説明

耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム

【課題】 ポリウレタン樹脂組成物をフィルム化し、一度巻き取りを行った後、巻き取ったフィルムを展開し、次の加工工程に移行する際にブロッキングが生じず、作業性が改善され、且つソフトで風合いの良好なポリウレタンフィルムを提供する。
【解決手段】 イソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140のポリオール(a)と水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000のポリオール(b)とジイソシアネート(c)から得られるポリウレタン樹脂(A)、湿式法シリカ(B)、脂肪酸アミド(C)を必須成分とし、(A)の固形分100部に対して(B)の含有量が5〜30部であり、(C)の含有量が0.01〜3部であり、且つ(A)の固形分100部に対する湿式法シリカ(B)の含有量と、脂肪酸アミド(C)の含有量の10倍値との和(X)が、10〜30の範囲であるポリウレタン樹脂組成物を用いてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐ブロッキング性に優れる新規なポリウレタンフィルムに関する。
更に詳しくは、ポリウレタン樹脂組成物をフィルム化し、一度巻き取りを行った後、その巻き取ったフィルムを展開し、次の加工工程に移行する際にブロッキングが生じず、耐ブロッキング性に優れることにより作業性が改善され、且つソフトで風合いの良好なポリウレタンフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタン樹脂は、機械的強度や弾性などの優れた特性を有することから、例えば接着剤、成形材料、合成皮革、人工皮革、表面処理剤、塗料、フィルム、あるいはシートなど広範囲の用途に利用されてきた。
特にポリウレタン樹脂をフィルム化した場合、ポリウレタン樹脂に特有の優れた弾性により、心地良い感触とソフトな風合いが得られることから、近年、主に繊維製品やシート等の接着加工に用いられてきた。
【0003】
従来の方法で製造されるポリウレタンフィルムには、通常、チキソ性を付与したり、コストダウン等の目的でシリカ等の無機充填剤を配合している場合が多いが、無機充填剤の配合量が多過ぎると風合いが硬いものとなり、逆に、配合量が少な過ぎるとフィルムがブロッキングしやすくなり、生産中のトラブル発生の原因となっていた。
【0004】
かかる問題を解決するために幾つかの提案がなされてきたが、何れも満足できるまでには到らなかった。
例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、可塑剤、微粉末合成シリカ、及びその他の添加剤を混合し、溶剤に溶かして均一溶液もしくは分散液とし、又は加熱下に混練して均一の組成物とした上でフィルムに成形し、煮沸水又は水蒸気中で加熱した後、急冷処理する熱可塑性ポリウレタン樹脂製フィルム(例えば、特許文献1。)が提案されている。
しかしながら、かかる熱可塑性ポリウレタン樹脂製フィルムは、微粉末合成シリカを使用しているが、各材料成分間の相溶性向上を目的としたものであり、耐ブロッキング性、及びソフトな風合いなどの性能は未だ不充分であり、実用上満足できるものではなかった。
以上のように、優れた耐ブロッキング性、及びソフトな風合いを併せ持つ、ポリウレタンフィルムは、未だ開発されていないのが実情であった。
【0005】
【特許文献1】特開平5―239235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ポリウレタン樹脂組成物をフィルム化し、一度巻き取りを行った後、その巻き取ったフィルムを展開し、次の加工工程に移行する際にブロッキングが生じず、耐ブロッキング性に優れることにより作業性が改善され、且つソフトで風合いの良好なポリウレタンフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリウレタン樹脂(A)と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)を必須の構成成分とするポリウレタン樹脂組成物により、耐ブロッキング性、及びソフトな風合い、などの優れた性能を共に有するポリウレタンフィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)と、分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000の範囲のポリオール(b)と、ジイソシアネート(c)から得られるポリウレタン樹脂(A)と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)を必須の構成成分としてなり、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対して、前記湿式法シリカ(B)の含有量が5〜30部の範囲であり、前記脂肪酸アミド(C)の含有量が0.01〜3部の範囲であり、且つポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対する湿式法シリカ(B)の含有量と、脂肪酸アミド(C)の含有量の10倍値との和(X)が、10〜30の範囲であるポリウレタン樹脂組成物を用いてなることを特徴とする耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリウレタンフィルムは、特定のポリウレタン樹脂(A)と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)とを必須の構成成分としてなるポリウレタン樹脂組成物を用いてなる耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムである。前記ポリウレタン樹脂(A)に対する前記湿式法シリカ(B)及び前記脂肪酸アミド(C)の含有量を特定の範囲とすることにより、その相乗効果によって、フィルム化し、一度巻き取りを行った後、該フィルムを展開し、次の加工工程に移る際にブロッキングが生じず、耐ブロッキング性に優れることにより作業性が改善され、且つソフトで良好な風合いを発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を以下に述べる。
本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムとは、ポリウレタン樹脂(A)の少なくとも一種と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)を必須の構成成分としてなるポリウレタン樹脂組成物を用いてなるものである。
更に、目的に応じて、分子内にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート(D)を併用したポリウレタン樹脂組成物を用いてもよい。
【0011】
先ず、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムの製造に用いる、ポリウレタン樹脂組成物の必須の構成成分について、以下に説明する。
本発明で用いるポリウレタン樹脂(A)とは、分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)と、分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000の範囲のポリオール(b)と、ジイソシアネート(c)を用いてなり、従来公知の反応方法により得ることができ、特に限定しない。
【0012】
本発明で用いるポリウレタン樹脂(A)の合成原料として用いる、イソシアネート基反応性化合物としては、分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)、及び分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000のポリオール(b)を必須として用い、更に目的に応じて、アルカノールアミン及びポリアミンの中から選ばれる少なくとも一つを併用してもよい。前記ポリオール(a)及び前記ポリオール(b)との併用により、柔軟性と強靱性を兼ね備える優れた性能のポリウレタンフィルムを得ることができる。
【0013】
前記ポリウレタン樹脂(A)の合成原料の一つである、分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)、及びアルカノールアミン、あるいはポリアミンとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグリコシドなどのポリオール、あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−ブチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、あるいはエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’−ジアミノピペラジン、2−メチルピペラジン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ジアミノベンゼン、ジフェニルメタンジアミン、メチレンビスジクロロアニリンなどのポリアミンの1種又は2種以上の混合物などが挙げられる。これら化合物の中で、好ましくはグリコール類であり、より好ましくは直鎖グリコールであり、特に好ましくは1,4−ブタンジオールである。
【0014】
前記ポリウレタン樹脂(A)の合成原料の一つである、分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)と、目的に応じて選択されるアルカノールアミン及びポリアミンから選ばれる少なくとも一つとの、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部中の含有量は好ましくは1〜15部の範囲である。前記ポリウレタン樹脂(A)が、前記ポリオール(a)をかかる範囲で含有すれば、優れた強靱性と耐熱性を有するポリウレタンフィルムを得ることができる。
【0015】
また、前記ポリウレタン樹脂(A)の合成原料の一つである、分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000の範囲のポリオール(b)としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、及びこれらの混合物などが挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記ポリエステルポリオールとしては、特に限定しないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトオール、ソルビトール、メチルグリコシドなどの多価アルコールの1種又は2種以上と、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの多塩基酸あるいはメチルエステル化合物などの低級アルキルエステルあるいは酸無水物の1種又は2種以上との縮合物などが挙げられる。
また、前記ポリオールを開始剤とするγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどの開環重合体やポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオールなども挙げられる。
【0017】
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定しないが、例えば、前記ポリオール及びポリアミンの1種又は2種以上を開始剤とするエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどの単独あるいは2種以上の開環重合体などが挙げられる。
【0018】
前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、特に限定しないが、例えば、前記ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの1種又は2種以上から選ばれるポリオールの共重合体などが挙げられる。
【0019】
前記ポリウレタン樹脂(A)の合成原料の一つである、分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000の範囲のポリオール(b)の、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部中の含有量は、好ましくは40〜80部の範囲である。前記ポリウレタン樹脂(A)が、前記ポリオール(b)をかかる範囲で含有すれば、優れた柔軟性を有するフィルム材料を得ることができる。
【0020】
また、前記ポリウレタン樹脂(A)の合成原料で一つあるジイソシアネート(c)は、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムが、高強度、高耐熱性となる点から、脂環式ジイソシアネート及び/又は芳香族ジイソシアネートが好ましく、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、あるいはシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類、あるいはキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族環にメチレン基を介してイソシアネート基が結合しているジイソシアネート類でもよく、これらの1種又は2種以上の混合物も使用できる。
【0021】
前記ポリウレタン樹脂(A)固形分中のジイソシアネート構成単位の含有率は、好ましくは10〜40質量%の範囲である。前記ポリウレタン樹脂(A)が、ジイソシアネート構成単位をかかる範囲で含有すれば、優れた強靱性と耐熱性を有するフィルム材料を得ることができる。
【0022】
前記ポリウレタン樹脂(A)は、分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)と、分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000の範囲のポリオール(b)と、ジイソシアネート(c)〔好ましくは脂環式ジイソシアネート及び/又は芳香族ジイソシアネート〕から得られ、ジイソシアネート構成単位の含有率が10〜40質量%の範囲であって、これら化合物を原料に公知慣用の方法で反応させ得ることができる。
【0023】
反応方法としては、例えば、溶液反応、非水ディスパージョン反応、水性ディスパージョン反応など各種の方法が採用でき、特に限定しないが、これらの中でも、反応を制御し易い点で溶液反応が好ましい。
前記溶液反応の方法としては、例えば、反応を阻害しない溶剤でポリオール(b)を希釈し、次いでポリオール(a)と、目的に応じてアルカノールアミン及びポリアミンの中から選ばれる少なくとも一つを併用し、イソシアネートを加えて、適切な反応条件(例えば、80℃で3時間反応など。)にて反応させて、ポリウレタン樹脂(A)の溶液を得る方法などが挙げられるが、特にこれに限定するものではない。
【0024】
また、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムに用いる、ポリウレタン樹脂組成物の主成分であるポリウレタン樹脂(A)以外に使用可能なその他の樹脂としては、本発明の目的を阻害しない樹脂であれば特に限定せず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、ロジンエステル等が挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記ポリウレタン樹脂(A)を製造する際に用いる溶剤としては、反応を阻害しない溶剤であればよく、特に限定しないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;あるいはアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;あるいはメチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエーテルエステル系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられ、これらの製造時の溶剤は単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)を製造する際の溶剤の使用量は、反応を阻害しない範囲であれば、特に限定しない。
【0026】
本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムは、上記の如き、優れた耐ブロッキング性とソフトな風合いを共に有しているので、前記ポリウレタン樹脂組成物をフィルム化し、一度巻き取りを行った後、該フィルムを展開し、次の加工工程に移る際に、ブロッキングが発生せず、生産面及び品質面でのトラブルも起こらず、且つ肌触りの良好な製品を得ることができる。
【0027】
次いで、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムに用いるポリウレタン樹脂組成物の必須の構成成分である、湿式法シリカ(B)について、以下に説明する。
一般に合成シリカは、湿式法シリカと乾式法シリカに分類される。
湿式法シリカは、ケイ酸ソーダと硫酸を混合し、ケイ酸ゾルを生成させたものである。湿式法シリカには2種類あり、一つは、ケイ酸ゾルの一次粒子を形成した後、三次元的な二次凝集体を形成しゲル化させ、これを粉砕したものであり「ゲル法シリカ」と呼ばれ、平均粒子径が通常2〜5μmの範囲である。もう一つは、ケイ酸ゾルの二次凝集体の成長を止め、沈降したもので、「沈降法シリカ」と呼ばれ、平均粒子径が0.1μm以下のものである。一方、乾式法シリカは、気層中で燃焼加水分解して作るものであり、平均粒子径が0.1μm以下である。
【0028】
本発明の耐ブロッキングに優れるポリウレタンフィルムに用いるシリカとしては、湿式法シリカ(B)が好ましく、その中でも平均粒子径が2〜5μmの範囲のゲル法シリカがより好ましい。前記湿式法シリカ(B)の平均粒子径がかかる範囲にあれば、本発明の耐熱性ポリウレタンフィルムを巻き取り工程において、優れたブロッキング防止効果を発揮し、生産工程でのトラブル防止に極めて有効である。
【0029】
前記湿式法シリカ(B)の含有量は、ポリウレタン樹脂(A)100部に対して、好ましくは5〜30部の範囲であり、より好ましくは7〜20部の範囲である。前記ポリウレタンフィルムが湿式法シリカ(B)をかかる範囲で含有すれば、前記フィルムの巻き取り時のブロッキング防止に優れた効果を発揮しフィルムの生産性が向上し、商品価値の高い耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムを得ることができる。
【0030】
次に、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムに用いるポリウレタン樹脂組成物の必須の構成成分である脂肪酸アミド(C)について、以下に説明する。
前記脂肪酸アミド(C)とは、
(a)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のモノ脂肪酸アミド、
(b)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のアルキレンビス脂肪酸アミド、
(c)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のジアルキルアジピン酸アミド又はジアルケニルアジピン酸アミド、
(d)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のN−アルキル置換モノ脂肪酸アミド、及び、
(e)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のメチロールモノ脂肪酸アミド、
の上記(a)〜(e)で構成される群より選ばれる少なくとも一つである。
【0031】
前記脂肪酸アミド(C)とは、好ましくは、
(a)ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等のモノ脂肪酸アミド、
(b)メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のアルキレンビス脂肪酸アミド、
(c)ジステアリルアジピン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アマイド等のジアルキルアジピン酸アミド又はジアルケニルアジピン酸アミド、
(d)N−ステアリルステアリン酸アミド等のN−アルキル置換モノ脂肪酸アミド及び、
(e)メチロールステアリン酸アミド等のメチロールモノ脂肪酸アミド、
の(a)〜(e)で構成される群より選ばれる少なくとも一つである。
【0032】
前記脂肪酸アミド(C)の中でも、エチレンビスオレイン酸アミドが、耐ブロッキング性をはじめとして、耐熱性及び耐洗濯性などの優れた性能を付与できる点からより好ましい。
【0033】
本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムに用いられる、ポリウレタン樹脂組成物において、前記脂肪酸アミド(C)の配合量は、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対して、好ましくは0.01〜3部の範囲であり、より好ましくは0.03〜3質量部の範囲である。前記ポリウレタン樹脂(A)の固形分に対する、脂肪酸アミド(C)の配合量がかかる範囲であれば、優れた耐ブロッキング性を有するポリウレタンフィルムを得ることができる。
【0034】
更に、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムに用いられるポリウレタン樹脂組成物において、ポリウレタン樹脂(A)中の湿式法シリカ(B)と脂肪酸アミド(C)との含有量の関係がその性能上重要である。
即ち、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムでは、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対する湿式法シリカ(B)の含有量と、脂肪酸アミド(C)の含有量の10倍値との和(X)が、10〜30の範囲であるポリウレタン樹脂組成物を用いることが好ましい。
湿式法シリカ(B)の含有量が多い場合、耐ブロッキング性は良好であるが、風合いが硬いものとなり、逆に少ない場合、風合いがソフトで良好となるが、耐ブロッキング性に劣るものとなる。一方、脂肪酸アミド(C)が多い場合、耐ブロッキング性は良好となるが、表面にベトツキ感が生じ、ブリードアウトの問題が生じやすく、逆に少ない場合は、耐ブロッキング性に劣るものとなる。
しかしながら、本発明では、湿式法シリカ(B)の含有量と、脂肪酸アミド(C)の含有量の10倍値との和(X)をかかる範囲とすることにより、上記の如く良好な領域の相乗効果により、優れた耐ブロッキング性及びソフトな風合いを得ることができる。
前記ポリウレタン樹脂組成物をフィルム化し、一度巻き取りを行った後、該フィルムを展開し、次の加工工程に移る際に、ブロッキングも起こらず生産性に優れ、且つ肌触りも良好で良好な風合いの製品となり、更に脂肪酸アミドのブリードアウトもなく、接着不良を起こさずに優れた接着性を保持できる。
【0035】
更に、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムに用いるポリウレタン樹脂組成物には、架橋剤として、分子内にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート(D)を配合することができる。
前記ポリイソシアネート(D)としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族環にメチレン基を介してイソシアネート基が結合しているジイソシアネート、などより得られるトリメチロールプロパンアダクト、ビュレット、又はイソシアヌレート、からなる群より選ばれる少なくとも一つが好ましく、これらポリイソシアネートの中でも、耐熱性、耐候性、耐水性、及び耐薬品性などの性能を一層向上可能な点から、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(XDI−TMP)がより好ましい。
【0036】
前記ポリイソシアネート(D)の含有量は、ポリウレタン樹脂(A)100部に対して、好ましくは5〜30部の範囲である。前記ポリウレタンフィルムが、ポリイソシアネート(D)をかかる範囲で含有すれば、例えば、ホットメルト層と多層化する際に、ホットメルト層が溶融し得る温度条件でも、該フィルムは溶融又は熱劣化せず優れた耐熱性を堅持し、且つ優れた耐候性、耐水性、及び耐薬品性をも有し、高品質で付加価値の高いフィルム材料を得ることができる。
【0037】
更に、本発明の耐ブロッキング性ポリウレタンフィルムに用いるポリウレタン樹脂組成物には、例えば、顔料、染料、レベリング剤、安定剤、充填剤などの各種添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で単独もしくは2種以上を配合することができる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物に用いる顔料としては、公知慣用のものを用いることができ、例えば酸化チタン、カーボンブラックなどが挙げられる。
また、前記染料としては、特に制限しないが、例えばアゾ染料、アントラキノン染料などが挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物に用いる顔料及び染料は、本発明の目的を阻害しない範囲の配合量で用いることができるが、通常は、ポリウレタン樹脂(A)100部に対して、好ましくは1〜40部の範囲であり、その配合量の範囲で用途に応じた色目に調整することができる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物において、例えば、酸化チタンを用いて、配合量をポリウレタン樹脂(A)100部に対して好ましくは1〜40部の範囲に設定するならば、得られるフィルムをホットメルト層と多層化して用いた場合に優れた隠蔽性を得ることができる。
【0038】
前記レべリング剤としては、公知慣用のものを用いることができ、特に限定しないが、例えばアクリル系重合物、アクリルポリマーのアミン塩、珪素化合物、高級アルコール、ビニル系重合物、及びシリコ−ンなどが挙げられ、これらの中では、アクリル系重合物が好ましい。
前記レベリング剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で配合することができるが、ポリウレタン樹脂(A)100部に対して、好ましくは0.01〜5部の範囲であり、より好ましくは0.05〜2部の範囲である。
一般にポリウレタン樹脂組成物の溶液に顔料などを添加して離型紙上に塗工する際に、塗工した樹脂溶液から気泡が抜け難くなる場合があるが、このようなおそれがある場合に、前記レベリング剤をかかる配合量の範囲で用いれば、表面性に優れるフィルムを得ることができる。
前記安定剤としては、公知慣用のものを用いることができ、特に限定しないが、例えばヒンダードフェノール系化合物などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物やヒンダードアミン系化合物などの紫外線吸収剤、カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤が挙げられる。
前記充填剤しては、特に限定しないが、公知慣用のものを用いることができ、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ベントナイトなどが挙げられる。
【0039】
本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムは、前記ポリウレタン樹脂(A)と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)を必須の構成成分とするポリウレタン樹脂組成物を用いてなるものであって、前記ポリウレタン樹脂組成物を用い作成した厚み20〜60μmのフィルム同士が70℃で荷重200g/cmで24時間保持するブロッキング試験後にフィルム同士が実質的にブロッキングしておらず容易に剥離することができるほどの優れた耐ブロッキング性を発現できる。
【0040】
また、本発明の耐ブロッキンング性に優れるポリウレタンフィルムは、更に、目的に応じて、分子内にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート(D)を併用したポリウレタン樹脂組成物を用いてもよい。前記ポリウレタン樹脂(A)と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)、及び分子内にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート(D)を構成成分とするポリウレタン樹脂組成物を用い作成した厚み20〜60μmのフィルム同士が70℃で荷重200g/cmで24時間保持するブロッキング試験後にフィルム同士が実質的にブロッキングしておらず容易に剥離することができるほどの優れた耐ブロッキング性を発現できる。
尚、本発明でいう「ブロッキング試験」とは、ポリウレタン樹脂組成物を用いて作成したポリウレタンフィルムについて、後述する条件にて評価する方法である。
【0041】
前記ポリウレタンフィルムの製造方法としては、公知慣用の製造方法が採用でき、特に限定しないが、例えば、押出成形法、ラミネート法等が挙げられる。これらの中でも、精密な製造方法として、ラミネート法が好ましく、例えば、溶液反応により得られたポリウレタン樹脂(A)の溶液に、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)、及び用途に応じてポリイソシアネート(D)、必要ならその他添加剤などを配合した後、離型紙上に流延し、溶剤を乾燥した後、巻き取る方法が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、文中「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。
尚、諸特性は以下に記載した方法により評価した。
【0043】
[ポリウレタンフィルムの作成方法]
所定の配合組成に従い、ポリウレタン樹脂(A)、湿式法シリカ(B)、脂肪酸アミド(C)、及び用途に応じてポリイソシアネート(D)、必要に応じてその他の添加剤を選択し配合したポリウレタン樹脂組成物を離型紙に塗布し、70℃で2分間乾燥後、140℃で4分間乾燥し、更に35℃で相対湿度50%の条件下で2日間熟成して、厚みが35〜50μmの範囲の耐ブロッキング性ポリウレタンフィルムを作成した。
【0044】
[耐ブロッキング試験の評価方法]
ポリウレタンフィルムを、5cm×5cmの大きさに切り出して試験片とし、重ね合わせ、70℃雰囲気下荷重200g/cmをかけ、24時間後に剥がす操作を行い、剥離するか否かで評価する。
◎ ;完全に離れている。
○ ;一部接着している。
△ ;半分程度接着している。
× ;全面が接着しているが容易に剥離できる。
××;全面が接着しており剥がすのに非常に抵抗感がある
【0045】
[風合いの評価方法]
指触の感触により評価した。
ソフト及びハードの評価
◎ ;非常にソフトである。
○ ;ソフトである。
△ ;ややソフトである。
× ;ハードである。
××;非常にハードである。
サラサラ感及びベタツキ感の評価
◎ ;非常にサラサラ感あり。
○ ;サラサラ感あり。
△ ;ややサラサラ感あり。
× ;ややベタツキあり。
××;非常にベタツキあり
【0046】
[ブリードの評価方法]
表面を目視で観察
○ ;表面に浮き出る物なし。
△ ;表面に浮き出る物わずかにあり。
× ;表面に浮き出る物あり。
【0047】
[数平均分子量(Mn)の測定方法]
測定機種;東ソー株式会社製GPC HLC8220
カラム ;東ソーゲル HXLシリーズ使用
測定条件;測定溶媒THF溶液、測定温度40℃
【0048】
[合成例1]《ポリウレタン樹脂(A−1)の溶液の調製》
数平均分子量(Mn)が2000のポリブチレンアジペートジオールの100部を、ジメチルホルムアミド(DMF)/メチルエチルケトン(MEK)=50/50質量比の混合溶剤で希釈し、1,4−ブタンジオール(BG)を8.4部及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を35.0部加えて、80℃で3時間反応させた後、更に必要量のMDIを追加し、樹脂濃度50%であり、25℃における粘度が30,000mPa・sのポリウレタン樹脂(A−1)(ジイソシアネート構成単位の含有率=24質量%)の溶液を得た。
【0049】
[合成例2]《ポリウレタン樹脂(A−2)の溶液の調製》
数平均分子量(Mn)が1000のポリブチレンアジペートジオールの100部を、ジメチルホルムアミド(DMF)/メチルエチルケトン(MEK)=50/50質量比の混合溶剤で希釈し、1,4−ブタンジオール(BG)を4.6部及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を37.0部加えて、80℃で3時間反応させた後、更に必要量のMDIを追加し、樹脂濃度50%であり、25℃における粘度が28,000mPa・sのポリウレタン樹脂(A−2)(ジイソシアネート構成単位の含有率=26質量%)の溶液を得た。
【0050】
[実施例1]
(1)耐ブロッキング性ポリウレタンフィルムの作成
合成例1で調製したポリウレタン樹脂(A)100部(固形分)と、湿式法シリカ(B)(東ソー・シリカ株式会社製、商標;ニップジェル、粒子径2.2〜2.8μm)14部、エチレンビスオレイン酸アミド(C)、及びキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(XDI−TMP)(D)14部を混合した。このようにして得たポリウレタン樹脂組成物の溶液を離型紙上に乾燥後の樹脂厚が50μmになるように流延し、70℃で2分間乾燥、次いで140℃で4分間乾燥し、更に35℃で相対湿度50%で2日間熟成して本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムを得た。
以上のようにして得たフィルムの評価結果を表1に示した。
【0051】
[実施例2]〜[実施例6]
実施例1と同様の操作にて表1及び表2に示した原料組成を配合して、ポリウレタン樹脂組成物を得て、本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムを得た。実施例2〜実施例6で得た本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムの評価結果を表1及び表2に示した。
【0052】
[比較例1]〜[比較例6]
実施例1と同様の操作にて表2及び表3に示した配合組成に従いポリウレタン樹脂組成物を調整し、更にポリウレタンフィルムを作成した。このようにして得たポリウレタンフィルムの
評価結果を比較例1〜6として表2及び表3に示したが、耐ブロッキング性に劣るものであった。
【0053】
【表1】

【0054】
注1)XDI−TMP;キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルムは、優れた耐ブロッキング性とソフトな風合いを共に有しているので、前記ポリウレタン樹脂組成物をフィルム化し、一度巻き取りを行った後、該フィルムをホットメルト層と多層化する際に、ブロッキングが発生せず、生産面及び品質面でのトラブルも起こらず、且つ肌触りの良好な製品を得ることができる。
本発明の耐ブロッキング性ポリウレタンフィルムは、例えば、被覆フィルム、複層フィルム、衣料などの広範囲の用途に極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にイソシアネート基と反応性を有する基を2個以上有し分子量が60〜140の範囲のポリオール(a)と、分子内に水酸基を2個以上有し数平均分子量が140〜4000の範囲のポリオール(b)と、ジイソシアネート(c)から得られるポリウレタン樹脂(A)と、湿式法シリカ(B)と、脂肪酸アミド(C)を必須の構成成分としてなり、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対して、前記湿式法シリカ(B)の含有量が5〜30部の範囲であり、前記脂肪酸アミド(C)の含有量が0.01〜3部の範囲であり、且つポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対する湿式法シリカ(B)の含有量と、脂肪酸アミド(C)の含有量の10倍値との和(X)が、10〜30の範囲であるポリウレタン樹脂組成物を用いてなることを特徴とする耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム。
【請求項2】
前記ジイソシアネート(c)が、脂環式ジイソシアネート及び/又は芳香族ジイソシアネートであり、前記ポリウレタン樹脂(A)固形分中のジイソシアネート構成単位の含有率が、10〜40質量%の範囲である請求項1記載の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム。
【請求項3】
前記脂肪酸アミド(C)が、
(a)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のモノ脂肪酸アミド、
(b)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のアルキレンビス脂肪酸アミド、
(c)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のジアルキルアジピン酸アミド又はジアルケニルアジピン酸アミド、
(d)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のN−アルキル置換モノ脂肪酸アミド、及び、
(e)側鎖の炭素数が10〜25の範囲である不飽和結合を含有又は非含有のメチロールモノ脂肪酸アミド、
からなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2記載の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム。
【請求項4】
前記脂肪酸アミド(C)が、
(a)ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等のモノ脂肪酸アミド、
(b)メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のアルキレンビス脂肪酸アミド、
(c)ジステアリルアジピン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アマイド等のジアルキルアジピン酸アミド又はジアルケニルアジピン酸アミド、
(d)N−ステアリルステアリン酸アミド等のN−アルキル置換モノ脂肪酸アミド及び、
(e)メチロールステアリン酸アミド等のメチロールモノ脂肪酸アミド、
からなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項1〜3の何れか一項記載の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム。
【請求項5】
前記脂肪酸アミド(C)が、エチレンビスオレイン酸アミドである請求項1〜4記載の何れか一項記載の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム。
【請求項6】
前記ポリウレタン樹脂組成物が、更に分子内にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート(D)を含有しており、前記ポリイソシアネート(D)が、脂環式ジイソシアネート、及び芳香族環にメチレン基を介してイソシアネート基が結合しているジイソシアネート、などより得られるトリメチロールプロパンアダクト、ビュレット、又はイソシアヌレート、からなる群より選ばれる少なくとも一つであって、前記ポリイソシアネート(D)の含有量が、ポリウレタン樹脂(A)の固形分100部に対して、5〜30部の範囲である請求項1〜5の何れか一項記載の耐ブロッキング性に優れるポリウレタンフィルム。
【請求項7】
前記ポリウレタン樹脂(A)と、前記湿式法シリカ(B)と、前記脂肪酸アミド(C)を必須の構成成分とするポリウレタン樹脂組成物を用いて、厚み20〜60μmの範囲のフィルムを形成した場合に、前記フィルム同士が70℃で荷重200g/cmで24時間保持するブロッキング試験後にフィルム同士がブロッキングしておらずに剥離する請求項1〜6の何れか一項記載の耐ブロッキングに優れる性ポリウレタンフィルム。



【公開番号】特開2006−274000(P2006−274000A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94461(P2005−94461)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】