湿潤時の捲縮率HCが1.6%、乾燥時の捲縮率DCと湿潤時の捲縮率HCとの差(DC−HC)が1.7%であった。
【0053】
次いで、経糸用として、捲縮率20%の通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸条(84dtex/72fil)にS方向に600回/mの撚りを掛けたものを用意した。一方、緯糸用として、前記複合繊維をS方向に1200回/mの撚りを掛けた後、70℃の温度で30分間撚り止めセットを実施したものを用意した。そして、通常のラピア織機を使用して、織密度を経105本/2.54cm、緯密度83本/2.54cmにて平組織で製織し織物を得た。
そして、該織物を、温度80℃にて1分間精錬処理を実施後、温度130℃、キープ時間15分間にて通常の染色加工を施し、複合繊維の潜在捲縮性能を顕在化させた後、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
【0054】
得られた織物において、カバーファクターCFは1953であった。また、乾燥時の判定級(A1)は2級で、恒温恒湿層から取り出した後の級判定(吸湿後の判定級(A2))は4−5級であり、2.5級の皺回復性であった。また、該織物から抜き取った複合繊維において、乾燥時の捲縮率DCFが64%、吸湿時の捲縮率HCFが32%、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)が32%であった。また、該織物から抜き取った複合繊維の撚数を測定したところ1215T/mであった。
次いで、該織物を用いてブラウスを縫製した後着用することにより皺を付与したところ、かかる皺が入浴後の浴室等の湿気により容易に回復した。
【0055】
[比較例1]
固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.48で2.6モル%の5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270℃、290℃にて溶融し、特開2000−144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、図1(イ)の単糸横断面形状を有するサイドバイサイド型複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60℃の予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度2700m/分、温度150℃に加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、84dtex/24filの複合繊維を得た。該複合繊維において、破断強度2.3cN/dtex、破断伸度41%であった。また、該複合繊維に沸水処理を施して捲縮率を測定したところ、乾燥時の捲縮率DCが1.2%、湿潤時の捲縮率HCが3.9%、乾燥時の捲縮率DCと湿潤時の捲縮率HCとの差(DC−HC)が−2.7%であった。
【0056】
次いで、前記の複合繊維を用いて、実施例1と同様に織物を製織した後、染色加工、撥水加工、および乾熱ファイナルセットを施した。
得られた織物において、カバーファクターCFは1894であった。また、乾燥時の判定級(A1)は2級で、恒温恒湿層から取り出した後の級判定(吸湿後の判定級(A2))は3級であり、1級の皺回復性であった。また、該織物から抜き取った複合繊維において、乾燥時の捲縮率DCが56%、吸湿時の捲縮率HCが62%、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)が−6%であった。また、該織物から抜き取った複合繊維の撚数を測定したところ1210T/mであった。
【0057】
[比較例2]
実施例1において、織物組織を5枚朱子に変更し、最終的に得られた織物のカバーファクターCFを3450と大きくすること以外は実施例1と同様にした。
得られた織物において、乾燥時の判定級(A1)は2級で、恒温恒湿層から取り出した後の級判定(吸湿後の判定級(A2))は3級であり、1級の皺回復性であった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む織物であって、使用によって付与された皺が吸湿により容易に回復する性能を有する織物および該織物を用いてなる繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】皺回復性の評価方法を模式的に示す図である。
【図2】皺回復性の判定標準写真である。
【符号の説明】
【0060】
1:円筒
2:荷重
3:試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を、織物の全重量に対して20重量%以上含む織物であって、該織物から抜出した前記複合繊維が捲縮構造を有しており、該複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧5(%)であり、かつ織物のカバーファクターCFが3300以下であることを特徴とする織物。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、また、カバーファクターCFは下記式により定義される。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
【請求項2】
ポリエステル成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0〜4.5モル%共重合された変性ポリエステルからなる、請求項1に記載の織物。
【請求項3】
前記の複合繊維が600T/m以上の撚りが施された撚り糸である、請求項1または請求項2に記載の織物。
【請求項4】
織物が、前記複合繊維と他の繊維とで構成される、請求項1〜3のいずれかに記載の織物。
【請求項5】
前記の複合繊維が経糸および緯糸のうちどちらか一方に配され、他の繊維が他方に配されてなる、請求項4に記載の織物。
【請求項6】
前記の複合繊維と他の繊維とが、各々織物の構成糸条として、1本交互または複数本交互に配されてなる、請求項4に記載の織物。
【請求項7】
前記の複合繊維と他の繊維とが、前記の複合繊維が芯部に位置し、他の繊維が鞘部に位置する芯鞘型複合糸として織物に含まれる、請求項4に記載の織物。
【請求項8】
他の繊維がポリエステル繊維である、請求項4〜7のいずれかに記載の織物。
【請求項9】
染色加工が施されてなる、請求項1〜8のいずれかに記載の織物。
【請求項10】
吸湿による織物の皺回復性が2級以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の織物。
ただし、織物の皺回復性は下記の方法で測定するものとする。まず、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で、試験片として 織物と同じ方向に経8cm緯25cmの試験片(長方形)を3枚採取し、短辺の1cmを縫い代とし輪状に縫い合わせる。その後、図1に示すように、該試験片を直径6cmの円筒の下部まで通した後、さらにその上から円筒にぴったりくっつくように39.2N(4kgf)の円筒荷重を加えて30分間皺付けを行う。除重後、試験片の縫い糸をほどき、3時間放置した後、該試験片を図2に示す判定標準写真と並べて比較判定し、乾燥時の判定級(A1)とする。その後、該試験片を温度30℃、相対湿度90%の恒温恒湿層に1時間投入し、取り出して1時間経過後の皺付きの状況を再度、前記の判定標準写真と並べて比較判定し、吸湿後の判定級(A2)とする。そして、皺回復性を下記式により算出する。
皺回復性(級)=(吸湿後の判定級(A2))−(乾燥時の判定級(A1))
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の織物を用いてなる、アウター用衣料、ブラウス、ドレスシャツ、およびYシャツからなる群より選択される繊維製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−41148(P2009−41148A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209411(P2007−209411)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】