説明

織物のための再充填可能な仕上げ剤、及び、そのような仕上げ剤を充填するための配合物

本発明によるポリマー化合物は、アクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体からなるアクリル酸コポリマーを含むポリマー化合物であって、a)スルホン酸基によって置換した少なくとも一つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体;b)親水的に置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体;c)親油的に置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体;および、d)架橋剤として作用する少なくとも一つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体を含むポリマー化合物である。本発明による織物製品に低分子化合物を充填する方法では、a)織物製品は、接触可能表面が負の電荷を有する仕上げ層を備え、b)前記織物製品が、例えばエマルジョンまたは水溶液に織物製品を浸漬することによって、あるいはエマルジョンまたは水溶液を噴霧することによって、エマルジョンまたは水溶液と一緒になり、前記少なくとも1つの低分子化合物はエマルジョンの分散相に含まれ、分散相内の粒子表面は正電荷を有し、あるいは少なくとも1つの低分子化合物はカチオン性で水溶液に溶解している。少なくとも1つの低分子化合物はエマルジョンの分散相に含まれ、分散相の粒子の表面は正電荷を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物製品、対応する仕上げ層及び織物製品を仕上げるためのポリマー化合物及び仕上げ配合物、活性物質を仕上げ層に充填するためのエマルジョン、及び完成した織物への低分子化合物の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
織物に付加的な機能特性を提供する、織物製品の多数の仕上げ剤が、先行技術から公知である。用語「織物」及び「織物製品」は、特に、工業的に生産された織物製品(例えば、織布、編物、不織布など)だけではなく、例えば、布又は既に加工された製品(衣類など)として存在し得る繊維を意味すると理解されている。前記織物は、特に、天然及び/又は合成材料、特に、綿、リネン、絹、麻、ジュート、ウール、サイザル麻、ビスコース、ポリアミド、ポリエステルなど、及びそれらの混合物といった、任意の公知な材料から製造され得る。
【0003】
本発明の範囲内で、用語「織物製品」は、明示的に、例えば、包帯材料だけではなく、粘着包帯(絆創膏)などの創傷被覆材も含むことを意図している。
【0004】
織物が、物質及び活性物質を充填し得ることは公知である。例えば、織物は、活性物質の担体としてシクロデキストリンを用いて仕上げてもよく、また低分子活性物質は、これらシクロデキストリンへ組み込まれてもよく、その後そこから放出される。従って、活性物質は、着用者の肌に繊維製品から移行することができ、それらは特定の所望の効果を有し得る。例えば、化粧品及び/又は医薬活性物質は、この方法で経皮吸収され得る。
【0005】
同様に、織物は、例えば、臭気の形成を防止するために抗菌又は殺菌物質を、又は、生地物質のUV吸収を増加させるために、UV吸収物質を充填してもよい。虫避けの物質も考えられる。
【0006】
低分子活性物質を充填した織物について、活性物質の一部分は、洗濯操作を行っている間に不可避的に失われる。そのように機能的に修飾された織物について、従って、簡単な方法で活性物質を織物に再充填することができることが望ましい。
【0007】
また、低分子活性物質を含有する、所謂マイクロカプセルを有する織物の仕上げもまた、そのようなマイクロカプセルを有する織物の個々の充填同様に知られている。マイクロカプセルは、機械的作用及びマイクロカプセルの破壊の結果として、活性物質が突然放出されるという欠点を有する。従って、そのような仕上げ剤は、長期間に渡る制御された送達には、あまり適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した、及びその他の先行技術の欠点を有さない、有利な仕上げ配合物を提供することである。
【0009】
本発明は、、効率的かつ目標を定めた方法によって、水溶液中で、カチオン性マイクロエマルジョン及び/又はカチオン性活性物質を充填可能な仕上げ剤を提供し得る織物製品及び/又は創傷被覆材により仕上げ配合物を提供することを目的とする。前記充填は、好ましくは複数回実行され得る。マイクロエマルジョンの液滴は、特に活性物質と他の活性成分を含み得る。
【0010】
仕上げ層の活性物質が、決まった放出速度で放出されることを目的とする。
【0011】
本発明の更なる目的は、そのような仕上げ配合物についてのポリマー化合物を提供すること、及びそのような仕上げを提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、低分子組成物、特に活性物質を充填し得る、本発明の仕上げ層を用いることによって、マイクロエマルジョンを提供することである。そのような充填は、好ましくは、例えば洗濯操作中にエマルジョンの高い希釈を行う。
【0013】
これらの、及び他の目的は、本発明によるポリマー化合物である、仕上げ層へ活性物質を充填するための発明及び本発明の独立請求項による方法による、そのようなポリマー化合物を含む仕上げ配合物、そのようなポリマー化合物を含む仕上げ層、仕上げされた織物製品又はコーティングされた創傷被覆材、及びエマルジョンによって達成される。更に好ましい実施形態及び変化形は、従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるポリマー化合物は、a)スルホン酸基で置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体及び/又はメタクリル酸誘導体;b)親水的に置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体及び/又はメタクリル酸誘導体;c)親油的に置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体及び/又はメタクリル酸誘導体;及びd)架橋剤として作用する少なくとも1つのアクリル酸誘導体及び/又はメタクリル酸誘導体;を含む、アクリル酸誘導体及び/又はメタクリル酸誘導体からなるアクリル酸コポリマーを具備する。
【0015】
スルホン酸基を含む、アクリル酸誘導体モノマーまたはメタクリル酸誘導体モノマーの1つの可能な例は、2−アクリロイル−2−メチルプロパンスルホン酸である。本発明によるポリマー化合物のスルホン酸基は、イオン交換ポリマーと同様に、ポリマーマトリックス中に負電荷部位を提供する。洗濯時の慣習的なpH値において、電荷部位は、スルホン酸基の非常に低いpK値のために脱プロトン化する。ポリマーマトリックス中の負電荷部位は、負の表面電荷が生じ、これは陽イオンによって本来バランスが取られている。具体的な説明に限定されず、ポリマー化合物の発明による効果は、マイクロエマルジョンの正の表面電荷、あるいは又、正に帯電した活性物質を帯電した分散粒子、例えば、複素環式化合物、又は他のカチオン性化合物の塩酸塩が、本発明によるポリマー化合物のマトリックスへ組み込まれ得ることである。負電荷部位のために、ポリマーマトリックスは、負の表面電荷を有する。この方法で、対応するエマルジョン又はカチオン性化合物の分散相は、本発明による仕上げ層へ効果的に組み込まれ得る。
【0016】
そのようなエマルジョンの分散層は、特定の効果を有することを意図した低分子組成物を含む。前述の組成物は、制御された方法、即ち、継続的に長期間にわたって、仕上げ層から再放出されるか、あるいはその場に留まり得る。例えば、織物が充填された後、活性物質は、織物から着用者の肌へ通過し得、それらは経皮吸収され、その特定の効果を発生する。離脱挙動は、親水性/親油性比を制御することによって、すなわち、ドナー層の両親媒性特性を調整することによってカスタマイズし得る。従って、例えば、離脱時間は、簡単に16時間までで調整することができ(これは体に繊維を身に着けている現実的な時間に相当する)、または選択的に任意の希望する期間に離脱時間を調整し得る。
【0017】
活性物質を充填した織物は、直接体に身に付けられた場合、充填物取り出しのプロセスは、熱、摩擦、湿気によって引き起こされる。本発明による仕上げ層は、また、ドナー層とも呼ばれ、また、離脱が体の汗の中の塩によって引き起こされる特性も有する。特に、汗の中に存在するナトリウムイオンは、ドナー層から皮膚への活性物質の送達を増加させる。例えば、運動の活動中にそれに応じて負荷を受けた体上の部位は、従って、好ましくは、活性物質を供給し得る。
【0018】
本発明による仕上げ層は、所望の時にはいつでも充填物取り出され及び再充填され得る。
【0019】
本発明によるポリマー化合物を用いて仕上げした織物製品の充填は、また、エマルジョンの比較的高い希釈度において、行われ得る。従って、例えば、そのようなエマルジョンは、柔軟仕上げ剤と同様に、家庭の洗濯機の洗浄プログラムの最後のすすぎの段階ですすぎ水に追加され得る。しかしながら、充填は、適用に応じて都合の良いように、手洗いによって、又は、織物へのスプレーによっても実行され得る。創傷被覆材について、コーティングは、好ましくは製造施設の無菌環境下で適用される。包帯材料については、衣類などと同様に、再充填が可能である。
【0020】
同様に、例えば、負の表面電化を有するエマルジョン粒子がそこへ吸着されるように、スルホン酸基の代わりに、第四級アンモニウム基の形で、ポリマーマトリックスについても正電荷部位を有すると考えられるであろう。しかしながら、そのような変異体は、対応するように仕上げした織物製品の洗濯中に、通常のアニオン性界面活性剤が正電荷部位に蓄積する可能性があり、その結果として、これらの荷電部位が、被覆され、接触できなくなってしまうという欠点がある。
【0021】
仕上げ層の充填許容量を最適化するためには、最大可能な荷電部位数は、エマルジョンの粒子に接触できる必要がある。この目的では、従って、織物上の仕上げ層が一定の膨張をしているときが有利である。それはポリマーマトリックスの接触可能表面、したがってさらに使用可能な表面電化が増加するからである。
【0022】
本発明による仕上げ層の所望の水和及び膨張性能を達成するために、本発明によるポリマー化合物は、親水性置換アクリル酸誘導体モノマー又はメタクリル酸誘導体モノマー、例えば、エチルトリグリコールメタクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、及び/又は、特にmPEG1000メタクリル酸及びmPEG350メタクリル酸である、mPEGメタクリル酸を含む。HEMAは、仕上げ層は繊維に固定される場合には、内部のポリマー架橋の結果、架橋モノマーのドッキング部位として機能する付加的効果を有するという付加的効果を有する。全体として、HEMAを含む仕上げ層は、mPEGメタクリル酸を含む仕上げ層は乾燥状態では非常に弾性に維持される一方、水和が無い場合はむしろ脆弱である。
【0023】
例えば、2−エチルヘキシルアクリル酸などの新油性置換アクリル酸誘導体モノマー又はメタクリル酸誘導体モノマーは、本発明に係る仕上げ層のマトリクスの特定の親油性を確実にする。親水性と親油性モノマーの分画の比率は、他のこととの間で、本発明に係る仕上げ層の吸収および脱着特性を決定する。更に、吸着したエマルジョン粒子内の親油性組成物は、ポリマーマトリックスの親油性ドメインに移行することができ、従って、仕上げ層の充填許容量を増加させる。
【0024】
織物製品上の仕上げ層の十分な耐久性を達成する為に、仕上げ層は、繊維上に固定されなければならない。この目的のために、本発明によるポリマー化合物は、織物繊維と架橋結合される。織物仕上げ剤のための架橋結合剤は、先行技術から公知である。本発明によるポリマー化合物のための架橋性モノマーの1つの可能な例は、N−(ブトキシメチル)アクリルアミドである。熱及び/又は酸触媒固定用について、対応するモノマーは、繊維において、OH及びNH基と共有結合する。
【0025】
アクリル酸コポリマーの架橋性モノマーは、有利にN−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メチロール)アクリルアミド、グリシジルメタクリラート、p−EMKO−TDI−o−HEMA、及びEMKO−2−(N−(tert−ブチル){[(3−イソシアナートイソシアナート1、5、5−トリメチルシクロフェニル)メチル]アミノ}カルボニル)エチルメタクリラートからなる群から選択される。
【0026】
本発明によるポリマー化合物は、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリアミド、又はそれらの混合物のような、更なるポリマー化合物を含み得る。本発明によるポリマー化合物は、そのような様々なポリマー化合物の混合物であり、有利に架橋可能である。
【0027】
本発明による仕上げ層を、織物製品又は、創傷被覆材上に生成するために、仕上げ配合物は、例えば、水性浴で織物製品又は創傷被覆材に適用される。仕上げ配合物は、溶解形態で、及び/又はマイクロエマルジョンの形態で、本発明による3つのポリマー化合物を含む。第1の乾燥ステップのあと、ポリマー化合物を、熱的に、及び/又は触媒的に、繊維基材上に固定する。ポリマーコーティングを用いた織物の仕上げについての先行技術からの適切な方法は、当業者には公知である。
【0028】
本発明によるポリマー化合物に加えて、本発明による仕上げ配合物は、更に、PES、PU、PUE、PA、架橋剤系、及び/又はそれらの混合物などのポリマーを含み得る。それらの両新媒性構造のために、本発明によるポリマー化合物は、多数のポリマーと混合可能及び/又は、架橋可能であるか、又は、混合物を形成するための処理可能である。
【0029】
本発明による仕上げ層内におけるエマルジョン粒子の吸着を、模式的に図1に示す。仕上げ層3(繊維基材上に固定される)は、水和性であり、例えば大気中の湿度や充填プロセスからの水での洗い流しなどの、周りの環境からの水の吸収により膨張する。ポリマーマトリックス中の負電荷部位は、接触可能である。ここで、仕上げ層3がエマルジョンと一緒になった場合、そのエマルジョン粒子2は、正の表面電荷を有し、これらの粒子2は、ポリマーマトリックスにおいて、細孔及び隙間に移行可能であり(図1(a))、それらは、本発明による織物製品へ低分子化合物を充填するための方法である(図1b)
【0030】
織物製品へ低分子化合物を充填するための、本発明による方法は;a)織物製品へ、接触可能な表面が負の電荷を有する仕上げ層を提供する、b)例えば、エマルジョンに織物製品を浸漬することにより、又は、織物製品にエマルジョンをスプレーすることにより、織物製品とエマルジョンを結合する。少なくとも1つの低分子化合物は、エマルジョンの分散相に含まれる。分散相の境界面は、正の電荷を有する。エマルジョンの代わりに、そこに溶けている低分子組成物がカチオン性である場合、水溶液を用いることができる。
【0031】
ステップb)は、好ましくは任意の所望の間隔で、複数回実行する。この方法で、仕上られた材料は、所望の低分子組成物を繰り返し充填し得る。
【0032】
低分子組成物を含むエマルジョンは、好ましくは、以下に説明するように、本発明によるエマルジョンである。
【0033】
本発明によるエマルジョンは、エマルジョンの分散相において充填されるべき、少なくとも1つの低分子組成物を含む。分散相の粒子の表面は、正の電荷を有する。この正の電荷は、本来、負に荷電した対イオンによって平衡を保つ。エマルジョンの分散相の粒子の表面の電荷は、有利には少なくとも15mC/gのエマルジョンであり、特に有利には、少なくとも90mC/gのエマルジョンである。
【0034】
エマルジョン粒子の正の表面電荷は、乳化剤又はその極性端に正の荷電を有する表面活性化合物を用いて達成する。水中油型エマルションについては、これらの正電荷は、粒子の表面に配置されている。適切な表面活性化合物の例はレクチンであり、特に、ホスファチジルコリンレクチン、ならびに/あるいは、1つ又は2つの長鎖親油性ラジカルを含む、四級アンモニア化合物、特に、ベヘニルトリメチルアンモニウム又は、エチル−N−α−ラウロイル−L−アルギニン塩酸である。
【0035】
分散相の粒子を、仕上げ層の膨張したポリマーマトリックスへ貫通可能にするために、粒子の直径は、特定のサイズを超えてはいけない。より小さな粒子ほど、より良く、かつ、より迅速に、ポリマーマトリックスの細孔へ貫通し、マトリックスへ蓄積する。エマルジョンの分散相の粒子の少なくとも90体積%が、好ましくは、1000nm未満の直径を有し、特に好ましくは、700nm未満である。
【0036】
エマルジョンは、水中油型エマルジョンであり得、少なくとも1つの低分子化合物が、親油性分散相中に存在し得る。この変異型は特に、親油性低分子化合物に適している。
【0037】
水中油中水型エマルジョンは、例えば、親水性低分子化合物に適しており、水分散相中の少なくとも1つの低分子化合物が、親油性分散相内に存在している。リポソームを含むエマルジョンもまた適切であり、この場合、水相中の親水性低分子化合物は、リポソーム内に存在する。
【0038】
親油性と同様に親水性の化合物が織物上に充填されている場合、様々な型のエマルジョンを組み合わせても良い。また、異なるエマルジョンを順に使用してもよい。
【0039】
本発明は、更に、織物製品または創傷被覆材に親油性及び/又は親水性低分子化合物を充填するための本発明によるエマルジョンの使用に関し、織物製品又は創傷被覆材は、好ましくは、本発明による仕上げ層を有する、及び/又は、本発明による仕上げ配合物を用いて仕上げされている。
【0040】
本発明による仕上げ層は、国際公開WO2002/075038号に開示されている本出願人の3XDRY(登録商標)技術もまた、組み合わせ得る。従って、例えば、本出願による疎水性仕上げ層は、疎水性コーティングを外側に設けてもよい。この方法で、本発明による織物は、内側が親水性のままであるにもかかわらず外側表面を撥水加工し得るだけではなく、同時に疎水性の層は、外側に対する活性物質障壁としても使用することができる。そのような障壁層は、経皮包帯について一般的であり、例えば、そこでは活性物質は、決められた方向でのみ離脱することを意図されている。
【0041】
本発明による仕上げ層はまた、カドミウムや鉛、または他の有毒物質などのカチオン性重金属イオンと結合可能であるという特性を有する。これは、特に、例えば、飲料水中に高レベルの砒素を有する国において、この方法で飲料水を安全に飲めるようにすることができるため、重要である。ポリマー層を用いて仕上られた織物は、塩、海の水、石鹸、または洗濯洗剤を使用して再生することができる。更に、本発明による仕上げ層は、有機不純物が本発明による両親媒性ポリマー化合物の親油性構造と吸着することができるので、例えば、ディーゼル燃料又はガソリンなどの、水中で有機不純物を結合することができる。本出願の結果として、本発明による織物を、飲料水を処理するために使用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の実施
以下の実施例は、説明のために用いられるものであり、本明細書に開示された特徴へ本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
A.ポリマー
ポリマー化合物 P−002
【0043】
ポリマー化合物P−002は、アクリル酸コポリマー、即ち、ポリ(アクリル酸−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)である。この化合物は、モノマーアクリル酸を含み、そのカルボキシル基は、ポリマーマトリックスにおいて、負電荷部位を提供するために使用される。親油基として2−エチルヘキシルアクリラート及び、N−(ブトキシメチル)アクリルアミドがある。後者は、織物繊維において、OH及びNH基と架橋するために使用される。合成は、ラジカルエマルジョン重合によって行われる。
【化1】


【表1】


【表2】

【0044】
器具:1Lの攪拌機を備えた4口丸底フラスコ、還流冷却器、隔壁、および温度センサ。還流冷却器上のコックの排出ラインは、排出に使用され、窒素で洗い流される。
【0045】
事前の均質化:出発プロダクト溶液は、600barで5回高圧ホモジナイザを通過させると、青みがかった光沢を有するエマルジョンとなった。1gの均質化された出発プロダクト溶液を、39gの水で1:40に希釈した。粘度;1.01mPa秒。粒度分布は、光子相関分光法(PCS)(Malvern Instruments Ltd.,Malvern,Worcestershire,WR14 1XZ,UK;model:Zetasizer Nano−S ZEN 1600)によって決定した。ピーク1:d(H)=1140nm−98.1体積%;ピーク2:d(H)=5290nm−1.9体積%。
【0046】
合成:445gの均質化した出発プロダクト溶液を、器具の中に配置し、90℃まで加熱した。器具は、その後脱気し、大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素で3回洗い流した。器具は、全体の重合にわたって圧力補正を確保するために、窒素でバックフラッシュした。25gの開始剤溶液を、その後、よく攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。反応はすぐに進んだ。強い発熱反応により(5℃/分)、水浴を用いて即座に冷却し、反応温度を90℃で一定に保った(後続の発熱状態は検出されなかった)。最初の発熱状態が納まった後、40分後、残りの27グラムの開始剤溶液を、シリンジを用いて添加した(後続の発熱状態は検出されなかった)。
【0047】
インプロセス制御:4時間の総反応時間後、2gの反応溶液を器具から取り出し、計量したアルミ皿に乗せ、30分間180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。ウェイ・イン=低粘性白色エマルジョン溶液2.023g、ウェイ・アウト=乳白色ポリマー0.594g、固形分:29.36%(TS100% 理論上の変換率:30.87%)=95.1%変換。膨張挙動:試験管内で、僅かに乾燥したポリマーとTHFが結合し、僅かな膨張を視覚的に検出した。pH=3.3。
【0048】
反応溶液:青みがかったピンクの光沢を有する、低粘度の溶液を、室温まで冷却した。1gの反応溶液を、39gの水を用いて1:40に希釈した。粘度:1.05mPa秒。粒度分布(PCS測定):ピーク1:d(H)=503nm−92.6体積%;ピーク2:d(H)=5220nm−7.4体積%。カルボキシル基のアクセシビリティ(即ち、ポリマーの膨張能力)を決定するために、1mLの25%のアンモニア溶液を1:40に希釈した反応溶液に添加した。粘度:2.36mPa秒。粒度分布(PCS測定):ピーク1:d(H)=587 nm−93.3体積%;ピーク2:d(H)=5340nm−6.7体積%。エマルジョン液滴の体積(計算値):ピーク1:V(H)=66.6E+6nm NH無し;peak 1:V(H)=105.9E+6nm NH有り;膨張エマルジョン液滴:ピーク1 体積率で59%増加。
ポリマー化合物 P−004
【0049】
ポリマー化合物P−004、ポリ(2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)は、モノマーである2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルアクリラート、及びN−(ブトキシメチル)アクリルアミドを含む。スルホン酸基は、ポリマーマトリックス中に負電荷部位を提供する。
【化2】


【表3】

【0050】
事前の均質化:出発プロダクト溶液(pH=6.5)を、高圧ホモジナイザに600barで5回通過させると、青みがかった光沢を有するエマルジョンを生じた。1gの均質化した出発プロダクト溶液を、3.9gの水を用いて1:40に希釈した。粘度:0.95mPa秒。粒度分布(PCS測定)ピーク1:d(H)=1370nm−93.9体積%;ピーク2:d(H)=4780nm−6.1体積%。
【0051】
合成:開始剤溶液は、P−002と同じであり、モノマー及び架橋剤に対して、1重量%であった。器具は、P−002と同じであった。455gの均質化した出発プロダクト溶液を、器具内に配置し、90℃まで加熱した。温度が約70℃まで到達すると、器具を排気し、それぞれ大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素で3回洗い流した。器具は、全体の重合にわたって圧力補正を確保するために、窒素でバックフラッシュした。25gの開始剤溶液を、その後、よく攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。強い発熱反応により(5℃/分)、水浴を用いて即座に冷却し、反応温度を90℃で一定に保った。最初の発熱状態が納まった後、30分後、残りの27グラムの開始剤溶液を、シリンジを用いて追加した(後続の発熱状態は検出されなかった)。反応溶液は、約30分の期間に渡って発泡したが、泡はその後消失した。
【0052】
インプロセス制御:4時間の総反応時間後、2gの反応溶液を器具から取り出し、計量したアルミ皿に乗せ、30分間180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。ウェイ・イン=低粘性白色エマルジョン溶液2.024g、ウェイ・アウト=乳白色の僅かに粘性のポリマー0.609g、固形分:30.09%(TS100%理論上の変換率: 31.50%)=95.5%変換。膨張挙動:僅かに乾燥したポリマーを、試験管内でTHFと結合させ、僅かな膨張が視覚的に検出可能であった。pH=8.5。
【0053】
反応溶液:青みがかった光沢を有する、低粘度の溶液を、室温まで冷却した。1gの反応溶液を、39gの水を用いて1:40に希釈した。粘度:1.33mPa秒。粒度分布(PCS測定):ピーク1:d(H)=329nm−100体積%;ピーク2:信号無し。
ポリマー化合物 P−005
【0054】
ポリマー化合物P−005、ポリ(2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−mPEG1000メタクリラートーstat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)は、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルアクリラート、及びN−(ブトキシメチル)アクリルアミドに加え、更なるモノマーとして、mPEG1000メタクリラートを含む。mPEG1000メタクリラートモノマーは、ポリマー層を親水化するために使用し、従って、マトリックス中の負の電荷部位をより接触可能にするように、水を吸収することができるようにする。
【化3】


【表4】

【0055】
合成:開始剤溶液は、P−002と同じであり、モノマー及び架橋剤に対して、1重量%V−50であった。器具は、P−002と同じであった。事前の均質化はP−002と同じであった。455gの均質化した出発プロダクト溶液を、器具内に配置し、90℃まで加熱した。温度が約70℃まで到達すると、器具を排気し、それぞれ大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素で3回洗い流した。器具は、全体の重合にわたって圧力補正を確保するために、窒素でバックフラッシュした。25gの開始剤溶液を、その後、よく攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみ検出した。反応温度は90℃で一定に保たれた。30分後、残りの27グラムの開始剤溶液を、シリンジを介して追加すると(後続の発熱状態は検出されなかった)、青みがかった光沢を有するエマルジョンが生じた。反応溶液は、粘度を増加させながら、約30分の期間に渡って発泡したが、泡はその後消失した。
【0056】
インプロセス制御:4時間の総反応時間後、2gの反応溶液を器具から取り出し、計量したアルミ皿に乗せ、30分間180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。ウェイ・イン=粘性のある白色エマルジョン溶液2.185g、ウェイ・アウト=茶色がかった僅かに粘性のポリマー0.746g、固形分:34.14%(TS100%理論上の変換率: 31.81%)=107.3%(反応時の溶媒の損失のため、変換はなかった)。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぎ、数分以内に元の体積の数倍まで膨張し、分離した。耐久性は不十分であるように見えた。pH=6.5。
ポリマー化合物 P−008
【0057】
ポリマー化合物P−008、ポリ(2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラート―stat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)は、モノマーである、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−エチルヘキシルアクリラート、及びN−(ブトキシメチル)アクリルアミドを含む。HEMAは、ポリマー層を親水化するために使用し、従って、マトリックス中の負の電荷部位をより接触可能にするように、水を吸収することができるようにする。
【化4】

【0058】
高い膨張許容量を有するポリマーによる溶媒の完全な吸収をさけるために、出発プロダクト溶液を、2−プロパノール及び水で、1:4に希釈した。開始剤溶液を、大きな損失なしに反応率を維持するために、希釈せずに利用した。
【表5】


【表6】

【0059】
モノマー及び架橋剤に対して、1重量%V−501に対応する、開始剤溶液の1/10を使用した。
【0060】
器具:磁気攪拌機を備えた50mLのシュレンク管、及びセプタムを、アルミニウム熱ブロックを有し、温度センサを備えた磁気攪拌加熱皿に搭載した。シュレンク管上のコックを備えた排出ラインを、排出及び窒素での洗い流しに使用した。
【0061】
合成:10gの出発プロダクト溶液(pH=5.5)をシュレンク管内に配置し、10gの2−プロパノール及び20gの水を加えることによって1:4に希釈した。シュレンク管を続いて排気し、それぞれ大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素で3回洗い流した。シュレンク管は、全体の重合にわたって圧力補正を確保するために、窒素でバックフラッシュした。その後、加熱マントルを使用して、器具を90℃まで加熱した。温度が約70℃に到達すると、3.5gの開始剤溶液を、よく攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみ検出した。反応温度は82℃(2−プロパノールの沸点)で一定に保たれ、透明な白っぽい溶液を得た。30分後、残りの3.5グラムの開始剤溶液を、シリンジを介して追加した(後続の発熱状態は検出されなかった)。
【0062】
インプロセス制御:4時間の総反応時間後、8gの反応溶液を器具から取り出し、計量したアルミ皿に乗せ、30分間180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。ウェイ・イン=透明な青みがかった白色溶液8.033g、ウェイ・アウト=金褐色の非粘性のポリマー0.584g、固形分:7.27%(TS100%理論上の変換率:6.40%)=113.6%(反応時の溶媒の損失のため、変換はなかった)。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぎ、数分以内にわずかに膨張した。目視観察によると、ポリマーは、わずかに架橋されたように見えた。pH=6.7。
ポリマー化合物 P−009
【0063】
ポリマー化合物P−009は、P−008と同様に調製した。出発プロダクト溶液を、重合化温度を90℃まで上昇させるために、2−プロパノールの代わりにヘキシレングリコール(沸点=197°C)を用いて、1:2のみに希釈した。開始剤溶液は、再度、大きな損失なく反応率を維持するために、希釈せずに使用した。
【0064】
合成:出発プロダクト溶液、開始剤溶液及び器具は、P−008と同じであった。19gの出発プロダクト溶液(pH=5.5)をシュレンク管内に配置し、19gのヘキシレングリコールを加えることによって1:2に希釈した。シュレンク管を続いて排気し、それぞれ大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素で3回洗い流した。シュレンク管は、全体の重合にわたって圧力補正を確保するために、窒素でバックフラッシュした。その後、加熱マントルを使用して、器具を90℃まで加熱した。温度が約70℃に到達すると、3.5gの開始剤溶液を、よく攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみ検出した。反応温度は90℃で一定に保たれた。30分後、残りの3.5グラムの開始剤溶液を、シリンジを介して追加すると(後続の発熱状態は検出されなかった)、透明な粘性のある溶液を生じた。
【0065】
インプロセス制御:4時間の総反応時間後、4gの反応溶液を器具から取り出し、計量したアルミ皿に乗せ、30分間180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。低粘性のヘキシレングリコール(沸点=197℃)のために、ポリマーがまだ乾燥しておらず、ポリマーは少量の水で膨張していたため、更に30分間、180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。ウェイ・イン=透明な青みがかった白色溶液4.093g、ウェイ・アウト=透明な金褐色の脆性ポリマー0.537g、固形分:13.12%(TS100%理論上の変換率:12.36%)=106.1%(反応時の溶媒の損失のため、変換はなかった)。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、数分以内にもとの体積の数倍まで膨張した。耐久性は不十分であるように見えた。pH=7.2。
ポリマー化合物 P−010
【0066】
ポリマー化合物P−010、ポリ(2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)を、短鎖mPEGモノマーの耐久性を調べる為にmPEG350メタクリラートをmPEG1000メタクリラートの代わりに使用したことを除き、P−005と同様に調製した。2−プロパノールを、出発プロダクト溶液の相分離を避ける為に、乳化剤に加えて添加した。
【化5】


【表7】

【0067】
事前の均質化:出発プロダクト溶液を、超音波浴中で2分間ホモジナイズした。
【0068】
合成:開始剤溶液及び器具は、P−008と同じであった。30gの均質化された出発プロダクト溶液をシュレンク管内に配置し、80℃まで加熱した。温度が約70℃まで到達すると、シュレンク管を排気し、それぞれ大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素で3回洗い流した。器具は、全体の重合にわたって圧力補正を確保するために、窒素でバックフラッシュした。その後、加熱マントルを使用して、器具を90℃まで加熱した。温度が約70℃に到達すると、1.8gの開始剤溶液を、よく攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみ検出した。反応温度は80℃で一定に保たれた。30分後、残りの1.7グラムの開始剤溶液を、シリンジを介して追加すると(後続の発熱状態は検出されなかった)、不透明な、低粘度の液体を生じた。
【0069】
インプロセス制御:4時間の総反応時間後、2gの反応溶液を器具から取り出し、計量したアルミ皿に乗せ、30分間180℃で、乾燥オーブン内で乾燥させた。ウェイ・イン=粘性のある白色エマルジョン溶液2.002g、ウェイ・アウト=乳白色の非粘着性ポリマー0.544g、固形分:27.17%(TS100%理論上の変換率:26.11%)=104.1%(反応時の溶媒の損失のため、変換はなかった)。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、数分以内に膨張し、分離した。耐久性は不十分であるように見えた。pH=8.1。
【0070】
触媒のストック溶液を用いた架橋試験:2gの反応溶液を、計量したアルミ皿に乗せ、7gの水で希釈した。1gの触媒ストック溶液(50g/kg塩化マグネシウム×6HO+20g/kgL−(+)酒石酸)を添加し、混合物を30分間180℃の乾燥オーブン内で乾燥させ、白色の僅かに脆性なポリマーを得た。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、数分以内にポリマーは膨張した。ポリマーは、緩やかに架橋された。
【0071】
概要:mPEG1000メタクリラート(P−005)の代わりにmPEG350メタクリラートを用いたラジカル重合は、首尾よく進行した。とても良い膨張許容量を有するポリマーを、非常に短い時間内に合成することが可能であった。しかしながら、ポリマーの耐久性は、P−500よりも良いようには見えなかった。
ポリマー化合物P−011
【0072】
ポリマー化合物P−001を、P−010と同様に調製したが、耐久性を改善するために、前は3%であったがその代わりに、架橋剤として12%のN−(ブトキシメチル)アクリルアミドを使用した。
【表8】

【0073】
開始剤溶液及び器具は、P−008と同じであった。事前の均質化、合成及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。
【0074】
触媒のストック溶液を用いた架橋試験:2gの反応溶液を、計量したアルミ皿に乗せ、7gの水で希釈した。1gの触媒ストック溶液(50g/kg塩化マグネシウム×6HO+20g/kgL−(+)酒石酸)を添加し、混合物を30分間180℃の乾燥オーブン内で乾燥させ、白色の僅かに脆性なポリマーを得た。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、数分以内にポリマーは膨張した。目視観察によると、ポリマーは、非常に良い架橋を有しているように見えた。
ポリマー化合物 P−012
【0075】
P−012は、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)である。組成は、mPEG350を10%しか含んでいないこと、及び2−ヒドルキシエチルメタクリラート(HEMA)を30%しか含んでいないことを除き、P−010と同様である。溶液の重合化が実施されたため、乳化剤は使用しなかった。
【化6】


【表9】

【0076】
開始剤溶液及び器具は、P−008と同じであった。事前の均質化、合成及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、元の体積の数倍まで膨張し、塊で分離した。耐久性は改善したようだった。
【0077】
触媒のストック溶液を用いた架橋試験:P−011と同様に、白色の僅かに脆性のポリマーを得た。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、数分以内にポリマーは膨張した。高いHEMA分画の結果として、その極端なもろさのために、ポリマーは十分な耐久性を有していなかった。
ポリマー化合物 P−013
【0078】
P−013はP−012と同様に、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)である。更に、架橋剤を12%まで増加させた。膨張許容量及び架橋性を、再び調査した。P−012と比較して、乳化剤は再び使用した。
【表10】

【0079】
開始剤溶液及び器具は、P−008と同じであった。事前の均質化、合成、及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。反応溶液は、重合の経過とともにますます粘性になった。攪拌機が停止し、非常に粘着性のゲルが形成された。反応が終了した。
【0080】
概要:P−012と比較して、3%から12%へ架橋剤成分を増加させることによって、非常に粘着性で攪拌不可能なゲルが生成する方法で、反応溶液の粘性が増加した。試験は、乳化剤を使用せずに行う、即ち、溶液重合を行った。
ポリマー化合物 P−014
【0081】
P−014は、乳化剤を含まないことを除いて、P−013に対応していた。出発プロダクト溶液:P−013と同じだが乳化剤を除く(Disponil AFX1080、ドデシル硫酸ナトリウム)。開始剤溶液及び器具は、P−008と同様であった。事前の均質化、合成及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。反応溶液は、重合の経過とともにますます粘性になった。攪拌器が停止し、非常に粘着性のあるゲルが形成した。反応は終了した。
【0082】
概要:出発プロダクト溶液:P−013と同じであるが、乳化剤を除く(Disponil AFX1080、ドデシル硫酸ナトリウム)。開始剤溶液及び器具は、P−008と同様であった。事前の均質化、合成及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーはゆっくりと膨張し、分離した。脆性ポリマーはバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0083】
触媒のストック溶液を用いた架橋試験:P−011と同様に、白色の非粘着性のポリマーが生じた。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは膨張し分離した。粒状(脆性)ポリマーがバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0084】
概要:P−013及びP−014と比較して、ポリマーは、水を用いて1:2で開始剤生成物溶液を希釈する反応の間に、容易にゲルを形成することを阻止された。
【0085】
ポリマー化合物 P−016
P−016は、P−015に基づく。合成を最適化するために、AMPSナトリウム塩を直接スルホン酸モノマーの代わりに使用した。従って、必要でなければ、水酸化ナトリウムを用いた出発プロダクト溶液の中和を省略することが可能であった。
【表11】

【0086】
開始剤溶液及び器具は、P−008と同じであった。事前の均質化、合成、及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーはゆっくりと膨張し、分離した。脆性ポリマーはバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0087】
触媒のストック溶液を用いた架橋試験:P−011と同様、白色の非粘着性のポリマーが生じた。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは膨張し、分離した。粒状(脆性)ポリマーがバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0088】
概要:P−016の変換及び特性は、P−015と対応していた。従って、非常に酸性のAMPS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)を使用せずに済ますことが可能であり、この反応にはこれまで常に重合の前に水酸化ナトリウムで中和を必要としてきた。AMPSナトリウム塩との交換は非常に労力のレベルを減少させるだけでなく、高腐食性、刺激性のAMPSを用いないことによって、労働者の健康保護を考慮する。
【0089】
ポリマー化合物 P−017
P−017は、開始剤としてV−50を用いること、及び70℃の反応温度を除いて、P−016の繰り返しである。
【表12】

【0090】
開始剤溶液の1/10が使用され、それは、モノマー及び架橋剤に対して1重量%V−50に相当する。
【0091】
出発プロダクト溶液は、P−016と同じであった。器具は、P−008と同じであった。事前の均質化、合成及びインプロセス管理は、P−010と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーはゆっくりと膨張し、分離した。脆性ポリマーはバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0092】
触媒のストック溶液を用いた架橋試験:P−011と同じであった。白色の非粘着性のポリマーが得られた。膨張挙動:水と僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは膨張し、分離した。粒状(脆性)ポリマーがバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0093】
概要:P−017の変換及び特性は、P−015及びP−016と対応していた。つまり、水への溶解度を高めるために水酸化ナトリウムと前述のV−501中和なしで済ますことが可能であったため、開始剤V−501(4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸)をV−50(2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩)と置換することによって、更に、重合化を最適化した。V−50は水に容易に溶解しないだけではなく、対応する温度での低い半減期もまた有する。従って、同じ変換において、重合化温度は、最初の90℃又は80℃から約70℃まで下げ得る。V−50のカチオン性の特徴が、重合化に明らかな悪影響を与えることは無い。
ポリマー化合物 P−018〜P026:0%架橋剤を使用した、mPEG350メタクリル酸及びHEMAの異なる画分を用いたスクリーニング
【0094】
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)ポリマー化合物の異なる変化形を、0%架橋剤を用いて試験した。
【0095】
充填プロセスの間、ポリマーのアニオン電荷が、カチオン性エマルジョンに接触できるようにするには、ドナー層は、水性環境において良い膨張許容量を有しなければならない。特に、洗濯機への適応には、良い短期膨張能力が重要である。膨張許容量は、耐久性と同様に、架橋率によって影響される。本発明によるポリマーの組成は、スクリーニング検査を用いて最適化する。P−017に基づいて、ポリマーは、以下の基本的組成を有していた:30重量%のナトリウム塩、30重量%の2−エチルヘキシルアクリラート、変数0〜40重量%のmPEG350メタクリラート及び40〜0重量%の2ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)。重合化は、V−50を開始剤として用いて、反応温度70℃で実行された。
【表13】


【表14】

【0096】
器具は、P−008と同じであった。事前の均質化は、P−010と同じであった。開始剤溶液、合成、及びインプロセス管理は、P−017と同じであった。固形成分は、全てのポリマーについて、12.3%〜16.5%の間であった。ポリマーは、乳白色(P−018)から金茶色(P−026)に変化した。ポリマーの脆性は、P−018〜P−026を通じて変化しなかった。ポリマーのいずれも、脆弱であった。ポリマーの粘着性は、僅かに粘着性(P−018)から粘着性(P−026)まで変化した。ポリマーの膨張許容量の明らかな傾向は、視認されなかった。HEMA画分(P−018)が高い程、ポリマーの表面全体にわたる膨張は大きく、一方、より高いmPEG350メタクリル酸画分を含むポリマー(P−026)は、膨張がポリマー表面の端から生じた。耐久性は、全てのポリマーについて大変弱かった(0%架橋剤)。しかしながら、いくつかのポリマーは、一緒に保持され、いくらかは良いようであった。これは、mPEG350ジメタクリラートの不純物が原因である可能性があり、これは、常にmPEG350メタクリラートモノマーの副産物として存在する。
【0097】
膨張挙動:アルミ皿内(インプロセス管理)の乾燥したポリマーは、脱イオンされていない水で覆われており、室温で24時間保管した。膨張したポリマーは、次に、風袋フィルターシリンジ(フィルタとして使用されるプラスチック製のメッシュを有するプラスチック注射器)を介して2分間、1000rpmで遠心分離し、従って、上清水を分離する。ポリマーの湿重量は、フィルターシリンジを再秤量することによって決定した。
【0098】
概要:ラジカル重合は、正常に進んだ。反応の間の溶媒の損失のために、各場合の固形成分(インプロセス管理)は、理論的に可能な変換よりも高かった。この理由のために、画反応溶液は、続いて、水を用いて12.0%のポリマー濃度まで希釈した。従って、非常に短い時間で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成し得た。P−018〜P−026系列の耐久性のスクリーニング特性は、ポリマーは0%のNBMA架橋剤を含んでいたため、予期した通りに、非常に良くなかった。従って、P−018スクリーニング系列において遠心分離によって膨張率を決定することは、0%NBMAを含むポリマーは架橋可能ではなく、乾燥オーブンで(インプロセス制御)未定義の方法でのみ架橋可能であり、したがって、フィルターシリンジの適合性は異なっていたため、特に意味は無かった。それにもかかわらず、膨張率の決定は、約800%の膨張許容量を示しており、幾つかのポリマーにとってより高かった。
P−027〜P035:5%架橋剤を使用した、mPEG350メタクリル酸及びHEMAの異なる画分を用いたスクリーニング
【0099】
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)ポリマー化合物の異なる変化形を、5%の架橋剤を用いて試験した。
【0100】
P−017に基づいて、ポリマーは、以下の基本的組成を有していた:30重量%のAMPSナトリウム塩、5重量%のNBMA架橋剤、25重量%の2−エチルヘキシルアクリラート、変数0〜40重量%のmPEG350メタクリラート及び40〜0重量%の2ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)。重合化は、V−50を開始剤として用いて、反応温度70℃で実行された。
【表15】


【表16】

【0101】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−018〜P−026と同様であった。固形成分は、全てのポリマーについて、12.5%及び16.5%の間であった。ポリマーは、薄い金茶色(P−027)から金茶色(P−035)まで変化した。ポリマーの脆弱性は、非常に僅かに脆い(P−027)から非脆弱(P−035)まで変化した。ポリマーの粘着性は、非常に僅かに粘着性(P−027)から僅かに粘着性(P−035)まで変化した。ポリマーの膨張許容量についての明らかな傾向は、視認できなかった。HEMA画分(P−027)が高い程、ポリマーの表面全体にわたる膨張は大きく、一方、より高いmPEG350メタクリル酸画分を含むポリマー(P−035)は、膨張がポリマー表面の端から生じた。
【0102】
概要:ラジカル重合は、正常に進んだ。室温で24時間後における、5%NBMA架橋剤を用いたスクリーニング系列P−027〜P−035の膨張率は、336%〜406%の間であった。
【0103】
P−036〜P044:10%架橋剤を使用した、mPEG350メタクリル酸及びHEMAの異なる画分を用いたスクリーニング
【0104】
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)ポリマー化合物の異なる変化形を、10%の架橋剤を用いて試験した。
【0105】
P−017に基づいて、ポリマーは、以下の基本的組成を有していた:30重量%のAMPSナトリウム塩、10重量%のNBMA架橋剤、20重量%の2−エチルヘキシルアクリラート、変数0〜40重量%のmPEG350メタクリラート及び40〜0重量%の2ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)。重合化は、V−50を開始剤として用いて、反応温度70℃で実行された。
【表17】


【表18】

【0106】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−018〜P−026と同様であった。固形成分は、全てのポリマーについて、12.2%及び14.3%の間であった。ポリマーは、薄い金茶色(P−036)から金茶色(P−044)まで変化した。ポリマーの脆弱性は、僅かに脆い(P−036)から非脆弱(P−044)まで変化した。ポリマーの粘着性は、P−036からP−044まで変化しなかった。いずれのポリマーも粘着性ではなかった。ポリマーの膨張許容量についての明らかな傾向は、視認できなかった。HEMA画分が高い(P−036)程、ポリマーの表面全体にわたる膨張は大きく、一方、より高いmPEG350メタクリル酸画分を含むポリマー(P−044)は、膨張がポリマー表面の端から生じた。
【0107】
概要:ラジカル重合は、正常に進んだ。室温で24時間後における、10%NBMA架橋剤を用いたスクリーニング系列P−036〜P−044の膨張率は、224%〜278%の間であった。
P−045〜P053:15%架橋剤を使用した、mPEG350メタクリル酸及びHEMAの異なる画分を用いたスクリーニング
【0108】
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−2−ヒドロキシエチルメタクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)ポリマー化合物の異なる変化形を、15%の架橋剤を用いて試験した。
【0109】
P−017に基づいて、ポリマーは、以下の基本的組成を有していた:30重量%のAMPSナトリウム塩、15重量%のNBMA架橋剤、15重量%の2−エチルヘキシルアクリラート、変数0〜40重量%のmPEG350メタクリラート及び40〜0重量%の2―ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)。重合化は、V−50を開始剤として用いて、反応温度70℃で実行された。
【表19】


【表20】

【0110】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−018〜P−026と同様であった。固形成分は、全てのポリマーについて、12.6%及び17.0%の間であった。ポリマーは、薄い金茶色(P−045)から金茶色(P−053)まで変化した。ポリマーの脆弱性は、脆い(P−045)から僅かに脆い(P−053)まで変化した。ポリマーの粘着性は、P−045からP−053まで変化しなかった。いずれのポリマーも粘着性ではなかった。ポリマーの膨張許容量についての明らかな傾向は、視認できなかった。HEMA画分が高い(P−045)程、ポリマーの表面全体にわたる膨張は大きく、一方、より高いmPEG350メタクリル酸画分を含むポリマー(P−053)は、膨張がポリマー表面の端から生じた。
【0111】
概要:ラジカル重合は、正常に進んだ。室温で24時間後における、15%NBMA架橋剤を用いたスクリーニング系列P−045〜P−053の膨張率は、201%〜269%の間であった。
ポリマー化合物 P−054
【0112】
P−018〜P−053のスクリーニング試験を、mPEG350メタクリラート及び2−ヒトロキシエチルメタクリラート(HEMA)の含有量を様々に変更し、またNBMA架橋剤の異なる含有量を用いて行い、全てのポリマーについて良い膨張許容量を得た。ポリマーを含浸させたPAファブリックの洗浄耐久性は非常に不満足であったが、約80%の耐久性における損失は、スクリーニング全体にわたって一定であった。これは、0%NBMA架橋剤(非常に悪い耐久性)を除いて、NBMA架橋剤の含有量5%、10%、及び15%と無関係であった。
【0113】
驚くべきことに、しかしながら、30%及び35%のmPEG350メタクリラート並びに、10%及び5%の2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)を含有するポリマーはそれぞれ、10%の架橋剤濃度まで、アニオン電荷に最適なアクセシビリティを有していた。これは、架橋剤分子は、HEMAと架橋することができるので、HEMA含有量が高い程、ネットワーク密度が増加するためである。
【0114】
化合物P−042に基づいて、重合化は、1%NBMA架橋剤のみを用いて反復した。目的は、特定の洗濯耐久性が、予想に反して、5%、10%、及び15%NBMA架橋剤を使用したスクリーニング試験よりも良いかどうかを調査することであった。予備試験では、出発プロダクト溶液を水で1:2に希釈すると、3.0%のDisponi AFX1080及び0.5%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いても除去することができない、相分離が生じた。従って、重合化は希釈せずに行った。
【表21】

【0115】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−018〜P−026と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。
【0116】
概要:1%NBMA架橋剤のみを用いたラジカル重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後、変換は99.0%であった。その後の仕上げの試験を簡素化するために、反応溶液を、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することが可能であった。ポリマーは、粗い断片でばらばらになったが、目視観察によると耐久性が向上した。
ポリマー化合物 P−055
【0117】
化合物P−042に基づいて、NMA架橋モノマー(N−(メチロール)アクリルアミド)を、疲労骨折を減らすことで層の耐久性を向上する目的で、膨張の間のドナー層の弾性を改善するために、N−(ブトキシメチル)アクリルアミドの代わりに、本試験の架橋剤として使用した。重合化はシュレンク管内で、反応温度70℃で、開始剤としてV−50を使用して実行した。実際の耐久性を評価できるようにするために、NMAは、NBMAの相対モル量で使用した(P−042)。予備試験は、出発プロダクト溶液を水で1:2に希釈すると、3.0%のDisponi AFX1080及び0.5%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いても除去することができない、相分離が生じた。従って、重合化は希釈せずに行った。
【表22】

【0118】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。
【0119】
概要:N−(ブトキシメチル)アクリルアミド(NBMA)の代わりに、NMA架橋性モノマー(N−(メチロール)アクリルアミド)を用いたラジカル重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後、変換は99.0%であった。その後の仕上げの試験を簡素化するために、反応溶液を、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することが可能であった。
ポリマー化合物 P−056
【0120】
化合物P−042に基づいて、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド(NBMA)の代わりに、グリシジルメタクリラート(GMA)架橋性モノマーを、疲労骨折を減らすことで層の耐久性を向上する目的で、膨張の間のドナー層の弾性を改善するために、本試験の架橋剤として使用した。実際の耐久性を評価できるようにするために、NMAは、NBMAの相対モル量で使用した(P−042)。
【表23】

【0121】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。
【0122】
概要:GMAを用いたラジカル重合は、正常に進んだ。その後の仕上げの試験を簡素化するために、反応溶液を、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することが可能であった。
ポリマー化合物 P−057
【0123】
化合物P−042に基づいて、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド(NBMA)の代わりに、p−EMKO−TDI−o−HEMA架橋性モノマーを使用した。p−EMKO−TDI−o−HEMAは、架橋剤NBMA、NMA及びGMAよりも長い鎖を有する。膨張の間のドナー層の弾性は、架橋後にポリマー鎖間の距離がより大きくなったため、増加した。その目的は、従って、膨張の間の疲労骨折を減少させ、それによって層の耐久性を向上させることであった。実際の耐久性を評価できるようにするために、架橋剤モノマーは、NBMAの相対モル量で使用した(P−042)。予備試験は、希釈していない重合化については、ゲル形成が生じることを示した。単相の出発プロダクト溶液を得ながら、この現象を避ける為に、出発プロダクト溶液を、水の代わりに2−プロパノールを用いて1:2で希釈した。開始剤溶液を、大きな損失なしで、反応率を維持するために、希釈せずに使用した。
【化7】


【表24】

【0124】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。
【0125】
架橋性モノマーの合成:2,4−トルイレンジイソシアネートの2個のイソシアネート基の反応性の違いは、架橋性モノマーのための経路を提供し、第1の反応ステップでは、EMKO保護基を用いて、p−位のイソシアネート基を選択的にブロックし、次に、第2の反応ステップでは、残りのイソシアネート基をラジカル重合した2−ヒドロキシルメタクリラートユニットと反応させる。ステップ1からのp−EMKO−TDI付加が「オイルアウト」せずに、その代わりに、針状結晶が析出するように、溶媒として乾燥ヘプタンを使用することが絶対に必要である。従って、2,4−TDIの第2のNCO基もまた、EMKOと反応できないように(NMRによる選択率>93%)、モノ付加体は、反応から除去する。HEMAのOH基の反応率を向上させるために、DABCOを触媒として使用する必要がある(OH基は、アミンより約4000倍低い求核性である)。参考文献:Duschek,G.K.,Partially fluorinated and reactive ポリマーs for the oil−repellent surface modification of cotton and cellulose,Dissertation,University of Ulm,1997,64 69/178。
【化8】

【0126】
概要:p−EMKO−TDI−o−HEMA架橋性モノマーを使用したラジカル重合は、正常に進んだ。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することが可能であった。
ポリマー化合物 P−058
【0127】
化合物P−042に基づいて、NBMAの代わりに、EMKO−2−(N−(tert−ブチル){[(3−イソシアナート1−3,5,5−トリメチルフェニル)メチル]アミノ}カルボニル)エチルメタクリラートを架橋性モノマーとして使用した。EMKO−2−(N−(tert−ブチル){[(3−イソシアナート1−3,5,5−トリメチルフェニル)メチル]アミノ}カルボニル)エチルメタクリラートは、架橋剤NBMA、NMA及びGMAよりも長い鎖を有する。膨張の間のドナー層の弾性は、架橋後にポリマー鎖間の距離がより大きくなったため、増加した。その目的は、従って、膨張の間の疲労骨折を減少させ、それによって層の耐久性を向上させることであった。実際の耐久性を評価できるようにするために、架橋剤モノマーは、NBMAの相対モル量で使用した(P−042)。予備試験は、希釈していない重合化については、ゲル形成が生じることを示した。単相の出発プロダクト溶液を得ながら、この現象を避ける為に、出発プロダクト溶液を、水の代わりに2−プロパノールを用いて1:2で希釈した。開始剤溶液を、大きな損失なしで、反応率を維持するために、希釈せずに使用した。
【化9】


【表25】

【0128】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。
【0129】
架橋性モノマーの合成:イソホロンジイソシアネートの2個のイソシアネート基の反応性の違いは、N−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリラートと反応させることにより、第1の反応ステップにおいて、利用した。最大反応温度は、選択率を維持するために30℃に保持した(より高い温度では、他のNCO基の反応率が増加する)。第2の反応ステップにおいて、残りのイソシアネート基を、架橋がクランプ枠で実施されている間の乾燥中に、水性浴との早すぎる反応を避けるために、エチルメチルケトオキシム(EMKO)を使用してブロックした。従って、唯一縮合中が、架橋反応のために、保護されたイソシアネートがブロック解除され、放出される。アミン(N−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリラート)はOH基に比べ約4000倍以上の求核性であるため、触媒の使用は、この合成において省略し得る(p−EMKO−TDI−o−HEMAの合成におけるステップ2参照)。微量の触媒を避け得るので、これは一般的に、後続の水性ポリマー分散液の貯蔵安定性を増加させる。反応はまた、実質的に行われる、即ち、溶媒不在下で、これはさらに全体的な合成と仕上げ処理を簡素化する。参考文献:Degussa AG − Coatings & Colorants, VESTANAT IPDI − Properties & Handling, product information sheet 43.01.062d/02.06/500/jd/g3, 2009, 1−16; Knebel, J., Breiner, C., Schmitt, B., ”Novel ポリマーizable isocyanate and ポリマーs containing said isocyanate” , WO 2009/024493 A2.
【化10】

【0130】
概要:EMKOアルケニルイソシアネート架橋モノマーを用いた、架橋剤スクリーニングのためのラジカル重合は、正常に進んだ。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することが可能であった。
ポリマー化合物 P−059
【0131】
mPEGのメタクリル酸は、n=3のエチレンオキシド単位のブレークでの水の吸収および伸長との間の最適なバランスを有する。化合物P−059は、親水性モノマーとして、mPEG350メタクリラート(n=8)の代わりにエチルトリグリコールメタクリラート(ETMA)を使用することによって、P−042と同様に調製した。
【0132】
エチルトリグリコールメタクリラート(ETMA)は、メチルトリグリコールメタクリラートに対して、大量に市販されているという利点を有する。参考文献:Kumakura, M., Kaetsu, I., Physical characterization and molecular structure of hydrophilic polymers obtained by radiation cast−polymerization of methoxypolyethylene glycol methacrylate monomers for biomedical applications, Journal of Materials Science (18), 1983, 2430−2436。
【化11】


【表26】

【0133】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に膨張し、分離した。粒状(脆性)ポリマーがバラバラであり、耐久性は乏しかった。
【0134】
概要:親水性モノマーとしてmPEG350メタクリラートの代わりに、エチルトリグリコールメタクリラート(ETMA)を使用するラジカル重合は、正常に進んだ。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−060
【0135】
化合物P−042に基づいて、試験を、リチウムイオンとAMPSのナトリウム対イオンを交換するために実施した。これは、ナトリウム対イオンは結晶性ポリマーの脆性を向上させ、従って、ポリマーの弾性を減少させているという、仮定に基づいていた。この目的のために、AMPSナトリウム塩を純粋なAMPSと置換し、それを水酸化リチウムで中和した。その目的は、より小さく、且つ、より可動性のリチウム対イオンの結果として、水による膨張時の脆さが減少するかどうかを調査することであり、積極的に洗濯耐久性に影響を与えることを目的とする。重合化は、希釈せずに実行された。
【0136】
AMPS中和を実行する場合、AMPSは高温で自家重合する傾向があり、また、塩基はアクリラートモノマーでマイケル付加を開始し得るため、一般に、中和は冷却しながら(<10℃)行わなければならないことに注意することが重要である。同じ理由で、pH<7.0では自家重合が好まれ、pH>7.5ではマイケル付加が好まれるため、7.0〜7.5のpH範囲を維持しなければならない。
【化12】


【表27】

【0137】
3gの水を提供した。次に、AMPSを攪拌しながら添加し、水酸化リチウム一水和物を用いて中和した。自家重合及びマイケル付加を避けるために、強い発熱中和反応を冷却浴を使用して、最大の反応温度10℃で保持した。最後に、溶液を残りの水で希釈し、10gのpH=7の溶液を得た。
【表28】

【0138】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に膨張し、分離した。ポリマーは小さな断片に分解し、耐久性は乏しいようだった。
【0139】
概要:AMPSナトリウムの代わりにAMPSリチウムを使用するラジカル重合は、正常に進んだ。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−061
【0140】
化合物P−042に基づいて、試験を、ナトリウム対イオンとAMPSのアンモニウムを交換するために実施した。この目的のために、純粋なAMPSを、アンモニウム対イオンを生成するために水酸化アンモニウムで中和した。
【表29】

【0141】
3gの水を提供した。次に、AMPSを攪拌しながら添加し、リチウムアンモニウムを用いて中和した。自家重合及びマイケル付加を避けるために、強い発熱中和反応を冷却浴を使用して、最大の反応温度10℃で保持した。最後に、溶液を残りの水で希釈し、10gのpH=7の溶液を得た。
【0142】
出発プロダクト溶液は、P−059と同じであり、AMPSリチウム溶液の代わりに、4.96gのアンモニウム溶液を使用した。器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に膨張し、分離した。ポリマーは粗い断片に分かれたが、耐久性は乏しいようだった。
【0143】
概要:AMPSナトリウムの代わりに、AMPSアンモニウムを使用したラジカル重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後、変換は99.5%であった。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−062
【0144】
化合物P−042に基づいて、試験を、ナトリウム対イオンとAMPSのアンモニウムを交換するために実施した。この目的のために、純粋なAMPSを、リチウム、ナトリウム及びアンモニウム対イオンに対して、トリエチルアンモニウムの比較的多量のエチル基の影響を調査するために、トリエチルアミンで中和した。
【表30】

【0145】
3gの水を提供した。次に、AMPSを攪拌しながら添加し、トリエチルアミンを用いて中和した。自家重合及びマイケル付加を避けるために、強い発熱中和反応を、冷却浴を使用して、最大の反応温度10℃で保持した。最後に、溶液を残りの水で希釈し、10gのpH=7の溶液を得た。
【0146】
出発プロダクト溶液は、P−059と同じであり、AMPSリチウム溶液の代わりに、4.96gのAMPSトリエチルアンモニウムを使用した。器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に膨張し、分離した。ポリマーは粗い断片に分かれたが、耐久性は乏しいようだった。
【0147】
概要:AMPSナトリウムの代わりに、AMPSトリエチルアンモニウムを使用した、ラジカル重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後、変換は93.0%であった。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−063
【0148】
化合物P−042に基づいて、試験を、AMPSのナトリウム対イオンを1−メチルイミダゾリウムイオンへ交換するために実施した。この目的のために、純粋なAMPSを、1−メチルイミダゾリウム対イオンを生成するために、1−メチルイミダゾールで中和した。
【表31】

【0149】
3gの水を提供した。次に、AMPSを攪拌しながら添加し、トリエチルアミンを用いて中和した。自家重合及びマイケル付加を避けるために、強い発熱中和反応を、冷却浴を使用して、最大の反応温度10℃で保持した。最後に、溶液を残りの水で希釈し、10gのpH=7の溶液を得た。
【0150】
出発プロダクト溶液は、P−059と同じであり、AMPSリチウム溶液の代わりに、4.96gのAMPS1−メチルイミダゾリウムを使用した。器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に膨張し、分離した。ポリマーは粗い断片に分かれたが、耐久性は乏しいようだった。
【0151】
概要:AMPSナトリウムの代わりに、AMPS1−メチルイミダゾリウムを使用した、ラジカル重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後、変換は93.2%であった。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−064
【0152】
化合物P−042に基づいて、試験を、AMPSのNa対イオンを4−メチルモルホリニウムイオンへ交換するために実施した。この目的のために、純粋なAMPSを、1−メチルイミダゾリウム対イオンを生成するために、4−メチルモルホリンで中和した。
【表32】

【0153】
3gの水を提供した。次に、AMPSを攪拌しながら添加し、トリエチルアミンを用いて中和した。自家重合及びマイケル付加を避けるために、強い発熱中和反応を、冷却浴を使用して、最大の反応温度10℃で保持した。最後に、溶液を残りの水で希釈し、10gのpH=7の溶液を得た。
【0154】
出発プロダクト溶液は、P−059と同じであり、AMPSリチウム溶液の代わりに、4.96gのAMPS4−メチルモルホリンを使用した。器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。開始剤溶液は、P−017と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に膨張し、分離した。ポリマーは粗い断片に分かれたが、耐久性は乏しいようだった。
【0155】
概要:AMPSナトリウムの代わりに、AMPS4−メチルモルホリンを使用した、ラジカル重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後、変換は92.7%であった。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−065
【0156】
組成物P−054に基づいて、重合化は、NBMA架橋剤の代わりに、1%N、N’−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAm)を用いて反復した。その目的は、水による膨張時の脆さが減少するかどうか調査することであり、積極的に洗濯耐久性に影響を与えることを目的とする。重合化は、希釈せずに実行された。
【化13】


【表33】

【0157】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは、ほとんど全て分離し、数分以内に皮膜を形成して膨張した。ポリマーは、粗い断片には分離しなかったが、目視観察によると、非常に良い架橋を有しているようだった。
【0158】
概要:1%のN,N’−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAm)を用いたラジカル重合は、正常に進んだ。しかしながら、2官能性N,N’−メチレンビスアクリルアミドのために、反応液の粘度は、重合化プロセスの間のネットワーク形成のために、増加した。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
ポリマー化合物 P−066
【0159】
組成物P−042に基づいて、重合化は、9%のNBMA架橋剤及び1%N、N’−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAm)を用いて反復した。その目的は、水による膨張時の脆さが減少するかどうか調査することであり、積極的に洗濯耐久性に影響を与えることを目的とする。重合化は、希釈せずに実行された。
【表34】

【0160】
器具、試験手順、合成、膨張試験などは、P−054と同様であった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは、数分以内に膨張し、分離した。ポリマーは、細かい断片に分離し、耐久性は非常に乏しいようだった。
【0161】
概要:架橋性モノマーとして9%のN−(ブトキシメチル)アクリルアミド及び1%のN,N’−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAm)を使用したラジカル重合は正常に進んだ。しかしながら、2官能性N,N’−メチレン−ビス−アクリルアミドのために、反応液の粘度は、重合化プロセスの間のネットワーク形成のために増加し、ゲル状溶液を得た。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
P−042スケールアップ No.1
【0162】
重合化を、1Lのガラス器具内において反応温度70℃で、開始剤としてV−50を使用して、30%がラジカル重合として、12%が試験P−042のような溶液重合としてではなく、実行した。更に、Disponil AFXとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、更に乳化剤として添加した。その目的は、P−042が乳化重合によって0.5kgスケールアップを簡単に調整できるかどうかを調べることである。
【表35】

【0163】
開始剤溶液は、P−017と同じであった。事前の均質化:出発プロダクト陽的(pH=5.7)を、高圧ホモジナイザへ600barで5回通過させ、エマルジョンを得た。器具:攪拌器付きの1Lの4首丸底フラスコ、還流冷却器、セプタム、及び温度センサ。還流冷却器上の停止コック付き排出ラインは、排出及び窒素を用いた洗浄に使用した。
【0164】
合成:455gの均質化した出発プロダクト溶液を装置内に配置し、加熱マントルを使用して70℃まで加熱した。温度が約60℃に到達すると、装置を排出し、大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素を用いて3回洗浄した。装置は、重合化全体にわたって圧力補正を確実にするために、窒素を用いて3回バックフラッシュを行った。25gの開始剤溶液を次に、良く攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみを検出した。反応温度は、70℃で一定に保った。約10分後、反応混合物は高粘度になり、その後、突然重合が完了した。全ての水は、形成したポリマーのバッチに吸収され、反応器中に固体(ゲル状のポリマーのブロック)が残った。30%のラジカル乳化重合は、濃縮され過ぎであった。
P−042スケールアップ No.2
【0165】
合成は、P−042スケールアップNo.1と同様に、しかし、15%ラジカル乳化重合として行った。開始剤溶液を、大きな損失無しに反応率を維持するために、2倍の濃度(半分のモノマーの量で、同じ開始剤溶液の量)を使用した。
【表36】

【0166】
開始剤溶液は、P−017と同じであった。事前の均質化及び器具は、P−042スケールアップNo.1と同じであった。
【0167】
合成:455gの均質化した出発プロダクト溶液を装置内に配置し、加熱マントルを使用して70℃まで加熱した。温度が約60℃に到達すると、装置を排出し、大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素を用いて3回洗浄した。装置は、重合化全体にわたって圧力補正を確実にするために、窒素を用いて3回バックフラッシュを行った。25gの開始剤溶液を次に、良く攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみを検出した。反応温度は、70℃で一定に保った。30分後、残りの27gの開始剤溶液を、シリンジを用いて添加した(その後の発熱条件は検出されなかった)。わずかに赤味がかった光沢を有するエマルジョンを得、反応全体の間、その上に約1〜2cmの発砲層が存在していた。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、数分以内に元の体積の数倍まで膨張し、分離した。耐久性は乏しいようだった。
【0168】
概要:4時間の反応後、変換率は91.7%のみであったが、0.5kgスケールアップとしての15%ラジカル乳化重合は、正常に進んだ。反応フラスコ上の凝結形成の不足は、おそらく、均質化の間の出発プロダクト溶液の損失のためであった(死体積)。光子相関分光法(PCS)による粒度分布の測定は、マルチ分散エマルジョン液滴の分布は、100nm(3.9体積%)、1094nm(92.2体積%)、及び4602nm(3.9体積%)の流体液滴の直径を有することを示している。その後の仕上げ試験を簡素化するために、反応溶液は、12.0%のポリマー濃度へ水を用いて希釈した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
P−044スケールアップ No.1
【0169】
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)の調製のための、P−044の0.5kgへのスケールアップ。
【0170】
以前のエマルジョン系は、特に安定していないので、代替案が求められていた。出発プロダクト溶液は、親水性及び疎水性モノマーだけではなく非イオン性界面活性剤及びイオン性モノマーを有する汎用性の高いモノマー系であり、以前攪拌しない系において、約10分後に相分離が生じた。上に浮いているモノマー相はバルク重合を受ける可能性があるので、これは、大きなスケールの反応器における重合化に問題を生じる可能性がある。この理由のために、予備試験は、以下の非イオン性乳化剤を用いて実施した:O13/30、Marlipal O13/50、Mulsifan RT110、Hostapur OS Liquid、Marlosol OL7及びMarlowet R 40。最も安定したエマルジョンは、3〜5%MarlowetR40を使用して得られた。これは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの添加が再び相分離をもたらしたことを示していた。従って、MarlowetR40は、唯一の乳化剤として使用した。しかしながら、この材料は、モノマーを最初に装置内に配置し、その後水を最後に添加した場合にのみ、安定したエマルジョンを形成する。対照的に、不安定なエマルジョンは、水を最初に添加し、その後乳化剤を添加する場合に生じる。
【0171】
重合化は、開始剤として1%V−50のみを使用し(P−042スケールアップNo.2では2%V−50を使用していた代わりに)、重合化を反応温度70℃で行ったことを除いて、P−042スケールアップNo.2に基づいて行った。モノマーAMPSNa2405を、AMPSNa2403の代わりに、生産のために使用した。AMPSNa2405は、アクリルアミド及びアクリロニトリル含有量が0.05%未満であるため、肌への適用だけではなく、食品へも認可されている。更に、重合化は、事前の均質化無しに行われ、また、仕上げ試験において細孔の結果を示していたので、P−044配合物(HEMA無し)を、主成分として使用した。その目的は、乳化重合によってP−044が0.5kgのスケールアップを容易に調製できるかどうかを調べることであった。
【表37】

【0172】
開始剤溶液は、P−017と同じであった。事前の均質化及び器具は、P−042スケールアップNo.1と同じであった。
【0173】
合成:97.5gモノマー、2.3gMarlowetR40、及び15.0gジプロピレングリコールを器具内に配置した。375.2gの水を注ぎに、集中的に攪拌しながらゆっくりと滴下し、従って、系を乳化した(白色エマルジョン)。モノマーエマルジョンを攪拌しながら加熱マントルを使用して70℃まで加熱した。温度が約60℃に到達すると、器具は排気し、大気酸素(阻害剤)を除去するために、窒素を用いて3回洗浄した。装置は、重合化全体にわたって圧力補正を確実にするために、窒素を用いて3回バックフラッシュを行った。5gの開始剤溶液を次に、良く攪拌しながら、シリンジを用いてセプタムを介して計量した。僅かな発熱状態のみを検出した。反応温度は、70℃で一定に保った。30分後、残りの5gの開始剤溶液を、シリンジを用いて添加し(後続の発熱条件が検出されなかった)、白色の粘性のエマルジョンを得た。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに添加すると、数分以内に元の体積の数倍に膨張し、分離した。耐久性は乏しいようだった。
【0174】
概要:0.5kgのスケールアップとしての、P−044の15%のラジカル乳化重合は、正常に進んだ。1%V−50を開始剤として使用した、4時間の反応時間後の変換率は、98.0%であった。新しい乳化剤系及び、事前均質化を行っていないにもかかわらず、再度、反応フラスコ上に凝固は形成されなかった。光子相関分光法(PCS)による粒度分布の決定は、単分散エマルジョンの液滴サイズは、1265nmの流体力学直径を有することを示した。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
P−067 スケールアップ
【0175】
P−044のスケールアップに基づいて、40%mPEG350メタクリラート及び20%の2−エチルヘキシルアクリラートを用いるというように、使用するモノマー画分を逆にした。ポリマーP−067は従って、以下の基本組成を有していた:30重量%のAMPSナトリウム塩、20重量%のmPEG350メタクリラート、40重量%の2−エチルヘキシルアクリラート、10重量%のNBMA架橋剤。
【0176】
従って、離脱試験において、ポリマードナー層の両親媒性の関数としての活性物質の脱離率を調査することが可能であった。活性物質が皮膚に送達されるのが早すぎる場合、ドナー層は、ドナー相はより親油性の設計を有していなければならず、活性物質の離脱が遅すぎる場合、ドナー層はより親水性の設計を有していなければならない。
【表38】

【0177】
開始剤溶液、事前の均質化、装置及び合成は、P−044スケールアップNo.1と同じであった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに注ぐと、ポリマーは数分以内に元の体積の数倍まで膨張し、僅かにのみ分離した。耐久性は良いようであった。
P−044 スケールアップ No.2
【0178】
ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−stat−2−エチルヘキシルアクリラートーstat−mPEG350メタクリル酸−stat−N−(ブトキシメチル)アクリルアミド)の調製のための、P−044の4.5kgへのスケールアップ。
【0179】
重合は、開始剤としてV−50を用いて、70℃の反応温度で6Lの四つ口丸底フラスコ内で実施した。粗い粒子が、事前の均質化しない場合、P−067のスケールアップの乳化重合で希釈した試料中に視覚的に検出されたので、本重合は、事前の均質化を行った。時間を節約するために、しかしながら、出発プロダクト溶液は、高温ホモジナイザへ、600baで3回のみ通過させた。その目的は、乳化重合によって、4.5kgのスケールアップとしてP−044を容易に調製できるかどうかを調べることであった。
【表39】

【0180】
開始剤溶液は、P−017と同じであった。装置:攪拌器を備えた6Lの4つ口丸底フラスコ、還流冷却器、250mLの圧力補正を備えたフィード漏斗、及び、温度センサ。還流冷却器上の停止コック付き排出ラインは、排出及び窒素を用いた洗浄に使用した。事前の均質化:出発プロダクト溶液(pH=6.1)を、600barで3回、高圧ホモジナイザへ通過させ、エマルジョンを得た。1gの事前に均質化させた出発プロダクト溶液を、19gの水を用いて、1:20に希釈した。粘性:0.98mPA秒。粒度分布(PCS測定):ピーク1:d(H)=1224nm、77.0体積%;ピーク2:d(H)=95nm 、23.0体積%;ピーク3: d(H):信号無し。
【0181】
合成:4400gの均質化された出発プロダクト溶液を装置に配置し、加熱マントルを用いて、70℃まで加熱した。100gの開始剤溶液を次に、装置のフィード漏斗に充填した。温度が約60℃に到達すると、装置を排気し、大気酸素(阻害剤)を除去するために窒素を用いて3回洗浄した。装置は、重合化全体にわたって圧力補正を確実にするために、窒素を用いて3回バックフラッシュを行った。50gの開始剤溶液を次に、良く攪拌しながら、フィード漏斗を介して計量した。反応溶液が80℃まで加熱されるという、発熱状態を検出した。この理由のために、加熱マントルの温度を、一時的によりよい冷却を確保するために下げた。反応温度は、70℃で一定に保った。30分後、残りの50gの開始剤溶液を添加し(後続の発熱条件が検出されなかった)、白色の粘性のエマルジョンを得、その上に発砲層が存在した。凝固は形成されなかった。膨張挙動:水を僅かに乾燥したポリマーに添加すると、数分以内に元の体積の数倍に膨張し、分離した。耐久性は乏しいようだった。
【0182】
概要:4.5kgのスケールアップとしての15%ラジカル乳化重合は、正常に進んだ。4時間の反応時間後の変換率は、97.6%であった。再度、凝固は反応フラスコ上で形成されなかった。光子相関分光法(PCS)による粒度分布の決定は、この結果はあまり正確ではなかったが、マルチ分散エマルジョン液滴の分布が、1126nm(92.3体積%)、202nm(4.9体積%)、及び5472nm(2.8体積%)の流体力学直径を有することを示した。その理由は、前述では600barで高圧ホモジナイザを5回通過させていた代わりに、3回しか通過させなかったことがあり得る。非常に短い時間内で、非常に良い膨張許容量を有するポリマーを合成することができた。
【0183】
適切な接合剤と一体化した、このセクションで説明した本発明に係るポリマー化合物の例は、織物上の洗濯耐久性仕上げを形成している。対応する方法は、次のセクションで説明する。P−044及びP−067が、ドナー層に著しい欠損無しに、60℃で50〜55分間、100回の洗濯に耐えられる織物仕上げを形成することができることが分かった。
【0184】
B.織物表面の仕上げ
本発明のポリマーを使用している繊維の仕上げならびに仕上げ層の効果的な有効表面電荷の耐久性を調査した。
テストシリーズ1
布地の仕上げ:100%ポリアミド(PA)布地を、各仕上げテストのために用いた(予め固定したシャルムーズ、単位面積あたり重量135g/m;Fussenegger TextilveredelungGmbH、AT 6850Dornbirn; Tricot製造業者:Huber TricotGmbH、AT‐6841Mader;製品番号11065)。浴バッチは200gポリマー/kg水浴、またはオプションとして、架橋触媒原液100g/kg浴であった。前述の触媒原液は、50gMgCl×6HO/kg原液および20gL‐(+)酒石酸/kg原液で構成された。仕上げはPA布地にポリマー分散物浴(ローラー圧力15バール、布地速度2m/分)を詰めることによって実行され、次いで乾燥し(循環温度100℃、3分)、仕上げを凝縮/固定した(循環温度150℃、5分)。
仕上げの耐久性:仕上げの耐久性は、ソックスレー抽出によって判定した。この目的のために、各場合において、仕上げを行った織物繊維の2サンプル、それぞれ12.5g、を3時間かけてメタノールによって抽出した。テストした異なる仕上げ変種の結果は、次の通りである:
【表40】

【0185】
仕上げ層の表面電荷
仕上げを行った布地サンプルの表面電荷は、電荷分析システム(CAS)を用いて、電荷滴定によって判定した(AFG AnalyticGmbH、Leipzig, DE; Model 番号 B390/B422/B490)。サンプル準備:硬化高級鋼製の25mL研磨カップ上のスクリュー中の20mm炭化タングステンボールを使用して、0.5gの繊維サンプルを196℃(液体窒素)にて30Hz(Retsch MM400ボールミル)で2×2分間研磨した。
表面電荷を判定するため、水4.8gをCASのポリテトラフルオロエチレン測定セルに載置し、0.2gの研磨サンプルを加えて混ぜ合せた。前記ポリテトラフルオロエチレン測定セルを、超音波浴中で2分間吊り下げた。メスフラスコは次いで測定セルに挿入され、電荷滴定がカチオン性高分子電解質溶液、0.001規定のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(polyDADMAC)、によって実行された。
【0186】
【表41】

【0187】
A‐001、A‐002: P‐002を使用した仕上げ層の耐久性は、良好であった。しかしながら、入手可能な負の表面電荷は不充分であった。仕上げ層は水分を吸収せず、その結果、有効で入手可能な表面電荷は改善されなかった。
【0188】
A‐003、A‐004:布地サンプルを仕上げて後、直ちに分析的に検出可能な表面電荷は、理論的に可能な33μmol/gサンプルと比較して、3.7μmol/gサンプルのみであった。しかしながら、1週間の保存期間の後、表面電荷は25μmol/gサンプルに増加し、4週間後には34μmol/gサンプルの表面電荷が完全に接触可能であった。A‐001およびA‐002と比較して、P‐004ポリマーの負のスルホン酸基は仕上げ層の膨張能力を促進する。しかしながら、この層は、より迅速な膨潤を有する筈である。仕上げ層の耐久性は予想された通り充分であり、酸触媒固着用触媒の使用は耐久性を改良した。
【0189】
A‐007:その迅速な膨張能力の結果として、ポリマーは仕上げ後に電荷担体の即時的な到達性を保証する。しかしながら、おそらく多量のmPEG1000メタクリラートモノマーのために、仕上げの耐久性は不充分であった。この場合、耐久性は架橋剤および固着パラメータに関する適切な最適化によって改善され得る。
【0190】
A‐008、A‐009: 表面電荷は織物製品を仕上げた後に完全には到達できなかったが、A‐009の耐久性はA‐007より良好であった。
親水性モノマーの留分を最適化することによって、本発明による仕上げ層の耐久性と仕上げ後の仕上げ層が水を吸収できる速度との間の妥協性が見出され、このように表面電荷を到達可能とする。
【0191】
テストシリーズ2
スクリーニングシリーズP‐018〜P‐053の様々なポリマー化合物を含む仕上げ水溶液を、布地の仕上げ用にテストした。この目的のために、PA布地は含浸バッチにおいて浸漬され、Foulard工程において押圧され、実験室乾燥機において乾燥され、濃縮された。ρ‐トルエンスルホン酸が架橋用の触媒として使われた。ポリマーの洗浄耐久性は、次いで電荷滴定(CAS)によって調査された。
【0192】
布地:100%ポリアミド(PA)布地を、各仕上げテストのために用いた(予め固定したシャルムーズ、単位面積あたり重量135g/m; Fussenegger TextilveredelungGmbH、AT 6850Dornbirn; Tricot製造業者:Huber TricotGmbH、AT‐6841Mader;製品番号11065)。
【0193】
仕上げ浴:各場合の水浴は、13.2gポリマー溶液および10.8g触媒液で構成した。ポリマー溶液は重合テストの反応水溶液と一致し、水で12.0%のポリマー濃度に薄められた(セクションA参照)。触媒液は、ρ−トルエンスルホン酸一水和物2.44g(98.5%、Fluka、M=190.22g/モル、MP = 103〜105℃)および水997.56gで構成した。
【0194】
仕上げ:反応水溶液(12.0%ポリマー留分に薄められた)は、ガラス皿中にて撹拌しながら触媒液で薄められた。結果浴において、各含浸バッチ6布地サンプル(11×11cmサイズに穿孔)は、特定の含浸水溶液に数分間浸漬されて、Foulard工程において1度に押圧された。乾燥重量と関連する液体ピックアップは57重量%および64重量%の間であり、それは平均して4重量%ポリマー塗布量に相当する。引き続き、乾燥(循環温度100℃、3分)、仕上げの凝縮/固定(循環温度150℃、5分)が続いた。
【0195】
仕上げの耐久性:仕上げの洗濯機耐久性をテストするために、各場合においてPA布地サンプルを半分に切って機械洗浄(MW)を行った。ポリエステルおよびポリアミドサンプル(合計量2kg)に加えて、仕上げした布地サンプルを含む洗濯バッグを市販の欧州家庭の洗濯機にかけた。ほぼ15gの洗剤(Perwollウールおよび精緻布地用界面活性剤)を主要な洗濯用に用いた。60℃(下着用)における50〜55分間の1機械洗浄の後、洗濯された布地サンプルを室温で空気乾燥し、標準化気候条件(20±2℃、相対湿度65±5%)で少なくとも24時間保管した。
【0196】
仕上げ層の表面電荷:電荷分析システム(CAS)を用いたサンプル準備および電荷滴定は、テストシリーズ1と同一であった。残留塗布量は、未処置の布地用のブランク値を減じた後の滴定水溶液の消費量に基づいて判定した。
【0197】
【表42】

【0198】
テストシリーズ3
テストシリーズ2と同一のテスト手順を用い、架橋剤スクリーニングP‐054〜P‐059のポリマー溶液を用いて様々な仕上げ水溶液の洗濯耐久性をテストした。
【0199】
【表43】

【0200】
概要:異なる架橋剤(各場合において使用した1%NBMAの等モル量基準の架橋剤含有量)を用いたスクリーニングシリーズA‐054〜A‐059における高分子電解質消費量は、非洗濯状態における異なる電荷到達性を示した。しかしながら、洗濯された布地サンプル(60℃で50〜55分の1機械洗浄)用のポリDADMAC消費量は、全層用の1mLの0.001規定ポリDADMACの範囲であった。異なる架橋剤を用いることによっても、またはmPEG350メタクリラートをメタクリル酸エチルトリグリコール(A‐059)と交換することによっても、洗濯機耐久性におけるいかなる改善も達成できなかった。
【0201】
テストシリーズ4
テストシリーズ2と同一のテスト手順を用い、対イオンスクリーニングP‐060〜P‐064のポリマー溶液を用いて様々な仕上げ水溶液の洗濯耐久性をテストした。1および5機械洗浄後の耐久性をテストした。
【0202】
【表44】

【0203】
概要:異なるAMPS対イオンを用いたスクリーニングシリーズA‐060〜A‐064における高分子電解質消費量は、非洗濯状態の消費量が0.001規定ポリDADMACほぼ8.5mLであったAMPSリチウムを用いたA‐060を除いては、0.001規定ポリDADMACの2mLおよび4mLの間であった。相対的な電荷耐久性の値は、ドナー層の低膨張能力の故に増加した。洗濯された布地サンプル(60℃で50〜55分の1および5機械洗浄)用のポリDADMAC消費量は、スクリーニングシリーズA‐027〜A‐053と同一の範囲であり、電荷到達性に関して同様にいかなる大改善も判定できなかった。
【0204】
テストシリーズ5
テストシリーズ2と同一のテスト手順を用い、1および5機械洗浄の後、を用いて様々な仕上げ水溶液の洗濯耐久性をテストした。
テスト用として、バインダシステムとしてのアルキル改質メラミン/ホルムアルデヒド誘導体(KnittexCHN)と組み合わせたポリウレタン分散体(Lamethan NKS−AF)と共に、本発明による仕上げ剤配合物をテストした。一方、このように更にドナー層の層耐久性を増やすことが可能であり、他方、本発明によるポリマー化合物が他のポリマーと混合可能であり、架橋可能であることは明示できる。
【0205】
仕上げ浴A‐065、A‐066:テストシリーズ2と同一。仕上げ浴A‐067:水性浴は、13.2gのポリマー溶液、2.6gのDicrylanPGS(7753)(60%、ErbaAG、d = 1.10g/mL)、0.2gのKnittex CHN(ErbaAG d =1.18g/mL)および8.0gの触媒液で構成した。仕上げ浴A‐068:水性浴は、13.2gポリマー溶液、3.3gのLamethanNKS−AF(48%、CHT R. Beitlich GmbH、d = 1.0g/mL)、0.2gKnittexCHN、7.2gの触媒液およびρ−トルエンスルホン酸一水和物0.1gで構成した。ポリマー溶液は重合テストの反応水溶液と一致し、水で12.0%のポリマー濃度に薄められた(セクションA参照)。触媒液は、テストシリーズ2と同一であった。
【0206】
【表45】

【0207】
概要:非洗濯状態のA‐065〜A‐068テストの高分子電解質消費量は、ほぼ5mL0.001規定ポリDADMACであった。架橋剤としてN,N’‐メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAm)を用い、洗濯した布地サンプルA‐065(60℃で50〜55分の1機械洗浄)用のポリDADMAC消費量は、ほぼ0.4mL0.001規定ポリDADMACであり、スクリーニングシリーズA‐018〜A‐026の範囲であった。しかしながら、前記NBMA架橋剤をMBAm(A‐066)と組み合わせたとき、洗濯した織物用のポリDADMAC消費量はちょうど3.5mL0.001規定ポリDADMAC未満まで初めて増加した。69%の相対的電荷耐久性もまた良好であった。しかしながら、この値は、5機械洗浄後に27%まで落下した。ポリマーをDicrylan PGS/Knittex CHN(A‐067)およびLamethan NKS‐AF/Knittex CHN(A−068)バインダシリーズと組み合わせることによって、5回洗濯の後でさえ、相対的電荷耐久性は維持できよう。
【0208】
テストシリーズ6
テストシリーズ5と同一のテスト手順を用い、様々な仕上げ水溶液について1および5機械洗浄後の洗浄耐久性をテストした。ドナー層のホルムアルデヒドを避けるために、オキシム遮断ポリイソシアネート架橋剤(PhobolXAN)がホルムアルデヒド含有Knittex CHN架橋剤の代わりに使用された。
【0209】
仕上げ浴A‐069:水性浴は、13.2gのポリマー溶液、2.6gのDicrylan PGS(7753)(60%、ErbaAG、d = 1.10g/mL)、0.2gのPhobol XAN(ErbaAG d =1.03〜1.18g/mL)および8.0gの触媒液で構成した。仕上げ浴A−070:水性浴は、13.2gポリマー溶液、3.3gのLamethan NKS−AF(48%、CHT R. Beitlich GmbH、d = 1.0g/mL)、0.2gPhobol XAN、7.2gの触媒液およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.1gで構成した。
【0210】
【表46】

【0211】
概要:テストA‐069およびA‐070は、Knittex CHN架橋剤がホルムアルデヒドのないポリイソシアネート架橋剤Phobol XANと問題無く取り替えられることを示した。
【0212】
テストシリーズ7
テストシリーズ5と同一のテスト手順を用い、様々な仕上げ水溶液について洗浄耐久性をテストした。層の膨張能力と、つまり電荷到達性を増加するために、付加ポリマーの留分を縮減した。
【0213】
仕上げ浴A‐071:水性浴は、79.2gのポリマー溶液、7.8gのDicrylan PGS(7753)、1.2gのPhobol XANおよび55.8gの触媒液で構成した。A‐072:水性浴は、79.2gのポリマー溶液、9.9gのLamethan NKS‐AF、1.2gのPhobol XAN、53.3gの触媒液および0.4gのρ‐トルエンスルホン酸一水和物で構成した。A‐071:水性浴は、13.2gのポリマー溶液、0.7gのDicrylan PGS(7753)、0.2gのPhobol XANおよび9.9gの触媒液で構成した。A‐074:水性浴は、13.2gのポリマー溶液、0.8gのLamethan NKS‐AF、0.2gのPhobol XAN、9.7gの触媒液および0.1gのρ‐トルエンスルホン酸一水和物で構成した。A−075:水性浴は、13.2gのポリマー溶液、0.2gのPhobol XANおよび10.6gの触媒液で構成した。
【0214】
【表47】

【0215】
概要:A‐071では、Dicrylan PGS含有量は、層の膨張能力と、つまり電荷到達性を増加するためにA‐069のDicrylan PGS含有量の半分に縮減した。その結果、非洗濯布地サンプル用の高分子電解質消費量は9mL 0.001規定ポリDADMACまで増加した。同様に洗濯した布地サンプル(60℃で50〜55分の1および5機械洗浄)用のポリDADMAC消費量をほぼ5mL 0.001規定ポリDADMACに増加することが可能であり、結果として53%の相対的電荷耐久性になった。25及び50機械洗浄後にのみ、相対的な電荷耐久性のそれぞれ26%及び18%の減退が起こった。Lamethan NKS−AFの含有量はA‐072について同様に減少し、結果としてA‐071と同等の耐久性になった。A‐073では、Dicrylan PGSを当初使用した量の4分の1に縮減することでは、決定した層パラメータの大きな改善には結果としてならなかった。A‐074では、Lamethan NKS‐AFの含有量を当初使用した量の4分の1に縮減することで、結果としてA‐072と同等の耐久性になった。興味深いのは、A‐075では、Dicrylan PGSまたはLamethan NKS‐AFを使用せずにNBMA架橋剤を1%Phobol XANと共に本発明のポリマーに組み込んで使用することで、テストA‐071〜A‐074での耐久性と同等の耐久性達成が可能であると判断されたことである。
【0216】
テストシリーズ8
テストシリーズ5と同一のテスト手順を用い、様々な仕上げ水溶液について洗浄耐久性をテストした。
更に本発明の仕上げ剤配合物の組成を最適化するために、A‐072に基づいてDicrylan PGSの代わりにLamethan NKS‐AFを用いて更なるテストが実施された。Lamethan NKS‐AFおよびDicrylan PGSが前記テストにて同等の洗浄耐久性を示したものの、Lamethan NKS‐AFは低価格で、より弾性があり、良好な、すなわち、より楽しい触覚(感覚)を有する。他方、Dicrylan PGSは、その高加水分解耐性で知られている。
【0217】
仕上げ浴:各場合における水性浴は、13.2gのポリマー溶液、1.7gのLamethan NKS‐AF、0.2gのPhobol XAN、8.8gの触媒液および0.1gのρ−トルエンスルホン酸一水和物で構成した。
【0218】
【表48】

【0219】
テストA‐072に基づいて、メタクリル酸mPEG 350はA‐076用に省かれたが、40%HEMAが使われた。対照的に、A‐077では40%メタクリル酸mPEG 350および0%HEMAが使われた。2.5mL 0.001規定ポリDADMACの範囲の高分子電解質消費量ではあるものの、両方の仕上げでは良好な相対的電荷耐久性が達成され、A‐076では層膨張能力は非常に減少した。他方、A‐077では、ポリDADMAC消費量を洗濯した布地サンプル(60℃で50〜55分の1および5機械洗浄)用の6mL 0.001規定ポリDADMACより大に増やすことが可能であった。50機械洗浄後でさえ、消費量はまだ5mL 0.001規定ポリDADMACであった。A‐077はしたがって、高相対的な電荷耐久性と同様に高膨張能力を有し、ここまで最善の仕上げ剤配合物であった。層の膨張能力と、つまり電荷到達性を増加するために、A‐078では、同様にA‐072に基づいて、ポリマーに組み込まれるNBMA架橋剤の含有量は5%まで減少したものの、特に25および50機械洗浄後に、A‐072と比較して耐久性を縮減した。A‐079において、ポリマーP‐024はNBMAを含まなかったが、P‐042と同様に10%HEMAを含み、その結果オキシム遮断ポリイソシアネートPhobol XANが同様に架橋を可能とし、耐久性を確実に維持した。
【0220】
テストシリーズ9
テストシリーズ5と同一のテスト手順を用い、様々な仕上げ水溶液について洗浄耐久性をテストした。配合物はPhobol XANの様々な留分を含み、A‐072に相当した。
【0221】
仕上げ浴:各場合における水性浴は、13.2gのポリマー溶液; 1.7gのLamethan NKS‐AF; 0.2g(A‐080)、0.1g(A‐081)、0.0g(A‐082)またはPhobol XANの0.7g(A‐083); 8.7g(A‐080)、8.9g(A‐081)、9.0g(A‐082)または触媒液の8.3g(A‐083);および0.1gのρ−トルエンスルホン酸一水和物で構成した。
【0222】
【表49】

【0223】
テストA‐072に基づき、ポリマーに組み込まれるNBMA架橋剤の含有量をA‐079用に0%に縮減した。予想した通り、これは逆に耐久性に影響を及ぼした。A‐080およびA‐081では、同様にA‐072に基づき、Phobol XANの架橋剤含有量はそれぞれ、1.5%および0.5%Phobol XANに変更した。その結果、A−072からの少しの相違も検出できなかった。テストA‐072に基づき、A‐082では架橋剤含有量は0%Phobol XANに縮減され、結果としてPhobol XAN、Dicrylan PGSバインダもLamethan NKS‐AFバインダも省かれてよい興味ある知見(テストA‐075参照)となった。A‐083において、P−026が3%Phobol XANと使われ、HEMA無しで、そしてNBMA架橋剤無しで使われた。テストは、前述の結果を超える改善を示さなかった。
【0224】
テストシリーズ10
P‐044(スケールアップ番号2)の15%ポリマー分散物を用いた、アニオン性布地含浸用のA‐077およびA‐080〜A‐082に基づく生産試験、A‐080〜A‐082用の耐久性テストに従い、耐久性には重大な影響が示されなかったので、オキシム遮断ポリイソシアネート架橋剤としてのPhobol XANの使用は省かれた。布地は詰められ、乾燥して、実験室用挟み枠に直接凝縮された。塩化マグネシウムおよび酒石酸が、架橋における補助用触媒として使われた。ポリマーの洗浄耐久性は、次いで電荷滴定(CAS)によって調査された。
【0225】
布地:PA: 100%PA、テストシリーズ1および2と同一。PES:100%PES、Christian Eschler AG 、CH‐9055Buhler、紐穴(丸編布地)、130〜145g/m、洗い落とし色100020。PES/PUE:83%PES/17%PUE(Elastan)、Chrisan Eschler AG、CH‐9055Buhler、シャルムーズ(縦糸布地)、130〜140g/m、色100202、連続的に洗い落とし。CO:100%CO、メリヤス、Greuter−Jersey AG、CH‐8583Sulgen、167g/m.
触媒原液:≧98.0% 125g塩化マグネシウム×6HO, Fluka; ≧99.5% 50gL‐(+)酒石酸、Fluka; 2325gの水(脱イオン)。
布地含浸バッチ:1320gのP‐044スケールアップ番号2反応水溶液;210gLamethan NKS‐AF、CHT R. Beitlich GmbH、1170gの水(脱イオンせず);300gの触媒原液。詰める直前に触媒は加えられなかった。
【0226】
仕上げ:調合の後、仕上げ浴は充分にかき混ぜられ、Foulard浸漬トラフに満たされた。各場合、直線6メートルが生産条件(4.5バールのローラー圧力、4m/分)の下で付与され、その後実験室用挟み枠にて直接的に乾燥/凝縮した(170℃、 2 分)。材料の触覚を改善するため、仕上げ後に仕上げした布地を衣服乾燥機(タンブラ)内で60分間処理した。各場合において、3布地サンプル(37×50cmサイズに切断)は次いで詰められ、平均液体ピックアップは乾燥重量と関連して判定された。洗濯機耐久性:テストシリーズ2と同一。電荷滴定:電荷分析システム(CAS)を用いたサンプル準備および電荷滴定は、テストシリーズ1および2と同一であった。
【0227】
【表50】

【0228】
概要:布地サンプルの平均液体ピックアップは、PA(A‐084)で55%、PES(A‐085)で72%、PES/PUE(A‐086)で52%およびCO(A‐087)で83%であった。異なる被覆がこのように達成され、すなわち、PA布地上のほぼ3.7%のポリマー被覆、PA布地上のほぼ4.8%のポリマー被覆、PES/PUE布地上のほぼ3.5%のポリマー被覆、およびCO布地上のほぼ5.6%のポリマー被覆であった。
【0229】
生産テストの比較、A‐084〜A‐087:生産テストA‐084は相対的な電荷耐久性と同様に優れた電荷到達性を示し、活性物質の充填能力を高めた。非洗濯布地サンプル用の高分子電解質消費量は、7mL 0.001規定ポリDADMACであった。洗濯された布地サンプル(60℃で50〜55分の1および5機械洗浄)用のポリDADMAC消費量は、5.5mL 0.001規定ポリDADMACであった。5、25、50および100機械洗浄後の消費量は、場合によって非架橋ポリマー留分による洗い落としで生じるように、約8mL 0.001規定ポリDADMACまで増加した。その結果、相対的な電荷耐久性は100%より大まで増加した。生産テストA‐085は、同様に100洗浄より大きな耐性であった。しかしながら、ポリエステルにおける固定臭基の欠如のために、洗濯された布地サンプル用の2mL 0.001規定ポリDADMACの範囲の高分子電解質消費量によって証明されたように、ドナー層はほとんど付与できない。相対的な電荷耐久性は、ほぼ45%であった。生産テストA‐086は、同様に100洗浄より大きな耐性であった。非洗濯布地サンプル(60℃で50〜55分の1、5および25機械洗浄)用のポリ電解質消費量は、4mL 0.001規定ポリDADMACであった。50及び100機械洗浄後、ポリDADMAC消費量は、それぞれ5mLおよび7mLまで増加した。明らかに、ドナー層の伸縮性は時間の経過で増加し、そしてまた、分析的に検出可能な表面電荷を増やす。生産テストA‐087は、また100洗浄より大きな耐性であった。この場合、A‐086と同じく、電荷到達性は数多くの膨張サイクルによって増加した。100機械洗浄後に、11.4mLで、ポリDADMAC消費量は、理論的に可能な11.6mL 0.001規定 ポリDADMAC最大消費量に到達した。したがって、100機械洗浄後のCOで174%の相対的な電荷耐久性は、ドナー層のどれもが洗濯の間に消失しなので、絶対層耐久性に相当する。
【0230】
テストシリーズ11
A‐084〜A‐087に基づく生産テスト。P‐067(スケールアップ)の15%ポリマー分散物の含浸。P‐044、40%mPEG 350メタクリル酸および20%2−エチルヘキシルアクリラートを含む、と比較して、P‐067は、20%のみのmPEG350メタクリル酸エステルを含むがまた、40%2−エチルヘキシルアクリラートを含み、したがって、遥かに親油性であった。
テスト手順は、テストシリーズ3に類似していた。布地はテストシリーズ1および2に類似し、触媒原液はテストシリーズ3に類似していた。
【0231】
布地含浸バッチ:330g P‐067のスケールアップ反応水溶液; 53g Lamethan NKS‐AF、 CHT R. Beitlich GmbH、292gの水(脱イオンせず); 75gの触媒原液。詰める直前に触媒は加えられなかった。
洗濯機耐久性:テストシリーズ2と同一。電荷滴定:電荷分析システム(CAS)を用いたサンプル準備および電荷滴定は、テストシリーズ1および2と同一であった。
【0232】
【表51】

【0233】
概要:布地サンプルの平均液体ピックアップは49%域内であり、PA布地繊維上へのほぼ3.4%のポリマー塗布を達成した。生産テストA‐088はA‐084と同一で、優れた電荷到達性を有した。両親媒性ドナー層の親油性特性のために、洗濯した布地サンプル(60℃で50〜55分の1、5、25、50および100機械洗浄)の高分子電解質消費量は、ほぼ6mL0.001規定ポリDADMACで、幾分A‐084未満であった。相対的な電荷耐久性は、70%の範囲であった。
【0234】
C. 細胞毒性テスト
本発明の仕上げ織物の寛容度をテストするために、布地サンプルをDIN EN ISO 10993‐5に準拠した細胞毒性テスト(「Medical Devices、パート5:インビトロ細胞毒性のテストの生物学的評価」[ドイツ表題の英訳から和訳])の対象とした。布地サンプルは、仕上げ剤配合物番号A‐084で仕上げた100%PA布地であった。布地サンプルは、前以って1回洗濯されている(60℃、50〜55分)。布地は、エマルジョンまたは活性物質を充填していなかった。
DIN EN ISO 10993‐5に従った細胞毒性検定は、全ての医療用具のための認定要件である。細胞培養を用いて、テストされた生成物から浸出できる有害物質を検出することが可能である。皮膚接触による織物製品からの有害物質の放出は、皮層刺激開発の必要条件である。細胞毒性検定は皮層刺激の潜在障害を評定し、和パラメータとして検出される。
【0235】
方法:細胞系:L 929セル(ATCC番号CCL1(NCTCクローン)929L(DSMZ))、通過回数:31. 培地:10%FCSを伴うDMEM。抽出法:光振盪を伴う、37℃での24時間のDIN EN ISO 105‐E04に従う酸性発汗水溶液を有する試験片のインキュベーション;発汗水溶液は、pH7.3〜7.4に調整し、消毒濾過した。細胞培養のインキュベーション:68〜72時間、33、3%〜9、9%希釈ステップの発汗水溶液を伴う。細胞毒性検定:セルが培養されたあと、蛋白量はセル成長(Biol. Toxicol. 1984、1(1)、55−65)測定として、コントロールのそれと比較した。正および負のコントロールは、テストシステムの妥当性を検証するために実験にも含めた。セルは、細胞毒性能物質(栽培阻止テスト)が存在する場合には、変わった増殖および分割速度を呈する。テスト材料:培地におけるテスト材料の濃度:9.9%、14.8%、22.2%及び33.3%。
【0236】
結果:変色は、発汗抽出物において視覚的に観察されなかった。僅かに甘味の臭気が供試材(すなわち発汗抽出物)から検出された。発汗抽出物のpHの5.5から6.0への増加が観察された。以下の値が得られた:
【表52】

【0237】
DIN EN ISO 10993−5によると、溶解剤コントロールと比較した30%を超える成長阻害は細胞毒性と見做される。記載されているテスト方法論を用いて、サンプルの発汗抽出物は、細胞毒性テストにて18%の成長阻害を示した。L929セルの用量依存的成長阻害をテスト材料用に観察したが、30%における有意閾値を上回らなかった。評定規準に基づいて、サンプルは生物学的活性度を示さなかった。したがって前記条件の下では、皮膚接触による刺激作用を導出するテスト見本から細胞毒性物質が放出されなかったと結論された。
【0238】
D. エマルジョン
希釈エマルジョンからの通常の親油性活性物質を本発明の負に荷電した仕上げ層へ効率的に付与するために、対応する正電荷を有する乳化剤を使用した。これは結果として活性物質を含む油相液滴を有する活性物質エマルジョンとなり、存在する正の表面電荷によって負の電荷部位を備えている本発明の仕上げ層のマトリックスに容易に組み込まれる。
仕上げ層がエマルジョンで充填された後、活性物質は乳化した油滴からポリマーマトリックスの親油性領域に拡散できる。活性物質は、吸着エマルジョン粒子の油相および/またはポリマーマトリックスの親油性位相からその後伝達できる。
【0239】
ホスファチジルコリンレシチン、たとえば1‐パルミチル‐2‐オレイル‐sn‐グリセロ‐3‐ホスファチジルコリン(パルミチル・オレイル・ホスファチジルコリン(POPC))は、本発明の使用に適している。アミン基のために、乳化された油滴表面の正電荷は、本発明のポリマー仕上げの負電荷部位と相互に作用する。
【0240】
【化14】


レシチン含有油/水ミクロエマルジョンは知られている。たとえば、ドイツ特許番号DE 19859427A1を参照されたい。概して、マクロエマルジョンは高圧均質化によってミクロエマルジョンまたはミニエマルジョンに変換される。
【0241】
加えて、ベヘニルトリメチルアンモニウム・メトサルフェートは、たとえば、ミクロエマルジョンに適している:
【化15】

【0242】
共乳化剤として、25重量%のBTMSおよび75重量%のセチルアルコール
【化16】


を含むセチルアルコールと組み合わせたベヘニルトリメチルアンモニウム・メトサルフェートは、Varisoft BTMSフレーク(Evonik Goldschmidt GmbH)として利用できる。しかしながらこの場合は、セチルアルコールは本発明の仕上げ層の充填の間、沈降する傾向を有する。
【0243】
エチル‐N‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸HCl(以下アルギン酸ラウロイルと称する)は、本発明のエマルジョン用の特に適切な乳化剤であると証明された:
【化17】


アルギン酸ラウロイル(CAS番号60372‐77‐2)の合成はPCT特許公報番号WO 01/94292 A1に記載されおり、物質はLaboratorios Miret SA, Barcelona, Spainから入手可能である。アルギン酸ラウロイルは、水中で247g/kgに及ぶ分散性を有する白色で吸湿性の固体である。融点は、50℃〜58℃である。
【0244】
アルギン酸ラウロイルは抗菌性防腐剤として使われ、抗菌特性は、カチオン界面活性剤としての特性に基づく。アルギン酸ラウロイルは、酵母および糸状菌と同様にグラム陰性菌およびグラム陽性菌の広域スペクトルに対して効果的である。これは細菌コロニーの栽培を抑制するが、細胞分解は生じない。化粧品生成物(消費者向製品に対する科学委員会(SCCP)、Opinion on ethyl lauroyl arginate HCl、SSCP/1106/07、2008年4月15日)、並びに食品(食品基準Australia New Zealand、Application A1015、Ethyl lauroyl arginate as a food additive、Assessment Report、2009年5月6日)における使用の認可のために推薦されている。
【0245】
ソルビン酸、ソルビン酸カリウムまたはソルビン酸ナトリウムと組み合わせたアルギン酸ラウロイルの使用は、WO 02/087328 A2から知られている。アルギン酸ラウロイルの抗ウィルス活性は、WO 2008/014824 A1において前提とされている。他の類似した抗菌的に活性な界面活性剤はWO 2007/014580 A1から知られている。上記の引用された文献の開示は、これによって本発明の記述の考慮部分である。
【0246】
アルギン酸ラウロイルの乳化剤としての使用は従来技術からは知られていない。この目的のためのアルギン酸ラウロイルの使用は、一方、対応するエマルジョンのために付加的な保存剤が不必要となる利便がある。他方、この種のエマルジョンは、同時に健康に無害である。
【0247】
その上、エマルジョンの抗菌的特性は織物へ伝達され、その結果織物自体が静菌特性を得る。これは、様々な雑菌に対するμg/mL域でのアルギン酸ラウロイルの低有効濃度、ならびにこのカチオン性乳化剤のエマルジョンにおける0.8%に及ぶ比較的高い利用濃度によるものである。エマルジョン充填布地の特に高い効果はソルビン酸塩またはベンゾアートと組み合わせたアルギン酸ラウロイルの先述の使用によって達成され、これらの活性物質の相乗効果に帰結する。
【0248】
マツヨイグサ油は、本発明の仕上げ層が充填できる担体媒体または活性物質の一例である。一般のマツヨイグサ(メマツヨイグサ)の種は、およそ7〜10重量%のリノレン酸を含む。マツヨイグサの相当油は、たとえば、月経前症候群用の痛み軽減効果を有し、乾癬および神経皮膚炎のような皮膚病のための治癒効果を有する。マツヨイグサ油は、71重量%リノール酸、10重量%ガンマリノレン酸、7重量%オレイン酸、2重量%ステアリン酸、7重量%パルミチン酸および3重量%の他の物質からなる。活性成分はガンマリノレン酸である。
【0249】
代替的に、パラフィンまたはパラフィン油に基づく他の親油性媒体が、たとえば、親油性活性を有する活性物質用の担体媒体として使われ得る。もちろん、これらの媒体は、好ましくは皮膚耐性が必要である。親水性活性物質は、一方、本発明による仕上げ層上の水中油中水エマルジョンまたはリポソームの中に充填し得る。
【0250】
PCT特許公報WO 2007/050580 A2および米国特許第5,474,783号は、経皮吸収に適している多くの活性物質を開示している。これらの文献の開示含有量は、本発明記述の必須部分を形成している。
実際の活性物質に加えて助剤物質が提供され、たとえば、皮膚への活性物質(いわゆる透過増強剤)の吸収を強化するか、たとえば、芳香または染料としての消費者の感覚の需要に訴える発香団または発色団基を含む。
【0251】
その上、たとえば、エマルジョンの凍結を防ぐ、または、一般に広い温度領域および期間にわたるエマルジョンの安定性を確実にする全ての物質は、化学的、物理的および生物学的な安定性を増やすという点で、更なる補助的な物質または添加剤として適切である。前記エマルジョンはまた、子供による非制御経口摂取を防止する苦味物質を含み得る。
【0252】
【表53】

【0253】
エマルジョンE‐018
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで4.0gのレシチンを撹拌しながら添加した。混合物を磁気撹拌機で撹拌し、レシチンが一様に膨張した後、13.0gのプロピレングリコールおよび133.0gの水をゆっくり滴下し、そして、強く撹拌し、撹拌は3時間続けられた(乏しい相溶性)。均一性の判定:1gのエマルション水溶液を19g水で1:20に希釈した。粘度:1.04mPa*s。(以下が、全ての粘度測定のために使われた:CBC材料株式会社、東京、日本からの粘度計。モデル:Viscomate VM‐10A‐L、測定センサ:PR‐10‐L) 粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H) =1350nm−70.2体積%; 頂点2:d(H) =5510nm−27.0体積%; 頂点3:d(H) =141nm−2.8体積%。
【0254】
均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザ(APV Products、DK−2620 Alberstlund、Model番号APV‐2000)を600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン200gとなった。均一性の判定:1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.99mPa *s。粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H) = 568 nm−92.0体積%; 頂点2:d(H) =4870nm−8.0体積%;頂点3:無信号であった。
【0255】
エマルジョンE‐019
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで4.0gのLipoid S 40 (Lipoid GmbH)を撹拌しながら添加した。混合物を磁気撹拌機で撹拌し、レシチンが一様に膨張した後、13.0gのプロピレングリコールおよび133.0gの水をゆっくり滴下し、そして、強く撹拌し、撹拌は2時間続けられた(良好な相溶性)。低粘度の白黄色エマルジョン200gが得られた。均一性の判定:1gのエマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:1.03mPa*s。粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H)=110nm−13.3体積%;頂点2:d(H) =207nm−15.1体積%;頂点3:d(H) =875nm−71.6体積%。
【0256】
均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン200gとなった。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.99mPa*s。粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H) =335nm−100体積%;頂点2:d(H):無信号であった。
【0257】
表面電荷:6.65モル負電荷/gエマルジョンの表面電荷を、CASによって判定した。しかしながら、正の表面電荷は必須である。理由はレシチン(大豆または卵からの分離)の生産において、コリン基が時々分割され、その結果、負に荷電されたリン酸基が残留するからである。これは、結果としてエマルジョン粒子の表面電荷の縮減となり、おそらく結果として乳化粒子の中性もしくは僅かに負の表面電荷になることがあり得る。
【0258】
エマルジョンE‐020
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで6.7gのPhosal 50 PG (Phospholipid GmbH)を撹拌しながら添加した。10.3gのプロピレングリコールおよび133.0gの水を前記混合物にゆっくり滴下し、磁気撹拌機で強く撹拌し、撹拌は2時間続けられた(油滴を含む)。均一性の判定:1gのエマルジョン水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.98mPa*s。粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H) = 1150nm−82.6体積%; 頂点2:d(H) =215nm−12.8体積%;頂点3:d(H) = 5500nm−4.6体積%;
【0259】
均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン200gとなった。均一性の判定:1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.99mPa*s。粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H)=679nm−100体積%;頂点2:d(H): 無信号であった。
【0260】
表面電荷:正の電気電位は、CAS(0.01規定 HClによる滴定)によって達成できた。このように、乳化液滴が正の表面電荷を有することが原理的に呈示された。しかしながら、エマルジョンの長期安定性は不充分であった。
【0261】
エマルジョンE‐021
調合:25.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで2.0gVarisoft BTMSフレークを撹拌しながら添加した。混合物は油浴中で75℃に加熱され、2時間継続して撹拌し、結果として粘性白色混合物となった。66.5gの水を、第2の250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、6.5gのプロピレングリコールを添加した。混合物は60℃に加熱され、次いで強く撹拌しながら熱い油相(27g)に滴下された。エマルジョン水溶液は、撹拌しながら室温まで冷却され、結果として100gの高粘度白黄色エマルジョンとなった、pH =4.2。均一性の判定:1gのエマルジョン水溶液を水99 gで1:100に希釈した。粘度:1.14mPa*s。粒度分布(PCS計測):頂点1:d(H) = 618nm−100体積%; 頂点2:d(H): 無信号であった。
【0262】
表面電荷:CAS測定(0.001規定ポリビニルスルホン酸ナトリウム塩による滴定)の結果、乳化液滴の表面電荷は1.03μmol正電荷/gエマルジョンであった。
カチオン性乳化剤としてレシチンに代わるベヘニルトリメチルアンモニウム・メトサルフェートの使用は、高粘度でも安定なエマルジョンが生成し得ることを呈示した。粒度分布は、618nmの流体力学的径を有する単分散エマルジョン液滴直径を示した。
【0263】
エマルジョンE−022
調合:25.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで2.0gVarisoft BTMSフレークを撹拌しながら添加した。前記混合物は油浴中で撹拌を2時間継続して75℃に加熱された。次いで1.5gのレシチンを添加し、撹拌を10分間続け、結果として粘性の白黄色混合物となった。65.0 gの水を、第2の250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、6.5gのプロピレングリコールを添加した。混合物は60℃に加熱され、次いで強く撹拌しながら熱油相(28.5g)に滴下された。エマルジョン水溶液は、撹拌しながら室温まで冷却され、結果として100 gの高粘度白黄色エマルジョンとなった、pH =5.2。均一性の判定:1gのエマルジョン水溶液を水99 gで1:100に希釈した。粘度:1.18mPa*s。粒度分布(PCS測定):頂点1:d(H) = 755nm−100体積%;頂点2:d(H):無信号であった。
【0264】
表面電荷:CAS測定(0.001規定ポリビニルスルホン酸ナトリウム塩による滴定)の結果、乳化液滴の表面電荷は0.29μmol正電荷/gエマルジョンであった。
予想した通り、レシチンの添加はE‐021と比較してエマルジョン液滴の表面電荷を縮減した。粒度分布はE‐021と同一で、755nmの流体力学的径を有する単分散エマルジョン液滴直径を示した。これは、ベヘニルトリメチルアンモニウム・メトサルフェートと同様にレシチンが同じエマルジョン液滴に組み込まれたことを意味する。
【0265】
エマルジョンE‐023
レシチンエマルジョンを塩化カルシウム水溶液と混ぜ合わせ、2レシチン分子リン酸基をCaClと一緒にすると可溶なリン酸カルシウムを辛うじて形成するかどうかをテストした。遊離塩化物イオンは、その後対イオンとしてレシチンのトリアルキルアンモニウム基に利用できる。強アニオン性リン酸基の関連遮蔽によって、レシチンエマルジョンはカチオン性表面電荷を取得する。M =ほぼ760g/molのレシチン・モル質量について、4.0gのレシチンは、5.3mmolに相当する。すなわち、塩化カルシウムの半分の量は、使用するレシチンのリン酸基全部を遮蔽するために添加されることを必要とする。エマルジョンを不安定にする過剰の塩は、同様に避けられる。
【0266】
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで4.0gのレシチンを撹拌しながら添加した。混合物を磁気撹拌機で撹拌し、レシチンが一様に膨張した後、13.0gのプロピレングリコールおよび133.0gの塩化カルシウム水溶液(132.7g水中に0.3 g CaCl)をゆっくり滴下し、強く撹拌し、撹拌は4時間続けられた。低粘度の白黄色2相混合物が形成された。放置して、最上部の白黄色懸濁液相および底部の透明な水相が直ちに形成した。
【0267】
均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザ(APV Products、DK−2620 Alberstlund、Model番号APV‐2000)を600バールで15回通過し、結果として低粘度の白黄色不安定エマルジョンとなった。概要:E‐018およびE‐023への電解液の添加によって零電荷点領域に不安定エマルジョンが生じ、破壊した。
【0268】
エマルジョンE‐026
E‐018および E‐023への電解液の添加によって零電荷点領域に不安定エマルジョンが生じ、破壊した。これを避けるために乳化剤を用いて満足にエマルジョンを生成すべくレシチンを非水性システムにおいて再充填し、カチオン性とした。前記プロセスにおいて、エマルジョン水溶液の零電荷点を通過させてはならず、前記エマルジョンは後刻まで生成しないので、すでにカチオン性であるレシチンを使用することになる。この目的で、エマルジョンを安定させることに適している塩化アルミニウム助溶剤水溶液および共乳化剤を用い、カチオン性レシチンを使用したエマルジョンを生成するために、レシチンを非水性システムに再充填した。
M =ほぼ760g/molのレシチン・モル質量について、4.0gのレシチンは、5.3mmolに相当する。すなわち、塩化アルミニウムの3分の1の量は、使用するレシチンのリン酸基全部を遮蔽するために添加されることを必要とする。エマルジョンを不安定にする過剰の塩は、同様に避けられる。
【0269】
油相におけるレシチンの調合:400gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。次いで32gのレシチンを撹拌しながら添加した。混合物はレシチンが一様に膨張するまで磁気撹拌機で撹拌され、結果として432gの油相の黄色レシチンとなった。
【0270】
エチレングリコール(ブランク値)中の0等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Aの調合:油相中の54gレシチンを1Lのエルレンマイヤーフラスコに載置し、16.7gの助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコールおよび4gのMarlipal O13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴下した。Marlipal登録商標O13/30はアルコールエトキシレート、Sasolから入手可能であり、C13鎖および3エチレンオキシド基を含む。
今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は一晩中続けられた。白黄色混合物200gが得られた(相分離無し)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH =6.3;導電率=455μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈、結果として粘度は1.06 mPa*sとなった。粒度分布:頂点1:d(H) =153nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H):無信号であった。
【0271】
エチレングリコール中の0.5等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Bの調合:油相中の54gレシチンを250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、16.8gの塩化アルミニウム助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコール中の0.12g塩化アルミニウムおよび4gのMarlipal O13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴状に添加した。今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は4時間続けられた。白黄色混合物200gが得られた(相分離無し)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH =3.0(塩化アルミニウムは、水性相において酸性反応する);導電率=1234μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈した。粘度:0.98mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=527nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H): 無信号であった。
【0272】
エチレングリコール中の0.75等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Cの調合:油相中の54gレシチンを250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、16.9gの塩化アルミニウム助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコール中の0.18g塩化アルミニウムおよび4gのMarlipal O13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴状に添加した。今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は4時間続けられた。白黄色混合物200gが得られた(一晩中相分離)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH=2.6 (塩化アルミニウムは、水性相において酸性反応する);導電率= 1807μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈した。粘度:0.98mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=792nm−100体積%(PCS測定); 頂点2:d(H):無信号であった。
【0273】
エチレングリコール中の1.0等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Dの調合:油相中の54gレシチンを250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、16.9gの塩化アルミニウム助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコール中の0.23g塩化アルミニウムおよび4gのMarlipal O13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴状に添加した。今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は4時間続けられた。白黄色混合物200gが得られた(相分離無し)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH =2.6(塩化アルミニウムは、水性相において酸性反応する);導電率=2160μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈した。粘度:0.99mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=899 nm−93.8体積%(PCS測定);頂点2:d(H) =5126nm−6.2体積%; 頂点3:d(H): 無信号であった。
【0274】
エチレングリコール中の1.25等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Eの調合:油相中の54gレシチンを250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、17.0gの塩化アルミニウム助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコール中の0.29g塩化アルミニウムおよび4gのMarlipal O13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴状に添加した。今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は4時間続けられた。白黄色混合物200gが得られた(相分離無し)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH =2.6(塩化アルミニウムは、水性相において酸性反応する);導電率=2420μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈した。粘度:0.99mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=1055nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H):無信号であった。
【0275】
エチレングリコール中の1.5等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Fの調合:油相中の54gレシチンを250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、17.1gの塩化アルミニウム助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコール中の0.36g塩化アルミニウムおよび4gのMarlipalO13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴状に添加した。今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は一晩中続けられた。白黄色混合物200gが得られた(相分離無し)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH=2.7(塩化アルミニウムは、水性相において酸性反応する);導電率=2860μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈した。粘度:0.97mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=835nm−97.0体積%(PCS測定);頂点2:d(H) =5351nm−3.0体積%;頂点3:d(H):無信号であった。
【0276】
エチレングリコール中の2.0等量塩化アルミニウムを有するE‐026‐Gの調合:油相中の54gレシチンを250mLエルレンマイヤーフラスコに載置し、17.2gの塩化アルミニウム助溶剤/共乳化剤水溶液(12.7gエチレングリコール中の0.47g塩化アルミニウムおよび4gのMarlipal O13/30)を強く撹拌しながらゆっくり滴状に添加した。今度は、129gの水(防腐剤として400μLの37%ホルムアルデヒド溶液を含む)をゆっくり滴状に添加し、強く撹拌し、撹拌は4時間続けられた。白黄色混合物200gが得られた(相分離無し)。エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白色エマルジョン150gとなった。pH = 2.8(塩化アルミニウムは、水性相において酸性反応する);導電率=3330μS/cm。1gの均質化エマルジョン水溶液を水39gで1:40に希釈した。粘度:0.97mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=854nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H):無信号であった。
電荷分析システム(CAS)を使用したpH滴定:0.1規定 HCl滴定水溶液が、CASpH滴定のために使われた。CASポリテトラフルオロエチレン測定セルの準備、すなわち洗浄のために、各測定前に、測定セルは、脱イオン水、2‐プロパノール、脱イオン水およびアセトン(スプレー瓶)によって順次リンスを受け、次いで加圧空気を吹きつけられた。前記ポリテトラフルオロエチレン測定セルはまた、65%硝酸によってしばしば浄化された。1.0gのエマルジョン水溶液を量り取ってCASポリテトラフルオロエチレン測定セルに入れ9.0gの水で満たした(1:10希釈)。次いでメスフラスコを測定セルに挿入し、CAS上のpH滴定が開始した。
【0277】
【表54】

【0278】
E‐026‐エマルジョンの概要:Marlipal O13/30共乳化剤のために、塩化アルミニウムの異なる等量を使用した非常に良好で、安定なエマルジョンを調合することが可能であった。予想されたとおり測定結果は、1.0未満の等量AlClを持つエマルジョンが負の表面電荷を有することを非常によく呈示した。1.0以上の等量AlClを持つレシチンエマルジョンは、カチオン性の表面電位を有する。このように一連の再充填されたレシチンエマルジョンを成功裡に生成することが可能であった。その上、CASpH滴定は、これらのエマルジョンの全てに対して実行された。測定された開始電圧は、以前に測定された始動電圧と整合していた。さらに、これらの測定は、エマルジョンの等電点のpH価が塩化アルミニウム含有量の増加と共に中性の方向へ向かってどのように移るかについて非常によく示している。AlCl(E‐026‐E)の1.25等量について、最大pHはpH=6.8で起こり、高いAlCl等量ではpH=6.5(E‐026‐F および E‐026‐G)へ僅かに減少する。このように、等電点が基本pH域に更に移れないことは明白である。加えて、pH価および導電率は、全てのエマルジョンについて測定された。これは非希釈エマルジョンや脱イオン水で1:10に希釈したエマルジョンには適用されない。したがって、1:10に希釈したサンプルの最大導電率は、E‐026‐G (2.0等量AlCl)では590μS/cmであった。加えて、CAS pH滴定は、サンプルの異なる希釈でも実行された。このように、2.0等量AlClのE‐026‐Gは、非希釈、1:10希釈および1:50希釈時にも共通してカチオン性のままであった。
【0279】
エマルジョンE‐027−LAE/マルトデキストリンを有するカチオン性エマルジョン
処方E‐021に基づくが、カチオン性エマルジョンとしての34%のマルトデキストリンを有する66%N‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸エチルエステルモノヒドロクロリド(LAE)を使用する。対応する水溶液は、Vedeq SAからの商標名Mirenat−Dのもとで入手可能である。同時に、LAEは微生物分解に対してエマルジョンを安定させる。
【0280】
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。6.0gMirenat−D(2.0重量%のカチオン性乳化剤に対応する)、油に不溶、が次いで撹拌しつつ加えられた。前記混合物は磁気撹拌機で撹拌され、144.0gの水が強く撹拌しながらゆっくり滴状に加えられ、撹拌は2時間続けられた(良好な相溶性)。低粘度の白黄色エマルジョン200gが得られた。pH =3.4。均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン150gとなった。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.98mPa*s。粒度分布:頂点1:d(H)=228nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H):無信号であった。
【0281】
概要:カチオン性乳化剤としてのベヘニル・トリメチルアンモニウム・メトサルフェートの代わりにマルトデキストリンのN‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸エチルエステル・モノヒドロクロリド(LAE)の使用は、低粘度の白黄色安定エマルジョンの生成が可能であることを示した。粒度分布は、228nmの流体力学的径を有する単分散エマルジョン液滴直径を示した。CAS pH滴定は、エマルジョンの流動電位が常に3.0〜10.00の全pH範囲上の+343mVより大きいことを示した。
【0282】
エマルジョンE‐028−LAE/マルトデキストリンおよびレシチンを有するカチオン性エマルジョン
処方E‐022/E‐027に基づくが、付加乳化剤としてのレシチンを有する。
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。4.0gのレシチン(Carl Roth GmbH + Co. KG)が次いで撹拌しながら加えられた。レシチンが一様に膨張するまで、前記混合物は磁気撹拌機で撹拌された。6.0gのMirenat−D、油に不溶、が次いで加えられた。140.0gの水が強く撹拌しながらゆっくり滴状に加えられ、撹拌は2時間続けられた(良好な相溶性)。
低粘度の白黄色エマルジョン200gが得られた。pH =3.9。均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン150gとなった。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:1.00mPa*s;粒度分布:頂点1:d(H)= 95nm−19.0体積%(PCS測定);頂点2:d(H) =346nm−81.0体積%; 頂点3:d(H): 無信号であった。
【0283】
概要:付加乳化剤としてのレシチンの添加は問題なく進んだ。低粘度の白黄色で安定なエマルジョンが得られた。粒度分布は、95nm(19.0体積%)および346nm(81.0体積%)の流体力学的径を有するエマルジョン液滴を示した。CAS pH滴定は、エマルジョンの流動電位が常に3.0〜10.00の全pH範囲上の+229mVより大きいことを示した。
【0284】
エマルジョンE‐029−LAE/グリセリンを有するカチオン性エマルション
処方E‐027に基づくが、カチオン性乳化剤としてのグリセリン中のN‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸エチルエステル・モノヒドロクロリド(LAE)を有する。この水溶液は、Aminat−G from Vedeq SAから入手可能で、80%グリセリン中の20%N‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸エチルエステル・モノヒドロクロリド(LAE)を含む。
【0285】
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。20.0gのAminat−G(2.0重量%のカチオン性乳化剤に対応)、油と良く混合しない、を次いで撹拌しながら混合した。前記混合物は磁気撹拌機で撹拌され、130.0gの水が強く撹拌しながらゆっくり滴状に加えられ、撹拌は2時間続けられた(良好な相溶性)。低粘度の白黄色エマルジョン200gが得られた。pH =4.0。均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン150gとなった。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.99mPa*s;粒度分布:頂点1:d(H)=248nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H):無信号であった。エマルジョンは、数日の後濃くなって凝集塊を形成した。しかしながら、エマルジョンは振盪によって再び液体化され得る。
【0286】
概要:カチオン性乳化剤としてのマルトデキストリン中のLAEに代わるグリセリン中のLAEの使用は、同様に低粘度の白黄色エマルジョンの生成が可能であることを示した。しかしながら、エマルジョンは数日後濃くなって凝集塊を形成するものの、振盪によって再び液体化され得る。粒度分布は、248nmの流体力学的径を有する単分散エマルジョン液滴直径を示した。CAS pH滴定は、エマルジョンの流動電位が常に3.0〜10.00の全pH範囲上の+386mVより大きいことを示した。
【0287】
エマルジョンE‐030−LAE/グリセリンおよびレシチンを有するカチオン性エマルジョン
処方E‐028/E‐029に基づくが、付加乳化剤としてのレシチンを有する。
調合:50.0gのマツヨイグサ油を、250mLのエルレンマイヤーフラスコに載置した。4.0gのレシチン(Carl Roth GmbH + Co. KG)が次いで撹拌しながら加えられた。レシチンが一様に膨張するまで、前記混合物は磁気撹拌機で撹拌された。20.0gのAminat−G、油と良く混合しない、を次いで混合した。140.0gの水が強く撹拌しながらゆっくり滴状に加えられ、撹拌は2時間続けられた(良好な相溶性)。低粘度の白黄色エマルジョン200gが得られた。pH =4.3。均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の白黄色エマルジョン150gとなった。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.95mPa*s;粒度分布:頂点1:d(H)=233nm−100体積%(PCS測定);頂点2:d(H):無信号であった。
【0288】
概要:付加乳化剤としてのレシチンの添加は問題なく進んだ。低粘度の白黄色で安定なエマルジョンが得られた。粒度分布は、233nmの流体力学的径を有する単分散エマルジョン液滴直径を示した。CASpH滴定は、エマルジョンの流動電位が常に3.0〜10.00の全pH域上の+306 mVより大きいことを示した。
【0289】
エマルジョンE‐031−LAE/グリセリン、レシチンおよび疑似活性物質としてのβ‐カロチンを有するカチオン性エマルジョンのキロバッチ
処方E‐030に基づくが、疑似活性物質としてのβ‐カロチンおよびマツヨイグサ油の酸性的安定化のためのDL‐α‐トコフェロールアセテート(老化防止剤)を有する。カチオン性乳化剤としてのLAEの濃度は0.4%に縮減し、これは化粧品生成物(スプレーとして用いる生成物に該当しない)中のLAEの最大許容濃度であるためである。同様に、レシチン含有量は1.6%に縮減した。
【0290】
調合:150.0gのマツヨイグサ油を、1Lのエルレンマイヤーフラスコに載置した。9.6gのレシチン(Carl Roth GmbH + Co. KG)、3mgのDL‐α‐トコフェロールアセテート(97.0%、HPLC、Fluka)および322mgのβ‐カロチン(97.0%、UV、Fluka)が次いで撹拌しながら加えられた。混合物は窒素によってフラッシュされた封止エルレンマイヤーフラスコにおいて磁気撹拌機上の全ての混合物が溶解するまで一晩中撹拌された。428.1gの水が第2の1Lのエルレンマイヤーフラスコに入れられ、12.0gのAminat−G(0.4%のカチオン性乳化剤および1.6%のグリセリンに対応)が加えられた。混合物は次いで強く撹拌しながら油相160g中へ滴状に添加され、撹拌は2時間続けられた。600gの低粘度キャロットレッドエマルジョンが得られた;pH =5.2。均質化:エマルジョン水溶液は高圧のホモジナイザを600バールで5回通過し、結果として低粘度の橙白色エマルジョン500gとなった。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.98mPa*s;粒度分布:頂点1:d(H)= 82 nm−4.9体積%(PCS測定);頂点2:d(H)= 631nm−95.1体積%;頂点3:d(H):無信号であった。pH=6.6の等電点は、0.01規定水酸化ナトリウムを用いたCASpH滴定において確認された。
【0291】
概要:エマルジョンの生成は成功裡に進んだ;疑似活性物質としてのβ‐カロチンを使用した低粘度橙白色エマルジョンを生成可能であった。粒度分布は、82nm(4.9体積%)および631nm(95.1体積%)の流体力学的径を有するエマルジョン液滴を示した。CASpH滴定は、酸性pH域、すなわち、pH=6.0未満において、エマルジョンの流動電位が+200mVより大きかったことを示した。しかしながら、エマルジョンはpH=6.6で等電点を持った、このことは、レシチンエマルジョンが全てのpH域に亘りカチオン性である場合、カチオン性乳化剤としての0.4%のN‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸エチルエステル・モノヒドロクロリド(LAE)が不充分であることを示す。
【0292】
エマルジョンE‐032−LAE/グリセリン、レシチンおよび疑似活性物質としてのβ‐カロチンを有するカチオン性エマルジョンのキロバッチ
処方E‐031に基づくが、カチオン性乳化剤としての0.4%のLAEの代わりに0.8%を用いた。0.8%は、石鹸およびふけ防止シャンプー(スプレーとして使用する生成物に該当しない)中のLAEの最大許容濃度である。
【0293】
調合:E‐031用と同一であるが、416.1gの水および24.0gのAminat‐Gの提供を伴い、結果として低粘性橙白色エマルジョン600gとなった; pH = 4.6。均質化:E‐031用と同一。低粘度の橙白色エマルジョン500gが得られた。1gの均質化エマルション水溶液を水19gで1:20に希釈した。粘度:0.96mPa*s;粒度分布:頂点1:d(H)=126nm−8.3体積%(PCS測定);頂点2:d(H)=827nm−80.6体積%;頂点3:d(H)=5208nm−11.0体積%。
電荷滴定アニオン性高分子電解質溶液(0.001規定ポリ(ビニルスルホン酸ナトリウム塩)を有する電荷分析システム(CAS)を用いた1:10の希釈により、結果として12.05μmol正電荷/gエマルジョン(+96.5mC/gエマルジョン)の測定表面電荷となった。
【0294】
概要:0.8%LAEを用いたエマルジョンの生成は成功裏に進んだ。疑似活性物質としてβ‐カロチンを用いた低粘度の橙白色エマルジョンを生成できた。粒度分布は、126nm(8.3体積%)、827nm(80.6体積%)および5208nm(11.0体積%)の流体力学的径を有するエマルジョン液滴を示した。電荷滴定により、カチオン性エマルジョンの表面電荷は、12.05μmol正電荷/gエマルジョンであった。pH滴定は、エマルジョンの流動電位が3.0〜10.0の全pH域に亘り常に+328mVより大きいことを示した。従って、エマルジョンはこのpH域の等電点を持たない。カチオン性乳化剤としての0.8%N‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸エチルエステル・モノヒドロクロリド(LAE)は、したがって、前記pH域でレシチンエマルジョンをカチオン性とするのに充分であった。その結果、織物の充填がまた、たとえば、わずかにクエン酸を有する各場合の水を酸性化せずに、ライムを含む僅かにアルカリ性の水道水においても起こり得る。
【0295】
エマルジョンE‐033 −カチオン性で、LAE/グリセリンおよびレシチンを有する活性物質のないエマルジョンの1.2kgバッチ
準備はE‐032に類似しているが、疑似活性物質としてのβ‐カロチンの使用はなかった。このカチオン性エマルジョンは、吸収および脱離テストのための仕上げた織物を充填するために用いた。
活性物質のないエマルジョンの生成は成功裏に進み;低粘度の白黄色エマルジョンを生成できた。粒度分布は、303nmの流体力学的径を有する単分散エマルジョン液滴直径を示した。電荷滴定により、カチオン性エマルジョンの表面電荷は、12.12μmol正電荷/gエマルジョンであった。pH滴定は、エマルジョンの流動電位が3.0〜10.0の全pH域に亘り常に+198mVより大きいことを示した。
【0296】
E. 仕上げ層に対する活性物質エマルションの付与;吸収テスト1
0.2gのエマルジョンE‐021を水6mLに希釈し、全量を4.4gの仕上げ布地サンプルA‐007(mPEG1000メタクリラートを含む)上へ噴霧した。完全に乾燥して後、サンプルは抽出され、メチル化された。GC分析で423.6μgパルミチン酸メチルエステル/gサンプルが示され、6mgのマツヨイグサ油/gサンプルに相当する。
【0297】
テスト2(S‐004)
吸収テスト:39.2gの水を100mLショット・フラスコに載置し、0.8gカチオン性BTMSエマルジョンE‐021を加えた。次いで4.0g布地サンプルA‐009を前記フラスコに載置し、振盪し、それから室温にて16時間放置した。布地サンプルは、次いで50℃にて乾燥炉中で1時間乾燥した。浸出は、視覚的に観察可能であった。
定量化:50mg布地サンプルS‐004を各3回ずつ秤量し、ピンセットを用いて2mLサンプル小瓶へ移した。各場合において、抽出のための1000μLINT‐STD 01(1mg/mLノナデカン酸メチルエステルを含む標準トルエン溶液)および100μLの5%のメタノール性メタ−触媒溶液はマイクロピペットを用いてピペットに取り込まれた。2mLのサンプル小瓶は、機械的振盪機上で5分間抽出され、密封されて、室温にて少なくとも30分間放置された。触媒(GCカラムの保護)を除去するために、各場合において50±5mgのAmberlyst15を混合物に加え、簡潔に振盪した。混合物は次いで遠心分離され、上澄みはGC小瓶に転送され、含有量判定はGC/MSで実行された。GC分析は267μg/cmのマツヨイグサ油を示し、35mgのマツヨイグサ油/gサンプルに相当した。
【0298】
テスト3
0.4gのE‐021エマルジョンを40mLの水で希釈した。4.0gの仕上げ布地サンプルA‐009(HEMAを含む)を浸漬し、振盪した。活性物質エマルションは、直ちに布地から外へ浸出した。
【0299】
テスト4(S‐005、S‐006)
A‐084(40%メトキシポリエチレングリコール−350−メタクリラートおよび20%の2−エチルヘキシルアクリラートを含むP‐044による仕上げ)上およびA‐088(20%mPEG350メタクリラートおよび40%の2−エチルヘキシルアクリラートを含むP‐067による仕上げ)上のE‐033(LAEエマルジョン)の充填能力(吸収能力)判定のための吸収テスト。皮膚病学の実務において、皮膚に適用されるスキンケア生成物の量は代表的に2mg/cmであり、1〜3%の活性物質含有量および16時間の接触時間を伴う。このことは、次の吸収テストで配慮された。
布地サンプル:A‐084:ポリ(2‐アクリルアミド‐ 2‐メチルプロパンスルホン酸ナトリウム‐stat‐2‐エチルヘキシルアクリラートーstat‐N−(ブトキシメチル)アクリルアミドと60℃にて50〜55分の1機械洗浄後のP‐044とを含むアニオン性PA布地。A‐088:ポリ(2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸ナトリウム‐stat‐2‐エチルヘキシルアクリラートーstat‐N‐(ブトキシメチル)アクリルアミドと60℃にて50〜55分の1機械洗浄後のP‐067とを含むアニオン性PA布地。PA布地:100%PA布地(トリコット)、FusseneggerTextilveredelung GmbH、シャルムーズを前置、重量=135g/m、幅=140cm、色= 0109。
【0300】
サンプル準備では、仕上げPA布地サンプルは、60℃で50〜55分の機械洗浄を経た後に、各場合において重量5.0gの寸法(ほぼ20×20cm)に切断された。各場合において、71.0gの水を150mLの金属圧力シリンダに入れ、4.0gのカチオン性LAEエマルジョンE‐033を加えた。5.0gの布地サンプルA‐084(S‐005)または5.0gの布地サンプルA088(S‐006)を、各金属圧力シリンダに載置し、25℃にて50rpmで作動しているPolymat(サイクル:12秒の回転3秒の休止、12秒の逆回転、等)へただちに挿入した。30分後に各布地サンプルを、スプレー洗浄剤、スポンジ、手ぬぐいおよび水によって前以って洗浄し、次いで室温にて空気乾燥されたスピン乾燥機において、前記液体と一緒に室温にて厳密に1分間、2800rpmで別々に遠心分離した。ブランク値を同様に準備した。
【0301】
重量分析の結果、マツヨイグサ油(1gの理論的最大値の%)を用いた次の充填値が得られた:S‐005、30分:90%;S‐006、30分:91%;ブランク値:8%。
【0302】
具体的に開示された実施形態は、本発明の権利範囲を限定することとして解釈されてはならない。上述の記載および図面に基づいて、開示された例の他に、当業者は様々な可能な変更および改変を認識しており、それらは同様に請求項の保護範囲に入ることを意図するものである。
【図1(a)】

【図1(b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物製品に少なくとも1つの低分子化合物を充填するためのエマルジョンであって、前記少なくとも1つの低分子化合物はエマルジョンの分散相内に含まれ、分散相の粒子の表面が正電荷を有することを特徴とするエマルジョン。
【請求項2】
前記エマルジョンが界面活性化合物としてレシチン、特にホスファチジルコリンレシチンならびに/あるいは1つもしくは2つの長鎖親油性ラジカルを含む第四級アンモニウム化合物、特にベヘニルトリメチルアンモニウムおよび/またはエチル‐N‐α‐ラウロイル‐L‐アルギン酸HClを含むことを特徴とする、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
エマルジョンの分散相内粒子の少なくとも90体積%が1000nm未満、好ましくは700nm未満の流体力学的径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
前記エマルジョンが油中水型エマルジョンであり、前記親油性分散相に少なくとも1つの低分子化合物が存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項5】
前記エマルジョンが水中油中水型エマルジョンであり、前記親油性分散相内の水性分散相に少なくとも1つの低分子化合物が存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項6】
前記エマルジョンがリポソームを含み、リポソーム内の水相に少なくとも1つの低分子化合物が存在することを特徴する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項7】
エマルジョンの分散相粒子の表面電荷が少なくとも15mC/gエマルジョン、好ましくは少なくとも90mC/gエマルジョンであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエマルジョン。
【請求項8】
親油性および/または親水性の低分子化合物を織物製品または創傷被覆材に充填するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエマルジョンの使用。
【請求項9】
前記織物製品または創傷被覆材が請求項19に記載の仕上げ層を有することを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
織物製品に低分子化合物を充填する方法であって、a)織物製品は、接触可能表面が負の電荷を有する仕上げ層を備え、b)前記織物製品が、例えばエマルジョンまたは水溶液に織物製品を浸漬することによって、あるいはエマルジョンまたは水溶液を噴霧することによって、エマルジョンまたは水溶液と一緒になり、前記少なくとも1つの低分子化合物はエマルジョンの分散相に含まれ、分散相内の粒子表面は正電荷を有し、あるいは少なくとも1つの低分子化合物はカチオン性で水溶液に溶解していることを特徴とする、方法。
【請求項11】
ステップb)が繰り返されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が請求項1〜7のいずれか1項に記載のエマルジョンを含むことを特徴とする請求項10または1に記載の方法。
【請求項13】
アクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体からなるアクリル酸コポリマーを含むポリマー化合物であって、a)スルホン酸基によって置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体;b)親水的に置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体;c)親油的に置換した少なくとも1つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体;および、d)架橋剤として作用する少なくとも1つのアクリル酸誘導体および/またはメタクリル酸誘導体を含む、ポリマー化合物。
【請求項14】
前記アクリル酸コポリマーが2‐アクリロイル‐2‐メチルプロパンスルホン酸を含むことを特徴とする、請求項13に記載のポリマー化合物。
【請求項15】
前記アクリル酸コポリマーが親水性モノマーとしてメタクリル酸エチルトリグリコール、メタクリル酸2‐ ヒドロキシエチルおよび/またはメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(mPEG)、特にメトキシポリエチレングリコール(mPEG)1000メタクリラートおよび/またはメトキシポリエチレングリコール(mPEG)350メタクリラートを含むことを特徴とする、請求項13または14に記載のポリマー化合物。
【請求項16】
前記アクリル酸コポリマーが親油性モノマーとして2−エチルヘキシルアクリラートを含むことを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載のポリマー化合物。
【請求項17】
前記アクリル酸コポリマーの少なくとも一つの架橋モノマーがN‐(ブトキシメチル)アクリルアミド、N‐(メチロール)アクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、ρ‐EMKO‐TDI‐o‐HEMAおよびEMKO‐2‐(N‐(tert‐ブチル){[(3−イソシアナートー1,5,5‐トリメチルシクロヘキシル)メチル]アミノ}カルボニルアミノ)エチルメタクリル酸エステルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項13〜16いずれか1項に記載のポリマー化合物。
【請求項18】
前記ポリマー化合物がポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリアミドまたはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載のポリマー化合物。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項に記載のポリマー化合物によって特徴づけられる、織物製品を仕上げるため、または創傷被覆材を被覆するための仕上げ剤配合物。
【請求項20】
請求項13〜18のいずれか1項に記載のポリマー化合物によって特徴づけられる、織物製品上のまたは創傷被覆材上の仕上げ層。
【請求項21】
請求項13〜18のいずれか1項に記載のポリマー化合物を含む仕上げによって特徴づけられる、織物製品。
【請求項22】
請求項13〜18のいずれか1項に記載のポリマー化合物を含む仕上げによって特徴づけられる、創傷被覆材、特に絆創膏の創傷被覆材。

【公表番号】特表2013−503985(P2013−503985A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528304(P2012−528304)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062381
【国際公開番号】WO2011/029723
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(503278728)シェラー テクスティール アクチエンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】