説明

置換されたピペリジン化合物とその使用方法

【解決手段】 新規3,4−二置換−4−アリール−ピペリジン化合物が開示されている。3,4−二置換−4−アリール−ピペリジン化合物を含む薬剤組成物と、その薬剤使用方法も開示されている。開示された化合物は、とりわけオピオイド受容体の拮抗剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年6月16日出願の米国出願番号第10/462,507号に対して優先権を主張しており、その全体の内容は、この参考によって組み込まれている。
【0002】
技術分野
本出願は、オピオイド受容体システムに作用する化合物、より詳しくは3,4−二置換−4−アリール−ピペリジン化合物と、とりわけオピオイド受容体の拮抗剤であるそのような化合物を含む薬剤組成物とに関係する。
【背景技術】
【0003】
オピオイド薬剤が、生態系において3種の内因性オピオイド受容体(つまり、μ、δ、及びκ受容体)を標的としていることがよく知られている。モルヒネのような多くのオピエートは、脳や中枢神経系(CNS)におけるμオピオイド受容体の活性による激痛の処置用の鎮痛薬として頻繁に使用されるμオピオイド作用薬である。しかしながら、オピオイド受容体は、CNSに限らず、体のほかの組織、つまり末梢系からCNSにおいても見られる。オピオイド薬剤の副作用の多くは、これら末梢受容体の活性によって引き起こされうる。例えば、μオピオイド作用薬の投与は、しばしば消化器の壁における多数の受容体による腸の機能障害を生じる(Wittert、G.、Hope、P.and Pyle、D.、Biochemical and Biophysical Research Communications、1996、218、877〜881;Bagnol、D.、Mansour、A.、Akil、A.and Watson、S.J.、Neuroscience、1997、81、579〜591を参照)。特に、オピオイドは、動物及び人類において胃腸の正常な推進機能を抑制するとともに、嘔気や嘔吐を引き起こし(Reisine、T.、and Pasternak、G.、Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、Ninth Edition、1996、521〜555を参照)、その結果、例えば便秘のような副作用を生じることが一般的に知られている。
【0004】
近年、生まれつき存在する内因性オピオイド化合物もまた、胃腸(GI)器官での推進活性に影響することが明らかになっている。脳と消化器の両方でμとδ受容体を活性化するメト−エンケファリン(Met−enkephalin)は、胃腸器官で見られる幾つかの神経ペプチドの1つである(Koch、T.R.、Carney、J.A.、Go、V.L.、and Szurszewski、J.H.、Digestive Diseases and Sciences、1991、36、712〜728を参照)。さらに、受容体ノックアウト技術により、オピオイド受容体が欠如したマウスが、野生マウスよりも速い胃腸輸送時間(GI transit times)を有することが示され、これは、内因性オピオイドペプチドが正常なマウスの胃腸輸送を持続的に抑制することを示唆している(Schuller、A.G.P.、King、M.、Sherwood、A.C.、Pintar、J.E.、and Pasternak、G.W.、Society of Neuroscience Abstracts 1998、24、524を参照)。胃腸器官に存在するオピオイドペプチドと受容体は、動物と人類の両方において、腸の運動性と流体の粘膜輸送の正常な調節に関係していることが、研究によって示された(Reisine、T.、and Pasternak、G.、Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、Ninth Edition、1996、521〜555を参照)。他の研究によって、交感神経系が、内因性オピオイドと腸運動性の調節に関与することが示された(Bagnol、D.、Herbrecht、F.、Jule、Y.、Jarry、T.、and Cupo、A.、Regul.Pept.、1993、47、259〜273)。胃腸器官(GI)に関係する内因性オピオイド化合物の存在は、異常な生理学的レベルのこれら化合物が腸の機能障害を導くことを示唆している。
【0005】
外科的処置、特に腹部の手術を受けた患者が、外科的処置後(もしくは手術後)の腸閉塞と呼ばれる特定の腸の機能障害に苦しむことは、よくある問題である。ここで用いられる"腸閉塞"とは、腸または消化器、特に結腸の閉塞を意味する。例えば、Dorland’s Illustrated Medical Dictionary、27th ed.、page 816、(W.B.Saunders Company、Philadelphia、PA、1988)を参照のこと。大便排泄が稀か困難ではあるが、腸閉塞は便秘とは区別されるべきものである。例えば、Dorland’s Illustrated Medical Dictionary、27th ed.、page 375、(W.B.Saunders Company、Philadelphia,1988)を参照のこと。腸閉塞は、腸内の内容物の推進ができなくなるという、消化器の正常に調整された動きの中断によって診断される。例えば、Resnick、J.、Am.J.of Gastroenterology、1997、92、751and Resnick、J.Am.J.of Gastroenterology、1997、92、934を参照のこと。幾つかの例では、特に腹部の外科的手術を含む術後に、腸の機能障害が1週間以上続き、消化器官の多岐にわたって影響し、かなり重篤となる。この症状は、しばしば外科的処置後(もしくは手術後)麻痺性腸閉塞とよばれ、開腹術後に最もよく起きる(Livingston、E.H.and Passaro、Jr.、E.D.、Digestive Diseases and Sciences、1990、35、121参照)。同様に、分娩後腸閉塞は出産後の女性によく起こる問題であり、出産のストレスの結果、正常なオピオイドレベルにおける同様の変動によって引き起こされるものと考えられる。
【0006】
外科的処置後に関連した胃腸の自動性障害は、一般的に結腸で最も重篤であり、たいてい3〜5日続く。術後、患者へのオピオイド鎮痛薬の投与が、しばしば腸の機能障害の一因となり、それによって正常な腸の機能の回復を遅らせてしまう。実質的には全ての患者が、術後、特に大きな手術の後の痛みを和らげるため、モルヒネや他の麻薬のようなオピオイド鎮痛薬を処方される為、現状の術後の鎮痛処置は、実際には正常な腸の機能の回復が遅く、その結果、退院が遅れ、医療費がかさむことになる。
【0007】
術後及び分娩後の腸閉塞もまた、外因性オピオイド拮抗剤の欠如下で起きる。手術や出産のような生物学的ストレスを受ける間またはその後の期間、内因性オピオイドの通常の活性を抑制させる利点があり、それで腸閉塞や腸の機能障害に関連する症状が予防または処置される。現在、腸閉塞の治療には、腸器官の刺激、軟便剤、下剤、潤滑剤、静脈注射による水分補給および経鼻胃管減圧などがある。これら従来技術では、例えば手術後や分娩後の腸閉塞での特異性の欠如のような障害に苦しむ。そして、これら従来技術は、予防方法ではない。仮に腸閉塞を予防できたならば、入院期間、回復時間及び医療費が、著しく減少され、さらに患者の苦痛を最小限にする利点がある。従って、消化器でオピオイド受容体に対して選択的に作用する薬剤は、術後や分娩後の腸閉塞の予防及び/又は治療に有望である。それらの中でも、中枢神経系でのオピオイド鎮痛剤の効果を妨げない薬剤は、副作用を制限しつつ痛みの管理もでき、投与できる為、特に利点がある。
【0008】
中枢神経系への血液脳関門を通過しない末梢オピオイド拮抗剤が、論文で知られており、胃腸器官でのそれらの活性に関連した研究がなされている。米国特許番号第US−A−5,250,542号、第US−A−5,434,171号、第US−A−5,159,081号、および第US−A−5,270,328号には、特発性便秘、炎症性腸症候群およびオピオイド誘導便秘の治療に有用であるとして、末梢に選択的なピペリジン−N−アルキルカルボン酸塩オピオイド拮抗剤が開示されている。さらに、米国特許番号第US−A−4,176,186号には、鎮痛剤の効果を減少させることなく麻薬鎮痛剤の腸の不動性という副作用を予防または和らげると言われている、ノロキシモルフォネ(noroxymorphone)(つまりメチルナルトレキソン(methylnaltrexone))の第4級誘導体が開示されている。米国特許番号第US−A−5,972,954号には、オピオイド投与に関係したオピオイド又は非オピオイド副作用の予防および/又は治療に役立つ、メチルナルトレキソン、腸被覆メチルナルトレキソン(enteric−coated methylnaltrexone)、又はノロキシモルフォネの他の第4級誘導体の用途が述べられている。
【0009】
ナロキソン(naloxone)やナルトレキソンのような一般的なオピオイド拮抗剤もまた、胃腸器官の自動障害の治療に有用であると示唆されている。例えば、米国特許番号第US−A−4,987,126号や、Kreek、M.J.Schaefer、R.A.、Hahn、E.F.、Fishman、J.Lancet、1983、1、8319、261には、特発性胃腸障害の治療のための、ナロキソンや他のモルフィナンベースのオピオイド拮抗剤(つまり、ナロキソン、ナルトレキソン)が開示されている。さらに、ナロキソンは、非オピオイド性腸障害を効果的に治療できると示されており、その薬剤は消化器官や脳に直接作用するかもしれないと示唆している(Schang、J.C.、Devroede、G.、Am.J.Gastroenerol.、1985、80、6、407)。さらに、ナロキソンが麻痺性腸閉塞の治療に有効であると示唆されている(Mack、D.J.Fulton、J.D.、Br.J.Surg.、1989、76、10、1101)。しかしながら、ナロキソンや7種の関係薬剤の活性が、末梢系に限られず、オピオイド麻薬の鎮痛効果を妨げることもよく知られている。
【0010】
例えば術後や分娩後腸閉塞は、医療費がかさみ、特効的な治療がまだない一般的な病気である為、特効のある治療法が求められている。現在知られているのオピオイド拮抗治療の大多数は、末梢選択性ではなく、中枢神経系への浸透から生じる好ましくない副作用をもたらす可能性がある。毎年、およそ2100万人の入院患者の手術と、2600万人の外来患者の手術が行われ、術後に腸閉塞になった患者がおよそ470万人とされており末梢系に特効であるだけでなく、胃腸にも特効なオピオイド拮抗剤を含む方法が、術後や分娩後の腸閉塞治療に望まれている。
【0011】
オピオイド受容体を拮抗させる方法で使用される化合物において、まだ実現されていないニーズがあり、特に、好ましくない症状や体調が外因性オピオイド投与による副作用である場合にある。本発明は、他の重要な目的と共に、これらを実現するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、1つには、以下の式Iの新規薬学的活性化合物であって、
【0013】
【化16】

【0014】
ここにおいて、
は、H又はアルキルであり;
2aは、アルキル又はアルケニルであり;
2bは、H、アルキル、又はアルケニルであり;
は、H、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、又はアラルキルであり;
は、
H、
アリール(任意で−OH、ニトロ、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリール、アルキル、アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、
アラルキル;
アルキル、
アルケニル、
又はアルキニルであり、
ここで後者3つの基は任意で、−OR6c、−S(=O)6d、−CN、ハロ、アルコキシカルボニル、−N(R6a)(R6b)、アルカノイル、アルカノイロキシ、シクロアルキル、シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で−OH、ニトロ、−N(R6a)(R6b)、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、COH、−CHO、アリール、アルキル、アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つまたはそれ以上のハロ原子で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換され;
6a、R6b、R6c、R6d、及びR6eは、それぞれ独立して、H、Het、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アラルキル、又はアリール(ここで後者6つの基は任意で、OH、ニトロ、ハロ、−NHC(=O)R、−CN、−CHCN,−C(=O)NH、−COH、アルコキシカルボニル、アルキル、アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)であり;
は、−(CH(CHR(CHR8aW、−CHP(=O)OR7bOR7c、又は−S(=O)7dであり;
は、それぞれ独立して、アリール(任意で−OH、ニトロ、アリール,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル、アルコキシおよびアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル、アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、−N(R6a)(R6b)、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル,アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で、−OH、ニトロ、アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル(aroyl)、アリール、アルキル、アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRは、両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断され;
8aは、それぞれ独立して、H、アリール(任意で−OH,ニトロ,アリール,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル,アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、アミノ、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル、アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で、−OH、ニトロ,アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル,アリール,アルキル,アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRは両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断され;
Wは、−C(=O)OR、−C(=O)N(R10a)(R10b)、又は−P(=O)OR7bOR7cであり;
は、H、アルキル,アルケニル,フェニル,シクロアルキル,シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル,シクロアルケニルアルキル,又はアラルキルであり;
10aとR10bは、それぞれ独立して、H、アルキル,アルケニル、アルキニル,シクロアルキル,アラルキル、Het、又はアリール(ここで後者7つの基は任意で、−OH、ニトロ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)を表し;またはR10aとR10bが両者に付随する窒素原子と共にとられて4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、また前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル、又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R12)基によって分断され;
7a、R7b、R7c、及びR7dは、それぞれ独立して、H、アルキル,シクロアルキル,アルカリル、アラルキル又はアリールであり、ここで後者5つの基は任意でアルキル,アルコキシ、−OH、ニトロ,アミノ及びハロとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;
Het、Het及びHetは、それぞれ独立して、3員から8員のヘテロシクロ環を表し、ここで前記へテロシクロ環は、酸素、硫黄、窒素またはそれらの組み合わせとから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここで前記ヘテロ環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記へテロ環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して、−OH、=O、ニトロ、アミノ、ハロ、−CN、−COH、アリール、アルキル、アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;
11は、H、アルキル、シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,又はアラルキルを表し;
12は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又はアラルキルを表し;
jは0、1、2、3、又は4の整数であり;
mは0、1、2、3、又は4の整数であり;
qは0、1、又は2の整数であり;
yは0、1、2、3、4、又は5の整数であり;及び
zは0、1、2、3、又は4の整数であるが;
但し、jとzがそれぞれ整数0である時は、yは整数5でなければならない、新規薬学的活性化合物、
又は、前記式Iの化合物の立体異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和、酸水和物、N−酸化物、または同形のクリスタリン形態である化合物である。
【0015】
他の実施例では、本発明は、薬学的に許容される担体と、効果的な量の式Iの化合物を含む薬学的組成物である。
【0016】
また他の実施例では、本発明は、オピオイド受容体を定着させることを必要とする患者に、オピオイド受容体を定着させる方法であり、効力を奏する量の式Iの化合物を、前記患者に投与する工程を有する。
【0017】
他の実施例では、本発明は、オピオイド受容体を定着させる方法に関するものであり、この方法は、効力を奏する量の式Iの化合物を前記患者に投与する工程を有し、ここにおいて、3,4−二置換−4−アリール−ピペリジン化合物は、オピオイド受容体μ、κ、或いはそれらの組み合わせとから選択される)に対して活性を示す。
【0018】
好ましい実施例では、本発明は、患者は、内因性または外因性オピオイドによって引き起こされる症状、病気、または望ましくない副作用の予防または治療の必要にある場合の方法である。
【0019】
特に好ましい実施例では、本発明は、胃腸の機能障害の予防または治療のための方法である。
【0020】
さらに他の好ましい実施例では、本発明は、痛みの予防または治療の方法に関するものであり、この方法は、それを必要とする患者に、効果を奏する量のオピオイドと、効果を奏する量の式Iの化合物とを含む組成物を投与する工程を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記および本開示で用いられているように、下記の用語は、特に他に示されない限り、下記の意味を有するものとする。
【0022】
ここで使用されているように、"アルキル"とは、約1から10個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有し、任意で置換、飽和直鎖、又は側鎖の炭化水素である。幾つかの実施例では、アルキル基は約1〜4の炭素原子を有することが好ましい。他の例では、アルキル基は約1〜5の炭素原子を有することが好ましい。また他の例では、アルキル基は約1〜6の炭素原子を有することが好ましい。アルキル基は、任意で置換される。アルキル基には、それらに限定されないが、メチル,エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル,イソペンチル、ネオペンチル、n−へキシル、イソへキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルがある。
【0023】
ここで使用されているように、"アルケニル"とは、約2〜10の炭素原子と、1つ又はそれ以上の二重結合(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有するアルキル基であり、ここでアルキル基は前述で定義されているとおりである。幾つかの実施例では、アルケニル基は約2〜6の炭素原子を有することが好ましい。アルケニル基は任意で置換される。
【0024】
ここで使用されているように、"アルキニル"とは、約2〜10の炭素原子と、1つ又はそれ以上の三重結合(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有するアルキル基であり、ここでアルキル基は前述で定義されているとおりである。アルキニル基は任意で置換される。
【0025】
ここで使用されているように、"アリール"と"芳香族"とは、それぞれ、約5〜50の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有し、任意で置換され、モノ(mono)−、ジ(di)−、トリ(tri)−、又は他のマルチ環状芳香族環系であり、約6〜10の炭素が好ましい。好例のアリール基には、それらに限定されないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル(anthracenyl)、及びフェナンチレニル(phenanthrenyl)がある。
【0026】
ここで使用されているように、"アラルキル"とは、1つ又はそれ以上のアリール置換基を持ち、約6〜50の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有するアルキルラジカルであり、ここで、アリールとアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの実施例では、前記アラルキル基のアルキル部は、約1〜4の炭素原子を有することが好ましい。他の好適な例では、前記アルキル部は約1〜3の炭素原子を有する。アラルキル基は任意で置換される。好例のアラルキル基には、それらに限定されないが、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニチルメチル,及びジフェニルエチルがある。
【0027】
ここで使用されているように、"アルカリル"とは、1つ又はそれ以上のアルキル置換基を持ち、かつ約5〜50の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有し、任意で置換され、モノ−、ジ−、トリ−、又は他のマルチ環状アリールラジカルであり、ここで、アリールとアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの好適な実施例では、前記アルカリル基のアルキル置換基は、約1〜4の炭素原子を有する。アルカリル基は任意で置換される。好例のアルカリル基には、それらに限定されないが、トリル(tolyl)、キシルイル(xylyl)、1−メチルナフチル、9−エチランテラセニル(ethylanthracenyl)、及び2,4−ジメチルフェナンセレニル(2,4−dimethylphenanthrenyl)がある。
【0028】
ここで使用されているように、"ヘテロアリール"とは、少なくとも1員、好ましくは1員から4員の硫黄、酸素又は窒素のヘテロ原子環を含み、任意で置換され、mono−、di−、tri−、又は他のマルチ環状芳香族環系である。ヘテロアリール基は、例えば約3〜50の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有し、約4〜10の炭素が好ましい。好例のヘテロアリール基には、それらに限定されないが、ピリル(pyrryl)、フリル(furyl)、ピリジル(pyridyl)、1,2,4−チアジアゾイル(1,2,4−thiadiazolyl)、ピリミジル(pyrimidyl)、チエニル(thienyl)、イソチアゾリル(isothiazolyl)、イミダゾリル(imidazolyl)、テトラゾリル(tetrazolyl)、ピラジニル(pyrazinyl)、ピリミジル、キノルイル(quinolyl)、イソキノルイル(isoquinolyl)、チオフェニル(thiophenyl)、ベンゾチエニル(benzothienyl)、イソベンゾフリル(isobenzofuryl)、ピラゾルイル(pyrazolyl)、インドルイル(indolyl)、プリニル(purinyl)、カルバゾルイル(carbazolyl)、ベンズイミダゾルイル(benzimidazolyl)、及びイソキサゾルイル(isoxazolyl)がある。
【0029】
ここで使用されているように、"シクロアルキル"とは、1つ又はそれ以上の環をその構造内に有し、かつ約3〜20の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有し、任意で置換されたアルキル基である。幾つかの好例では、前記シクロアルキル基は約3〜8の炭素原子を有する。マルチ環構造は、橋架された又は縮合された環構造であってもよく、ここで、シクロアルキル環に縮合又は橋架される付加基は、任意で置換された、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールの環がある。好例のシクロアルキル基には、それらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロオクチル、アドマンチル(adamantyl)、2−[4−イソプロピル−1−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]へプタニル]、及び2−[1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタルエニル]がある。
【0030】
ここで示されているように,"シクロアルケニル"とは、その構造の中に一つ又はそれ以上の環を有し、任意で置換されたアルキル基であり、ここで、前記環は、一部不飽和であり、つまり前記環内に1つ又はそれ以上の二重結合を有し、約3〜20の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有する。幾つかの好例では、前記シクロアルケニル基は、約5〜8の炭素原子を有する。マルチ環構造は、橋架された又は縮合された環構造であってもよく、ここで、シクロアルケニル環に縮合又は橋架される付加基は、任意で置換された、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールの環などがある。好例のシクロアルケニル基には、それらに限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロへキセニル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2−イル、ボルネニル(bornenyl)、[2.2.2]−ビシクロオクト−5−エン−2−イル、オクタヒドロナフタルエニル、ベータ−ピネニル(beta−pinenyl)、カンフェニル(camphenyl)、フェンチェニル(fenchenyl)、α−ピネニル,及びジシクロペンタジエニルなどがある。
【0031】
ここで使用されているように、"アルキルシクロアルキル"とは、1つ又はそれ以上のアルキル置換基を有するシクロアルキルラジカルからなる、任意で置換された環系であり、ここで、シクロアルキルとアルキルは、前述で定義されているとおりである。好例のアルキルシクロアルキルには、それらに限定されないが、2−メチルシクロへキシル、3,3−ジメチルシクロペンチル、トランス−2,3−ジメチルシクロオクチル,及び4−メチルデカヒドロナフタルエニルなどがある。
【0032】
ここで示されているように、"シクロアルキルアルキル"とは、1つ又はそれ以上のシクロアルキル置換基を有し、任意で置換されたアルキルラジカルであり、ここでシクロアルキルとアルキルは、前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記シクロアルキルアルキル基のアルキル部は、約1〜3の炭素原子を有する。好例のシクロアルキルアルキル基には、それらに限定されないが、シクロヘキシルメチル、4−[4−メチルデカヒドロナフタルエニル]−ペンチル、3−[トランス−2,3−ジメチルシクロオクチル]−プロピル、およびシクロペンチルエチルなどがある。
【0033】
ここで使用されているように、"シクロアルケニルアルキル"とは、1つ又はそれ以上のシクロアルケニル置換基を有し、任意で置換されたアルキルラジカルであり、ここでシクロアルケニルとアルキルは、前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記シクロアルケニルアルキル基のアルキル部は、約1〜3の炭素原子を有する。好例のシクロアルケニルアルキル基には、それらに限定されないが、4−[4−メチルオクタヒドロナフタルエニル]−ペンチル、シクロヘキセニルメチル,3−[トランス−2,3−ジメチルシクロオクテニル]−プロピル,およびシクロペンテニルエチルなどがある。
【0034】
ここで使用されているように、"ヘテロアラルキル"とは、1つ又はそれ以上のヘテロアリール置換基と、約2〜50の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有するヘテロアラルキル基とを有する、任意で置換されたアルキルラジカルであり、ここで、ヘテロアリールとアルキルは、前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記へテロアラルキル基は約6〜25の炭素原子を有する。例えば、限定されるものではないが、5−(2H−テトラゾルイル)メチル、2−(1H−ピロル−3−イル)エチル、3−ピリジルメチル,及び3−(ピリミジン−2−イル)−2−メチルシクロペンタニルなどがある。
【0035】
ここで示されているように、"ヘテロ環"とは、任意で置換されたヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルの環であり、ここでヘテロアリールとヘテロシクロアルキルは、前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記ヘテロ環基は、約3〜8の炭素原子を有する。
【0036】
ここで使用されているように、"ヘテロシクロアルキル"とは、少なくとも1員の、好ましくは1員〜4員の硫黄、酸素又は窒素のヘテロ原子環を含む、任意で置換された、モノ−,ジ−、トリ−、又はマルチ環状脂肪族環系である。ヘテロシクロアルキル基は、約3〜20の炭素原子(及びその炭素原子の範囲内や特定の個数の全ての組み合わせと副組み合わせ)を有する。幾つかの好例では、前記へテロシクロ環基は、約4〜8の炭素を有する。他の例では、前記ヘテロシクロアルキル基は不飽和であってもよく、つまり、1つ又はそれ以上の二重結合を有している。また他の例では、前記ヘテロ環基は、芳香族環に縮合されていてもよい。好例のヘテロシクロアルキル基には、それらに限定されないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、イソオキサゾリジニル(isoxazolidinyl)、イソチアゾリジニル(isothiazolidinyl)、ピラゾリジニル(pyrazolidinyl)、オキサゾリジニル(oxazolidinyl)、チアゾリジニル(thiazolidinyl)、ピペラジニル、モルフォリニル、ピペラジニル、デカヒドロキノルイル(decahydroquinolyl)、オクタヒドロクロメニル(octahydrochromenyl)、オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピラニル(octahydro−cyclopenta[c]pyranyl)、1,2,3,4,−テトラヒドロキノルイル、オクタヒドロ−[2]ピリジニル、デカヒドロ−シクロオクタ[c]フラニル、テトラヒドロキノルイル(tetrahydroquinolyl)、及びイミダゾリジニル(imidazolidinyl)などがある。
【0037】
ここで使用されているように、"スピロアルキル"という語句は、任意で置換されたアルキレンジラジカルであり、その両方の末端が、スピロ環基を形成している親基の同じ炭素原子に結合されている。前記スピロアルキル基は、その親基と一緒になって、ここに定義されているように、3〜20の環原子を有する。好ましくは、それは3〜10の環原子を有する。前記スピロアルキル基にはその親基と一緒になって、例えば、それらに限定されないが、1−メチル−スピロ[4.7]ドデカン、1−(1−メチル−シクロプロピル)−プロパン−2−オン(one)、及び2−(1−フェノキシ−シクロプロピル)−エチルアミンなどがある。
【0038】
ここで使用されているように、"アルコキシ"という語句は、任意で置換された、アルキル−O−基であり、ここでアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記アルコキシ基のアルキル部は、約1〜4の炭素原子を有する。好例のアルコキシ基には、それらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ及びヘプトキシなどがある。
【0039】
ここで使用されているように、"アリールオキシ"という語句は、任意で置換されたアリール−O−基であり、ここでアリールは前述で定義されているとおりである。好例のアリールオキシ基には、それらに限定されないが、フェノキシやナフェトキシなどがある。
【0040】
ここで使用されているように、"アラルコキシ"という語句は、任意で置換されたアラルキル−O−基であり、ここでアラルキルは前述で定義されているとおりである。好例のアラルコキシ基には、それらに限定されないが、ベンジロキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、及び3−ナフチルヘプトキシなどがある。
【0041】
ここで使用されているように、"アロイル"という語句は、アリール部を伴うカルボニル−C(=O)−基であり、ここでアリールは前述で定義されているとおりである。アロイル基のアリール部は任意で置換される。好例のアロイル基には、それらに限定されないが、ベンゾイルやパラ−メトキシベンゾイルなどがある。
【0042】
ここで使用されているように、"カルボキシ"とは、−C(=O)OH基である。
【0043】
ここで使用されているように、"アルカノイル"とは−C(=O)−アルキル基であり、ここでアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記アルカノイル基のアルキル部は、約1〜5の炭素原子を有する。幾つかの他の好例では、前記アルカノイル基のアルキル部は、約1〜6の炭素原子を有する。好例のアルカノイル基には、それらに限定されないが、アセチル(エタノイル)、n−プロパノイル、n−ブタノイル、2−メチルプロパノイル、n−ペンタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘプタノイル、及びデカノイルなどがある。アルカノイル基は任意で置換される。
【0044】
ここで使用されているように、"シクロアルカノイル"とは、−C(=O)−シクロアルキル基であり、ここでシクロアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記アルカノイル基のシクロアルキル部は約3〜8の炭素原子を有する。例えばシクロアルカノイル基には、それらに限定されないが、シクロヘキサノイル、シクロプロパノイル、シクロブタノイル、2−メチルシクロプロパノイル、シクロペンタノイル、シクロヘプタノイル、及びシクロデカノイルなどがある。シクロアルカノイル基は任意で置換される。
【0045】
ここで使用されているように、"アルコキシカルボニル"とは、−C(=O)−O−アルキル基であり、ここでアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記アルコキシカルボニル基のアルキル部は、約1〜6の炭素原子を有する。例えば、アルコキシカルボニル基には、それらに限定されないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、及びヘプトキシカルボニルなどがある。アルコキシカルボニル基は任意で置換される。
【0046】
ここで使用されているように、"アルカノイロキシ"とは、−OC(=O)−アルキル基であり、ここでアルキルは前述で定義されているとおりである。幾つかの好例では、前記アルカノイロキシ基のアルキル部は、約1〜5の炭素原子を有する。例えばアルカノイル基には、それらに限定されないが、アセトキシ(エタノイロキシ)、n−プロパノイロキシ、n−ブタノイロキシ、2−メチルプロパノイロキシ、n−ペンタノイロキシ、2−メチルブタノイロキシ、3−メチルブタノイロキシ、2,2−ジメチルプロパノイロキシ、ヘプタノイロキシ、及びデカノイロキシなどがある。アルカノイロキシ基は任意で置換される。
【0047】
ここで使用されているように、"ハロ"と"ハロゲン"は、それぞれ本発明の化合物に付着したフルオロ、クロロ、ブロモ,又はヨード部である。好ましくは、"ハロ"と"ハロゲン"は、フルオロかクロロ部である。
【0048】
一般的に、置換された化学部分は、水素と置き換わる1つ又はそれ以上の置換基が含まれる。好例の置換基には、例えば、ハロ(例えばF、Cl、Br、I)、アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、スピロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル(−OH)、ニトロ(−NO)、シアノ(−CN)、アミノ(−NH)、−N−置換アミノ(−NHR")、−N,N−二置換アミノ(−N(R")R")、カルボキシ(−COOH)、−O−C(=O)R"、−C(=O)R"、−OR"、−C(=O)OR"、−NHC(=O)R"、アミノカルボニル(−C(=O)NH)、−N−置換アミノカルボニル(−C(=O)NHR")、−N,N−二置換アミノカルボニル(−C(=O)N(R")R")、チオール、チオラート(−SR")、スルホン酸(−SOH)、リン酸(−POH)、−P(=O)(OR")OR"、−S(=O)R",−S(=O)R"、−S(=O)NH、−S(=O)NHR"、−S(=O)NR"R"、−NHS(=O)R"、−NR"S(=O)R"、−CF、−CFCF、−NHC(=O)NHR"、−NHC(=O)NR"R"、−NR"C(=O)NHR"、−NR"C(=O)NR"R"、−NR"C(=O)R"及びそのようなものがある。前述の置換基に関して、例えば各R"部は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル,アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルである。
【0049】
"副作用"とは、薬剤によって引き起こされる逆効果のように、ある薬剤又はある方法が使用され、その投与によって期待される効果以外の結果を指し、特に組織や臓器器官系で起こるものを指す。例えばオピオイドの場合では、"副作用"という語句は、例えば便秘、嘔気及び/又は嘔吐のような症状である。
【0050】
"効果的な量"とは、特定の病気、障害又は副作用の症状を抑制、予防又は治療するために治療上効果的である、ここに述べられている化合物の量を意味する。そのような病気、障害及び副作用には、それらに限定されないが、オピオイドの投与(例えば痛みの治療及び/または予防に関係する)に関連した異常な症状が含まれ、ここでその治療法や予防法は、例えば、細胞、組織又は受容体を本発明の化合物と接触させる事によってそれらの活性を抑制することからなる。従って、"効果的な量"という語句が、例えば、痛みの治療のためのような、オピオイドに関連して使用される場合には、その語句は、痛みのある状態の治療及び/又は予防をさす。"効果的な量"という語句が、オピオイド拮抗化合物に関連して使用される場合には、その語句は、下記にさらに詳しく述べる他の副作用とともに、例えば便秘、嘔気及び/又は嘔吐のような副作用を含む、オピオイドに一般的に関連した副作用の治療及び/又は予防をさす。
【0051】
"薬学的に許容される"とは、医学的見解の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題のある合併症なくヒト及び動物の組織と接触するのにふさわしく、妥当な利益/リスク比と同等である、それら化合物、材料、組成物及び/又は服用形態である。
【0052】
ある実施例で、"〜と組み合わせて","組み合わせ治療"および"組み合わせ成果"とは、オピオイドと式Iの化合物の患者への併用投与をさす。組み合わせて投与されるとき、各成分は、同時に、又は違う時間にいかなる順序で続けて投与されてもよい。従って、各成分は別々に投与されてもいいが、所望の治療効果が得られるように十分近い時間で投与される。
【0053】
"投薬量単位"とは、治療される特定の個人への一投薬量に対して適当な、物理的に個別の単位である。各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して、所望の治療効果をもたらすように計算された活性化合物の予め決定された量を含む。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)活性化合物に固有の特性と、達成されるべき特定の治療効果によって決定され、また(b)そのような活性化合物を調合する分野に固有の制限によって決定される。
【0054】
"薬学的に許容な塩"とは、開示された本化合物の誘導体をさし、ここで、その親化合物はそれらの酸性又は塩基性の塩を作ることによって改変される。薬学的に許容な塩の例としては、それらに限定されないが、アミンのような塩基性残基の無機又は有機酸塩や、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ又は有機塩などである。前記薬学的に許容な塩には、例えば、非毒性無機又は有機酸から作られた親化合物の、従来の非毒性塩又は第4級アンモニウム塩などがある。例えば、そのような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素、硫酸,スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸から誘導されたものや、酢酸、プロピオン酸,コハク酸、グリコール酸,ステアリン酸,乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸(pamoic)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸,サリチル酸,スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸(oxalic)、イセチオン酸などのような有機酸から調製された塩などである。これら生理学的に許容な塩は、当該分野で周知の方法で調整され、例えば、遊離アミン塩基を水性アルコール中で過度の酸で溶解することによって調整されるか、又は遊離カルボン酸を、水酸化物のようなアルカリ金属塩基で、又はアミンで、中和することによって調整される。
【0055】
ここに述べられている化合物は、代替形態で使用又は調製されることもできる。例えば、多くのアミノ含有化合物は、酸付加塩として使用又は調製されることもできる。しばしばそのような塩は、本化合物の単離や処理を改善する。例えば試薬や反応条件などに依存して、ここに述べられている化合物は、例えば塩酸塩やトルエンスルホン酸塩として使用または調製されることもできる。同形のクリスタリン形態、全てのキラルやラセミ体、N−酸化物、水和物,溶媒和,および酸性水化物塩もまた、本発明の概念範囲内であるとされる。
【0056】
本発明のある酸性又は塩基性化合物は、双性イオンとして存在することもできる。遊離酸、遊離塩基および双性イオンを含む前記化合物の全ての形態は、本発明の概念の範囲内とされる。アミノ基とカルボキシ基の両方を含む化合物は、しばしばそれらの双性イオン形態と平衡状態で存在することが、当該分野ではよく知られている。従って、例えばアミノ基とカルボキシ基の両方を含むここに述べられている本化合物もまた、それらの相当する双性イオンに対しての言及を含む。
【0057】
"患者"とは、哺乳類、好ましくはヒトを含む動物をさす。
【0058】
"プロドラッグ(prodrug)"とは、反応の所望のサイトに到達する活性種の量を最大限とするように特別に設計された化合物をさし、それはそれ自身が一般的に不活性であるか、又は所望の活性に対して最小限の活性であるが、形質転換を経てそれは生物学的に活性な代謝物質に転換される。
【0059】
"立体異性体"とは、同一の化学組成を持つ化合物であるが、空間での原子や基の配置に関して異なるものである。
【0060】
"N−酸化物"とは、ヘテロ芳香族環又は第3級アミンの塩基性窒素原子が酸化されて、正の形式電荷をもつ第4級窒素と、負の形式電荷をもつ隣接した酸素原子を与える化合物をさす。
【0061】
変数が構成物質中に又は式中に何度か存在する場合、各出現においてのその定義は、全ての他の出現での定義とは独立しているものである。置換基及び/又は変数の組み合わせは、そのような組み合わせによって結果として安定な化合物を生ずることができる場合だけである。
【0062】
式Iに示されているように本発明のピペリジン類は、ピペリジン環の3−と4−位置でのtransとcisの立体化学的異性体として存在する。ここで使用されている"trans"という語句は、R2b置換基の反対側にあるR2a置換基を意味し、一方、"cis"異性体では、R2a置換基とR2b置換基が前記環の同じ側にある。本発明は、ラセミ混合物と同様に、個々の立体異性体も意図する。本発明の最も好ましい化合物は、R2a置換基とR2b置換基がピペリジンにおいて"trans"配向にある。
【0063】
前記R2a置換基と前記R2b置換基の"cis"及び"trans"配向に加えて、前記R2a置換基と前記R2b置換基をもつ炭素原子の絶対的な立体化学もまた、一般的に使用されている"R"と"S"定義を用いて定義される(Orchin et al.、The Vocabulary of Organic Chemistry、1980、John Wiley and Sons、Inc.、page 126,これは参考文献として本出願に組み込まれる)。本発明の好ましい化合物は、ピペリジン環におけるR2a置換基とR2b置換基の両方の配置が"R"である式Iのものである。
【0064】
さらに、下記の構造と、そこに含まれている幾つかの変数の独立した選択によって決まる分子中に導入されてもよい。
【0065】
【化17】

【0066】
例えば、Rが水素でない場合は、Rと隣接する炭素原子は不斉である。さらに、R又はRの独立した選択、あるいはそこに含まれている独立した副変数は、追加の不斉中心を生じさせるかもしれない。そのようなものとして、これらの分類の化合物は、単独で、もしくは、1つの鏡像異性体、又は異性体のラセミ混合物、又はそれらのジアステレオマー混合物、及び本発明の概念の範囲内とみなされる全てのものをもたらす化合物中に形成されるように他の不斉中心と組み合わせて、各不斉中心で又は幾つかのこれらの不斉中心で個々の"R"又は"S"立体異性体として存在することができる。好ましくは、本発明の化合物の物質的に純粋な立体異性体がしようされ、つまり、各不斉中心での配置が独立して"R"又は"S"である異性体が使用される。好ましくは、それら立体異性体は、式Iの化合物においてR2a、R2b,及びR変数をもつ3つの各不斉炭素中心でのキラリティーが(R)である化合物である。
【0067】
他の不斉中心が、本発明で意図されている。例えば、式VIの化合物において、下記により詳細に示されているが、Rは下記のとおりである。
【0068】
【化18】

【0069】
ある好ましい実施例では、本発明の化合物、薬学的組成物および方法は、末梢オピオイド拮抗剤化合物を含む。"末梢"という語句は、前記化合物が、生理的な系に対してと、中枢神経系に対する外的成分に対して、主として作用することを意味する。好ましい形態では、本発明において使用される末梢オピオイド拮抗剤化合物は、減少した中枢神経系活性、好ましくは物質的に中枢神経系非活性を示しながらも、例えば胃腸組織のような末梢組織に関しては高い活性を示す。ここで使用されているように、"物質的に中枢神経系非活性"という言葉は、中枢神経系で、本発明で用いられる化合物が約20%未満の薬学活性を示すということを意味し、好ましくは約15%未満、より好ましくは10%未満、さらに好ましくは約5%未満、最も好ましくは0%の薬学活性を、本発明の方法で用いられる化合物は、中枢神経系で示す。
【0070】
さらに、本発明のある実施例では、前記化合物はオピオイドの末梢系副作用を拮抗させる為に投与され、前記化合物が物質的に血液−脳関門を通過せず、それによってオピオイドの有益な活性を減少させないことが好ましい。ここで使用されているように"物質的に通過しない"という言葉は、本発明の方法で用いられる化合物の約20重量%未満が血液−脳関門を通過し、好ましくは約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、さらに好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは0重量%である。選択された化合物は、静脈注射後のプラズマと脳レベルを測定することにより、中枢神経系浸透性の評価がなされる。
【0071】
従って、ある実施例では、本発明は、式Iの新規薬学的活性化合物であって、
【0072】
【化19】

【0073】
ここにおいて、
は、H又はアルキルであり;
2aは、アルキル又はアルケニルであり;
2bは、H、アルキル、又はアルケニルであり;
は、H、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、又はアラルキルであり;
は、
H、
アリール(任意で−OH、ニトロ、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリール、アルキル、アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、
アラルキル;
アルキル、
アルケニル、
又はアルキニルであり、
ここで後者3つの基は任意で、−OR6c、−S(=O)6d、−CN、ハロ、アルコキシカルボニル,アミノ,アルカノイル、アルカノイロキシ、シクロアルキル、シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で−OH、ニトロ、−N(R6a)(R6b)、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−CHO、アリール、アルキル、アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つまたはそれ以上のハロ原子で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換され;
6a、R6b、R6c、R6d、及びR6eは、それぞれ独立して、H、Het、アルキル、アルケニル,アルキニル、シクロアルキル,アラルキル、又はアリール(ここで後者6つの基は任意で、OH,ニトロ,ハロ,−NHC(=O)R、−CN、−CHCN,−C(=O)NH、−COH、アルコキシカルボニル、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)であり;
は、−(CH(CHR(CHR8aW、−CHP(=O)OR7bOR7c、又は−S(=O)7dであり;
は、それぞれ独立して、アリール(任意で−OH、ニトロ、アリール,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル、アルコキシおよびアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル,アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、アミノ、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル,アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で、−OH、ニトロ、アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル、アリール,アルキル,アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRが両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断され;
8aは、それぞれ独立して、H、アリール(任意で−OH,ニトロ,アリール,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル,アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、アミノ、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル、アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で、−OH、ニトロ,アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル,アリール,アルキル,アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRが両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断され;
Wは、−C(=O)OR、−C(=O)N(R10a)(R10b)、又は−P(=O)OR7bOR7cであり;
は、H、アルキル,アルケニル,フェニル,シクロアルキル,シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル,シクロアルケニルアルキル,又はアラルキルであり;
10aとR10bは、それぞれ独立して、H、アルキル,アルケニル、アルキニル,シクロアルキル,アラルキル、Het、又はアリール(ここで後者7つの基は任意で、−OH、ニトロ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)を表し;またはR10aとR10bが両者に付随する窒素原子と共にとられ4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、また前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル、又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R12)基によって分断され;
7a、R7b、R7c、及びR7dは、それぞれ独立して、H、アルキル,シクロアルキル、アルカリル、アラルキル又はアリールであり、ここで後者5つの基は任意でアルキル,アルコキシ、−OH、ニトロ,アミノ及びハロとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;
Het、Het及びHetは、それぞれ独立して、3員から8員のヘテロ環を表し、ここで前記ヘテロ環は、酸素、硫黄、及び/または窒素とから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここで前記ヘテロ環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記へテロ環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して、−OH、=O、ニトロ、アミノ、ハロ、−CN、−COH、アリール,アルキル,アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;
11は、H、アルキル、シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,又はアラルキルを表し;
12は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又はアラルキルを表し;
jは0、1、2、3、又は4の整数であり;
mは0、1、2、3、又は4の整数であり;
qは0、1、又は2の整数であり;
yは0、1、2、3、4、又は5の整数であり;及び
zは0、1、2、3、又は4の整数であるが;
但し、jとzがそれぞれ整数0である時は、yは整数5でなければならない、新規薬学的活性化合物、
又は、前記式Iの化合物の、立体異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和、酸水和物、N−酸化物、または同形のクリスタリン形態を提供するものであある。
【0074】
式Iの化合物のある実施例では、Rはアルキル又はHである。ある好ましい実施例では、RはHである。
【0075】
式Iの化合物の他の実施例では、R2aはアルキル又はアルケニルである。より好ましくは、R2aはC−Cアルキル又はC−Cアルケニルである。さらに好ましくは、R2aはC−Cアルキルである。最も好ましくは、R2aはメチルである。
【0076】
式Iの化合物の他の実施例では、R2bはH、アルキル、又はアルケニルである。好ましくは、R2bはアルキル又はアルケニルである。より好ましくは、R2bはC−Cアルキル又はC−Cアルケニルである。さらに好ましくは、R2bはC−Cアルキルである。最も好ましくは、R2bはメチルである。
【0077】
式Iの化合物のある実施例では、R2aとR2bは互いにtransである。好ましくは、1つ又はそれ以上のR2aとR2bは独立してC−Cアルキルであり、R2aとR2bは互いにtransである。より好ましくは、R2aとR2bはC−Cアルキルであり、R2aとR2bは互いにtransである。最も好ましくは、R2aとR2bはメチルであり、R2aとR2bは互いにtransである。
【0078】
式Iの化合物のある実施例では、RはH、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル,シクロアルキルアルキル,シクロアルケニルアルキル,又はアラルキルである。好ましくは、RはH、アルキル、又はアラルキルである。幾つかのより好ましい実施例では、RはHである。
【0079】
他のより好ましい実施例では、Rはアラルキルである。より好ましくは、Rはベンジルである。最も好ましくは、Rは下記である。
【0080】
【化20】

【0081】
式Iの化合物の他の実施例では、Rは、
H、
アリール(任意で−OH、ニトロ、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリール、アルキル、アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される),
アラルキル;
アルキル、
アルケニルであり、
ここで、後者3つの基は、任意で、−OR6c、−S(=O)6d、−CN、ハロ、アルコキシカルボニル、アミノ,アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル、シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール{ここで、後者の基は、任意で、−OH、ニトロ,アミノ,−N(R6a)(R6b),ハロ,−CN,−CHCN、−C(=O)NH、−COH,アリール、アルキル,アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される}とから選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換される。
【0082】
幾つかの好ましい実施例では、RはHである、他の好ましい実施例では、Rは:
アリール(任意で、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリール,及びアルコキシ(ここで後者の基は、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される);
アラルキル;
アルキル(任意でシクロアルキルまたはアミノで置換される);又は
アルケニルである。
【0083】
式Iの化合物の幾つかの他の実施例では、
6a、R6b、R6c、R6d,及びR6eは、それぞれ独立して、H、Het、アルキル,アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アラルキル、又はアリール(ここで、後者6つの基は、任意で、OH,ニトロ,ハロ、−NHC(=O)R、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アルコキシカルボニル,アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は、任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)である。
【0084】
式Iの化合物のある実施例では、Rは、−(CH(CHR(CHR8aW、−CHP(=O)OR7bOR7c、又は−S(=O)7dである。好ましい実施例では、Rは−S(=O)7dである。より好ましい実施例では、Rは−CHP(=O)OR7bOR7cである。さらに好ましい実施例では、Rは−(CH(CHR(CHR8aWである。幾つかの好ましい実施例では、Rは下記である。
【0085】
【化21】

【0086】
より好ましい実施例では、Rは下記である。
【0087】
【化22】

【0088】
さらに好ましい実施例では、Rは下記である。
【0089】
【化23】

【0090】
式Iの化合物の幾つかの実施例では、各Rは独立して、アリール(任意で−OH、ニトロ,アリール,ハロ、−CN,−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル、アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル、アルキル,アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は、任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN,ハロ,アミノ、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル,アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基は、任意で、−OH、ニトロ,アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル,アリール,アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。幾つかの好ましい実施例では、各Rは独立して、アリール、シクロアルキル,アルキルであり、ここで前記アルキル基は、任意で、−OR6c、−S(O)6d、アミノ、−COH、−C(=O)NH、シクロアルキル、−N(R6e)S(=O)7a、Het、及びアリール(ここで後者の基は、任意で、−OH、ニトロ,ハロ、アロイル、及びアリールとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。あるより好ましい実施例では、Rはアリールで置換されたアルキルであり、ここでアリールは任意で、−OH、ニトロ,フッ素,ヨウ素、ベンゾイル,及びフェニルとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。さらに好ましい実施例では、Rは、フェニル、α−ナフチル、又はβ−ナフチルで置換されたメチルかエチルであり、後者3つの基(フェニル、α−ナフチル、又はβ−ナフチル)は、任意で、−OH、ニトロ、フッ素、ヨウ素、ベンゾイル,及びフェニルとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。
【0091】
式Iの化合物の幾つかの他の実施例では、RとRは、両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断される。ある好ましい実施例では、RとRは、両者を結合する原子と総合すると、5員から6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断される。他の好ましい実施例では、RとRは、両者を結合する原子と総合すると、5員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は、任意で、−OHによって置換される。他の好ましい実施例では、RとRは、両者を結合する原子と総合すると、6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は芳香族環に縮合される。
【0092】
式Iの化合物のある実施例では、各R8aは、それぞれ独立して、H、アリール(任意で−OH、ニトロ、アリール、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル,アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、アミノ、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル、アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基は任意で、−OH、ニトロ,アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル,アリール,アルキル,アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRが両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断される。
【0093】
式Iの化合物のある実施例では、Wは、−C(=O)OR,−C(=O)N(R10a)(R10b)、又は−P(=O)OR7bOR7cである。ある好ましい実施例では、Wは−C(=O)ORである。より好ましくは、Wが−C(=O)ORの時、RはHである。ある他の好ましい実施例では、Wは−C(=O)N(R10a)(R10b)である。幾つかの他の好ましい実施例では、Wは−P(=O)OR7bOR7cである。より好ましくは、Wが−P(=O)OR7bOR7cの時、R7bとR7cは両方ともHである。
【0094】
式Iの化合物のある実施例では、Rは、H、アルキル、アルケニル,フェニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,シクロアルキルアルキル,シクロアルケニルアルキル,又はアラルキルである。好ましくは、RはHである。
【0095】
式Iの化合物の他の実施例では、R10aとR10bは、それぞれ独立して、H、アルキル,アルケニル、アルキニル,シクロアルキル,アラルキル、Het、又はアリール(ここで後者7つの基は任意で、−OH、ニトロ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)を表し;またはR10aとR10bが両者に付随する窒素原子と共にとられて4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、また前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル、又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキルは任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R12)基によって分断される。より好ましくは、R10aとR10bは、それぞれ独立してH及びアルキルから選択され、ここで前記アルキルは、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される。
【0096】
式Iの化合物の幾つかの実施例では、R7a、R7b、R7c、及びR7dは、それぞれ独立して、H、アルキル,シクロアルキル,アルカリル,アラルキル又はアリールであり,ここで後者5つの基は任意でアルキル,アルコキシ、−OH、ニトロ,アミノ及びハロとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。幾つかの好ましい実施例では、1つ又はそれ以上のR7bとR7cはそれぞれ独立してHである。より好ましくは、R7bとR7cは両方ともHである。他の実施例では、R7dはアルキルであり、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される。より好ましくは、R7dはアルキルであり、任意で1つ又はそれ以上のフッ素原子によって置換される。さらに好ましくは、R7dは−CFである。
【0097】
式Iの化合物の他の実施例では、Het、Het及びHetは、それぞれ独立して、3員から8員のヘテロ環を表し、ここで前記ヘテロ環は、酸素、硫黄,及び/又は窒素とから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここで前記ヘテロ環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記へテロ環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、=O、ニトロ、アミノ,ハロ、−CN、−COH、アリール,アルキル,アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。ある好ましい実施例では、Hetは下記である。
【0098】
【化24】

【0099】
式Iの化合物のさらに他の実施例では、R11は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はアラルキルを表す。
【0100】
式Iの化合物のさらに他の実施例では、R12は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はアラルキルを表す。
【0101】
式Iの化合物のさらに他の実施例では、jは0、1、2、3、又は4の整数であり;mは0、1、2、3、又は4の整数であり;qは0、1、又は2の整数であり;yは0、1、2、3、4、又は5の整数であり;及びzは0、1、2、3、又は4の整数であるが;但し、jとzがそれぞれ整数0である時は、yは整数5でなければならない。ある好ましい実施例では、jは整数1である。ある他の好ましい実施例では、mは整数1である。さらに他の好ましい実施例では、yは整数5である。
【0102】
本発明のある好ましい実施例では、式Iの化合物は式IIに相当する構造を有し、
【0103】
【化25】

ここにおいて、
、R2a、R2b、R、R、R、及びmは、前述の通りである。より好ましい実施例では、R2aとR2bはそれぞれメチルである。
【0104】
あるいは、式Iの化合物は、式IIIに相当する構造を有し、
【0105】
【化26】

【0106】
ここにおいて、RはH、アルキル又はアラルキルであり、RとRは前述の通りである。
【0107】
ある実施例では、式Iの化合物は、式IVに相当する構造を有し、
【0108】
【化27】

【0109】
ここにおいて、
は、H、アルキル、又はアラルキルであり、R2a、R2b、R、R、R8a、W、y、j、及びzは前述の通りである。式IVの化合物の幾つかの好ましい実施例では、RはHである。式IVの化合物の他の好ましい実施例では、Rは下記である。
【0110】
【化28】

【0111】
ある他の実施例では、式Iの化合物は、式Vに相当する構造を有し、
【0112】
【化29】

【0113】
ここにおいて、Rは、H、アルキル、又はアラルキルであり、R2a、R2b、R、R、及びWは前述の通りである。式Vの化合物の幾つかの好ましい実施例では、RはHである。他の好ましい実施例では、式Vの化合物は、式VIa又は式VIbに相当する構造を有し、
【0114】
【化30】

【0115】
ここにおいて、RはH,アルキル,又はアラルキルであり、R2a、R2b、R、及びWは前述の通りである。式VIaと式VIbの化合物の幾つかの好ましい実施例では、Wは−COHであり、R2aとR2bはそれぞれメチルである。式VIaと式VIbの化合物のあるより好ましい実施例では、Wが−COHであり、R2aとR2bがそれぞれメチルであるとき、Rは下記である。
【0116】
【化31】

【0117】
式VIaと式VIbの化合物のあるより好ましい実施例では、Wが−COHであり、R2aとR2bがそれぞれメチルであり、Rが下記であるとき、
【0118】
【化32】

【0119】
はHである。
【0120】
式VIの化合物の他のより好ましい実施例では、Wが−COHであり、R2aとR2bがそれぞれメチルであるとき、Rは、−OH、ニトロ、アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH,アロイル、アリール、−N(R6a)(R6b)、アルキル,アリコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つまたはそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって任意で置換されるアリールで置換されたアルキルである。さらに好ましくは、Rは任意で置換されたベンジルである。さらに好ましくは、前記ベンジルは、−OH、ニトロ、ハロ,アロイル,またはアリールとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される。
【0121】
ある好ましい実施例では、式Vの化合物は、式VIIに相当する構造を有し、
【0122】
【化33】

【0123】
ここにおいて、R2a、R2b、R、R、及びRは前述の通りである。式VIIのより好ましい化合物では、Rは下記である。
【0124】
【化34】

【0125】
さらに好ましくは、式VIIの化合物において、R2aとR2bがそれぞれメチルあり、Rは前述の通りである。さらに好ましくは、式VIIの化合物は、式VIIa又は式VIIbに相当する構造を有する。
【0126】
【化35】

【0127】
本発明のある好ましい実施例では、式Iの化合物は、式VIIIに相当する構造を有し、
【0128】
【化36】

【0129】
ここにおいて、RはH、アルキル、又はアラルキルであり、R2a、R2b、R,及びR7dは前述の通りである。
【0130】
本発明のある好ましい実施例では、式Iの化合物は、式IXに相当する構造を有し、
【0131】
【化37】

【0132】
ここにおいて、Rは、H,アルキル,又はアラルキルであり、R2a、R2b、R、R7bおよびR7cは前述の通りである。
【0133】
本発明の方法で使用される化合物は、プロドラッグ形態で存在してもいい。ここで使用されているように、"プロドラッグ"は、例えば、式Iや他の式、または本発明の方法で使用される化合物によるものなど、そのような薬剤が哺乳類の患者に投与される時、生体内で活性親薬剤(active parent drug)を放出する共有結合担体を含むと解される。プロドラッグは、薬剤の多くの所望の性質(例えば、溶解性、生体利用性、製造など)を高めることがよく知られており、本発明の方法で使用される前記化合物は、要望に応じて、プロドラッグ形態で届けられてもよい。従って、本発明は、プロドラッグを届ける方法も意図されている。例えば式Iのような本発明で使用される化合物のプロドラッグは、親化合物に対して通常の操作で又は生体内で変更部が切断されるような方法で、前記化合物に存在する機能基を変更することによって調製されてもよい。
【0134】
従って、そのプロドラッグが哺乳類の患者に投与されるときに、ここに述べられている化合物中の水酸基、アミノ基又はカルボキシ基が、切断してそれぞれ遊離水酸基、遊離アミノ又はカルボン酸を形成する基に結合している、ここに述べられている化合物がプロドラッグには含まれる。例としては、それらに限定されないが、アルコールとアミン官能基の酢酸塩,ギ酸塩及び安息香酸塩誘導体;及びアルキル、炭素環式(carbocyclic)、アリール、及び、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルエステルのようなアルキルアリールエステルなどがある。
【0135】
本発明の方法で使用される化合物は、当業者によく知られている多くの方法で調製されてもよい。化合物は、例えば下記に示される方法によって、あるいは、当業者に認識されているような別の方法によって合成される。本発明に関連して開示されている全ての方法は、mg、g、数百g、kg、数百kgあるいは商業的製造スケールなど、どのようなスケールでも実践されることを意図している。
【0136】
上述のように、本方法で使用される化合物は、1つ又はそれ以上の不斉の置換された炭素原子を含んでいてもよく、また光学活性やラセミ体で分離されてもよい。従って、特定の立体化学や異性体が特に示されていない限り、全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体および構造の全ての幾何異性体が意図されている。そのような光学活性体の調製や分離方法は、この分野ではよく知られている。例えば、立体異性体の混合物は、それらに限定されないが、ラセミ体の再溶解、通常のクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、キラルクロマトグラフィー、選択的塩形成、再結晶、あるいは、キラル原材料から又は標的キラル中心を考察することによるキラル合成によってなど、標準的な方法によって分離される。
【0137】
容易に理解されるように、官能基には、合成の過程における保護基も含まれる。保護基は、それ自体が、水酸基やカルボキシ基のように、選択的に官能性を付加する、あるいは官能性を取り去る化学的官能基として知られている。これらの基は、化学化合物が置かれる化学反応状態に対して、そのような官能性を不活性にする前記化学化合物中に存在する。様々な保護基が、本発明で使用される。好ましい保護基には、ベンジロキシカルボニル基やtert−ブチロキシカルボニル基が含まれる。本発明に沿って使用される他の好ましい保護基が、Greene、T.W.and Wuts、P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis 3d.Ed.、Wiley&Sons、1991に述べられている。
【0138】
本発明に沿った前記3,4−二置換−4−アリールピペリジン化合物は、例えば参考文献としてここに組み込まれている刊行物、米国特許番号第US−A−5,250,542号、第US−A−5,434,171号、第US−A−5,159,081号、及び第US−A−5,270,328号に記載の方法を用いて合成される。本化合物の合成において原材料として用いられる前記光学活性(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジンは、参考文献としてここに組み込まれている刊行物、J.Org.Chem.、1991、56、1660〜1663、米国特許番号第US−A−4,115,400号及び第US−A−4,891,379号に示されている一般的な方法によって調製される。
【0139】
いかなる理論や操作理論に束縛されるものではないが、便秘、嘔気や嘔吐のようなオピオイド副作用は、末梢μ受容体のような、末梢オピオイド受容体とのオピオイドの望まない相互作用に由来するかもしれないことは考えられる。本発明の一側面に沿った式Iの化合物の投与は、末梢受容体とのオピオイド化合物の相互作用を遮断でき、つまり、好ましいことに中枢神経系におけるオピオイドの治療効果を妨げることなく、副作用を予防及び/又は抑制することができる。
【0140】
変数が構成要素中や式中に複数回出現する場合、各出現でのその定義は、各出現ごとにその定義は独立している。置換基及び/又は変数の組み合わせは、そのような組み合わせで安定な化合物を生じさえすれば差し支えない。
【0141】
本発明のある実施例に従って、患者に特にオピオイド化合物を投与する工程を含む方法が提供される。様々なオピオイドが、本方法及び組成物で使用可能である。一般的にいえば、オピオイドが所望の効果(例えば、痛み緩和)をもたらし、本組み合わせ生成物及び方法(下記に詳述される)に組み入れ可能でありさえすればよい。このまし実施例では、本方法と組成物には、アルフェンタニル(alfentanil)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ブトールファノール(butorphanol)、コデイン(codeine)、デゾシン(dezocine)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、フェンタニル(fentanyl)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン(hydromorphone)、レヴォールファノール(levorphanol)、メペリジン(meperidine)(ペチジン)、メタドン(methadone)、モルフィン(morphine)、ナルブフィン(nalbuphine)、オキシコドン(oxycodone)、オキシモルフォン(oxymorphone)、ペンタゾシン(pentazocine)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、サルフェンタニル(sufentanil)及び/又はトラマドール(tramadol)とから選択されるオピオイドが含まれる。より好ましくは、前記オピオイドは、モルフィン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、プロポキシフェン、フェンタニル、トラマドールおよびそれらの混合物から選択される。
【0142】
本組成物のオピオイド成分には、さらに、鎮痛薬及び/又は咳−風邪鎮咳薬で一般的に用いられる1つ以上の活性成分がふくまれていてもよい。そのような一般的な成分には、例えば、アスピリン(aspirin)、アセタミノフェン(acetaminophen)、フェニルプロパノルアミン(phenylpropanolamine)、フェニルエフェリン(phenylephrine)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、カフェイン(caffeine)、及び/又はグアイフェネシン(guaifenesin)などが含まれる。オピオイド成分に含まれる典型的又は一般的な成分は、例えば、参考文献としてここに組み込まれている刊行物、Physicians’Desk Reference、1999、に述べられている。
【0143】
さらに、前記オピオイド成分には、鎮痛効果を高めるように、又は/及び鎮痛耐性発生を減少させるように設計された1つ以上の化合物を含んでいてもよい。そのような化合物には、例えば、デキトロメトロファン(dextromethorphan)又は他のNMDA拮抗剤(Mao、M.J.et al.、Pain、1996、67、361を参照)、L−364,718及び他のCCK拮抗剤(Dourish、C.T.et al.、Eur.J.Pharmacol.、1988、147、469を参照)、NOS抑制剤(Bhargava、H.N.et al.、Neuropeptides、1996、30、219を参照)、PKC抑制剤(Bilsky、E.J.et al.、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1996、277、484を参照),及びダイノルフィン(dynorphin)拮抗剤又は抗血清(Nichols、M.L.et al.、Pain、1997、69、317を参照)が含まれる。前記刊行物で開示されたことは、この参照によって本明細書に組み込まれる。
【0144】
上記に例示されたものに加えて、本発明の方法と組成物で用いることができる他のオピオイド、任意の一般的なオピオイド成分、及び鎮痛効果を高める為、又は/及び鎮痛耐性発生を減少させる為の任意の化合物が、本開示で示される範囲内であることは、当業者にとって明らかである。
【0145】
本発明の他の実施例では、効果的な量の式Iの化合物と薬学的に許容な担体を含む薬学組成物を提供している。
【0146】
また、本発明の別の実施例では、下記のような治療を必要とする患者に、効果的な量の式Iの化合物とオピオイドを含む組成物を投与する工程からなる、オピオイド−腸機能障害の治療又は予防方法を提供する。
【0147】
さらに本発明の別の実施例では、下記のような治療を必要とする患者に、効果的な量の式Iの化合物を投与する工程からなる、腸閉塞の治療又は予防方法を提供する。
【0148】
本発明の別の実施例では、患者に効果的な量の式Iの化合物を投与する工程からなる、オピオイドに関係する副作用の治療又は予防方法を提供する。
【0149】
本発明の化合物は純粋な化学物質として投与されてもいいが、薬学組成物としての活性成分であることが好ましい。さらに本発明は、1つ以上の薬学的に許容な担体と、任意の他の治療及び/又は予防成分とともに、1つ以上の式Iの化合物を含む薬学組成物を提供する。前記担体は、その受領者に有害でなく、前記組成物の他の成分と共存できる観点で許容されるものでなければならない。
【0150】
本発明の化合物は、医学分野で一般的に確立された技法によって、効果的な量で投与される。例えばオピオイドと式Iの化合物とを含む本発明の方法で用いられる前記化合物は、患者の体内で、活性薬剤と、前記薬剤のサイト又は作用サイトとを接触させる方法で投与される。前記化合物は、個々の治療薬として又は治療薬の組み合わせで、薬剤と共用して使用できる一般的な方法で投与されてもよい。例えば、それらは、薬学組成物中の唯一の活性薬剤として投与されてもよく、又はそれらは他の薬学的活性成分と組み合わせて用いられてもよい。
【0151】
化合物は、好ましくは、例えばこの参考によってここに組み込まれている刊行物、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.、Easton、PA、1980)に述べられているような、標準的な薬剤操作及び選ばれた投与ルートに基づいて、薬学担体と組合わされる。
【0152】
本発明の化合物は、選ばれた投与ルートに適した様々な形態で、例えば経口的に又は非経口的に、哺乳動物の宿主に投与される。この観点での非経口投与には、以下の経路:静脈内、筋肉内、皮下、眼内、滑液包内経路、及び経皮的、点眼、舌下、頬側を含む経上皮的経路、さらに吹入法、エアロゾル、経直腸的方法による点眼、皮膚、眼球、直腸、及び鼻への吸入などの局部的経路による投与が含まれる。
【0153】
活性化合物は、例えば不活性希釈剤や同化食用担体と共に経口的に投与されてもよく、あるいは固くても柔らかくてもいいがゼラチンカプセルに封入されているか、錠剤に圧縮されているか、食事の食べ物と直接混ぜてもよい。
【0154】
経口治療投与では、前記活性化合物は賦形剤と混ぜられ、経口摂取錠剤、頬側錠剤(buccal tablets)、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁、シロップ、ウェハーなどの形態で用いられる。そのような治療に有用な組成物中の活性化合物の量は、好ましくは適当な1回分の服用量が得られるものである。本発明に則した好ましい組成物又は調製法は、約0.1から1000mgの活性化合物を含む経口服用量単位であるように調製される。
【0155】
錠剤、トローチ、丸薬、カプセルなどもまた、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンのような結合剤、リン酸二カルシウムのような賦形剤、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などのような分解剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、しょ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、冬緑油又はチェリー風味のような香味料などを、1つ以上含んでいてもよい。服用単位形態がカプセルの場合、それは、上記のタイプの材料に加えてさらに液体担体を含んでいてもよい。他の様々な材料も、服用単位形態のコーティング剤として、あるいはその服用単位の外形を変更するものとして存在するかもしれない。例えば、錠剤、丸薬又はカプセルは、シェラック(shellac)、砂糖又はその両方でコーティングされてもよい。シロップ又はエリキシルは、前記活性化合物、甘味料としてのショ糖、防腐剤としてのメチルやプロピルパラベン、チェリーやオレンジ風味のような着色料と香味料を含んでもよい。もちろん、服用単位形態を調製するために用いられる材料は、使用される量において、好ましくは薬学的に純粋で、物質的に無毒性である。さらに、前記活性化合物は、徐放性製品や製剤中にまぜられてもよい。
【0156】
前記活性化合物もまた、経口的に又は非経口的に投与されてもよい。遊離塩基として又は薬学的に許容な塩としての前記活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と水中で適切に混ぜられて調製ざれることができる。分散剤もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中で、又はオイル中で、調製することができる。通常の保存及び使用状況下で、これらの調剤には、微生物の成長を妨げる防腐剤が含まれていてもよい。
【0157】
注射用に適した調剤形態には、例えば、殺菌水溶液や分散剤、及び注射用殺菌溶液又は分散剤のその場での調製に適した殺菌パウダーなどが含まれる。全ての場合で、その形態は好ましくは殺菌され、容易に注射できる流動性であることが好ましい。それは、製造及び貯蔵状況下で安定であることが好ましく、またバクテリアや菌のような微生物の汚染作用から守られていることが好ましい。前記担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物、植物油を含む溶媒又は分散媒体であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用によって、又は分散剤の場合に必要な粒径サイズを維持することによって、又は界面活性剤の使用によって、保たれる。微生物作用の予防は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメローサル(thimerosal)などの様々な抗バクテリア剤と抗菌剤によって達成される。多くの場合で、それは、例えば砂糖や塩化ナトリウムなどの等浸透圧剤を含むことが好ましい。注射用組成物の吸収延長は、例えばモノステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような、吸収を遅らせる薬剤の使用によって達成される。
【0158】
殺菌注射用溶液は、必要な量の前記活性化合物を、適した溶媒中に、必要に応じて上記に列挙の様々な他の成分と共に混ぜられ、その後、ろ過、殺菌されて調製される。一般的に、基本的な分散媒体と上記に列挙した必要な他の成分を含む殺菌手段の媒体中に、殺菌活性成分を混ぜることによって、分散剤が調製されてもよい。殺菌注射用溶液の調製用殺菌粉末の場合、好ましい調製方法には、先のそれらの殺菌−ろ過された溶液から、所望の付加成分に加えて、前記活性成分の粉末を生じさせる真空乾燥とフリーズドライ法が含まれる。
【0159】
本発明の治療用化合物は、患者に、それ単独で、あるいは薬学的に許容な担体と組み合わせて投与されてもよい。上述のように、活性成分と担体の相関割合は、例えば、前記化合物の溶解度や化学的性質、選択された投与ルート、および標準的な薬学的操作によって決定される。
【0160】
予防や治療に最も適した本発明の化合物の服用量は、投与形態、選択された特定の化合物、治療下にある特定の患者の生理的性質によって様々である。一般的に、初めは少ない服用量が用いられ、必要であれば、ある状況下で所望の効果が得られるまで少量ずつ服用量が増やされる。一般的にいえば、経口投与はより多い服用量を必要とする。
【0161】
式Iの化合物と組み合わされたオピオイドからなる薬学的組成物のような、本発明の組み合わせ調剤は、ここに述べられているようなどのような服用形態でもよく、またここに述べられているような様々な方法で投与される。好ましい実施例では、本発明の組み合わせ調剤は、1つの服用形態(つまり、1つのカプセル、錠剤、粉末または液体などに一緒に組み合わされている形態)で、一緒に構成されている。前記組み合わせ調剤が1つの服用形態で一緒に構成されていない場合には、前記オピオイド化合物と式Iの化合物は、同時に(つまり一緒に)、または順番に投与されてもよい。同時に投与されない場合には、好ましくは、オピオイドと式Iの化合物の投与は、約1時間以内の間隔でなされるのがよく、より好ましくは約30分以内、さらに好ましくは15分以内、さらに好ましくは5分以内である。上述のように、他の投与ルートも本発明の概念の範囲内であるが、好ましくは本発明の組み合わせ調剤の投与は経口である。オピオイドと式Iの化合物は両方とも同じやり方で(つまり、例えば両方とも経口で)投与されることが好ましいが、希望に応じて、それらはそれぞれ異なるやり方で投与されてもよい(つまり、例えば、組み合わせ調剤の一成分は経口で、別の成分は静脈注射での投与されてもよい)。本発明の組み合わせ調剤の服用量は、特定の薬剤の薬学的性質やその薬剤の方式、投与ルート、受ける患者の年齢、健康状態及び体重、その症状の性質や程度、併用している治療の種類、治療回数および所望の効果のような様々な因子に応じて様々である。
【0162】
本発明の組み合わせ調剤の適切な服用量は、一般的な指導要綱により、本開示を身につけた当業者であれば容易に確かめられることであるが、オピオイド化合物が式Iの化合物と組み合わされる場合、例えば、一般的な一日の服用量は、患者の体重1kgあたり、約0.01から約100mgのオピオイド(及びその範囲の全ての組み合わせと副組み合わせ)と、約0.001から約100mgの式Iの化合物(及びその範囲の全ての組み合わせと副組み合わせ)の範囲であってもいい。好ましくは、一日の服用量は、患者の体重1kgあたり、約0.1から10mgのオピオイドと約0.01から10mgの式Iの化合物である。さらに好ましくは、一日の服用量は、患者の体重1kgあたり、約1.0mgのオピオイドと約0.1mgの式Iの化合物である。一粒の錠剤のように、本タイプの組み合わせ調剤の典型的な服用形態に関して、一般的に、前記オピオイド化合物(例えばモルヒネ)は約15から200mgの量が存在し、式Iの化合物は約0.1から4mgの量が存在する。
【0163】
特に1つの服用形態として提供される場合には、前記組み合わされた活性成分(例えば、オピオイドと式Iの化合物)の間の化学的相互作用が存在する可能性がある。このため、本発明の組み合わせ調剤の好ましい服用形態は、複数の活性成分は1つの服用形態で組み合わされているが、活性成分間の物理的接触は最小限(つまり減少される)となるように構成されている。
【0164】
接触を最小限とするために、前記調剤が経口投与される場合の本発明の一実施例では、一活性成分が腸で放出されるようなコーティング(enteric coated)がされている組み合わせ調剤が使われている。1つ以上の活性成分を腸で放出されるようなコーティングをすることにより、組み合わされた活性成分間の接触を最小限にするだけでなく、これら成分の内の一成分は胃では放出されずむしろ腸で放出されるというように、胃腸器官でのこれらの成分の一つの放出を調節することもできる。経口投与が望まれる場合の本発明の他の実施例では、胃腸器官の至る所で持続した放出効果を与え、また組み合わされた活性成分間の物理的接触を最小限にする放出持続性材料で、活性成分の1つがコーティングされた組み合わせ調剤が用いられている。さらに、放出持続性成分に対して、この成分の放出が腸でのみ起きるように、腸で放出されるようなコーティングを付加的に施すこともできる。さらに別の方法では、一成分は放出持続性でかつ/又は腸で放出されるポリマーでコーティングされており、さらに活性成分を分離するために、別の成分は低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマーや当分野で知られている他の適切な材料でコーティングされている組み合わせ調剤の構成が示されている。ポリマーコーティングは、他の成分との相互作用に対して付加的な障壁を形成する作用がある。
【0165】
一成分が腸で放出されるようなコーティングがされている本発明の組み合わせ調剤の服用形状は、前記腸で放出されるようなコーティングがされた成分と他の活性成分が一緒に混ぜ合わされ、その後1錠に圧縮されるような、又は、前記腸で放出されるようなコーティングがされた成分が1つの錠剤層に圧縮され、他の活性成分は付加的層に圧縮されるというような錠剤形状であることができる。任意で、さらにその二つの層を分けるために、1つ以上の擬薬(プラセボ)層が前記活性成分の層間に存在してもよい。さらに、本発明の服用形状は、一活性成分が、一錠に圧縮されているか、又は複数の微小錠剤、粒子、微粒子または非ペリルの形状に圧縮されて、その後腸で放出されるようなコーティングが施されたカプセル形状であることもできる。これら腸で放出されるようなコーティングがされた微小錠剤、粒子、微粒子または非ペリルは、その後1つのカプセルに詰められるか、又は他の活性成分の微粒子と共にカプセルに圧縮される。
【0166】
本発明の組み合わせ調剤の成分間の接触を最小限とする他の方法と同様に、1つの服用形態で投与されるか、または同時に同じ方法ではあるが別々の形状で投与される方法もまた、本開示を身につけた当業者には容易に理解されるであろう。
【0167】
効果的な量の本発明の3,4−二置換−4−アリール−ピペリジン化合物と共に治療上適量のオピオイドを、1つ以上の殺菌容器内に含む、本発明の例えば痛みの治療に便利な薬学キットも、本発明の範囲内である。容器の殺菌は、当業者によく知られている一般的な殺菌方法を用いて行われる。材料の殺菌容器は、要望に応じて、別々の複数の容器で構成されるか、又は、(Abbott Labs、Chicago、Illinoisで入手可能な)UNIVIAL(商標)2部分容器で例示されるような1つ以上の複数部分からなる容器で構成されていてもよい。前記オピオイド化合物と前記式Iの化合物は別々であってもよく、又は上述のように1つの服用形状に組み合わされていてもよい。そのようなキットには、要望に応じて、さらに、例えば1つ以上の薬学的に許容な担体、成分を混合する為の付加的な小さな容器など、1つ以上の様々な通常の薬学キット成分が含まれていてもよく、それは当業者には容易に理解されるであろう。投与されるべき成分の量、投与指針及び/又は成分の混合方法の指針を示す使用説明書が、挿入物として又はラベルとして、そのキットに含まれていてもよい。
【0168】
さらに、その治療に必要とされる、前記化合物、又は活性塩又はそれらの誘導体の量が、選択された特定の活性塩によってだけでなく、投与ルート、治療される症状の性質、及び患者の年齢や状態によっても様々であることは正しく理解され、またそれは最終的には担当の内科医や臨床医の裁量であろう。
【0169】
所望の服用量は、一般的には1回の服用量で表されるか、又は、例えば一日あたり2回、3回、4回、それ以上の分割服用量のような、適切な間隔で投与される分けられた服用量として表される。例えば、注入器からの多様な吸入や眼内への複数滴の投与のような、多数の別個の部分からなる厳密でない間隔の投与のように、前記分割服用量それ自体がさらに分けられていてもよい。
【0170】
また前記服用量は、当分野でよく知られている方法により、前記化合物の調節された放出によって定められてもよい。
【0171】
本発明の化合物は、μとκオピオイド受容体を含むオピオイド受容体を結合する方法において用いられてもよい。そのような結合は、本発明の前記化合物の適量と、前記受容体とを接触させることにより達成される。好ましくは、前記接触工程は、水性媒体中で、好ましくは適切なイオン強度、pHなどで行われる。
【0172】
ある好ましい実施例では、本発明の前記化合物は、μ及びκオピオイド受容体又はそれらの組み合わせを結合させる。前記オピオイド受容体は、中枢神経系に位置するか、又は中枢神経系に対して末梢部に位置するか、またはその両方に位置していてもよい。
【0173】
ある別の好適な実施例では、本発明の前記化合物は、κオピオイド受容体を結合させる。
【0174】
本発明の方法の好適な実施例では、前記化合物は、前記オピオイド受容体の活性を拮抗させる。他の好ましい実施例では、前記化合物は、(内因性か外因性のいずれかの)オピオイドによって引き起こされる症状や病気を予防するか治療する。本方法のある実施例では、特に前記オピオイドが外因性である場合、本発明の前記化合物は、好ましくは、血液−脳関門を物質的に通過しない。
【0175】
本発明の化合物は、特に、望まない症状や状態が外因性オピオイドを投与した副作用である場合の、μ、κ、又はその両方のオピオイド受容体を拮抗する方法において使用されてもよい。さらに、本発明の化合物は、オピオイド受容体を結合することによって改善される病状を有する患者を治療するために使用されてもよく、あるいは、μ、κ、又はその両方のオピオイド受容体システムの一時的な抑制が望まれる場合の治療に使用されてもよい。
【0176】
そのような症状、状態又は病気には、オピオイド誘起の鎮静剤での治療の全身又は部分的拮抗作用、錯乱、呼吸性低下、多幸感、不快感、幻覚、掻痒(かゆみ)、胆管圧の増加、胆管仙通の増加、及び尿の停滞、腸閉塞、嘔吐、及び常習傾向;オピオイドとコカイン依存症の予防又は治療;急速なオピオイド解毒;アルコール中毒の治療;アルコール昏睡の治療;オピオイド使用又は乱用の検知(瞳孔検査);食事障害の治療;肥満治療;脳しんとう後症候群の治療;敗血症、血液量減少又は内毒素誘起のショックの付加的治療;(特に超低服用量での)オピオイド無感覚症の相乗作用;(特に超低服用量での)オピオイド耐性と物理的依存症の転換又は予防;小児突然死症候群の予防;(特に、精神分裂病、精神分裂病様障害、分裂情緒障害、単極性障害、双極性障害、精神病性うつ、アルツハイマー病、パーキンソン病、強迫障害、及び症状として精神病を伴う他の精神系又は神経系障害に関連する症状がある場合の)精神病の治療;運動障害の治療;自閉症治療;(ローチナイジングホルモンの放出増加、不妊治療、動物畜産での多産数の増加、および男性と女性の性的行動を含む)内分泌系治療;オピオイド受容体の結合に関係する免疫系システムとガンの治療;不安症の治療;利尿治療;血圧の治療と調節;耳鳴や聴力低下の治療;てんかん治療;悪液質の治療;一般的な認識機能障害の治療;及び窃盗淫欲症の治療などが含まれる。
【0177】
また本発明の化合物は、細胞増殖抑制剤、抗片頭痛剤、免疫調整剤、免疫抑制剤、抗関節炎剤、抗アレルギー剤、抗ウイルス薬、下痢治療用薬剤、抗精神病、抗分裂病、抗うつ剤、尿路疾患薬剤、咳止め、抗常習剤、抗喫煙剤、アルコール中毒治療用薬剤、低血圧性薬剤、外傷性虚血や虚血性外傷に対する一般的な神経保護に起因する麻痺の治療用及び/又は予防用薬剤、痛覚過敏と神経移植片の神経成長因子治療に対する補助剤、抗利尿剤、興奮薬、抗痙攣剤、又は肥満治療用薬剤としても使用できる。さらに、本化合物は、L−ドーパ治療に関連するジスキネジー(dyskinesia)の治療用L−ドーパに対する補助剤として、パーキンソン病の治療に使用することができる。
【0178】
ある好ましい実施例では、本発明の化合物は、それらに限定されないが、炎症性腸症候群、オピオイド−腸機能障害、大腸炎、術後及びオピオイド誘起嘔吐(嘔気と嘔吐)、胃の運動性と空腹感の低下、小腸及び/又は大腸のぜん動抑制、非ぜん動性分節的収縮の増加振幅、オッジ括約筋の収縮、肛門括約筋の緊張増加、直腸膨張に伴う反射緩和の低下、縮小胃、胆汁、すい臓、腸の分泌低下、腸内容物からの水分吸収増加、胃腸−食道反射、腸管麻痺、痙攣、鼓脹、腹部又は上胃部の痛みと不調、便秘、及び薬物治療や栄養物質の経口投与の吸収遅延などを含む、胃腸機能障害の予防法や治療法に使用されることもできる。
【0179】
ある好ましい実施例では、本発明の化合物は、術後やオピオイド誘起の腸閉塞の予防や治療方法で使用されることもできる。
【0180】
他の好ましい実施例では、痛みを治療するために適量のオピオイドと組み合わされる方法で、適量の本発明の化合物が用いられてもよい。
【0181】
本発明の化合物は、少なくとも1つのオピオイドの投与前、投与中、投与後に、投与されてもいい。本発明の方法は、特に、アルフェンタニル,ブプレノルフィン,ブトルファノール,コデイン,デゾシン,ジヒドロコデイン,フェンタニル,ヒドロコドン、ヒドロモルフォン,レヴォルファノール,メペリジン(ペチジン)、メタドン,モルヒネ,ナルブフィン、オキシコドン,オキシモルフォン,ペンタゾシン,プロピラム,プロポキシフェン、スフェンタニル,トラマドール又はそれらの混合物から選択されるオピオイドに効果的である。
【0182】
ここに述べられているか引用されている方法を使用することにより、式IのN−置換−(3−置換フェニル)−3,4−二置換−1−ピペリジン化合物が容易に調製される。
【0183】
本発明はさらに下記の例で説明される。ここに示されている実例は、説明に役立つ目的のみであり、添付の請求の範囲を限定するものではない。
【0184】
下記に示されるSchemes1−5に従って調製される、式Vと式VIIのN−置換(+)−4(R)−(3−置換フェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン誘導体の一連が提供されている。
【0185】
表1に示されている例1と例6〜36は、Scheme(スキーム)1に従って調製された。Advanced Chemtechより購入したWang樹脂(Wang resin)に結合したFmoc保護α−アミノ酸()が、一般式の誘導体の合成の出発原料として使用された。ピペリジン/DMFとの、の処理により、樹脂−結合Fmoc脱保護α−アミノ酸をもたらし、それは、結合剤としてHATUを用いて、酸に結合された(Werner et al.、J.Org.Chem、1996、61、587〜597を参照)。反応時間(3時間)と各試薬の当量数は、O−アシル化副生成物の生成を最小限にする一方、所望の結合された生成物の良好な転換を得るために、重大である。三フッ化酢酸を用いた樹脂のへき開は、所望のカルボン酸誘導体をもたらした。酸性へき開状況下で、全てのBoc、tert−ブチル,及びトリチル保護基(R1置換基)が同時に取り去られて、相当する第1又は第2アミン、カルボン酸、アルコール、インドール、イミダゾール及びカルボキシアミドを生じた。へき開された生成物の純度は、LCMSにより測定され一般的に50%以上であり、ルーチンのHPLCにより化合物は98%以上に精製された。
【0186】
あるいは、前記Fmoc−保護α−アミノ酸は、(Greene、T.W.and Wuts、P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis 3d.Ed.、Wiley&Sons、1999に開示されているような)既知の方法によって調製されてもよく、そして、それはその後、(Bryan et al.、Tetrahedron Letters、2000、41、6997〜7000;Burkett et al.、Tetrahedron Letters、2000、41、6661〜6664に開示されているような)標準的な結合方法を用いて、Wang樹脂に付着された。
【0187】
一般式(例2と37から66)の誘導体は、Scheme(スキーム)1に示されているものと類似したScheme2の方法により調製された。基本的な条件下でのメチルエステルの加水分解によって得られる、カルボン酸とのの結合(Werner et al.、J.Org.Chem、1996、61、587〜597参照)は、樹脂をもたらし、それは三フッ化酢酸を用いてへき開されてカルボン酸誘導体を生じた。上述のように、酸性へき開状況下で、全てのBoc、tert−ブチル及びトリチル保護基が同時に取り去られて相当する第1又は第2アミン、カルボン酸、アルコール、インドール、イミダゾール及びカルボキシアミドを生じた。へき開された生成物の純度は、LCMSにより測定され一般的に50%以上であり、ルーチンのHPLCにより化合物は98%以上に精製された。
【0188】
一般式14(例3、67〜70)の誘導体は、Scheme3に従って調製された。前述の方法(Matthews et al.J.Org.Chem、1997、62、6090〜6092を参照)を用いて、Wang樹脂()に結合されたα−アミノ酸の第1アミンの還元アミノ化は、第2アミン中間体10をもたらした。トリエチルアミン存在下でのアクリロイル塩化物(acryloyl chloride)との樹脂10との結合は、樹脂−結合アクリルアミド誘導体11をもたらし、それは(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)と反応して(J.Org.Chem.、1991、56、1660〜1663を参照)、所望の1,4−付加生成物13を生じた。三フッ化酢酸を用いて樹脂中間体13はへき開されて、カルボン酸誘導体14を生じた。へき開された生成物の純度は、LCMSにより測定され一般的に50%以上であり、ルーチンのHPLCにより化合物は98%以上に精製された。
【0189】
一般式20(例4、71−78)の誘導体が、Scheme4に従って調製された。第2アミン誘導体17が、Fukuyama−Mitsunobu法(Piscopio et al.Tetrahedron Lett.、1998、39、2667〜2670;Piscopio et al.Tetrahedron、1999、55、8189〜8198;Yang et al.Tetrahedron Lett.、1997、38、7307〜7310を参照)の固相変異を用いて得られた。従って、樹脂と2,4−ジニトロベンゼンスルホニル塩化物から調製された2,4−ジニトロスルホンアミド15は、Mitsunobu状況下(ROH、DIAD、PhP、THF)で効率的にアルキル化されて、N,N−二置換2,4−ジニトロベンゼンスルホンアミド16を生じた。n−ブチルアミンを用いた16の容易な脱保護は、第2アミン中間体17をもたらした。ジイソプロピルエチルアミンの存在下でアクリロイル塩化物との樹脂17の結合は、樹脂−結合アクリルアミド誘導体18をもたらし、それは(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)と反応して1,4−付加生成物19を生じた。
【0190】
樹脂中間体19は三フッ化酢酸を用いてへき開されて、カルボン酸誘導体20を生じた。へき開された生成物の純度は、LCMSにより測定され一般的に50%以上であり、ルーチンのHPLCにより化合物は98%以上に精製された。
【0191】
一般式24(例5、79、80)が、Scheme5に従って調製された。樹脂−結合Fmoc脱保護α−アミノ酸のN−アリール化が、Combsと共著者らによって説明されている方法(Combs et al.、J.Comb.Chem.2002、4、179〜182を参照)(ArB(OH)、Cu(OAc)、EtN、THF)に従ってなされた。生じた樹脂21とアクリロイル塩化物とのトリエチルアミンの存在下での結合は、樹脂−結合アクリルアミド誘導体22をもたらし、それは(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)と反応して、1,4−付加生成物23を生じた。樹脂中間体23は、三フッ化酢酸を用いてへき開されて、カルボン酸誘導体24を生じた。最終的な生成物の初期純度は、LCMSにより測定され一般的に50%以上であり、ルーチンのHPLCにより化合物は98%以上に精製された。
【0192】
(1)実施例セクション
材料:全ての化学物質は試薬グレードで、さらなる精製なしで使用された。LC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)データが、LC Thermo Finnigan Surveyor−MS Thermo Finnigan AQA を用いて、ポジティブモードかネガティブモードのいずれかで測定された。溶媒A:10mM酢酸アンモニウム、pH4.5;溶媒B:アセトニトル;溶媒C:メタノール;溶媒D:水;カラムWaters Xterra C18 MS 2.0x50mm、検出器:PDAλ=220−300nM。勾配プログラム(ポジティブモード):t=0.00、600μL/min、99%A−1%B;t=0.30、600μL/min、99%A−1%B;t=5.00、600μL/min、1%A−99%B;t=5.30、600μL/min、1%A−99%B。勾配プログラム(ネガティブモード):t=0.00、600μL/min、9%A−1%B−90%D;t=0.30、600μL/min、9%A−1%B−90%D;t=5.00、600μL/min、99%B−1%D;t=5.30、600μL/min、99%B−1%D。
【実施例1】
【0193】
2(S)−{2(S)−ベンジル−3−[4(R)−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピオニルアミノ}−3−フェニル−プロピオン酸(5a
ジメチルホルムアミド/ピペリジン20:80溶液(20mL)が、Fmoc−Phe Wang樹脂1a(0.8mmol/g、0.250g、0.0002mol)に添加されて、その懸濁液は室温で20分混合された(Scheme1)。前記樹脂は次に抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X),ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。生じた樹脂2aのジクロロメタン/ジメチルホルムアミド1:1(20mL)混合液中での懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.036mL、0.00021mol、1.05eq),カルボン酸(0.081g、0.00021mol、1.05eq),及びHATU(0.080g、0.00021mol、1.05eq)が連続して添加された。その混合物は、室温で3時間攪拌された。その樹脂は次に抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。その樹脂aは、三フッ化酢酸/ジクロロメタン(1:1)(10mL)の混合液中で、室温で20分間攪拌された。濾液は回収されて、樹脂はさらにジクロロメタン(3x2mL)で洗浄された。濾液の蒸発が所望の化合物をもたらし、さらにルーチンのHPLCで精製された。例1(5a)では、R=(S)CHPh;質量分析:m/z=515(M+H)
【実施例2】
【0194】
2(S)−{3−[4(R)−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピオニルアミノ}−3−フェニル−プロピオン酸(9a
カルボン酸誘導体の調製:
1N水酸化ナトリウム水溶液(58.2mL、0.05821mol、3eq)が、テトラヒドロフラン(100mL)中での(5.65g、0.01940mol、1eq)の冷たい(0(C)溶液に、滴下添加された。その混合物は、室温に温められて、攪拌が室温で16時間続けられた。12NHCl水溶液(4.85mL、0.0582mol、3eq)が、真空下で濃縮された前記混合物を中和するために添加された。生じた固体が、ジクロロメタン/MeOH98:2混合液中に懸濁された。その混合物は濾過されて、濾液が蒸発されて、さらなる精製なしで次の工程に使われる所望の化合物(3.7g、69%)をもたらした。質量分析:m/z=278(M+H)
【0195】
ジクロロメタン/ジメチルホルムアミド1:1混合液(20mL)中の樹脂2a(例1で説明された調製)の懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.035mL、0.0002mol、1eq)、カルボン酸(0.056g、0.0002mol、1eq)、及びHATU(0.076g、0.0002mol、1eq)が連続して添加された。その混合物は、室温で6時間攪拌された。その樹脂は、それから抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X),ジメチルホルムアミド(5X)、メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X)、ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。その樹脂8aは、三フッ化酢酸/ジクロロメタン(1:1)混合液(10mL)中で、室温で20分間攪拌された。濾液が回収されて、樹脂はさらにジクロロメタン(3x2mL)で洗浄された。濾液の蒸発によって所望の化合物が得られ、ルーチンのHPLCによってさらに精製された。例2(9a)では、R=(S)CHPh;質量分析:m/z=425(M+H)
【実施例3】
【0196】
2(S)−[{3−[4(R)−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピオニル}−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−3−フェニル−プロピオン酸(14a
トリメチルオルトホルメート(trimethylorthoformate)(6mL)中に膨潤された樹脂2a(0.00015mol)に、4−メトキシベンズアルデヒド(0.408g、0.003mol、20eq)が添加されて、その反応は室温で30分間で混合された。トリメチルオルトホルメート(3mL)中に分散されたシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.190g、0.003mol、20eq)が添加され、次に酢酸(0.032mL)が添加されて,その反応混合物は、室温でさらに10分間混合された。その反応物は濾過されて、樹脂はジメチルホルムアミド(5X)、メタノール(5X),ジクロロメタン/トリエチルアミン9:1(5X),メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X),メタノール(5X)、ジエチルエーテル(5X)で洗浄されて、真空乾燥された。先に得られた樹脂10aのジクロロメタン(20mL)中での懸濁液に、トリエチルアミン(2.1mL、0.0015mol、10eq)が、次にアクリロイル塩化物(0.12mL、0.0015mol、10eq)が添加された。その混合物は、室温で6時間攪拌された。その樹脂はそれから抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X),ジメチルホルムアミド(5X)、メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄され、真空乾燥された。先に得られた樹脂11aのMeOH/THF1:2(20mL)への懸濁液に、(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)(46mg、0.00022mol、1.5eq)が添加されて、その混合物は室温で12時間攪拌された。その樹脂は抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X),ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X),ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X)で連続して洗浄されて、MeOH/THF1:2(20mL)中に再懸濁された。(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)(46mg,0.00022mol,1.5eq)が、前記混合物に添加されて、室温でさらに12時間攪拌された。樹脂はそれから抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X)、ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。樹脂13aは、三フッ化酢酸/ジクロロメタン(1:1)混合液(10mL)中で、室温で20分間攪拌された。その濾液は回収されて、樹脂はさらにジクロロメタン(3x2mL)で洗浄された。濾液の蒸発によって、所望の化合物が得られ、ルーチンのHPLCによってさらに精製された。例3(14a)では、R=(S)CHPh;R=para−メトキシベンジル、R=H;質量分析:m/z=545(M+H)
【実施例4】
【0197】
(S)−(エチル−{3−[4(R)−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピオニル}−アミノ)−3−フェニル−プロピオン酸(20a
ジメチルホルムアミド/ピペリジン20:80(100mL)溶液が、Fmoc−Phe Wang樹脂1a(0.6mmol/g、3g、0.0018mol)に添加されて、その懸濁液は室温で20分間混合された。その樹脂はそれから抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。得られた樹脂2aのジクロロメタン/テトラヒドロフラン1:3混合液(100mL)中の懸濁液に、2,6−ルチジン(lutidine)(0.84mL、0.0072mol、4eq)と2,4−ジニトロベンゼンスルホニル塩化物(1.92g、0.0072mol、4eq)が連続して添加された。その混合物は、室温で12時間攪拌された。その樹脂はそれから抜き取られ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X)、メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で洗浄されて、真空乾燥された。得られた樹脂15a(0.200g、0.00012mol、1eq)のテトラヒドロフラン(20mL)中の懸濁液に、2Mトリフェニルホスフィンのテトラヒドロフラン(0.6mL、0.0012mol、10eq)溶液,2Mジイソプロピルアゾジカルボン酸塩(DIAD)のテトラヒドロフラン(0.6mL、0.0012mol、10eq)溶液、及びエチルアルコール(0.055g、0.0012mol、10eq)が連続して添加された。その混合物は、室温で12時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X)、ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。ジメチルホルムアミド/n−ブチルアミン80:20(100mL)溶液が、先に得られた樹脂16aに添加されて、その懸濁液は室温で6時間攪拌された(Scheme4)。その樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。得られた樹脂17aのジクロロメタン(20mL)中の懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.21mL、0.0012mol、10eq)が、次にアクリロイル塩化物(0.10mL、0.0012mol、10eq)が添加された。その混合物は、室温で6時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X)、ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄されて、真空乾燥された。得られた樹脂18aのMeOH/THF1:2(20mL)中の懸濁液に、0.18M(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)のMeOH/THF1:2(1mL、0.00018mol、1.5eq)溶液が添加されて、その混合物は室温で12時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X)で連続して洗浄されて、MeOH/THF1:2(20mL)中に再懸濁された。0.18M(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)のMeOH/THF1:2(1mL、0.00018mol、1.5eq)溶液が、前記混合物に添加されて、それは室温でさらに12時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄され、真空乾燥された。樹脂19aは、三フッ化酢酸/ジクロロメタン(1:1)混合液(10mL)中で、室温で20分間攪拌された。濾液は回収されて、樹脂はさらにジクロロメタン(3x2mL)で洗浄された。濾液の蒸発によって、所望の化合物が得られ、それはルーチンのHPLCによってさらに精製された。例4(20a)では、R=(S)CHPh;R=H、R=C;質量分析:m/z=453(M+H)
【実施例5】
【0198】
例5:2(S)−(4−メトキシフェニル−{3−[4(R)−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピオニル}−フェニル−アミノ)−3−フェニル−プロピオン酸(24a
樹脂2a(0.00015mol)が、乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中に膨潤されて、下記の試薬:4−メトキシフェニルボロン酸(0.091g、0.0006mol、4eq)、無水酢酸銅(0.055g、0.0003mol、2eq)、4A粉末モレキュラーシーブ(0.170g)及びトリエチルアミン(0.083mL、0.0006mol、4eq)が連続した方法で添加された。前記不均一混合物は、室温で16時間攪拌された。樹脂は濾過されて、テトラヒドロフラン(7X)とジクロロメタン(5X)でかわるがわる洗浄されて、次にテトラヒドロフラン(5X)で洗浄された。先に得られた樹脂21aのジクロロメタン(20mL)中への懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.26mL、0.0015mol、10eq)が、次にアクリロイル塩化物(0.12mL、0.0015mol、10eq)が添加された。その混合物は、室温で6時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄され、真空乾燥された。先に得られた22aのMeOH/THF1:2(20mL)中への懸濁液に、0.18M(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)のMeOH/THF1:2(1mL、0.00018mol、1.5eq)溶液が添加されて、その混合物は室温で12時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X)で連続して洗浄され、MeOH/THF1:2(20mL)中に再懸濁された。0.18M(+)−4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−1−ピペリジン(12)のMeOH/THF1:2(1mL、0.00018mol、1.5eq)溶液が、前記混合物に添加されて、それは室温でさらに12時間攪拌された。樹脂はそれから引き抜かれ、ジメチルホルムアミド(5X)、ジメチルホルムアミド/水(9:1)(5X)、ジメチルホルムアミド(5X),メタノール(5X),ジクロロメタン(5X),ジエチルエーテル(5X)で連続して洗浄され、真空乾燥された。樹脂23aは、三フッ化酢酸/ジクロロメタン(1:1)(10mL)混合液中で、室温で20分攪拌された。濾液が回収されて、樹脂はジクロロメタン(3x2mL)でさらに洗浄された。濾液の蒸発によって、所望の化合物が得られ、ルーチンのHPLCによってさらに精製された。例5(24a)では、R=(S)CHPh;R=CHOC(p);質量分析:m/z=531(M+H)
【0199】
【化38】

【0200】
【化39】

【0201】
【化40】

【0202】
【化41】

【0203】
【化42】

【0204】
生物学的分析
別々のセルラインで発現され、クローン化されたヒトμ、κ、及びδオピオイド受容体に対して、非選択的オピオイド拮抗剤、[H]ジプレノルフィン([H]diprenorphine)の結合を抑制する各化合物の濃度範囲の性能を試験することによって、本化合物の有効性が測定された。IC50値が、GraphPad Prism version 3.00 for Windows(GraphPad Software社製、San Diego)を用いたデータの非線形分析によって得られた。K値は、IC50値のCheng−Prusoff補正によって得られた。
【0205】
受容体結合(試験管内分析にて)
本受容体結合方法(DeHaven and DeHaven−Hudkins、1998)は、Raynorらの方法(1994)の修正であった。前もって緩衝剤Aでの希釈と均一化がされた後、250μLの膜タンパク質(membrane proteins)(10〜80μg)が、96穴ポリスチレン滴定皿(96−well deep−well polystyrene titer plates)(Beckman社製)の、250μLの緩衝剤A中に試料化合物と[H]ジプレノルフィン(0.5から1.0nM、40,000から50,000dpm)が含まれる混合物に、添加された。室温で1時間の培養後、試料は、0.5%(w/v)ポリエチレンイミン(polyethylenimine)と0.1%(w/v)子ウシ血清アルブミンの水溶液に予め浸されたGF/Bフィルターを通して濾過された。フィルターは、1mLの冷たい50mMトリス塩酸、pH7.8で4回すすがれて、フィルターに残っている放射能が、シンチレーション分光法によって測定された。非特異的な結合が、滴定曲線の最小値によって測定されて、10μMナロキソン(naloxone)を含む井戸型分離分析(separate assay wells)によって確かめられた。K値は、GraphPad Prism(登録商標)version 3.00 for Windows(GraphPad Software社製、San Diego、CA)を用いて、12点滴定曲線に沿った非線形回帰から導かれたIC50値のCheng−Prusoff補正によって、測定された。
【0206】
抑制剤(K)の平衡解離定数を決定するために、様々な濃度の試料化合物での放射能リガンド結合(cpm)が測定された。放射能リガンド結合の半最大抑制値(EC50)を与える濃度が、下記の方程式に最もよくあう非線形回帰から決定され、
【0207】
【数1】

【0208】
ここで、Yは、試料化合物の各濃度での放射能リガンド結合の量であり、Bottom(ボトム)は、無限大濃度(infinite concentration)の試料化合物での放射能リガンドの計算された量であり、Top(トップ)は、試料化合物が存在しない場合の放射能リガンドの計算された量であり、Xは、試料化合物の濃度の対数であり、LogEC50は、放射能リガンドの量がTopとBottomの半分にある試料化合物の濃度のlogである。非線形回帰が、Prism(登録商標)プログラム(GraphPad Software社製、San Diego、CA)を用いて行われた。それからK値が、下記方程式によって、EC50値から決定されて、
【0209】
【数2】

【0210】
ここで、[ligand](リガンド)は、放射能リガンドの濃度であり、Kはその放射能リガンドの平衡解離定数である。
【0211】
クローン化ヒトμ、κ又はδオピオイド受容体を含む膜に、[35S]GTP(Sを結合させる作用薬を抑制する能力によって、拮抗剤の有効性が評価された。使用された作用薬は、μオピオイド受容体ではローパーアミド(loperamide)であり、κオピオイド受容体ではU50488Hであり、δオピオイド受容体ではBW373U86であった。
【0212】
35S]GTP(S結合を促進させる作用薬の半最大抑制値を与える濃度であるIC50値を決定するために、決まった濃度の作用薬と様々な濃度の拮抗剤が存在する場合の[35S]GTP(S結合の量が測定された。作用薬の決まった濃度はその作用薬ではEC80であり、それは、[35S]GTP(S結合の相対的最大促進値の80%を与える濃度であった。IC50値は、下記の方程式に最もあう非線形回帰から決定され、
【0213】
【数3】

【0214】
ここで、Yは、拮抗剤の各濃度での[35S]GTPγ結合の量であり、Bottom(ボトム)は、拮抗剤の無限大の濃度での[35S]GTPγS結合の計算された量であり、Top(トップ)は、添加される拮抗剤がない場合の[35S]GTPγS結合の計算された量であり、Xは拮抗剤の濃度の対数であり、LogIC50は、[35S]GTPγS結合の量がBottomとTopの半分であるときの拮抗剤の濃度の対数である。非線形回帰が、GraphPad Prism(登録商標) version 3.00 for Windows(GraphPad Software社製、San Diego、CA)を用いて行われた。
【0215】
表1(例1から82)に示されている化合物の、μ、δおよびκオピオイド受容体に対する親和性が試験された。これら全ての化合物は、μ、δおよびκオピオイド受容体に対して、100μMより小さい親和性で結合する。これらの化合物は、様々な選択性の度合いμυ.δ、μυ.κ、及びκυ.δを示した。選択されたリガンドの活性もまた、試験管内で評価された。多くの化合物が、μオピオイド受容体で純粋な拮抗剤である(10μMより高い濃度で作用薬活性が検出されない)ことがわかった。例えば、化合物28(表1)は、μ、δ、及びκオピオイド受容体に、(K値として表される)親和性、0.4nM、510nMそして200nMでそれぞれ結合する。さらに、化合物28は、試験管内で、効力のある拮抗剤活性(IC50=1.4nM)を示した。化合物30は、μ、δ、及びκオピオイド受容体に、(K値として表される)親和性、0.4nM、860nMそして440nMでそれぞれ結合する。さらに、化合物30は、試験管内で、効力のある拮抗剤活性(IC50=1.0nM)を示した。
【0216】
マウス胃腸通過(GIT)分析(生体内分析)
化合物の拮抗剤活性を、マウス胃腸通過(Mouse Gastrointestinal Transit,(GIT))分析を用いて(生体内分析で)評価することができる。オスのSwiss−Websterマウス(一般的に25−30g)が全ての実験で使用される。マウスは、ポリカーボネートのかごに、自由に得られるエサと水と共に、1かご当たり4匹収容される。マウスは、午前6:30にライトが点けられ、12時間ずつ昼夜のスケジュールで管理される。全ての実験は、ライトがついている時間に行われた。マウスは、実験前の夜は、水は自由に摂取できるが、絶食される。
【0217】
マウスは、GIT測定の2時間前か6時間前に経口で、媒体(10%DMSO:20%クレンフォール(Cremophor)EL:70%塩類液)又は試験化合物(10mg/kg)が投与される。化合物は、体重10g当たり0.1mlの量で投与される。モルヒネ(3mg/kg)又は媒体(0.9%塩類液)が、GIT測定の35分前に投与される。モルヒネ治療の10分後に、マウスは経口で0.2mlの炭の食事が投与される。炭の食事は、炭、小麦粉、及び水が、以下の割合(1:2:8,重量:重量:体積)のスラリーからなる。炭の食事を摂取した25分後に、マウスは、COで安楽死されてGITが測定される。
【0218】
GITは、下記式によりGIT%として表される。
【0219】
【数4】

【0220】
各化合物の、拮抗%(% Antagonism (% A))値が、2時間と6時間の拮抗前処理で測定される。各処理グループの平均GIT%を使用して、%Aが下記式を用いて算出される。
【0221】
【数5】

【0222】
【表1−1】

【0223】
【表1−2】

【0224】
【表1−3】

【0225】
【表1−4】

【0226】
【表1−5】

【0227】
【表1−6】

【0228】
分子量のような物理的性質や、化学式のような化学的性質で、範囲がここで使用されている場合には、その範囲の全ての組み合わせや副組み合わせ、及びここにある特定の実施例が含まれるものとする。
【0229】
本書類で引用されるか説明された各特許文献、特許出願、及び刊行物は、この参照によりここに組み込まれている。
【0230】
本発明の好ましい実施例とするために、本発明の概念を逸脱しない範囲で、多くの変更や修正ができることは、当業者には理解されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲が、全てのそのような等価なバリエーションを含むことを意味するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される化合物であって、
【化1】

ここで、
は、H又はアルキルであり;
2aは、アルキル又はアルケニルであり;
2bは、H、アルキル、又はアルケニルであり;
は、H、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、又はアラルキルであり;
は、
H、
アリール(任意で−OH、ニトロ、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリール、アルキル、アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、
アラルキル;
アルキル、
アルケニル、
又はアルキニルであり、
ここで後者3つの基は任意で、−OR6c、−S(=O)6d、−CN、ハロ、アルコキシカルボニル、−N(R6a)(R6b)、アルカノイル、アルカノイロキシ、シクロアルキル、シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で−OH、ニトロ、−N(R6a)(R6b)、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、COH、−CHO、アリール、アルキル、アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つまたはそれ以上のハロ原子で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換される)から選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換され;
6a、R6b、R6c、R6d、及びR6eは、それぞれ独立して、H、Het、アルキル、アルケニル,アルキニル、シクロアルキル,アラルキル、又はアリール(ここで後者6つの基は任意で、OH,ニトロ,ハロ,−NHC(=O)R、−CN、−CHCN,−C(=O)NH、−COH、アルコキシカルボニル、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)であり;
は、−(CH(CHR(CHR8aW、−CHP(=O)OR7bOR7c、又は−S(=O)7dであり;
は、それぞれ独立して、アリール(任意で−OH、ニトロ、アリール,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル、アルコキシおよびアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル,アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、−N(R6a)(R6b)、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル,アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で、−OH、ニトロ、アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル(aroyl)、アリール,アルキル,アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRが両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断され;
8aは、それぞれ独立して、H、アリール(任意で−OH,ニトロ,アリール,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、シクロアルキル,アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ここで前記アルキル,アルケニル又はアルキニル基は任意で、−OR6c、−S(O)6d、−CN、ハロ、アミノ、−COH、−C(=O)NH、アルコキシカルボニル、アルカノイル,アルカノイロキシ,シクロアルキル,シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het、及びアリール(ここで後者の基、アリール基は任意で、−OH、ニトロ,アミノ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル,アリール,アルキル,アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;又は、RとRは、両者を結合する原子と総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキル環は任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断され;
Wは、−C(=O)OR、−C(=O)N(R10a)(R10b)、又は−P(=O)OR7bOR7cであり;
は、H、アルキル,アルケニル,フェニル,シクロアルキル,シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル,シクロアルケニルアルキル,又はアラルキルであり;
10aとR10bは、それぞれ独立して、H、アルキル,アルケニル、アルキニル,シクロアルキル,アラルキル、Het、又はアリール(ここで後者7つの基は任意で、−OH、ニトロ,ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アルキル,アルコキシ,及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)を表し;またはR10aとR10bが両者に付随する窒素原子と共にとられて4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで前記へテロシクロアルキル環は任意で芳香族環に縮合され、また前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル、又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらにここで前記ヘテロシクロアルキルは任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R12)基によって分断され;
7a、R7b、R7c、及びR7dは、それぞれ独立して、H、アルキル,シクロアルキル,アルカリル,アラルキル又はアリールであり,ここで後者5つの基は任意でアルキル,アルコキシ、−OH、ニトロ,アミノ及びハロとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;
Het、Het及びHetは、それぞれ独立して、3員から8員のヘテロ環を表し、ここで前記ヘテロ環は、酸素、硫黄、窒素またはそれらの組み合わせとから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここで前記ヘテロ環は任意で芳香族環に縮合され、またここで前記へテロ環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、=O、ニトロ、アミノ,ハロ、−CN、−COH、アリール,アルキル,アルコキシ及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;
11は、H、アルキル、シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,又はアラルキルを表し;
12は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又はアラルキルを表し;
jは0、1、2、3、又は4の整数であり;
mは0、1、2、3、又は4の整数であり;
qは0、1、又は2の整数であり;
yは0、1、2、3、4、又は5の整数であり;及び
zは0、1、2、3、又は4の整数であるが;
但し、jとzがそれぞれ整数0である時は、yは整数5でなければならない化合物、
又は、前記式Iの化合物の立体異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和、酸水和物、N−酸化物、または同形のクリスタリン形態である化合物。
【請求項2】
請求項1の化合物において、前記RはHである。
【請求項3】
請求項1の化合物において、前記R2aとR2bは互いにトランであるものである。
【請求項4】
式IIで表される、請求項1の化合物。
【化2】

【請求項5】
請求項1の化合物において、前記R2aとR2bはそれぞれメチルである。
【請求項6】
式IIIで表される、請求項1の化合物において、
【化3】

はH、アルキル、又はアラルキルである。
【請求項7】
式IVで表される、請求項1の化合物において、
【化4】

は、H、アルキル、又はアラルキルである。
【請求項8】
請求項7の化合物において、RはHである。
【請求項9】
請求項7の化合物において、Rは、
【化5】

である。
【請求項10】
式Vで表される、請求項7の化合物。
【化6】

【請求項11】
請求項10の化合物において、RはHである。
【請求項12】
式VIaで表される、請求項10の化合物。
【化7】

【請求項13】
式VIbで表される、請求項10の化合物。
【化8】

【請求項14】
請求項12又は請求項13の化合物において、
Wは、−COHであり、R2aとR2bは、それぞれメチルである。
【請求項15】
請求項12又は請求項13の化合物において、
は、アリールで置換されたアルキルであり、前記アリールは、任意で、−OH、ニトロ、アミノ、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、アロイル、アリール、−N(R6a)(R6b)、アルキル、アルコキシ,及びアルカノイル(後者3つの基は、任意で1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換されるものである。
【請求項16】
請求項15の化合物において、
ここでRは、任意で置換されたベンジルである。
【請求項17】
請求項16の化合物において、
前記ベンジルは、−OH、ニトロ、ハロ、アロイル、またはアリールから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換されるものである。
【請求項18】
請求項12又は13の化合物において、Rは、
【化9】

である。
【請求項19】
請求項18の化合物において、RはHである。
【請求項20】
請求項10の化合物において、
とRは、両者を結合する原子を総合すると、4員から8員のヘテロシクロアルキル環を形成するものであり、
前記へテロシクロアルキル環は、任意で芳香族環に縮合されるものであって、前記ヘテロシクロアルキル環又は任意で縮合された前記芳香族環は、それぞれ独立して任意で、−OH、アルキル,又はアルコキシとから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換され;さらに前記ヘテロシクロアルキル環は、任意で1つ又はそれ以上のO、S又はN(R11)基によって分断されるものである。
【請求項21】
式VIIで表される、請求項20の化合物。
【化10】

【請求項22】
請求項19の化合物において、Rは、
【化11】

である。
【請求項23】
請求項22の化合物において、R2aとR2bは、それぞれメチルである。
【請求項24】
式VIIaで表される、請求項23の化合物。
【化12】

【請求項25】
式VIIbで表される、請求項23の化合物。
【化13】

【請求項26】
式VIIIで表される、請求項1の化合物において、
【化14】

はH、アルキル又はアラルキルである。
【請求項27】
式IXで表される、請求項1の化合物において、
【化15】

は、H、アルキル又はアラルキルである。
【請求項28】
請求項1の化合物において、Wは、−COHである。
【請求項29】
請求項1の化合物において、Rは、ベンジルである。
【請求項30】
請求項1の化合物において、Rは、Hである。
【請求項31】
請求項1の化合物において、mは、整数1である。
【請求項32】
請求項1の化合物において、Rはベンジルで、mは整数1である。
【請求項33】
請求項1の化合物において、
はベンジルで、mは整数1であり、Wは−COHである。
【請求項34】
請求項1の化合物において、
はHであり、mは整数1であり、Rはアリール(前記アリールは任意で、−OH、ニトロ、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−N(R6a)(R6b)、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリール、アルキル、アルコキシ、及びアルカノイル(ここで後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)、アルキル、アルケニル、又はアルキニルであり、ここで後者3つの基(アルキル、アルケニル、アルキニル)は任意で、−OR6c、−S(=O)6d、−CN、ハロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルカノイル、アルカノイロキシ、シクロアルキル、シクロアルカノイル、−N(R6e)S(=O)2R7a、−P(=O)OR7bOR7c、Het,及びアリール(ここで後者の基は任意で、−OH、ニトロ、N(R6a)(R6b)、ハロ、−CN、−CHCN、−C(=O)NH、−COH、−CHO、アリール、アルキル、アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、及びアルカノイル(後者3つの基は任意で、1つ又はそれ以上のハロ原子で置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換される)とから選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換されるものである。
【請求項35】
薬剤組成物であって、
薬剤許容の担体と、効力を奏する量の請求項1の化合物とを有する薬剤組成物。
【請求項36】
請求項35の薬剤組成物であって、さらに、
効力を奏する量の少なくとも1つのオピオイドを有するものである薬剤組成物。
【請求項37】
請求項36の薬剤組成物において、
前記オピオイドは、アルフェンタニル(alfentanil)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ブトルファノール(butorphanol)、コデイン(codeine)、デゾシン(dezocine)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、フェンタニル(fentanyl)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン(hydromorphone)、レヴォルファノール(levorphanol)、メペリジン(meperidine)(ペチジン)、メタドン(methadone)、モルフィン(morphine)、ナルブフィン(nalbuphine)、オキシコドン(oxycodone)、オキシモルフォン(oxymorphone)、ペンタゾシン(pentazocine)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、スフェンタニル(sufentanil)、トラマドール(tramadol)又はそれらの混合物である。
【請求項38】
オピオイド受容体を定着させる必要がある患者に、オピオイド受容体を定着させる方法であって、
効力を奏する量の請求項1の化合物を、前記患者に投与する工程を有するものである方法。
【請求項39】
請求項38の方法において、前記化合物は、μオピオイド受容体に結合するものである。
【請求項40】
請求項39の方法において、前記μオピオイド受容体は、中枢神経系に位置するものである。
【請求項41】
請求項39の方法において、前記μオピオイド受容体は、中枢神経系から末梢に位置するものである。
【請求項42】
請求項38の方法において、前記化合物は、κオピオイド受容体に結合するものである。
【請求項43】
請求項42の方法において、前記κオピオイド受容体は、中枢神経系に位置するものである。
【請求項44】
請求項42の方法において、前記κオピオイド受容体は、中枢神経系から末梢に位置するものである。
【請求項45】
請求項38の方法において、前記結合は、前記オピオイド受容体の活性を拮抗するものである。
【請求項46】
請求項38の方法において、前記化合物は、前記オピオイド受容体に活性を示すものである。
【請求項47】
請求項38の方法において、前記化合物は、実質的には血液脳関門を通過しないものである。
【請求項48】
請求項38の方法において、前記患者は、オピオイドによって引き起こされる症状又は病気の予防もしくは治療の必要とするものである。
【請求項49】
請求項48の方法において、前記オピオイドは、内因性である。
【請求項50】
請求項48の方法において、前記オピオイドは、外因性である。
【請求項51】
請求項48の方法において、
前記組成物はさらに、効力を奏する量の少なくとも1つのオピオイドを有するものである。
【請求項52】
胃腸機能障害の予防する又は治療する方法であって、
そのような治療を必要とする患者に対して、効果を奏する量の請求項1の化合物を含む組成物を投与する工程を有する方法。
【請求項53】
腸閉塞を予防する又は治療する方法であって、
そのような治療を必要とする患者に対して、効果を奏する量の請求項1の化合物を含む組成物を投与する工程を有する方法。
【請求項54】
オピオイドに関連する副作用を治療する又は予防する方法であって、
そのような治療を必要とする患者に対して、効果を奏する量の請求項1の化合物を含む組成物を投与する工程を有する方法。
【請求項55】
請求項54の方法において、
前記副作用は、便秘、嘔気、及び嘔吐とからなる群から選択されるものである。
【請求項56】
請求項54の方法において、
前記投与する工程は、少なくとも1つのオピオイドを投与する工程の前、その間、もしくはその後に行われるものである。
【請求項57】
痛みを予防する又は治療する方法であって、
それを必要とする患者に対して、効果的な量のオピオイドと、効果的な量の請求項1の化合物とを有する組成物を投与する工程を有する方法。
【請求項58】
請求項56又は57の方法において、
前記オピオイドは、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン,デゾシン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レヴォルファノール、メペリジン(ペチジン)、メタドン、モルフィン、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール又はそれらの混合物である。

【公表番号】特表2006−527775(P2006−527775A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517257(P2006−517257)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/018905
【国際公開番号】WO2004/112704
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505464866)アドラー コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】