説明

耐火建築物の階層間の耐火材固定金物

【課題】鉄骨構造等の建物の床板と壁との階層間の隙間には耐火材を充填する。従来この耐火材を取付けるに当たり、溶接で留める支持部材と閉塞ラスの2部材を使い、更に耐火材を詰め込む工程が加わり3工程となっている。
【解決手段】床板コンクリートの打設前に施工する場合、コンクリートの堰板に被せて挟み込むクリップ状の上端部をもち、下端部を90度に曲げた腕に耐火材を乗せる構造の金具により充填材を取付ける。この金具のクリップ部分の片側又は両側に突起をつけ、しっかりと堰板をつかむ構造とする。
床板コンクリート打設が先行の場合は、Z型の金物で、上端部の水平部で床面を抑え、垂直部の留付け用の粘着テープ、磁石、接着剤で堰板側に取付け、下部の腕により耐火充填材を取付ける。
固定金物の垂直部に穴を有する固定金物を利用し、高周波や電磁波を利用した溶接ピンをこの穴を通しこの固定金物を取り付け、下部の腕により耐火充填材を取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨造発泡コンクリート構造や中空成形セメント板構造、カーテンウォール構造等の耐火建築物の、階層間の床板と壁との間の隙間に、耐火の為に充填する耐火材を固定する金物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の耐火充填材の層間固定部材としては固定金物にラス網を取付けるものがある。(例えば特許文献1参照。)
以下、従来の層間固定部材について説明する。
従来技術の層間隙間の耐火充填材固定金物は、支持部材と閉塞ラスの2部材で構成されている。そのため従来技術では、支持部材を主に溶接などで取付けた後、寸法をあわせた閉塞ラスを設置し、そのラスの上に耐火材本体を載せることにより層間耐火材としての役割を果たす。
【特許文献1】特許公開平9−177199
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術によると、支持部材と閉塞ラスの2部材を使用しなければならない。又支持部材を取付けるに主には溶接を使わなければならない。次に閉塞ラスを取付けるわけであるが、閉塞ラスの寸法をあわせるため、正確に寸取する必要があり現場での閉塞ラスの寸法合わせに手間を要す。その閉塞ラスを設置した後に耐火材を載せて取り付けるという3工程を経なければならない。
本発明は、従来技術の使用部材を減らし、取付け工程を簡略化し更には溶接を一切なくして現場での安全をよりしっかりしたものにするという課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
床板に耐火材を固定するL型の金物であって、上端部がコンクリートの堰板となる鋼板に引っかかり挟み込むように外側に180度に曲げられており、その曲げられた部分に堰板を押さえつけるような凸型に出した突起又は切り出し爪を設けたことを特徴とする金物により、外壁面と床板との間の階層間の隙間に詰める耐火充填材を固定する。
【0005】
コンクリートの打設が先行して行われた場合には、上端部が90度に曲げられたZ型の金物で、上端部の水平部分が堰板とコンクリート面に載り金具本体を支え、垂直の部分の堰板側に留め付け用の粘着テープ、磁石テープなどを取付けるか、この面にホットメルトタイプの接着剤などで留めつけることの出来ることを特徴とする固定金物を取り付けた後、外壁面と床板との間の階層間の隙間に詰める耐火充填材を取付ける。
固定金物の垂直部に穴を有することを特徴とする固定金物を使用し、接着剤などの代わりに、高周波や電磁波を利用した溶接ピンでこの固定金物を固定することもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コンクリート床板の堰板に取付ける1部材の金物によって耐火材を取付けることが出来、大幅に工程を短略し、取付けの工程が非常に単純且つ容易なものとなる。又溶接による接合などは一切不要となり、より安全なものにすることが出来る。
【実施例】
【0007】

以下、図示の実施の形態に基づき本発明を細説する。 本考案は、堰板を挟み込む上端部に線上に曲げ加工を施しくびれさせた部分、又は凸型につけた突起、あるいは内向きの切起し爪が、堰板を両側から押えて固定し、下部の水平部分にて充填する耐火材の脱落を防止するもの、あるいはコンクリート床板に上端部の水平に出た腕を乗せ、垂直部分にて粘着テープ、磁石又はホットメルト接着剤などで堰板に留め付け、耐火材の脱落を防止するものである。
図1、図2、図3、図4、図5がその実施例であり、図6、図7はその取付け図である。
【0008】
床に堰板を取付けた状態でコンクリートが打設されていない場合は、図1、図2、又は図3の固定金物を使用し、固定金物の上端部のクリップ状の部分にて堰板を挟み込んで留め、固定する。
【0009】
図1、図2、又は図3の固定金物においては、上端部のクリップ状の部分の、7の線状に曲げ加工した部分、8の半球状の凸型に曲げ加工した部分、9の内向きの切起し爪が堰板を押え金具本体をしっかり固定するものである。
そしてこの固定金具に耐火材を保持させる。
【0010】
床板のコンクリートが打設済みの場合、図4の固定金物を使う場合、上端部の腕を床板に引っ掛け、11の粘着テープ又は磁石により堰板に取付け、耐火材を保持させる。
【0011】
床板のコンクリートが打設済みで、図5の固定金具を使い、ホットメルト接着剤などで堰板に取付ける場合には。接着剤をこの垂直部分の12の円孔の周りに塗布する。この金具の12の円孔が接着剤の水分や蒸発分を逃がし接着剤の凝固を早め、又円孔よりはみ出て凝固することにより、金具の接着力をより強くする。この固定金具を取り付けた後に耐火材を載せ保持させる。
この場合の接着部分に開ける穴は円孔に限らず、三角形、四角形、楕円、星型、線状などでもよい。
【0012】
図5の形状の固定金具は、コンクリート床板打設済みの場合に、高周波や電磁波を利用した金属溶接ピンをその円孔を通して堰板に固定する事を可能とし、取付けた固定金具に耐火材を載せて保持させる。
【0013】
耐火材を載せて取付けた形は、図6、図7、図8のようになるが、10の耐火材固定用切起し爪が耐火材を貫き耐火材をしっかりと固定する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)〜(C)はこの発明の曲げ加工を施した耐火材固定金物の斜視図、側面図、および平面図である。
【図2】(A)〜(C)はこの発明の凸型の突起を施した耐火材固定金物の斜視図、側面図、および平面図である。
【図3】(A)〜(C)はこの発明の外向きの切起こし爪を施した耐火材固定金物の斜視図、側面図、および平面図である。
【図4】(A)〜(C)はこの発明の後付用の離型紙付接着層または粘着層を施した耐火材固定金物の斜視図、側面図、および平面図である。
【図5】(A)〜(C)はこの発明の後付用の、接着剤又は高周波や電磁波を利用した金属溶接ピンにより取付ける耐火材固定金物の斜視図、側面図、および平面図である。
【図6】先付けタイプの固定金物を取り付け耐火材を充填した施工図
【図7】コンクリート床板先行の、粘着テープ又はホットメルトタイプの接着剤等で取付けの施工図
【図8】コンクリート床板先行の、固定金具を高周波や電磁波を利用した金属溶接ピンで取付けの施工図
【符号の説明】
【0015】
1…耐火材固定金物、2…耐火材、3…コンクリート床板、4…堰板、5…デッキ、
6…金具本体、7…折り曲げ加工線部、8…凸型突起、9…切起し爪(堰板圧縮用)、
10…切起し爪(耐火材固定用)、11…離型紙付接着層または粘着層、12…円孔





【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板に耐火材を固定するL型の金物であって、上端部がコンクリートの堰板となる鋼板に引っかかり挟み込むように外側に180度に曲げられており、その曲げられた部分に堰板を押さえつけるような凸型に出した突起又は切り出し爪を設けたことを特徴とする、外壁面と床板との間の階層間の隙間に詰める耐火材を固定する金物。

【請求項2】
コンクリートの打設が先行して行われた場合には、上端部が90度に曲げられたZ型の金物で、上端部の水平部分が堰板とコンクリート面に載り、立下がりの部分の堰板側に粘着テープ、磁石テープなどを取付けるか、この面にホットメルトタイプの接着剤等でこの固定金物を堰板に取り付けることを特徴とする、外壁面と床板との間の階層間の隙間に詰める耐火材を固定する金物。

【請求項3】
請求項2に記載の立下り部分に、穴の開いたことを特徴とする、外壁面と床板との間の階層間の隙間に詰める耐火材を固定する金物。























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−41236(P2009−41236A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206098(P2007−206098)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(505075329)木野内化成産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】