説明

置換ピペリジノフェニルオキサゾリジノン

本発明は、幾つかの置換ピペリジノフェニルオキサゾリジノンに関するものである。具体的には、本発明は、改善された薬物動態学的プロフィールを持つ、抗-微生物活性を有する、gem-ジ-置換ピペリジノフェニルオキサゾリジノンに関する。本発明は、また本発明の化合物の製造方法、本発明の化合物を含有する医薬組成物並びに本発明の化合物を用いた、微生物感染症の治療並びに予防方法のも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幾つかの置換ピペリジノフェニルオキサゾリジノンに関するものである。具体的には、本発明は、改善された薬物動態学的プロフィールを持ち、抗-微生物活性を有する、ジェム(gem)ジ-置換ピペリジノフェニルオキサゾリジノンに関するものである。本発明は、また本発明の化合物の製造方法、本発明の該化合物を含有する医薬組成物、および本発明の該化合物を使用する、微生物感染症を治療しまたは予防する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
オキサゾリジノンは、合成抗-微生物剤の新規な化合物群を意味する。リネゾリドは、臨床的に使用すべきこの群の第一の構成員である。オキサゾリジノンは、メチシリン-耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)およびβ-ラクタム耐性肺炎球菌(Streptococcus pneumonia)(PRSP)を含む、重大なクラム-陽性のヒトおよび獣医学的病原菌に対する活性を示す。該オキサゾリジノンは、またグラム-陰性好気性細菌、グラム-陽性およびグラム-陰性嫌気性細菌に対しても活性を示す(Diekema D.J.等, Lancet, 2001, 358: 1975-82)。
オキサゾリジノンの限界も浮上してきた。これらは腸内細菌に対しては不活性である(Zhanel, G.G.等, Canadian Journal of Infectious Diseases, 2001, 12:379-390)。その上、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコプラズマホミニス(M. hominis)、ウレアプラズマウレアリティカム(Ureaplasma urealyticium)、およびクラミジア(Chlamydia)種等の、不定型呼吸器病原体に対するその能力は、気道感染症の治療にとって、許容できない臨床的効力をもたらす恐れのある、境界的範囲にあるものである(Diekema D.J.等, Lancet, 2001, 358:1975-82)。
【0003】
臨床上の開発研究およびリネゾリドの使用並びにその開発における有力な後継によって明らかとなった、他の限界は、この化合物群が、結果として起こる血小板減少症を伴う、骨髄機能抑制を誘発する傾向を持つことである(Kuter D.J.等, Pharmacotherapy, 2001, 21: 1010-1030)。
オキサゾリジノンによるモノアミンオキシダーゼの阻害は、アドレナリン作用性またはセロトニン作動性薬剤および選択的セロトニンの再取込み阻害剤の付随的な使用を伴う、この群の構成員の臨床的な使用を思いつかせた(Ament P.W.等, Am Fam Physician, 2002, 65: 663-70)。更に、短い半減期のために、リネゾリドは、b.i.d投与治療法で投与される。
【0004】
オキサゾリジノンの抗菌活性を開示するいくつかの参考文献がある。例えば、国際特許(PCT)公開WO 95/25106は、置換ピペリジノフェニルオキサゾリジノンを開示している。国際特許(PCT)公開WO 96/13502は、多重置換アゼチジニルまたはピロリジニル部分を含むフェニルオキサゾリジノンを開示している。米国特許出願第04/0063954号、国際特許(PCT)公開WO 04/007489およびWO 2004/007488は、抗-微生物用途用のピペリジニルフェニルオキサゾリジノンを開示している。ピロリジニル/ピペリジニルフェニルオキサゾリジノン抗菌剤も、Kim H.Y.等, Bioorg. & Med. Chem. Lett., 2003, 13:2227-2230に開示されている。国際特許(PCT)公開WO 96/35691は、スピロ環式および二環式ジアジニルおよびカルバジニルオキサゾリジノン誘導体であって、該リング内のヘテロ原子の一つが窒素原子である該誘導体を開示している。ジアゼペノフェニルオキサゾリジノン誘導体が、国際特許(PCT)公開WO 99/24428に開示されている。国際特許(PCT)公開WO 02/06278は、置換アミノピペリジノフェニルオキサゾリジノン誘導体を開示している。
【0005】
国際特許(PCT)公開WO 04/007488およびWO 04/007489は、一連の新規なオキサゾリジノンを開示しており、これらは、リネゾリドおよび文献記載のオキサゾリジノンの、以前に記載された静菌活性とは著しく異なる、殺菌活性を持つ、高い効力を示す。例外的な殺菌活性は、リネゾリド-感受性菌株のみならず、第一にリネゾリド-耐性菌株に対しても殺菌活性を示し、従ってリボ核タンパク質複合体の公知のサイトにおけるディファレンシャル結合(differential binding)を誘発し、および/または多数のこのようなサイトを標的とする。国際特許(PCT)公開WO 05/054234は、改善されたインビボ有効性を持つ、gem-ジ-置換ピペリジンフェニルオキサゾリジノン誘導体を開示している。
本発明の化合物は、1日に一回投与するオキサゾリジノンの開発を可能とする、改善された治療上好ましい薬物動態学的プロフィールを持つ。従って、本発明の化合物は、動物にインビボでの防御を与える能力を確立し、また臨床的に有用である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一局面において、本発明では、以下の一般式Iで表される新規ピペリジノ置換フェニルオキサゾリジノン化合物、およびその製薬上許容される塩、その製薬上許容される溶媒和物、エステル、多形体、エナンチオマーまたはジアステレオマーが提供される:
式I:
【0007】
【化1】

【0008】
該一般式Iにおいて、XはOHまたはFであり;RはCH3、-(CH2)n-CF3、-(CH2)n-CHF2(nは0,1または2)である。
もう一つの局面において、このような化合物を、製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤と共に含有し、微生物感染症の治療または予防のために有用であり得る、医薬組成物を提供する。
これら化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、多形体、製薬上許容される塩および製薬上許容される溶媒和物並びに同様な型の活性を持つ代謝産物も提供され、並びに該化合物、その代謝産物、エナンチオマー、ジアステレオマー、多形体、溶媒和および製薬上許容されるその塩を、製薬上許容される担体および場合により含まれる賦形剤と共に含有する、医薬組成物をも提供する。
その他の局面は、以下の説明において示され、また一部には、該説明から明らかとなり、あるいは本発明の実施によって突き止めることができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一局面においては、以下の一般式Iで表される構造を持つ化合物、およびその製薬上許容される塩、その製薬上許容される溶媒和物、エステル、多形体、エナンチオマー、またはジアステレオマーが提供される:
式I:
【0010】
【化2】

【0011】
該一般式Iにおいて、XはOHまたはFであり;RはCH3、-(CH2)n-CF3、-(CH2)n-CHF2(nは0,1または2)である。
本発明の具体的な化合物は、以下に列挙するものである:
(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド;
(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-フルオロ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド;
(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(2,2,2-トリフルオロエトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド。
本発明の化合物は、1日に一回投与するのに適した、著しく良好な薬物動態学的利点を示した。例えば、本発明の化合物:(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミドは、イヌの薬物動態学的研究において、投与の24時間後まで、MIC値を越える、著しく高い血清濃度を示す。即ち、このことは、本発明の化合物が、一回/日投与可能性を持つことを示している。
【0012】
もう一つの局面において、上記式Iの化合物の製造方法が提供される。出発物質は、米国特許第5,668,286号、米国特許出願公開第2004/0063954号および同第2005/0143421号に記載された方法を含む、当分野において公知の方法の何れかによって、あるいは合成有機化学分野の当業者には周知の手順によって製造することができる。
本テキストにおいては、以下のような略号:ジクロロメタンに対してDCM;4-ジメチルアミノピリジンに対してDMAP;N,N-ジメチルホルムアミドに対してDMF;ジメチルスルホキシドに対してDMSO;酢酸エチルに対してEtOAc;トリエチルアミンに対してTEA;テトラヒドロフランに対してTHF;酢酸無水物に対してAc2O;ピリジニウムp-トルエンスルホネートに対してPPTS;p-トルエンスルホン酸に対してPTSA;リチウムジイソプロピルアミンに対してLDA;およびジメチルアセタミドに対してDMAcを使用する。
上記式Iの化合物を製造するための出発物質である、化合物4は、一般的に以下の反応式1で示されるような、反応順序に従って製造することができる。
反応式-1:
【0013】
【化3】

【0014】
反応式1に示したように、4-ピペリドン塩酸塩を、トリエチルアミン等の塩基の存在下にて、3,4,5-トリフルオロニトロベンゼンと縮合して、化合物(1)を与えることができる。該化合物(1)を、エチレングリコールで処理して、そのカルボニル基を保護することができる。この化合物における該ニトロ-基は、蟻酸アンモニウムの存在下で、触媒量の10%Pd/Cにより、あるいは塩化アンモニウムの存在下で、鉄により還元して、対応するアミノ化合物を得ることができる。このアミノ化合物を、更にベンジルクロロホルメートで処理して、化合物(2)を得ることができる。この化合物(2)を、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、リチウムヘキサメチルジシラザン等の塩基の存在下で、R-(-)-グリシジルブチレートにより処理して、化合物(3)を得ることができる。この化合物(3)を、トリエチルアミン等の塩基の存在下で、メタンスルホニルクロリドによって処理して、化合物(4)を得ることができる。
該式Iの化合物は、以下のような工程を用いて、該化合物(4)から製造することができる:
a) 以下の化合物(4)を、以下の式IIで表される化合物に転化する工程:
【0015】
【化4】

【0016】
b) 該式IIの化合物のカルボニル基を、適切な試薬を用いて、エポキシドに転化して、以下の式IIIで表される化合物を製造する工程:
【0017】
【化5】

【0018】
およびc) 該式IIIの化合物のエポキシドを開環して、以下の式I(a)または式I(b)で表される化合物を得る工程:
【0019】
【化6】

【0020】
前記式I(a)で表される化合物は、フッ素化試薬を用いて、前記式I(b)で表される化合物に転化することができる。
該化合物(4)は、一般的に反応式2および反応式3に示されているような、反応順序によって、上記式IIで表される本発明の化合物に転化することができる。この合成は、該オキサゾリジノン部分のC-5および該ピペリジン部分のC-4における転位を含む。この転位の順序は、有機化学分野における当業者には公知である、任意の適切な順序で行うことができる。一般的に、これら工程は以下の諸工程を含むことができる:
a) 該ケタール基を加水分解して、カルボニル基に転化する工程;
b) メシレート基をアジド基に転化する工程;
c) 該アジド基を還元して、アミンを生成する工程;および
d) 該アミンをアセチル化して、アセタミドを生成する工程。
反応式2:
【0021】
【化7】

【0022】
反応式2に示したように、該化合物(4)は、この化合物を、DMFまたは水性DMFまたはDMAc等の溶媒中で、30〜100℃なる範囲の温度にて、1〜48時間なる範囲の期間に渡り、ナトリウムアジドで処理することにより、アジド化合物(5)に転化することができる。該アジド化合物(5)は、水素ガス、蟻酸アンモニウムまたはシクロヘキセン等の水素源の存在下で、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物等の溶媒中で、0-80℃なる範囲の温度にて、1〜12時間なる範囲の期間に渡り、5%パラジウム担持炭素、10%パラジウム担持炭素、20%パラジウム担持炭素、プラチナ担持炭素またはラニー-ニッケル等の触媒で処理することにより、そのアジド基をアミノ基に還元して、対応するアミノ化合物とすることができる。あるいはまた、該アジド化合物(5)は、テトラヒドロフラン等の溶媒中で、試薬ナトリウムボロハイドライド-塩化コバルトを使用し、あるいは適切な溶媒中で、トリフェニルホスフィン、次いで水により処理することにより還元して、アミノ化合物を得、生成する遊離アミンを単離することも可能である。該アミノ化合物は、クロロフォルム、ジクロロメタン、酢酸エチル等の有機溶媒中で、トリエチルアミンまたはピリジン等の塩基の存在下で、酢酸無水物で更に処理して、対応するアセタミド化合物(6)を得ることができる。該化合物(6)を、水性アセトンまたはアセトニトリル等の水性溶媒中で、p-トルエンスルホン酸またはピリジニウムp-トルエンスルホネート(PPTS)で処理して、上記式IIの化合物を得ることができる。
【0023】
あるいはまた、反応式3に示したように、該化合物(4)を、70℃にて、水性有機溶媒、例えばトルエン中で、p-トルエンスルホン酸またはPPTSで処理して、化合物(7)を得ることができる。該化合物(7)を、30〜100℃なる範囲の温度にて、1〜48時間なる期間に渡り、DMFまたは水性DMF等の溶媒中で、ナトリウムアジドで処理することにより、該メシレート基をアジド基に転化して、化合物(8)を得ることができる。該アジド化合物(8)は、水素ガス、蟻酸アンモニウムまたはシクロヘキセン等の水素源の存在下で、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物等の溶媒中で、0-80℃なる範囲の温度にて、1〜12時間なる範囲の期間に渡り、5%パラジウム担持炭素、10%パラジウム担持炭素、20%パラジウム担持炭素、プラチナ担持炭素またはラニー-ニッケル等の触媒で処理された際に、そのアジド基がアミノ基に還元され、対応するアミノ化合物が製造できる。該アミノ化合物を、クロロフォルム、ジクロロメタン等のハロゲン化溶媒中で、トリエチルアミンまたはピリジン等の塩基の存在下で、酢酸無水物で更に処理して、対応する式IIで表される化合物を得ることができる。
反応式3
【0024】
【化8】

【0025】
上記式I(a)の化合物は、反応式4に示したような反応順序で製造することができる。上記式IIで表される化合物は、塩基の存在下で、適切な試薬を使用することにより、上記式IIIで表されるエポキシドに転化することができる。この反応は、ナトリウムハイドライド、カリウムt-ブトキシド、LDA、またはn-ブチルリチウム等の塩基の存在下で、DMSO、DMF、THFまたはこれらの混合物等の溶媒中で、0-85℃なる範囲の温度にて、1〜12時間なる範囲の期間に渡り、トリメチルオキソスルホニウムアイオダイドまたはトリメチルオキソスルホニウムクロリドを使用して行って、該式IIIのエポキシド含有化合物を製造することができる。
該式IIIの化合物は、メタノール、トリフルオロメタノール、ジフルオロエタノール、トリフルオロエタノール、ジフルオロプロパノールまたはトリフルオロプロパノール等のアルコール溶媒中で、ナトリウムメトキシド等のアルコキシドまたは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシドまたはカリウムt-ブトキシド等の適切な試薬で処理した場合に、上記式I(a)で表される本発明の化合物を生成する。
反応式4
【0026】
【化9】

【0027】
以下の反応式5に示すように、上記式I(b)で表される化合物は、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機溶媒中で、-20〜50℃なる範囲の温度にて、1〜24時間に渡り、上記式I(a)で表される化合物を、ジエチルアミノ硫黄トリフルオライド(DAST)、ジメチルアミノ硫黄トリフルオライド、ピロリジノ硫黄トリフルオライド、N,N-ジエチル-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルアミン、N,N-ジエチル-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパンアミン、フッ化水素またはテトラブチルアンモニウムフルオライド等のフッ素化剤で処理することによって、製造することができる。
反応式5
【0028】
【化10】

【0029】
あるいはまた、上記式I(b)で表される化合物を製造するために、該式IIIで表される化合物を、-40〜+60℃なる範囲の温度にて、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶媒中で、70%HF-ピリジンで処理して、該反応式5に示したような、対応するフルオロ誘導体を得ることができる。この生成物を、更に有機化学分野においては公知の標準的なアルキル化法を利用して、更にアルキル化して、上記式I(b)で表される化合物を得ることができ、例えばRがCH3である場合には、該アルキル化は、典型的には酸化銀の存在下で、ヨウ化メチルを用いて行うことができる。
【0030】
本発明のオキサゾリジノン抗-微生物剤は、多剤-耐性菌株を含む、特にグラム-陽性菌感染症の治療可能性を持つ。従来技術の化合物とは対照的に、本発明の化合物は、様々な耐性微生物および特にエンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)の様々な菌株、に対して殺菌活性を持つことが明らかにされる。更に、該化合物は、リネゾリド-耐性S.オーレウス(aureus)菌株、リネゾリド-耐性E.フェカリス(faecalis)菌株、および特にリネゾリド-耐性S.ニューモニアエ(pneumoniae)菌株に対しても活性を示す。これら化合物は、ヒト並びに他の温血動物における、グラム-陽性、グラム-陰性細菌、好気性、嫌気性細菌または非定型細菌による感染症の、腸管外、経口または局所投与による治療のために有用である。ヒト並びに他の温血動物における、該感染症は、全身的または局部的なものであり得る。
【0031】
本発明の化合物によって治療することのできる感染症の例は、中枢神経系の感染症、外耳感染症、中耳の感染症、例えば急性中耳炎、頭蓋洞の感染症、目の感染症、口腔の感染症、例えば歯、歯肉および粘膜の感染症、上気道の感染症、下気道の感染症、尿生殖器の感染症、胃腸管の感染症、婦人科学的感染症、敗血症、骨および関節の感染症、皮膚および皮膚構造の感染症、細菌性心臓内膜炎、火傷、外科術の抗菌予防、および免疫抑制患者、例えば癌の化学療法を施した患者または臓器移植患者における抗菌予防を包含する。特に、本発明の化合物によって治療することのできる感染症は、グラム-陽性細菌による感染症、例えば骨髄炎、心臓内膜炎、糖尿病性の足である。
本明細書に記載する化合物は、ヒト並びに他の温血動物における、グラム-陽性、グラム-陰性細菌、好気性、嫌気性細菌または不定型細菌による感染症の、治療または予防のために有用である。本発明のオキサゾリジノン抗-微生物化合物は、多剤-耐性菌株に由来する感染症を包含する、グラム-陽性細菌による感染症の治療にとって有用である。本発明の化合物は、様々なヒト並びに獣医学的病原体、特にリネゾリド-耐性菌株を含む該病原体に対して効果的、かつ有用な抗-微生物剤である。
【0032】
リネゾリドとは対照的に、本明細書に記載される該化合物は、様々な耐性微生物および特に様々なエンテロコッカスフェカリスの菌株に対して殺菌活性を持つことが立証されている。更に、該化合物は、リネゾリド-耐性S.オーレウス菌株、リネゾリド-耐性E.フェカリス菌株および特にリネゾリド-耐性S.ニューモニアエ菌株に対する活性を示す。
ヒト並びに他の温血動物における該感染症は、全身的または局部的な感染症であり得る。本発明の化合物は、細菌に起因する感染症を発病する恐れのある対象に、該化合物を投与することにより、グラム-陽性およびグラム-陰性細菌、好気性、嫌気性細菌または非定型細菌により引起される感染症を予防するために使用することができる。ある感染症を発病する恐れのある対象は、保健衛生従事者、外科学的患者、免疫-処理された(immune-comprised)患者等であり得る。
【0033】
本発明は、幾つかの化合物、組成物、投与剤形、およびヒトまたは他の温血動物対象に、本発明の化合物を投与する方法を包含する。本発明の一態様において、該医薬組成物は、治療上有効な量の本発明の活性化合物、その誘導体、本明細書に記載されたそのプロドラッグ、塩または水和物を、製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤、および場合により他の治療上の成分との混合物として含有する。投与すべき具体的な化合物、組成物および投与剤形は、製薬上許容されるものでなければならない。ここで使用する該「製薬上許容される」成分とは、妥当な利益/危険比にみあった、不当に有害な副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー応答)を伴うことなしに、ヒトおよび/または動物について使用するのに適した成分である。該医薬組成物は、安定かつ効果的な組成物を製造するのに、当業者により従来から使用されている手順に従って製造される。該剤形において、本発明の化合物の「治療上有効な量」とは、あらゆる医学的治療に対して適用できる妥当な利益/危険比において、細菌感染症を治療するのに十分な、該化合物の量を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の毎日の全使用量は、確実な医学的判断の範囲内で、主治医によって決定されるものと理解されよう。任意の特定の患者に対する、特定の治療上有効な投与レベルは、治療すべき該疾患の重篤度、使用する特定の化合物の活性、使用する特定の組成物、該患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および日常の飲食物、投与時期、投与経路、および使用した特定の化合物の排泄速度、該治療の期間、使用した該特定の化合物との組合せで、または同時に使用される薬物、および医学分野において周知の同様な因子を包含する、様々な因子に依存するであろう。
【0034】
本発明の目的にとって、医薬組成物は、1またはそれ以上の本発明の活性化合物、その誘導体、その塩、プロドラッグおよび/または水和物を、単独で投与するための一種の剤形で含むことができるが、一般には意図した投与経路および標準的な製薬実務との関連で選択された、製薬担体との混合物として投与される剤形で含むことができる。使用できる適切な担体は、投与剤形の型に依存して、このような薬物を製造するのに通常使用されている、例えば希釈剤または賦形剤、例えばフィラー、増量剤、バインダ、保湿剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、および潤滑剤である。
該化合物および組成物は、例えば経口、経直腸、経膣、腸管外(皮下、筋肉内、静脈内)、経皮、局所等を包含する任意の適切な投与経路によって、ヒトまたは他の動物に投与することができる。投与剤形は、液剤、懸濁剤、錠剤、ピル、散剤、トローチ剤、分散液、懸濁液、エマルション、溶液、ペレット剤、ゲル剤、顆粒剤、カプセル剤、注射可能な製剤、貼付剤、軟膏剤、クリーム剤、リニメント剤、膏薬、カシェ剤、エアロゾルスプレー、ローション、シャンプー等を包含する。
【0035】
本発明の化合物、その誘導体、塩、そのプロドラッグまたは水和物の予防的または治療上の用量は、感染症または疾患の予防、急性または慢性的管理に対しては、1またはそれ以上の因子に依存して変動するであろう。該因子は、治療すべき状態の重篤度、危険性および投与経路を含むが、これらに限定されない。更に、該用量および恐らく投与頻度は、また個々の患者の年齢、性別、体重および応答性に従って変動するであろう。一般に、本明細書において記載した状態に対して、本発明の化合物、その誘導体、塩、プロドラッグまたは水和物に関する毎日の全容量範囲は、一回の投与または分割投与において、約200mg〜約1500mgなる範囲にある。非限定的な態様において、毎日の投与範囲は、一回の投与または分割投与において、約400mg〜約1200mgなる範囲とすべきであり、一方で最も好ましくは、毎日の投与範囲は、分割投与において、約500mg〜約1000mgなる範囲とすべきである。腸管外投与は、一回の投与または3回までの分割投与であり得、また静脈内投与は、連続的な点滴を含むことができる。
【0036】
当業者には明らかである如く、幾つかの場合においては、これら範囲外の用量を使用する必要がある可能性がある。更に、臨床医または治療実務者は、個々の患者の応答または状態との関連でどの様に、また何時治療を中断、調節、または終了するかを、または該感染症が活発であるか否か、あるいは該治療が予防的であるか否かを認識しているであろうことを述べておく。該用語「このような感染症を根絶するのに十分であるが、不当な副作用を引起すには不十分な量」は、上記の用量および投与頻度スケジュールによって達成される。
本発明の特定の態様は、本発明の化合物の薬物動態学的プロフィールが、1回/日なる用量の投与を可能とするようなものである。
【0037】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、バラバラの単位、例えばカプセル剤、カシェ剤、または錠剤、またはエアロゾルスプレーとして提供することができ、その各々は、予め決められた量の該活性成分を、粉末または顆粒として、あるいは水性液体、非水性液体、水中油型エマルション、または油中水型の液状エマルション中の溶液または懸濁液として含んでいる。このような組成物は、調剤の何れかの方法によって製造できるが、その全ての方法は、該活性成分と、1またはそれ以上の必要な成分をなす、該担体とを結合する工程を含む。一般に、該組成物は、該活性成分と、液状担体または微粉砕された固体担体、またはこれら両者とを、均一かつ緊密に混合し、次いで必要ならば、該生成物をその所定の形状に成型することにより製造される。
【0038】
本発明の組成物は、懸濁剤、液剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、および固体投与剤形等の組成物を含む。一般的に、以下に記載されるような担体は、経口固形製剤(例えば、散剤、カプセル剤および錠剤)の場合において通常使用され、該経口固形製剤が、該経口液状製剤よりも好ましい。最も好ましい経口固形製剤は、錠剤およびカプセル剤である。
投与が容易であることから、錠剤およびカプセル剤が、最も有利な経口投与単位形状であり、この場合には固形製薬担体が使用される。適切な担体の例は、ラクトース、白糖、塩化ナトリウム、グルコール溶液、ウレア、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶性セルロース、および珪酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース、デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、シェラック、メチルセルロース、リン酸カリウムおよびポリビニルピロリドン等のバインダ;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、寒天粉末、ラミナリア粉末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ツイーン(Tween)(ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセライド、デンプンおよびラクトース等の崩壊剤;白糖、ステアリン酸グリセリルエーテル、カカオバターおよび水添油等の崩壊阻害剤;四級アンモニウム塩基およびラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセロールおよびデンプン等の湿潤剤;デンプン、ラクトース、カオリン、ベントナイトおよびコロイド状珪酸等の吸収剤;および精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸粉末、ポリエチレングリコールおよび固形ポリエチレングリコール等の潤滑剤を包含する。
【0039】
必要ならば、該錠剤は、被覆することができ、糖衣錠剤、ゼラチン被覆錠剤、腸溶被覆錠剤、フィルム-被覆錠剤、あるいは2またはそれ以上の層を含む錠剤として製造することができる。
必要ならば、錠剤は、標準的な水性または非-水性技術によって被覆することができる。該医薬組成物をピルに成型する場合、当分野において公知の、広範囲に及ぶ従来の担体を使用することができる。適切な担体の例は、グルコース、ラクトース、デンプン、カカオバター、硬化植物油、カオリンおよびタルク等の賦形剤;アラビアガム粉末、トラガカンスゴム粉末、ゼラチンおよびエタノール等のバインダ;およびラミナリアおよび寒天等の崩壊剤である。
望ましくは、各経口投与剤形は、約200mg〜約1500mgなる範囲の量の該活性成分を含む。最も好ましくは、該錠剤、カシェ剤、またはカプセル剤は、約200mg、約400mg、または約600mgの3種の用量の何れかで、該活性成分を含む。
該医薬組成物を、坐剤形状に成型する際には、広範囲に渡る、当分野において公知の担体を使用することができる。適切な担体の例は、ポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、ゼラチン、および半-合成グリセライドを包含する。
【0040】
第二の好ましい方法は、腸管外投与である、筋肉内、静脈内または皮下投与であり、これらの場合には、腸管外投与剤形が使用される。使用される腸管外投与剤形は、そのまま使用できる投与剤形であり得または腸管外投与用の溶液を、その使用前に希釈することができる。
該医薬組成物を、注射用製剤に処方する場合、例えば該医薬組成物を溶液または懸濁液形状に処方する際には、当分野において通常使用されている全ての希釈剤を使用することができる。適切な希釈剤の例は、水、エチルアルコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエーテルである。塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセロールを、治療剤に配合することができる。
【0041】
第三の好ましい投与経路は、局所(topical)投与であり、そのためには、クリーム、軟膏、シャンプー、ローション、ダスティングパウダー等が極めて適したものである。一般的に、局所投与剤形における本発明の化合物の有効量は、全組成物の約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)なる範囲内にある。好ましくは、本発明の化合物の有効量は、全組成物の約1%(w/w)である。
局所投与のためには、局所投与に対して相溶性の、また好ましくは水よりも高い動的粘度を持つ担体を含有する、非-噴霧型剤形、粘稠乃至半-固体または固体形状として使用される。適切な処方物は、溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、軟膏、散剤、リニメント、ロウ膏、エアロゾル等であるが、これらに限定されず、これらは、必要ならば滅菌されあるいは助剤、例えば保存剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、バッファーまたは浸透圧に影響を与える塩等と混合される。局所投与のために、噴霧可能なエアロゾル製剤も適したものであり、ここで該活性成分は、好ましくは固体または液状不活性担体物質との組合せにある。
【0042】
上に示した一般的な投与剤形に加えて、本発明の化合物は、また制御放出手段および/または放出デバイス、例えば米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号および同第4,008,719号に記載されたもの等により、投与することも可能である。これらの米国特許を、参考としてここに組み入れる。
本発明の一非限定的な態様は、上記式Iで表される本発明の化合物を含有する、保存安定性を持つ組成物の製造である。このような安定な組成物は、選択的安定剤の使用によって、有利に製造することができる。様々な安定剤が、医薬組成物製造分野における当業者には、公知である。上記式Iの本発明による化合物を含む、保存安定組成物の製造のために、特に有利に使用できる安定剤は、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、トロメタミン、シクロデキストリン、例えばγ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルγ-シクロデキストリンであることが分かった。該抗-微生物性医薬組成物は、更に通常の溶解助剤、バッファー、苦痛-緩和剤、および保存剤、並びに随意の着色剤、香料、香味料、甘味料、およびその他の薬物を含むことができる。
本発明の利点は、化合物がリネゾリドに比して好ましい安全性に係る利点を持つことであり、特に本発明の化合物は、骨髄機能抑制を引起さず、あるいはその能力を低下しない。骨髄機能抑制は、このオキサゾリジノン群の抗-微生物剤に係る、典型的な群-特異的毒物学的特徴として知られている。
【実施例】
【0043】
以上本発明をその特定の態様により説明してきたが、当業者にはこれらに対する幾つかの改良並びに等価なものは明らかであり、またこれらは本発明の範囲内に入るものである。以下の実施例は、本発明の化合物の製造方法を例示するものであり、また実施例としてのみ与えられるものであり、本発明の化合物の範囲を限定するものではない。
実施例1:1-(2,6-ジフルオロ-4-ニトロフェニル)-ピペリジン-4-オン
クロロホルム(24mL)中に分散させた3,4,5-トリフルオロニトロベンゼン(3.894g、0.022M)と4-ピペリドン塩酸塩一水和物(3.072g、0.020M)との混合物に、攪拌下に、トリエチルアミン(8.3mL、0.06M)を添加した。この得られた混合物を、70℃にて7時間加熱、攪拌した。この反応の完了(TLCにて確認)後、該溶媒を減圧下で蒸発させ、生成する残渣を水(10mL)で希釈した。分離した固体を濾別し、水(8mL)、次いでヘキサン(5mL)で洗浄し、生成物として黄色の結晶性固体を得た。収量:4.8g(94%);M.P.: 130-132℃; MS: M+1 = 257(MH+ 100%)(M.F.: C11H10F2N2O3として)。
【0044】
実施例2: [4-(1,4-ジオキサ-8-アザ-スピロ[4.5]デシ-8-イル)-3,5-ジフルオロ-フェニル]-カルバミン酸ベンジルエステル
トルエン(40mL)中の実施例1の化合物(5.632g、0.022M)を含む混合物に、エチレングリコール(2.48g、0.040M)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(0.988g、0.0052M)を、攪拌下に添加した。この反応混合物を、110-120℃にて加熱し、水を共沸により除去した。この反応の完了後、内容物を、重炭酸ナトリウム溶液(〜12mL)で中和した。生成する相を分離し、そのトルエン相を、丸底フラスコに入れた。該トルエン相に、Pd/C(10%、1g)を添加し、該フラスコの内容物を、H2雰囲気下で24時間攪拌した。この反応の完了後、該触媒を濾別し、クロロホルム(10mL)で洗浄した。得られた濾液を、丸底フラスコに充填し、重炭酸ナトリウム(5.04g、0.06M)を添加して、懸濁液を得た。ベンジルクロロホルメート(50%トルエン溶液、9mL、0.026M)を、攪拌下に、10分間かけて該懸濁液に添加した。この反応混合物を、更に1時間攪拌した。この反応の完了後、生成した固体を濾別し、クロロホルム(10mL)で洗浄した。得られた濾液を、減圧下に濃縮し、またヘキサン(10mL)を添加して、固体生成物を得た。該固体を濾別し、減圧下で、70-80℃にて乾燥して、黄白色の生成物を得た。収量:7.2g(81%)。
M.P. : 126-128℃; MS : M+1 = 405(MH+ 100%)(M.F. : C21H22F2N2O4として)。
【0045】
実施例3:5(R)-3-[4-(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デシ-8-イル)-3,5-ジフルオロフェニル]-5-(ヒドロキシメチル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
40℃にて、無水テトラヒドロフラン(THF;45mL)中に実施例2の化合物(7.19g、0.0178M)を含む混合物に、ヘキサン中のn-BuLi(1.6M、13.1mL、0.021M)を、窒素雰囲気下で、10分間かけて装入した。この内容物を更に1時間、40℃にて攪拌し、R-(-)-グリシジルブチレート(2.6g、0.018M)を、15分間に渡り徐々に添加した。この反応混合物を1時間攪拌し、該反応の完了後、該フラスコに、メタノール(4.75mL)、ナトリウムメトキシド(0.15g、0.0028M)および水(0.5mL)を添加した。該フラスコの内容物を、更に5時間攪拌し、これに塩化アンモニウムの飽和溶液(20mL)を添加した。該内容物を酢酸エチルで抽出(2×20mL)し、得られた有機相を減圧下で蒸発させて、濃厚な残渣を得た。該残渣にトルエンを添加して、固体生成物を得た。該固体生成物を濾別し、トルエン(4mL)で洗浄した。該固体生成物を減圧下にて、50-60℃で乾燥して、黄白色の固体として生成物を得た。収量:3.5g(53%)。
M.P. : 152-154℃; MS: M+1 = 371, (MH+ 100%)( M.F. : C17H20F2N2O5として)。
【0046】
実施例4:(5R)-{3-[4-(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デシ-8-イル)-3,5-ジフルオロフェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-メタンスルホネート
ジクロロメタン(23mL)中に実施例3の化合物(3.44g、0.0093M)を含む混合物に、トリエチルアミン(2.5mL、0.018M)を、攪拌下に添加した。メタンスルホニルクロリド(1.385g、0.0121M)を、室温にて、10分間かけて該溶液に添加し、この反応混合物を、更に2時間攪拌した。該反応の完結後、該反応フラスコの内容物を、40℃にて減圧下に蒸発させて、油状残渣を得た。該残渣に水(10mL)を添加し、痕跡量のジクロロメタンを減圧下で除去した。得られた残渣を、追加の水(5mL)で洗浄し、70℃にて減圧下で乾燥して、生成物を白色固体として得た。収量:3.95g(95%)。
M.P.: 144-146℃; MS : M+1 = 449 (MH+ 100%)(M.F.: C18H22F2N2O7Sとして)。
【0047】
実施例5:(5R)-3[4-(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デシ-8-イル)-3,5-ジフルオロフェニル]-5-(アジドメチル)-オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解した実施例4の化合物(4.166g、0.0093M)の溶液に、ナトリウムアジド(1.82g、0.028M)を、攪拌下に添加した。該反応混合物を、徐々に加熱し、70℃にて8時間維持した。該反応の完結後に、該反応フラスコの内容物を、20-25℃に冷却し、冷水(50mL)に徐々に注ぎ込んだ。このようにして得た固体生成物を、濾別し、水(10mL)で洗浄し、RTにて乾燥して、生成物を黄白色の固体として得た。収量:3.48g(96%)。
M.P. =アジドであり、確認せず;;MS : M+1 = 396(MH+ 100%)(M.F.:C17H19F2N5O4として)。
【0048】
実施例6:(5S)-N-{3-[4-(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デシ-8-イル)-3,5-フルオロフェニル]-オキサゾリジン-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド
THF(23mL)に実施例5の化合物(3.673g、0.0093M)を溶解して得た溶液に、ホウ水素化ナトリウム(1.21g、0.032M)および塩化コバルト(0.547g、0.0023M)を、30分間かけて装入した。この反応混合物を、室温にて2時間攪拌した。この反応の完了後、該反応フラスコの内容物を、濾過助剤の床を介して濾過し、該床をTHF(5mL)で洗浄した。得られた濾液を併合し、減圧下で、60-70℃にて濃縮して、油状生成物を得た。該油状生成物に酢酸エチル(20mL)を添加して、透明な溶液を得、これを濾過助剤の床を介して濾過し、該床を酢酸エチル(5mL)で洗浄した。併合した濾液を、水(20mL)で洗浄し、得られる有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。トリエチルアミン(3.2mL、0.023M)を、上記有機相に添加し、酢酸無水物(1.7g、0.0166M)を、室温にて15分間に渡り徐々に添加した。この反応混合物を2時間に渡り攪拌し、該反応の完了後、反応容器内容物を、減圧下で蒸発させて、残渣を得た。該残渣に水(20mL)を添加し、痕跡量の酢酸エチルを減圧下にて除去した。かくして得た固体生成物を濾別し、水(5mL)で洗浄した。該残渣を室温にて乾燥して、該生成物を白色固体として得た。収量:2.29g(60%)。
M.P.: 218-220℃; MS : M+1 = 412 (MH+ 100%)(M.F. : C19H23F2N3O5として)。
【0049】
実施例7:(5R)-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-オキソピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-メタンスルホネート
実施例4の化合物(17g、0.035M)を、攪拌下に、水(100mL)とアセトン(200mL)との混合物中に挿入した。p-トルエンスルホン酸一水和物(0.067M)を、この攪拌中の混合物に添加し、その内容物を、70℃に加熱し、その温度にて3.5時間維持した。該反応の終了後、該内容物を30℃まで冷却し、重炭酸ナトリウムでpHを7-7.5に中性とした。減圧下で、60-65℃にてアセトンを除去し、濃厚な塊状物を得た。この塊状物に水(25mL)を添加し、該内容物を5-10℃に冷却した。このようにして得た固体生成物を、濾別し、水(10mL)で洗浄し、減圧下で80-85℃にて乾燥させて、生成物を白色固体として得た。収量:14g(91%)。
M.P.: 152℃;MS:M+1 = 405 (MH+ 100%)(M.F.: C16H18F2N2O6Sとして)。
【0050】
実施例8:(5R)-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-オキソピペリジン-1-イル)フェニル]-5-(アジドメチル)}-オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(8mL)に、実施例7の化合物(3.01g、0.0093M)を溶解して得た溶液に、ナトリウムアジド(1.82g、0.028M)を、攪拌下で添加した。この反応混合物を徐々に加熱し、その温度を70℃にて8時間維持した。この反応の完了後、該反応器の内容物を、20-25℃に冷却し、徐々に冷水(50mL)中に注ぎ込んだ。このようにして得た固体生成物を濾別し、水(10mL)で洗浄し、得られる残渣を室温にて乾燥して、生成物を黄白色の固体として得た。この湿った生成物を、乾燥することなく、次の反応のために使用した。
MS:M+1 = 398(M.F.:C17H21F2N5O4として)。
【0051】
実施例9:(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-オキソピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド
方法A:実施例6の化合物(2.8g、0.0068M)を、攪拌下に、水(34.5mL)とアセトン(23mL)との混合物に添加した。p-トルエンスルホン酸一水和物(2.47g、0.013M)を、該攪拌中の混合物に添加し、該反応器の内容物を加熱し、70℃にて3時間維持した。この反応が完結(TLCにより確認)した後、該反応器の内容物を30-35℃に冷却し、重炭酸ナトリウム(〜1.2g)でpH 7-7.5に中和した。この反応混合物を、減圧下で濃縮し、濃厚な塊状物を得た。この塊状物に、水(25mL)を添加し、該反応器内容物を5-10℃に冷却し、分離した固体を濾別し、得られた残渣を追加の水(10mL)で洗浄した。該残渣を80-85℃にて減圧下で乾燥して、白色固体として生成物を得た。収量:1.64g(66%)。
M.P.:132-134℃; MS:M+1 = 368(MH+, 100%)(M.F.:C17H19F2N3O4として)。
方法B:1リッター容量のパール(Parr)反応器に、120mLの酢酸エチル、ピリジン(2.76 mL、0.034M)、実施例8の化合物(12g、0.034M)、酢酸無水物(3.6mL、0.038M)および1.2gの10%Pd/C(50%、湿潤)を装入し、この混合物を、1.38MPa(200psi)にて水素化した。反応が完結(4時間、TLCにより追跡)した後、該反応混合物を、ハイフロー(hyflow)床を介して濾過した。得られた残渣を、クロロホルム(50mL)で洗浄した。併合した濾液を、減圧下で濃縮した。残留する半-固体を、ジエチルエーテル(50mL)と共に攪拌し、該エーテル相をデカンテーションにより取出した。該残留する固体を、50mLの蒸留水と共に30分間攪拌した。分離した固体を濾別し、蒸留水で洗浄し、減圧下で乾燥して、該生成物を白色固体として得た。収量:7.5g(82%)。
M.P.:132-134℃;MS:M+1 = 368(MH+, 100%)(M.F.:C17H19F2N3O4として)。
【0052】
実施例10:(5S)-N-{3-[4-(1-オキサ-6-アザスピロ[2.5]オクチ-6-イル)-3,5-ジフルオロフェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド
THF(13mL)にトリメチルスルフオキソニウムクロリド(0.67g、0.0052M)を溶解した溶液に、RTにて、カリウムt-ブトキシド(0.617g、0.0055M)を添加し、該反応器内容物を、4.5時間還流した。該還流中の混合物に、実施例7の化合物(1.6g、0.0044M)を少量ずつ1分間で添加した。この反応混合物を、更に2時間還流した。該反応が完結(TLCで確認)した後、該THFを減圧下で蒸発させて、濃厚な残留物を得た。この残留物に、水(20mL)を添加し、十分に攪拌し、分離した固体を濾別し、水(5mL)で洗浄した。この残渣を、60-70℃にて、減圧下で乾燥させて、生成物を白色固体として得た。収量:1.57g(94%)。
M.P.: 160-162℃; MS:M+1 = 382 (MH+,100%)(M.F: C18H21F2N3O4として)。
【0053】
実施例11:(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド
実施例10の化合物(54.86g、0.144M)を、RTにて攪拌しつつ、メタノール(1100mL)中に懸濁させた。上記の攪拌下にある懸濁液に、2分間で、金属ナトリウム(4g、0.174M)を少量ずつ添加した。この反応混合物を、40-42℃に加温し、この温度にて約40時間攪拌した。該反応が完結(TLCで確認)した後、該溶媒を減圧下で蒸発させて、濃厚なスラリーを得た。かくして得た該濃厚スラリーを、攪拌下にある水(1100mL)に徐々に添加した。この添加の完了後、十分な量の氷酢酸を添加することにより、該水性懸濁液のpHを7に調節した。分離した固体を濾別し、該残渣を水洗した。この得られた固体を、更にシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物を白色固体として得た。収量:32.7g(55%)。
M.P.: 173-174℃; MS:M+1= 414(MH+,100%)(M.F.: C19H25F2N3O5として)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ:7.0-7.1 (m, 2H,Ar-H), 6.0 (t, 1H, NH), 4.70-4.80 (m, 1H), 4.00 (t,1H), 3.70-3.75 (m, 2H), 3.5-3.7 (m, 1H), 3.43 (s, 3H, OCH3), 3.37-3.42 (m, 2H), 3.30 (s, 2H, -OCH2), 3.0-3.05 (m, 2H), 2.22(bs,1H ,-OH),2.04 (s, 3H, COCH3), 1.70-1.75 (m, 4H)。
【0054】
実施例12:(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-フルオロ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド
ジクロロメタン(10mL)に実施例11の化合物(0.475g、1.15mM)を溶解した溶液に、DAST(0.232g、1.44mM)を添加し、0℃にて8時間攪拌した。該溶媒を蒸発させ、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物を白色固体として得た。収量:50mg(収率:10%)。
MS:(M+1) = 416; (MH+, 100%); M.F.: C19H24F3N3O4
実施例13:(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(4-(2,2,2-トリフルオロエトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)-フェニル)-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル]-アセタミド
2,2,2-トリフルオロエタノール(10mL)中に実施例10の化合物(2.75mM)を溶解して得た溶液に、K2CO3(4.40mM)を添加し、得られた混合物を25℃にて18時間攪拌した。該溶媒を蒸発させ、得られた残渣を水(10mL)に分散させ、十分に攪拌し、酢酸エチルで抽出(2×25mL)した。該抽出液を濃縮し、該残渣をシリカゲルカラムで精製して、生成物を白色固体として、収率58%にて得た。
M.P. 182-184℃およびMS (M+1) = 482.1 (MH+, 100%)(M.F. = C20H24F5N3O5として)。
生物学的テスト例1:
テスト化合物のインビトロMIC法を、本質的にWO 95/25106、US 5,668,286およびEP 0 750 618 B1に記載のようにして行った。
MICテスト法:
トリプチックソヤ(Tryptic Soya)ブロス中の、MRSA-032微生物の一夜培養物を、ミュラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)で希釈して、マックファーランド(MacFarland)チューブ0.5基準と一致する光学密度とした。培養物を、ミュラーヒントンブロスで、更に1:10に希釈した。デンレイの(Denley's)接種装置を使用して、テスト化合物を2倍希釈範囲で含有する、ミュラーヒントン寒天(ディフコ(Difco))上に、104個の細胞を付着させた。これらテストプレートを、35℃にて24時間インキュベートし、MICの結果を記録した。MICは、テスト微生物を阻害する、最小薬物濃度として定義される。本発明の化合物のMIC測定結果を、以下の表1にまとめた。
【0055】
【表1】

【0056】
生物学的テスト例2:
経口(15mg/kg, p.o.)薬物動態学的研究を、イヌについて行った。血液サンプルを、0、0.08 (経口以外)、0.25、0.50、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、8.0、10.0、12.0および24.0時間なる各時点において採取した。血液サンプルの採取およびIV投与を容易にするために、ダウ側皮静脈内にカニューレを移植した。血液サンプルから得た血清を、HPLC-に基く分析のために使用した。
血液サンプルを、ウォーターズオアシス(Water's OASIS) HLBカートリッジを用いて、固相抽出技術により抽出した。この分析のために、HPLC-ダイオード(HPLC-Diode)アレイ検出装置を使用した。調製したサンプルを、YMC-AM逆相カラム(150×4.6m ID; 5μm)でクロマトグラフィー処理したが、ここでは、等移動相アセテートバッファー(50mM酢酸アンモニウム、pH 6.6)アセトニトリル、66:34%(v/v)(本発明の代表的な化合物に対して)を、流量1mL/分にて使用し、またλmax=254nmにて測定した。別途独立に調製した分析用標準および性能コントロールサンプルが、未知サンプルの各群について分析された。以下の表2は、0〜24時間に及ぶ血清濃度の測定結果を示す。
【0057】
【表2】

【0058】
結果:24時間までの血清濃度は、投与後、MICを越えるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式Iで表される構造を持つ化合物、およびその製薬上許容される塩、その製薬上許容される溶媒和物、エステル、多形体、エナンチオマー、またはジアステレオマー:
【化1】

該一般式Iにおいて、XはOHまたはFであり;RはCH3、-(CH2)n-CF3、-(CH2)n-CHF2(nは0,1または2)である。
【請求項2】
以下に列挙するものから選択される化合物:
(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド;
(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-フルオロ-(4-メトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド;
(5S)-N-{3-[3,5-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシ-(2,2,2-トリフルオロエトキシメチル)-ピペリジン-1-イル)フェニル]-2-オキソ-オキサゾリジン-5-イルメチル}-アセタミド。
【請求項3】
治療上有効な量の、請求項1または2に記載された化合物を、場合により製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項4】
動物またはヒトにおける微生物感染症の治療または予防方法であって、該動物またはヒトに、治療上有効な量の、以下の一般式Iで表される構造を持つ化合物、またはその製薬上許容される塩、その製薬上許容される溶媒和物、エステル、多形体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを投与することを特徴とする前記方法:
【化2】

該一般式Iにおいて、XはOHまたはFであり;RはCH3、-(CH2)n-CF3、-(CH2)n-CHF2(nは0,1または2)である。
【請求項5】
前記微生物感染症が、グラム-陽性、グラム-陰性細菌、好気性、嫌気性細菌または非定型細菌に起因するものである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
動物またはヒトにおける微生物感染症の治療または予防方法であって、該動物またはヒトに、治療上有効な量の、請求項3記載の医薬組成物を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項7】
以下の一般式Iで表される構造を持つ化合物、およびその製薬上許容される塩、その製薬上許容される溶媒和物、エステル、多形体、エナンチオマー、またはジアステレオマーの製法であって:
【化3】

該一般式Iにおいて、XはOHまたはFであり;RはCH3、-(CH2)n-CF3、-(CH2)n-CHF2(nは0,1または2)であり、
該方法が、
a) 以下の化合物4を、以下の式IIで表される化合物に転化する工程:
【化4】

b) 該式IIの化合物のカルボニル基を、適切な試薬を用いて、エポキシドに転化して、以下の式IIIで表される化合物を製造する工程:および
【化5】

c) 該式IIIの化合物のエポキシドを開環して、以下の式I(a)または式I(b)で表される化合物を得る工程:
【化6】

を含む、前記方法。
【請求項8】
前記化合物(4)の前記式IIで表される化合物への転化が、任意の適切な反応順序で、以下に列挙する諸工程を含む:
a) 該ケタール基を加水分解して、カルボニル基に転化する工程;
b) メシレート基をアジド基に転化する工程;
c) 該アジド基を還元して、アミンを生成する工程;および
d) 該アミンをアセチル化して、アセタミドを生成する工程、
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記適切な試薬が、トリメチルオキソスルホニウムアイオダイドまたはトリメチルオキソスルホニウムクロリドである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記エポキシドを、アルコキシドまたは塩基の存在下においてアルコールを使用して開環し、前記式I(a)で表される化合物を得る、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記エポキシドを、70%HF-ピリジンを用いて開環し、次いでアルキル化して、前記式I(b)で表される化合物を得る、請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記アルコキシドが、ナトリウムメトキシドである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールが、メタノール、トリフルオロメタノール、ジフルオロエタノール、トリフルオロエタノール、ジフルオロプロパノールまたはトリフルオロプロパノールである、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシドまたはカリウムt-ブトキシドである、請求項10記載の方法。
【請求項15】
更に、前記式I(a)で表される化合物を、フッ素化剤を使用して、前記式I(b)で表される化合物に転化する工程を含む、請求項7記載の方法。
【請求項16】
前記フッ素化剤が、ジエチルアミノ硫黄トリフルオライド、ジメチルアミノ硫黄トリフルオライド、ピロリジノ硫黄トリフルオライド、N,N-ジエチル-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルアミン、N,N-ジエチル-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペンアミン、フッ化水素またはテトラブチルアンモニウムフルオライドである、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2009−536939(P2009−536939A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508535(P2009−508535)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001179
【国際公開番号】WO2007/132314
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(506224012)ウォックハート リミテッド (3)
【Fターム(参考)】