説明

【課題】デザイン性を高めた缶を上から握った場合の持ち易さを確保すると同時に、既存の製造設備への適応性を高め、さらには、製造時における缶胴の高さのバラツキを抑制できること。
【解決手段】缶蓋3及び缶底4のうち少なくとも缶蓋3が筒状の缶胴2の一端に巻締められてなる缶1であって、缶底4側よりも缶蓋3側の位置において、缶胴2の側壁に周方向に形成された凹部16を備える。凹部16を画定する上側ライン16a及び下側ライン16bの少なくとも一つは、中心軸Yに関して対称形となるように山部18aと谷部18bとが周方向に交互に繰り返したウェーブ状のラインである。山部18a及び谷部18bの数は、それぞれ3〜7個のいずれかであり、上側ライン16aの少なくとも一部は、缶蓋3の上端から19.5mm〜22.5mmの範囲に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶などに用いられる缶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、商品の個別化・差別化の観点から、缶胴に凹凸模様を形成した個性的な缶(いわゆる異形缶)が提案され、実施されている。このような異形缶の製缶方法として、スチール製の缶材料をエキスパンド成形することが広く知られている(参照:例えば特許文献1)。
【0003】
異形缶は、消費者の注意を惹くデザイン性を主眼としつつも、持ち易さ・飲み易さといった様々な観点を考慮して製造されている。
例えば特許文献2では、2ピースアルミニウム缶又は3ピースアルミニウム缶の缶胴に環状の凹部を形成しており、指の入れ易さの観点から凹部の幅を15mm以上としている。また、持ち易さの観点から凹部の位置を缶胴の上端から下方に30mm以上としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−132984号公報
【特許文献2】特開2009−298428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2では、既存の製造設備に対する観点を欠いている。このため、実際に特許文献2の缶を製造するには、既存の製造設備を大幅に改良する必要があり、現実的ではなかった。また、凹部のデザインについても、単純に上下のラインを直線としたものである。このため、デザイン性を主眼としているにも関らず、消費者に与える印象が大きいとは言えなかった。さらに、缶を横方向から握った場合には凹部に指を入れて持ち易いものの、缶を上から握った場合には、凹部までの距離が30mm以上と大きいため、凹部に指を入れることが困難であった。
とりわけ、実際の飲用実態として、缶を振ったり、缶を片手で開けたり、缶を車のホルダーから取り出したり、さらにはタバコや荷物を持ちながら缶も持ったりするなどの場合、缶を上から握ることが多い。しかし、特許文献2の缶では、このような飲用実態への配慮を欠いており、缶の上部付近の握り易さを改善する余地が十分にあった。
【0006】
また、例えばエキスパンド成形を用いて異形缶を製造する場合、凹部の態様によっては、缶胴の高さに生じるバラツキが大きくなる。これは、拡径量の違いなどに起因すると推測されるが、このバラツキが許容範囲を超えると、その後の製造工程における缶蓋又は缶底とのシーマーによる巻き締めが不良となってしまう。そのため、異形缶を製造するに際しては、缶胴の高さのバラツキにも十分に配慮する必要がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、デザイン性を高めた缶を上から握った場合の持ち易さを確保すると同時に、既存の製造設備への適応性を高め、さらには、製造時における缶胴の高さのバラツキを抑制することができる、缶を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく、本発明の缶は、缶蓋及び缶底のうち少なくとも缶蓋が筒状の缶胴の一端に巻締められてなる缶であって、缶底側よりも缶蓋側の位置において、缶胴の側壁に周方向に形成された凹部を備え、凹部を画定する上側ライン及び下側ラインの少なくとも一つは、中心軸に関して対称形となるように山部と谷部とが周方向に交互に繰り返したウェーブ状のラインであり、山部及び谷部の数は、それぞれ3〜7個のいずれかであり、上側ラインの少なくとも一部は、缶蓋の上端から19.5〜22.5mmの範囲に位置しているものである。
【0009】
本発明によれば、ウェーブ状のラインを有する凹部で形成しているので、従来の直線的なラインのみからなる凹部と比較してデザイン性を高めることができる。また、凹部の上側ラインの位置を上記の範囲としているので、ユーザーが缶を上方から握った場合にも指が上側ラインに十分にとどき得る。そのため、上方から握った場合にも凹部への指のかかりが保障されるので、上述した飲用実態に十分に配慮した持ち易さを提供することができる。
【0010】
加えて、ウェーブ状のラインとし、上側ラインの位置を上記の範囲としていることで、既存の製造設備に対する適応性を確保しつつ、凹部の幅をできるだけ大きくすることができる。この理由について、実施形態で用いる図6、7を例に以下に説明する。
【0011】
図6に示す領域S1及びS2は、複数の既存の製造設備が共通して缶胴に接触する領域である。凹部が領域S1、S2の間の領域S3に形成されるのであれば、既存の製造設備が缶胴に接触する部分は凹凸がない面となるので、接触性は阻害されない。この場合、凹部が直線的な上側ライン及び下側ラインからなる従来のものであると、凹部の幅は最大でも9mmにしか設定することができず、これでは凹部を利用した持ち易さが発揮されない。
【0012】
これに対し、本発明のウェーブ状のラインであれば、その山部の高さの分だけ、凹部の幅を大きく設定することができる。この場合、缶胴の周方向としても見れば部分的ではあるものの、既存の製造設備に対する接触性を確保することができる(参照:図7)。また、上側ラインの位置を上記の範囲としていることで、領域S1での接触要求を満たす。したがって、ウェーブ状のラインであれば、上側ラインの位置について既存の製造設備との関係で制約がある状況であっても、既存の製造設備に対する適応性(接触性)を確保しつつ、凹部の幅をできるだけ大きくすることができるのである。
【0013】
一方で、ウェーブ状のラインとすると、直線的なラインからなる従来のものと比べて、缶胴の製造時に缶胴の高さにバラツキが生じ易くなるという背反がある。
この点、本発明では、ウェーブ状のラインとして、中心軸に関して対称形となるように山部と谷部とが周方向に交互に繰り返したものとしている。このため、非対称形の曲線などと比べて、製造時(例えばエキスパンド成形時)に生じ得る高さのバラツキを抑制することができる。また、本発明では、ウェーブ状のラインにおける山部・谷部の数について、上記した範囲としているので、製造(例えばエキスパンド成形)のし易さとデザイン性とを両立することができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、上側ライン及び下側ラインは、いずれも正弦波状のラインであり、且つ、互いに平行であるとよい。
【0015】
また、好ましい別の一態様によれば、上側ライン及び下側ラインの一方は、正弦波状のラインであり、上側ライン及び下側ラインの他方は、直線状のラインであるとよい。
【0016】
このように、ウェーブラインの態様を、矩形波や台形波ではなく、正弦波状とすることで、ウェーブラインが缶胴に形成し易くなる。とりわけ、エキスパンド成形を用いる場合には、その成形性を向上することができる。また、上下のラインが互いに平行なウェーブラインである場合には、エキスパンド成形性がより一層良好となるため、エキスパンド成形後の高さのバラツキをより一層抑制することができる。
【0017】
これらの場合、山部及び谷部の数は、それぞれ3個であるとよい。こうすることで、缶胴の成形時にその高さのバラツキが生じた場合であっても、高さレベルの最も高い位置が3点となり得る。よって、三点支持の原理により、面が一つに規定されるので、4個以上の場合とバラツキが同レベルであっても、当該面への巻き締めに対して有効となる。
【0018】
好ましくは、山部及び谷部の振幅は、1.75mm以下であるとよい。この数値を超えるような振幅であると、山部・谷部の数にもよるが、製造(例えばエキスパンド成形)することが難しくなり、また、それによる高さのバラツキが大きくなるからである。
【0019】
好ましくは、下側ラインの少なくとも一部は、缶蓋の上端から31.5〜35.5mmの範囲に位置しているとよい。
【0020】
好ましくは、上側ラインと下側ラインとの間の幅は、大きくとも12〜14mmの範囲にあるとよい。こうすることで、指のかかり易さの観点に加えて、既存の製造設備との関係及び缶胴の製造時の高さバラツキの観点を考慮したものとすることができる。
【0021】
好ましくは、凹部は、缶胴をエキスパンド成形することにより、形成されているとよい。人が握り易さを体感し得る量としての加工段差を確保し易いからである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る第1の缶を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図2】(a)は図1に示す第1の缶に寸法の一例を追加した正面図であり、(b)は第1の缶の缶胴の展開図である。
【図3】実施形態に係る第2の缶を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る第3の缶を示す正面図である。
【図5】既存の製造設備の一例を示す図である。
【図6】既存の製造設備の加速アーム及びキャンフィードチェーンが接触する缶の位置を示す図である。
【図7】図2に示す凹部と、図6に示す加速アーム及びキャンフィードチェーンの共通接触領域との位置関係を示す図である。
【図8】実施形態に係る第1〜第3の缶の缶胴と比較例に係る缶胴について、エキスパンド成形後の高さ変化の解析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について、3ピース飲料缶を例に説明する。以下の説明では、缶において、缶蓋が存在する方を上側とし、缶底が存在する方を下側とする。高さとは、缶の中心軸の方向(上下方向)に沿った長さを意味する。
【0024】
1.缶の構造の概略
本実施形態の対象となる缶として、代表的な3つの缶の構造について説明する。これら3つの缶は、缶胴に形成する凹部の態様を除き、各構造は同じである。
【0025】
(1)第1の缶(両側ウェーブライン)の構造
図1に示すように、第1の缶1aは、缶胴2、缶蓋3及び缶底4を備える。ここでは、缶胴2、缶蓋3及び缶底4はそれぞれ別の部材からなり、円筒形の缶胴2の上端に缶蓋3が巻き締められ且つ缶胴2の下端に缶底4が巻き締められることで、缶胴2の両端開口が閉塞した缶1aが構成されている。缶蓋3には、飲み口8を開封するためのタブ9(いわゆるSOT)が設けられている。
【0026】
缶胴2は、胴本体10と、胴本体10の上部に連続する縮径部12と、胴本体10の下部に連続する縮径部14と、を備える。縮径部12,14は、胴本体10よりも小さい外径で構成されており、それぞれ、缶蓋3、缶底4との境界に位置する。胴本体10には、その周方向に亘って凹部16が形成されている。胴本体10において、凹部16と縮径部12との間にある上側筒部17a、及び、凹部16と縮径部14との間にある下側筒部17bは、凹みを有しない非凹部として形成されており、互いに同じ外径を有している。
【0027】
凹部16は、缶底4側よりも缶蓋3側に近い位置に形成された帯状の溝部である。凹部16は、上側ライン16a及び下側ライン16bによって画定されている。すなわち、上側ライン16aが、凹部16と上側筒部17aとの境界を画定し、且つ、下側ライン16bが、凹部16と下側筒部17bとの境界を画定している。
【0028】
図2(a)に示すように、凹部16の縦断面は、中央部が最も深くなるように上側ライン16a及び下側ライン16bから中央部にかけて缶胴2の内方へと傾斜し、中央部に平坦な面を構成したものとなっている。なお、凹部16の最大深さは、例えば、約1.15mmであるが、これに限定されるものではなく、缶胴2の成形限界まで凹部16を深くすることが可能である。一方で、凹部16が浅すぎると、指のかかり易さが損なわれるので、上方からの指のかかり易さを確保する観点からは凹部16の深さは0.5mm以上とすることが好ましい。なお、上方からの指のかかり易さを確保する観点によれば、凹部16の深さは、側方からの指のかかり易さのために必要とされる深さよりも小さくて足りる。
図2(b)に示すように、上側ライン16a及び下側ライン16bは、いずれも、缶胴2の中心軸Yに対して対称形となるように山部18aと谷部18bとが缶胴2の周方向に交互に繰り返したウェーブ状のラインである。ここでは、上側ライン16a及び下側ライン16bは、いずれも正弦波状からなり、互いに平行に延在している。
【0029】
(2)第2の缶(上側ウェーブライン、下側ストレートライン)の構造
図3に示すように、第2の缶1bは、凹部16の下側ライン16bを直線状のラインとしたものである。この直線状のラインは、中心軸Yに直交する平面内にある。なお、上側ライン16aの態様については、図1に示した上側ライン16aの態様と同じである。
【0030】
(3)第3の缶(上側ストレートライン、上側ストレートライン)の構造
図4に示すように、第3の缶1cは、凹部16の上側ライン16aを直線状のラインとしたものである。この直線状のラインは、中心軸Yに直交する平面内にある。なお、下側ライン16bの態様については、図1に示した下側ライン16bの態様と同じである。
【0031】
以下の説明では、第1〜第3の缶1a〜1cを缶1と総称し、それぞれの缶について個別に言及する場合にのみ、対応する符号a〜cのいずれかを缶1に添えることとする。
【0032】
2.缶の製造方法
次に、上述した缶1の如くの異形缶の製造方法について説明する。
【0033】
この種の異形缶を製造する技術としては、エンボス成形、ビード成形及びエキスパンド成形などがある。本実施形態では、凹部16について、人が握り易さを体感し得る量としての加工段差(例えば1.1mm〜1.5mm)を確保し易い観点から、エキスパンド成形を用いて缶胴2を製造している。
【0034】
具体的に、缶胴2を製造するには、まず、筒状の缶部材(加工前の缶胴2)の内側に所定の金型を挿入し、この金型を膨らませ、それにより筒状の缶部材についてエキスパンド成形を行う。エキスパンド成形により、筒状の缶部材の中央部を膨らませて、縮径部12,14よりも大径の胴本体10を形成し、また、これと同時に胴本体10に凹部16を形成する。その後、筒状の缶部材の上端開口部及び下端開口部に、缶蓋3及び缶底4を巻き締めるのに用いるフランジ(図示省略)を形成する。以上により、巻き締め前の缶胴2が完成する。
【0035】
その後、缶1を製造するまでの工程としては、まず、缶胴2とは別に製造しておいた缶蓋3を、缶胴2の上端側のフランジに巻き締め、缶胴2の上端開口を閉塞する。次いで、この状態の缶部材(以下、このような缶蓋3付きの缶胴2を「空缶」という場合がある。)をフィラー(充填機)に搬送し、フィラーにて空缶に内容物を充填する。続いて、シーマーに搬送し、シーマーにて缶胴2の下端側のフランジに缶底4を巻き締め、缶胴2の下端開口を閉塞する。以上により、内容物を充填した缶1が製造される。
【0036】
ここで、缶1の素材としては、金属であれば各種のものを用いることができるが、缶胴2及び缶底4にはスチールを用い、缶蓋3にはアルミを用いることが好適である。こうすることで、いわゆる陰圧缶として構成され、充填後の打検を適切に行うことができると共に、エキスパンド成形後の缶胴2に必要な強度をもたせることができる。
【0037】
なお、他の実施態様では、缶底4にアルミを用いることもできるし、缶胴2にアルミを用いることもできる。したがって、本実施形態は陽圧缶の適用を排除するものではない。
【0038】
ここで、缶1に充填する内容物としては、水、緑茶、ウーロン茶及び果汁などの非炭酸飲料を挙げることができるが、その中でも、陰圧缶の場合にはコーヒーが適している。また、炭酸飲料を用いることもできるが、その場合には陽圧缶として構成した場合に適したものとなる。さらに、ゼリー状飲料にも適用することができるし、飲料に限らず、ソース等の食品にも適用することができる。もっとも、流動性が低い内容物の場合には、飲み口8に相当する排出口を大きくすることが望ましい。
【0039】
3.凹部16の具体的態様(位置、幅など)
缶1a〜1cの凹部16は、後述する様々な観点に鑑み、以下の具体的態様を具備することが好ましい。
【0040】
(1)凹部16の位置(上側ライン16aの位置)
図2(a)及び図3に示す上側ライン16aは、缶蓋3の上端から20mmの範囲にあり、波の振幅が1mmとなっている。すなわち、缶蓋3の上端からの距離は、上側ライン16aの山部18aまでが18mmで、谷部18bまでが20mmである。
図4に示す上側ライン16aは、缶蓋3の上端からの距離が20mmである。
【0041】
ここで、上側ライン16aの位置については、飲み易さ及び上方からの握り易さの観点に加え、既存の製造設備との関係から決定することが望ましい。
【0042】
詳細に説明すると、上側ライン16aを缶蓋3に近づけ過ぎると、ユーザーは、飲用時に唇が上側ライン16aに接して、飲み難いなどの違和感を覚える可能性がある。一方で、上側ライン16aを缶蓋3から遠ざけ過ぎると、ユーザーは、缶1を上方から握った際に指が上側ライン16aに掛からなかったり、掛かったとしても持ち難くなったりしてしまう。そのため、飲み易さと上方からの握り易さのバランスを重視するのであれば、上側ライン16aの位置は缶蓋3の上端から15〜23mm程度が望ましい。
【0043】
しかし、そのような範囲では、既存の製造設備に適応することが困難であることが本発明者によって確認されている。本発明者の知見によれば、既存の製造設備への適応性を満たすには、上側ライン16aは、少なくともその一部が缶蓋3の上端から19.5〜22.5mmの範囲に位置している必要がある。この点の詳細については、後記「4.」に記載する。
【0044】
したがって、本実施形態に係る上側ライン16aは、正弦波状であっても直線状であっても、少なくともその一部が缶蓋3の上端から19.5〜22.5mmの範囲に位置していればよい。本実施形態の好ましい一例として図2(a)、図3及び図4に示した寸法は、この範囲に属している。なお、本発明はこの寸法に限定されるものではない。
【0045】
なおまた、上側ライン16aの上方にある非凹部の面としては、10mm程度の幅が確保されるので、この面を缶1の商品名などを印刷する印刷エリアとして活用することができる。
【0046】
(2)凹部16の幅
図2(a)に示す凹部16の幅、すなわち上側ライン16aと下側ライン16bとの間隔は、12.5mmである。図3及び図4に示す凹部16の幅は、互いに同じであり、10.5mm〜12.5mmの間で周方向で変化する。詳細には、図3に示す凹部16では、最大幅(上側ライン16aの山部18aと下側ライン16bとの間隔)が12.5mmであり、最少幅(上側ライン16aの谷部18bと下側ライン16bとの間隔)は10.5mmである。図4についても図3と同様である。
【0047】
ここで、凹部16の幅については、指のかかり易さの観点に加え、既存の製造設備との関係及び缶胴2の製造時の高さバラツキの観点から決定することが望ましい。
【0048】
詳細に説明すると、凹部16の幅が狭すぎると(例えば10mmの幅)、ユーザーは、缶1を把持する際に指を凹部16に引っ掛け難くなる。一方で、凹部16の幅が広すぎると、缶1を把持した際に、他の指まで中途半端に凹部16に入ってしまい、そのためにユーザーは違和感を覚える可能性がある。それゆえ、1本の指のみが十分に入る程度の幅を重視するのであれば、その幅は15〜20mmとなる。
【0049】
しかし、上側ライン16aの位置を上述した範囲に形成する前提においては、凹部16の幅を15〜20mmとすると、既存の製造設備に適応することが困難となることが本発明者によって確認されている。本発明者の知見によれば、既存の製造設備への適応性を満たすには、上側ライン16aの位置を上述した範囲に形成する場合、凹部16の幅は14mm以下とする必要がある。この点の詳細については、後記「4.」に記載する。なお、ある条件下では、凹部16の幅が大きくなるなど、缶胴2の製造時にその高さのバラツキが大きくなることも本発明者によって確認されている。この点の詳細については、後記「5.」に記載する。一方で、ユーザーが缶1を上方から握った際に指を凹部16に引っ掛けるのに十分な幅であって、缶1を横から握った際に親指又は人差し指を凹部16においてこれに引っ掛けることができる幅という観点、すなわち指のかかり易さの観点によれば、凹部16の幅は12mm以上とすることが望ましい。
【0050】
したがって、本実施形態に係る凹部16の幅は、12〜14mmの範囲であればよい。なお、この範囲に属する図2(a)、図3及び図4に示した寸法は、本実施形態の好ましい一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
(3)ウェーブラインの山・谷
図2(b)に示すように、図2(a)に示す上側ライン16a及び下側ライン16bは、いずれも、山部18a及び谷部18bの数がそれぞれ3個である。この点、図3に示す上側ライン16a及び図4に示す下側ライン16bについても、同じである。なお、以下では、説明を簡略化するため、図2を例に説明する。
【0052】
ここで、ウェーブラインとしての上側ライン16a及び下側ライン16bにおける山部18a及び谷部18bの数については、デザイン性の側面及び製造のし易さの観点に加え、缶胴2の製造時の高さバラツキの観点から決定することが望ましい。
【0053】
詳細に説明すると、山部18a及び谷部18bの数が少なすぎると、振幅にもよるが、凹部16全体としてはウェーブ状模様として認識され難くなり、主眼とするところのデザイン性が低下する。一方で、山部18a及び谷部18bの数が多すぎると、振幅にもよるが、エキスパンド成形することが難しくなる。また、山部18a及び谷部18bの数が増えるほど、缶胴2の製造時にその高さのバラツキが大きくなることが本発明者によって確認されている。
【0054】
したがって、以上の点に鑑み、本実施形態に係る山部18a及び谷部18bの数は、それぞれ3〜7個のいずれかであればよい。
この範囲に属する図2、図3及び図4におけるウェーブラインの山部18a及び谷部18bの数は、本実施形態の好ましい一例に過ぎず、本発明はこれに限定されないことはいうまでもない。なお、山部18a及び谷部18bの好ましい数としては3〜5個であり、より好ましい数としては3個である。この点の詳細については、後記「5.」に記載する。
【0055】
(4)ウェーブラインの振幅
図2(a)に示す上側ライン16a及び下側ライン16bでは、上述したとおり、山部18a及び谷部18bの振幅が1mmである。この点、図3に示す上側ライン16a及び図4に示す下側ライン16bについても、同じである。なお、以下では、説明を簡略化するため、図2を例に説明する。
【0056】
ここで、ウェーブラインとしての上側ライン16a及び下側ライン16bの振幅については、デザイン性の側面及び製造のし易さの観点に加え、既存の製造設備との関係及び缶胴2の製造時の高さバラツキの観点から決定することが望ましい。
【0057】
詳細に説明すると、振幅が大きすぎると、山部18a及び谷部18bの数にもよるが、エキスパンド成形することが難しくなる。また、振幅が大きくなるほど、缶胴2の製造時にその高さのバラツキが大きくなることが本発明者によって確認されている。一方で、振幅が小さすぎると、山部18a及び谷部18bの数にもよるが、凹部16全体としてはウェーブ状模様として認識され難くなり、主眼とするデザイン性が低下しかねない。また、振幅が小さいと、既存の製造設備のガイドに対する接触面積が小さくなる可能性があり、好ましくない。この点の詳細については、後記「4.」に記載する。
【0058】
したがって、以上の点に鑑み、本実施形態に係るウェーブラインの振幅は、0.25mm〜1.75mmの範囲であればよい。この範囲に属する図2、図3及び図4におけるウェーブラインの振幅は、本実施形態の好ましい一例に過ぎず、本発明はこれに限定されないことはいうまでもない。なお、ウェーブラインの好ましい振幅としては1mm〜1.25mmであり、より好ましい振幅としては1mmである。
【0059】
4.凹部16と既存の製造設備との関係
次に、上記した凹部16の位置及び幅並びにウェーブラインの振幅について、既存の製造設備を考慮する理由を説明する。
【0060】
上記「2.」で述べたように、缶1の製造工程では、空缶(缶蓋3付きの缶胴2)は、フィラーとシーマーに搬送されるが、この搬送は、一般に、空缶の側壁(すなわち、缶胴2の側壁)をステンレスのバーなどのガイドでサポートしながら行われる。空缶の側壁に凹凸がなければ、搬送時のガイド・サポートはスムーズとなる。しかし、缶1の如く、空缶の側壁に凹部があると、凹部の位置によっては、搬送時のガイド・サポートが適切になされず、スムーズな搬送が阻害される可能性がある。したがって、空缶における凹部については、搬送の支障とならない位置に形成する必要がある。
【0061】
また、搬送工程に加えて、フィラー及びシーマーでのガイドについても留意する必要がある。
【0062】
例えば、図5に示す既存の製造設備では、搬送されてきた空缶は、上下を反転した状態(すなわち缶蓋3を下側又は接地側とした状態)で円盤状のターレット100に1缶ずつ挿入され、ターレット100からフィラー102の加速アーム104に1缶ずつ受け渡されていく。ターレット100及び加速アーム104は、空缶の側壁をガイド・サポートしながら回転運動を行うが、このガイド・サポートする部位は、空缶の側壁の上下2箇所であることが多い。空缶は、加速アーム104で回転されている間に内容物を充填され、充填後に、加速アーム104からキャンフィードチェーン106に受け渡され、キャンフィードチェーン106で搬送されて、シーマーに受け渡される。キャンフィードチェーン106では、加速アーム104に干渉しない所で、加速アーム104よりも少し上側の位置で空缶の側壁をガイド・サポートする。図示省略したが、シーマー内では、リフターに空缶が乗り、リフターが上昇しながらディスチャージターレットに空缶が渡され、同時に、缶底4が供給され、巻き締めが行われる。したがって、空缶のSOT側(缶蓋3側)につける凹部については、ターレット100、加速アーム104及びキャンフィードチェーン106等でのガイド・サポートの支障とならない位置とする必要がある。
【0063】
以上の点に関し、本発明者が複数の既存の製造設備について検証したところ、空缶のSOT側につける凹部は、加速アーム104及びキャンフィードチェーン106でのガイド・サポートに最も留意する必要があるとの知見を得た。そして、複数の既存の製造設備において共通して加速アーム104及びキャンフィードチェーン106が空缶に接触する位置を確認した。その結果について図6に示す。
【0064】
図6に示すように、加速アーム104の共通接触領域S1は、缶蓋3の上端から17.5〜22.5mmの範囲におよぶ5mm幅の領域である。また、キャンフィードチェーン106の共通接触領域S2は、缶蓋3の上端から31.5〜35.5mmの範囲におよぶ4mm幅の領域である。
【0065】
ここで、仮に凹部が共通接触領域S1、S2の間の領域S3にあれば、加速アーム104及びキャンフィードチェーン106が空缶に接する面は非凹凸面となるため、そのガイド・サポートに支障は生じない。しかし、領域S3の幅は9mmであるため、指が引っ掛かる凹部のための幅としては狭すぎる。それゆえ、SOT側に把持用の凹部を形成する意義が実質的にないようにも思われる。
【0066】
しかしながら、本発明者が鋭意に検討し、評価したところ、空缶が加速アーム104及びキャンフィードチェーン106に部分的に接触する場合(例えば、接触幅が2mm。)であれば、これらによるガイド・サポートに支障が生じないという知見が得られた。すなわち、共通接触領域S1,S2の一部に凹部が存在する場合であっても、共通接触領域S1,S2の別の部分において加速アーム104及びキャンフィードチェーン106が空缶に接触する限り、そのガイド・サポートに支障が生じないという知見を得た。なお、参考までに、図2に示す凹部16と共通接触領域S1,S2との位置関係を図7に示す。共通接触領域S1、S2のうち、図7に示すダブルハッチングが施された領域が、それぞれ、加速アーム104及びキャンフィードチェーン106が部分的に接触する領域となる。
【0067】
かかる知見から次のことが言える。
すなわち、加速アーム104及びキャンフィードチェーン106と空缶との部分的な接触幅を2mmとした場合、缶蓋3から19.5mmの位置と33.5mmの位置との間の14mm幅の領域S4の外側に、加速アーム104及びキャンフィードチェーン106が接触する空缶の非凹凸面があればよいと言える。なお、この14mmが、上記「3.(2)」で述べた凹部16の幅を14mm以下とする根拠である。また、接触幅は2mm以外に設定することも可能であるが、2mm未満とすると、安定したガイド・サポートが損なわれるおそれがあり、また、2mmを超えると、凹部16の幅として設定可能な上限値が小さくなるとの理由から、本実施形態では接触幅を2mmに設定している。
【0068】
接触幅として少なくとも2mmを確保する場合について、上記「3.(1)」で述べた凹部16の位置(上側ライン16aの位置)を改めて考察すると以下のとおりである。
【0069】
まず、図4に示す直線状の上側ライン16aの場合、既存の製造設備の関係上、上側ライン16aは、缶蓋3の上端から19.5mm〜22.5mmの範囲に位置する必要があると言える。
次に、図2及び図3に示す正弦波状の上側ライン16aの場合、既存の製造設備の関係上、上側ライン16aは、谷部18bが缶蓋3の上端から19.5mm以上離れた位置にあり且つ山部18aが缶蓋3の上端から22.5mm以上は離れない位置にある必要があると言える。
したがって、本実施形態に係る上側ライン16aは、その態様に関わらず、上述したとおり、少なくともその一部が缶蓋3の上端から19.5〜22.5mmの範囲に位置している必要があるのである。
【0070】
同様に、接触幅として少なくとも2mmを確保する場合について、上記「3.(4)」で述べたウェーブラインの振幅を改めて考察すると以下のとおりである。
【0071】
すなわち、図7から理解されるように、上側ライン16aが共通接触領域S1内にある場合、振幅が小さくなると、加速アーム104が部分的に接触する領域(ダブルハッチングの領域)が小さくなる。それゆえ、接触面積を考慮すると、振幅は小さくし過ぎることは好ましくない。上側ライン16aの一部が共通接触領域S1内にない場合や、山部18a及び谷部18bの数が4〜7個といった場合など、異なる条件下の場合やデザイン性を考慮すると、振幅の下限値は0.25mmまで許容することができる。一方で、振幅の上限値は、エキスパンド成形の観点から、1.75mmまで許容することができる。したがって、本実施形態に係るウェーブラインの振幅は、0.25mm〜1.75mmの範囲であればよいのである。
【0072】
以上説明したとおり、凹部16の具体的態様について既存の製造設備を考慮しているため、既存の製造設備において、他の一般的な円筒形の缶胴と同様に、缶1a〜1cに製造される前の空缶を取り扱うことができる。
【0073】
5.缶胴の解析結果(缶胴の高さのバラツキ)
(1)缶1a〜1cの缶胴の解析
図2〜4に示す3種類の缶1a〜1cの缶胴2(以下、それぞれ、缶胴2a、2b、2cという。)について、エキスパンド成形後の高さ変化を解析した。また、比較例として、缶胴2aの下側ライン16bを下方にずらして、凹部16の幅を17.5mmに広げた缶胴2dについて、エキスパンド成形後の高さ変化を解析した。これらの解析結果を図8に示す。
【0074】
図8は、缶胴2a〜2dを展開した場合の缶胴の高さを示している。図8に示すように、缶胴2aの高さのバラツキが最も小さく、比較例に係る缶胴2dの高さのバラツキが最も大きい。缶胴2b、2cでは、高さのバラツキはほとんど同等であり、比較例に係る缶胴2dよりもバラツキのレンジが小さい。ここで、缶胴2b、2c、2dに関して顕著に示されるように、高さの線は、山と谷がそれぞれ3つあって交互に繰り返されている。この高さの線の山の位置は、缶胴2b〜2dにおけるウェーブラインの谷部18bの位置に対応しており、また、高さの線の谷の位置は、缶胴2b〜2dにおけるウェーブラインの山部18aの位置に対応している。
【0075】
図8について考察すると、まず、缶胴2aと缶胴2dとを比較してわかるように、凹部16の幅が広くなるほど高さのバラツキが大きくなることがわかる。この高さのバラツキが許容範囲を超えると、その後の缶底4の巻き締めが不良となる。このことから、凹部16の幅の最大値には限界があることがわかる。なお、缶胴2a〜2dは、いずれも、高さのバラツキが許容範囲内であるが、缶胴2dについては、凹部16の幅(17.5mm)が既存の製造設備との関係上採用することができない。
【0076】
また、缶胴2b、2c、2dに関して顕著に示されるように、これらの高さの線の山は、その数がウェーブラインの谷部18bの数(3個)に対応して3つとなり、それぞれが同程度の高さレベルであることがわかる。すなわち、缶胴2の一端(上端)は、周方向に3個の点(山)が存在するようになる。それゆえ、三点支持の原理から面が一つに規定されることになるので、その面に対する缶蓋3の巻き締めを良好に行うことができる。したがって、上述したとおり、ウェーブラインにおける山部18a及び谷部18bのより好ましい数は3個なのである。
【0077】
(2)他の缶胴の解析
上記した4つの缶胴2a〜2dとは条件の異なる複数の缶胴についても、エキスパンド成形後の高さ変化を解析したところ、以下の知見を得た。
【0078】
まず、ウェーブラインにおける山部18a及び谷部18bの数が増えるほど、缶胴の高さのバラツキ(具体的には、標準偏差及びレンジ(最大値と最小値との差)をいい、以下同じ。)が大きくなることが確認された。これは、山部18a及び谷部18bの数が増えることにより、成形角度がきつくなり、それによりバラツキが増えるのが原因ではないかと推測される。したがって、缶胴の高さのバラツキの観点によれば、ウェーブラインにおける山部18a及び谷部18bの数には上限があると言える。そして、上記したエキスパンド成形による製造のし易さの観点をも併せて考慮すると、ウェーブラインにおける山部18a及び谷部18bの数の上限数は7個であり、好ましくは5個であろうことが推測された。
【0079】
また、ウェーブラインの振幅が大きくなるほど、缶胴の高さのバラツキが大きくなることが確認された。これも、山部18a等の数の場合と同様に、振幅が大きくなることにより、成形角度がきつくなることが原因ではないかと推測される。したがって、缶胴の高さのバラツキの観点によれば、ウェーブラインの振幅には上限があると言え、それが1.75mmであろうことが推測された。
【0080】
さらに、上側ライン及び/又は下側ラインをそれぞれ中心軸Yに対して非対称とした曲線で構成した凹部を有する缶胴では、高さのバラツキが非常に大きくなることが確認された。より具体的には、高さのレンジが許容値を大幅に超えた。これは、エキスパンド成形の際に伸び方が一様とならないことが原因ではないかと推測される。したがって、缶胴の高さのバラツキの観点から、凹部16を画定する上側ライン及び/又は下側ラインを曲線とする場合には、上述したように、中心軸Yに対して対称形となるように山部18aと谷部18bとが交互に繰り返したウェーブ状のラインとすることが好ましいと言える。
【0081】
6.本実施形態の作用効果
以上説明した本実施形態に係る缶1a〜1cによれば、凹部16の具体的態様が上述の様々な観点を考慮した上で決定されている。したがって、製造時には、既存の製造設備への適応性を高めつつ、缶胴2の高さのバラツキを抑制することができる。また、製品としての缶1は、ユーザーが上から握った場合の持ち易さをとりわけ確保できると同時に、デザイン性をも高めることができる。
【0082】
なお、上述した本実施形態に係る缶は、3ピース缶に適したものであるが、2ピース缶への適用を排除するものではない。また、持ち易さを客観的に評価する方法として筋電図を用いる方法が知られているが、ここでは筋電図による評価結果については説明を割愛する。
【0083】
7.変形例
本発明の要旨を逸脱しない限り、上記した実施形態で説明した凹部16の態様については適宜設計変更することができる。例えば、凹部16の縦断面に関しては、凹部16の中央部を平坦な面とせずに、円弧形の湾曲面とするなど、適宜設計することが可能である。
【0084】
また、凹部16の上側ライン16a及び下側ライン16bをそれぞれウェーブラインとしつつも、それらを互いに周方向にずらした(例えば半波長だけ位相をずらした)ものとすることが可能である。また、上側ライン16a及び下側ライン16bについて、山部18aの数(あるいは谷部18bの数)を互いに異ならせることも可能であるし、あるいは、振幅の大きさを互いに異ならせることも可能である。
【0085】
さらに、凹部16におけるウェーブラインとして、正弦波以外の波、例えば矩形波や台形波などを採用することも可能である。ただし、エキスパンド成形のし易さを考慮すれば、ウェーブラインとしては正弦波を採用することが最も望ましい。
【符号の説明】
【0086】
1、1a、1b、1c:缶、 2、2a、2b、2c:缶胴、 3:缶蓋、 4:缶底、 10:胴本体、 12、14:縮径部、 16:凹部、 16a:上側ライン、 16b:下側ライン、 17a:上側筒部、 17b:下側筒部、 18a:山部、 18b:谷部、 100:ターレット、 102:フィラー、 104:加速アーム、 106:キャンフィードチェーン、 S1,S2:共通接触領域、 Y:中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋及び缶底のうち少なくとも缶蓋が筒状の缶胴の一端に巻締められてなる缶であって、
缶底側よりも缶蓋側の位置において、缶胴の側壁に周方向に形成された凹部を備え、
前記凹部を画定する上側ライン及び下側ラインの少なくとも一つは、中心軸に関して対称形となるように山部と谷部とが前記周方向に交互に繰り返したウェーブ状のラインであり、
前記山部及び谷部の数は、それぞれ3〜7個のいずれかであり、
前記上側ラインの少なくとも一部は、前記缶蓋の上端から19.5〜22.5mmの範囲に位置している、缶。
【請求項2】
前記上側ライン及び前記下側ラインは、いずれも正弦波状のラインであり、且つ、互いに平行である、請求項1に記載の缶。
【請求項3】
前記上側ライン及び前記下側ラインの一方は、正弦波状のラインであり、
前記上側ライン及び前記下側ラインの他方は、直線状のラインである、請求項1に記載の缶。
【請求項4】
前記山部及び谷部の数は、それぞれ3個である、請求項2又は3に記載の缶。
【請求項5】
前記山部及び谷部の振幅は、1.75mm以下である、請求項2ないし4のいずれか一項に記載の缶。
【請求項6】
前記下側ラインの少なくとも一部は、前記缶蓋の上端から31.5〜35.5mmの範囲に位置している、請求項2ないし5のいずれか一項に記載の缶。
【請求項7】
前記上側ラインと前記下側ラインとの間の幅は、大きくとも12〜14mmの範囲にある、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の缶。
【請求項8】
前記上側ラインと前記下側ラインとの間の幅は、大きくとも12〜14mmの範囲にある、請求項1に記載の缶。
【請求項9】
前記山部及び谷部の振幅は、1.75mm以下である、請求項1又は8に記載の缶。
【請求項10】
前記凹部は、前記缶胴をエキスパンド成形することにより、形成されている、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−136280(P2012−136280A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291421(P2010−291421)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(391026058)ザ コカ・コーラ カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
【Fターム(参考)】