羽ばたき飛行体
【課題】 特殊な翼構成とすることで、この翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力の効率を向上させた羽ばたき飛行体を提供するものである。
【解決手段】 胴体1に左右一対の主翼10,20を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構30を備え、胴体後部に尾翼3を備え、上記主翼を外周枠骨10A,20Aで形成するとともに主翼の長手方向Aに直交し胴体1の長手方向Bに平行する支持骨11,21を外周枠骨の内側に多数架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体側として胴体の長手方向に揺動軸芯Oを合わせて支持し各子羽の自由端側が先端側の子羽に主翼の先端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となした羽ばたき飛行体100である。
【解決手段】 胴体1に左右一対の主翼10,20を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構30を備え、胴体後部に尾翼3を備え、上記主翼を外周枠骨10A,20Aで形成するとともに主翼の長手方向Aに直交し胴体1の長手方向Bに平行する支持骨11,21を外周枠骨の内側に多数架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体側として胴体の長手方向に揺動軸芯Oを合わせて支持し各子羽の自由端側が先端側の子羽に主翼の先端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となした羽ばたき飛行体100である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右両翼を羽ばたかせて飛行する飛行体に関し、特に、上下に羽ばたく形態が同一でも羽ばたき効率を向上させて大きな浮揚力が得られるように改良された新規な羽ばたき飛行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、おもちゃ用の単葉羽ばたき飛行機がヘリコプターに代わり人気があり、各種形式のものが提供されている。上記従来の単葉羽ばたき飛行機は、概ね体育館等の室内で飛ばすことを目的としたもので、その構成は、薄い翼面膜を羽ばたき翼とし、後支柱に固着された背骨や固定翼に接着して張設するものが一般的である。
【0003】
しかし、羽ばたき翼の背骨部が固定されていると、翼が打下ろす時に獲得する上昇量と打上げる時に生じる下降量の差が少なく、両者が相殺されると著しく上昇量が減少し上昇効率が悪くなる。そこで、羽ばたき翼の背骨部を非固定にすることによって従来の欠点を取り除き、より大きな上昇能力を確保して屋外でも楽しめるアウトドアの羽ばたき飛行機が提供されている。具体的には、羽ばたき翼面膜の中央後縁部に接着された適当な巾の主翼後縁材;該主翼後縁材の中央部と前支柱を接続する板バネ等の適当な弾力を有する背骨バネ;前記後縁材の両端からYの字に設置された後縁高調節糸;該後縁高調節糸を保持するために胴体上面に設けられた糸ガイドと糸ホルダーを有する羽ばたき飛行機である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、別の羽ばたき飛行機は、従来の羽ばたき飛行機では、羽ばたき翼が1対しか無い為、推力が小さい、ピッチングエネルギーのロスは大きい、左右の羽ばたきタイムラグから来る旋回エネルギーのロスも大きい、滑空性能が悪いといった諸欠点を解消したものである。その目的は、後2対の羽ばたき翼と一枚の駆動する尾翼を採用して飛行性能の飛躍的な向上を図るもので、それ等を駆動するに、一本の動力シャフト上に二つのスライダークランクを構築することと、その出力の伝達装置として天秤アームを装備することを以てする。又、滑空性能向上の為に、全翼を滑空最適角度に保持させる「動力シャフト停止装置」をその機首に設けたものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、別の羽ばたき飛行機は、迅速で安定的な旋回を成す遠隔調整飛行体の水平尾翼の旋回構造を提供するものである。前記水平尾翼の旋回構造は、胴体の上面に向かって配置されるサーボモーターと、前記サーボモーターの動力軸に結合される回転子と、前記回転子の上面に結合されるもので、その他端が前記水平尾翼と結合される連結部とを有する。これにより、前記水平尾翼は胴体の平面に対して回転させたものである(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】 特開2002−85860号
【特許文献2】 特開2000−317148号
【特許文献3】 特開2006−518246号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の羽ばたき飛行機となる特開2002−85860号は、羽ばたき翼面膜の中央後縁部に接着された適当な巾の主翼後縁材:該主翼後縁材の中央部と前支柱を接続する板バネ等の適当な弾力を有する背骨バネ:前記後縁材の両端からYの字に設置された後縁高調節糸:該後縁高調節糸を保持するために胴体上面に設けられた糸ガイドと糸ホルダーを有するものであるから、糸系の構成が複雑に絡み合い、効率の良い飛行や安定した飛行の為の各糸系の調節が微妙となるばかりか、糸系に伸縮や緩みを生じて長期間安定した性能が得られないと言う問題点が指摘される。
【0008】
また、別の羽ばたき飛行機となる特開2000−317148号は、2対の羽ばたき翼と一枚の駆動する尾翼を採用して飛行性能の飛躍的な向上を図ったものである。しかし、その駆動系は、一本の動力シャフト上に二つのスライダークランクを構築することと、その出力の伝達装置として天秤アームを装備することを以てする。又、滑空性能向上の為に、全翼を滑空最適角度に保持させる「動力シャフト停止装置」をその機首に設けたものであるから、駆動系が複雑となり、且つ機能別に複数組装備しなければならないと言う問題点が指摘される。
【0009】
また、別の羽ばたき飛行機となる特開2006−518246号は、迅速で安定的な旋回を成す遠隔調整飛行体の水平尾翼の旋回構造を提供するものであり、前記水平尾翼の旋回構造を、胴体の上面に向かって配置されるサーボモーターと、前記サーボモーターの動力軸に結合される回転子と、前記回転子の上面に結合されるもので、その他端が前記水平尾翼と結合される連結部とを有している。これにより、前記水平尾翼を胴体の平面に対して回転させるものである。しかし、サーボモーターの本体と回転子とを水平尾翼に配置したものであるから、本来軽量化を図りたい飛行機の尾翼が重たくなり、飛行機全体の重量バランスを取り難くしてしまい、飛行機の軽量化を妨げる要因になっていると言う問題点が指摘される。
【0010】
本発明者は、上記羽ばたき飛行体における各種の問題点や、ヘリコプターにおける欠点、とされる主ロータの先端が物体に触れると容易に分解して墜落するなどの大事故になる等の問題点に注目した。本発明者は、これらの問題点を解消すべく、長年の研究を重ね、野鳥が持つ左右一対の翼の構造とその機能を研究したところ、翼は1本の羽を沢山集めた集合体からなり、翼を振り下ろす時(浮揚力)に1本1本毎の羽が隙間無く重なり合った集合体の翼と成り、空気を効率良く掻き下ろし大きな浮揚力を発生させるとともに、振り下ろした翼を持ち上げる時は、1本1本毎の羽に隙間を作って空気抵抗を低減していることを発見した。そこで、本発明者はこの現象を人工的に再現出来ないかと研究を進めたところ、構成簡単にして鳥の翼に酷似した合理的な人工翼を開発することに成功した。しかして、本発明の目的は、特化された主翼構成とすることで、この主翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力の効率を向上させた羽ばたき飛行体を提供するものである。あわせて、主翼が少し損傷しても墜落しない羽ばたき飛行体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による羽ばたき飛行体は、胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に直交し胴体の長手方向に平行する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体側として胴体の長手方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が先端側の子羽に主翼の先端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2による羽ばたき飛行体は、胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に平行し胴体の長手方向に直交する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体の先端側として胴体と直交方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が後端側の子羽に主翼の後端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3による羽ばたき飛行体は、請求項1または2記載の羽ばたき飛行体おいて、上記尾翼は水平尾翼とし尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されることを特徴とするものである。
【0014】
すなわち、本発明の請求項1及び2の羽ばたき飛行体によると、まず、一対の翼は多数枚の子羽の集合体からなり、翼を振り下ろす時(浮揚力)に1本毎の子羽が隙間無く重なり合った集合体の翼と成り、空気を効率良く掻き下ろし大きな浮揚力を発生させるとともに、振り下ろした翼を持ち上げる時は、1本毎の子羽の自由端側が下方に垂れて隙間を作り、この隙間から空気が抜けて空気抵抗を低減させることができる。
【0015】
しかして、一対の翼の上下に羽ばたく形態が同一でも、振り下ろし時の浮揚力の効率を向上させられる。また、この羽ばたき飛行体は、一対の翼にだけ特別な構成を施すだけで良く、しかも飛行時には、特別な羽ばたき制御を必要としないから、操作性も極めてよい。
【0016】
また、請求項3の羽ばたき飛行体によると、上記尾翼は水平尾翼であり、この尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されるから、一対の翼による大きな浮揚力と相俟って、ホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑に行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の羽ばたき飛行体によると、一対の翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力の効率を向上できる。また、この羽ばたき飛行体は、水平尾翼の制御によりホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑にできる。更に、翼本体の以外に特別な構成と工夫を必要とせず飛行時の操作性が極めて良い上に、軽量・ローコストで故障等のトラブルが少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1乃至図11を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は羽ばたき飛行体の斜視図、図2は平面図、図3は駆動機構の平面図、図4は駆動機構の正面図、図5は羽ばたき飛行体の右側面図、図6〜図11は作用図である。
【0019】
本発明の羽ばたき飛行体100は、下記のように構成されている。まず、図1に示すように、胴体1には、左右一対の主翼10,20を持ち、この主翼10,20には、上下に羽ばたかせる為の駆動機構30(後記する)を持っている。そして、胴体後部2には、三角形状の水平尾翼3を持っている。上記主翼10,20は、外周枠骨10A,20Aで形成するとともに主翼の長手方向Aに直交し胴体1の長手方向Bに平行する支持骨11,21を外周枠骨10A,20Aの内側にこれよりもやや上方に突出させた状態で多数略等間隔に架絡させている。上記各支持骨11,21には翼紙により形成された各子羽(子翼とも言う)12,22の枢支側12A,22Aを胴体側として胴体1の長手方向Bに揺動軸芯Oを合わせて支持するとともに各子羽12,22の自由端側12B,22Bの先端が各子羽(子翼)12,22の枢支側12A,22Aに重なるように、主翼10,20の先端側10B,20Bに向けて下面側から所定の揺動力(翼紙や各子羽12,22の弾力により得られる反発力)で重合状態に閉塞され、1枚毎の子羽12,22を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたものである。尚、上記主翼10,20の横断面は、図7に示すように、主翼の中腹部10C,20Cが上方に湾曲した形状に製造されている。これで、図6と図7に示すように、翼の振り下ろし時に効率良く浮揚力FOを発生させられるとともに、水平滑空時にも浮力を得ることが出来る。また、図8と図9に示すように、翼の振り上げ時に効率良く翼に当る空気を逃がせられる。
【0020】
上記主翼10,20の駆動機構30の構成は、胴体1の骨棒1A,1Bに、左右一対の主翼10,20の外周枠骨10A,20Aの基端部aが枢支されており、上記外周枠骨10A,20Aの揺動軸bにリンクR1,R2が連結されている。上記リンクR1,R2の駆動側は、胴体1の骨棒1A,1Bに吊設した吊板5に取付けたモータM1のクランク部材Kの偏心ピンPに連結されている。上記クランク部材Kは小型モータM1により回転駆動されると、リンクR1,R2を介して左右一対の主翼10,20を上下に同速で羽ばたかせる。図6,7に示すように、主翼10,20を振り下げる時に、各子羽(子翼)12,22の自由端側12B,22Bが閉じられ、(浮揚力)FOを発生させる。また、図8,9に示すように、主翼10,20を振り上げる時に、各子羽(子翼)12,22の自由端側12B,22Bが開口されて、この隙間Gから空気Eが逃げて(浮揚力)FOを失わせない。尚、電源となる電池は小型モータM1と一体に装備されているが、図示を省略している。
【0021】
また、上記水平尾翼3の姿勢制御を行う駆動機構40の構成は、図5に示している。即ち、三角形状の水平尾翼3は、胴体1の骨棒1A,1Bの後端部に配置した二股フレーム41の支持ピンP2に回転軸Sを枢支された垂直姿勢制御モータM2の本体に付設されている。これで、垂直姿勢制御モータM2を胴体1の前後方向に揺動させると、水平尾翼3はこの尾端が下向き前後に揺動制御される。そして、上記二股フレーム41は、骨棒1A,1Bの後端部に設置した回動制御モータM3の回転軸に付設されており、この回動制御モータM3の左右回転により、水平尾翼3の尾端を左右回転させられる機構になっている。上記水平尾翼3の姿勢制御を行う駆動機構40と上記主翼10,20の駆動機構30との駆動制御回路は、図示しないが胴体1の骨棒1A,1Bに取り付けられていて、リモートコントロール(ラジコン)により、操縦者により遠隔操作される。
【0022】
続いて、上記羽ばたき飛行体100の作用を説明する。まず、図1,2に示すように、左右一対の主翼10,20は多数枚の各子羽(子翼)12,22の集合体からなり、図6,7に示すように、左右一対の翼を振り下ろす時に、1本毎の子羽12,22が隙間無く重なり合った集合体の翼と成り、空気を効率良く掻き下ろし大きな浮揚力FOを発生させる。また、図8,9に示すように、振り下ろした主翼10,20を持ち上げる時は、1本毎の子羽12,22の自由端側12B,22Bが下方に垂れて隙間Gを作り、この隙間から空気Eの流れとなって抜け、空気抵抗を低減させることができる。
【0023】
しかして、左右一対の主翼10,20は、上下に羽ばたく形態が同一でも、振り下ろし時に浮揚力FOを殺すことがなくなり、浮揚力FOの効率を向上させられる。また、この羽ばたき飛行体100は、一対の翼にだけ特別な構成を施すだけで良く、しかも飛行時には、羽ばたき機構の特別な制御を必要としないから、操作性も極めてよい。
【0024】
また、上記尾翼3は水平尾翼であり、この尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されるから、一対の主翼10,20による大きな浮揚力FOと相俟って、ホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑に行われる。即ち、ホバーリングは、図5に示すように水平尾翼を垂直に制御して行われるとともに、この状態で、羽ばたき飛行体100を上昇移動又は下降移動させられる。また、羽ばたき飛行体100の前進飛行は、図10に示すように、水平尾翼3を水平姿勢とし、胴体1を前傾姿勢とする事により行われる。この時に発生する浮揚力FOは、a/COSαとなり、水平推力はa×tanαとなる。更に、左右への旋回動は、図10に示すように、尾翼3を右にねじれば機体が左に傾き機首は左へ旋回し、尾翼3を左にねじれば機体が右に傾き機首は右へ旋回される。
【0025】
本発明の羽ばたき飛行体100の実施の形態によると、下記の効果が奏さられる。まず、一対の翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力FOの効率を向上できる。また、この羽ばたき飛行体100は、水平尾翼3の制御によりホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑にできる。更に、翼本体の以外に特別な構成と工夫を必要とせず飛行時の操作性が極めて良い上に、軽量・ローコストで故障等のトラブルが少なくできる。また、主翼10,20が少し損傷しても墜落しない羽ばたき飛行体が提供できる。
【0026】
尚、本発明の羽ばたき飛行体100は、上記第1の実施の形態における構成に限定されず、その考案の要旨内での設計変更が自由にできる。例えば、図12〜図18に示す第2の実施の形態の飛行体200ように、各子羽(子翼)12,22の枢支方向を胴体1の前後方向Bから左右方向Aに変更し、主翼10,20の前側を枢軸として各子羽(子翼)12,22が主翼10,20の上下動に連動して上下に羽ばたく構成としても良い。その構成は、胴体1に左右一対の主翼10,20を持ち、この主翼10,20を羽ばたかせる駆動機構30を持ち、胴体後部に尾翼3を持った羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨10A,20Aで形成するとともに主翼の長手方向Aに平行し胴体1の長手方向Bに直交する支持骨11,21を外周枠骨10A,20Aの内側に複数等間隔に架絡させ、上記各支持骨11,21には子羽12,22の枢支側を胴体の先端側として胴体と直交方向Aに揺動軸芯を合わせて支持するとともに子羽の自由端側が後端側の子羽に主翼の後端側に向けて下面側から所定の弾力による回動力で重合状態に閉塞させ、1枚毎の子羽を隙間無く重なり合った集合体の主翼となしたものである。その他の構成は、同一にて同一符号を附して説明を省略する。
【0027】
上記羽ばたき飛行体200は、上記のように構成され、上記第1の実施の形態と同様に、以下のように作用する。まず、図14と図15に示すように、主翼10,20は、上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力FOの効率を向上できる。更に、この羽ばたき飛行体200は、図16に示すように、前進する推進力が子羽群の羽ばたきにより積極的に得られるから、飛行機200を前傾させなくても水平姿勢のままで、前進する推進力が容易に得られる。そして、ホバーリングは、図17のように、水平尾翼3を機体軸芯に対してαの角度傾けることで、後傾姿勢となり静止状態にバランスして行われる。また、機首の左右旋回は、図18のように、尾翼3を左右にねじらせて制御される。しかして、主翼10,20以外に特別な構成と工夫を必要とせず、飛行時の操作性が極めて良い。
【0028】
上記羽ばたき飛行体200の実施の形態によると、下記の効果が奏さられる。まず、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他、この羽ばたき飛行体200は、前進する推進力が子羽群の羽ばたきにより積極的に得られるから、飛行機を前傾させなくても前進する推進力が胴体の水平姿勢のままでも容易に発生できる。また、主翼が少し損傷しても墜落しない羽ばたき飛行体が提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、その対象物を模型や玩具の羽ばたき飛行体の実施例で説明したものであるが、様々な形式の羽ばたき飛行体への適用が可能である。例えば、ヘリコプターに代わる無人飛行体としたもの、一人乗り有人飛行体への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の平面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態を示し、駆動機構の平面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態を示し、駆動機構の正面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の右側面図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用である。
【図7】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図11】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図12】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の斜視図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の平面図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の正面図である。
【図15】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の右側面図である。
【図16】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図17】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図18】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【符号の説明】
【0031】
1 胴体
1A,1B 骨棒
2 胴体後部
3 水平尾翼
5 吊板
10,20 主翼
10A,20A 外周枠骨
10B,20B 先端側
10C,20C 中腹部
11,21 支持骨
12,22 子羽(子翼とも言う)
12A,22A 枢支側
12B,22B 自由端側
30 駆動機構
40 姿勢制御を行う駆動機構
41 二股フレーム
A 主翼の長手方向
B 胴体の長手方向
a 基端部
b 揺動軸
G 隙間
E 空気
K クランク部材
R1,R2 リンク
FO 浮揚力
M1 モータ
M2 垂直姿勢制御モータ
M3 回動制御モータ
O 揺動軸芯
P2 支持ピン
P 偏心ピン
100,200 羽ばたき飛行体
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右両翼を羽ばたかせて飛行する飛行体に関し、特に、上下に羽ばたく形態が同一でも羽ばたき効率を向上させて大きな浮揚力が得られるように改良された新規な羽ばたき飛行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、おもちゃ用の単葉羽ばたき飛行機がヘリコプターに代わり人気があり、各種形式のものが提供されている。上記従来の単葉羽ばたき飛行機は、概ね体育館等の室内で飛ばすことを目的としたもので、その構成は、薄い翼面膜を羽ばたき翼とし、後支柱に固着された背骨や固定翼に接着して張設するものが一般的である。
【0003】
しかし、羽ばたき翼の背骨部が固定されていると、翼が打下ろす時に獲得する上昇量と打上げる時に生じる下降量の差が少なく、両者が相殺されると著しく上昇量が減少し上昇効率が悪くなる。そこで、羽ばたき翼の背骨部を非固定にすることによって従来の欠点を取り除き、より大きな上昇能力を確保して屋外でも楽しめるアウトドアの羽ばたき飛行機が提供されている。具体的には、羽ばたき翼面膜の中央後縁部に接着された適当な巾の主翼後縁材;該主翼後縁材の中央部と前支柱を接続する板バネ等の適当な弾力を有する背骨バネ;前記後縁材の両端からYの字に設置された後縁高調節糸;該後縁高調節糸を保持するために胴体上面に設けられた糸ガイドと糸ホルダーを有する羽ばたき飛行機である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、別の羽ばたき飛行機は、従来の羽ばたき飛行機では、羽ばたき翼が1対しか無い為、推力が小さい、ピッチングエネルギーのロスは大きい、左右の羽ばたきタイムラグから来る旋回エネルギーのロスも大きい、滑空性能が悪いといった諸欠点を解消したものである。その目的は、後2対の羽ばたき翼と一枚の駆動する尾翼を採用して飛行性能の飛躍的な向上を図るもので、それ等を駆動するに、一本の動力シャフト上に二つのスライダークランクを構築することと、その出力の伝達装置として天秤アームを装備することを以てする。又、滑空性能向上の為に、全翼を滑空最適角度に保持させる「動力シャフト停止装置」をその機首に設けたものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、別の羽ばたき飛行機は、迅速で安定的な旋回を成す遠隔調整飛行体の水平尾翼の旋回構造を提供するものである。前記水平尾翼の旋回構造は、胴体の上面に向かって配置されるサーボモーターと、前記サーボモーターの動力軸に結合される回転子と、前記回転子の上面に結合されるもので、その他端が前記水平尾翼と結合される連結部とを有する。これにより、前記水平尾翼は胴体の平面に対して回転させたものである(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】 特開2002−85860号
【特許文献2】 特開2000−317148号
【特許文献3】 特開2006−518246号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の羽ばたき飛行機となる特開2002−85860号は、羽ばたき翼面膜の中央後縁部に接着された適当な巾の主翼後縁材:該主翼後縁材の中央部と前支柱を接続する板バネ等の適当な弾力を有する背骨バネ:前記後縁材の両端からYの字に設置された後縁高調節糸:該後縁高調節糸を保持するために胴体上面に設けられた糸ガイドと糸ホルダーを有するものであるから、糸系の構成が複雑に絡み合い、効率の良い飛行や安定した飛行の為の各糸系の調節が微妙となるばかりか、糸系に伸縮や緩みを生じて長期間安定した性能が得られないと言う問題点が指摘される。
【0008】
また、別の羽ばたき飛行機となる特開2000−317148号は、2対の羽ばたき翼と一枚の駆動する尾翼を採用して飛行性能の飛躍的な向上を図ったものである。しかし、その駆動系は、一本の動力シャフト上に二つのスライダークランクを構築することと、その出力の伝達装置として天秤アームを装備することを以てする。又、滑空性能向上の為に、全翼を滑空最適角度に保持させる「動力シャフト停止装置」をその機首に設けたものであるから、駆動系が複雑となり、且つ機能別に複数組装備しなければならないと言う問題点が指摘される。
【0009】
また、別の羽ばたき飛行機となる特開2006−518246号は、迅速で安定的な旋回を成す遠隔調整飛行体の水平尾翼の旋回構造を提供するものであり、前記水平尾翼の旋回構造を、胴体の上面に向かって配置されるサーボモーターと、前記サーボモーターの動力軸に結合される回転子と、前記回転子の上面に結合されるもので、その他端が前記水平尾翼と結合される連結部とを有している。これにより、前記水平尾翼を胴体の平面に対して回転させるものである。しかし、サーボモーターの本体と回転子とを水平尾翼に配置したものであるから、本来軽量化を図りたい飛行機の尾翼が重たくなり、飛行機全体の重量バランスを取り難くしてしまい、飛行機の軽量化を妨げる要因になっていると言う問題点が指摘される。
【0010】
本発明者は、上記羽ばたき飛行体における各種の問題点や、ヘリコプターにおける欠点、とされる主ロータの先端が物体に触れると容易に分解して墜落するなどの大事故になる等の問題点に注目した。本発明者は、これらの問題点を解消すべく、長年の研究を重ね、野鳥が持つ左右一対の翼の構造とその機能を研究したところ、翼は1本の羽を沢山集めた集合体からなり、翼を振り下ろす時(浮揚力)に1本1本毎の羽が隙間無く重なり合った集合体の翼と成り、空気を効率良く掻き下ろし大きな浮揚力を発生させるとともに、振り下ろした翼を持ち上げる時は、1本1本毎の羽に隙間を作って空気抵抗を低減していることを発見した。そこで、本発明者はこの現象を人工的に再現出来ないかと研究を進めたところ、構成簡単にして鳥の翼に酷似した合理的な人工翼を開発することに成功した。しかして、本発明の目的は、特化された主翼構成とすることで、この主翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力の効率を向上させた羽ばたき飛行体を提供するものである。あわせて、主翼が少し損傷しても墜落しない羽ばたき飛行体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による羽ばたき飛行体は、胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に直交し胴体の長手方向に平行する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体側として胴体の長手方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が先端側の子羽に主翼の先端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2による羽ばたき飛行体は、胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に平行し胴体の長手方向に直交する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体の先端側として胴体と直交方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が後端側の子羽に主翼の後端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3による羽ばたき飛行体は、請求項1または2記載の羽ばたき飛行体おいて、上記尾翼は水平尾翼とし尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されることを特徴とするものである。
【0014】
すなわち、本発明の請求項1及び2の羽ばたき飛行体によると、まず、一対の翼は多数枚の子羽の集合体からなり、翼を振り下ろす時(浮揚力)に1本毎の子羽が隙間無く重なり合った集合体の翼と成り、空気を効率良く掻き下ろし大きな浮揚力を発生させるとともに、振り下ろした翼を持ち上げる時は、1本毎の子羽の自由端側が下方に垂れて隙間を作り、この隙間から空気が抜けて空気抵抗を低減させることができる。
【0015】
しかして、一対の翼の上下に羽ばたく形態が同一でも、振り下ろし時の浮揚力の効率を向上させられる。また、この羽ばたき飛行体は、一対の翼にだけ特別な構成を施すだけで良く、しかも飛行時には、特別な羽ばたき制御を必要としないから、操作性も極めてよい。
【0016】
また、請求項3の羽ばたき飛行体によると、上記尾翼は水平尾翼であり、この尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されるから、一対の翼による大きな浮揚力と相俟って、ホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑に行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の羽ばたき飛行体によると、一対の翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力の効率を向上できる。また、この羽ばたき飛行体は、水平尾翼の制御によりホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑にできる。更に、翼本体の以外に特別な構成と工夫を必要とせず飛行時の操作性が極めて良い上に、軽量・ローコストで故障等のトラブルが少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1乃至図11を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は羽ばたき飛行体の斜視図、図2は平面図、図3は駆動機構の平面図、図4は駆動機構の正面図、図5は羽ばたき飛行体の右側面図、図6〜図11は作用図である。
【0019】
本発明の羽ばたき飛行体100は、下記のように構成されている。まず、図1に示すように、胴体1には、左右一対の主翼10,20を持ち、この主翼10,20には、上下に羽ばたかせる為の駆動機構30(後記する)を持っている。そして、胴体後部2には、三角形状の水平尾翼3を持っている。上記主翼10,20は、外周枠骨10A,20Aで形成するとともに主翼の長手方向Aに直交し胴体1の長手方向Bに平行する支持骨11,21を外周枠骨10A,20Aの内側にこれよりもやや上方に突出させた状態で多数略等間隔に架絡させている。上記各支持骨11,21には翼紙により形成された各子羽(子翼とも言う)12,22の枢支側12A,22Aを胴体側として胴体1の長手方向Bに揺動軸芯Oを合わせて支持するとともに各子羽12,22の自由端側12B,22Bの先端が各子羽(子翼)12,22の枢支側12A,22Aに重なるように、主翼10,20の先端側10B,20Bに向けて下面側から所定の揺動力(翼紙や各子羽12,22の弾力により得られる反発力)で重合状態に閉塞され、1枚毎の子羽12,22を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたものである。尚、上記主翼10,20の横断面は、図7に示すように、主翼の中腹部10C,20Cが上方に湾曲した形状に製造されている。これで、図6と図7に示すように、翼の振り下ろし時に効率良く浮揚力FOを発生させられるとともに、水平滑空時にも浮力を得ることが出来る。また、図8と図9に示すように、翼の振り上げ時に効率良く翼に当る空気を逃がせられる。
【0020】
上記主翼10,20の駆動機構30の構成は、胴体1の骨棒1A,1Bに、左右一対の主翼10,20の外周枠骨10A,20Aの基端部aが枢支されており、上記外周枠骨10A,20Aの揺動軸bにリンクR1,R2が連結されている。上記リンクR1,R2の駆動側は、胴体1の骨棒1A,1Bに吊設した吊板5に取付けたモータM1のクランク部材Kの偏心ピンPに連結されている。上記クランク部材Kは小型モータM1により回転駆動されると、リンクR1,R2を介して左右一対の主翼10,20を上下に同速で羽ばたかせる。図6,7に示すように、主翼10,20を振り下げる時に、各子羽(子翼)12,22の自由端側12B,22Bが閉じられ、(浮揚力)FOを発生させる。また、図8,9に示すように、主翼10,20を振り上げる時に、各子羽(子翼)12,22の自由端側12B,22Bが開口されて、この隙間Gから空気Eが逃げて(浮揚力)FOを失わせない。尚、電源となる電池は小型モータM1と一体に装備されているが、図示を省略している。
【0021】
また、上記水平尾翼3の姿勢制御を行う駆動機構40の構成は、図5に示している。即ち、三角形状の水平尾翼3は、胴体1の骨棒1A,1Bの後端部に配置した二股フレーム41の支持ピンP2に回転軸Sを枢支された垂直姿勢制御モータM2の本体に付設されている。これで、垂直姿勢制御モータM2を胴体1の前後方向に揺動させると、水平尾翼3はこの尾端が下向き前後に揺動制御される。そして、上記二股フレーム41は、骨棒1A,1Bの後端部に設置した回動制御モータM3の回転軸に付設されており、この回動制御モータM3の左右回転により、水平尾翼3の尾端を左右回転させられる機構になっている。上記水平尾翼3の姿勢制御を行う駆動機構40と上記主翼10,20の駆動機構30との駆動制御回路は、図示しないが胴体1の骨棒1A,1Bに取り付けられていて、リモートコントロール(ラジコン)により、操縦者により遠隔操作される。
【0022】
続いて、上記羽ばたき飛行体100の作用を説明する。まず、図1,2に示すように、左右一対の主翼10,20は多数枚の各子羽(子翼)12,22の集合体からなり、図6,7に示すように、左右一対の翼を振り下ろす時に、1本毎の子羽12,22が隙間無く重なり合った集合体の翼と成り、空気を効率良く掻き下ろし大きな浮揚力FOを発生させる。また、図8,9に示すように、振り下ろした主翼10,20を持ち上げる時は、1本毎の子羽12,22の自由端側12B,22Bが下方に垂れて隙間Gを作り、この隙間から空気Eの流れとなって抜け、空気抵抗を低減させることができる。
【0023】
しかして、左右一対の主翼10,20は、上下に羽ばたく形態が同一でも、振り下ろし時に浮揚力FOを殺すことがなくなり、浮揚力FOの効率を向上させられる。また、この羽ばたき飛行体100は、一対の翼にだけ特別な構成を施すだけで良く、しかも飛行時には、羽ばたき機構の特別な制御を必要としないから、操作性も極めてよい。
【0024】
また、上記尾翼3は水平尾翼であり、この尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されるから、一対の主翼10,20による大きな浮揚力FOと相俟って、ホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑に行われる。即ち、ホバーリングは、図5に示すように水平尾翼を垂直に制御して行われるとともに、この状態で、羽ばたき飛行体100を上昇移動又は下降移動させられる。また、羽ばたき飛行体100の前進飛行は、図10に示すように、水平尾翼3を水平姿勢とし、胴体1を前傾姿勢とする事により行われる。この時に発生する浮揚力FOは、a/COSαとなり、水平推力はa×tanαとなる。更に、左右への旋回動は、図10に示すように、尾翼3を右にねじれば機体が左に傾き機首は左へ旋回し、尾翼3を左にねじれば機体が右に傾き機首は右へ旋回される。
【0025】
本発明の羽ばたき飛行体100の実施の形態によると、下記の効果が奏さられる。まず、一対の翼の上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力FOの効率を向上できる。また、この羽ばたき飛行体100は、水平尾翼3の制御によりホバーリングや前進移動や左右の旋回移動が円滑にできる。更に、翼本体の以外に特別な構成と工夫を必要とせず飛行時の操作性が極めて良い上に、軽量・ローコストで故障等のトラブルが少なくできる。また、主翼10,20が少し損傷しても墜落しない羽ばたき飛行体が提供できる。
【0026】
尚、本発明の羽ばたき飛行体100は、上記第1の実施の形態における構成に限定されず、その考案の要旨内での設計変更が自由にできる。例えば、図12〜図18に示す第2の実施の形態の飛行体200ように、各子羽(子翼)12,22の枢支方向を胴体1の前後方向Bから左右方向Aに変更し、主翼10,20の前側を枢軸として各子羽(子翼)12,22が主翼10,20の上下動に連動して上下に羽ばたく構成としても良い。その構成は、胴体1に左右一対の主翼10,20を持ち、この主翼10,20を羽ばたかせる駆動機構30を持ち、胴体後部に尾翼3を持った羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨10A,20Aで形成するとともに主翼の長手方向Aに平行し胴体1の長手方向Bに直交する支持骨11,21を外周枠骨10A,20Aの内側に複数等間隔に架絡させ、上記各支持骨11,21には子羽12,22の枢支側を胴体の先端側として胴体と直交方向Aに揺動軸芯を合わせて支持するとともに子羽の自由端側が後端側の子羽に主翼の後端側に向けて下面側から所定の弾力による回動力で重合状態に閉塞させ、1枚毎の子羽を隙間無く重なり合った集合体の主翼となしたものである。その他の構成は、同一にて同一符号を附して説明を省略する。
【0027】
上記羽ばたき飛行体200は、上記のように構成され、上記第1の実施の形態と同様に、以下のように作用する。まず、図14と図15に示すように、主翼10,20は、上下に羽ばたく形態が同一でも振り下ろし時の浮揚力FOの効率を向上できる。更に、この羽ばたき飛行体200は、図16に示すように、前進する推進力が子羽群の羽ばたきにより積極的に得られるから、飛行機200を前傾させなくても水平姿勢のままで、前進する推進力が容易に得られる。そして、ホバーリングは、図17のように、水平尾翼3を機体軸芯に対してαの角度傾けることで、後傾姿勢となり静止状態にバランスして行われる。また、機首の左右旋回は、図18のように、尾翼3を左右にねじらせて制御される。しかして、主翼10,20以外に特別な構成と工夫を必要とせず、飛行時の操作性が極めて良い。
【0028】
上記羽ばたき飛行体200の実施の形態によると、下記の効果が奏さられる。まず、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他、この羽ばたき飛行体200は、前進する推進力が子羽群の羽ばたきにより積極的に得られるから、飛行機を前傾させなくても前進する推進力が胴体の水平姿勢のままでも容易に発生できる。また、主翼が少し損傷しても墜落しない羽ばたき飛行体が提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、その対象物を模型や玩具の羽ばたき飛行体の実施例で説明したものであるが、様々な形式の羽ばたき飛行体への適用が可能である。例えば、ヘリコプターに代わる無人飛行体としたもの、一人乗り有人飛行体への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の平面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態を示し、駆動機構の平面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態を示し、駆動機構の正面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の右側面図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用である。
【図7】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図11】 本発明の第1の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図12】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の斜視図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の平面図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の正面図である。
【図15】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の右側面図である。
【図16】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図17】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【図18】 本発明の第2の実施の形態を示し、羽ばたき飛行体の作用図である。
【符号の説明】
【0031】
1 胴体
1A,1B 骨棒
2 胴体後部
3 水平尾翼
5 吊板
10,20 主翼
10A,20A 外周枠骨
10B,20B 先端側
10C,20C 中腹部
11,21 支持骨
12,22 子羽(子翼とも言う)
12A,22A 枢支側
12B,22B 自由端側
30 駆動機構
40 姿勢制御を行う駆動機構
41 二股フレーム
A 主翼の長手方向
B 胴体の長手方向
a 基端部
b 揺動軸
G 隙間
E 空気
K クランク部材
R1,R2 リンク
FO 浮揚力
M1 モータ
M2 垂直姿勢制御モータ
M3 回動制御モータ
O 揺動軸芯
P2 支持ピン
P 偏心ピン
100,200 羽ばたき飛行体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に直交し胴体の長手方向に平行する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体側として胴体の長手方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が先端側の子羽に主翼の先端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とする羽ばたき飛行体。
【請求項2】
胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に平行し胴体の長手方向に直交する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体の先端側として胴体と直交方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が後端側の子羽に主翼の後端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とする羽ばたき飛行体。
【請求項3】
請求項1または2記載の羽ばたき飛行体において、上記尾翼は水平尾翼とし尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されることを特徴とする羽ばたき飛行体。
【請求項1】
胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に直交し胴体の長手方向に平行する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体側として胴体の長手方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が先端側の子羽に主翼の先端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とする羽ばたき飛行体。
【請求項2】
胴体に左右一対の主翼を備え、この主翼を羽ばたかせる駆動機構を備え、胴体後部に尾翼を備えた羽ばたき飛行体において、上記主翼を外周枠骨で形成するとともに主翼の長手方向に平行し胴体の長手方向に直交する支持骨を外周枠骨の内側に多数略等間隔に架絡させ、上記各支持骨には子羽の枢支側を胴体の先端側として胴体と直交方向に揺動軸芯を合わせて支持するとともに各子羽の自由端側が後端側の子羽に主翼の後端側に向けて下面側から重合状態に閉塞させ、各子羽を隙間無く重なり合った集合体の翼となしたことを特徴とする羽ばたき飛行体。
【請求項3】
請求項1または2記載の羽ばたき飛行体において、上記尾翼は水平尾翼とし尾端が下向き前後に揺動制御されるとともに左右に回動制御されることを特徴とする羽ばたき飛行体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−45406(P2009−45406A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237251(P2007−237251)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(592005870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(592005870)
【Fターム(参考)】
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