説明

置換芳香族部分を有するキレート化接合体およびその誘導体

本発明は、金属性医薬用診断薬または治療薬として使用するための金属キレート化接合体を対象とする。具体的には、本発明の接合体は、1種または複数の担体、リンカー、および置換フェニル、ピリジルまたはピリミジル誘導体を含む金属配位部分を含む。一実施形態において、この金属配位部分は、少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジルなどを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
本発明は、一般に、金属性医薬用(metallopharmaceutical)診断薬または治療薬として使用するための金属キレート化接合体(conjugate)を対象とする。
【0002】
金属性医薬用診断薬および治療薬は、生物学および医学研究、ならびに診断および治療手法において、ますますその用途が拡大している。一般に、これらの薬剤は、対象に導入されると最適の特定の器官、組織または骨格構造中に局在化する放射性同位体または常磁性金属を含む。この手法の目的が診断用である場合、選択した金属および金属錯体上の置換パターンに応じて、単光子放出、磁気共鳴およびX線を含む様々な手段によって、放射性同位体、常磁性金属または放射線不透過性金属のインビボでの分布を表す画像を作製することができる。検出された放射性同位体、常磁性金属または放射線不透過性金属の分布および対応する相対強度は、目標組織が占める空間を示すだけでなく、受容体、抗原、染色体異常(aberration)、病的状態などの存在も示すことができる。この手法の目的が治療用である場合、その薬剤は通常放射性同位体を含み、その放射性薬剤は、ある放射線照射量を局所部位に送達する。
【0003】
対象の標的器官または組織、および所望の診断または治療手法に応じて、ある範囲の金属性医薬品を用いることができる。1つの一般的な形は、放射性または常磁性金属、接合体が特定の器官または組織部位を標的化するようにするための担体薬剤、および金属を担体と化学的に結合させるための連結を含む接合体である。そうした接合体では、金属は通常、配位錯体の形態で、より一般的には大員環のキレートとして接合体と会合している。例えば、Liu、特許文献1を参照されたい。
【0004】
特許文献2で、Tweedleらは、ランタニド元素の常磁性イオンと大環状キレート剤の非イオン錯体を用いて、哺乳類の組織を画像化する方法を開示している。しかし、非イオン錯体は、アニオン錯体より安定性が劣る(すなわち、アニオン錯体は、陽イオン金属と陰イオン配位子の間でより強い静電相互作用を示す傾向がある)。
【0005】
配位を支援するためにヒドロキシベンジル基を有する金属配位部分を使用する金属性医薬品が知られているが(例えば、A.Martell and R.Smith、Critical Stability Constants,vol.1:Amino acids、Plenum Press(1974年)(HBEDを記載)を参照されたい)、金属に対してより高い親和性を示す金属配位基を生み出す必要性は、これらの化合物の全毒性を低減させるために依然として重要である。
【特許文献1】米国特許第6,916,460号明細書
【特許文献2】米国特許第6,143,274号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本発明の複数の態様に中には、診断および治療手法で使用するための接合体の提供が含まれる。有利なことには、そうした接合体は、非特異的に標的ではない組織と結合するリスクをそれほど伴わないで、特定の器官、組織または骨格構造中で蓄積する傾向があり、望むなら、それによって接合体が特定の病態を標的化できるようにする。さらに、これらの接合体を比較的低温で生成させ、それによって、接合体が生物組織または器官を標的化するようにするための担体が、錯化反応の間に破壊される可能性を低下させることができる。
【0007】
したがって、要するに本発明は、その接合体が生物組織または器官を標的化するようにするための1種または複数の担体、金属配位部分、および金属配位部分を担体と化学的に結合させるリンカーを含む接合体を対象とする。その金属配位部分は、少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せを含む。
【0008】
本発明は、その接合体が生物組織または器官を標的化するようにするための1種または複数の担体、金属配位部分、金属配位部分と錯体を形成する金属、および金属配位部分を担体と化学的に結合させるリンカーを含む接合体をさらに対象とする。その金属配位部分は、少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル;4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せを含む。
【0009】
本発明は、診断または治療方法をさらに対象とする。その方法は、対象に接合体を投与することを含む。その接合体は、接合体が生物組織または器官を標的化するようにするための1種または複数の担体、金属配位部分、金属配位部分と錯体を形成する放射性もしくは常磁性の金属、および金属配位部分を担体と化学的に結合させるリンカーを含み、その金属配位部分は、少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せを含む。
【0010】
本発明は、金属性医薬品の調製するためのキットをさらに対象とする。そのキットは、診断または治療の方法で用いるための接合体を含む。その接合体は、接合体が生物組織または器官を標的化するようにするための1種または複数の担体、金属配位部分、金属配位部分を担体と化学的に結合させるリンカーを含み、また金属配位部分と錯体を形成する金属を任意選択で含み、その金属配位部分は、少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せを含む。
【0011】
本発明の他の態様の一部は明らかであり、一部は本明細書で以下に指摘する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(種々の実施形態の詳細な説明)
本発明は、診断もしくは治療用の金属放射性医薬品、または磁気共鳴映像法用造影剤に用いるための、金属と迅速に配位錯体を形成することができる接合体を提供する。接合体は、金属イオンを、インビボで組織型、器官または他の生物学的に発現される組成物または受容体と結合する生体指向性担体(生体分子と称されることもある)と結合させる二官能性キレート化剤(BFC)としても作用することができる。本発明の標的特異的金属性医薬品は、磁気共鳴映像法またはシンチグラフィーによる疾患の診断、あるいは全身放射線治療による疾患の治療に有用である。
【0013】
一般に、本発明の接合体は生体指向性担体、およびリンカーを介して間接的に共有結合で結合した金属配位部分を含み、そのリンカーは金属配位部分と化学的に結合している。その金属配位部分は、(i)金属キレート化剤(metal chelator)、および(ii)少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せ(集合的に((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族と称されることもある)を含む。必ずしも必要というわけではないが、リンカーは、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して金属配位部分と結合していてよい。したがって、任意の所与の接合体について、金属配位部分は1つまたは複数の((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を含み、リンカーは((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のうちの1つを任意選択で介して金属配位部分と結合している。金属配位部分上での((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分の具体的な位置はそれほど重要ではない。
【0014】
本発明の金属配位部分は少なくとも1つの((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を含む。一般に、金属配位部分は複数の((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を含む。一実施形態では、金属キレート化剤は((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して生体指向性担体と結合している。他の実施形態では、金属キレート化剤は、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分以外の通常の手段を介して生体指向性担体と結合している。
【0015】
本発明の((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分は、その環原子のうちの少なくとも4個は炭素原子であり、その環が2個のヒドロキシか、2個のチオールか、または1個のヒドロキシと1個のチオール基で置換された六員のアリール環を含む。環炭素原子は、(i)金属キレート化剤への結合点と、(ii)金属キレート化剤への結合点に対してアルファ位である2つの環位置とに位置している。残る3個の環原子、すなわち金属キレート化剤への結合点の炭素原子に対してベータ位の両環原子と、金属キレート化剤への結合点の炭素原子に対してガンマ位の環原子は、独立に、炭素または窒素である。但し、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分の芳香族部分はフェニル、ピリジルまたはピリミジルのいずれかである。ヒドロキシおよび/またはチオール基は、金属キレート化剤への結合点の炭素原子に対してアルファ位である2個の炭素原子に位置している。さらに、どの置換可能な環炭素原子も、安定性および/または生体内分布に影響を及ぼす基で置換されていてよく、かつ、リンカーを介して生体指向性担体と任意選択で結合していてよい。例えば、金属キレート化剤の結合点の炭素原子に対してベータ位の環原子が炭素である選択した場合、それは置換に利用することができる。したがって、芳香族部分がフェニルである場合、置換に利用できる3個の置換可能な環炭素原子が存在する。同様に、芳香族部分がピリジルである場合、置換に利用できる2個の置換可能な環炭素原子が存在する。芳香族部分がピリミジルである場合、1個の置換可能な環炭素原子が置換に利用され得る。
【0016】
一実施形態では、本発明の金属配位部分は一般式(1):
【0017】
【化7】

(式中、
各Eは、独立に、炭素または窒素であり、但し、E原子を含む環はフェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、
各Zは、独立に、酸素またはイオウであり、
qは0〜3であり、qが0より大きい場合、各Dは、安定性および/または生体内分布に影響を及ぼすように選択され、かつ/またはリンカーを介して生体指向性担体を金属キレート化剤と任意選択で連結している)
を有する。
【0018】
上記に考察したように、生体指向性担体は、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して金属配位部分と結合するか、あるいは、生体指向性担体は、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分以外の既知の通常の任意の手段を介して金属配位部分と結合することができる。したがって、図式的には、生体指向性担体、リンカーおよび本発明の((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を含む金属配位部分を含む接合体を、式(A)(この生体指向性担体は((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して金属キレート化剤と結合していない)、
【0019】
【化8】

または式(B)(この生体指向性担体は((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して金属キレート化剤と結合している)
【0020】
【化9】

と対応させることができる
(式中、
Lは、直接かまたは間接に、金属配位部分を生体指向性担体と共有結合しており、
各Zは、独立に、酸素またはイオウであり、
各Eは、独立に、炭素または窒素であり、但し、E原子を含む環はフェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、
qは0〜3であり、qが0より大きい場合、各Dは、安定性および/または生体内分布に影響を及ぼすように選択され、かつ/またはリンカーを介して生体指向性担体を金属配位部分への残りの部分と任意選択で連結しており、
pは1〜5である)。
【0021】
式(A)および式(B)では、単一の生体指向性担体だけを示しているが、接合体は、そのそれぞれがリンカーLを介して金属配位部分と結合している複数の生体指向性担体を含むことができるものとする。したがって、リンカーは、そのそれぞれが同一であっても異なっていてもよい金属キレート化部分と結合した置換基を含むことができる。
【0022】
理論に拘泥するわけではないが、金属キレート化剤の結合点の炭素に対してアルファ位の2つの位置での((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のヒドロキシルおよび/またはチオール基の配向性は、金属に対してより強固な配位を提供すると考えられる。例えば、イットリウム−酸素配位結合は非常に不安定であることが知られている。したがって、溶液中では、この結合は非常に速く壊れ、再形成される。しかし、位置的に同等の利用可能な(ジヒドロキシ芳香族部分のために)第2のフェノール系酸素を有するため、結合の迅速な再構成が可能となる。その結果、第2の酸素は、放射性同位体の脱錯体化および分解を招く可能性のあるどのような外的競合に対しても分子内の競合的結合現象をもたらす。同様に、多くの金属はチオール基と安定した配位結合を形成するので、選択した金属の特性に応じて、ヒドロキシル基のうちの1つまたは両方をチオール基で置き換えることができる。
【0023】
診断または治療手法で用いる前に、式(A)または式(B)に対応する接合体を金属と錯体を形成させて、本発明の金属性医薬用診断薬または治療薬を形成させる。
【0024】
生体指向性担体
上記したように、本発明の接合体は、所望の組織、器官、受容体または他の生物学的に発現される組成物標的の方へ接合体を方向づける、生体分子としても知られている1種または複数の生体指向性担体も含む。担体は、目標とされた器官または組織部位に対して選択的であるかまたは特異的であることが理想的である。
【0025】
一般的な生体指向性担体には、ホルモン、アミノ酸、ペプチド、ペプチド模倣体、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、酵素、炭水化物、糖模倣体(glycomimetics)、脂質、アルブミン、モノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体、受容体、シクロデキストリンなどの包接化合物および受容体結合分子、例えばαβが含まれる。担体の具体的な例には、胸部および前立腺の病変の治療のためのステロイドホルモン;神経内分泌腫瘍の治療のためのソマトスタチン、ボンベシン、CCKおよびニューロテンシン受容体結合分子;肺癌治療のためのCCK受容体結合分子;結腸直腸癌治療のためのST受容体および癌胎児性抗原(CEA)結合分子;メラノーマ治療のためのジヒドロキシインドールカルボン酸および他のメラニン産生生合成中間体;血管疾患の治療のためのインテグリン受容体およびアテローム斑結合分子;および脳障害の治療のためのアミロイド斑結合分子が含まれる。生体指向性担体の例には、ポリアミノ酸、ポリオール、ポリアミン、ポリ酸、オリゴヌクレオチド、アボロール(aborol)、デンドリマーおよびアプタマーなどの合成ポリマーも含まれる。
【0026】
一実施形態では、生体指向性担体は、アミド、エーテル、抗体(例えば、NeutroSpect(登録商標)、Zevalin(登録商標)およびHerceptin(登録商標))、タンパク質(例えば、TCII、HSA、アネキシンおよびHb)、ペプチド(例えば、オクトレオチド、ボンベシン、ニューロテンシンおよびアンジオテンシン)、窒素含有の単炭水化物もしくは複合炭水化物(例えば、グルコサミンおよびグルコース)、窒素含有ビタミン(例えば、ビタミンA、B1、B2、B12、C、D2、D3、E、HおよびK)、窒素含有ホルモン(例えば、エストラジオール、プロゲステロンおよびテストステロン)、窒素含有活性薬剤(例えば、セレコキシブまたは他の窒素含有NSAIDS、AMD3100、CXCR4およびCCR5アンタゴニスト)または窒素含有ステロイドの中から選択される。この実施形態の1つの例では、生体分子は、イミダゾール、トリアゾール、ペプチド、窒素置換された単純な炭水化物もしくは複合炭水化物、窒素置換ビタミンおよび窒素置換小分子の中から選択される。別の例では、生体分子はイミダゾール、トリアゾール、ペプチドのN−末端、窒素置換された単純な炭水化物もしくは複合炭水化物または窒素置換ビタミンである。
【0027】
他の実施形態では、生体指向性担体を反応性((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分に付加することができる。例えば、リンカーは、イミダゾール−カルボニル−もしくはトリアゾール−カルボニル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、p−ニトロフェニルエステル、または反応性部分と置換的に錯体を形成する通常用いられる離脱基(例えば、Pearson and Roush、Handbook of Reacgents for Organic Synthesis:Activating Agents and Protecting GroupsまたはBodansky、Peptide Chemistry:A Practical Textbookを参照されたい)から選択することができる。新規な尿素またはアミド結合を形成する求核部分を有する生体指向性担体の付加によって、トリアゾールもしくはイミダゾールまたは反応性エステルを置換することができる。
【0028】
特定の標的としての組織、器官受容体、または他の生物学的に発現される組成物に対する特異性を増大させるために、複数の生体指向性担体を用いることができる。そうした例では、生体指向性担体は同じであっても異なっていてもよい。例えば、単一の接合体は、所望の抗原またはハプテンに対して作られる複数の抗体または抗体断片を有することができる。一般に、接合体で用いられる抗体は所望の抗原またはハプテンに対して作られるモノクローナル抗体または抗体断片である。したがって、例えば、接合体は、所望のエピトープに対して特異性を有する2つ以上のモノクローナル抗体を含み、それによって所望の部位での接合体の濃度を増大させることができる。同様かつ独立に、接合体は、そのそれぞれが同一標的組織または器官の異なる部位を標的とする2つ以上の異なる生体指向性担体を含むことができる。この仕方で複数の生体指向性担体を用いることによって、接合体は標的組織または器官の複数の領域に有利に集中し、治療処置の有効性を潜在的に増大させる。さらに、標的組織または器官に接合体が集中するように設計した生体指向性担体同士間の比を接合体にもたせて、所望の治療および/または診断結果が最適になるようにすることができる。
【0029】
リンカー
上記したように、生体指向性担体はリンカーLを介して金属配位部分と共有結合する。このリンカーは、必ずしもそうである必要はないが、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して金属配位部分と結合することができる。((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を介して金属配位部分と結合していない場合、生体指向性担体は任意の通常の手段を介して金属配位部分と結合することができる。典型的な結合基には、これらに限定されないが、アミド、カルボキサミド、尿素、チオ尿素、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アリール、スルフィト(sulfito)、スルファト(sulfato)、ホスフィト(phosphito)およびホスフェート(phosphate)が含まれる。一例では、結合基はアミド、カルボキサミド、尿素、エーテルおよびアルキルから選択される。他の例では、結合基はアミド、カルボキサミド、エーテルおよびアルキルから選択される。
【0030】
さらに、選択されたリンカーは、特定の器官、組織または骨格構造中における接合体の蓄積を妨害しないようにしなければならない。いくつかの例では、リンカーは、標的ではない組織に対する非特異的結合のリスクを低くして、特定の器官、組織または骨格構造中における本発明の接合体の蓄積を実際に支援することができる。
【0031】
リンカーは、複数の生体指向性担体と結合し、かつ/または接合体の生体内分布に影響を及ぼすように改変するかまたは合成することができる。例えば、リンカーは、その炭水化物部分がエーテル結合を介して1つまたは複数の生体指向性担体と結合する能力を有するC4〜20炭水化物部分を含むことができる。さらに、炭水化物部分は接合体の水溶性を増大させ、生体内分布に影響を及ぼす。
【0032】
一実施形態では、Lは、C1〜10アルキレン、酸素、イオウ、ケト(−C(O)−)、アミノ(−NH−)、アミド(−C(O)NH−)、尿素(−NHC(O)NH−)、チオ尿素(−NHC(S)NH−)、エステル(−C(O)O−)、ポリオキソ(例えば、−O−CHCH−O−CHCH−O−)、ポリヒドロキシ(例えば、炭水化物)およびペプチドからなる群から選択され、そのアルキレン、アミノ、アミド、尿素およびチオ尿素基は、アリール、C1〜7アルキル、C1〜7ヒドロキシアルキルまたはC1〜7アルコキシアルキルで任意選択で置換されている。本実施形態の一例では、Lは、C1〜10アルキレン、酸素、イオウ、ケト、アミノ、アミド、チオ尿素、エステル、C4〜20炭水化物からなる群から選択され、そのアルキレン、アミノ、アミドおよびチオ尿素基は、アリール、C1〜7アルキル、C1〜7ヒドロキシアルキルまたはC1〜7アルコキシアルキルで任意選択で置換されている。他の例によれば、Lは、より限定的な群、例えばアミド、チオ尿素、単糖類(例えば、ヘキソースおよびペントース)および二糖類(例えば、スクロース)から選択することができる。本実施形態の他の例では、Lは尿素結合以外のものを含む。
【0033】
金属
診断手法においてインビボもしくはインビトロで検出可能か、または疾患の治療処置に有用な任意の金属を、本発明の接合体における金属として用いることができる。具体的には、ヒトもしくは動物の体内において、またはインビトロでの診断用アッセイにおいて診断結果または治療応答をもたらすことができる任意の放射性金属イオンまたは常磁性金属イオンを用いることができる。使用目的に基づく適切な金属の選択は当業者に周知である。一実施形態では、金属は、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される。例えば、金属は、Y−90、In−111、Tc−99m、Re−186、Re−188、Cu−64、Ga−67、Ga−68およびLu−177からなる群から選択することができる。他の例では、金属はより限定的な群、例えばY−90、1n−111、Tc−99m、Re−186、Cu−64、Ga−67およびLu−177またはY−90、In−111およびTc−99mから選択することができる。他の実施形態では、イットリウムおよびインジウムなどの酸素と不安定な結合を形成する金属は、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を有する金属配位部分に適した金属である。
【0034】
金属配位部分
金属配位部分は、生理学的状態下で1種または複数の金属を錯体化する(「配位する」ともいう)のに用いられる少なくとも1つの((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分を有する任意の部分であってよい。金属配位部分が金属と熱力学的および動力学的に安定した錯体を形成して生理学的状態下で錯体を損なわないように保持するか、あるいは、配位した金属の全身的放出が起こることが好ましい。必ずしも必要というわけではないが、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のヒドロキシルまたはチオール基をそれぞれ含む酸素またはイオウ原子は、金属の錯体化に関与することができる。すなわち、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のヒドロキシルまたはチオール基が関与してもしなくても、金属配位部分は金属を錯体化することができる。((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のヒドロキシルまたはチオール基の関与は、金属キレート化剤の特性や選択する具体的な金属に依存することになる。
【0035】
一般に、金属配位部分は非環式であっても環式であってもよい。例えば、金属配位部分にはポリカルボン酸、例えばEDTA、DTPA、DCTA、DOTA、TETAまたはその類似体もしくはホモログが含まれる。しかし、生理学的状態下でより高い安定性を得るためには、大環状、例えばトリアザおよびテトラザ大員環が一般に好ましい。いくつかの実施形態では、大環状金属配位部分はcyclenまたはtacnである。
【0036】
一実施形態では、金属配位部分は、ヘテロ原子が窒素である置換複素環を含む。一般に、複素環は約9〜約15個の原子を含み、これらの環原子のうちの少なくとも3個は窒素である。本実施形態の一例では、複素環は、そのうちの少なくとも1つが置換されている3〜5個の環窒素原子を含む。これらの実施形態のためには、環炭素原子は任意選択で置換されている。そうした1つの大員環は式(2)に相当する:
【0037】
【化10】

(式中、
nは、0、1または2であり、
mは0〜20であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つもしくは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換メチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDによって任意選択で置換されており、
各Dは、金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択される)。
【0038】
式(2)の金属配位部分について、存在する場合、D置換基は、置換可能な環炭素原子のいずれかと独立に結合している。一実施形態では、各Dは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、アリール、またはC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスフェートの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜8アルキルである。より一般的には、各Dはブロモ、ヨード、カルボキシルまたはヒドロキシルである。他の実施形態では、金属配位部分はD基を介して直接または間接に生体指向性担体と結合している。
【0039】
一般に、式(2)の金属配位部分については、X〜Xは、独立に、C1〜6アルキル、ハロまたはヒドロキシルで任意選択で置換されたメチレンである。
【0040】
式(2)の金属配位部分の他の実施形態では、Q、Q、QおよびQのうちの1つはDで置換されているが、Q、Q、QおよびQのうちの他の3つはDで置換されていない。一般に、この実施形態では、Dは、金属配位部分を1つまたは複数の生体指向性担体と連結する任意選択で置換されたリンカーである。
【0041】
金属配位部分が式(2)に対応し、mが0より大きい場合、一般に、各Aは、安定性と生体内分布に積極的に影響を及ぼす置換基であることが好ましい。存在する場合、各Aは、1つもしくは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオ置換基で独立に置換されていてよい。さらに、Aがアリールまたはアルキルである場合、そのそれぞれは、1つもしくは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオで任意選択で置換されたアリールまたはC1〜20アルキル部分で任意選択で置換されていてよい。
【0042】
さらに、式(2)の金属配位部分については、存在する場合、A置換基は環炭素原子のいずれかと結合している。さらに、各環炭素原子は、1つまたは2つのA置換基で置換され、それによって、可能なA置換基の数が環炭素原子の数に応じて変わってもよい。少なくとも1つのA置換基を有する式(2)の金属配位部分の一実施形態では、各Aは、独立に、1つまたは複数のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1〜20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシおよびチオで任意選択で置換されたアリールまたはC1〜8アルキルである。例えば、各Aは、1つまたは複数のアリール、ケト、アミドおよびオキシで任意選択で置換されたアリールまたはC1〜5アルキルであってよい。他の例では、各Aはメチルであってよい。
【0043】
一般に、nの値が増加するにしたがって、大員環のサイズは大きくなる。この仕方で、大員環のサイズを、配位される金属の大きさと配位能力に適合するように制御することができる。
【0044】
式(2)の金属配位部分の例には、
【0045】
【化11】

が含まれる。
【0046】
複素環を含む金属配位部分に加えて、金属配位部分は、代替的に、炭素および窒素原子の置換された鎖を含むことができる。本明細書で用いる窒素および炭素からなる鎖は、「バックボーン」または「原子の鎖」と称することができる。一般に原子の鎖は約4〜約10個の原子を含み、前記原子のうちの少なくとも2個は窒素である。原子の鎖は、鎖窒素原子のうちの少なくとも1つが置換されている2〜4個の窒素原子を含むことが好ましい。バックボーン炭素原子は任意選択で置換されている。一般に、バックボーン窒素原子は2個の炭素原子によって互いに隔てられている。この実施形態では、金属配位部分は一般に以下の式(3):
【0047】
【化12】

を有している
(式中、
nは、0、1または2であり、
mは0〜20であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択される)。
【0048】
式(3)の金属配位部分について、存在する場合、D置換基は、置換可能な環炭素原子のいずれかと独立に結合している。一実施形態では、各Dは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、またはC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスフェートの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜8アルキルである。より一般的には、各Dはブロモ、ヨード、カルボキシルまたはヒドロキシルである。他の実施形態では、金属配位部分はD基を介して直接または間接に生体指向性担体と結合している。
【0049】
一般に、式(3)の金属配位部分について、X、X、X、XおよびXは、独立に、C1〜6アルキル、ハロまたはヒドロキシルで任意選択で置換されたメチレンである。
【0050】
式(3)の金属配位部分の他の実施形態では、Q、Q、Q、QおよびQのうちの1つはDで置換されているが、Q、Q、Q、QおよびQのうちの他の4つはDで置換されていない。一般に、この実施形態では、Dは、金属配位部分を1つまたは複数の生体指向性担体と連結する任意選択で置換されたリンカーである。
【0051】
金属配位部分が式(3)に対応し、mが0より大きい場合、一般に、各Aは、安定性と生体内分布に積極的に影響を及ぼす置換基であることが好ましい。存在する場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプトまたはチオ置換基で独立に置換されていてよい。さらに、Aがアリールまたはアルキルである場合、そのそれぞれは、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオで任意選択で置換されたアリールまたはC1〜20アルキル部分で任意選択で置換されていてよい。
【0052】
さらに、式(3)の金属配位部分について、存在する場合、A置換基はバックボーン炭素原子のいずれかと結合している。さらに、各環炭素原子は、1つまたは2つのA置換基で置換され、それによって、可能なA置換基の数が環炭素原子の数に応じて変わってもよい。少なくとも1つのA置換基を有する式(3)の金属配位部分の一実施形態では、各Aは、独立に、1つまたは複数のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1〜20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシおよびチオで任意選択で置換されたアリールまたはC1〜8アルキルである。例えば、各Aは、1つまたは複数のアリール、ケト、アミドおよびオキシで任意選択で置換されたアリールまたはC1〜6アルキルであってよい。他の例では、各Aはメチルであってよい。
【0053】
一般に、nの値が増加するにしたがって、原子の鎖の長さは増大する。この仕方で、バックボーンの長さを、配位される金属の大きさと配位能力に適合するように制御することができる。
【0054】
上記実施形態のいずれについても、金属配位部分を金属Mで錯体化し、それによって金属錯体を形成させることができる。例えば、金属配位部分が複素環であり、金属Mで錯体化されている一実施形態では、錯体は以下の式(4):
【0055】
【化13】

を有する
(式中、
nは、0、1または2であり、
mは0〜20であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択され、
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される)。
【0056】
式(4)には示されていないが、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のヒドロキシルまたはチオール基は金属の配位に独立に関与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ヒドロキシルまたはチオール基のどちらも金属の配位に直接関与しないが、他の実施形態では、ヒドロキシルまたはチオール基の1つまたはその両方が金属の配位に関与する。選択された金属の特性と選択された具体的な金属配位部分の両方は、レゾルシノール誘導体のヒドロキシルまたはチオール基が金属の配位に関与するかどうかを決定する。さらに、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分が実際ジヒドロキシである場合、酸素原子の両方とも、平衡の存在により同時または別の時点で、金属の結合に関与する。しかし、両方のヒドロキシル酸素が、同一金属に同時に結合することはない。
【0057】
あるいは、金属配位部分が原子の鎖を含み、金属Mで錯体化されている一実施形態では、錯体は以下の式(5)を有する
【0058】
【化14】

(式中、
nは、0、1または2であり、
mは0〜12であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択され、
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される)。
【0059】
式(5)には示されていないが、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分のヒドロキシルまたはチオール基は金属の配位に独立に関与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ヒドロキシルまたはチオール基のどちらも金属の配位に直接関与しないが、他の実施形態では、ヒドロキシルまたはチオール基の1つまたはその両方が金属の配位に関与する。選択された金属の特性と選択された具体的な金属配位部分の両方は、レゾルシノール誘導体のヒドロキシルまたはチオール基が金属の配位に関与するかどうかを決定する。さらに、((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分が実際ジヒドロキシである場合、酸素原子の両方とも、平衡の存在により同時または別の時点で、金属の結合に関与する。しかし、両方のヒドロキシル酸素が、同一金属に同時に結合することはない。
【0060】
好ましい錯体が式(4)または式(5)に相当するかどうかは一般に、配位のために選択された具体的な金属に依存する。例えば、イットリウムおよびランタニドについては、式(4)に相当する錯体が好ましい。式(4)は鉄、銅およびマンガンにも好ましいが、式(5)は残る遷移金属にも好ましい錯体である。任意の特定の金属に好ましい錯体は、内部イオンとの金属交換反応の可能性に関連する。したがって、式(4)は、これらに限定されないが、イットリウム、ランタニドおよびガリウムを含む高交換性金属(high exchange metal)に、より高い安定性を提供する。普通の遷移金属については、内部イオンとの金属交換反応はそれほど問題とならない。
【0061】
三次元空洞を有する大環状金属配位部分はしばしば高い安定性をもつ金属錯体を形成する。これらの錯体は、金属サイズおよび配位ケミストリー、ならびに錯体化されていない形態で予備組織化された構造(これは金属錯体化を容易にする)を取り込む能力をもとにして、特定の金属イオンに対する選択性をしばしば示す。適切な大環状金属配位部分および金属の選択は当業者に周知である。
【0062】
さらに、好ましいnの値、したがって、金属配位部分のサイズおよび長さは、配位される具体的な金属に依存する。例えば、イットリウムおよびランタニドでは、nは好ましくは1である。遷移金属では、nは通常0または1である。マンガンおよびテクネチウムでは、X〜Xの値に応じて、nは、0、1または2である。
【0063】
一般的合成
本発明の接合体は様々な方法で合成することができる。例えば、保護したジヒドロキシベンジルハライドを用いて所望のポリアミンをアルキル化することができ、あるいはポリアミンにより、適切なアルデヒド誘導体を還元的にアミノ化することができる。
【0064】
【化15】

但し、Eは上記定義通りであり、Rはヒドロキシル保護基(例えば、メチルまたはt−ブチル)である。次いで、必要に応じて生成物を脱保護することができる。脱保護された((ジ)チオ)ジヒドロキシ芳香族部分は、次いで所望の金属イオンと自由に配位させられる。
【0065】
金属性医薬組成物
本発明の金属性医薬組成物は、薬剤として許容される担体中に分散された金属と錯体化した接合体を含む。当業界で賦形剤、媒体、助剤、補助剤または希釈剤としても知られている薬剤として許容される担体は、一般に薬剤としては不活性な物質であり、組成物に適切なコンシステンシーまたは形を付与し、かつ、接合体の治療または診断効能を低下させない。担体は、哺乳動物、特にヒトに投与した場合、許容されない不都合なアレルギー反応または他の有害反応をもたらさなければ、一般に「薬剤として許容されるかまたは薬理学的に許容される」と見なされる。
【0066】
薬剤として許容される担体の選択は、ある程度投与経路の機能にもよることになる。一般に、本発明の金属性医薬組成物は、その経路により標的組織を利用できる限り、どの投与経路用にも処方することができる。例えば、適切な投与経路には、これらに限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、関節内、脊髄内、腹腔内または胸骨内)、局所(経鼻、経皮、眼球内)、膀胱内、髄腔内、腸内、肺内、リンパ内、腔内、経膣、経尿道、皮内、耳内、乳房内、頬側、同所性、気管内、病巣内、経皮、内視鏡的、経粘膜、舌下および腸管内投与が含まれる。
【0067】
本発明の組成物で用いる薬剤として許容される担体は当業者によく知られており、それはいくつかの因子、すなわち、用いられる具体的な接合体およびその濃度、安定性ならびに目的とする生物学的利用能;その組成物で治療されるかまたは診断される疾患、障害または状態;対象、その年齢、大きさおよび全般的状態;ならびに投与経路を基に選択される。薬剤として許容される適切な非水系の極性溶媒には、これらに限定されないが、アルコール(例えば、α−グリセロールホルマール、β−グリセロールホルマール、1,3−ブチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、アミレン水和物、ベンジルアルコール、グリセリン(グリセロール)、グリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコールまたはステアリルアルコールなどの2〜30個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族アルコール、脂肪族アルコールの脂肪酸エステル、例えばポリアルキレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ソルビタン、スクロースおよびコレステロール);アミド(例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、安息香酸ベンジルDMA、ジメチルホルムアミド、N−(β−ヒドロキシエチル)−ラクトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド_アミド、2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノンまたはポリビニルピロリドン);エステル(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、アセテートエステル、例えばモノアセチン、ジアセチンおよびトリアセチン、脂肪族もしくは芳香族エステル、例えばカプリル酸エチルもしくはオクタン酸エチル、オレイン酸アルキル、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリンのエステル、例えばモノ、ジもしくはトリ−グリセリルシトレートまたはタータレート、安息香酸エチル、酢酸エチル、炭酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、ソルビタンの脂肪酸エステル、脂肪酸誘導PEGエステル、グリセリルモノステアレート、グリセリドエステル、例えばモノ、ジもしくはトリ−グリセリド、脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸誘導PEGエステル、例えばPEG−ヒドロキシオレエートおよびPEG−ヒドロキシステアレート、N−メチルピロリジノン、ブルロニック(pluronic)60、ポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸ポリエステル、例えばポリ(エトキシ化)30〜60ソルビトールポリ(オレエート)2〜4、ポリ(オキシエチレン)15〜20モノオレエート、ポリ(オキシエチレン)15〜20モノ12−ヒドロキシステアレート、およびポリ(オキシエチレン)15〜20モノリシンオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレン−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノステアレート、およびICI Americas,Wilmington,DEからのPolysorbate(登録商標)20、40、60または80、ポリビニルピロリドン、アルキレンオキシ改変脂肪酸エステル、例えばポリオキシル40水添ヒマシ油およびポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor(登録商標)EL溶液またはCremophor(登録商標)RH40溶液)、サッカリド脂肪酸エステル(すなわち、単糖(例えば、ペントース、例えばリボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびキシルロース、ヘキソース、例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびソルボース、トリオース、テトロース、ヘプトースおよびオクトース)、二糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトースおよびトレハロース)もしくはオリゴ糖またはその混合物と、C〜C22脂肪酸(例えば、飽和脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸ならびに不飽和脂肪酸、例えばパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸およびリノール酸)との縮合生成物)あるいはステロイド系エステル);2〜30個の炭素原子を有するアルキル、アリールまたは環状エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルイソソルビド、メチレングリコールモノエチルエーテル);グリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);3〜30個の炭素原子を有するケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);4〜30個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式もしくは芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキソラン、ヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサン、スルホラン、テトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホキシド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはテトラメチレンスルホキシド);鉱物油、植物油、動物油、植物性揮発油または合成由来の油(例えば、鉱物油、例えば脂肪族炭化水素もしくはワックスベースの炭化水素、芳香族炭化水素、混合した脂肪族および芳香族ベースの炭化水素、ならびに精製パラフィン油、植物油、例えば亜麻仁油、キリ油、ベニバナ油、大豆油、ヒマシ油、綿実油、ラッカセイ油、菜種油、ココナッツ油、ヤシ油、オリーブ油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、ゴマ油、杏仁油およびピーナッツ油およびグリセリド、例えばモノ−、ジ−もしくはトリ−グリセリド、動物油、例えば魚油、マリーンオイル、マッコウクジラ油、肝油、ハリバー油(haliver oil)、スクアレン油、スクアラン油およびサメ肝油、オレイン酸油およびポリオキシエチル化ヒマシ油);1〜30個の炭素原子と任意選択で1つを超えるハロゲン置換基を有するアルキルまたはアリールハライド;塩化メチレン;モノエタノールアミン;石油ベンジン;トロラミン;ω−3ポリ不飽和脂肪酸(例えば、αリノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸);12−ヒドロキシステアリン酸とポリエチレングリコールのポリグリコールエステル(BASF,Ludwigshafen,GermanyからのSolutol(登録商標)HS−15);ポリオキシエチレングリセロール;ラウリン酸ナトリウム;オレイン酸ナトリウム;あるいはモノオレイン酸ソルビタンが含まれる。
【0068】
本発明で用いるための他の薬剤として許容される溶媒は当業者に周知であり、The Chemotherapy Source Book(Williams & Wilkens Publishing)、The Handbook of Pharmaceutical Excipients(American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.,and The Pharmaceutical Society of Great Britain,London,England、1968年)、Modern Pharmaceutics(G.Bankerら、eds.,3d ed.)(Marcel Dekker,Inc.、New York,New York、1995年)、The Pharmacological Basis of Therapeutics(Goodman & Gilman、McGraw Hill Publishing)、Pharmaceutical Dosage Forms(H.Liebermanら、eds.)(Marcel Dekker,Inc.、New York,New York、1980年)、Remington’s Pharmaceutical Sciences (A.Gennaro,ed.,19th ed.)(Mack Publishing、Easton,PA、1995年)、The United States Pharmacopeia 24、The National Formulary 19,(National Publishing、Philadelphia,PA、2000年)、A.J.Spiegelら、およびUse of Nonaqueous Solvents in Parenteral Products、Journal of Pharmaceutical Sciences、第52巻、10号、917〜927頁(1963年)に特定されている。
【0069】
投薬量
本発明の医薬組成物を投与するための投薬量およびレジメンは、疾患を診断または治療する当分野の技術を有するものによって容易に決定することができる。接合体の投薬量は、レシピエントの年齢、性別、健康状態および重量、もしあれば併用治療の種類、治療の頻度および所望する効果の特徴に依存することになることを理解されよう。任意の投与方式について、送達される接合体の実際量、ならびに本明細書で説明する有利な効果を実現するのに必要な投薬スケジュールは、一部、接合体の生物学的利用能、治療または診断を受ける障害、所望の治療用量または診断線量のような因子、および当業者に明らかな他の因子にも依存する。本発明の関連で、動物、特にヒトに投与する用量は、妥当な期間にわたって、動物における所望の治療または診断応答に影響を及ぼすのに十分でなければならない。
【0070】
本発明により提供される放射性標識シンチグラフィー造影剤は、適切な量の放射能を有するものとする。診断用放射性錯体の形成においては、一般に、mL当たり約0.01ミリキュリー(mCi)〜100mCiの濃度で放射能を含む溶液中で放射性錯体を生成させるのが好ましい。一般に、投与される単位用量は約0.01mCi〜約100mCi、好ましくは約1mCi〜約30mCiの放射能を有する。単位投薬量で注入される溶液は約0.01mL〜約10mLである。投与に適した放射性標識接合体の量は、クリアされるのが速い接合体がクリアされるのが遅い接合体より高い用量で投与されるという意味で、選択される接合体の分布プロファイルに依存する。インビボでの分布および局在化は、標的ではない組織でのクリアランス速度に対する標的部位での蓄積速度に応じて、投与の後の適切な時間、通常30分間〜180分間で標準的なシンチグラフィー技術により追跡することができる。
【0071】
典型的には、In−111診断線量は3〜6mCiであり、典型的なTc−99m線量は10−30mCiである。一般に、放射性医薬品の放射線治療量は、腫瘍およびサイクルの注入の数に応じて大きく変わる。例えば、Y−90の蓄積線量は約100〜600mCi(20〜150mCi/用量)の範囲であり、Lu−177の蓄積線量は約200〜800mCi(50〜200mCi/用量)の範囲である。
【0072】
キット
便宜上、本発明の金属性医薬組成物を、必要な成分のある部分またはすべてを含むキットの形で使用者に提供することができる。成分のある部分、例えば放射性同位体は、特に混合された場合、保存寿命が限られているので、キットの使用は特に好都合である。したがって、キットは以下の成分、すなわち、(i)接合体、(ii)接合体と配位した金属、または接合体による配位のための金属、(iii)担体溶液、および(iv)併用および使用のための説明書の1つまたは複数を含むことができる。金属によっては、接合体との反応に金属を備えさせるために還元剤が望ましいことがある。還元剤の例には、Ce(III)、Fe(II)、Cu(I)、Ti(III)、Sb(III)およびSn(II)が含まれる。これらのうちSn(II)は特に好ましい。キットの成分はしばしば、単位剤形の形(例えば、別々のバイアル中に各成分がある)である。
【0073】
安定性を得るため、接合体を乾燥した凍結乾燥状態で提供することが好ましい。次いで使用者は、接合体を担体または他の溶液を加えて元に戻すことができる。
【0074】
適切な放射性核種の半減期が短いため、放射性核種を含めないでキットを使用者に提供することがしばしば最も好都合である。手順上必要なら、次いで放射性核種を別途注文する。あるいは、キットの中に放射性核種が含まれている場合、キットはたいてい、その使用直前に使用者へ出荷されることになる。
【0075】
金属配位部分、生体分子、活性尿素、金属および脱保護用の酸に加えて、本発明のキットは通常緩衝剤を含む。緩衝剤の例には、シトレート、ホスフェートおよびボレートが含まれる。
【0076】
実施する最終使用者による放射性医薬品の合成のし易さ、キットの製造のし易さ、キットの保存寿命、または放射性医薬品の安定性および保存寿命を改善することをしばしば目的として、任意選択で他の成分をキットに含める。本発明のそうした成分には、凍結乾燥助剤、例えばマンニトール、乳糖、ソルビトール、デキストラン、フィコール(Ficoll)およびポリビニルピロリジン(PVP);安定化助剤、例えばアスコルビン酸、システイン、モノチオグリセロール、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ゲンチシン酸およびイノシトール;ならびに静菌薬、例えばベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クロルブタノールおよびメチル、プロピルもしくはブチルパラベンが含まれる。
【0077】
一般に、接合体をキットとして処方する場合、そのキットは、活性尿素基を有する保護された金属配位部分、脱保護用の酸、緩衝剤、および、これらに限定されないがIn−111、Y−90またはLu−177などの放射性金属の溶液からなる複数のバイアルを含む。実際には、使用者は、金属配位部分を含むバイアルを取り、反応性アミノ(NH)基を担持する対象の生体指向性担体の溶液を加える。接合が完了したら、脱保護用の酸を加えて脱保護させ、続いて放射性金属を加える。次いで、混合物を緩衝化させて、金属キレート化剤による放射性金属の錯体化を完了させる。
【0078】
定義
本明細書で述べる化合物は不斉中心を有することができる。非対称的に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学的活性体またはラセミ体で単離することができる。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載されるが、これらは、異性体の混合物または別個の異性体として単離することができる。特定の立体化学構造または異性体の形態が具体的に指定されていない限り、ある構造のすべてのキラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体およびすべての幾何異性体を対象とする。本発明の化合物を調製するのに用いられるプロセス、およびそこで生成する中間体はすべて、本発明の一部と見なされるものとする。
【0079】
本発明は、本発明の化合物で生じる原子のすべての同位体を含む。同位体は、原子番号は同じであるが、質量数が異なる原子を含むものである。
【0080】
別段の指定のない限り、本明細書で記載するアルキル基は、主鎖中の1〜8個の炭素原子を含み、最大で20個の炭素原子を含む低級アルキルであることが好ましい。これらは、直鎖もしくは分鎖または環状のものであってよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル等を含む。
【0081】
本明細書で用いる「アミド」という用語は、置換アミド部分を含む。その置換基には、これらに限定されないが、そのそれぞれが1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、C1〜20アルキル、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオ置換基で任意選択で置換されていてよいアリールおよびC1〜20アルキルの1つまたは複数が含まれる。
【0082】
本明細書で用いる「アミノ」という用語は、置換アミノ部分を含む。その置換基には、これらに限定されないが、それぞれが1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、C1〜20アルキル、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオ置換基で任意選択で置換されていてよいアリールおよびC1〜20アルキルの1つまたは複数が含まれる。
【0083】
単独かまたは別の基の一部として本明細書で用いる「芳香族」という用語は、任意選択で置換された単環式または複素環式の芳香族基を表す。これらの芳香族基は、その環部分に6〜14個の原子を含む単環式、二環式または三環式の基であることが好ましい。「芳香族」という用語は、以下で定義する「アリール」および「ヘテロアリール」基を包含する。
【0084】
単独かまたは別の基の一部として本明細書で用いる「アリール」または「ar」という用語は、その環部分に6〜12個の炭素を含む、任意選択で置換された単環式芳香族基、好ましくは単環式または二環式の基、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルを表す。フェニルおよび置換フェニルはより好ましいアリールである。
【0085】
「錯体」という用語は、金属で錯体化または配位されている本発明の金属配位部分、例えば式(1)を指す。金属は一般に放射性同位体または常磁性金属イオンである。
【0086】
「接合体」という用語は、金属配位部分が金属と錯体化されているかされていない、生体指向性担体(生体分子)と結合している本発明の金属配位部分、例えば式(1)を指す。本発明のためには、金属配位部分は、リンカーを介して直接または間接に生体指向性担体と結合している。
【0087】
単独かまたは別の基の一部として本明細書で用いる「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を指す。
【0088】
単独かまたは別の基の一部として本明細書で用いる「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環の中に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環の中に好ましくは5〜6個の原子を有する任意選択で置換された芳香族基を表す。ヘテロアリール基は、好ましくは、環の中に1個もしくは2個の酸素原子、および/または1〜4個の窒素原子および/または1個もしくは2個のイオウ原子を有しており、分子の残りの部分と炭素を介して結合している。ヘテロアリールの例には、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、ビフェニル、ナフチル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル等が含まれる。
【0089】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を意味するものとする。
【0090】
単独かまたは別の基の一部として本明細書で用いる「複素環」または「複素環の」という用語は、少なくとも1つの環内に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、任意選択で置換された完全に飽和しているか、または飽和していない単環式もしくは二環式芳香族または非芳香族基を表す。ヘテロ環基は、環の中に好ましくは1〜5個の窒素原子を有し、分子の残りの部分と炭素原子を介して結合している。複素環の例には、大環状環、cyclen、DOTA、DOTMA、DOTPおよびTETAが含まれる。
【0091】
本明細書で記載する「ヘテロ置換アルキル」部分は、その炭素原子が少なくとも1個のヘテロ原子と共有結合し、また任意選択で水素と共有結合しているアルキル基である。例えばそのヘテロ原子は窒素原子である。
【0092】
本明細書で用いる「金属性医薬品」という用語は、画像化または治療に有用な金属を含有する薬剤として許容される化合物を指す。
【0093】
本明細書で用いる「ヒドロキシル保護基」という用語は、遊離ヒドロキシル基(「保護されるヒドロキシル」)を保護することができる基を表す。この基は、その反応に備えて保護を行った反応の後に、分子の残りの部分を妨げることなく取り外すことができる。ヒドロキシル基を保護するための一般的などの手段も用いることができる。ヒドロキシル基のための様々な保護基およびその合成法はProtective Groups in Organic Synthesis,3rd Edition、T.W.Greene and P.G.M.Wuts、John Wiley and Sons、1999年に記載されている。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は予測的(prophetic)なものである。
【0095】
(実施例1:ビタミンB12接合体)
【0096】
【化16】

この実施例では、cyclenを、ジメチルアセトアミド中で、3当量の2−(ブロモメチル)−1,3−ジtert−ブトキシベンゼンおよび酢酸ナトリウムと反応させる。得られた三置換大員環、1はろ過により単離し、クロロホルム中に溶解し、飽和臭化ナトリウム水溶液で洗浄することができる。有機抽出物をヘキサンで処理して生成物を結晶化させる。第二アミン、1を水酸化ナトリウム水溶液で遊離塩基(free−based)にし、エーテル中に溶解する。有機抽出物を収集し、硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮して油状物を得る。この油状物をアセトニトリル中に溶解し、重炭酸ナトリウムおよびブロモ酢酸ベンジルで処理する。得られた生成物2は、アセトニトリルから結晶化させて単離することができる。次いで、ベンジルエステルをメタノール中で、炭素担持のパラジウムおよび水素で処理することによって選択的に除去する。カルボン酸、3を、ジメチルホルムアミド中の1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物で処理することによって、B12−(2−イル)メチル3−(2−(2−(3−アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピルカルバメートすなわちB12−NHと接合させる。次いで、保護中間体を、トリフリック酸(triflic acid)およびトリフルオルエタノール(trifluorethanol)の混合物で処理して脱t−ブチル化(de−t−butylation)を実施する。脱マスキング(unmasked)したキレートは逆相クロマトグラフィーで精製することができる。
【0097】
(実施例2:グルコース誘導体の接合体)
【0098】
【化17】

この実施例では、2−アミノ−4,6−ジ−tertブトキシピリミジン−5−カルバルデヒド、5を、tert−ブチル2,2’,2’’−(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリイル)トリアセテートすなわちDO3A−トリス(tブチルエステル)、4およびシアノ水素化ほう素ナトリウムで還元的にアミノ化する。保護された中間体6を、(3R,4S,5R)−6−(ピバロイルオキシメチル)−3−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2,4,5−トリルトリス(2,2−ジメチルプロパノエート)、7と反応させてさらに誘導化する。マスキングした中間体は、強酸で処理して脱保護し、逆相クロマトグラフィーで単離することができる。
【0099】
(実施例3:ボンベシン接合体)
【0100】
【化18】

この実施例では、tert−ブチル2,2’−(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,7−ジイル)ジアセテート、8を、DMAc中で、ベンジル4−(ブロモメチル)−3,5−ジ−tert−ブトキシベンゾエート、9および酢酸ナトリウムで処理してモノアルキル化する。生成物のtert−ブチル2,2’−(4−(4−(ベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジ−tert−ブトキシベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,7−ジイル)ジアセテート、10を、遊離塩基化した後、シアノ水素化ほう素ナトリウムで処理することによって、4,6−ジ−tertブトキシピリミジン−5−カルバルデヒドでアルキル化する。水素化分解により部分脱保護した後、マスキングされた中間体、tert−ブチル2,2’−(4−(4−(ベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジ−tert−ブトキシベンジル)−10−((4,6−ジ−tertブトキシピリミジン−5−イル)メチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,7−ジイル)ジアセテート、12は、(D−Phe,Leu13(r)−p−クロロ−Phe14)−ボンベシン(6−14)−NHのN−末端をアシル化する。トリフルオロエタノール中のトリフリック酸によって完全な脱保護が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体指向性担体、金属配位部分、および該金属配位部分を該担体と化学的に結合させるためのリンカーを含む接合体であって、該金属配位部分が、少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せを含む、接合体。
【請求項2】
前記生体指向性担体が、イミダゾール、トリアゾール、抗体、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ビタミン、ホルモン、薬物および有機小分子からなる群から選択される、請求項1に記載の接合体。
【請求項3】
前記接合体が2つ以上の生体指向性担体を含む、請求項1に記載の接合体。
【請求項4】
前記金属配位部分がポリカルボン酸である、請求項1から3に記載の接合体。
【請求項5】
前記金属配位部分が、EDTA、DTPA、DCTA、DOTA、TETAまたはその類似体もしくはホモログからなる群から選択される、請求項4に記載の接合体。
【請求項6】
前記金属配位部分がトリアザ−またはテトラザ−大員環である、請求項1から3に記載の接合体。
【請求項7】
前記金属配位部分が金属で錯体化されており、該金属が放射性同位体または常磁性金属からなる、請求項1から6のいずれかに記載の接合体。
【請求項8】
前記金属が、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される、請求項7に記載の接合体。
【請求項9】
前記金属配位部分が置換複素環を含む、請求項1に記載の接合体。
【請求項10】
前記複素環が9〜15個の環原子を含み、該環原子のうちの少なくとも3個が窒素である、請求項9に記載の接合体。
【請求項11】
前記複素環が3〜5個の環窒素原子を含む、請求項9または10に記載の接合体。
【請求項12】
前記複素環が、1個または複数の環炭素原子において任意選択で置換されている、請求項9から11のいずれかに記載の接合体。
【請求項13】
前記複素環が、1個または複数の環窒素原子において置換されている、請求項12に記載の接合体。
【請求項14】
前記金属配位部分が、以下の構造を有する置換複素環
【化1】

(式中、nは、0、1または2であり、
mは0〜20であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、該金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択される)
を含む、請求項1に記載の接合体。
【請求項15】
前記金属配位部分が、炭素および窒素原子の置換された鎖を含む、請求項1に記載の接合体。
【請求項16】
前記置換された鎖が4〜10個の原子を含み、前記原子の少なくとも2個が窒素である、請求項15に記載の接合体。
【請求項17】
前記置換された鎖が2〜4個の窒素原子を含む、請求項15または16に記載の接合体。
【請求項18】
前記置換された鎖が、1個または複数の炭素原子において任意選択で置換されている、請求項15から17のいずれかに記載の接合体。
【請求項19】
前記置換された鎖が、1個または複数の窒素原子において置換されている、請求項18に記載の接合体。
【請求項20】
前記金属配位部分が、以下の構造
【化2】

(式中、nは、0、1または2であり、
mは0〜12であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、該金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択される)
を有する炭素および窒素原子の置換された鎖を含む、請求項1に記載の接合体。
【請求項21】
前記リンカーが、C1〜10アルキレン、酸素、イオウ、ケト、アミノ、アミド、尿素、チオ尿素およびエステルからなる群から選択され、該アルキレン、アミノ、アミド、尿素およびチオ尿素基が、アリール、C1〜7アルキル、C1〜7ヒドロキシアルキルまたはC1〜7アルコキシアルキルで任意選択で置換されている、請求項1に記載の接合体。
【請求項22】
前記リンカーが、C1〜10アルキレン、酸素、イオウ、ケト、アミノ、アミド、チオ尿素およびエステルからなる群から選択される、請求項21に記載の接合体。
【請求項23】
前記金属配位部分を金属Mで錯体化して、以下の式を有する金属錯体
【化3】

(式中、nは、0、1または2であり、
mは0〜20であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDによって任意選択で置換されており、
各Dは、金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択され、
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される)
を形成する、請求項1に記載の接合体。
【請求項24】
前記金属配位部分を金属Mで錯体化して、以下の式を有する金属錯体
【化4】

(式中、nは、0、1または2であり、
mは0〜12であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、該金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択され、
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される)
を形成する、請求項1に記載の接合体。
【請求項25】
請求項1から24のいずれかに記載の接合体および薬剤として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項26】
哺乳動物の癌を診断するための方法であって、該哺乳動物に、癌を診断するための請求項1から24のいずれかに記載の有効量の接合体、および薬剤として許容される担体を投与することを含む方法。
【請求項27】
哺乳動物の癌を治療するための方法であって、該哺乳動物に、請求項1から24のいずれかに記載の有効量の接合体、および薬剤として許容される担体を投与することを含む方法。
【請求項28】
少なくとも1つの任意選択で置換された1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルもしくは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル部分またはその組合せを含む金属配位部分、反応性求電子試薬、脱保護用の酸および緩衝剤を含むキットであって、該金属配位部分が以下の構造の1つ
【化5】

(式中、nは、0、1または2であり、
mは0〜20であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネート、およびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されており、
各Dは、該金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキル、あるいは
【化6】

(式中、nは、0、1または2であり、
mは0〜12であり、mが0より大きい場合、各Aは、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトまたはチオで任意選択で置換されたC1〜20アルキルまたはアリールであり、
、X、X、XおよびXは、独立に、任意選択で置換されたメチレンであり、その置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
、Q、Q、QおよびQは、1−ヒドロキシフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、カルボキシル、ホスファネートおよびスルホネートからなる群から独立に選択され、(a)Q、Q、Q、QおよびQのうちの少なくとも1つは、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジルまたは4−チオール−6−ヒドロキシピリミジルであり、(b)Q、Q、QおよびQは各置換可能な炭素原子においてDで任意選択で置換されている)
からなる群から独立に選択され、
各Dは、該金属配位部分を生体指向性担体と連結するリンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトの1つまたは複数で任意選択で置換されたC1〜20アルキルからなる群から独立に選択される)
を含むキット。
【請求項29】
前記緩衝剤が、シトレート、ホスフェートおよびボレートからなる群から選択される請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記反応性求電子試薬が、活性尿素、活性エステルおよび活性アルキルハライドからなる群から選択される、請求項28または請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記金属配位部分、前記反応性求電子試薬、前記脱保護用の酸および前記緩衝剤が単位剤形中にある、請求項28から30のいずれかに記載のキット。
【請求項32】
放射性金属の溶液をさらに含む、請求項28から31のいずれかに記載のキット。
【請求項33】
前記放射性金属が、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される、請求項32に記載のキット。

【公表番号】特表2009−530294(P2009−530294A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500474(P2009−500474)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/006512
【国際公開番号】WO2007/106544
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(503102685)マリンクロット インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】