説明

缶体保護弁

【課題】スムーズで確実に動作する、安全な缶体保護弁を提供すること。
【解決手段】流入路1と、流出路2と、流入路1を封じるパッキン4と、パッキン4を流入路1にガイド5を介して固定するバネ6と、バネ6を調圧設定する調圧軸7と、外郭を形成するボディ3とを備え、パッキン4を抑えていない方のガイド5の端部を略円筒形状にし、ガイド5の略円筒形状の端部をバネ6に内挿したことにより、しっかりとバネとガイドとが固定されるため、パッキンと流入路との間に漏れが発生しにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯機の加圧破損を防止する缶体保護弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ式給湯機や電気温水器などの貯湯タンクを有する給湯機には、貯湯タンクの加圧破損を防止するために、圧力逃がし構造を有している。
【0003】
図3は、従来の貯湯式給湯機の概略図である。図3に示すように、従来の貯湯式給湯機は、水を貯える貯湯タンク101と、給水源から減圧弁102を介して貯湯タンク101へ給水を行う給水配管103と、貯湯タンク101内の水を加熱する加熱手段(図示せず)と、加熱手段により沸き上げられた膨張水を貯湯タンク外へ排出する逃がし弁104と、減圧弁102または逃がし弁104の故障時に、貯湯タンク101内が所定圧力以上になると、貯湯タンク101外に水を排出する缶体保護弁105を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図4は、従来の貯湯式給湯機に備えられていた缶体保護弁の構成図である。図4に示すように、従来の缶体保護弁105は、外郭を形成するボディ201に、水が流入する流入路202および水が流出する流出路203が形成されており、流入路202と流出路203とはボディの内部で流路が繋がっている構成になっている。
【0005】
そして流入路202と流出路203とを結ぶ流路内に、流入路202を覆うパッキン204を備えており、パッキン204はガイドである座金205を介して、バネ206で抑えられており、バネ206を調圧設定するための調圧軸207を有している。そして調圧軸207でバネ208の圧力設定を行い、流入路202からある一定の圧力(調圧軸207で設定したバネ208の圧力)以上が掛かったときに、パッキン204が動いて、流入路202から流出路203へと水を排出する。なお、座金205の形状は、図5に示すように、三角の突起部を有しており、極少ないポイントでボディ201と当接している。
【特許文献1】特開2006−132859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の缶体保護弁は、シール部であるパッキン204を調圧バネ206で、ただ強く押し付けているだけの構成であるため、流出路203の先端で凍結などで目詰まりや閉塞されると圧力バランスが崩れ、バネがパッキンを押し付けているバランスを崩し、その結果、パッキン204と流入路202との間に微小に漏れが発生し、湯水の漏れが止まらないという課題を有していた。また、一旦漏れるとバネが座屈したままで、元に戻りにくい。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、スムーズで確実に動作する、安全な缶体保護弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の缶体保護弁は、流入路と、流出路と、流入路を封じるパッキンと、パッキンを流入路にガイドを介して固定するバネと、バネを調圧設定する調圧軸と、外郭を形成するボディとを備え、パッキンを抑えていない方のガイドの端部を略円筒形状にし、ガイドの略円筒形状の端部をバネに内挿したことにより、しっかりとバネとガイドとが固定されるため、パッキンと流入路との間に漏れが発生しにくく
なる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、スムーズで確実に動作する、安全な缶体保護弁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明の缶体保護弁は、流入路と、流出路と、流入路を封じるパッキンと、パッキンを流入路にガイドを介して固定するバネと、バネを調圧設定する調圧軸と、外郭を形成するボディとを備え、パッキンを抑えていない方のガイドの端部を略円筒形状にし、ガイドの略円筒形状の端部をバネに内挿したことにより、しっかりとバネとガイドとが固定されるため、パッキンと流入路との間に漏れが発生しにくくなる。
【0011】
第2の発明の缶体保護弁は、特に第1の発明において、ガイドの外周壁の一部、もしくはガイドの外周壁の一部に対向して位置するボディの内壁に、複数個の突起形状を形成し、ガイドの外周壁の一部とボディの内壁とは前記突起形状で当接することにより、ボディとガイドとの位置関係が決定され、ガイドが動きにくい構成となるため、パッキンと流入路との間に漏れがさらに発生しにくくなる。
【0012】
第3の発明の缶体保護弁は、特に第1または第2の発明において、パッキンに対向して位置するガイドの一部に空気を抜くための空気穴を備えたことにより、ただ単にガイド部にパッキンを挿入しただけだと、内部の温度上昇等により、ガイドとパッキンとの隙間に発生した空気の膨張により、パッキンの浮きやはみ出しが生じるため、空気穴を設けることにより、それを防止することができる。
【0013】
第4の発明の缶体保護弁は、特に第1から第3の発明において、ボディの内径寸法よりも、ガイドの長さ寸法を大きくしたことにより、傾いて挿入されることをなくす構造となる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における缶体保護弁の構成図である。図1に示すように、本発明の缶体保護弁は、水の流入路1および流出路2を有するボディ3で外郭が形成されている。流入路1は配管を通して高温水を貯えている貯湯タンク(図示せず)に接続される。また、流出路2側は外部空気に開放されている。流入路1と流出路2はボディ3内部の流路で繋がっており、貯湯タンク内の圧力が異常に高まった時に、流入路1から流出路2へ湯水が排出される構成となっている。
【0016】
また、流入路1と流出路2とをつなぐ流路には、パッキン4が設けてあり、パッキン4で流入路1を覆う構成となっている。パッキン4は背面側からガイド5を介してバネ6で圧力が掛けられており、流入路1をパッキン4で覆っている。そのため、バネ6で掛けている圧力以上の水圧を流入路1の外側から掛けられると、バネ6が圧縮する方向に力が働き、流入路1から水が流入する。
【0017】
次に、ガイド5の形状について説明する。図2(a)は、ガイド5の構成図である。図2(a)において、ガイド5のパッキン4側には、パッキン4の一部が内挿するような空間である凹部51を有しており、パッキン4の背面側から押圧する平面部52を備える。また、バネ6はコイル形状であり、内部に空間を有している。そこで本発明では、バネ6の内部の空間にガイド5の一部を内挿して、バネ6の振れ幅を小さくしている。そのため
ガイド5にはバネ6に内挿する凸部53を有している。
【0018】
また、パッキン4側の凹部51から外部へ空気を逃がすための流路である空気穴54を設けており、内部の温度上昇等により、ガイド5とパッキン4との隙間に発生した空気の膨張により、パッキンの浮きやはみ出しが生じることを防止している。
【0019】
また、図2(b)は、図2(a)のX方向からの正面図である。図2(b)に示すように、ボディ3とガイド5とが当接する箇所には、複数個の突起形状55を有しており、ボディ3とガイド5との位置関係が決定され、ガイドが動きにくい構成となる。なお、図2(b)はガイド5側の一部に突起形状55を設けたが、これに限定されることはなく、図2(c)に示すように、ガイド5の外周壁の一部に対向して位置するボディ3の内壁に、複数個の突起形状を設けてもよい。
【0020】
また、ガイド5の長さ寸法Aは、ボディ3の内径寸法Bよりも長く構成している。このように構成することで、ガイド5が傾いてボディ3内に挿入されることを防止している。
【0021】
また、バネ6にはバネ圧を調節するための調圧軸7を有している。この調圧軸7でバネ圧を調節することで、どれくらいの水圧が掛かったときにバネが動作して、流入口1から流出口2へ水を逃がすかを設定している。
【0022】
以上のように構成された缶体保護弁が取り付けられた貯湯式給湯機は、通常のタンク内の圧力は、逃し弁や減圧弁で調節されているが、これらの部品が故障した際には、流入口1に調圧軸7で設定した以上の圧力が掛かるようになり、その結果、パッキン4がバネ6方向に押され、流入口1から流出口2へと水を逃がすように動作する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のような、本発明に係る缶体保護弁は、電気ヒーターやヒートポンプユニットといった加熱手段を備え、貯湯タンクを有する貯湯式給湯機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における缶体保護弁の構成図
【図2】(a)同実施の形態1におけるガイドの構成図(b)X方向正面図(C)X方向正面図(別形態図)
【図3】従来の貯湯式給湯機の構成図
【図4】従来の缶体保護弁の構成図
【図5】従来のガイドの正面図
【符号の説明】
【0025】
1 流入口
2 流出口
3 ボディ
4 パッキン
5 ガイド
6 バネ
7 調圧軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入路と、流出路と、前記流入路を封じるパッキンと、前記パッキンを前記流入路にガイドを介して固定するバネと、前記バネを調圧設定する調圧軸と、外郭を形成するボディとを備え、前記パッキンを抑えていない方の前記ガイドの端部を略円筒形状にし、前記ガイドの略円筒形状の端部を前記バネに内挿したことを特徴とする缶体保護弁。
【請求項2】
前記ガイドの外周壁の一部、もしくは前記ガイドの外周壁の一部に対向して位置するボディの内壁に、複数個の突起形状を形成し、前記ガイドの外周壁の一部と前記ボディの内壁とは前記突起形状で当接することを特徴とする請求項1に記載の缶体保護弁。
【請求項3】
前記パッキンに対向して位置する前記ガイドの一部に空気を抜くための空気穴を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の缶体保護弁。
【請求項4】
前記ボディの内径寸法よりも、前記ガイドの長さ寸法を大きくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の缶体保護弁。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−151212(P2010−151212A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329325(P2008−329325)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】