説明

耐劣化ポリマーで形成した角膜マスク

患者の角膜に植え込むように構成されたマスクを開示する。一実施形態では、マスクの本体は、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、および遮光部分を囲繞する外周縁部を有する。このマスクは、角膜の2つの角膜内層の間に存在するようになされている。好ましい実施形態では、このマスクは、高フッ素化ポリマー材料および不透明化剤を含む材料から形成され、紫外線への暴露による劣化に耐性である。別の実施形態では、このマスクは、ポリアニオン化合物を含む材料から形成される。いくつかの実施形態では、このマスクは、植込み後の適切な治癒を補助するための1種以上の創傷治癒調節化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2005年4月14日に出願された、特許文献1の一部継続出願である。
【0002】
本出願は、角膜インレー装具に関する。より詳細には、本出願は、インレーの耐用年数にわたって劣化しないように構成され、植込み後の適切な治癒を補助するための1種以上の化合物を含み、かつ/または1種以上の材料であって、そのような材料がないマスクと比較して、インレー上に形成する角膜沈着物の量を低減する材料を含むことのできる角膜インレーに関する。
【背景技術】
【0003】
正常に機能するヒトの眼は、遠近調節として知られる過程を通じて、近くまたは遠くの対象のいずれも選択的に焦点を合わせることができる。遠近調節は、「眼内レンズ」と通常呼ばれる、眼の内部に位置したレンズの変形を誘発することにより実現される。このような変形は、毛様体筋と呼ばれる筋肉によって誘発される。一部の個体が年齢を重ねると、遠近調節する能力が減少し、こうした個体は、視力矯正なしでは近くで見ることができない。遠方視力も不十分な場合、このような個体は、二焦点レンズを処方される。
【0004】
この手法は、時には良好であるが、一部の人は、より高齢の患者の遠近調節を改善するために目の内部に装具を植え込むことを提案した。1つのこのようなインプラントは、眼の角膜中に植え込むことのできる、ピンホール投影装具である。この種類の装具は、様々な状況で検討され、この装具の必要性が確認されたが、このような装具は、現在市場に出回っていない。
【0005】
いくつかの要因が、良好なこの種類の装具を実現しにくくしている。特に、この装具は、患者の視力の被写界深度を改善する必要があり、この装具は外科的に植え込まれるので、非常に長い寿命を有する必要がある。十分な寿命を有する既知の装具は、提案されていない。
【0006】
角膜インプラントは、その寿命の間に大量の太陽光に曝されるので、UV暴露によるポリマーの劣化に対する耐性が重要である。コンタクトレンズおよびIOLの技法では、この暴露、および滅菌手段として利用されるUV光の暴露にも起因するレンズの劣化を防止するために、市販の安定剤がレンズに加えられてきた。安定剤は、紫外光線のエネルギーを消散することにより、レンズ材料の劣化を防止する。安定剤は、ポリマーと物理的に組み合わせることができるか、またはレンズを形成するポリマー材料と共重合できるモノマーの一部とすることもできる。共重合により、ポリマーと単に物理的に組み合わせた多くの安定剤の問題である、抽出性が低減される。
【特許文献1】米国特許出願第11/106,043号
【特許文献2】米国特許出願第11/106,040号
【特許文献3】米国特許第4,976,732号
【特許文献4】米国特許出願第10/854,033号
【特許文献5】米国特許第4,985,559号
【特許文献6】米国特許第4,528,311号
【特許文献7】米国特許第4,538,311号
【特許文献8】米国特許出願第11/000,562号
【特許文献9】米国出願第11/107,359号
【特許文献10】米国特許第6,551,424号
【特許文献11】米国出願第10/854,032号
【特許文献12】米国出願第11/257,505号
【非特許文献1】Smithら、「Nanofabrication」、Physics Today、1990年2月、24〜30頁
【非特許文献2】Craighead、「Nanoelectromechanical Systems」、Science、2000年11月24日、第290巻、1502〜1505頁
【非特許文献3】Chenら、「Diffractive Phase Elements Based on Two-Dimensional Artificial Dielectrics」、Optics Letters、1995年1月15日、第20巻、第2号、121〜123頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記にかかわらず、上述した種類の劣化に十分に耐性を有する、角膜インレー装具などのマスク、ならびにこの用途および他の同様の用途に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有する本体を備えるマスクを提供する。好ましい実施形態では、この本体は、高フッ素化ポリマー材料中の炭素-フッ素結合の数が、炭素-水素結合の数と等しいかまたはその数を超える、高フッ素化ポリマー材料を含む材料を含み、かつ/または少なくとも本体の遮光部分は、不透明化剤を含む。好ましい実施形態では、マスクの前面は、角膜の第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、後面は、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置される。
【0009】
別の実施形態によれば、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有する本体を備えるマスクであって、本体は、ポリマー材料を含み、この本体のうちの少なくとも遮光部分が不透明化剤を含むマスクを提供する。好ましい実施形態では、ポリマー材料中に添加するポリアニオン化合物および創傷治癒調節剤の一方または両方を含む。創傷治癒調節剤は、ポリマー材料中に添加することができ、かつ/または前面および後面の少なくとも一方に結合させることができる。
【0010】
一実施形態によれば、患者の角膜中に植え込むように構成されたマスクが提供される。このマスクは、ハロゲン化ポリマー材料、好ましくはフッ素化ポリマー材料または高フッ素化ポリマー材料を含む材料から形成された、この材料を含む、あるいはこの材料で被覆された本体を備え、この本体は、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、遮光部分を囲繞する外周縁部、前面、および後面を有し、前面は、第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、後面は、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置され、本体は、前面と後面の間で実質的に一定の厚さを有し、高フッ素化ポリマー材料中の炭素-フッ素結合の数は、炭素-水素結合の数と等しいかまたはその数を超える。
【0011】
好ましい実施形態では、本体の遮光部分を形成する材料は、不透明化剤を含む。
【0012】
別の実施形態によれば、約2.2mm以下の主軸を有する開口部および開口部とマスクの外周縁部の間に延在する環状体を備えるマスクが提供され、この環状体は、前面および後面を有し、高フッ素化ポリマー材料および不透明化剤を含む材料から形成され、この不透明化剤は、前面に入射する光の少なくとも相当な部分が前面から後面に透過するのを阻止するために十分な量で存在する。
【0013】
不透明化剤は、有機染料および/または有機顔料、ならびに無機染料および/または無機顔料からなる群から選択されることが好ましい。ある好ましい実施形態では、高フッ素化ポリマー材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むか、もしくは実質的にフッ化ビニリデンを含むモノマーの重合から生成され、かつ/または不透明化剤はカーボンである。
【0014】
好ましい実施形態では、マスクはポリアニオン化合物および/または創傷治癒調節化合物を含む。好ましい実施形態によれば、患者の角膜中に植え込むように構成されたマスクが提供される。このマスクは、ポリマー材料から形成された本体を備え、この本体は、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有し、前面は、第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、後面は、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置され、ポリマー材料は、好ましくはこのポリマー材料に添加されている1種以上のポリアニオン化合物および/または創傷治癒調節化合物を含む。
【0015】
好ましい実施形態によれば、患者の角膜中に植え込むように構成されたマスクが提供される。このマスクは、ポリマー材料、好ましくは高フッ素化ポリマー材料を含む材料から形成された本体を備え、この本体は、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有し、前面は、第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、後面は、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置され、ポリマー材料を含む材料に、1種または複数種のポリアニオン化合物が添加されている。好ましい実施形態では、この1種または複数種のポリアニオン化合物の全重量は、約10重量%から20重量%である。
【0016】
本体の遮光部分を形成する材料は、有機染料、有機顔料、無機染料、および無機顔料からなる群から選択される不透明化剤を含む種類とすることができる。好ましい一実施形態では、不透明化剤はカーボンを含む。好ましい実施形態では、マスクは少なくとも1種の創傷治癒調節化合物を含む。
【0017】
好ましい実施形態では、マスクは、遮光部分を囲繞する外周縁部を備える。
【0018】
好ましい実施形態によれば、マスクであって、好ましくは約2.2mm以下の主軸を有する開口部およびこの開口部とマスクの外周縁部の間に延在する環状体を備えるマスクが提供される。好ましい実施形態では、環状体は、前面および後面を有し、ポリマー材料、好ましくは高フッ素化ポリマー材料、不透明化剤、ならびに1種以上のポリアニオン化合物および/または創傷治癒調節化合物を含む材料で形成される。不透明化剤は、前面に入射する光の少なくとも相当な部分が前面から後面に透過するのを阻止するために十分な量で存在することが好ましい。好ましい実施形態では、前面は、角膜の第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、後面は、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置される。他の好ましい実施形態では、1つ以上の後述の特徴を含むことができる:マスクを角膜に適用後、角膜の湾曲を実質的に変化させないマスク;前面と後面の間に、好ましくは約20ミクロン以下の実質的に一定の厚さを有する環状体。
【0019】
好ましい実施形態によれば、患者の角膜に植え込むように構成されたマスクが提供される。マスクは、ポリマー材料から形成された本体を備え、この本体は、光透過部分、光透過部分の周囲に配置された遮光部分、第1の角膜内層に隣接して存在するように配置された前面、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置された後面、ならびに少なくとも1種のポリアニオン化合物および/または創傷治癒調節剤を有する。創傷治癒調節剤は、存在する場合、前面および後面の少なくとも一方に結合していることが好ましい。
【0020】
上述の実施形態のうちの好ましい実施形態は、1つまたは複数の追加の特性を有することができる。好ましい創傷治癒調節化合物として、限定することなく、抗生物質や、抗有糸分裂薬、代謝拮抗薬および抗生物質類を含めた抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、免疫抑制薬、ならびに抗真菌薬が挙げられる。好ましい化合物として、それだけに限らないが、フルオロウラシル、マイトマイシンC、パクリタキセル、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、カルプロフェン、スプロフェン、ケトプロフェン)、およびシクロスポリンが挙げられる。他の好ましい化合物として、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ならびにその塩および誘導体、ならびに他の炭水化物および/またはタンパク質が挙げられる。創傷治癒調節化合物は、ポリマーに添加し、かつ/または少なくとも1つの表面上に吸着させるか、もしくは被覆することができる。一実施形態では、創傷治癒調節化合物の少なくとも一部は、カーボン不透明化剤に吸着している。好ましい実施形態では、ポリマー材料は、UV耐性であり、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの高フッ素化ポリマー材料を含むことが好ましい。
【0021】
好ましい実施形態では、1種または複数のポリアニオン化合物の全重量は、約5重量%から約20重量%、約12重量%から約17重量%、約0.5重量%から約4重量%、および約5重量%から約15重量%を含めて約0.1重量%から約50重量%である。好ましいポリアニオン化合物として、炭水化物、タンパク質、天然プロテオグリカン、および/またはプロテオグリカンのグリコサミノグリカン部分、ならびに列挙した範疇の化合物などの化合物の誘導体(硫酸化誘導体など)および塩が挙げられる。好ましいポリアニオン化合物として、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、ペントサン多硫酸、キサンタン、カラゲナン、フィブロネクチン、ラミニン、コンドロネクチン、ビトロネクチン、ポリL-リジン塩のうちの1つまたは複数が挙げられ、アルギン酸塩などの、陰イオン性の、好ましくは硫酸化された炭水化物も、列挙した化合物の塩および誘導体と同様に用いることができる。好ましい陰イオン性化合物、およびポリアニオン化合物の組合せの例として、ケラタン硫酸/クロンドロイチン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、およびデキストラン硫酸が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本出願は、患者の眼の焦点深度を改善するためのマスクならびにこのようなマスクを作製するための方法および装置に関する。このマスクは、ピンホール視力矯正を一般に利用し、いくつかの実施形態では、栄養素輸送構造を有する。マスクは、例えば、角膜中のインプラントとして(場合によって「角膜インレー」と呼ばれる)、任意の様式で任意の位置に眼に適用することができる。マスクは、レンズに組み入れるか、またはレンズと組み合わせ、例えばコンタクトレンズもしくは眼内レンズとして、またはコンタクトレンズもしくは眼内レンズと組み合わせて眼の他の領域中に適用することもできる。以下にさらに述べる、いくつかの実施形態では、マスクは、安定な材料、例えば永続的に植え込むことのできる材料で形成される。
【0023】
I.ピンホール視力矯正の概要
上述したように、ピンホール開口部を有するマスクは、ヒトの眼の焦点深度を改善するために使用することができる。上述したように、老眼は、高齢のヒトの成人に一般に起こり、焦点を合わせる能力が、不十分な範囲に限定される、ヒトの眼の問題である。図1〜6は、老眼が、眼の正常機能をどのように妨害するか、およびピンホール開口部を有するマスクが、どのようにこの問題を緩和するかを図示している。
【0024】
図1はヒトの眼を示し、図2は眼10の側面図である。眼10は角膜12および角膜12の後側の眼内レンズ14を含む。角膜12は、眼10の第1の焦点調節要素である。眼内レンズ14は、眼10の第2の焦点調節要素である。眼10は網膜16も含み、これは眼10の後面の内部に並んでいる。網膜16は、主として視覚を担う、受容体細胞を含む。網膜16は、信号が受け取られ、視覚神経18を介して脳の視覚中枢に伝達される、斑として知られる、非常に感受性の高い領域を含む。網膜16は、窩として知られる、特に感受性の高い点20も含む。図8とともにより詳細に述べるように、窩20は、眼10の対称軸からわずかにはずれている。
【0025】
眼10は、虹彩22として知られる色素組織の環を含む。虹彩22は、瞳孔として知られる、虹彩22中の開口部24の大きさを制御し、調節するための平滑筋を含む。入射瞳26は、角膜12を通して見られる虹彩22の像として見られる(図7参照)。入射瞳の中心点28は、図7に示されており、以下にさらに述べる。
【0026】
眼10は、頭蓋骨の眼窩中に存在し、その中で回転の中心30の周りに回転することができる。
【0027】
図3は、老眼患者の眼10を通る光の透過を示す。角膜12もしくは眼内レンズ14の収差、または筋肉調節の低下のいずれかのため、眼10に入射し、角膜12および眼内レンズ14を通過する光線32は、光線32が、網膜16上の単一焦点に集束しないように屈折する。図3は、老眼患者において、光線32が、多くの場合網膜16の後の点で集束することを示す。その結果、患者は、かすみ目を経験する。
【0028】
次に図4を参照して、マスク34を適用した眼10を通る光の透過を示す。図4では、マスク34は、角膜12中に植え込まれた状態で示してある。しかし、以下に述べるように、マスク34は、様々な形式の用途において、角膜12中に植え込む(示したように)、角膜12の上に配置するコンタクトレンズとして使用する、眼内レンズ14(患者の本来のレンズまたは植え込まれたレンズを含めて)中に組み込む、または眼10上もしくは眼10中に別の方法で配置することができる。図示した実施形態では、マスク34、角膜12およびレンズ14を通過する光線32は、網膜16上の単一焦点で集束する。網膜16上の単一点で集束しないと思われる光線32は、マスク34によって妨害される。以下に述べるように、マスク34を通過する光線32が、窩20で集束するように、眼10上にマスク34を配置することが望ましい。
【0029】
次に図6を参照して、一実施形態のマスク34を示す。マスク34の様々な変形を後述する。第III節では、マスク34および後述するその任意の変形物を作製するのに用いることのできるいくつかの材料を検討する。明らかなように、マスク34は、マスク34の実質的に中心に位置するピンホール開口部または開口部38を囲繞する環状領域36を含むことが好ましい。ピンホール開口部38は、本明細書ではマスク34の光軸と呼ぶ、中心軸39の周りに一般に位置する。ピンホール開口部38は、円形であることが好ましい。開口部38などの円形の開口部は、一部の患者で、患者が、見ている物体のまわりに揺らぐ像を知覚する、いわゆる「後光効果」を生じることが報告された。したがって、このいわゆる「後光効果」を、減少、低減、または完全に除去する形の開口部38を提供することが望ましい場合がある。
【0030】
II.ピンホール補正を使用するマスク
図7〜42は、老眼の患者の視力を改善できる、様々な実施形態のマスクを示す。図7〜42とともに説明するマスクは、以下に別に説明する以外は、マスク34と同様である。以下に述べる任意のマスク、例えば、図7〜42に示すマスクは、第III節で後述する材料で作製することができる。マスク34および後述の任意のマスクは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、「OCULAR INLAY WITH LOCATOR」の表題で2005年4月14日に出願された特許文献2(代理人整理番号ACUFO.024A)で述べられているような位置決め構造を含むことができる。図7〜42とともに説明するマスクは、マスク34と同様の様式で患者の眼10に使用し、適用できる。例えば、図7は、六角形の形に形成した開口部38aを含む、一実施形態のマスク34aを示す。図8は、八角形の形に形成した開口部38bを含む、別の実施形態のマスク34bを示す。図9は、楕円の形に形成した開口部38cを含む、別の実施形態のマスク34cを示し、図10は、とがった楕円の形に形成した開口部38dを含む、別の実施形態のマスク34dを示す。図11は、開口部38eが、星形またはスターバーストの形に形成されている、別の実施形態のマスク34eを示す。
【0031】
図12〜14は、涙のしずく形をした開口部を有する、別の実施形態を示す。図12は、マスク34fを示し、これは、マスク34fの真の中心の上に位置する、涙のしずく形の開口部38fを有する。図13は、マスク34gを示し、これは、マスク34gの実質的に中心に位置する涙のしずく形の開口部38gを有する。図14は、マスク34hを示し、これは、マスク34hの真の中心の下にある、涙のしずく形の開口部38hを有する。図12〜14は、開口部の位置を調整する、例えば中心に位置させるかまたは中心からずらすことにより、異なる効果を提供することができることを示す。例えば、マスクの真の中心の下に位置する開口部により、開口部34の上部が、患者のまぶたによって覆われないので、より多くの光が眼に入射できるだろう。逆に、開口部が、マスクの真の中心の上に位置する場合、この開口部は、まぶたによって部分的に覆われる場合がある。したがって、中心より上の開口部により、より少量の光を眼に入射させることができる。
【0032】
図15は、正方形の形に形成した開口部38iを含む、一実施形態のマスク34iを示す。図16は、腎臓形の開口部38jを有する、一実施形態のマスク34jを示す。図7〜16に示した開口部は、単に非円の開口部の代表的なものであることが理解されよう。他の形状および配置も提供することができ、本発明の範囲内にある。
【0033】
後述するように、マスク34は一定の厚さを有することが好ましい。しかし、いくつかの実施形態では、マスクの厚さは、内周縁部(開口部38付近)と外周縁部の間で変更することができる。図17は、凸状の外形、すなわち内周縁部から外周縁部に向けて徐々に減少する厚さを有するマスク34kを示す。図18は、凹状の外形、すなわち内周縁部から外周縁部に向けて徐々に増加する厚さを有するマスク34lを示す。他の断面外形も可能である。
【0034】
環状領域36は、少なくともある程度不透明であり、好ましくは、完全に不透明である。環状領域36の不透明性により、光がマスク32を透過するのを阻止する(図4に一般に示すように)。環状領域36の不透明性は、任意のいくつかの異なる方法で実現することができる。
【0035】
例えば、一実施形態では、マスク34を作製するために用いる材料は、もともと不透明であり得る。一方、マスク34を作製するために用いる材料は、実質的に透明であってもよいが、染料または他の着色剤で処理することにより、領域36を実質的にまたは完全に不透明にすることができる。さらに別の例では、マスク34の表面を物理的または化学的に処理することにより(エッチングなどにより)、マスク34の屈折性および透過性を変更し、光の透過を低下させることができる。
【0036】
さらに別の代替法では、マスク34の表面は、その上に堆積する微粒子で処理してもよい。例えば、マスク34の表面は、チタン、金または炭素の微粒子を堆積することにより、マスク34の表面に不透明性をもたらすことができる。別の代替法では、図19に一般に示すように、微粒子は、マスク34の内部に封入することができる。最後に、マスク34は、図24〜33に一般に示すように、パターンを形成することにより、様々な光透過率の範囲を提供することができ、これは以下に詳細に述べる。
【0037】
図20を参照して、ポリエステル繊維の格子などの織物構造で形成、または作製されたマスク34mを示す。格子は、網目格子の繊維であってもよい。マスク34mは、開口部38mを囲繞する環状領域36mを含む。環状領域36mは、一部の光がマスク34mを通過できる、織物構造中に一般に規則正しく配置された複数の開口部36mを含む。透過する光の量は、例えば、所望のように繊維を一緒に近づけるかまたは遠く離して移動させることにより変更および制御することができる。より密集して分布した繊維により、環状領域36mを通過する光をより少量にすることができる。一方、繊維の太さを変更することにより、より多くの、またはより少量の光が格子の開口部を通過できるようにすることができる。繊維ストランドをより大きくすると、開口部がより小さくなる。
【0038】
図22は、異なる不透明度の副領域を有する環状領域36nを含む、一実施形態のマスク34nを示す。環状領域36nの不透明度は、所望のように段階的および漸進的に増加または減少させることができる。図22は、開口部38nに最も接近した第1の区域42が、約43%の不透明度を有する、一実施形態を示す。この実施形態では、第1の区域42に対して外側にある第2の区域44は70%などのより大きな不透明度を有する。この実施形態では、第2の区域44に対して外側にある第3の区域46は、85から100%の間の不透明度を有する。上述し、図22に示した種類の段階状の不透明度は、一実施形態において、例えば、マスク34nの区域42、44、46に異なる程度の着色を施すことにより実現される。別の実施形態では、上述した種類の様々な程度の遮光材料をマスクの表面上に選択的に堆積することにより、段階状の不透明度を実現することができる。
【0039】
別の実施形態では、マスクは、異なる光透過性を有する材料製の、同時押出成型棒から形成することができる。次いで、この同時押出成型棒をスライスすることにより、本明細書に説明したマスクなどの複数のマスク用の円盤を提供することができる。
【0040】
図24〜33は、異なる不透明度の領域を提供するために改変されたマスクの例を示す。例えば、図24は、マスク34oを示し、これは開口部38oおよび開口部38o付近からマスク34oの外周縁部50に延在する放射状のスポークのパターンの複数の切取り部48を含む。図24は、外周縁部50付近のマスクの周辺の切取り部48よりも、開口部38o付近のマスクの周辺で、切取り部48が、はるかに密集して分布していることを示す。したがって、周縁部50付近よりも、開口部38oにより近いマスク34oをより多くの光が通過する。マスク34oを通る光透過の変化は、段階的である。
【0041】
図26〜27は、別の実施形態のマスク34pを示す。マスク34pは、開口部38pおよび複数の円形の切取り部49p、および複数の切取り部51pを含む。円形の切取り部49pは、開口部38pの近傍に位置する。切取り部51pは、円形の切取り部49pと周縁部50pの間に位置する。円形の切取り部49pの密度は、開口部38p付近から周縁部50pに向かって一般に減少する。マスク34pの周縁部50pは、周縁部50pから内側に延在する切取り部51の存在によってスカラップ状(scalloped)にすることにより、一部の光が周縁部50pでマスクを通過できる。
【0042】
図28〜29は、マスク34qが、複数の円形の切取り部49qおよび複数の切取り部51qを含む、図26〜27の実施形態と類似した別の実施形態を示す。切取り部51qは、マスク34qの外周縁部50qに沿って配置されているが、スカラップ状の周縁部を提供するようには配置されていない。
【0043】
図30および31は、パターンを形成した環状領域36rおよび非円形の開口部38rを含む、一実施形態のマスク34rを示す。図30に示すように、開口部38rは、スターバーストの形をしている。開口部38rを囲繞しているのは、開口部38rに向かってより密集して配置された一連の切取り部51rである。マスク34rは、外周縁部50rを含み、これは外周縁部50rで追加の光を透過させるためにスカラップ状をしている。
【0044】
図32および33は、環状領域36sおよび開口部38sを含む、別の実施形態のマスク34sを示す。環状領域36sは、マスク34sの外周縁部50sと開口部38sの間に位置する。環状領域36sは、パターンを形成している。特に、マスク34sの環状領域36sにわたって複数の円形開口部56sが分布している。開口部56sの密度は、マスク34sの周縁部50s付近よりも開口部38s付近で高いことが理解されよう。上述の例と同様に、これにより、開口部38sから周縁部50sに向けて、マスク34sの不透明度が段階的に増加する。
【0045】
図34〜36は、別の実施形態を示す。特に、図34は、第1のマスク部分58tおよび第2のマスク部分43tを含むマスク34tを示す。マスク部分58t、43tは、一般に「Cの形」である。図34に示すように、マスク部分58t、43tは、マスク部分58t、43tが、ピンホールまたは開口部38tを画定するように植え込むか、または挿入する。
【0046】
図35は、マスク34uが、2つのマスク部分58u、43uを含む、別の実施形態を示す。各マスク部分58u、43uは、半月の形をしており、2つの半分部分が、光がそこを通過するのを可能にする、中央ギャップまたは開口部45uを画定するように埋め込むか、または挿入するように配置している。開口部45uは、円形のピンホールではないが、マスク部分58u、43uは、患者のまぶた(点線47として示した)と組み合わせて、同等のピンホール効果を提供する。
【0047】
図36は、開口部38vを含み、半月形である、別の実施形態のマスク34vを示す。以下により詳細に述べるように、マスク34vは、角膜12の下部分に植え込むか、または挿入することができ、上述したように、マスク34vとまぶた45との組合せにより、ピンホール効果が提供される。
【0048】
他の実施形態では、マスクを通る光の透過率を制御する別の方法を使用する。例えば、図19に示すように、マスクはゲルを充填した円盤とすることができる。このゲルは、ヒドロゲルもしくはコラーゲン、またはマスク材料と生体適合性の、他の適当な材料とすることができ、マスクの内部に導入することができる。マスク内のゲルは、ゲル中に懸濁した微粒子53を含むことができる。適当な微粒子の例は、金、チタン、および炭素の微粒子であり、上述したように、これらは、代わりにマスクの表面に堆積させてもよい。
【0049】
マスク34の材料は、任意の生体適合性のポリマー材料とすることができる。ゲルが使用される場合、この材料は、ゲルを保持するのに適している。マスク34に適した材料の例として、好ましいポリメチルメタクリレートまたは、ポリカーボネートなどの他の適当なポリマーが挙げられる。もちろん、先に示したように、ゲルを充填していない材料について、好ましい材料は、Dacronメッシュなどの繊維性材料とすることができる。
【0050】
マスク34は、マスク34を患者の眼に適用、挿入または植え込みした後に、選択的に放出できる抗生物質や他の創傷治癒調節剤などの医薬液体または医薬物質を含むように作製することもできる。適用、挿入または植込み後の抗生物質または他の創傷治癒調節剤の放出により、切開部の治癒がより速くなり、かつ/または改善される。マスク34は、他の所望の薬物または抗生物質で被覆することもできる。例えば、眼にコレステロールの沈着物が蓄積することが知られている。したがって、マスク34は、放出可能なコレステロール抑止薬とともに提供することができる。薬物は、マスク34の表面上に被覆するか、または代替の実施形態では、マスク34を形成するポリマー材料(PMMAなど)中に混合してもよい。
【0051】
図37および38は、マスク34wが複数のナナイト(nanite)68を含む、一実施形態を示す。「ナナイト」は、患者の眼に入射する光を選択的に透過させるかまたは遮断するように適応させてきた小さな微粒子構造体である。粒子は、ナノテクノロジー用途で用いられる粒子に典型的な非常に小さな大きさとすることができる。ナナイト68は、ゲル中に懸濁されるか、または他の場合では、図37および38に一般に示すように、マスク34wの内部に挿入される。ナナイト68は、あらかじめ設定することにより、様々な光環境に対応することができる。
【0052】
したがって、図37に示すように、高光量環境中では、ナナイト68は、回転し、実質的におよび選択的に一部の光が眼に入射するのを妨げる位置になる。しかし、より多くの光が眼に入射することが望ましい低光量環境中では、図38に示すように、ナナイトは、回転することによって応答するか、または別の方法でより多くの光が眼に入射できる位置になることができる。
【0053】
ナノ素子またはナナイトは、実験室で成長させた結晶構造体である。ナナイトは、光などの様々な刺激に受容性となるように処理することができる。本発明の一態様によれば、ナナイトは、低光量および高光量環境に応答して、上述し、図38に一般に示したように回転するエネルギーを得ることができる。
【0054】
ナノスケール素子およびナノスケール装置、およびその製作は、非特許文献1および非特許文献2に記載されており、両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。小径粒子の性質を光学用途に適応させることは、非特許文献3に開示されており、これもその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0055】
本発明によって作製されるマスク34は、さらに改変することによって、他の性質を含めることができる。図39は、バーコード70または他の印刷した印を含む、一実施形態のマスク34xを示す。
【0056】
本明細書に説明するマスクは、様々な方法で患者の眼に組み込むことができる。例えば、図49とともに以下により詳細に述べるように、マスク34は、眼球10の表面上に配置されるコンタクトレンズとして提供することができる。代わりに、患者の本来のレンズ14と取り替えるために設計された人工眼内レンズ中に組み込んでもよい。しかし、マスク34は、角膜12の層間に物理的に挿入する、角膜インプラントまたはインレーとして提供することが好ましい。
【0057】
角膜インプラントとして使用する場合、角膜12の層は、マスク34の挿入を可能にするために剥がされる。一般に、光学外科医が(レーザーを用いて)、上に覆い被さっている角膜上皮のフラップを切り取り、剥がす。次いでマスク34を挿入し、フラップを元の場所に戻し、そこで時間とともにフラップは、元の状態に戻り、眼球を封じる。いくつかの実施形態では、マスク34は、図40に示し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている特許文献3に一般に記載されている、支持ストランド72および74によって眼10に接着または固定される。
【0058】
特定の状況では、マスク34を収容するために、外科医は、追加の角膜組織を取り去る必要がある場合がある。したがって、一実施形態では、外科医は、レーザーを用いて角膜12の追加の層を剥がすことにより、マスク34を収容するポケットを提供することができる。患者の眼10の角膜12へのマスク34の適用については、図50A〜51Cとともに、より詳細に説明する。
【0059】
マスク34の除去は、単に角膜12に追加の切開をし、フラップを持ち上げ、マスク34を取り出すことにより実現できる。代わりに、切除技法を用いることにより、マスク34を完全に除去することができる。
【0060】
図41および42は、繊維性または他の材料のコイル状のストランド80を含むマスク34yの別の実施形態を示す。ストランド80は、らせん状に巻きつけられてマスク34yを形成し、しがたって、これは、らせん様マスクとして説明することができる。この仕組みは、マスク34yの実質的に中心にピンホールまたは開口部38yを提供する。マスク34yは、角膜12のフラップ中に作製した開口部を通して、ピンセット82でストランド80を掴む、技士または外科医によって取り出すことができる。図42は、この取出し技法を示す。
【0061】
マスクのさらなる詳細については、1990年12月11日に発行された特許文献3および2004年5月26日に出願された特許文献4に記載されており、両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0062】
III.好ましい耐UVポリマーマスク材料
マスクは、非常に高い表面対体積比を有し、植込み後に多量の太陽光に曝されるので、マスクは、紫外(UV)および他の波長の光に対する暴露からを含めて、劣化に対して良好な耐性を有する材料を含むことが好ましい。UV吸収添加剤を含むUV吸収成分またはUV吸収モノマー(コモノマーを含めて)で作製されたUV吸収成分を含めて、UV吸収成分を含むポリマーは、UV線による劣化に耐性である、本明細書に開示するようなマスクを形成することに用いることができる。このようなポリマーの例として、それだけに限らないが、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献5および特許文献6に記載されているポリマーが挙げられる。好ましい実施形態では、マスクは、UV線による劣化に対してそれ自体が耐性である材料を含む。一実施形態では、マスクは、UV線に対して実質的に反射性であるか、または透過性であるポリマー材料を含む。
【0063】
代わりに、マスクは、耐劣化効果を与える成分を含むことができるか、または耐劣化性を与える被膜を、好ましくは少なくとも前面に提供することができる。このような成分は、例えば、1種以上の耐劣化ポリマーを1種以上の他のポリマーとブレンドすることにより含めてもよい。このようなブレンドは、UV吸収材料などの所望の性質を提供する添加剤も含むことができる。一実施形態では、ブレンドは、約1〜10重量%、5〜15重量%、および10〜20重量%を含めて、合計で約1〜20重量%の1種以上の耐劣化ポリマーを含むことが好ましい。別の実施形態では、ブレンドは、約80〜90重量%、85〜95重量%、および90〜100重量%を含めて、合計で約80〜100重量%の1種以上の耐劣化ポリマーを含むことが好ましい。別の実施形態では、ブレンドは、約50〜60重量%、および40〜50重量%を含めて、合計で約40〜60重量%の1種以上の耐劣化ポリマーを含む、より均等な割合の材料を有する。マスクは、UV吸収添加剤またはモノマーを混合した1種もしくは複数種のポリマーとともに、1種もしくは複数種の一般にUV透過性の、または反射性のポリマーを含むブレンドを含めて、様々な種類の耐劣化ポリマーのブレンドも含むことができる。これらのブレンドとして、約1〜10重量%、5〜15重量%、および10〜20重量%を含めて、合計で約1〜20重量%の1種以上の一般にUV透過性のポリマー、約80〜90重量%、85〜95重量%、および90〜100重量%を含めて、合計で約80〜100重量%の1種以上の一般にUV透過性のポリマー、ならびに約50〜60重量%、および40〜50重量%を含めて、合計で約40〜60重量%の1種以上の一般にUV透過性のポリマーを有するブレンドが挙げられる。ポリマーまたはポリマーブレンドは、それだけに限らないが、不透明化剤、ポリアニオン化合物および/または創傷治癒調節化合物を含めて、以下に述べるような他の材料と混合することができる。これらの他の材料を混合する場合、マスクを構成する材料中のポリマーまたはポリマーブレンドの量は、約60〜90重量%、約65〜85重量%、約70〜80重量%、および約90〜99重量%を含めて、約50〜99重量%であることが好ましい。
【0064】
好ましい耐劣化ポリマーには、ハロゲン化ポリマーが含まれる。好ましいハロゲン化ポリマーとして、高フッ素化ポリマーを含めて、フッ素化ポリマー、すなわち、少なくとも1個の炭素-フッ素結合を有するポリマーが挙げられる。本明細書で使用する「高フッ素化」という用語は、通常の意味で用いる広義語であり、少なくとも1個の炭素-フッ素結合(C-F結合)を有し、C-F結合の数が、炭素-水素結合(C-H結合)の数と等しいか、またはその数を超えるポリマーを含む。高フッ素化材料として、ペルフルオロすなわち全フッ素化材料、塩素などの他のハロゲン置換基を含む材料、および酸素または窒素含有官能基を含む材料も挙げられる。ポリマー材料について、結合の数は、ポリマーを形成する1種(複数)のモノマーまたは繰り返し単位を参照することによって、またコポリマーの場合、各モノマーの相対量(分子ベースで)によって数える場合がある。
【0065】
好ましい高フッ素化ポリマーとして、それだけに限らないが、ポリテトラフルオロエチレン(PFTEまたはTeflon(登録商標))、ポリフッ化ビニリデン(PVDFまたはKynar(登録商標))、ポリ-1,1,2-トリフルオロエチレン、およびペルフルオロアルコキシエチレン(PFA)が挙げられる。他の高フッ素化ポリマーとして、それだけに限らないが、1種以上の以下のモノマー単位を含むホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる:テトラフルオロエチレン-(CF2-CF2)-;フッ化ビニリデン-(CF2-CH2)-; 1,1,2-トリフルオロエチレン-(CF2-CHF)-;ヘキサフルオロプロペン-(CF(CF3)-CF2)-;フッ化ビニル-(CH2-CHF)-(ホモポリマーは「高フッ素化」ではない);-(O-CF2)-、-(O-CF2-CF2)-、-(O-CF(CF3)-CF2)-などの酸素含有モノマー; -(CF2-CFCl)-などの塩素含有モノマー。十分な程度にフッ素化した、フッ素化ポリイミドおよびフッ素化アクリレートなどの他のフッ素化ポリマーも、好ましい実施形態よるマスクに用いるための高フッ素化ポリマーとして考えられている。本明細書に記載のホモポリマーおよびコポリマーは、市販されており、かつ/または市販の材料からのその調製方法は、広く公表されており、ポリマーの当業者に知られている。
【0066】
高フッ素化ポリマーが好ましいが、1個または複数個の炭素-フッ素結合を有するが、上述した「高フッ素化」ポリマーの定義に含まれないポリマーも用いることができる。このようなポリマーには、エチレン、フッ化ビニルまたはC-F結合よりも多い数のC-H結合を有するポリマー材料を形成するための他のモノマーと、前段落中の1種以上のモノマーから形成されるコポリマーが含まれる。フッ素化ポリイミドなどの他のフッ素化ポリマーも用いることができる。単独でまたはフッ素化もしくは高フッ素化ポリマーと組み合わせて、いくつかの用途で使用できると思われる他の材料は、特許文献5および特許文献7に記載されており、両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0067】
前述の高フッ素化の定義は、2〜3の例によって最適に説明される。1つの好ましい耐UVポリマー材料は、式-(CF2-CH2)n-で表される構造を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。各繰り返し単位は、2個のC-H結合および2個のC-F結合を有する。C-F結合の数が、C-H結合の数と等しいかまたはその数を超えるので、PVDFホモポリマーは、「高フッ素化」ポリマーである。別の材料は、2:1のモル比のテトラフルオロエチレンとフッ化ビニルの2つのモノマーから形成される、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニルコポリマーである。形成したコポリマーが、ブロック、ランダムまたは任意の他の配列であるかどうかにかかわらず、2:1のテトラフルオロエチレン:フッ化ビニル組成から、それぞれが4個のC-F結合を有する2つのテトラフルオロエチレン単位および3個のC-H結合および1個のC-F結合を有する1つのフッ化ビニル単位を含む「繰り返し単位」を推定できる。2つのテトラフルオロエチレンおよび1つのフッ化ビニルの全結合は、9個のC-F結合、および3個のC-H結合である。C-F結合の数が、C-H結合の数と等しいかまたはその数を超えるので、このコポリマーは高フッ素化されていると考えられる。
【0068】
PVDFなどのある高フッ素化ポリマーは、非フッ素化または高フッ素化の程度の低い類似ポリマーと比較して、比較的化学的に不活性であること、および比較的高いUV透過性を有することなどの1つまたは複数の所望の性質を有する。出願者は、理論に制約されることを意図していないが、フッ素の電気陰性度が、比較的多数のC-F結合を有する材料の多くの所望の性質の原因となり得ると想定される。
【0069】
好ましい実施形態では、マスクを形成する高フッ素化材料の少なくとも一部は、所望の程度の不透明度を与える不透明化剤を含む。一実施形態では、この不透明化剤は、例えば、透過性の開口部と組み合わせて、本明細書で説明する被写界深度の改善をもたらすのに十分な不透明度を提供する。一実施形態では、不透明化剤は、材料を不透明にする。別の実施形態では、不透明化剤は、入射光の約90%以上の透過を阻止する。別の実施形態では、不透明化剤は、材料を不透明にする。別の実施形態では、不透明化剤は、入射光の約80%以上の透過を阻止する。好ましい不透明化剤として、それだけに限らないが、有機染料および/または顔料、好ましくはアゾ染料、ヘマトキシリンブラック、およびスーダンブラックなどの黒いもの、酸化鉄ブラックおよびイルミナイト、炭化ケイ素およびカーボン(例えば、カーボンブラックおよびサブミクロン粉末カーボン)などの金属酸化物を含めた無機染料および/または顔料が挙げられる。前述の材料は、単独で、または1種以上の他の材料と組み合わせて用いることができる。不透明化剤は、マスクの1つ以上の表面に、表面の全体または一部の上に塗布することができ、あるいは不透明化剤は、ポリマー材料と混合または組み合わせることができる(例えば、ポリマーが融液相である間にブレンドされる)。前述の任意の材料を用いることができるが、多くの有機染料は時間とともに退色するが、カーボンは、時間とともに退色しないという点で、およびカーボンは、UV線を吸収することにより材料のUV安定性も助長するという点で、カーボンが特に有用である。一実施形態では、カーボンは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)または高フッ素化ポリマーを含む他のポリマー組成物と、カーボンが、得られる組成物の約12重量%、約13重量%、約14重量%を含めた約10重量%から約15重量%を含めて、得られる組成物の約2重量%から約20重量%を含むように混合することができる。
【0070】
マスクの黒くする、暗くする、または不透明にする部分に加えられる、顔料のようないくつかの不透明化剤は、このような助剤を含まないマスク材料よりも大きな程度でマスクに入射光を吸収させる。顔料を担持するか、または含む基質ポリマーは、吸収した放射線から劣化を受ける恐れがあるので、薄く、環境劣化に対して脆弱にしている大きな表面積を有するマスクは、UV線からなどの劣化に対して、それ自体耐性である材料で作製されるか、あるいはマスクが、UV線に対して概ね透明であるかまたは非吸収性であることが好ましい。UV線に対して非常に透明である、PVDFなどの非常に耐UV性であり耐劣化性である材料の使用により、特定の不透明化剤の選択によって生じるポリマーへの起こり得る損傷が大きく低減されるので、不透明化剤の選択に、より大きな自由度が許される。
【0071】
耐劣化構築物についての前述の実施形態のいくつかの変形が考えられる。一変形では、マスクは、UV劣化を受けない材料で、ほとんど専ら作製される。例えば、マスクは、金属、高フッ素化ポリマー、または別の類似の材料で作製できる。金属を用いたマスクの構築については、2004年12月1日に出願され、「Method of Making an Ocular Implant」の表題をつけた特許文献8および「Method of Making an Ocular Implant」の表題で2005年4月14日に出願された特許文献9にもより詳細に述べられており、両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。この文脈で使用する場合、「専ら」は、いくつかの非機能性材料(例えば、不純物)の存在および上述したような不透明化剤を許す広義語である。他の実施形態では、材料の組合せを含むことができる。例えば、一変形では、マスクは、主として任意の植込み可能な材料で形成され、耐UV性の材料で被覆される。別の変形では、マスクは、マスクが、通常の使用条件下で、劣化の観点で十分な機能性を維持することにより、少なくとも約5年間、好ましくは少なくとも10年間、およびある特定の実施では、少なくとも20年間医学的に有効な状態のままであるような十分な濃度で、1種以上のUV劣化抑制剤および/または1種以上の耐UV劣化ポリマーを含む。
【0072】
図54は、高フッ素化ポリマーおよび不透明化剤を含む組成物からマスクを作製する1つの方法を示す流れ図である。ステップ2000で、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ペレットをジメチルアセトアミド(DMACまたはDMA)などの溶媒中に、熱を用いてPVDFが完全に溶解するまで溶解することによって液体形態のポリマーを作製する。一実施形態では、この溶液は、PVDFが完全に溶解したのを保証するために、最低12時間かき混ぜる場合がある。ステップ2200で、高速せん断ミキサーを使用して、このPVDF/DMAC溶液を、カーボンブラックなどの不透明化剤と混合する。一実施形態では、カーボンブラックは、得られる組成物の13重量%を含み、PVDFは、得られる組成物の87重量%を含む。ステップ2300で、このPVDF/カーボンブラック溶液を、高速粉砕機、例えばEiger高速粉砕機で粉砕することにより、溶液中のあらゆる大きなカーボンの塊を分解する。このPVDF/カーボンブラック溶液は、粉砕機に2回かけることにより、あらゆるカーボンの塊をさらに分解することができる。ステップ2400で、得られる溶液をシリコンウエハーに塗布することにより、シリコン円盤上にポリマー膜を作製する。ここでは、約55gのPVDF/カーボンブラック溶液が、シリコンウエハー上に塗布するために分注容器中に注がれる。シリコン円盤をスピンキャスティング装置のスピナー上に置き、分注容器を使用して、PVDF/カーボンブラック溶液のしずくを、シリコンウエハー上に、直径1"の円盤の中心を空のままにして円状に塗布する。スピナーの回転を始動することにより、PVDF/カーボンブラック溶液を円盤上に散布し、10ミクロンの均一な厚さの膜を形成する。次いで被覆されたシリコン円盤を加熱板の上に置き、DMACを蒸発させる。ステップ2500で、被覆されたシリコンウエハーを、エキシマレーザー下に置く。レーザーカットマスクをレーザーに取り付け、レーザーを始動する。レーザーカットマスクを使用して、約150の角膜マスクパターンを、PVDF/カーボンブラック膜中にレーザー加工する。この角膜マスクパターンは、シリコン円盤の端部から約5mmに広がる材料は使用しないように配列する。レーザー加工中、シリコン円盤は、表面を冷却するために窒素ガス中に浸すことができる。ステップ2600で、レーザー加工されたマスクを、かみそりの刃を使用してシリコン円盤から取り出し、凸形のテフロン(登録商標)製成形用型の下半分中に置く。テフロン(登録商標)製成形用型の上半分は、マスクの上に置き、この型を約160℃のオーブン中に置く。ステップ2700で、この型を加熱し、焼くことによりマスクを硬化する。型は、約2時間、約160℃で焼かせる。2時間後、オーブンの温度を約30度まで下げ、約2時間またはオーブンの温度が約40℃以下に下がるまで、マスクを焼く。
【0073】
IV.角膜沈着物を低減し、かつ/または適切な治癒を促進するための添加剤
いくつかの状況では、角膜インプラントは、角膜上の沈着物を伴う。角膜インプラントのポリマー材料中に1種以上のポリアニオン化合物を添加することにより、おそらく成長因子を誘引する、かつ/または保持することによって、角膜上の沈着物を低減し、かつ/または実質的に除去できる。
【0074】
好ましい実施形態では、1種以上のポリアニオン化合物として、炭水化物、タンパク質、天然プロテオグリカン、および/またはプロテオグリカンのグリコサミノグリカン部分、ならびに上述の範疇の化合物などの化合物の誘導体(硫酸化誘導体など)および塩が挙げられる。好ましいポリアニオン化合物として、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、ペントサン多硫酸、キサンタン、カラゲナン、フィブロネクチン、ラミニン、コンドロネクチン、ビトロネクチン、ポリL-リジン塩のうちの1つまたは複数が挙げられ、アルギン酸塩などの、陰イオン性の、好ましくは硫酸化された炭水化物も、列挙した化合物の塩および誘導体と同様に用いることができる。好ましい陰イオン性化合物およびポリアニオン化合物の組合せの例として、ケラタン硫酸/クロンドロイチン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、およびデキストラン硫酸が挙げられる。
【0075】
一実施形態では、ポリアニオン化合物は、酸性硫酸塩部分を含み、硫黄含有量は、約5重量%より多く、好ましくは約10重量%よりも多い。さらにより好ましい実施形態では、ポリアニオン化合物の平均分子量は、約40,000から500,000ダルトンである。
【0076】
好ましい実施形態では、添加物入りのポリマー材料中の1種以上のポリアニオン化合物の全重量は、約5重量%から約20重量%、約12重量%から約17重量%、約0.5重量%から約4重量%、および約5重量%から約15重量%を含めて、約0.1重量%から約50重量%である。ポリアニオン化合物、不透明化剤および創傷治癒調節化合物に関して、本明細書に列挙するパーセンテージは、100%を、すべての添加剤を含めたマスク組成物全体の全重量とした、重量パーセントであることに注意すべきである。
【0077】
一実施形態では、マスク本体は、添加される1種以上のポリアニオン化合物を有するポリマー材料から形成する。ポリアニオン化合物の添加は、マスク本体の成形または注入成形の前に、ポリアニオン化合物を樹脂およびポリマー材料の他の任意の添加剤と混合することにより行う。ポリマー材料中に添加するいくつかのポリアニオン化合物は、マスクの表面上に存在することができるが、被覆された材料は、マスクの大部分にわたってポリアニオン材料を有さないと思われるという点で、添加は、被覆と区別することができる。
【0078】
添加物入りのポリマー材料は、ポリマー、1種以上のポリアニオン化合物、および他の任意の添加剤(以下に述べるような創傷治癒調節剤など)を溶媒または溶媒系中に懸濁または溶解し、次いで膜をキャスティングし、溶媒または溶媒系を蒸発などによって除去することによって作製することが好ましい。好ましいキャスティング方法には、比較的均一な厚さの薄い材料を形成できる、スピンキャスティングおよび当分野で知られた方法を含む他の方法が含まれる。押出成形などの、薄い基材を作製する他の方法を用いることができるが、一部のポリアニオン化合物の分解を生じる恐れのある高温で行う必要がないため、溶媒キャスティングが一般に好ましい。ポリマー、ポリアニオン化合物、および/または他の添加剤は、マスクを作製する一環として、懸濁、溶解、または融解する前に、ボールミル粉砕などによって、すり砕くかまたは粉砕し、材料の粒子径を小さくすることができる。
【0079】
溶媒キャスティングを用いる方法において、好ましい溶媒には、ポリマー材料、ポリアニオン化合物、および/または他の添加剤を溶解できる溶媒が含まれる。適当な溶媒または溶媒系(すなわち、2種以上の溶媒の組合せ)は、所与のポリマー材料についての既知の溶解度および/または化学原理に基づく通常の実験に基づいて、当業者によって選択することができる。溶媒キャスティング法では、溶媒または溶液の温度は、溶媒または溶媒系の沸点以下であるべきであり、約10℃から約70℃であることが好ましい。溶液をキャスティングして膜を形成する間または膜を形成後、温度は、沸点より上を含めて上昇させることができる。
【0080】
一実施形態では、PVDF、デキストラン硫酸、およびカーボンを含む、インレーなどのマスクは、スピンキャスティングによって作製した。ペレットの形態での100グラムのPVDF(約71重量%)を、400グラムのジメチルアセトアミドに溶解させた。17グラムのカーボン(約12重量%)および24グラムのデキストラン硫酸(約17重量%)は、ボールミル粉砕することによって粒子径を小さくし、次いでPVDF/DMA溶液に加える。重量パーセンテージは、溶媒ではない部分である固体部分のパーセンテージである。この溶液は、室温(約17℃から約25℃)であった。次いでこの溶液をスピンキャストすることによって膜を形成した。
【0081】
一実施形態では、装具は、創傷治癒調節剤を含む。存在する場合、創傷治癒調節剤は、少なくとも1つの表面上にあるか、またはポリマー材料中に添加することができる。創傷治癒調節剤は、治癒速度を増大させる、炎症を減少させる、免疫応答を適度にするかまたは抑制する、瘢痕を減少させる、細胞増殖を減少させる、感染を低減する、コラーゲンを生成する細胞への角膜実質細胞の分化転換を促進するなどによって、創傷の適切な治癒を補助する化合物として定義される。創傷治癒調節剤として、制限することなく、抗生物質や、抗有糸分裂薬、代謝拮抗薬および抗生物質類を含めた抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、免疫抑制薬ならびに抗真菌薬が挙げられる。好ましい化合物として、それだけに限らないが、フルオロウラシル、マイトマイシンC、パクリタキセル、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、カルプロフェン、スプロフェン、ケトプロフェン)、およびシクロスポリンが挙げられる。他の好ましい化合物として、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ならびにその塩および誘導体、ならびに上記に開示した炭水化物および/またはタンパク質を含めた、他の炭水化物および/またはタンパク質が挙げられる。
【0082】
創傷治癒調節剤は、ポリアニオン化合物に関して上述したように、ポリマー材料中に添加することによってマスク中に含めることができる。創傷治癒調節剤は、装具の1つまたは複数の表面に結合させることによって含めることもできる。創傷治癒調節剤の装具への「結合」は、吸着、水素結合、ファンデルワールス力、静電気引力、イオン結合などの化学結合を一般に伴わない現象によって起こり得るか、または化学結合を含む現象によって起こり得る。好ましい実施形態では、添加物入りのポリマー材料中の1種以上の創傷治癒調節化合物の全重量は、約5重量%から約20重量%、約12重量%から約17重量%、約0.5重量%から約4重量%、および約5重量%から約15重量%を含めて、約0.1重量%から約50重量%である。
【0083】
一実施形態では、マスク表面上の炭素、金または他の材料は、吸着剤として作用するか、あるいはさもなければ1種以上の創傷治癒調節剤のインプラントへの結合に関与する。創傷治癒調節剤の結合に関与する、マスク表面上の材料は、インプラントのバルク材料の一部(インプラント全体に分布した、あるいはインプラントの形成中および/または形成後に拡散する材料)とし、かつ/または以下の他の箇所で説明する不透明化剤などのように、マスクの表面に堆積することができる。次いでこのインプラントは、少なくとも1種の創傷治癒調節剤を含む溶液(分散系および乳濁液を含めて)中に浸漬するなどにより、1種以上の創傷治癒調節剤に曝すことによって、1種(複数)の創傷治癒調節剤をインプラントに結合させる。創傷治癒調節剤をインプラントに塗布し、結合させるのを補助するために用いる溶媒は、生体適合性であり、有害な残留物を残さない、かつ/またはマスクのポリマー材料の溶解もしくは膨潤を起こさないことが好ましい。2種以上の創傷治癒調節剤を用いる場合、結合は、すべての所望の創傷治癒調節剤を含む1種の溶液中に浸漬するか、またはそれぞれが1種以上の所望の創傷治癒調節剤を含む、2種以上の溶液に連続的にインプラントを浸漬することによって行うことができる。創傷治癒調節剤をインプラントに結合させる過程は、いつでも行うことができる。一実施形態では、少なくともいくつかの創傷治癒調節剤は、製造過程の一環としてインプラントに結合している。別の実施形態では、眼科医などの開業医が、植込みの直前に少なくともいくつかの創傷治癒調節剤をインプラントに結合させる。
【0084】
代替の実施形態では、薬物または他の有用な化合物をインプラントおよび医療装具に結合させる任意の適当な方法を用いて、かつ/またはある期間にわたって、植込みまたは装着の範囲に局所的に薬物を送達する薬物送達装具を作製する方法を用いて、1種以上の創傷治癒調節剤をインプラントに結合させる。
【0085】
V.眼に見える回折像を低減するために構成したマスク
多くの前述のマスクは、患者の焦点深度を改善するために使用することができる。様々な追加のマスクの実施形態を以下に述べる。以下に説明するいくつかの実施形態では、マスク全体にわたって栄養素の輸送を促進することによって、隣接する組織間で栄養素の流れを高めるか、または維持するように構成された栄養素輸送構造を含む。以下に説明するいくつかの実施形態の栄養素輸送構造は、隣接する組織中での栄養素の欠乏を少なくとも実質的に防止するように構成される。栄養素輸送構造により、マスクの寿命を増加させながら、マスクが角膜中に植え込まれる場合に、隣接する角膜層中のマスクの存在による負の効果を減少させることができる。本発明者らは、ある配列の栄養素輸送構造は、本明細書に説明したマスクの視力改善効果を妨害する回折像を生じることに気づいた。したがって、回折像を生じない、または他の点でマスクの実施形態の視力増強効果を妨害しない栄養素輸送構造を含む特定のマスクを、本明細書で説明する。
【0086】
図43〜44は、老眼を患っている患者の眼の焦点深度を増大させるように構成された、一実施形態のマスク100を示す。このマスク100は、以下に別に説明する以外は、本明細書で先に説明したマスクと類似している。マスク100は、第III節で述べた材料を含めて、本明細書で述べる材料で作製することができる。さらにマスク100は、任意の適当な過程、例えばそのような過程の変形を含む、図48a〜48dとともに以下に説明する過程などによって形成することができる。マスク100は、例えば、患者の角膜中に植え込むことによって、患者の目に適用するように構成されている。マスク100は、図50A〜51Cとともに上述した方法などの任意の適当な方法で角膜内に植え込むことができる。
【0087】
一実施形態では、マスク100は、前面108および後面112を有する本体104を含む。一実施形態では、本体104は、第1の角膜層と第2の角膜層との間で栄養素の自然の流れを実質的に維持できる。一実施形態では、材料は、第1の角膜層(例えば、層1210)と第2の角膜層(例えば、層1220)のと間で、少なくとも1種の栄養素(例えばグルコース)の自然の流れの少なくとも約96パーセントを維持するように選択される。本体104は、連続気泡フォーム材料、発泡性固体材料、および実質的に不透明な材料の少なくとも1種を含めて、任意の適当な材料で形成できる。一実施形態では、本体104を形成するために用いられる材料は、比較的高い含水量を有する。
【0088】
一実施形態では、マスク100は、栄養素輸送構造116を含む。栄養素輸送構造116は、複数の孔120を含むことができる。孔120は、マスク100の一部のみに示してあるが、一実施形態では、孔120は、本体104全体にわたって位置していることが好ましい。一実施形態では、孔120は、六角形のパターンで配列されており、これは図45A中の複数の位置120'によって図示されている。以下に述べるように、複数の位置を定め、その後のマスク100上の複数の孔120の形成に後で使用することができる。マスク100は、本体104の外縁部を画定する外周縁部124を有する。いくつかの実施形態では、マスク100は、外周縁部124に少なくとも部分的に囲繞される開口部128および外周縁部124と開口部128の間に位置する非透過部分132を含む。
【0089】
マスク100は、対称、例えば、マスクの軸136の回りに対称であることが好ましい。一実施形態では、マスク100の外周縁部124は円形である。マスクは、約3mmから約8mmの範囲内、多くの場合約3.5mmから約6mmの範囲内、および一実施形態では約6mm未満の直径を一般に有する。別の実施形態では、マスクは円形であり、4から6mmの範囲の直径を有する。別の実施形態では、マスクは円形であり、4mm未満の直径を有する。別の実施形態では、外周縁部124は、約3.8mmの直径を有する。いくつかの実施形態では、非対称であるか、またはマスクの軸の回りに対称でないマスクにより、眼の生体構造に対して選択された位置に、マスクを配置または維持することを可能にするなどの利点が提供される。
【0090】
マスク100の本体104は、眼の特定の生体構造領域と結合するように構成することができる。マスク100の本体104は、それが適用される眼の固有の生体構造領域に適合するように構成することができる。例えば、湾曲を有する眼球構造に、マスク100を結合させる場合、本体104は、マスクの軸136に沿って、生体構造の湾曲に対応する量の湾曲を伴って提供することができる。例えば、マスク100が配置される1つの環境は、患者の目の角膜内にある。角膜は、特定可能な群、例えば成人の中で、実質的に一定の平均値付近で人によって変動する量の湾曲を有する。マスク100を角膜内に適用する場合、マスク100の前面108および後面112のうちの少なくとも1つは、角膜層の湾曲に対応する量の湾曲を伴って提供することができ、角膜層の間にマスク100が適用される。
【0091】
いくつかの実施形態では、マスク100は所望の量の屈折力を有する。屈折力は、前面108および後面112のうちの少なくとも1つを湾曲とともに構成することによって提供できる。一実施形態では、前面108および後面112は、異なる量の湾曲で提供される。この実施形態では、マスク100は、外周縁部124から開口部128に、変化する厚さを有する。
【0092】
一実施形態では、本体104の前面108および後面112のうちの1つは、実質的に平面である。平面である一実施形態では、平面の表面にわたって、均一な湾曲が、ごくわずかに測定できるか、または測定できない。別の実施形態では、前面108および後面112の両方が、実質的に平面である。一般に、インレーの厚さは、約1ミクロンから約40ミクロンの範囲内、多くの場合、約5ミクロンから約20ミクロンの範囲内とすることができる。一実施形態では、マスク100の本体104は、約5ミクロンと約10ミクロンの間の厚さ138を有する。一実施形態では、マスク100の厚さ138は、約5ミクロンである。別の実施形態では、マスク100の厚さ138は、約8ミクロンである。別の実施形態では、マスク100の厚さ138は、約10ミクロンである。
【0093】
角膜の比較的浅い位置(例えば、角膜の前面に近い)にマスク100を植え込む適用については、より薄いマスクが、一般により適している。より薄いマスクでは、本体104は、マスク100の光学性能に悪影響を与えないで結合する構造の湾曲部に乗せることができるほど十分に柔軟になり得る。一用途では、マスク100は、角膜の前面の下約5μmに植え込むように構成される。別の用途では、マスク100は、角膜の前面の下約52μmに植え込むように構成される。別の用途では、マスク100は、角膜の前面の下約125μmに植え込むように構成される。角膜中にマスク100を植え込むことに関するさらなる詳細については、図50A〜51Cとともに上述している。
【0094】
実質的に平面のマスクは、平面でないマスクに対していくつかの利点を有する。例えば、実質的に平面のマスクは、特定の湾曲に形成しなければならないマスクよりも容易に作製することができる。特に、マスク100に湾曲部を誘導することに関する加工ステップを省くことができる。さらに、実質的に平面のマスクは、各患者の角膜の湾曲部を利用して、本体104に適切な量の湾曲部を誘導するため、より広い分布の患者集団(またはより広い患者集団のうちの異なる小集団の中で)に使用することに、より適する可能性がある。
【0095】
いくつかの実施形態では、マスク100は、眼との結合の様式および位置に対して詳細に構成される。特に、マスク100は、コンタクトレンズとして眼に適用する場合、より大きくすることができ、または、眼の中の角膜の後方、例えば、眼のレンズ表面の近位に適用する場合、より小さくすることができる。上述したように、マスク100の本体104の厚さ138は、どこにマスク100を植え込むかに基づいて変更することができる。角膜内のより深い水準に植え込む場合、より厚いマスクが有利となり得る。より厚いマスクはいくつかの用途で有利である。例えば、それらは一般により扱いやすく、したがって作製し、植え込むことがより容易である。より厚いマスクは、あらかじめ形成した湾曲部を有することから、より薄いマスクよりも多くの利点を得ることができる。より厚いマスクは、適用する際に、固有の生体構造の湾曲に適合するように構成されている場合、植込みの前にはわずかな湾曲を有するかまたは湾曲のないように構成することができるであろう。
【0096】
開口部128は、マスクの軸136に沿った実質的にすべての入射光を透過するように構成されている。非透過部分132は、開口部128の少なくとも一部を囲繞し、そこへの入射光の透過を実質的に阻止する。上記のマスクに関して述べたように、開口部128は、本体104中の貫通孔とするか、または本体の実質的に光透過性(例えば、透明)部分としてもよい。マスク100の開口部128は、マスク100の外周縁部124内に一般に画定される。開口部128は、図6〜42とともに上述した構成などの任意の適当な構成を取ることができる。
【0097】
一実施形態では、開口部128は実質的に円形であり、マスク100の実質的に中心に位置する。開口部128の大きさは、老眼を患っている患者の眼の焦点深度を増大させるのに有効な任意の大きさとすることができる。例えば、一実施形態では、開口部128は、直径約2.2mm未満の円形とすることができる。別の実施形態では、開口部の直径は、約1.8mmと約2.2mmの間である。別の実施形態では、開口部128は円形であり、約1.8mm以下の直径を有する。別の実施形態では、開口部の直径は約1.6mmである。ほとんどの開口部は、約1.0mmから約2.5mmの範囲内、多くの場合、約1.3mmから約1.9mmの範囲内の直径を有するだろう。
【0098】
非透過部分132は、放射エネルギーがマスク100を透過するのを阻止するように構成されている。例えば、一実施形態では、非透過部分132は、入射放射エネルギースペクルの少なくとも一部の、実質的にすべての透過を阻止する。一実施形態では、非透過部分132は、実質的にすべての可視光、例えば、ヒトの眼に見える電磁スペクトルの放射エネルギーの透過を阻止するように構成される。非透過部分132は、いくつかの実施形態では、ヒトの眼に見える範囲外の放射エネルギーの透過を実質的に阻止することができる。
【0099】
図3とともに上述したように、非透過部分132によって光の透過を阻止することにより、網膜および窩で集束しないと思われる、網膜および窩に到達する光の量を減少させ、鮮明な像を形成する。図4とともに上述したように、開口部128の大きさは、そこを透過した光が、網膜または窩で一般に集束するような大きさである。したがって、一方でマスク100がない場合と比較して、はるかに鮮明な像が眼に現れる。
【0100】
一実施形態では、非透過部分132は、入射光の約90%の透過を阻止する。別の実施形態では、非透過部分132は、すべての入射光の約92%の透過を阻止する。マスク100の透過部分132は、光の透過を阻止するために不透明とするように構成することができる。本明細書で使用する場合、「不透明な」という用語は、放射エネルギー、例えば光エネルギーの透過を阻止できることを意味する広義語であることを意図し、すべての、またはすべてには満たない、または少なくとも相当な部分の光を吸収または別の方法で阻止する構造および配置も包含する。一実施形態では、本体104の少なくとも一部は、そこに入射する光の99%超に対して不透明であるように構成されている。
【0101】
上述したように、非透過部分132は、入射光を吸収しないで光の透過を阻止するように構成することができる。例えば、マスク100は、反射性にすることができるか、またはその全体が参照により本明細書に組み込まれている、2003年4月29日に発行された、特許文献10に述べられているような、より複雑な様式で光と相互作用するように作製することができるだろう。
【0102】
上述したように、マスク100は、いくつかの実施形態では、複数の孔120を含む栄養素輸送構造も有する。複数の孔120(または他の輸送構造)の存在により、場合によってより多くの光が、マスク100を通過できることによって、非透過部分132を通る光の透過に影響を及ぼす恐れがある。一実施形態では、非透過部分132は、孔120が存在しない状態で、約99%以上の入射光を、マスク100の通過から吸収するように構成されている。複数の孔120の存在により、より多くの光が非透過部分132を通過でき、非透過部分132に入射する光の約92%しか非透過部分132の通過を阻止できない。孔120は、より多くの光を、網膜まで非透過部分を通過させることによって、眼の焦点深度に関する開口部128の利点を低減させる恐れがある。
【0103】
孔120による開口部128の焦点深度についての利点の低減は、孔120の栄養素輸送の利点によって、差し引き評価される。一実施形態では、輸送構造116(例えば、孔120)は、第1の角膜層(すなわち、マスク100の前面108に隣接する層)から第2の角膜層(すなわち、マスク100の後面112に隣接する層)への栄養素の自然な流れを実質的に維持することができる。複数の孔120は、栄養素が、前面108と後面112の間でマスク100を通過できるように構成されている。上述したように、図43に示すマスク100の孔120は、マスク100上のどこでも配置することができる。本明細書で以下に説明する他のマスクの実施形態では、実質的にすべての栄養素輸送構造をマスクの1つ以上の領域に配置している。
【0104】
図43の孔120は、少なくとも部分的にマスク100の前面108および後面112の間に延在する。一実施形態では、それぞれの孔120は、孔入口140および孔出口164を含む。孔入口140は、マスク100の前面108に隣接して配置されている。孔出口164は、マスク100の後面112に隣接して配置されている。一実施形態では、それぞれの孔120は、マスク100の前面108および後面112の間の全間隔に延在する。
【0105】
輸送構造116は、1種以上の栄養素のマスク100全体への輸送を維持するように構成されている。マスク100の輸送構造116は、1種以上の栄養素のマスク100全体への十分な流れを提供することによって、第1および第2の角膜層(例えば、層1210および1220)のうちの少なくも1層での栄養素の欠乏を防止する。隣接する角膜層の生存能に対して特に重要な1つの栄養素は、グルコースである。マスク100の輸送構造116は、マスク100全体にわたって第1および第2の角膜層の間にグルコースの十分な流れを提供することによって、隣接する角膜組織を害すると思われるグルコースの欠乏を防止する。したがって、マスク100は、隣接する角膜層の間の栄養素の流れ(例えば、グルコースの流れ)を実質的に維持することができる。一実施形態では、栄養素輸送構造116は、第1の角膜層および第2の角膜層の少なくとも1つの隣接する組織中で、約4%超のグルコース(または他の生体物質)の欠乏を防止するように構成されている。
【0106】
孔120は、マスク100全体への栄養素の輸送を維持するように構成することができる。一実施形態では、孔120を、約0.015mm以上の直径で形成する。別の実施形態では、孔は、約0.020mmの直径を有する。別の実施形態では、孔は、約0.025mmの直径を有する。別の実施形態では、孔は、約0.027mmの直径を有する。別の実施形態では、孔120は、約0.020mmから約0.029mmの範囲の直径を有する。複数の孔120中の孔の数は、すべての孔120の孔入口140の表面積の合計が、マスク100の前面108の表面積の約5パーセント以上を含むように選択される。別の実施形態では、孔120の数は、すべての孔120の孔出口164の表面積の合計が、マスク100の後面112の表面積の約5パーセント以上を含むように選択される。別の実施形態では、孔120の数は、すべての孔120の孔出口164の表面積の合計が、マスク100の後面112の表面積の約5%以上を含み、すべての孔120の孔入口140の表面積の合計が、マスク100の前面108の表面積の約5パーセント以上を含むように選択される。別の実施形態では、複数の孔120は、約1600個の微小穿孔を含む。
【0107】
それぞれの孔120は、比較的一定の断面積を有する。一実施形態では、孔120のそれぞれの断面形状は、略円形である。それぞれの孔120は、前面108と後面112の間に延在する円柱を含むことができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、孔120の相対位置は、関心のあることである。上述したように、マスク100の孔120は、六角形状に詰めた、例えば六角形のパターンで配列されている。特に、この実施形態では、それぞれの孔120は、隣接する孔120から、場合によって本明細書では孔ピッチと呼ぶ、実質的に一定の距離によって離されている。一実施形態では、この孔ピッチは、約0.045mmである。
【0109】
六角形パターンでは、対称線間の角度は、約43度である。孔の任意の線に沿った孔の間隔は、一般に、約30ミクロンから約100ミクロンの範囲内であり、一実施形態では、約43ミクロンである。孔径は、一般に、約10ミクロンから約100ミクロンの範囲内であり、一実施形態では、約20ミクロンである。通過する光の量を制御したい場合は、孔の間隔と直径は関係づけられる。光の透過量は、本明細書の開示を考慮して、当業者によって理解されるように、孔面積の合計の関数である。
【0110】
図43の実施形態は、栄養素が、第1の角膜層から第2の角膜層へ流れることを有利に可能にする。本発明者らは、輸送構造116の存在によって、負の視覚効果が生じ得ることを見出した。例えば、いくつかの場合では、孔120の六角形状に詰めた配列により、患者に見える回折像を生じ得る。例えば、患者は、複数のスポット、例えば、六角形パターンを形成している孔120で中心光を囲んでいる、6個のスポットを観測する場合があるだろう。
【0111】
本発明者らは、回折像および他の有害な視覚効果が、マスクの他の視覚上の利点を実質的に阻害しないような、輸送構造の有利な配列を作製する、様々な技法を見出した。一実施形態では、回折像が観測可能と思われる場合、栄養素輸送構造は、回折光を像全体に均一に発散させて、観測可能なスポットを除去するように配置する。別の実施形態では、栄養素輸送構造は、回折像を実質的に除去するか、または回折像を、像の周縁部に押しやるパターンを使用する。
【0112】
図45B〜45Cは、その他の点では、マスク100に実質的に類似したマスクに適用できる、2つの実施形態の孔220のパターンを示す。図45A〜45Bの孔パターンの孔220は、ランダムな孔間隔または孔ピッチによって互いに間隔をおいて配置されている。以下に述べる他の実施形態では、孔は、不均一な量、例えばランダムでない量によって、互いに間隔をおいて配置されている。一実施形態では、孔220は、実質的に均一な形状(実質的に一定の断面積を有する円柱状の坑)を有する。図45Cは、孔の密度が、図45Bの孔の密度よりも大きい、ランダムな間隔で離された複数の孔220を示す。一般に、孔を有するマスク本体の割合が高いほど、マスクは、本来の組織と同様の方法でより多くの栄養素を輸送するだろう。より高い割合の孔面積を提供する1つの方法は、孔の密度を増加させることである。孔の密度の増加により、より小さな孔に、密度のより低い、より大きな孔によって達成するのと同じ栄養素輸送を実現させることもできる。
【0113】
図46Aは、以下に別に説明する以外は、マスク100と実質的に類似した別のマスク200aの一部を示す。マスク200aは、第III節で述べた材料を含めて、本明細書で述べる材料で作製することができる。マスク200aは、図48a〜48dとともに以下に述べる過程およびそのような過程の変形を含む過程などの任意の適当な過程によって形成することができる。マスク200aは、複数の孔220aを含む栄養素輸送構造216aを有する。相当な数の孔220aは、不均一な大きさを有する。孔220aは、断面形状において均一とすることができる。孔220aの断面形状は、一実施形態では実質的に円形である。孔220aは、形状において円形とし、孔入口から孔出口まで同じ直径を有することができるが、その他の点では、少なくとも1つの態様において、例えば大きさにおいて不均一である。相当な数の孔の大きさを、ランダム量によって変更することが好ましい場合がある。別の実施形態では、孔220aは、大きさが不均一(例えば、ランダム)であり、不均一な(例えば、ランダム)間隔によって離されている。
【0114】
図46Bは、以下に別に説明する以外は、マスク100と実質的に類似した別のマスク200bの一部を示す。マスク200bは、第III節で述べた材料を含めて、本明細書で述べる材料で作製することができる。さらに、マスク200bは、図48a〜48dとともに以下に述べる過程およびそのような過程の変形を含む過程などの任意の適当な過程によって形成することができる。マスク200bは、本体204bを含む。マスク200bは、不均一な切子面の配向をした複数の孔220bを含む輸送構造216bを有する。特に、それぞれの孔220bは、マスク200bの前面に配置することのできる孔入口を有する。孔入口の切子面は、孔入口を囲繞するマスク200bの本体204bの一部によって画定される。切子面は、前面の孔入口の形状である。一実施形態では、ほとんどの、またはすべての切子面は、細長い形状、例えば長軸および長軸と垂直な短軸をもつ、長円形を有する。切子面は、実質的に均一な形状とすることができる。一実施形態では、切子面の配向は、均一でない。例えば、相当な数の切子面は、不均一な配向を有することができる。1つの配列では、相当な数の切子面が、ランダムな配向を有する。いくつかの実施形態では、切子面は、形状が不均一(例えば、ランダム)であり、配向が不均一(例えば、ランダム)である。
【0115】
複数の孔の、1つまたは複数の前述の態様を含めて少なくとも1つの態様を変更することにより、孔が、眼に見える回折像、または上述した任意のパターンなどの、開口部を有するマスクによって提供することのできる視力改善を、別の方法で低減するパターンを生じる傾向を低減するという、他の実施形態を提供することができる。例えば、一実施形態では、少なくとも相当な数の孔の、孔の大きさ、形状、および配向をランダムに変更できるか、または別の方法で不均一とすることができる。
【0116】
図47は、以下に別に説明する以外は、本明細書で前述した任意のマスクに実質的に類似した、別の実施形態のマスク300を示す。マスク300は、第III節で述べた材料を含めて、本明細書に述べる材料で作製することができる。さらに、マスク300は、図48a〜48dとともに以下に述べる過程およびそのような過程の変形を含む過程などの任意の適当な過程によって形成することができる。マスク300は、本体304を含む。本体304は、外周縁領域305、内周縁領域306、および孔領域307を有する。孔領域307は、外周縁領域305と内周縁領域306の間に位置する。本体304は、開口部領域も含み、この開口部(以下に述べる)は、貫通孔ではない。マスク300は、栄養素輸送構造316も含む。一実施形態では、栄養素輸送構造は、複数の孔を含む。少なくとも相当な部分の孔(例えば、すべての孔)は、孔領域307内に位置する。上記のように、簡略化のため、栄養素構造316の一部だけを示してある。しかし、孔は、孔領域307全体に配置することができることを理解すべきである。
【0117】
外周縁領域305は、マスク300の外周縁部324からマスク300の選択された外周辺部325に広げることができる。マスク300の選択された外周辺部325は、マスク300の外周縁部324から選択された半径方向距離に位置する。一実施形態では、マスク300の選択された外周辺部325は、マスク300の外周縁部324から約0.05mmに位置する。
【0118】
内周縁領域306は、内部の位置、例えば、マスク300の開口部328に隣接する内周縁部326からマスク300の選択された内周辺部327まで広げることができる。
マスク300の選択された内周辺部327は、マスク300の内周縁部326から選択された半径方向距離に位置する。一実施形態では、マスク300の選択された内周辺部327は、内周縁部326から約0.05mmに位置する。
【0119】
マスク300は、複数の位置のランダム選択およびその位置に対応するマスク300上の孔の形成を伴う過程の製作物とすることができる。以下にさらに述べるように、この方法は、選択した位置が1つまたは複数の基準を満たすかどうかを判定することも伴うことができる。例えば、1つの基準は、すべての、少なくとも大部分の、または少なくとも相当な部分の孔が、内周縁領域306または外周縁領域305に対応する位置に形成されることを禁ずる。別の基準は、すべての、少なくとも大部分の、または少なくとも相当な部分の孔が、互いに接近しすぎて形成されることを禁ずる。例えば、このような基準は、壁厚、例えば、隣接する孔間の最短距離が、所定の量未満ではないことを保証するために使用することができるであろう。一実施形態では、壁厚が、約20ミクロン未満となることを防止する。
【0120】
図47の実施形態の変形では、外周縁領域305が除かれ、孔領域307が、内周縁領域306から外周縁部324まで広がっている。図47の実施形態の別の変形では、内周縁領域306が除かれ、孔領域307が、外周縁領域305から内周縁部326まで広がっている。
【0121】
図44Bは、以下に別に説明する以外はマスク100と類似したマスク400を示す。マスク400は、第III節で述べた材料を含めて、本明細書に述べる材料で作製することができる。マスク400は、図48a〜48dとともに以下に述べる過程およびそのような過程の変形を含む過程などの任意の適当な過程によって形成することができる。マスク400は、前面408および後面412を有する本体404を含む。マスク400は、一実施形態では、複数の孔420を含む、栄養素輸送構造4316も含む。孔420は、栄養素輸送は提供するが、放射エネルギー(例えば、光)が、孔404を通って、窩に隣接する網膜の位置に透過するのを実質的に阻止するように、本体404中に形成されている。特に、孔404は、マスク1000と結合している眼が、見られる物体に向く際に、孔420に入射する、その物体の像を搬送している光が、窩付近で終わる経路に沿って孔から出ることができないように形成されている。
【0122】
一実施形態では、それぞれの孔420は、孔入口460および孔出口464を有する。それぞれの孔420は、輸送軸466に沿って延在する。輸送軸466は、光が、孔420を通って前面408から後面412へ伝播するのを実質的に阻止するように形成されている。一実施形態では、少なくとも相当な数の孔420は、輸送軸466に沿って、マスク400の厚さ未満の大きさを有する。別の実施形態では、少なくとも相当な数の孔420は、前面408または後面412の少なくとも1つ(例えば、切子面)で、マスク400の厚さ未満である、最長寸法の周囲長を有する。いくつかの実施形態では、輸送軸466は、マスクの軸436に対して、光が孔420を通って前面408から後面412へ伝播するのを実質的に阻止する角度をなして形成される。別の実施形態では、1つ以上の孔420の輸送軸466は、マスクの軸436に対して、ほとんどの孔入口460の投影が、孔出口464と重なるのを阻止するのに十分な大きさの角度をなして形成される。
【0123】
一実施形態では、孔420は、断面が円形であり、約0.5ミクロンと約8ミクロンの間の直径を有し、輸送軸466は、5度と85度の間である。それぞれの孔420の長さ(例えば、前面408と後面412の間の距離)は、約8ミクロンと約92ミクロンの間である。別の実施形態では、孔420の直径は、約5ミクロンであり、輸送の角度は約40度以上である。孔420の長さが増加する場合、追加の孔420を含めることが望ましい場合がある。いくつかの場合では、追加の孔420は、より長い孔により、マスク400を通る栄養素の流量が減少する傾向を打ち消す。
【0124】
図44Cは、以下に別に説明する以外はマスク100と類似したマスク500を示す。マスク500は、第III節で述べた材料を含めて、本明細書に述べる材料で作製することができる。マスク500は、図48a〜48dとともに以下に述べる過程およびそのような過程の変形を含む過程などの任意の適当な過程によって形成することができる。マスク500は、前面508、前面508に隣接した第1のマスク層510、後面512、後面512に隣接した第2のマスク層514、および第1のマスク層510と第2のマスク層514の間に位置した第3のマスク層515を有する本体504を含む。マスク500は、一実施形態では複数の孔520を含む栄養素輸送構造516も含む。孔520は、上述したように、栄養素はマスク全体に輸送されるが、放射エネルギー(例えば、光)が、孔504を通って、窩に隣接する網膜の位置に透過するのを実質的に阻止するように、本体504中に形成されている。特に、孔504は、マスク500と結合する眼が、見られる物体に向いた際に、孔520に入射する、その物体の像を搬送している光が、窩付近で終わる経路に沿って孔から出ることができないように形成されている。
【0125】
一実施形態では、少なくとも1つの孔520は、光が少なくとも1つの孔を通って前面から後面に伝播するのを実質的に阻止する、非直線経路に沿って延在する。一実施形態では、マスク500は、第1の輸送軸566aに沿って延在する第1の孔部分520aを含み、第2のマスク層514は、第2の輸送軸566bに沿って延在する第2の孔部分520bを含み、第3のマスク層515は、第3の輸送軸566cに沿って延在する第3の孔部分520cを含む。第1の輸送軸566a、第2の輸送軸566b、および第3の輸送軸566cは、同一直線にないことが好ましい。一実施形態では、第1の輸送軸566aおよび第2の輸送軸566bは、平行であるが、第1の選択量だけ外れて配置されている。一実施形態では、第2の輸送軸566bおよび第3の輸送軸566cは、平行であるが、第2の選択量だけ外れて配置されている。図示した実施形態では、輸送軸566a、566b、566cのそれぞれは、孔部分520a、520b、520cの幅の2分の1だけ外れて配置されている。したがって、孔部分520aの最内縁部は、軸536からの孔部分520bの最外縁部の距離と等しいかまたはその距離を超える距離だけ軸536から間隔をおいて配置されている。この間隔は、光が、孔520を通って前面508から後面512に通過するのを実質的に阻止する。
【0126】
一実施形態では、第1および第2の量は、孔を通る光の透過を実質的に阻止するように選択される。第1および第2の離隔量は、任意の適当な方法で実現し得る。所望の離隔値で孔部分520a、520b、520cを形成する1つの技法は、層構造を提供することである。上述したように、マスク500は、第1層510、第2層514、第3層515を含むことができる。図44Cは、マスク500が3層で形成できることを示す。別の実施形態では、マスク500は、4層以上で形成される。より多くの層を提供することにより、光が孔490を通って網膜上に透過する傾向を有利にさらに減少させることができる。これは、患者が、マスク500の視覚上の利点を損ねることになるパターンを観察するか、またはそうでなければ認知することになる可能性を低減する利点を有する。別の利点は、マスク500を通過する光が、より少なくなることとなり、それによって、マスクに形成したピンホール大の開口部による焦点深度の増大が高まることである。
【0127】
前述の任意のマスクの実施形態では、マスクの本体は、十分な栄養素輸送を提供し、上述したような回折などの負の光学効果を実質的に阻止するために選択した材料で形成することができる。様々な実施形態において、マスクは、連続気泡フォーム材料で形成される。別の実施形態では、マスクは、発泡性固体材料で形成される。
【0128】
図45Bおよび図45Cとともに上述したように、栄養輸送のために、孔の様々なランダムパターンを有利に提供することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの態様では不均一である規則的なパターンを提供すれば十分な場合がある。孔に対する不均一な態様は、任意の適当な技法によって提供できる。
【0129】
1つの技法の第1のステップでは、複数の位置220'を生成する。位置220'は、不均一なパターンまたは規則的なパターンを含むことができる、一連の座標である。位置220'は、ランダムに生成することができるか、または数学的関係によって関連づけることができる(例えば、一定の間隔によって、または数学的に定義できる量によって離された)。一実施形態では、位置は、一定のピッチまたは間隔で離されるように選択され、六角形状に詰めることができる。
【0130】
第2のステップで、複数の位置220'の中の位置のサブセットを修正することにより、マスクの性能特性を維持する。この性能特性は、マスクの任意の性能特性とすることができる。例えば、性能特性は、マスクの構造整合性に関連づけることができる。複数の位置220'を、ランダムに選択する場合、位置のサブセットを修正する過程により、生じるマスク中の孔のパターンを「擬似ランダム」パターンにしてもよい。
【0131】
六角形状に詰めたパターンの位置(図45Aの位置120'など)を、第1のステップで選択する場合、位置のサブセットは、第1のステップで選択した最初の位置に対して移動することができる。一実施形態では、位置のサブセット内のそれぞれの位置は、孔間隔の分数に等しい量だけ移動させる。例えば、位置のサブセット内のそれぞれの位置は、孔間隔の4分の1に等しい量だけ移動してもよい。位置のサブセットを、一定量移動する場合、移動させる位置は、ランダムにまたは擬似ランダムに選択することが好ましい。別の実施形態では、位置のサブセットは、ランダムな量または擬似ランダムな量だけ移動される。
【0132】
1つの技法では、マスクの外周縁部と外周縁部から約0.05mmの選択された半径方向距離との間に広がる、外周縁領域が画定される。別の実施形態では、マスクの開口部と開口部から約0.05mmの選択された半径方向距離との間に広がる、内周縁領域が画定される。別の実施形態では、マスクの外周縁部と選択された半径方向距離との間に広がる外周縁領域が画定され、マスクの開口部と開口部からの選択された半径方向距離との間に広がる内周縁領域が画定される。1つの技法では、位置のサブセットは、内周縁領域または外周縁領域に形成される孔に対応すると思われる位置を除外することによって修正される。外周縁領域および内周縁領域の少なくとも1つで位置を除外することによって、この領域内のマスクの強度が増加する。より強い内周縁領域および外周縁領域によって、いくつかの利点が提供される。例えば、マスクは、製造中、またはマスクを損傷させないで患者に適用する際の取り扱いがより容易になり得る。
【0133】
別の実施形態では、位置のサブセットは、孔の離隔距離を最小限度および/または最大限度と比較することによって修正される。例えば、2つの位置が最小値よりも近いことのないことを確実にすることが望ましい。いくつかの実施形態では、このことは、隣接する孔間の離隔距離に対応する壁厚が、最少量以上であることを確実にするために重要である。上述したように、離隔距離の最小値は、一実施形態では約20ミクロンであり、それによって約20ミクロン以上の壁厚を提供する。
【0134】
別の実施形態では、位置のサブセットを修正する、かつ/または位置のパターンを増強することによって、マスクの光学特性を維持する。例えば、光学特性は、不透明度とすることができ、位置のサブセットは、修正することによってマスクの非透過部分の不透明度を維持することができる。別の実施形態では、位置のサブセットは、本体の第2の領域中の孔密度と比較して、本体の第1の領域中の孔密度を一様にすることによって修正することができる。例えば、マスクの非透過部分の第1および第2の領域に対応する位置を、識別することができる。一実施形態では、第1の領域および第2の領域は、実質的に等しい面積の円弧状の領域(例えば、楔形)である。位置の第1の面密度(例えば、1平方インチあたりの位置数)は、第1の領域に対応する位置について計算され、位置の第2の面密度は、第2の領域に対応する位置について計算される。一実施形態では、第1および第2の面密度の比較に基づいて、少なくとも1つの位置が、第1または第2の領域のどちらかに加えられる。別の実施形態では、第1および第2の面密度の比較に基づいて、少なくとも1つの位置が除かれる。
【0135】
位置のサブセットは、修正することによってマスクの栄養素輸送を維持することができる。一実施形態では、位置のサブセットを修正することによってグルコース輸送を維持する。
【0136】
第3のステップで、マスクの本体中の、修正した、増強した、または修正し、増強した位置のパターンに対応する位置に孔を形成する。この孔は、眼に見える回折像を生じないで、第1層から第2層への栄養素の自然な流れを実質的に維持するように構成される。
【0137】
VI.ピンホール開口部装具を適用する方法
本明細書で述べる様々なマスクは、老眼患者ならびに他の視力問題をもつ患者の視力を改善するために使用することができる。本明細書で述べるマスクは、LASIK法と組み合わせて配置することによって、角膜における剥離、収差、およびくぼみの影響を排除することができる。本明細書に開示するマスクを使用して、例えば、光線を網膜の影響されていない部分に向け、それによって患者の視力を改善することによって黄斑変性症を患っている患者を治療できるとも考えられている。いかなる治療を意図しても、ピンホール開口部を有するマスクの中心領域を、患者の視線または視軸とより正確に位置合わせすることによって、患者にとってより大きな臨床上の利点が提供されると考えられる。ピンホール開口部を必要としない他の眼の装具も、以下に述べる位置合わせ技法から恩恵を受けることができる。さらに、眼の装具を取り出すために用いることのできる様々な構造および技法を、以下に述べる。
【0138】
A.ピンホール開口部と患者の視軸との位置合わせ
ピンホール開口部38の中心領域、特にマスク34の光軸39の、眼10の視軸との位置合わせは、様々な方法で実現できる。1つの技法では、光学装具は、患者からの情報提供を使用することによって、マスク34を植え込む手順とともに視軸の位置を特定する。この技法は、その内容全体が参照により本明細書に、本明細書によって特別に組み込まれている、2004年12月1日に出願された特許文献8により詳細に記載されている。
【0139】
他の実施形態では、装置および方法は、視線と相関する1つ以上の目視できる眼球の特徴部を識別する。1つ以上の目視できる眼球の特徴部は、マスクを眼に適用している間に観察される。目視できる眼球の特徴部を用いる位置合わせは、マスクが適切に機能して焦点深度を増大させることを可能にする。いくつかの用途では、処置方法によって、目視できる眼球の特徴部と視線の相関を高めることにより、マスクの軸と視線の位置合わせを維持するか、または改善する。
【0140】
マスクの正確な位置合わせは、マスクの臨床上の利点を向上させると考えられる。しかし、マスクの光軸も患者の視線も、マスクを植え込むために意図された外科手術の間、一般に目視できない。しかし、マスクの光軸と視線の実質的な位置合わせは、目視できるマスクの特徴部を目視できる眼の特徴部、例えば、目視できる眼球の特徴部と位置合わせすることによって実現できる。本明細書で使用する場合、「目視できる眼球の特徴部」という用語は、外科用顕微鏡または拡大鏡などの視覚補助器具で見ることのできる特徴部、ならびに肉眼で見える特徴部を含む広義語である。目視できる眼球の特徴部を用いてマスクの装着の精度を高める様々な方法を以下に述べる。これらの方法は、目視できる眼球の特徴部の位置と視線との間の相関を高めるため、または眼球の特徴部の視感度を高めるために眼を処置することを一般に伴う。
【0141】
図48は、目視できる眼球の特徴部を用いてマスクを眼の軸と位置合わせする1つの方法を示す流れ図である。この方法は、目視できる眼球の特徴部、目視できる眼球の特徴部の組合せ、または目視できる眼球の特徴部および眼の視線の位置と十分に相関する光学効果の組合せを識別するステップを含むことができる。1つの技法では、入射瞳または他の目視できる眼球の特徴部は、単独で使用することによって視線の位置を推定できると思われる。別の技法では、視線の位置は、入射瞳の中心と第1プルキニエ像との間、例えば、中間に位置すると推定できる。他の推定は、第1プルキニエ像、第2プルキニエ像、第3プルキニエ像および第4プルキニエ像のうちの2つ以上の組合せに基づくことができる。他の推定は、1つ以上のプルキニエ像および1つ以上の他の生体構造的特徴に基づくことができる。別の技法では、第1プルキニエ像が、入射瞳の中心に近接して位置している場合、視線の位置は、瞳孔の中心に位置していると推定できる。単一のプルキニエ像は、プルキニエ像が、眼の表面に対して一定の、または既知の入射角を有する光線によって生じる場合、視線の位置について妥当な推定を提供し得る。この方法は、以下にさらに述べるように、目視できる眼球の特徴部と位置合わせする目視できるマスクの特徴部を識別するステップも含む。
【0142】
ステップ1000で、眼を処置することにより、目視できる眼球の特徴部を、好ましくは一時的に、影響を与えるかまたは変化させる。いくつかの実施形態では、眼の特徴部を変化させて、眼の視線に対する眼球の特徴部の位置の相関を高める。いくつかの場合では、ステップ1000の処置により、外科医に対して眼球の特徴部の視感度を高める。眼球の特徴部は、瞳孔または患者の視線と相関させるために処置することによって相関するか、または変化できる任意の他の特徴などの、任意の適当な特徴とすることができる。いくつかの技法は、マスクの特徴部の、瞳孔または瞳孔の一部との位置合わせを伴う。瞳孔の視感度、または瞳孔の位置と視線との相関を高めるための1つの技法は、瞳孔の大きさを操作する、例えば、瞳孔の大きさを増加させるかまたは減少させることを伴う。
【0143】
図48の方法に関して、任意の適当な基準を用いることによって、眼とピンホール開口部を有するマスクとの位置合わせを確認することができる。例えば、マスクの任意の特徴が、眼の任意の解剖学的ランドマークと位置合わせされ、ピンホール開口部の中心を通過する軸が、視線ならびに入射瞳の中心および眼球の中心を通過する軸などの眼の光学軸と同一直線上にあるか、または実質的に同一直線上にある場合、マスクは眼と位置合わせされたと考えることができる。本明細書で使用する場合、「解剖学的ランドマーク」は、入射瞳の中心、視線と選択された角膜層との交点、虹彩の内周縁部、虹彩の外周縁部、強膜の内周縁部、虹彩と瞳孔の間の境界、虹彩と強膜の間の境界、第1プルキニエ像の位置、第2プルキニエ像の位置、第3プルキニエ像の位置、第4プルキニエ像の位置、任意のプルキニエ像の組合せの相対位置、プルキニエ像の位置および他の解剖学的ランドマークの組合せ、ならびに前述の、または他の解剖学的特徴の任意の組合せなどの、目視できる眼球の特徴部を含む広義語である。
【0144】
瞳孔の大きさは、薬理学的操作および光操作を含めた任意の適当な技法によって減少させることができる。瞳孔の大きさの薬理学的操作に用いる1つの薬剤は、ピロカルピンである。ピロカルピンは、眼に適用すると瞳孔の大きさを減少させる。ピロカルピンを眼に適用する1つの方法は、有効な量を眼の中に注入することである。瞳孔の大きさを減少させる他の薬剤として、カルバコール、デメカリウム、イソフルロフェート、フィゾスチグミン、アセクリジン、およびエコチオフェートが挙げられる。
【0145】
ピロカルピンは、いくつかの場合では、瞳孔の位置を鼻側に移動させることが知られている。これは、遠視力を改善することに関する処置などのいくつかの眼球処置に問題となり得る。しかし、出願者は、このような移動は本明細書に説明するマスクの有効性を著しく低減しないことを見出した。
【0146】
本明細書に説明するマスクと視線との位置合わせは、ピロカルピンの使用によって著しく悪化しないが、瞳孔の鼻側への移動を補正する任意選択のステップを実施してもよい。
【0147】
1つの変形では、ステップ1000の処置は、瞳孔の大きさを増加させることを伴う。この技法は、マスクの外周縁部付近の目視できるマスクの特徴部を、瞳孔と位置合わせすることが望まれる場合に、より適切となり得る。これらの技法を以下にさらに述べる。
【0148】
上述したように、ステップ1000の処置は、目視できる眼球の特徴部を操作するための非薬理学的技法を伴うことができる。1つの非薬理学的技法は、瞳孔の大きさを変化させるために、光の使用を伴う。例えば、明るい光を眼の中に向けて瞳孔を収縮させることができる。この手法により、いくつかの薬理学的技法に関して観察されてきた瞳孔の変位を実質的に避けることができる。光は、瞳孔の大きさを増加させることにも使用できる。例えば、周辺光を低減することにより、瞳孔を散大させることができる。散大した瞳孔は、以下に述べるように、マスクの外周縁部に隣接する目視できるマスクの特徴部に位置合わせすることに関して、いくつかの利点を提供し得る。
【0149】
ステップ1004で、マスクの目視できる特徴部は、ステップ1000に関連して識別された眼球の特徴部と位置合わせされる。上述したように、マスクは、内周縁部、外周縁部、および内周縁部内に配置されたピンホール開口部を有することができる。ピンホール開口部は、マスクの軸の中心に配置することができる。上述した他の有利なマスクの特徴部は、図48で示す方法によって適用されるマスク中に含めてもよい。例えば、そのような特徴部は、回折像を実質的に除去するように構成された栄養素輸送構造、隣接する角膜組織中での栄養素の欠乏を実質的に阻止するように構成された構造、および他のマスクに関連して上述した他の任意のマスクの特徴部を含み得る。
【0150】
1つの技法は、マスクの内周縁部の少なくとも一部を解剖学的ランドマークと位置合わせすることを伴う。例えば、マスクの内周縁部は、虹彩の内周縁部と位置合わせすることができるだろう。これは、肉眼または拡大鏡もしくは外科用顕微鏡などの視覚補助器具を用いて達成することができる。マスクは、マスクの内周縁部と虹彩の内周縁部との間に実質的に同じ間隔を提供するように位置合わせすることができるだろう。この技法は、上述したように、虹彩を収縮させることによって容易にすることができると思われる。視覚補助物を採用することにより、マスクを解剖学的ランドマークと位置合わせすることをさらに補助してもよい。例えば、視覚補助物は、外科医がマスクを配置するために使用できる複数の同心の印を含むことができるだろう。虹彩の内周縁部が、マスクの内周縁部より小さい場合、第1の同心の印は、虹彩の内周縁部と位置合わせすることができ、マスクは、第2の同心の印が、マスクの内周縁部と位置合わせされるように配置することができるだろう。この例では、第2の同心の印は、第1の同心の印よりも共通の中心からより遠くにあるだろう。
【0151】
別の技法では、マスクの外周縁部は、虹彩の内周縁部などの解剖学的ランドマークと位置合わせすることができるだろう。この技法は、瞳孔を散大させることによって容易にすることができると思われる。この技法は、上述したような複数の同心の印を含むことのできる視覚補助物の使用によって高度化することができる。別の技法では、マスクの外周縁部は、虹彩と強膜の間の境界などの解剖学的ランドマークと位置合わせすることができるだろう。この技法は、複数の同心の印などの視覚補助物の使用によって容易にすることができる。
【0152】
別の技法では、マスクは、マスクの内周縁部と虹彩の内周縁部との間に実質的に同じ間隔を提供するように位置合わせすることができる。この技法では、瞳孔は、瞳孔の直径が、ピンホール開口部の直径よりも小さいように収縮させることが好ましい。
【0153】
一方、適切な位置合わせの視覚的合図を与える人為構造をマスク内に形成することができる。例えば、マスク内に形成した1つ以上の窓部分が存在することができ、そこを通して、瞳孔の縁部が観察できるだろう。窓部分は、透明な目盛りとすることができるか、または窓部分は、少なくともある程度不透明な領域とすることができ、そこを通して瞳孔の縁部が観察できるだろう。1つの技法では、外科医は、ピンホール開口部のいずれかの側部上の、対応する窓部分に瞳孔が見えるまでマスクを移動させる。窓部分により、外科医が、マスクの非透過区域の下に位置する目視できる眼球の特徴部をマスクの特徴部と位置合わせすることが可能になる。この仕組みは、瞳孔を多大に収縮させることなく、例えば、瞳孔が内周縁部の直径よりも小さい大きさまで完全に収縮させないで、位置合わせを可能にする。
【0154】
眼球の特徴部と1つ以上の目視できるマスクの特徴部との位置合わせにより、マスクの軸が、眼の視線と実質的に位置合わせされることが好ましい。マスクの軸と眼、例えば眼の視線との「実質的な位置合わせ」(および「実質的に同一直線上の」などの類似の用語)は、患者の視力が、マスクの植込みによって改善する際に実現していたと言うことができる。いくつかの場合では、実質的な位置合わせは、視線の中心に位置し、マスクの内周縁部の半径の5%以下の半径を有する円内に、マスクの軸があるときに、実現していたと言うことができる。いくつかの場合では、実質的な位置合わせは、視線の中心に位置し、マスクの内周縁部の半径の10%以下の半径を有する円内に、マスクの軸があるときに、実現していたと言うことができる。いくつかの場合では、実質的な位置合わせは、視線の中心に位置し、マスクの内周縁部の半径の15%以下の半径を有する円内に、マスクの軸があるときに、実現していたと言うことができる。いくつかの場合では、実質的な位置合わせは、視線の中心に位置し、マスクの内周縁部の半径の20%以下の半径を有する円内に、マスクの軸があるときに、実現していたと言うことができる。いくつかの場合では、実質的な位置合わせは、視線の中心に位置し、マスクの内周縁部の半径の25%以下の半径を有する円内に、マスクの軸があるときに、実現していたと言うことができる。いくつかの場合では、実質的な位置合わせは、視線の中心に位置し、マスクの内周縁部の半径の30%以下の半径を有する円内に、マスクの軸があるときに、実現していたと言うことができる。上述したように、マスクの軸と患者の視線の位置あわせにより、マスクの臨床上の利点が高められると考えられる。
【0155】
ステップ1008で、マスクを患者の眼に適用する。マスクを患者の眼に適用する間、マスクの光軸と患者の視線の位置合わせが、維持されていることが好ましい。いくつかの場合では、この位置あわせは、マスクの特徴部、例えば、目視できるマスクの特徴部と、瞳孔の特徴部、例えば、目視できる瞳孔の特徴部の位置合わせを維持することによって維持される。例えば、1つの技法では、マスクを患者の眼に適用中の間、マスクの内周縁部および外周縁部のうちの少なくとも1つと瞳孔との位置合わせを維持する。
【0156】
上述したように、マスクを患者の眼に適用するために、様々な技法を使用できる。図48に示した方法に関連して、マスクを適用する任意の適当な技法を使用することができる。例えば、図50A〜51Cとともに上記に説明したように、様々な技法を使用することによって、マスクを角膜内の異なる深度または異なる層の間に配置することができる。特に、1つの技法では、適当な深度の角膜フラップを蝶番開きする。フラップの深度は、1つの技法では、角膜の厚さの最外側約20%である。別の技法では、フラップの深度は、角膜の厚さの最外側約10%である。別の技法では、フラップの深度は、角膜の厚さの最外側約5%である。別の技法では、フラップの深度は、角膜の厚さの最外側約5%から最外側約10%の範囲内である。別の技法では、フラップの深度は、角膜の厚さの最外側約5%から最外側約20%の範囲内である。別の技法に対して、他の深度および範囲が可能である。
【0157】
その後、1つの技法では、マスクの内周縁部および外周縁部のうちの少なくとも1つが、瞳孔に対して選択された位置にあるように、マスクを角膜層上に配置する。この技法の変形では、マスクの他の特徴部を眼球の他の特徴部と位置合わせすることができる。その後、蝶番開きとなった角膜フラップをマスクの上に置く。
【0158】
マスクを適用するための追加の技法は、図52A〜53とともに上述されている。これらの方法は、目視できる特徴部を用いる位置合わせに関して使用するために改変することができる。これらの技法は、眼から持ち上げられる角膜層の上に、マスクを最初に配置することを可能にする。持ち上げた角膜層上へのマスクの最初の配置は、目視できる眼球の特徴部を、目視できるマスクの特徴部と位置合わせする前であっても後であってもよい。いくつかの技法では、持ち上げた角膜層上へのマスクの最初の配置の前後に、第1および第2の位置合わせステップが実施される。
【0159】
前述の方法の多くの追加の変形も可能である。目視できる特徴部の位置合わせを伴う位置合わせ方法は、光学的に患者の視線の位置を特定することに関して上述した任意の技法を組み合わせることができる。1つの技法は、上皮シートを取り出し、ボーマン膜中または間質中にくぼみを作製することを伴う。さらに、マスクは、角膜中、例えば、間質の最上層中または最上層付近に形成したチャネル中に配置することができる。角膜を処理するための別の有用な技法は、角膜内にポケットを形成することを伴う。角膜の処理に関するこれらの方法は、先にさらに詳細に説明してある。
【0160】
いくつかの技法では、フラップが治癒するまで、フラップの上にコンタクトレンズまたは他のカバーなどの、手術後の一時的なカバーを配置することから恩恵を受けることができる。1つの技法では、上皮シートが、マスクに接着するか、またはボーマン膜などの露出した層の上に成長するまで、カバーをフラップの上に配置する。
【0161】
B.マスクの適用方法
眼10の視軸またはその位置を示す目視できる眼球の特徴部の位置を特定するための、および視軸を視覚的に示すための方法を説明したので、マスクを眼に適用するための様々な方法を述べることとする。
【0162】
図49は、自身の焦点深度を増大させることに興味のある患者をスクリーニングするための1つの技法を示す。この過程は、ステップ1100から始まり、ここで患者は、ソフトコンタクトレンズを装着する、すなわち、ソフトコンタクトレンズをそれぞれの患者の眼の中に配置する。必要な場合、ソフトコンタクトレンズには、視力矯正を含めることができる。次に、ステップ1110で、上述したように、それぞれの患者の眼の視軸の位置を特定する。ステップ1120で、上述した任意のマスクなどのマスクを、マスクの開口部の光軸が、眼の視軸と位置合わせされるように、ソフトコンタクトレンズの上に配置する。この位置で、マスクは、患者の瞳孔と概して同心に位置するだろう。さらに、マスクの湾曲部は、患者の角膜の湾曲部と平行であるべきである。この過程はステップ1130に続き、ここで患者は、第2の一組のソフトコンタクトレンズを装着する、すなわち、第2のソフトコンタクトレンズを、それぞれの患者の眼の中のマスクの上に配置する。第2のコンタクトレンズは、実質的に一定の位置にマスクを維持する。最後に、ステップ1140で、患者の視力を試験する。試験中、マスクの位置付けを確認することにより、マスクの開口部の光軸が、眼の視軸と実質的に同一直線上にあることを保証することが賢明である。試験のさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2003年4月29日に発行された、特許文献10に説明されている。
【0163】
本発明のさらに別の実施形態によれば、自身の焦点深度を増大させることに興味のある患者の眼の中に、マスクが外科的に植え込まれる。例えば、上述したように、患者は、老眼を患っている場合がある。マスクは、従来技術で説明されたマスクと類似した、本明細書に説明したマスク、または1つ以上のこれらの特性を組み合わせたマスクとすることができる。さらに、マスクは、視覚収差を補正するように構成することができる。外科医が患者の眼の中にマスクを外科的に植え込むことを補助するために、マスクは、植込みを簡単にするため、あらかじめ巻くか、または折りたたむことができる。
【0164】
マスクは、いくつかの位置に植え込むことができる。例えば、マスクは、角膜の上皮シートの下、角膜のボーマン膜の下、角膜間質の最上層中、または角膜間質中に植え込むことができる。マスクが、角膜の上皮シートの下に配置されている場合、マスクの除去には、角膜の上皮シートの剥離ぐらいしか必要としない。
【0165】
図50aから50cは、上皮シート1210の下に挿入したマスク1200を示す。この実施形態では、外科医は、最初に上皮シート1210を剥離する。例えば、図50aに示すように、上皮シート1210は、巻き返すことができる。次いで、図50bに示すように、外科医は、ボーマン膜420中に目の視軸に対応するくぼみ1215を作製する。視軸は、上述したように位置を特定することができ、位置合わせ器具1200または他の同様の器具を用いることによって印をつけることができる。くぼみ1215は、間質1240の最上層1230に露出し、かつマスク1200を収容することの両方に十分な深さおよび幅とするべきである。次いでマスク1200をくぼみ1215中に配置する。くぼみ1215は、患者の眼の視軸に対応する位置に配置されているので、マスク1200のピンホール開口部の中心軸は、眼の視軸と実質的に同一直線上にあるだろう。これにより、マスク1200で可能な、最大の視力改善が提供されることとなる。最後に、上皮シート1210をマスク1200の上に配置する。時間とともに、図50cに示すように、上皮シート1210は成長し、間質1240の最上層1230、ならびにもちろん、マスク1200の組成次第でマスク1200に接着するだろう。必要な場合、切開した角膜の上にコンタクトレンズを配置することによって、マスクを保護することができる。
【0166】
図51aから51cは、眼のボーマン膜1320の下に挿入したマスク1300を示す。この実施形態では、外科医は、図51aに示すように、最初にボーマン膜1320を蝶番開きする。次いで、図51bに示すように、外科医は、間質1340の最上層1330中に、眼の視軸に対応するくぼみ1315を作製する。眼の視軸は、上述したように位置を特定することができ、任意の適当な技法、例えば、目視できる眼球の特徴部または患者の情報提供を使用する技法を用いて印をつけることができる。くぼみ1315は、マスク1300を収容するのに十分な深さおよび幅とするべきである。次いで、マスク1300をくぼみ1315中に配置する。くぼみ1315は、患者の眼の視軸に対応する位置に配置されているので、マスク1300のピンホール開口部の中心軸は、眼の視軸と実質的に同一直線上にあるだろう。これにより、マスク1300で可能な、最大の視力改善が提供されることとなる。最後に、ボーマン膜1320をマスク1300の上に配置する。時間とともに、図51cに示すように、上皮シート1310は、ボーマン膜1320の切開範囲の上に成長するだろう。必要な場合、切開した角膜の上にコンタクトレンズを配置することによって、マスクを保護することができる。
【0167】
別の実施形態では、十分に薄い、すなわち実質的に20ミクロン未満のマスクを、上皮シート1210の下に配置することができる。別の実施形態では、20ミクロン未満の暑さを有するマスクまたは光学部品は、間質の最上層中にくぼみを設けることなく、ボーマン膜1320の下に配置することができる。
【0168】
患者の眼にマスクを外科的に植え込むことについての代替法では、マスクは、間質の最上層中に作製したチャネル中に装着することができる。この方法では、曲線状チャネル作製器具によって、間質の最上層中にチャネルを作製し、このチャネルは、角膜表面に平行な面内にある。チャネルは、眼の視軸に対応する位置に形成される。チャネル作製器具は、角膜の表面を貫通するか、または代替法では、表面上の小さな放射状切開部を介して挿入される。代替法では、切除光線の焦点を合わせるレーザーによって、間質の最上層中にチャネルを作製することができる。この実施形態では、マスクは、切れ目のある単一区分とすることができ、または2つ以上の区分であってもよい。いずれにしても、この実施形態のマスクは、チャネル中に配置され、その結果マスクによって形成されるピンホール開口部の中心軸が、患者の視軸と実質的に同一直線状にあるように位置することによって、患者の焦点深度が最大に改善される。
【0169】
患者の眼にマスクを外科的に植え込むことについての別の代替法では、マスクは間質の最上層中に注入することができる。この実施形態では、止め具を有する注入器具が、指定した深さまで角膜の表面に侵入する。例えば、注入器具は、1回の注入でマスクを作製することのできる環状の針とすることができる。代替法では、間質の最上層中に、患者の視軸に対応する位置に、チャネルを最初に作製することができる。次いで注入器具は、チャネル中にマスクを注入することができる。この実施形態では、マスクは、顔料とすることができ、またはマスクは、生体適合性の媒質中に懸濁した着色した材料の断片であってもよい。顔料材料は、ポリマーで作製するか、または代替法では、縫合材料で作製することができる。いずれにせよ、チャネル中に注入されたマスクは、その結果、顔料材料によって形成されたピンホール開口部の中心軸が、患者の視軸と実質的に同一直線上にあるように配置される。
【0170】
患者の眼にマスクを外科的に植え込むことについての別の方法では、角膜の最外側20%を蝶番開きする場合、角膜切除の間に作製した角膜フラップの下にマスクを配置することができる。上述した植え込み方法のように、角膜切除の間に作製した角膜フラップの下に配置されるマスクは、上述したように、最大の効果のために、患者の視軸と実質的に位置合わせされているべきである。
【0171】
患者の眼にマスクを外科的に植え込むことについての別の方法では、マスクは、患者の視軸と位置合わせし、角膜間質中に作製したポケット中に配置することができる。
【0172】
位置合わせ器具に関するさらなる詳細については、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2004年5月26日に出願された、特許文献11に開示されている。位置合わせまたは他の目的のための薬理学的操作を伴う技法に関する別の変形については、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2005年10月24日に出願された特許文献12に述べられている。
【0173】
VII.患者を治療する別の方法
上述したように、本明細書に開示したマスクなどのマスクを眼に適用することによって患者を治療することについて、様々な技法が特に適している。例えば、いくつかの技法では、外科医に対して映像の形態での視覚的合図が、マスクを適用する処置の間に提供される。さらに、患者を治療するためのいくつかの技法は、印をした基準点の補助でインプラントを配置することを伴う。これらの方法は、図52〜53Bによって示されている。
【0174】
1つの方法では、患者は、角膜1404中にインプラント1400を配置することによって治療される。角膜フラップ1408は、持ち上げられて角膜1404中の表面(例えば、角膜内表面)を露出する。角膜フラップ1408を持ち上げて角膜1404中の表面を露出するために、任意の適当な器具または技法を用いることができる。例えば、刃(例えば微小角膜切開刀)、レーザーまたは電気手術器具が、角膜フラップを形成するために使用できるだろう。角膜1404上の基準点1412を識別する。その後、基準点1412は、以下にさらに述べるように、1つの技法で印がつけられる。インプラント1400を角膜内表面上に配置する。一実施形態では、次いでフラップ1408を閉じて、インプラント1400の少なくとも一部を覆う。
【0175】
露出する角膜の表面は、1つの技法では間質の表面である。この間質の表面は、角膜フラップ1408の上、または角膜フラップ1408が剥離した露出した表面上にあり得る。
【0176】
基準点1412は、任意の適当な方法で識別することができる。例えば、上述した位置合わせ器具および方法を用いることにより、基準点1412を識別できる。1つの技法では、基準点1412を識別することは、光点(例えば、可視光、例えば赤色光に対応する放射エネルギーのすべてまたは不連続な部分によって形成した光の点)を照射することを伴う。上述したように、基準点の識別は、角膜内表面上に液体(例えば、フルオレセイン染料または他の染料)を落とすことをさらに含むことができる。基準点1412の識別は、本明細書に説明する任意の技法を用いる位置合わせを伴うことが好ましい。
【0177】
上述したように、識別した基準点に印をつけるために様々な技法を用いることができる。1つの技法では、基準点は、角膜に染料を塗布するか、または別の方法では、既知の反射性を有する材料を角膜上に散布することによって印をつける。上述したように、染料は、放射エネルギーと相互作用することによって、マーキング対象または他の視覚的合図の視感度を増大させる材料となり得る。基準点は、任意の適当な器具を用いて染料によって印をつけることができる。一実施形態では、器具は、角膜層、例えば上皮の前層をつかみ、細いインク線を角膜層中に送達するように構成されている。この器具は、上皮をつかむために鋭くすることができる。1つの用途では、器具は、眼に対して軽く押された際に、上述したように染料を送達するように構成されている。この仕組みは、眼により大きな圧痕を形成しないという点で有利である。別の技法では、基準点は、追加の染料の送達を伴って、または伴わないで、角膜表面上に圧痕(例えば、物理的なくぼみ)を作製することによって印をつけることができる。別の技法では、基準点は、光または他の放射エネルギー源、例えば、マーキング対象照明器を照射し、その光を角膜上に投射することによって(例えば、マーキング対象を投射することによって)印をつけることができる。
【0178】
基準点に印をつける任意の前述の技法は、眼の軸、例えば、眼の視軸または視線の位置を示す印を作製する技法と組み合わせることができる。1つの技法では、印は、視軸と角膜表面のおおよその交点を示す。別の技法では、印は、視軸と角膜表面の交点のまわりにおおよそ放射状に対称的に配置される。
【0179】
上述したように、いくつかの技法は、角膜内表面上に印を作製することを伴う。この印は、任意の適当な技法によって作製することができる。1つの技法では、印は、角膜内表面に対して器具を押さえることによって作製する。この器具は、マスクの配置を容易にする大きさおよび形状を有するくぼみを形成することができる。例えば、1つの形態では、器具は、植え込まれるマスクの外径よりもわずかに大きい直径を有する円形の環(例えば、染料の細い線、または物理的なくぼみ、またはその両方)を形成するように構成されている。円形の環は、約4mmから約5mmの間の直径を有するように形成することができる。1つの技法では、角膜内表面は角膜フラップ1408上にある。別の技法では、角膜内表面は、フラップが剥離された角膜の露出した表面上にある。この露出した表面は、場合によって組織層と呼ばれる。
【0180】
別の技法では、角膜フラップ1408は、持ち上げられ、その後、角膜1404の隣接する表面1416上に置かれる。別の技法では、角膜フラップ1408は、スポンジなどの脱着可能な支持物1420上に置かれる。1つの技法では、この脱着可能な支持物は、角膜フラップ1408の固有の湾曲を維持するように構成されている表面1424を有する。
【0181】
図52は、印をつけた基準点1412が、角膜内表面上にインプラントを配置することにおいて有用であることを示す。特に、印をつけた基準点1412は、インプラントが眼の視軸に対して配置されることを可能にする。図示した実施形態では、インプラント1400は、MCLとして示したインプラントの中心線が、印をつけた基準点1412を通って延びるように配置されている。
【0182】
図52Aは、基準1412'が、環または他の2次元の印である、別の技法を示す。このような場合、インプラント1400は、インプラントの外縁部と環が相応するように、例えば、環およびインプラント1400が、同じまたは実質的に同じ中心を共有するように配置することができる。環およびインプラント1400は、上述したように、インプラントの中心線MCLが眼の視線上にあるように位置合わせすることが好ましい。図示した技法では、環は角膜フラップ1408の前面上に形成されるので、環を点線で示してある。
【0183】
1つの技法では、角膜フラップ1408は、インプラント1400を角膜フラップ1408上に伴って、角膜フラップ1408を角膜1404に戻すことによって閉じる。別の技法では、角膜フラップ1408は、あらかじめ組織層(露出した角膜内表面)上に配置されたインプラント1400の上から、角膜フラップ1408を角膜1404に戻すことによって閉じる。
【0184】
角膜内表面が、間質表面である場合、インプラント1400は、間質表面上に配置される。インプラント1400の少なくとも一部が覆われる。いくつかの技法では、インプラント1400は、間質表面を覆うために、上にインプラント1400伴ったフラップを角膜1404に戻すことによって覆われる。1つの技法では、間質表面は、上皮層を持ち上げて間質を露出させることによって露出する。別の技法では、間質表面は、上皮層を剥離して間質を露出させることによって露出する。いくつかの技法では、上皮層を元の場所に戻すことによってインプラント1400を少なくとも部分的に覆う、追加のステップが実施される。
【0185】
いくつかの用途では、フラップ1408を閉じてインプラント1400の少なくとも一部を覆った後、ある程度インプラント1400の位置を動かすことができる。1つの技法では、インプラント1400に圧力を印加することによってインプラントを移動させ、基準点1412と位置合わせする。圧力は、インプラント1400の縁部(例えば、インプラント1400の外周縁部の突出部の真上、上および外側、またはインプラント1400の外周縁部の突出部の上および内側)に近接する角膜1404の前面に印加することができる。これにより、近傍に圧力が印加される縁部から、インプラントをわずかに移動させることができる。別の技法では、圧力はインプラントに直接印加する。基準点1412が、フラップ1408上に印されている場合、または基準点1412が、組織層上に印されている場合、インプラント1400は、この方法で位置を動かすことができる。フラップの下またはポケットの中に薄い器具を挿入し、インレーを直接動かすことによって、押すことを遂行することが好ましい。
【0186】
図53は、患者が、角膜1504中、例えば角膜ポケット1508中にインプラント1500を配置する方法によっても治療されることを示す。任意の適当な器具または技法を用いることによって、角膜ポケット1508を作製または形成することができる。例えば、刃(例えば微小角膜切開刀)、レーザーまたは電気手術器具を用いることによって、角膜1504中にポケットを作製または形成することができるだろう。基準点1512は、角膜1504上に識別される。基準点は、本明細書で説明した技法などの任意の適当な技法によって識別することができる。基準点1512は、本明細書で説明した技法などの任意の適当な技法によって、印がつけられる。角膜ポケット1508を作製することによって、角膜内表面1516を露出させる。角膜ポケット1508は、任意の適当な深さで、例えば、角膜1504の前面から約50ミクロンから約300ミクロンの範囲内の深さで作製することができる。インプラント1500は、角膜内表面1516上に配置する。印をつけた基準点1512は、インプラント1500を角膜内表面1516上に配置することにおいて有用である。印をつけた基準点1512により、上述したように、インプラント1500を、眼の視軸に対して配置することが可能になる。図示した実施形態では、インプラント1500は、インプラント1500の中心線MCLが、印をつけた基準点1512を通って、または隣接して延びるように配置されている。
【0187】
図53Aは、基準1512'が、環または他の2次元の印である、別の技法を示す。このような場合、インプラント1500は、インプラントの外縁部と環が相応するように、例えば、環およびインプラント1500が、同じまたは実質的に同じ中心を共有するように配置することができる。環およびインプラント1500は、上述したように、インプラントの中心線MCLが眼の視線上にあるように位置合わせすることが好ましい。図示した実施形態では、環は、ポケット1508の上の角膜1504の前面上に形成されるので、環を実線で示してある。
【0188】
いくつかの用途では、インプラント1500をポケット1508中に配置された後、ある程度インプラント1500の位置を動かすことができる。1つの技法では、インプラント1500に圧力を印加することによってインプラントを移動させ、基準点1512と位置合わせする。圧力は、インプラント1500の縁部(例えば、インプラント1500の外周縁部の突出部の真上、上および外側、またはインプラント1500の外周縁部の突出部の上および内側)に近接する角膜1504の前面に印加することができる。これにより、圧力が印加される縁部から、インプラント1500をわずかに移動させることができる。別の技法では、圧力はインプラント1500に直接印加する。
【0189】
上述した様々な方法および技法により、本発明を実行するためのいくつかの方法が提供される。もちろん、必ずしも説明したすべての目的または利点が、本明細書で説明した任意の特定の実施形態によって達成できるわけではないことが理解できよう。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示した1つの利点または利点群を、本明細書で教示または示し得る他の目的または利点を必ずしも実現することなく、実現または最適化する装具を作製することができることを認識するだろう。
【0190】
さらに、当業者は、異なる実施形態から様々な特徴の互換性を認識するだろう。同様に、上述した様々な特徴およびステップ、ならびにこのようなそれぞれの特徴またはステップについての他の既知の均等物は、本明細書に説明した原理による方法を実施するために、当業者の一人によって組み合わせ、調和させることができる。
【0191】
本発明を、特定の実施形態および実例に照らして開示してきたが、本発明は、特に開示した実施形態を超えて、他の代替の実施形態および/または使用、ならびにその明らかな改変形態および均等物に及ぶことが、当業者によって理解されよう。したがって、本発明は、本明細書の好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図していないが、本明細書に添付した特許請求の範囲を参照することによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】ヒトの眼の平面図である。
【図2】ヒトの眼の断面側面図である。
【図3】光線が、眼の網膜の後ろの点で集束する、老眼患者のヒトの眼の断面側面図である。
【図4】光線が、網膜上の点で集束する、一実施形態のマスクを植え込んだ老眼の断面側面図である。
【図5】マスクを適用したヒトの眼の平面図である。
【図6】一実施形態のマスクの斜視図である。
【図7】六角形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図8】八角形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図9】楕円形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図10】とがった楕円形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図11】星形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図12】マスクの真の中心の上に間隔を置いて配置された、涙のしずく形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図13】マスクの中心に配置された涙のしずく形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図14】マスクの真の中心の下に間隔を置いて配置された、涙のしずく形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図15】正方形をしたピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図16】腎臓形楕円のピンホール様の開口部を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図17】変化する厚さを有する、一実施形態のマスクの側面図である。
【図18】変化する厚さを有する、別の実施形態のマスクの側面図である。
【図19】レンズに不透明度を提供するゲルを有する、一実施形態のマスクの側面図である。
【図20】ポリマー繊維の織模様を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図21】図20のマスクの側面図である。
【図22】異なる不透明度の領域を有する、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図23】図22のマスクの側面図である。
【図24】中心に位置したピンホール様開口部および中心からマスクの周縁部に発出する放射状に延在する細穴を含む、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図25】図24のマスクの側面図である。
【図26】中心のピンホール様開口部であって、このピンホール様開口部から放射状に間隔を置いて配置された複数の孔によって囲繞された開口部、およびこの孔から放射状に間隔を置いて配置されて延在し、マスクの周縁部に延在する細穴を含む、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図27】図26のマスクの側面図である。
【図28】中心のピンホール様開口部、開口部から放射状に間隔を置いて配置された複数の孔を含む領域、および孔から放射状に間隔を置いて配置された長方形の細穴を含む、一実施形態のマスク正面平面図である。
【図29】図28のマスクの側面図である。
【図30】非円形のピンホール様開口部、この開口部から放射状に間隔を置いて配置された第1の組の細穴、およびマスクの周縁部に延在し、第1の組の細穴から放射状に間隔を置いて配置された第2の組の細穴を含む領域を含む、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図31】図30のマスクの側面図である。
【図32】中心のピンホール様開口部およびこの開口部から放射状に間隔を置いて配置された複数の孔を含む、一実施形態のマスクの正面平面図である。
【図33】図32のマスクの側面図である。
【図34】2つの半円形のマスク部分を含む、一実施形態のマスクである。
【図35】2つの半月形部分を含む、一実施形態のマスクである。
【図36】半月形領域および中心に位置したピンホール様開口部を含む、一実施形態のマスクである。
【図37】低光量環境中での、マスクを透過する光を選択的に制御するためになされた微粒子構造を含む、一実施形態のマスクの拡大概略図である。
【図38】大光量環境中での図37のマスクの図である。
【図39】マスクの環状領域上に形成したバーコードを含む、一実施形態のマスクである。
【図40】眼の中でマスクを固定するためのコネクタを含む、別の実施形態のマスクである。
【図41】らせん状をした繊維性のストランドで作製された、一実施形態のマスクの平面図である。
【図42】眼から取り出し中の、図41のマスクの平面図である。
【図43】焦点深度を増大させるように構成された、別の実施形態のマスクの上面図である。
【図43A】図43の図の一部の拡大図である。
【図44A】図43Aのマスクの、切断面44--44に沿った断面図である。
【図44B】別の実施形態のマスクの図44Aと類似した断面図である。
【図44C】別の実施形態のマスクの図44Aと類似した断面図である。
【図45A】図43のマスクに形成することのできる複数の孔の、孔の1つの配列のグラフ表示である。
【図45B】図43のマスクに形成することのできる複数の孔の、孔の別の配列のグラフ表示である。
【図45C】図43のマスクに形成することのできる複数の孔の、孔の別の配列のグラフ表示である。
【図46A】不均一な大きさを有するマスクの変形を示す、図43Aの拡大図と類似した拡大図である。
【図46B】不均一な切子面の配向を有するマスクの変形を示す、図43Aの拡大図と類似した拡大図である。
【図47】孔領域および周縁領域を有する、別の実施形態のマスクの上面図である。
【図48】眼の生体構造的特徴の観察に基づいた眼の軸にマスクを位置合わせする1つの方法を説明する流れ図である。
【図49】マスクの使用に関して、患者をスクリーニングする1つの方法を説明する流れ図である。
【図50A】本明細書に記載したマスクと同様の、角膜の上皮シートの下に挿入したマスクを示す。
【図50B】本明細書に記載したマスクと同様の、角膜の上皮シートの下に挿入したマスクを示す。
【図50C】本明細書に記載したマスクと同様の、角膜の上皮シートの下に挿入したマスクを示す。
【図51A】本明細書に記載したマスクと同様の、角膜のボーマン膜の下に挿入したマスクを示す。
【図51B】本明細書に記載したマスクと同様の、角膜のボーマン膜の下に挿入したマスクを示す。
【図51C】本明細書に記載したマスクと同様の、角膜のボーマン膜の下に挿入したマスクを示す。
【図52】インプラントを配置するためにフラップを開き、このインプラントの配置のために位置を印した、患者の治療を説明する眼の断面図である。
【図52A】インプラントを角膜フラップに適用し、環に対して位置決めした、図52の眼の部分平面図である。
【図53】インプラントを配置するためにポケットを作製し、このインプラントの配置のために位置を印した、患者の治療を説明する眼の断面図である。
【図53A】インプラントをポケット中に配置し、環に対して位置決めした、図53の眼の部分平面図である。
【図54】高フッ素化ポリマーおよび不透明化剤を含む組成物からマスクを作製する1つの方法を説明する流れ図である。
【符号の説明】
【0193】
10 眼、眼球
12 角膜
14 眼内レンズ
16 網膜
18 視覚神経
20 窩
22 虹彩
24 虹彩の開口部
26 入射瞳
28 入射瞳の中心点
30 回転の中心
32 光線
34、34a〜34y マスク
36、36m、36n、36r、36s 環状領域
38、38a〜38j、38m〜38p、38r〜38t、38v、38y 開口部
39 中心軸
42 第1の区域
43 43t、43uマスク部分
44 第2の区域
45 まぶた
45u 開口部
46 第3の区域
47 まぶた
48 切取り部
49、49p、49q 円形の切取り部
50、50q〜50s 外周縁部
50p 周縁部
51、51p〜51r 切取り部
53 微粒子
56s 円形開口部
58t、58u マスク部分
68 ナナイト
70 バーコード
72 支持ストランド
74 支持ストランド
80 ストランド
100 マスク
104 本体
108 前面
112 後面
116 栄養素輸送構造
120 孔
120' 複数の位置
124 外周縁部
128 開口部
132 非透過部分
136 マスクの軸
138 厚さ
140 孔入口
164 孔出口
200a マスク
200b マスク
204b 本体
216a 栄養素輸送構造
216b 輸送構造
220 孔
220' 位置
220a 孔
220b 孔
300 マスク
304 本体
305 外周縁領域
306 内周縁領域
307 孔領域
316 栄養素輸送構造
324 外周縁部
325 選択された外周辺部
326 内周縁部
328 開口部
400 マスク
404 本体
408 前面
412 後面
420 孔、ボーマン膜
436 マスクの軸
460 孔入口
464 孔出口
466 輸送軸
500 マスク
504 本体
508 前面
510 第1のマスク層
512 後面
514 第2のマスク層
515 第3のマスク層
516 栄養素輸送構造
520 孔
520a 第1の孔部分
520b 第2の孔部分
520c 第3の孔部分
566a 第1の輸送軸
566b 第2の輸送軸
566c 第3の輸送軸
1000 マスク
1200 マスク、位置合わせ器具
1210 層、上皮シート
1215 くぼみ
1220 層
1230 最上層
1240 間質
1300 マスク
1310 上皮シート
1315 くぼみ
1320 ボーマン膜
1330 最上層
1340 間質
1400 インプラント
1404 角膜
1408 角膜フラップ
1412 基準点
1412' 基準
1416 表面
1420 脱着可能な支持物
1424 表面
1500 インプラント
1504 角膜
1508 角膜ポケット
1512 基準点
1512' 基準
1516 角膜内表面
4316 栄養素輸送構造
MCL 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過部分、該光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有する本体を備えたマスクであって、
前記本体は、高フッ素化ポリマー材料を含む材料を含み、前記高フッ素化ポリマー材料中の炭素-フッ素結合の数は、炭素-水素結合の数と等しいかまたはその数を超え、
前記本体のうちの少なくとも遮光部分は、不透明化剤を含んでいることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記前面が、角膜の第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、且つ前記後面が、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記マスクが、角膜に適用された後、角膜の湾曲を実質的に変化させないことを特徴とする、請求項1または2に記載のマスク。
【請求項4】
前記遮光部分を囲繞する外周縁部をさらに備えていることを特徴とする、請求項1、2または3に記載のマスク。
【請求項5】
前記不透明化剤が、前記前面に入射する光の少なくとも相当な部分が前記前面から前記後面に透過することを阻止するのに十分な量で存在していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項6】
前記不透明化剤が、有機染料、有機顔料、無機染料、および無機顔料からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項7】
前記不透明化剤が、カーボンであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項8】
前記材料が、約65〜85%の高フッ素化ポリマー材料を含んでいることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項9】
前記高フッ素化ポリマー材料が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでいることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項10】
前記高フッ素化ポリマー材料を含む材料に、1種以上のポリアニオン化合物が添加されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項11】
前記1種以上のポリアニオン化合物の全重量が、約5重量%から約20重量%であることを特徴とする、請求項10に記載のマスク。
【請求項12】
前記1種以上のポリアニオン化合物の全重量が、約12重量%から約17重量%であることを特徴とする、請求項10に記載のマスク。
【請求項13】
前記1種以上のポリアニオン化合物が、プロテオグリカンまたはグリコサミノグリカンを含んでいることを特徴とする、請求項10、11、または12に記載のマスク。
【請求項14】
前記1種以上のポリアニオン化合物が、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、ペントサン多硫酸、キサンタン、カラゲナン、フィブロネクチン、ラミニン、コンドロネクチン、ビトロネクチン、ポリL-リジン塩、およびアルギン酸塩からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含んでいることを特徴とする、請求項10、11、12または13に記載のマスク。
【請求項15】
前記1種以上のポリアニオン化合物が、デキストラン硫酸を含んでいることを特徴とする、請求項10、11、または12に記載のマスク。
【請求項16】
前記ポリマー材料に添加されており、かつ/または前記前面および前記後面の少なくとも一方に結合している創傷治癒調節剤をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項17】
前記創傷治癒調節化合物が、抗生物質、抗悪性腫瘍薬、抗有糸分裂薬、代謝拮抗薬、抗炎症薬、免疫抑制薬、および抗真菌薬からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項16に記載のマスク。
【請求項18】
前記創傷治癒調節化合物が、フルオロウラシル、マイトマイシンC、パクリタキセル、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、カルプロフェン、スプロフェン、ケトプロフェン、およびシクロスポリンからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項16に記載のマスク。
【請求項19】
前記材料が、第2のポリマー材料をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項20】
前記第2のポリマー材料が、UV吸収成分を含んでいることを特徴とする、請求項19に記載のマスク。
【請求項21】
前記光透過部分が、前記前面に入射する光の一部分を透過させる大きさにされている開口部を含んでいることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項22】
前記開口部が、実質的に円形であることを特徴とする、請求項21に記載のマスク。
【請求項23】
前記開口部が、約2.2mm以下の直径を有していることを特徴とする、請求項21または22に記載のマスク。
【請求項24】
前記開口部が、約1.8mm以下の直径を有していることを特徴とする、請求項23に記載のマスク。
【請求項25】
環状体が、前記前面と前記後面との間で実質的に一定の厚さを有していることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項26】
前記遮光部分が、前記前面と前記後面との間で約20ミクロン以下の厚さを有していることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項27】
前記遮光部分体が、前記前面と前記後面との間で約8ミクロンの厚さを有していることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項28】
前記本体が、前記第1および第2の角膜内層の間の栄養素輸送を実質的に維持するようになされていることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項29】
前記本体が、前記前面と前記後面との間に少なくとも部分的に延在する複数の孔を含んでいることを特徴とする、請求項28に記載のマスク。
【請求項30】
前記複数の孔が、患者の眼に見える回折像を実質的に除去するように構成されていることを特徴とする、請求項29に記載のマスク。
【請求項31】
相当な数の前記複数の孔の間に、不均一な間隔が提供されていることを特徴とする、請求項29に記載のマスク。
【請求項32】
内周縁領域および孔領域をさらに備え、前記内周縁領域は、前記孔領域と前記光透過部分の間に配置され、実質的にすべての前記複数の孔が、前記孔領域中に配置されていることを特徴とする、請求項29に記載のマスク。
【請求項33】
壁厚が、隣接する孔間の最短距離として定義され、前記壁厚が、約20ミクロン以上であることを特徴とする、請求項29に記載のマスク。
【請求項34】
少なくとも1つの孔が輸送軸に沿って延在し、光が前記前面から前記後面に少なくとも1つの孔を通って伝播することを実質的に阻止するように構成されていることを特徴とする、請求項29に記載のマスク。
【請求項35】
少なくとも1つの孔の前記輸送軸が、前記マスクの光軸に対して角度をなして形成され、該角度は、前記孔の大部分の前端部の投影が前記孔の後端部に重なることを阻止するのに十分な大きさであることを特徴とする、請求項34に記載のマスク。
【請求項36】
光透過部分、該光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有する本体を備えたマスクであって、
前記本体は、ポリマー材料を含み、
前記本体のうちの少なくとも前記遮光部分は、不透明化剤を含み、
前記ポリマー材料は、前記ポリマー材料中に添加される1種以上のポリアニオン化合物を含んでいることを特徴とするマスク。
【請求項37】
前記ポリマー材料に添加されており、および/または前記前面および前記後面の少なくとも一方に結合している創傷治癒調節剤をさらに含んでいることを特徴とする、請求項36に記載のマスク。
【請求項38】
光透過部分、前記光透過部分の周囲に配置された遮光部分、前面、および後面を有する本体を備えたマスクであって、
前記本体は、ポリマー材料を含み、
前記本体のうちの少なくとも前記遮光部分は、不透明化剤を含み、
1種以上の創傷治癒調節剤が、前記ポリマー材料に添加されており、かつ/または前記前面および前記後面の少なくとも一方に結合していることを特徴とするマスク。
【請求項39】
前記ポリマー材料に、1種以上のポリアニオン化合物が添加されていることを特徴とする、請求項38に記載のマスク。
【請求項40】
前記1種以上のポリアニオン化合物の全重量が、約5重量%から約20重量%であることを特徴とする、請求項36、37、または39に記載のマスク。
【請求項41】
前記1種以上のポリアニオン化合物の全重量が、約12重量%から約17重量%であることを特徴とする、請求項36、37、または39に記載のマスク。
【請求項42】
前記1種以上のポリアニオン化合物が、プロテオグリカンまたはグリコサミノグリカンを含んでいることを特徴とする、請求項36、37、39、40または41に記載のマスク。
【請求項43】
前記1種以上のポリアニオン化合物が、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、ペントサン多硫酸、キサンタン、カラゲナン、フィブロネクチン、ラミニン、コンドロネクチン、ビトロネクチン、ポリL-リジン塩、およびアルギン酸塩からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含んでいることを特徴とする、請求項36、37、39、40または41に記載のマスク。
【請求項44】
前記1種以上のポリアニオン化合物が、デキストラン硫酸を含んでいることを特徴とする、請求項36、37、39、40または41に記載のマスク。
【請求項45】
前記創傷治癒調節化合物が、抗生物質、抗悪性腫瘍薬、抗有糸分裂薬、代謝拮抗薬、抗炎症薬、免疫抑制薬、および抗真菌薬からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項37から44のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項46】
前記創傷治癒調節化合物が、フルオロウラシル、マイトマイシンC、パクリタキセル、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、カルプロフェン、スプロフェン、ケトプロフェン、およびシクロスポリンからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項37から45のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項47】
前記前面が、角膜の第1の角膜内層に隣接して存在するように配置され、前記後面が、第2の角膜内層に隣接して存在するように配置されていることを特徴とする、請求項36から46のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項48】
前記マスクが、角膜に適用された後、角膜の湾曲を実質的に変化させないことを特徴とする、請求項36から47のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項49】
前記遮光部分を囲繞する外周縁部をさらに備えていることを特徴とする、請求項36から48のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項50】
前記不透明化剤が、前記前面に入射する光の少なくとも相当な部分が前記前面から前記後面に透過することを阻止するのに十分な量で存在していることを特徴とする、請求項36から49のいずれか一項の記載のマスク。
【請求項51】
前記不透明化剤が、有機染料、有機顔料、無機染料、および無機顔料からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項36から50のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項52】
前記不透明化剤が、カーボンであることを特徴とする、請求項36から51のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項53】
前記本体が、高フッ素化ポリマー材料を含む材料を含み、前記高フッ素化ポリマー材料中の炭素-フッ素結合の数が、炭素-水素結合の数と等しいかまたはその数を超えることを特徴とする、請求項36から52のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項54】
前記材料が、約65〜85%の高フッ素化ポリマー材料を含んでいることを特徴とする、請求項36から53のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項55】
前記高フッ素化ポリマー材料が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでいることを特徴とする、請求項36から54のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項56】
前記材料が、第2のポリマー材料をさらに含んでいることを特徴とする、請求項36から55のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項57】
前記第2のポリマー材料が、UV吸収成分を含んでいることを特徴とする、請求項56に記載のマスク。
【請求項58】
前記光透過部分が、前記前面に入射する光の一部分を透過させる大きさにされている開口部を含んでいることを特徴とする、請求項36から57のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項59】
前記開口部が、実質的に円形であることを特徴とする、請求項58に記載のマスク。
【請求項60】
前記開口部が、約2.2mm以下の直径を有していることを特徴とする、請求項58または59に記載のマスク。
【請求項61】
前記開口部が、約1.8mm以下の直径を有していることを特徴とする、請求項60に記載のマスク。
【請求項62】
環状体が、前記前面と後面の間で実質的に一定の厚さを有していることを特徴とする、請求項36から61のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項63】
前記遮光部分が、前記前面と後面の間で約20ミクロン以下の厚さを有していることを特徴とする、請求項36から62のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項64】
前記遮光部分体が、前記前面と後面の間で約8ミクロンの厚さを有していることを特徴とする、請求項36から62のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項65】
前記本体が、前記第1および第2の角膜内層の間の栄養素輸送を実質的に維持するようになされていることを特徴とする、請求項36から64のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項66】
前記本体が、前記前面と前記後面の間に少なくとも部分的に延在する複数の孔を含んでいることを特徴とする、請求項65に記載のマスク。
【請求項67】
前記複数の孔が、患者の眼に見える回折像を実質的に除去するように構成されていることを特徴とする、請求項65に記載のマスク。
【請求項68】
相当な数の前記複数の孔の間に、不均一な間隔が提供されていることを特徴とする、請求項65に記載のマスク。
【請求項69】
内周縁領域および孔領域をさらに備え、前記内周縁領域は、前記孔領域と前記光透過部分の間に配置され、実質的にすべての前記複数の孔が、前記孔領域中に配置されていることを特徴とする、請求項65に記載のマスク。
【請求項70】
壁厚が、隣接する孔間の最短距離として定義され、前記壁厚が、約20ミクロン以上であることを特徴とする、請求項65に記載のマスク。
【請求項71】
少なくとも1つの孔が輸送軸に沿って延在し、光が前記前面から前記後面に少なくとも1つの孔を通って伝播することを実質的に阻止するように構成されていることを特徴とする、請求項65に記載のマスク。
【請求項72】
少なくとも1つの孔の前記輸送軸が、前記マスクの光軸に対して角度をなして形成され、該角度は、前記孔の大部分の前端部の投影が、前記孔の後端部に重なることを阻止するのに十分な大きさであることを特徴とする、請求項71に記載のマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図43A】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【図45A】
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【図45B】
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【図45C】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50A】
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【図50B】
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【図50C】
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【図51A】
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【図51B】
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【図51C】
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【図52】
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【図52A】
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【図53】
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【図53A】
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【図54】
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【公表番号】特表2008−536574(P2008−536574A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506710(P2008−506710)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/013944
【国際公開番号】WO2006/113377
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507339881)アキュフォーカス・インコーポーレーテッド (2)
【Fターム(参考)】