説明

缶体搬送状態異常検出装置

【課題】缶体の搬送状態の誤検出をなくして、搬送状態の異常を確実に検出することができる缶体搬送状態異常検出装置及び缶体搬送状態異常検出方法を提供する。
【解決手段】缶体搬送状態異常検出装置1は、コンベア21に載置されて下流側に搬送される缶体3の搬送状態を判定し、前記コンベア21の搬送速度に対応した基準信号Pを出力する基準信号出力部13と、前記缶体3の搬送状態を監視し、前記缶体3の搬送状態を示す搬送信号Sを出力する搬送状態監視部12と、前記搬送状態監視部12から入力された前記搬送信号Sに基づいて前記缶体3の搬送状態の異常を検知すると、前記搬送信号Sおよび前記基準信号Pに基づいて、異常が検知された前記搬送信号Sの直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体3の搬送状態が異常であると判定する異常搬送判定部11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体の搬送状態の異常を検出することができる缶体搬送状態異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム製やアルミニウム合金製の金属板をしぼり加工としごき加工によるプレス成形工程によって成形され、飲料などを充填する容器となる缶体が、製造時において複数同時に洗浄・乾燥されて搬送される際、缶体の開口部は下面を向いている。稀に、前記缶体の開口部が上面を向いた状態で搬送される場合があり、前記缶体に充填した洗浄液や薬剤などが缶体の転倒によって周囲の缶体に付着してしまい、印刷に支障が生じていた。
【0003】
そのため、期待しない状態で搬送される缶体を作業員が目視によって検出していたが、作業員の負担が大きく、缶体の異常な搬送状態を自動で検出する技術が望まれていた。
【0004】
特許文献1には、透過型光電センサにより倒れ缶の検出がなされるとビデオカメラの撮影が行われ、撮影した画像データに基づいて倒れ缶を検出する装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、缶体の開口部を下にして缶底を上にした正立缶の高さを越える状態で搬送される缶体を光電管により検知し、それ以外の倒れ缶を超音波センサにより検出する倒れ缶検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−331333号公報
【特許文献2】特許4329114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたような画像処理装置は高価なものであり、加えて画像による倒れ缶の検出は、材料やロットによって缶内面の光沢の差により、誤検出が生じることがあった。また、缶内面の光沢の差に応じて画像処理における頻繁な設定値変更を余儀なくされ、缶体の搬送状態を正しく検出することが困難であった。
【0008】
また、特許文献2に記載の装置に備える超音波センサの移動装置は高価なものであり、装置の導入や維持に多大なコストがかかるとともに、装置の管理にも多大な作業負担がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、缶体の搬送状態の誤検出をなくして、搬送状態の異常を確実に検出することができる缶体搬送状態異常検出装置及び缶体搬送状態異常検出方法の提供を目的とする。
【0010】
即ち、本発明は下記[1]〜[6]に記載の構成を有する。
【0011】
[1] コンベアに載置されて下流側に搬送される缶体の搬送状態を判定する缶体搬送状態検出装置であって、
前記コンベアの搬送速度に対応した基準信号を出力する基準信号出力部と、
前記缶体の搬送状態を監視し、前記缶体の搬送状態を示す搬送信号を出力する搬送状態監視部と、
前記搬送状態監視部から出力された前記搬送信号に基づいて前記缶体の搬送状態の異常を検知すると、前記搬送信号および前記基準信号に基づいて、異常が検知された前記搬送信号の直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体の搬送状態が異常であると判定する異常搬送判定部と、
を備えることを特徴とする缶体搬送状態異常検出装置。
【0012】
[2] 前記缶体の搬送状態を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像データが入力され、前記画像データを表示する表示制御部と、を備え、
前記異常搬送判定部は、前記缶体の搬送状態が異常であると判定すると、前記画像データの表示を停止する画像停止要求信号を前記表示制御部に出力することを特徴とする前項1に記載の缶体搬送状態異常検出装置。
【0013】
[3] 前記缶体の搬送状態が異常であることを報知する異常報知部を備え、
前記異常搬送判定部は、前記缶体の搬送状態が異常であると判定すると、搬送状態が異常であることを報知する搬送異常報知信号を前記異常報知部に出力することを特徴とする前項1または2に記載の缶体搬送状態異常検出装置。
【0014】
[4] コンベアに載置されて下流側に搬送される缶体の搬送状態を判定する缶体搬送状態検出方法であって、
前記缶体の搬送状態を示す搬送信号および前記コンベアの搬送速度に対応した基準信号に基づいて、異常が検知された前記搬送信号の直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体の搬送状態が異常であると判定することを特徴とする缶体搬送状態異常検出方法。
【0015】
[5] 前記缶体の搬送状態が異常であると判定されると、前記缶体の搬送状態が撮像された画像データの表示を停止することを特徴とする前項4に記載の缶体搬送状態異常検出方法。
【0016】
[6] 前記缶体の搬送状態が異常であると判定されると、搬送状態が異常であることを報知することを特徴とする前項4または5に記載の缶体搬送状態異常検出方法。
【発明の効果】
【0017】
上記[1]に記載の缶体搬送状態異常検出装置によれば、所定期間内に対する異常が検知された積算時間の比率で缶体の搬送状態の判定がなされるので、缶体の搬送状態の誤検出をなくして、搬送状態の異常を確実に検出することができる。また、例えば、比較的低コストのセンサでも搬送状態監視部を構成することができるので、導入や維持にかかるコストを低減するとともに、装置の管理における作業負担を低減することができる。
【0018】
上記[2]に記載の缶体搬送状態異常検出装置によれば、異常と判定した場合に画像データの表示が停止されるので、画像を監視する作業員が搬送状態の異常を認識し易い。
【0019】
上記[3]に記載の缶体搬送状態異常検出装置によれば、異常報知部により缶体の搬送状態異常が報知されるので、作業員が表示制御部の画像などを常時監視していない場合であっても認識し易い。
【0020】
上記[4]に記載の缶体搬送状態異常検出方法によれば、所定期間内に対する異常が検知された積算時間の比率で缶体の搬送状態の判定がなされるので、缶体の搬送状態の誤検出をなくして、搬送状態の異常を確実に検出することができる。また、例えば、比較的低コストのセンサでも搬送状態監視部を構成することができるので、導入や維持にかかるコストを低減するとともに、装置の管理における作業負担を低減することができる。
【0021】
上記[5]に記載の缶体搬送状態異常検出方法によれば、異常と判定した場合に画像データの表示が停止されるので、画像を監視する作業員が搬送状態の異常を認識し易い。
【0022】
上記[6]に記載の缶体搬送状態異常検出方法によれば、異常報知部により缶体の搬送状態異常が報知されるので、作業員が表示制御部の画像などを常時監視していない場合であっても認識し易い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る缶体搬送状態異常検出装置の構成について説明する説明図である。
【図2】図1に係る缶体搬送状態異常検出装置で検査される缶体の搬送状態の一例について説明する説明図である。
【図3】図1に係る缶体搬送状態異常検出装置における缶体の搬送状態異常検出を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、缶体搬送状態異常検出装置1の構成を説明する説明図、図2は、図1の缶体搬送状態異常検出装置1で検査される缶体3の搬送状態の一例について説明する説明図、図3は、図1の缶体搬送状態異常検出装置1における缶体3の搬送状態異常検出処理を表すフローチャートである。
【0026】
缶体3は、印刷工程に送られる前に、メッシュコンベア21(以降、「コンベア」と記す。)上で搬送されながら、缶体3の内外表面に付着したクーラントが薬液シャワーで洗浄される洗浄工程がある。そして、洗浄後に乾燥される乾燥工程がある。この洗浄・乾燥工程では、缶体3の底面を上にした正立缶の状態でコンベア21上を搬送される必要がある。
【0027】
図1に示す缶体搬送状態異常検出装置1は、基準信号出力部13、搬送状態監視部12及び缶体3の搬送状態が異常であると判定する異常搬送判定部11を含んで構成され、缶体3の洗浄・乾燥工程がなされる前にコンベア21に載置されて下流側に搬送される缶体3の搬送状態を判定するものである。
【0028】
缶体搬送状態異常検出装置1は、缶体3がその開口部を下にして缶底を上にした正立缶の状態で搬送されていると搬送状態が正常であると判定し、缶体3が横倒しの状態である倒れ缶、或いは缶底を下にして開口部を上にした逆立缶の状態で搬送されていると搬送状態が異常であると判定するように構成されている。
【0029】
(基準信号出力部について)
缶体3が搬送される缶体搬送部2に備えたコンベア21は、回転駆動可能な複数の搬送ローラ22を備えている。当該搬送ローラ22が回転駆動することによって、コンベア21に載置された複数の缶体3が整列した状態で搬送されながら洗浄及び乾燥される。
【0030】
搬送ローラ22aには、その回転量をコンベア21の搬送速度に対応した基準信号Pとなるパルス信号に変換して異常搬送判定部11へ出力する基準信号出力部13として、例えばロータリーエンコーダーが連結されている。
【0031】
基準信号出力部13は、コンベア21の搬送ローラ22aの回転に伴って駆動され、所定の間隔で回転角度ごとにパルス信号を出力する。
【0032】
(搬送状態監視部について)
コンベア21の上方には、缶体3の搬送状態を監視する搬送状態監視部12を備える。
【0033】
搬送状態監視部12は、物体に照射する照射光を発光する発光部と、物体から反射した反射光を受光する受光部と、反射光を受光するとセンサ信号、即ち、搬送信号Sを出力する信号出力部とを有している。搬送状態監視部12には、例えば、レーザー変位センサが好適に用いられる。
【0034】
図2を参照して搬送信号Sについて説明すると、正立缶Aの状態で搬送される場合には、受光部で反射光を受光しないため信号出力部から搬送信号Sは出力されない。
【0035】
缶体3が倒れ缶B,Cの状態で搬送される場合、或いは逆立缶Dの状態で搬送される場合には、受光部で反射光が受光され、信号出力部から搬送信号Sが出力される。
【0036】
これは、搬送状態監視部12から発光される照射光を反射する反射面が、搬送状態監視部12において反射光を受光可能な範囲を示す反射光検出範囲Rに位置する場合にのみ反射光が受光されるからである。
【0037】
搬送状態監視部12から発光される照射光を反射する反射面が、反射光検出範囲Rの上限である反射光検出範囲上限Tよりも低い位置にあり且つ反射光検出範囲Rの下限である反射光検出範囲下限Tよりも高い位置にある場合に、搬送状態監視部12の受光部で反射光が受光され、搬送信号Sを異常搬送判定部11に出力するように構成されることで実現される。換言すれば、反射光検出範囲上限Tよりも高い位置で反射した場合及び反射光検出範囲下限Tよりも低い位置で反射した場合には、搬送状態監視部12の受光部で当該反射光を受光することはない。
【0038】
缶体3の搬送状態が正立缶A以外の状態である場合に反射光を受光するように搬送状態監視部12が設置されるので、搬送信号Sの出力状態によって缶体3の搬送状態の正常或いは異常を判定することができる。
【0039】
尚、搬送状態監視部12には、受光部で受光する光の強弱を一定量に自動調整できるようにセンサアンプなどを設ける。
【0040】
搬送状態監視部12は、缶体3の搬送状態を示す搬送信号Sを後述する異常搬送判定部11へ出力するように構成されている。
【0041】
(異常搬送判定部について)
缶体3の搬送状態の異常を判定する異常搬送判定部11は、缶体3の搬送状態の異常を判定するためのプログラムが記憶される記憶部、各種信号の入出力が行われる信号入出力部、及び前記プログラムが実行されるCPUなどの制御部などを備える。異常搬送判定部11には、例えば、PLC(Programable Logic Controller)やマイクロコンピュータなどが用いられる。このような構成により、例えば、判定条件等が変更になった場合であっても、容易にプログラムの変更を行うことができる。
【0042】
信号入出力部には、基準信号出力部13から所定の間隔で出力される基準信号P及び搬送状態監視部12から出力される搬送信号Sが入力される。各信号は、図2の矩形波で示されるようなON−OFF信号として信号入出力部に入力される。以降では、各信号の立ち上がりをON状態、各信号の立下りをOFF状態として説明する。
【0043】
記憶部には、プログラムの他に搬送信号Sの入力状態が記憶される。例えば、信号入出力部に基準信号Pが入力されると、その時点の搬送信号Sの入力状態を記憶するように構成される。
【0044】
制御部は、記憶部に記憶された情報に基づいて缶体3の搬送状態の異常を判定する。
【0045】
制御部は、信号入力部に搬送状態監視部12からの搬送信号Sが入力されたことを検知すると、記憶部に記憶された当該搬送信号Sが入力された直近の所定回数に渡る搬送信号Sの入力状態を参照して、即ち、搬送信号Sが入力された直近の基準信号Pに基づいた所定期間分(例えば、50パルス分)の搬送信号Sの入力状態を参照して、缶体3の搬送状態を判定する。
【0046】
搬送信号Sが入力された直近の50パルスの期間で、搬送信号Sが所定回数(例えば、40回)以上信号入出力部に入力されている場合に、制御部は缶体3の搬送状態が異常であると判定する。異常と判定するための所定時間は、所定期間に対する80%〜100%の時間である。
【0047】
前記所定期間は、搬送状態が異常な様々な缶体3のうち、缶体3の反射面が反射光検出範囲Rに存在する期間が最も短いものを採用している。図2を参照すると、搬送状態が異常な缶体3である倒れ缶B,C及び逆立缶Dのうち、逆立缶Dの場合における搬送信号Sの入力信号が最も短いことが分かる。そこで、前記所定時間は、逆立缶Dの搬送信号Sが入力される時間よりも僅かに短く設定しておけば良い。尚、前記所定時間の設定値が短過ぎると、正常に搬送されている缶体3の搬送信号Sが何らかの要因により入力された場合などに誤検出が生じるため、誤検出が生じないように実験データなどに基づいて決定されることが好ましい。
【0048】
この時、制御部は、50パルス中で、搬送信号Sの入力が積算して40回(或いは40パルス)以上あれば、缶体3の搬送状態が異常であると判定する。このような判定により、異常搬送される缶体3の搬送信号Sの入力が何らかの要因により途切れた場合であっても、搬送状態の異常を確実に検出できる。
【0049】
上述したように、異常搬送判定部11は、前記搬送状態監視部12から出力された前記搬送信号Sに基づいて前記缶体3の搬送状態の異常を検知すると、前記搬送信号Sおよび前記基準信号Pに基づいて、異常が検知された前記搬送信号Sの直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体3の搬送状態が異常であると判定するのである。
【0050】
図2に図示する搬送信号Sの状態以外にも、例えば、缶体3がやや傾斜した状態で搬送されることにより、缶体3の搬送状態の異常を検出したとして搬送信号SがON状態で信号入出力部に入力される、或いは、正立缶Aの状態で搬送されているのにも関わらず、経年劣化により表面に凸凹などの変形が生じたコンベア21で搬送されるなどして、缶体3の搬送状態の異常を検出したとして搬送信号SがON状態で信号入出力部に入力される場合がある。
【0051】
缶体3がやや傾斜した状態で搬送されて異常が検出された場合であっても、上述したように異常搬送判定部11は、所定期間の内の所定時間以上で缶体3の搬送状態の異常が検知された場合にのみ搬送状態が異常であると判定するので、誤判定が生じない。経年劣化によりコンベア21の表面に凹凸などの変形が生じている場合には、反射光検出範囲下限Tをコンベア21の表面の変形度合いに合わせて変更してやればよい。なぜなら、例えば図2に示す逆立缶Dが搬送されるコンベア21に凹みが発生すると、コンベア21の凹み箇所ではコンベア21の変形のない箇所と比較して逆立缶Dの搬送高さが下がり、逆立缶Dの底部が反射光検出範囲下限Tを超える時間が短くなる。従って、前記搬送信号Sが信号入力部に入力される時間が短くなり、逆立缶Dの検出が困難となるからである。
【0052】
異常搬送判定部11は、搬送信号SがON状態で信号入出力部に入力されている場合であっても、所定期間の内の積算された所定時間以上で缶体3の搬送状態の異常が検知されていなければ、缶体3の搬送状態が異常であると判定しない。
【0053】
尚、所定期間及び所定時間は、コンベア21に缶体3を載置して、正常搬送状態及び異常搬送状態で搬送するなどした実験データに基づいて決定されている。記憶部には、所定期間のみ缶体3の搬送状態を記憶すればよいため、たいしてメモリ容量を必要としない。
【0054】
(表示制御部について)
缶体搬送状態異常検出装置1は、前記缶体3の搬送状態を撮像する撮像部14と、前記撮像部14で撮像された画像データDが入力され、前記画像データDを表示する表示制御部15と、を備える。
【0055】
缶体3が搬送されるコンベア21の上方に撮像部14が配置され、撮像部14で撮像された画像が表示制御部15で画像データDに変換されて、表示制御部15に備えるモニタなどの表示媒体を介して画像が表示される。
【0056】
撮像部14及び表示制御部15を備えることにより、作業員が缶体搬送状態異常検出装置1から離れた場所にいる場合にも缶体3の搬送状態を確認することができるので、搬送状態の監視に縛られることなく効率的に作業することができる。
【0057】
前記異常搬送判定部11は、前記缶体3の搬送状態が異常であると判定すると、前記画像データDの表示を停止する画像停止要求信号Sを前記表示制御部15に出力する。表示制御部15は、画像停止要求信号Sが入力されると、撮像部14から入力された画像の表示を搬送状態が異常と判定された画像で停止させる。このような構成により、異常と判定した場合に画像データDの表示が停止されるので、画像を監視する作業員が搬送状態の異常を認識し易い。
【0058】
(異常報知部について)
缶体搬送状態異常検出装置1は、前記缶体3の搬送状態が異常であることを報知する異常報知部16を備える。
【0059】
異常報知部16には、警報音を出力させるスピーカーなどを備える音声出力部と、LEDなどの光源が回転表示、点滅表示、点灯表示、或いは点滅・点灯表示の両方を行うような警告表示をする警告表示部などを備える。
【0060】
異常搬送判定部11は、前記缶体3の搬送状態が異常であると判定すると、搬送状態が異常であることを報知する搬送異常報知信号Sを前記異常報知部16に出力する。
【0061】
異常報知部16は、搬送異常報知信号Sが入力されたことを検知すると、音声出力部で警報音を出力し、警告表示部で警告表示を実行して、缶体3の搬送状態が異常であることを報知する。このような構成にすることで、異常報知部16により缶体3の搬送状態異常が音や光で報知されるので、作業員が表示制御部15の画像を常時監視していない場合であっても認識し易い。
【0062】
また、搬送状態監視部12は、故障などの異常が発生した場合に、異常が発生したことを示す異常発生信号を異常搬送判定部11に出力する。異常報知部16には、異常発生信号を受けた異常搬送判定部11により上述の搬送異常報知信号Sとは異なる信号が入力される。異常報知部16は、当該信号が入力されると、搬送異常報知信号Sの入力時とは相違した色、表示、音などで搬送状態監視部12に異常が発生したことを報知する。
【0063】
搬送異常報知信号Sの入力時とは相違した色、表示、音などで搬送状態監視部12に異常が発生したことが報知されるので、作業員はどのような異常によって報知が行われているのかを容易に認識することができる。
【0064】
加えて、異常報知部16には、上述した搬送状態監視部12からの異常発生信号以外の異常を示す信号が入力されるのであってもよい。例えば、コンベア21の稼動状態或いは停止状態を検出するとともに、基準信号Pが入力される稼動状態検出部を缶体搬送部2に備え、稼動状態検出部によって基準信号Pが入力されている状態でコンベア21が停止状態であることが検出されると、異常報知部16にコンベア21の状態が異常であることを示す信号が入力されるように構成されるのであってもよい。また、缶体搬送状態異常検出装置1に備える各種センサに異常が発生した場合に、当該センサの異常を示す信号が異常報知部16に入力されるように構成されるのであってもよい。各種異常を示す信号を受けることにより、異常報知部16は各種異常を報知する。
【0065】
以降では、図3のフローチャートに基づいて、異常搬送判定部11が実行する缶体3の搬送状態の異常を判定する異常判定処理について説明する。
【0066】
異常搬送判定部11は、搬送状態監視部12からの搬送信号Sが入力されて、缶体3の搬送状態が異常であることを検知すると(ステップS1)、異常搬送判定部11の記憶部を参照して現時点から直近の所定期間(例えば、50パルス)分の搬送信号Sの入力状態を読み出す(ステップS2)。
【0067】
ステップS1で、搬送状態監視部12からの搬送信号Sの入力が異常搬送判定部11で検知されなければ、異常搬送判定部11は引き続き搬送信号Sの入力が検知されるまで待機する。
【0068】
記憶部から読み出したデータに基づいて、直近の所定期間内で所定時間(例えば、40パルス)以上の搬送信号Sが入力されていれば(ステップS3)、異常搬送判定部11は、缶体3の搬送状態が異常であると判定する(ステップS4)。
【0069】
続いて、異常搬送判定部11は、表示制御部15に画像停止要求信号Sを出力して、缶体3の搬送状態が異常であることを表示制御部15に通知するとともに、撮像部14から入力される画像データDの表示媒体への表示を停止するように要求する(ステップS5)。
【0070】
さらに、異常搬送判定部11は、異常報知部16に搬送異常報知信号Sを出力して、缶体3の搬送状態が異常であることを異常報知部16に通知するとともに、音声出力部及び警告表示部を介して、缶体3の搬送状態が異常であることを報知するように要求する(ステップS6)。
【0071】
ステップS3で、異常搬送判定部11によって搬送状態監視部12からの搬送信号Sの入力が検知されなければ、異常搬送判定部11は缶体3が正常に搬送されていると判定して、引き続き搬送信号Sの入力が検知されるまで待機する。
【0072】
以上説明したように、缶体搬送状態異常検出装置1によって、前記缶体3の搬送状態を示す搬送信号Sおよび前記コンベア21の搬送速度に対応した基準信号Pに基づいて、異常が検知された前記搬送信号Sの直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体3の搬送状態が異常であると判定する缶体搬送状態異常検出方法がなされるのである。
【0073】
以上説明したような構成により、所定期間内に対する異常が検知された積算時間の比率で缶体3の搬送状態の判定がなされるので、缶体3の搬送状態の誤検出をなくして、搬送状態の異常を確実に検出することができる。また、比較的低コストであるレーザー変位センサを搬送状態監視部として採用することで、導入や維持にかかるコストを低減するとともに、装置の管理における作業負担を低減することができる。
【0074】
上述では、記憶部にプログラム及び搬送信号Sの入力状態の両方が記憶されるように説明したが、プログラムと搬送信号Sの入力状態はそれぞれ別の記憶媒体に記憶されるのであってもよい。
【0075】
上述では、表示制御部15に備えた表示媒体のみで缶体3の搬送状態を表示するように説明したが、複数の表示媒体で表示するように構成するのであってもよい。
【0076】
例えば、撮像部14からの撮像画像の画像信号を2つの表示媒体へ出力するために分配器を備え、分配器を介してそれぞれの表示媒体へ画像信号が出力されるように構成する。分配器から出力された一方の画像信号は、上述の説明と同様に画像データDに変換されて、表示制御部15に入力される。入力された撮像画像は表示制御部15で表示される。
【0077】
分配器から出力された他方の画像信号は、ビデオデッキなどに入力されてアナログビデオ信号に変換され、テレビなどの表示媒体に表示される。当該表示媒体は、表示制御部15の設置場所とは異なる場所に設置されるのであってもよいし、同一の場所に設置されるのであってもよい。
【0078】
尚、表示制御部15を設けずに、撮像部14の画像信号がアナログビデオ信号に変換されて表示される表示媒体のみで構成されるのであってもよい。
【0079】
上述した異常報知部16に備える音声出力部は、警報音が出力されるように説明したが、警報音に限定されるものではなく、合成音声によって報知の理由を出力するように構成されるのであってもよく、特に限定されるものではない。また、異常報知部16は、音声出力部及び警告表示部を備えて構成されるのが好適であるが、必ずしも両方を備える必要はなく、何れか一方のみを備えて報知するように構成されるのでもよい。
【0080】
上述の説明中の数値については、いずれも設計事項であり、実施例に限定されるものではない。
【0081】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1…缶体搬送状態異常検出装置
2…缶体搬送部
3…缶体
11…異常搬送判定部
12…搬送状態監視部
13…基準信号出力部
14…撮像部
15…表示制御部
16…異常報知部
21…コンベア
22…搬送ローラ
…搬送信号
…画像停止要求信号
…搬送異常報知信号
P…基準信号
D…画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアに載置されて下流側に搬送される缶体の搬送状態を判定する缶体搬送状態検出装置であって、
前記コンベアの搬送速度に対応した基準信号を出力する基準信号出力部と、
前記缶体の搬送状態を監視し、前記缶体の搬送状態を示す搬送信号を出力する搬送状態監視部と、
前記搬送状態監視部から出力された前記搬送信号に基づいて前記缶体の搬送状態の異常を検知すると、前記搬送信号および前記基準信号に基づいて、異常が検知された前記搬送信号の直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体の搬送状態が異常であると判定する異常搬送判定部と、
を備えることを特徴とする缶体搬送状態異常検出装置。
【請求項2】
前記缶体の搬送状態を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像データが入力され、前記画像データを表示する表示制御部と、を備え、
前記異常搬送判定部は、前記缶体の搬送状態が異常であると判定すると、前記画像データの表示を停止する画像停止要求信号を前記表示制御部に出力することを特徴とする請求項1に記載の缶体搬送状態異常検出装置。
【請求項3】
前記缶体の搬送状態が異常であることを報知する異常報知部を備え、
前記異常搬送判定部は、前記缶体の搬送状態が異常であると判定すると、搬送状態が異常であることを報知する搬送異常報知信号を前記異常報知部に出力することを特徴とする請求項1または2に記載の缶体搬送状態異常検出装置。
【請求項4】
コンベアに載置されて下流側に搬送される缶体の搬送状態を判定する缶体搬送状態検出方法であって、
前記缶体の搬送状態を示す搬送信号および前記コンベアの搬送速度に対応した基準信号に基づいて、異常が検知された前記搬送信号の直近の所定期間内で異常と判定された時間の積算時間が所定時間を超過している場合に、前記缶体の搬送状態が異常であると判定することを特徴とする缶体搬送状態異常検出方法。
【請求項5】
前記缶体の搬送状態が異常であると判定されると、前記缶体の搬送状態が撮像された画像データの表示を停止することを特徴とする請求項4に記載の缶体搬送状態異常検出方法。
【請求項6】
前記缶体の搬送状態が異常であると判定されると、搬送状態が異常であることを報知することを特徴とする請求項4または5に記載の缶体搬送状態異常検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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