説明

繰り返し使用容器

【課題】簡便な作業でこぼすことなく詰め替え容器から内容物を補充できる繰り返し使用容器を提供すること。
【解決手段】容器本体と、この容器本体の開口部に装着され、注出用のノズルを有するノズルキャップと、ノズルキャップを覆うオーバーキャップとを備えて構成され、前記ノズルキャップを通して内容物を補充する繰り返し使用容器において、前記ノズルキャップは、その中央部に起立した、詰め替え時空気置換用のスリットを有する注出用のノズルを備え、内容物を補充する詰め替え容器の封止部材を破断して開封させる開封部が前記注出用のノズル内に配置されていると共に、前記開封部は前記注出用ノズルの底面より上側に配置されていることを特徴とする繰り返し使用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品を詰め替えて繰り返し使用する容器に関し、補充操作の容易な、ワンタッチ繰り返し使用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤やシャンプーなどのトイレタリー用品や、食用油、調味料、インスタントコーヒーなどの食品は、それぞれ使いやすい形状の専用容器に収納されている。
専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるように、内容物のみを詰め替える詰め替え容器入りの製品が別途販売されていることが多い。
【0003】
例えば液体洗剤の容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、計量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰め替え用の容器としては、軟包装フィルムからなる柔軟な容器に、注出口を形成した容器や、口栓を取付けた容器が一般的に使用されている。
【0004】
繰り返し使用する剛性の容器は、もっぱら注出し易いように設計されているため、この繰り返し使用する容器に対して、詰替え容器から内容物を補充する詰替え操作における利便性を考慮したものでは、必ずしもなかった。
また一方、詰替え容器も、もっぱら安価に製造することに重点を置くあまり、詰替え操作における利便性を十分に考慮したものでは、必ずしもなかった。
【0005】
この問題に対して特許文献1では、繰り返し使用する容器に設けられたノズルを利用して、詰め替え容器の開封を行うことができ、さらに詰め替え容器が自立するために詰め替え中に手で保持している必要のない詰め替え容器が提案されている。
【0006】
この詰め替え容器は、詰め替え容器本体に固定する固定部材と、繰り返し使用容器の開口部にねじ止めして連結される結合部材と、これら固定部材と結合部材との間に配置された容器密封部材とを備えたもので、この詰め替え容器を倒立させてその結合部材を繰り返し使用容器の開口部にねじ止めして使用するというものである。
しかしながら、特許文献1に記載された詰め替え容器は、繰り返し使用容器の開口部にねじ止めして連結することから、その詰め替え作業の際にねじを回す必要があって消費者にとって必ずしも簡便とはいえなかった。
【0007】
さらに、この詰め替え容器は、繰り返し使用する容器と詰め替え容器を結合するために、口栓部に結合部材と容器密封部材という2つの部材を用いているため、容器のコストが高いものとならざるを得ないという欠点があった。
また詰め替え容器を、繰り返し使用する容器の開口部にねじ込んで使用する構造であるため、両者の結合は確実であるが、反面、操作が面倒であるばかりでなく、口栓のコスト面においても不利であるという欠点も残されていた。
【0008】
特許文献2には、可撓性パウチ容器からの内容液の詰め替えであっても、パウチ容器(詰め替え容器)の姿勢に関係なく容易かつ確実にボトル容器(繰り返し使用する容器)口部への内容液の注入が可能であり、かつ取扱いの容易な容器連結具集合体、パウチ容器用スパウト部材及びボトル容器用本体キャップが提案されている。
【0009】
この容器連結具集合体は、パウチ容器に液密に接合されるスパウト部材とボトル容器の口部に液密に嵌着して内容液の注出を案内する本体キャップとからなる容器連結具集合体であって、前記スパウト部材は、内容液を注出案内するスパウト筒と前記スパウト筒の中心線方向に形成されている液通路と前記通路を閉じている薄膜とを有し、前記本体キャップは内容液の注出部にスパイク針部と前記スパイク針部の外側に液案内筒を有し、前記スパイク針部は、前記本体キャップの内外を連通する貫通孔と前記薄膜を刺通可能な鋭利な先端部を有し、前記スパウト部材と前記本体キャップは前記スパイク針部が前記スパウト筒の内側に位置し前記液案内筒が前記スパウト筒の外側に位置する状態で連結可能であるような容器連結具集合体である。
【0010】
また、この本体キャップは、ボトル容器の口部に液密に嵌着して内容液の注出を案内する本体キャップであって、内容液の注出部にスパイク針部と前記スパイク針部の外側に液案内筒を有し、前記スパイク針部は前記本体キャップの内外を連通する貫通孔と鋭利な先端部を有し、前記液案内筒は前記本体キャップの内外を連通する連通穴を有するボトル容器用本体キャップである。
【0011】
このボトル容器用本体キャップのスパイク針(開封部)はその下部がノズルキャップの底面から起ちあがった、すなわち本体キャップの内外の境界となるノズルキャップの底面と同じ高さに配置していたため、開口部分として設けることが可能な連通穴の面積が狭く、さらにノズルキャップ内側の断面積も狭いために、繰り返し使用しているうちに、目詰まりすることが頻繁に見受けられた。
【0012】
特許文献3には、繰り返し使用容器が、一般に、注出ノズルと、この注出ノズルを覆うオーバーキャップとを備えることに着目し、簡便な作業で内容物を補充できる繰り返し使用容器として、注出ノズルが、内容物を補充する詰め替え容器の封止部材を破断して開封させる先端を有する開封部を備えると共に、前記オーバーキャップが、筒状の側壁と、この側壁に着脱自在に構成された天板とで構成されている繰り返し使用容器が提案されている。
【0013】
この繰り返し使用容器によれば、内容物の補充に当たって、まず、天板をはずしてノズルキャップを露出させ、次に、詰め替え容器を倒立させ、詰め替え容器の封止部材にノズルの先端を挿通させ、この封止部材を破断することにより、詰め替え容器を開封する。
【0014】
このように、詰め替え容器はノズルの先端に接触して初めて開封されるから、予め詰め替え容器を開封する必要がなく、誤って周囲にこぼすおそれもない。そして、開封によって流出した内容物の大部分は注出ノズル内を通って繰り返し使用容器内に充填されるが、一部注出ノズル外に流出した内容物も筒状側壁に囲まれた領域を通って繰り返し使用容器の内部に確実に充填されるから、このときにもこぼれることがない。
【0015】
しかしながら、この繰り返し使用容器の注出ノズルは、特許文献2に提案されている繰り返し使用容器と同様に、その下部が内外の境界となるノズルキャップの底面と同じ高さに配置しているため、開口領域として設けることが可能な連通穴の面積が狭いために、繰り返し使用しているうちに、目詰まりする危険があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−99082号公報
【特許文献2】特開平9−193954号公報
【特許文献3】特開2011−20742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記の事情に鑑み、本発明は詰め替え容器からの繰り返し使用容器への内容液の詰め替え時において、詰め替え容器から容易かつ確実に繰り返し使用容器への内容液の注入が可能であり、取扱いの容易な繰り返し使用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口部に装着され、注出用のノズルを有するノズルキャップと、ノズルキャップを覆うオーバーキャップとを備えて構成され、前記ノズルキャップを通して内容物を補充する繰り返し使用容器において、前記ノズルキャップは、その中央部に起立した、詰め替え時空気置換用のスリットを有する注出用のノズルを備え、内容物を補充する詰め替え容器の封止部材を破断して開封させる開封部が前記注出用のノズル内に配置されていると共に、前記開封部は前記ノズルキャップの底面より上側に配置されていることを特徴とする繰り返し使用容器である。
【0019】
容器本体と、この容器本体の開口部に装着され、注出用のノズルを有するノズルキャップと、ノズルキャップを覆うオーバーキャップとを備えて構成され、前記ノズルキャップを通して内容物を補充する繰り返し使用容器において、前記ノズルキャップは、その中央部に起立した、詰め替え時空気置換用のスリットを有する注出用のノズルを備え、内容物を補充する詰め替え容器の封止部材を破断して開封させる開封部が前記注出用のノズル内に配置されていることによって、内容物の補充に当たって、まず、天板をはずしてノズルキャップを露出させ、次に、詰め替え容器を倒立させ、詰め替え容器の封止部材にノズルの先端を挿通させ、この封止部材を破断することにより、詰め替え容器を開封することが出来る。
【0020】
このように、詰め替え容器はノズルの先端に接触して初めて開封されるから、予め詰め
替え容器を開封する必要がなく、誤って周囲にこぼすおそれもない。
そして、開封によって流出した内容物の大部分は注出ノズル内を通って繰り返し使用容器内に充填されるが、一部注出ノズル外に流出した内容物も筒状側壁に囲まれた領域を通って繰り返し使用容器の内部に確実に充填されるから、このときにもこぼれることがない。
【0021】
さらに、前記開封部は前記ノズルキャップの底面より上側に配置されているので、注出用のノズルの底面部分がノズルキャップ底面の開口部分を塞いで狭くするということがなく、繰り返し使用においても開口部分の目詰まりを起こすことがなくなった。
ノズルキャップの内径が大きいほど詰め替えに要する時間は短縮出来るが、計量時の作業性を考慮すると内径は20mm以下であることが望ましい。
【0022】
本発明の請求項2に係る発明は、前記開封部が、筒状の形状であることを特徴とする請求項1に記載の繰り返し使用容器である。
開封部が筒状の形状であることにより、詰め替え時に内容物が筒内部の空洞を通って整流された状態で移動するので空気置換用のノズルの空隙を塞ぐことが少なく、短時間で内容物の詰め替えを行うことが出来る。
【0023】
本発明の請求項3に係る発明は、前記開封部が、板状の形状であることを特徴とする請求項1に記載の繰り返し使用容器である。
開封部が板状の形状であることにより、詰め替え時に内容物がノズル内部の空洞を通って移動する障害になることが少ない形状で先端の鋭利な形状を選択することが出来、短時
間で内容物の詰め替えを行うことが出来る。
【0024】
本発明の請求項4に係る発明は、前記開封部の先端から前記詰め替え容器の封止部材を破断して挿入する長さが前記詰め替え容器の口栓内径以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の繰り返し使用容器である。
開封部の先端が詰め替え容器の封止部材を破断したときの封止部材片が開封部先端の外側に封止部に連接して残っている状態では、この部材片が内容物の流路を塞いでしまうということが起こる。
開封部の先端から詰め替え容器の封止部材を破断して挿入する長さを、封止部材の貼着されている詰め替え容器の口栓の内径以上とすることによって破断された封止部材で流路を塞ぐことが防止できるので詰め替え作業をスムースに行うことが出来る。
【0025】
本発明の請求項5に係る発明は、前記開封部の下端の前記注出ノズルのスリットの側に、前記スリットの対向側が開口するような邪魔板を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の繰り返し使用容器である
邪魔板を設けたことにより、繰り返し使用容器からの内容物の注出時(計量時)に注出流量調整を行い出し過ぎを防止することが出来る。
さらに、ノズルキャップのスリットの側にスリットの対向側が開口するような邪魔板を設けたことにより、詰め替え容器から繰り返し使用容器への内容物の詰め替えの際に繰り返し使用容器中の空気の置換流路を確保し詰め替え速度をアップすることが出来る。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明の繰り返し使用容器によれば、詰め替え容器からの繰り返し使用容器への内容液の詰め替え時において、詰め替え容器から容易かつ迅速に繰り返し使用容器への内容液の注入が可能であり、ねじ等を操作する必要がないので、極めて簡単に補充できる、内容物の詰まりの少ない、取扱いの容易な繰り返し使用容器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の繰り返し使用容器の上部断面略図。
【図2】本発明の繰り返し使用容器(図1)のa−a’線断面略図。
【図3】本発明の繰り返し使用容器(図1)の底面部を上部から見た略図。
【図4】本発明の繰り返し使用容器の上部断面略図(開封時)。
【図5】従来の繰り返し使用容器の上部断面略図。
【図6】従来の繰り返し使用容器(図5)のa−a’線断面略図。
【図7】従来の繰り返し使用容器の底面部を上部から見た略図。
【図8】従来の繰り返し使用容器の上部断面略図(開封時)。
【図9】本発明の繰り返し使用容器のノズルキャップ外観略図。(1)開封部筒状、(2)開封部板状。
【図10】本発明の繰り返し使用容器の上部断面略図(邪魔板つき)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0029】
図1は本発明の繰り返し使用容器の一例の上部断面略図を、図2は本発明の繰り返し使用容器(図1)のa−a’線断面略図を、図3は本発明の繰り返し使用容器(図1)の底面部を上部から見た略図を、図4は本発明の繰り返し使用容器の開封時の上部断面略図を示している。
【0030】
比較のために上記の図1から図4に対応する従来の繰り返し使用容器の一例の説明図を
図5から図8に示した。すなわち、図5は従来の繰り返し使用容器の上部断面略図を、図6は従来の繰り返し使用容器(図5)のa−a’線断面略図を、図7は従来の繰り返し使用容器の底面部を上部から見た略図を、図8は従来の繰り返し使用容器の開封時の上部断面略図を示している。
【0031】
まず、従来の繰り返し使用容器の実施形態の例から説明する。
繰り返し使用容器(1)の本体(11)はたとえば、プラスチック製ブローボトルであり、その開口部にノズルキャップ(12)が装着されている。ノズルキャップ(12)には、その中央部に注出ノズル(121)が起立している。この注出ノズル(121)は、図5及び図6から分かるように、断面が略円筒形の形状を有しており、この円筒形の筒の底辺に相当する位置に切り欠け(12a)を有している。この円筒形の内側は繰り返し使用容器(1)の内部に連通する空洞となっている。
【0032】
そして、注出ノズル(121)の内側に設けられた開封部(124)は上部先端が斜め方向に裁断された形状を有しており、その先端が後述する詰め替え容器の封止部材(23)を破断することができるように鋭利な形状を有している。そして、使用する際には、繰り返し使用容器(1)を傾けることにより、内容物は略円筒形状の注出ノズル(121)に案内されて、その外部に注出される。
なお、前記切り欠け(12a)に連続して、スリット(12b)が設けられており、注出の際にはこのスリット(12b)を通して繰り返し使用容器(1)内部へ空気が流入する。
【0033】
そして、このノズルキャップ(12)は、中央に起立した前記注出ノズル(121)の周囲を内容物戻し用流路(122)が囲んでおり、更にその周囲を周壁(123)が囲んでいる。こうして注出ノズル(121)と周壁(123)に挟まれた内容物戻し用流路(122)は、その下流が前記スリット(12b)に連通している。
注出ノズル(121)から内容物を注出した後、その注出ノズル(121)の先端に付着した内容物はこの内容物戻し用流路(122)に滴下し、スリット(12b)を通って繰り返し使用容器(1)の内部に戻る。
【0034】
このため、注出ノズル(121)の先端に付着した内容物が繰り返し使用容器(1)の外部にこぼれることがなく、周囲を汚すことがない。
なお、繰り返し使用容器(1)を傾けて内容物を注出する際、周壁(123)が注出作業を妨害することがないように、その高さは注出ノズル(121)より低く構成されている。
【0035】
なお、図5に示す繰り返し使用容器(1)は、パッキンを介してノズルキャップ(12)を覆うオーバーキャップ(図示せず)を備えている。これは保存時に繰り返し使用容器(1)内部に外部から不純物が混入することを防ぐものである。
また、オーバーキャップは容器が転倒した際に内容物がこぼれることを防止する機能を併せ持つこともある。
また、一般に、オーバーキャップは繰り返し使用容器(1)からこのオーバーキャップの内部に内容物を注出することにより、その量を計量する計量カップの役割を担っていることが通常である。
【0036】
そして、注出ノズル(121)の内径は、詰め替え容器の口栓(22)の外径よりわずかに大きく構成されている。
このため、注出ノズル(121)は繰り返し使用容器(1)に内容物を補充する際に、口栓(22)を案内する筒状のガイド部材の役割を果たすことができる(図8参照)。
【0037】
図8には、繰り返し使用容器(1)の詰め替え容器開封時の上部断面の略図を示した。詰め替え容器本体は図から省略してある。
開封時には、注出ノズル(121)の先端で詰め替え容器の口栓(22)出口に装着してある、フィルムやアルミニウム箔等の封止部材(23)を破断する。この際、内容物の大部分は注出ノズル(121)内に流出するが、一部分注出ノズル(121)外に流出することがある。
【0038】
また、封止部材(23)が破断した時点で内容物が周囲に飛散することがある。この問題に対しては、オーバーキャップの筒状の側壁の高さを注出ノズルの先端より高く構成することにより、封止部材(23)が破断するとき、口栓(22)の先端は側壁の内部にあるため、詰め替え容器から流出する内容物は側壁内部に流出し、飛沫の飛散もなく、全量を繰り返し使用容器(1)内部に誘導することができる。
【0039】
図6は図5のボトルのa−a’線断面略図、図7は同じく図5のボトルの底面部を上部から見た略図である。
このボトルでは、先端の尖った円筒状の開封部(124)がノズルキャップ(12)の底面Cと連結して保持されているので、図7に示したように、注出用のノズルの底面部分がノズルキャップ底面の開口領域を塞いで狭くするということが起こり、その結果として、繰り返し使用を重ねた場合に開口領域の目詰まりを起こすことが多かった(図7参照)。
【0040】
また、このボトルでは、円筒状の開封部(124)がノズルキャップ(12)の底面(C)から注出ノズル(121)の内部をその先端近くまで存在しているので、図6に示したように、注出ノズル(121)の内部の断面積が狭くなってしまい、その結果として、繰り返し使用を重ねた場合に目詰まりを起こすだけでなく、詰め替えに時間がかかることが多かった(図6参照)。
【0041】
これに対して、以下に本発明の実施形態に係る繰り返し使用容器の一例について、まず図1から図4を用いて説明する
【0042】
本発明に係る繰り返し使用容器(1)の本体(11)はたとえば、プラスチック製ブローボトルであり、その開口部にノズルキャップ(12)が装着されている。ノズルキャップ(12)には、その中央部に注出ノズル(121)が起立している。
この注出ノズル(121)は、図1から分かるように、断面が略円筒形の形状を有しており、この円筒形の底辺に相当する位置に切り欠け(12a)を有している。この円筒形の内側は繰り返し使用容器(1)の内部に連通する空洞となっている。
【0043】
そして、注出ノズル(121)内には、内容物を補充する詰め替え容器の封止部材を破断して開封させる開封部が、ノズルキャップ(12)の底面Cよりも上側に配置されており、その先端は詰め替え容器の封止部材(23)を破断することができるように鋭利な形状を有している。
通常、このノズルキャップ(12)は、その内側に開封部(124)を備えた注出ノズル(121)と一体で射出成形等の方法で成形されたポリエチレン樹脂等のプラスチックからなる。開封部(124)の先端斜部は注出ノズル(121)に覆われているため、手あるいは眼等身体に直接触れる恐れはない。
【0044】
図2は図1のボトルのa−a’線断面略図、図3は同じく図1のボトルの底面部を上部から見た略図である。
このボトルでは、先端の尖った円筒状の開封部(124)が注出ノズルの内側に開封部保持具(125)によって保持されているので、図3に示したように、注出用のノズルの
底面部分がノズルキャップ底面の開口領域を塞いで狭くするということがなく、その結果として、繰り返し使用を重ねた場合にも開口領域の目詰まりを起こすことが少なくなった。
【0045】
また、このボトルでは、円筒状の開封部(124)がノズルキャップ(12)の底面Cより高い位置で注出ノズル(121)の内部に固定されているので、図2に示したように、注出ノズル(121)の内部の断面積が狭くなってしまう部分が少なく、その結果として、繰り返し使用を重ねた場合に目詰まりを起こすことがなく、詰め替えにかかる時間を短縮することが出来る。
【0046】
以上の実施形態では、本発明に係る繰り返し使用容器は開封部(124)の形状が先端を斜めに断裁した筒状である場合について説明した。
開封部(124)が筒状の形状であることにより、詰め替え時に内容物が筒内部の空洞を通って整流された状態で移動するので、短時間で内容物の詰め替えを行うことが出来る。
【0047】
開封部(124)の形状は筒状に限られず、たとえば、板状の形状であってもよい。開封部が板状の形状であることにより、詰め替え時に内容物がノズル内部の空洞を通って移動する流路の障害になることが少ない形状で先端の鋭利な形状を選択することが出来る。
図9の(1)には開封部(124)の形状が筒状の場合、図9の(2)には開封部(124)の形状が板状の場合のそれぞれについて、ノズルキャップ(12)の外観を例示した。
【0048】
図4に示した開封時の上部断面略図において、開封部(124)の先端から詰め替え容器の封止部材(23)を破断して挿入する長さBが詰め替え容器の口栓(22)の内径A以上であることによって封止部材(23)の断片による流路障害を起こすことなく内容物の詰め替えをスムースに行うことが出来る。
【0049】
開封部(124)の先端が詰め替え容器の封止部材(23)を破断したときの封止部材片、が開封部先端のすぐ外側の流路に封止部に連接して残っている状態では、この部材片が内容物の流れを塞いでしまうということが起こる。
開封部(124)の先端から詰め替え容器の封止部材を破断して挿入する長さ(図4のB)を、封止部材(23)の貼着されている詰め替え容器の口栓(22)の内径(図4のA)以上とすることによって破断された封止部材で上記のように流路を塞がれてしまうことが防止できる。
【0050】
さらに本発明の繰り返し使用容器では、図10に示したように、開封部(124)の下端の注出ノズル(121)のスリット(12b)の側に、前記スリットの対向側が開口するような邪魔板を設けることも出来る。開封部(124)の下端に邪魔板(127)を設けたことにより、繰り返し使用容器からの内容物の注出時(計量時)の注出流量を抑制して出し過ぎを防止することが出来る。
【0051】
また、ノズルキャップ(12)のスリット(12b)の側にスリットの対向側が開口するような邪魔板(127)を設けたことにより、詰め替え時の内容物の流れDと空気の流れEとを分離して、詰め替え容器から繰り返し使用容器への内容物の詰め替えの際に繰り返し使用容器中の空気の置換流路を確保することによって詰め替え速度をアップすることが出来る。
【0052】
本発明の繰り返し容器の内容物詰め替えに用いられる詰め替え容器としては、口頸部を備えた軟質プラスチック製パウチやプラスチック製ブローボトルが通常用いられる。
このパウチやボトルの材質としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの周知のプラスチックが用いられる。
【0053】
そして、その口頸部を詰め替え容器口栓(22)とし、その開口部に封止部材(23)を接着して塞いでいる。さらに、パッキンを介して封止部材(23)を覆うキャップを備えている。
内容物としては液状のものが好ましく、例えば、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどが挙げられる。
【0054】
詰め替え容器の封止部材(23)としては特に限定されるものではないが、伸長性に乏しく、破断し易いものが好ましい。例えば、伸長性に乏しいプラスチックフィルムである。
あるいは、このプラスチックフィルムにアルミニウム箔、紙、セロハン等を貼り合わせた積層体等を使用することもできる。封止部材(23)は接着剤を使用して接着することができる。また、ヒートシールによって接着することも可能である。
【0055】
次に、繰り返し使用容器としてブローボトル(1)に内容物を補充する方法について、図4を用いて説明する。
【0056】
内容物の補充に当たっては、まず、ブローボトル(1)のオーバーキャップを開いてノズルキャップ(12)を露出させ、また、詰め替え容器のキャップをはずして封止部材(23)を露出させる。
そして、詰め替え容器を倒立させ、詰め替え容器の口栓(22)の外側が注出ノズル(121)の内側に沿って挿通するように詰め替え容器を押し込む。
【0057】
詰め替え容器の口栓(22)の先端には封止部材(23)が接着されているから、口栓(22)を押し込むに従い、開封部(124)の先端は、まず、この封止部材(23)に接触する。
次に、注出ノズル(121)の進入に伴い、封止部材(23)は開封部(124)の先端によって破断する。
【0058】
封止部材(23)が破断して詰め替え容器が開封され、内容物が詰め替え容器から流出し、注出ノズル(121)の内部を通ってブローボトル(1)の内部に収容される。
なお、封止部材(23)が破断されて内容物が詰め替え容器から流出するとき、口栓(22)の先端は注出ノズル(121)の内側に嵌入しているから、流出した内容物のほとんどはブローボトル(1)内部に充填される。
一部注出ノズル外に流出した内容物も筒状の側壁に囲まれた領域を通って繰り返し使用容器の内部に確実に充填されるから、このときにもこぼれることがない。
【0059】
ブローボトルは注出ノズル(121)の周囲に内容物戻し用流路(122)を有し、この内容物戻し用流路の周囲には周壁(123)が設けられているから、封止部材(23)の破断位置から流出した内容物は周壁に囲まれた領域に流出する。そして、周壁内の内容物戻し用流路(122)を通って繰り返し使用容器であるブローボトル(1)内部に充填される。このため、繰り返し使用容器の外部にこぼれることがないのである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の容器はトイレタリー製品、液体洗剤、柔軟剤、ハンドソープなど以外にも、詰め替えの必要な用途の容器として広く用いることが出来る。
【符号の説明】
【0061】
1…繰り返し使用容器
11…繰り返し使用容器本体(プラスチック製ブローボトル)
12…ノズルキャップ
121…注出ノズル
122…内容物戻し用流路
123…ノズルキャップ周壁
12a…切り欠け
12b…スリット
124…開封部
125…開封部保持具
126…開口領域
127…邪魔板
22…詰め替え容器口栓
23…封止部材
A…開封部保持具から開封部先端までの距離
B…詰め替え容器口栓内径
C…ノズルキャップ底面
D…詰め替え時の内容物の流れ
E…詰め替え時の空気の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の開口部に装着され、注出用のノズルを有するノズルキャップと、ノズルキャップを覆うオーバーキャップとを備えて構成され、前記ノズルキャップを通して内容物を補充する繰り返し使用容器において、
前記ノズルキャップは、その中央部に起立した、詰め替え時空気置換用のスリットを有する注出用のノズルを備え、内容物を補充する詰め替え容器の封止部材を破断して開封させる開封部が前記注出用のノズル内に配置されていると共に、前記開封部は前記ノズルキャップの底面より上側に配置されていることを特徴とする繰り返し使用容器。
【請求項2】
前記開封部が、筒状の形状であることを特徴とする請求項1に記載の繰り返し使用容器。
【請求項3】
前記開封部が、板状の形状であることを特徴とする請求項1に記載の繰り返し使用容器。
【請求項4】
前記開封部の先端から前記詰め替え容器の封止部材を破断して挿入する長さが前記詰め替え容器の口栓内径以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の繰り返し使用容器。
【請求項5】
前記開封部の下端の前記注出ノズルのスリットの側に、前記スリットの対向側が開口するような邪魔板を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の繰り返し使用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−224362(P2012−224362A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93029(P2011−93029)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】