説明

耐火ケーブル

本発明は少なくとも1つの絶縁体部の内部に延在する少なくとも1つの導体部を備えるケーブルに関する。本発明の特徴として、少なくとも1つの絶縁体部はポリマーと繊維状フィロ珪酸塩を含有する耐火性組成物で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は極限温度状態に耐えることのできるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
限定する意味でないが、本発明は高温及び/または直接、炎にさらされた場合に、所定の時間動作可能な電力ケーブルまたは通信ケーブルの分野で特に有効である。
【0003】
今日、ケーブル製造業における主要な課題の1つとして、極限温度状態下のケーブル、特に火炎にさらされたケーブルの動作及び性能を改善することがある。安全上の理由から、火炎伝播を防止すると共に火災に耐えるケーブル性能を最大化することが重要である。火炎の進行が遅くなれば、その分、建物から避難する時間や消火手段を使用する時間に余裕ができる。耐火性能の高いケーブルは劣化が遅いのでより長く動作することができる。安全ケーブルは環境に対して危険であってはならない、すなわち、極限温度状態にさらされたときに、有毒な煙や非常に不透明な濃い煙を発生してはならない。
【0004】
ケーブルは、電気ケーブルであるか、光ケーブルであるか、あるいは伝送対象が電力であるかデータであるかにかかわらず、概ね、少なくとも少なくとも1つの絶縁部の内部に少なくとも1つの導体部が延在して構成される。なお、絶縁部のうち少なくとも1つは保護手段としても機能する。また、ケーブルは被覆部(シース)となる少なくとも1つの保護部を備えることもある。ケーブルの製造に使用される最良の絶縁材及び/または保護材であっても、その多くは可燃性が高い材質である。特に該当する材質として、ポリオレフィン及びその共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などがある。いずれにしろ、実用上、このような高い可燃性は耐火性に関する上記要件と全く相容れない。
【0005】
ケーブル製造分野において、絶縁材及び/または被覆材として使用される重合体(ポリマー)の耐火性能を改善する種々の方法がある。
【0006】
現在まで最も広く使用されている方法はハロゲン化合物を使用する方法であり、ハロゲン化合物はポリマーマトリクス中に分散するハロゲン化副生成物の形態で、あるいは、例えばポリ塩化ビニル(PVC)などのように、直接、ハロゲン化ポリマーの形態で含まれる。しかしながら、材質の製造時であれ、火災による分解時であれ、ハロゲン化合物には毒性及び腐食性があるため、規制は、現在この種の材質の使用を禁止する方向で進んでいる。毒性及び腐食性は火災による分解時に顕著である他、焼却処理時にも認められる。いずれにしろ、ハロゲン材の再生利用(リサイクル)には依然として問題が多い。
【0007】
以上の理由から、非ハロゲン化した耐火フィラー、特に、金属水酸化物例えば、アルミニウム水酸化物、マグネシウム水酸化物などの使用が増えてきた。しかしながら、この解決法には、炎伝播阻止性能または耐火性能のいずれにしろ、問題のない有効なレベルにするのに大量のフィラーを要するという欠点がある。例えば、金属水酸化物の含有量は典型的に、材質の全組成の50%〜70%に達する。残念なことに、大量のフィラーを付加すると材質の粘度が増加して押し出し成形速度が著しく低下し、生産性が大幅に低下する。また、大量の耐火性添加物を付加すると、ケーブルの機械的、電気的特性にも相当な劣化が生じることになる。
【0008】
このような問題に対処するため、絶縁材及び/または被覆材として、1マイクロメートルより十分小さいサイズの無機粒子を分散させた有機マトリクス形態のナノ複合材(ナノコンポジット)を使用することが知られている。この点に関して、ポリマー系有機相をフレーク構造のクレイ系無機相と組み合わせると耐火性能に優れたものが得られる。
【0009】
しかしながら、この種のナノコンポジットを作製するには、クレイフィラーに前処理を施して可及的に高い有機親和性を持たせる必要がある。その目的は、ポリマー鎖が容易にクレイのフレークとフレークの間に入り込んで、その位置を占めるようにすることである。最新技術として、この種の表面処理を行う種々の方法があるが、どの方法を使用したとしても表面処理というステップを必ず必要とすることから、絶縁材及び/または被覆材である最終材がコスト面で非常に不利になるという問題がある。また、有効にするには、クレイのフレークを展開しておくこと、すなわち個々のフレークを互いに分離させ、ポリマーマトリクス内で均一に分布させる必要がある。産業プラスティック処理装置で良好な展開を実現することは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、少なくとも1つの絶縁体部の内部に延在する導体部を備えるケーブルにおいて、製造費が従来よりも格段に安く、かつ機械的特性、電気的特性及び耐火特性を確保したケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上記課題を解決するために、少なくとも1つの絶縁体部または少なくとも1つの被覆(シース)をポリマー及び繊維状フィロ珪酸塩(fibrous phyllosilicate)を含有する耐火性組成物で構成する。
【0012】
なお、導体(コンダクター)部の概念は電気の導体と光の導体の両方を包含する意味で使用する。したがって、本発明は電気ケーブルと光ケーブルに等しく関連し、ケーブルにより電力が伝送されるか、データが伝送されるかにはかかわらない。
【0013】
名称から示唆されるように、繊維状フィロ珪酸塩は繊維形態の微視的(ミクロ)構造を有する。これは、従来技術で使用されるクレイフィラーが概ね、ミクロスケールでは凝集体(アグリゲート)構造を有し、ナノスケールではフレーク形態の層状構造(ラメラ構造)を示す点で、顕著な相違になっている。いずれにしても、繊維状フィロ珪酸塩はその物理化学的構造によりその特性が定められる。具体的には、大きなフォームファクタ、非常に高い多孔性及びスペシフィックエリア、大きな吸収容量、低いイオン容量、及び高い熱安定性である。
【0014】
なお、ポリマーマトリクス内に分散されている場合、繊維状フィロ珪酸塩は粒子がナノメートルサイズであるフィラーすなわちナノフィラーであるとはみなされない。従来技術において、繊維状フィロ珪酸塩の寸法は一般にマイクロメータ単位で表されることからも明らかなように、繊維状フィロ珪酸塩を構成する繊維の寸法は大部分がナノメートルより遙かに大きい。
【0015】
いずれにしても、本発明に係る組成物は火炎に対して十分に満足のいく動作を示し、その材質はケーブルの絶縁材及び/または被覆材としても使用できる。繊維状フィロ珪酸塩を付加することにより、ポリマー材の対火性能を炎の伝播阻止性と耐火性のいずれについても改善することができる。
【0016】
また、繊維状フィロ珪酸塩は、従来のクレイ系フィラーに比べ、前処理としての表面処理が不要である点、すなわち、有機親和性を持たせるためになされる従来の高価な処理が不要である点で有利である。
【0017】
本発明の一側面によれば、耐火性組成物の繊維状フィロ珪酸塩は、海泡石、パリゴルスキー石、アタバルジャイト、カリフェリサイト(kalifersite)、ロフナイト(loughlinite)、及びファルコンドアイト(falcondoite)のなかから選択され、好適には海泡石である。なお、文献では、パリゴルスキー石とアタバルジャイトは同一のフィロ珪酸塩とされることも多い。
【0018】
海泡石はその特定の物理化学的構造によりその特性が定められる。すなわち、非常に高い多孔性及びスペシフィックエリア、大きな吸収容量、低いイオン容量、及び高い熱安定性である。
【0019】
特に有益な形態として、耐火性組成物は、ポリマー100重量部に対して60重量部未満の繊維状フィロ珪酸塩、好適には海泡石を含有する。
【0020】
好適には、耐火性組成物はポリマー100重量部に対して5〜30重量部の繊維状フィロ珪酸塩、好適には海泡石を含有する。
【0021】
本発明の別側面によれば、耐火性組成物のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元重合体(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチレン共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)、エチレン−オクテン共重合体、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、及び上記成分の任意の混合物のなかから選択される。
【0022】
特に有益な形態として、耐火性組成物は、例えば無水マレイン酸、シラン、エポキシなどの極性化合物をグラフト重合した少なくとも1つの重合体を含有する。
【0023】
本発明の別側面によれば、耐火性組成物は、少なくとも1つの極性単量体に由来する少なく1つの共重合体を含有する。
【0024】
本発明の別側面によれば、耐火性組成物は、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩、タルク、カオリン、カーボンブラック、シリカ、珪酸塩、ホウ酸塩、スズ酸塩、モリブデン酸塩、グラファイト、リン系化合物、及びハロゲン化難燃材のなかから選択された少なくとも1つの化合物で構成される2次的なフィラーをさらに含有する。
【0025】
なお、実際には、下記の実施例からも明らかなように、繊維状フィロ珪酸塩に少なくとも1つの金属水酸化物系の2次フィラーを配合することにより、耐火性について非常に良好な結果が得られる。
【0026】
有益な形態として、2次フィラーの含有量はポリマー100重量部に対して1200重量部以下である。
【0027】
好適には、耐火性組成物はポリマー100重量部に対して150〜200重量部の2次フィラーを含有する。
【0028】
本発明の別側面によれば、耐火性組成物は抗酸化剤、紫外線安定剤、及び潤滑剤のなかから選択された少なくとも1つの添加物を含有する。
【0029】
本発明の他の側面、利点は実施例に関する以下の説明から明らかにされる。なお、提示した実施例は単なる例示であり限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施例I〜Vはいずれもケーブルの絶縁材及び/または被覆(シース)材として使用される組成物に関するものである。また、各表1〜5に示す量は通常通り、ポリマー100重量部に対する重量部で表現してある。
【0031】
<実施例I>
【0032】
実施例Iは耐火特性を既に有する材質の機械的特性に対する繊維状フィロ珪酸塩、具体的には海泡石の効果を具体的に示したものである。
【0033】
表1は4種類の組成物サンプルの各種成分の成分比を示したものである。さらに、表1には、引張破壊強度(引張強度)などの機械的特性と共に、耐火試験の結果として限界酸素指数(Oxygen limit index)、発火滴(lighted droplet)発生の有無が示されている。また、全ての耐火試験について、各種組成物サンプルは通常通り、試験ピースの形態で作製された。
【表1】

【0034】
表1から、4サンプルの有機基質は全て、ポリマーの混合物、具体的には、エチレン−酢酸ビニル、ポリエチレン、及び選択的に無水マレイン酸グラフト重合ポリエチレンとの混合物であることが分かる。
【0035】
また、水酸化アルミニウムと海泡石の配合総量は、難燃フィラーを定量としたときの比較を行うために、サンプル1とサンプル2で同一であり、サンプル3とサンプル4で同一である。
【0036】
いずれにしても、含有される海泡石によりポリマー材の機械的特性が大幅に改善される。このことは、破壊強度が大幅に増加することと、引張破壊伸びがある程度減少することによって示される。
【0037】
なかんずく、海泡石が存在することにより、一般にドリッピング(dripping)と呼ばれる現象である発火滴の発生が防止される。この点に関し、この特筆される特性は、クレイでは全く得られない。
【0038】
<実施例II>
【0039】
実施例IIは極温の耐熱特性を本来的に備えた材質の耐火特性に対する海泡石の効果を示したものである。
【0040】
表2にケーブル製造分野で典型的な耐火試験に供される7種の組成物を示す。この目的のために、材質の各サンプルは被覆(シース)形態で作製され、このようにして被覆されたケーブルに対し、耐火試験が直接行われた。
【0041】
この試験の手順の概要は次の通り。各ケーブルをU字状に折り曲げ、耐火物の垂直支持パネル上に固定する。次に、ケーブルの底部を火炎、すなわち、800℃〜970℃の温度下に30分間さらす。最初の15分間は、ケーブルと支持パネルからなる組立物に衝撃を5分毎に加える。次の15分間は、ケーブルの第1の部分に水を吹き掛けるとともに、パネル−ケーブル組立物に衝撃を5分毎に加え続ける。この30分の間、ケーブルの導体には500ボルト(V)〜1000Vの電圧を印加する。電気的故障またはブレークダウンがなければ試験に合格となる。
【表2】

【0042】
各ポリマーマトリクスの組成物に関する注記事項及び難燃性フィラーの総量に関する注記事項は実施例Iの場合と同様である。
【0043】
サンプル5〜8に注目すると、従来の難燃性フィラーを含有する組成物は、水酸化アルミニウム(サンプル5)であるか、水酸化マグネシウム(サンプル6)であるかにかかわらず、耐火試験に不合格であった。海泡石の代わりに使用したホウ酸亜鉛は灰(ash)の凝集力(cohesion)を改善する添加物として知られているが、同じく耐火試験に不合格であった(サンプル8)
【0044】
サンプル9〜11に関する試験結果を見ていくと、本発明に係る組成物(サンプル10)は、無水マレイン酸やグラフト重合ポリエチレンなどの親和剤(compatilizing agent)を含有しないにもかかわらず、耐火試験に合格可能なことが示される。換言すると、このことは、海泡石が組成物に含有される各種ポリマー間の親和剤としても作用していること意味する。このことは、実施例Iにおいて機械的特性が改善したことにより裏付けられる。
【0045】
したがって、海泡石を含有する組成物のみが耐火試験に合格した(サンプル7と10)。したがって、この繊維状フィロ珪酸塩が燃焼時及び燃焼後において灰の凝集を改善することは明らかである。海泡石は、繊維状構造によって、材質表面に形成される燃焼残渣を補強する。この残渣は、第1に、材質の劣化に伴う揮発性化合物の拡散を制限する物理障壁として機能するとともに、材質に伝搬される熱量を低減する熱障壁として機能する。
【0046】
<実施例III>
【0047】
実施例IIIは極温の耐熱特性を本来的に備えた材質の難燃性に対する海泡石の効果を示したものである。
【0048】
この目的のために、コーンカロリーメータ分析を行った。具体的には、海泡石含有量が昇順の5サンプルについて、その燃焼中に時間に対する放熱レートを測定した。図1に対応する材質の放熱レート特性を示す。
【0049】
表3は試験したサンプル12〜16の各組成物と共に主な特性として全放熱量、平均放熱レート及び最大放熱レートを示したものである。なお、図1の曲線は単に実験測定からプロットしたものであるのに対し、表3に示す各種特性値は平均値である。
【表3】

【0050】
この表に掲げた各種数値に関して、まず、全放熱量は実際上、一定であり、全ての試験でほぼ同量のポリエチレンが燃焼したことになる。
【0051】
また、海泡石を加えていくと燃焼エネルギーが大幅に減少することが示される。最大放熱レートについては、海泡石の含有量がポリマー100重量部に対してわずか5重量部しかない時点で既に減少している。この減少は海泡石の含有量が30重量部になった時点でほぼ最適になり、含有量を50重量部にしても格段の変化がないことから、ある種の停止に達する。
【0052】
また、図1の各種曲線から分かるように、海泡石を使用することで燃焼時間が長くなり、火炎の伝播を遅らせるのに有効であると考えられる。
【0053】
<実施例IV>
【0054】
実施例IVはパリゴルスキー石(palygorskite)を含有する材質に関するもので、実施例IIIと同様に、この種の材質の難燃性を示したものである。
【0055】
この目的のために、前と同様に、コーンカロリーメーターにより分析を行った。ただし、この実施例では、パリゴルスキー石含有量が昇順の4サンプルについて、その燃焼中に時間に対する放熱レートを測定した。図2に対応する材質の放熱レート特性を示す。
【0056】
表4は試験したサンプル17〜20の各組成物と共に主な特性として全放熱量、平均放熱レート及び最大放熱レートを示したものである。なお、表3の場合と同様に、図2の曲線は単に実験測定からプロットしたものであるのに対し、表4に示す各種特性値は平均値である。
【表4】



【0057】
まず、パリゴルスキー石を加えていくと燃焼エネルギーが大幅に減少することが分かる。最大放熱レートについては、海泡石の含有量がポリマー100重量部に対してわずか10重量部しかない時点で既に減少している。この減少は海泡石の含有量が30重量部になった時点で実質上最適になり、含有量を50重量部にしても格段の変化がないことから、ある種のレベルに達する。
【0058】
また、図2の各種曲線から分かるように、実施例IIIのようには明確でないとしても、パリゴルスキー石を使用することで燃焼時間が長くなり、火炎の伝播を遅らせるのに有効であると考えられる。
【0059】
結論として、パリゴルスキー石の存在がポリマー材の火に対する性能を大幅に改善することは明らかである。
【0060】
<実施例V>
【0061】
実施例Vは、本発明に係る組成物に界面活性剤を加えた場合に、当該組成物による材質の機械的特性及び耐火特性に与える作用を示したものである。
【0062】
表5は試験サンプル21〜25の各種組成物を示したものである。併せて、コーンカロリーメータ分析時に実行した全放熱量、平均放熱レート、最大放熱レートに関する、平均測定値を示す。この点に関して、図3に対応する材質の応答を示す。表5の末尾にサンプル毎に測定した引張破断伸びを示す。
【表5】

【0063】
まず、直接対比を可能にするため、各種組成物について有機質の量を一定にした。
【0064】
次に、繊維状フィロ珪酸塩に基づいた組成物の耐火特性は界面活性剤によって全く低下しないことが分かる。これらの耐火特性は、本実施例にサンプル21で示した、本発明の基本となる標準組成物の耐火特性よりも格段に優れている。
【0065】
最後に、繊維状フィロ珪酸塩のみに基づいた組成物による材質(サンプル22と23)に比べ、界面活性剤を含有することで、機械的特性が改善されることが分かる。この点に関しては、より顕著な効果がパリゴルスキー石を含有する場合に得られる。
【0066】
結論として、繊維状フィロ珪酸塩の存在はポリマー材の耐火特性を大幅に改善することが明示される。この種の化合物には材質の燃焼時に、その灰の凝集を格段に高めるとともにドリッピング問題を解消するという効果がある。最後に、ポリマーと繊維状フィロ珪酸塩の混合物に基づいた組成物は耐熱及び火炎伝播防止の能力を非常に高める。また、この種の特性は、絶縁材質タイプの応用や、被覆(シース)された電力ケーブルや通信ケーブルに適合するものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】材質の放熱レート特性を示す。
【図2】材質の放熱レート特性を示す。
【図3】材質の放熱レート特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの絶縁体部の内部に延在する少なくとも1つの導体部を備え、少なくとも1つの絶縁体部がポリマーと繊維状フィロ珪酸塩を含有する耐火性組成物で構成されることを特徴とするケーブル。
【請求項2】
少なくとも1つの絶縁体部の内部に延在する少なくとも1つの導体部を備え、さらに少なくとも1つの保護用シースを備え、当該保護用シースがポリマーと繊維状フィロ珪酸塩を含有する耐火性組成物で構成されることを特徴とするケーブル。
【請求項3】
上記耐火性組成物の繊維状フィロ珪酸塩は、海泡石、パリゴルスキー石、アタバルジャイト、カリフェリサイト、ロフナイト、及びファルコンドアイトのなかから選択され、好適には海泡石であることを特徴とする請求項1又は2記載のケーブル。
【請求項4】
上記耐火性組成物は、ポリマー100重量部に対して60重量部未満の繊維状フィロ珪酸塩、好適には海泡石を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のケーブル。
【請求項5】
上記耐火性組成物はポリマー100重量部に対して5〜30重量部の繊維状フィロ珪酸塩、好適には海泡石を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のケーブル。
【請求項6】
上記耐火性組成物のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元重合体(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチレン共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)、エチレン−オクテン共重合体、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、及び上記成分の任意の混合物のなかから選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のケーブル。
【請求項7】
上記耐火性組成物は、極性化合物をグラフト重合した少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のケーブル。
【請求項8】
上記耐火性組成物は、少なくとも1つの極性単量体に由来する少なく1つの共重合体を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のケーブル。
【請求項9】
上記耐火性組成物は、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩、タルク、カオリン、カーボンブラック、シリカ、珪酸塩、ホウ酸塩、スズ酸塩、モリブデン酸塩、グラファイト、リン系化合物、及びハロゲン化難燃材のなかから選択された少なくとも1つの化合物で構成される2次的なフィラーを含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のケーブル。
【請求項10】
上記耐火性組成物は、ポリマー100重量部に対して1200重量部未満である2次フィラーを含有することを特徴とする請求項9記載のケーブル。
【請求項11】
上記耐火性組成物は、ポリマー100重量部に対して150〜200重量部の2次フィラーを含有することを特徴とする請求項9又は10記載のケーブル。
【請求項12】
上記耐火性組成物は抗酸化剤、紫外線安定剤、及び潤滑剤のなかから選択された少なくとも1つの添加物を含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のケーブル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−538361(P2007−538361A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517218(P2007−517218)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010042
【国際公開番号】WO2006/000468
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(501044725)ネクサン (81)
【Fターム(参考)】